2024/01/11

🟧ボトル入り飲料水のプラスチック粒子、従来測定の10~100倍 アメリカのコロンビア大学が研究

 ペットボトル入り飲料水に含まれるプラスチック粒子の数が、これまで考えられていた10~100倍にも相当する1リットル当たり数十万個に上るとする研究結果が8日、「アメリカ科学アカデミー紀要」(PNAS)に発表されました。

 アメリカのコロンビア大学の研究チームは、ペットボトル入り飲料水主要3ブランドのプラスチック粒子含有量を、最近開発されたレーザー技術を用いて測定。その結果、1リットル当たり約11万~37万個、平均24万個のプラスチック粒子が検出されました。

 検出されたプラスチックのうち、90%はナノプラスチックで、残りはマイクロプラスチックでした。マイクロプラスチックは大きさが5ミリ以下のプラスチック粒子と定義されるのに対し、ナノプラスチックは1マイクロメートル(1000分の1ミリ)以下の微粒子と定義されます。

 種類別に最も多かったのは、水を浄化するプラスチックフィルターに由来すると考えられるナイロンでした。次いで多かったのは、ボトル自体の材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)。残りの種類のプラスチックは、キャップの開閉時に水に混入するとされました。

 ナノプラスチックは非常に小さいため、消化器官や肺を通過して直接血流に入り、脳や心臓などの臓器に到達するとされ、人体への影響が懸念されています。

 水道水にもマイクロプラスチックが含まれていることが判明しているものの、そのレベルははるかに低いとされます。

 論文の共著者を務めたコロンビア大学のベイザン・ヤン研究准教授(地球化学)は、「ボトル入り飲料水に含まれるナノプラスチックを心配するならば、代わりに水道水などを検討するのは妥当なことだ」と語りました。

 ただし、脱水症状のリスクはナノプラスチックへの暴露による潜在的な影響を上回る可能性があるため、「どのような状況においても絶対に口にしてはいけないといっているわけではない」とも述べました。

 2024年1月11日(木)

🟧ALS患者への嘱託殺人罪に問われた医師、初公判で「女性の願いをかなえるためにやった」

 全身の筋肉が衰える難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)を患っていた女性(当時51歳)に対する嘱託殺人罪などに問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判の初公判が11日、京都地方裁判所(川上宏裁判長)でありました。大久保被告は罪状認否で「起訴状の通り間違いない」と認める一方、「私は女性患者の願いを叶(かな)えるためにやった」と述べました。弁護側は被告の行為に嘱託殺人罪を適用するのは、自己決定権を定めた憲法に反するとして、無罪を主張しました。

 起訴状では、大久保被告は2019年11月、元医師の山本直樹被告(46)(控訴中)と、女性患者が住む京都市中京区のマンションを訪ね、女性患者に頼まれ、薬物を投与して殺害したとされます。

 大久保被告は厚生労働省で医系技官として勤め、2018年に宮城県内で医院を開業。SNSで「安楽死」を肯定する持論を展開していました。

 検察側は冒頭陳述で、大久保被告は2019年10月から、薬物を投与して殺害する計画について、女性患者とSNSでやり取りしていたと指摘。発覚を免れるため、女性患者にはSNSのメッセージを削除するよう指示していたとしました。

 事件当日は、女性患者の友人を装って2人で訪問し、山本被告が見張りをする中、大久保被告が女性患者に薬物を注入したと言及。「医療に見せ掛けて高齢者や障害者を殺害する行為に興味を持っていた」と強調しました。

 弁護側は冒頭陳述で、「女性患者は死にたいという願いを自分で叶えることができず、被告がその願いを叶えた。その被告を嘱託殺人に問うことは、自己決定権を保障した憲法13条に違反する」と無罪を主張。

 大久保被告は、山本被告とその母親淳子被告(79)と共謀し、2011年3月に東京都内で山本被告の父親(当時77歳)を殺害したとする殺人罪にも問われています。大久保被告は罪状認否で、殺人罪について「私はやっていない」と無罪を主張しました。

 2024年1月11日(木)

