2024/03/25

🟧薬の供給停止や出荷制限情報を随時公表へ 厚労省ホームページで、4月から

 風邪薬やせき止めなどの医薬品の供給不足が長引く中、厚生労働省は今年4月から、薬の供給停止や出荷制限についての情報をホームページで随時公表することになりました。医療機関や薬局が代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうことにしています。

 医薬品を巡っては、2020年末以降、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーによる不祥事が相次ぎ、業務停止命令などで生産量が減少したことなどを切っ掛けに供給不足が続いています。

 現在は、日本製薬団体連合会が供給情報をホームページで公開していますが、1カ月に1度の更新で、即時の情報は反映できず、直近の薬の供給状況を医療機関などが把握できないことが課題になっていました。

 こうした状況を受けて、厚労省は今年4月から、医師が処方する医薬品のうち、供給が停止したり、出荷に制限がかかった薬の情報をホームページで随時公表することになりました。 

 医療機関や薬局が、代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうほか、厚労省も供給状況を見極めた上で、代わりになる薬を作っているメーカーに増産を依頼することにしています。

 日本製薬団体連合会の調査によりますと、今年1月末時点で、1万7905品目の医薬品のうち、25・9%に当たる4629品目で出荷量を調整する「限定出荷」や「供給停止」が行われ、依然として多くの医薬品の供給が不安定で、医療機関や薬局で、必要な医薬品の入手が困難な状況が続いているということです。

 2024年3月25日(月)

2024/03/24

🟧東京都の「人食いバクテリア」患者、過去最多ペースで増加 

 東京都内で今年、極めて致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が、過去最多だった昨年を大きく上回る勢いで増加しています。都は手足の痛みや発熱などの症状がある場合、速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 22日の都感染症対策連絡会議で報告がありました。2024年の患者は17日時点で88人。141人だった2023年と比べ3倍のペースで感染が確認されています。2023年は約3割の42人が死亡しました。

 病原菌は、子供を中心に流行する「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)」のほか、B群、C群などがあります。手足の痛みや発熱から始まり、数十時間以内に多臓器不全を発症します。手足の壊死(えし)を引き起こすこともあるため「人食いバクテリア」とも呼ばれます。発症のメカニズムは解明されていません。

 都によると、患者は40歳代が多く、2023年に子供を中心に流行した溶連菌感染症から大人に感染するなどした可能性があるといいます。イギリスで2010年代から増えている感染力の強い変異株「M1UK株」への置き換わりも、感染拡大の要因とみています。

 都は感染の傾向を分析し、医療機関向けの対応ガイドライン改定を進めています。

 2024年3月24日(日)

2024/03/22

🟧世界初、ブタの腎臓を移植した患者が順調に回復 アメリカのマサチューセッツ総合病院

 アメリカのボストンにあるマサチューセッツ総合病院は21日、重い腎臓病を患ったマサチューセッツ州の62歳男性にブタの腎臓を移植したと発表しました。これまで脳死状態の患者へのブタの腎臓移植は行われたことがありましたが、患者の回復を目指した移植は世界で初めてだということです。

 ブタは人体側の拒絶反応を避けるため、69カ所の遺伝子操作を施してありました。男性は順調に回復し、近く退院できる見込み。移植用臓器の不足を緩和するための重要な一歩だと評価しました。

 同病院移植外科の河合達郎医師は、「この手法が、世界で腎不全に苦しむ何百万人もの人々にとって頼みの綱になることを望む」とコメントしました。 使用した腎臓は、アメリカの企業eGnesis(イージェネシス)が供給しました。遺伝子を高効率で改変するゲノム編集技術を使ってブタの一部遺伝子を削除し、人間の遺伝子を挿入することで人体への適合性を高めました。ブタのウイルスの機能を失わせる感染対策もしました。サルへの移植で有効性を検討し、人間の患者への実施に踏み切りました。

 男性は長く2型糖尿病や高血圧に悩まされ、7年間の透析治療の後、2018年に死亡した人から腎臓の提供を受けたものの、昨年、機能不全に陥りました。

 アメリカでは遺伝子操作したブタの臓器を人間に移植できないか、研究が進められており、2022年には、ほかの治療法で回復が見込めない患者がブタの心臓の移植を受けましたが、およそ2カ月後に死亡していました。

 2024年3月22日(金)

2024/03/21

🟧大麻絡む事件で摘発、昨年6482人で過去最多 初めて覚醒剤上回る

 昨年1年間に全国の警察が大麻が絡む事件で摘発した人数が過去最多の6482人(前年比1140人増)に上り、記録が残る1958年以降で初めて覚醒剤事件の摘発者数を上回ったことが21日、警察庁のまとめでわかりました。10歳代も初めて1000人を超え、同庁は若年層で大麻の蔓延(まんえん)が深刻化しているとみています。

 発表によると、年代別では、20歳代が3545人(前年比692増)、10歳代が1222人(同310人増)と、20歳代以下だけで全体の73・5%を占めました。続いて30歳代が974人(同43人増)でした。

 10歳代の摘発は、年々増加しており、2014年の