🟧インフルエンザ感染者、3週連続減 昨年末、前週比0・94倍

 全国の医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は、昨年12月31日までの1週間で1医療機関当たり21・65人となり、減少傾向が続いています。専門家は、例年、インフルエンザは年明け以降に感染者数のピークを迎えることなどから、再び増加に転じる可能性があるとして注意を呼び掛けています。

 また、能登半島地震で大きな揺れを観測した各県では感染者が多く報告されている地域がある一方、正確な患者数の把握が難しくなっている医療機関もあります。

 国立感染症研究所などによりますと、昨年12月25〜31日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は10万4612人で、1医療機関当たりでは前の週から1・48人減って21・65人となりました。前週比0・94倍で、3週連続の減少となりました。

 データをもとに推計されるこの1週間の全国の感染者数は約76万9000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の感染者数は約1058万7000人と推計されています。

 都道府県別にみますと、宮崎県が44・86人、高知県が36・25人、大分県が35・66人、熊本県が32・46人、青森県が30・38人と、5つの県で「警報レベル」とされる30人を超えているほか、愛知県で22・47人、東京都で19・22人、大阪府で15・67人などと、そのほかすべての都道府県で「注意報レベル」の10人を超えています。

 直近5週間で検出されたウイルスは、A香港型と呼ばれるAH3型が58%、2009年に新型として流行したAH1型が33%でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「年末にかけて休みになっている医療機関もあり、見掛け上、患者数が減っている可能性もある。年明けから人の移動が活発になることや、例年なら1月下旬から2月上旬にかけて流行のピークを迎えることから、今後、患者数が増加に転じる可能性もあり、推移に注意する必要がある」と話しています。

 2024年1月11日(木)

2024/01/10

🟧臓器移植の体制充実を求める要望書、日本移植学会が国に提出へ 東大、京大などで受け入れ断念相次ぎ

 日本移植学会は、脳死者から提供された臓器の移植手術を担う施設の体制充実を求める要望書を国に提出する方針を固めました。東京大など3大学病院で人員や病床などが不足し、臓器の受け入れを断念する例が相次いでいる問題を受けたもので、小野稔・同学会理事長(東大心臓外科教授)が9日、明らかにしました。厚生労働省も関係学会と協力して対応を進めます。

 脳死下の臓器提供は2023年、過去最多の132件となりました。主要な移植施設に臓器の受け入れ要請が集中し、東大、京都大、東北大の3大学病院では対応能力が限度を超えたとして、受け入れを断念する例が60件超ありました。

 断念する例が増えた背景には、脳死下の臓器提供が増加していることがあり、臓器の摘出手術が複数行われる日が急増し、移植手術を担う限られた施設に、同時期に臓器の受け入れ要請が重なる例が増えたためです。

 小野理事長は、「今後の移植医療の方向性を決める重要な時期を迎えている。問題が広がる前に、早く手を打たねばならない」と述べ、6~7月にも要望書を提出する考えを示しました。

 一方、武見敬三厚労相は同日の閣議後の記者会見で、手術に携わる医師、看護師、臨床工学技士や集中治療室の不足による臓器受け入れの断念例が生じていることを認めた上で「提供件数の増加を踏まえた対応が重要。移植医療の円滑な実施に向けて関係学会と協力して対応する」と述べました。

 2024年1月10日(水)

🟧「MRワクチン」を接種する子供の割合が低下 専門家「新たな流行につながる恐れ」

 就学前の子供を対象としたはしかと風疹のワクチン「MRワクチン」の接種率が低下しています。小学校入学前に行う2回目の接種の昨年度の接種率は過去10年で最も低くなっており、専門家は「新たな流行につながる恐れがあり、忘れず接種してほしい」と呼び掛けています。

 はしかや風疹を予防するMRワクチンは、公費で接種できる「定期接種」として、1歳以上2歳未満の時に1回目、小学校入学前の5歳以上7歳未満の時に2回目を接種することになっています。

 厚生労働省によりますと、昨年度のMRワクチンの接種率は、1回目では95・4%と過去10年で2番目に低く、2回目は92・4%と、過去10年で最も低くなりました。

 はしかは感染力が非常に強い感染症で、重症化すると死亡したり、後遺症として極めて重い脳炎が起きたりすることがあります。

 また、風疹は軽症のことが多いですが、妊娠中の女性が感染すると、胎児にも感染し、難聴や、心臓の病気になる可能性が高まります。

 はしかと風疹のウイルスは感染力が強く、流行を防ぐためには1、2回目のいずれも95%以上の接種率を保つのが望ましいとされています。

 ワクチンに詳しい川崎医科大学の中野貴司主任教授は、「90%台と聞くと高く感じるかもしれないが、毎年数万人の子供が未接種となり、流行を引き起こす切っ掛けになるリスクがある」と懸念を示しています。

 公費でワクチンを接種するには、決められた期間があり、1回目は2歳の誕生日の前日まで、2回目は小学校に入学する前の3月末までとなっていて、中野主任教授は「対象となっている人は、忘れず接種してほしい」と話しています。

 2024年1月10日(水)

🟧2023年の世界平均気温、観測史上最高 産業革命前から1・48度上昇

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)は9日、2023年は観測史上最も暑い年だったと発表しました。気候変動の影響で、熱波や干ばつの強度が増し、山火事も世界的に多発しました。産業革命前と同程度とされる1850〜1900年の平均より1・.48度高く、気温上昇を1・5度に抑えるとする温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標値に迫りました。

 C3Sは昨年11月に、2023年が観測史上最も暑い年になるとの見通しを示したものの、実際の気温を基に世界平均気温の記録更新を発表したのは初めて。

 産業革命前に比べて地球の平均気温が1・5度を超えてしまうと、気候変動の影響はより破滅的になると科学者は考えています。2023年は1年の半分以上の日で1・5度を上回りました。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、2023年は「観測史上初めて、すべての日で産業革命以前比で1度を上回った」と述べ、「平均気温としては、過去10万年で最も温暖だった可能性がある」としました。

 また、11月には産業革命前と比べて平均気温が2度を超えた日が2日ありました。

 C3Sは、2023年の平均気温の上昇は4~12月の海面水温が記録的に高かったためだと説明。大気中の温室効果ガス濃度が観測史上最高レベルに達したことや、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」が7月以降、強まり続けたことが、海面水温の上昇を招いたと指摘しました。

 世界各地では昨年、自然災害が多発。カナダやギリシャで山火事が相次ぎ、「アフリカの角(アフリカ東端部)」や中東の一部地域では深刻な干ばつが起きました。また、欧米と中国は夏季に前例のない厳しい熱波に見舞われたほか、オーストラリアと南アメリカでは記録的な暖冬となりました。

 2023年の平均気温は、これまで最も高かった2016年を0・17度上回りました。

 2024年1月10日(水)

🟧エーザイの認知症治療薬「レカネマブ」、中国で承認取得 世界3カ国目で7~9月に発売予定

 エーザイは9日、アメリカの医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)が中国国家薬品監督管理局(NMPA)から承認を得たと発表しました。今回の承認はアメリカ、日本に次ぐ3カ国目で、7~9月に中国で発売する予定です。

 中国での販売価格は今後検討します。日本での薬価は体重50キログラムの人で年間約298万円になります。

 エーザイによると、中国でのアルツハイマー病による軽度認知障害などのレカネマブの投与対象者は2024年に1700万人と推定され、高齢化の進展で今後も増加する見込み。原因物質の1つとされるタンパク質「アミロイドベータ」の脳内への蓄積を血液で調べる診断体制も整備します。

 レカネマブはアルツハイマー病の症状の進行を抑える効果を科学的に証明した世界で初めての薬となります。中国では2022年12月に申請が受理され、2023年2月に優先審査の指定を受けていました。中国の規制当局の指示に応じ、最終段階の臨床試験(治験)のデータの追加提出などをしていました。

 レカネマブは現在、ヨーロッパやカナダ、イギリスなど11カ国・地域で申請しています。

 2024年1月10日(水)

🟥ゴールドウイン、PFAS不使用に 年内に衣料品の素材切り替え、海外拡大で

 アパレル大手で衣料品の素材として有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使うことを取りやめる動きが広がっている。「ザ・ノース・フェイス」などを展開するゴールドウインは2025年内で代替素材に切り替える。PFASは熱に強く、アウトドア向け衣料で活用されている。健康への有害性...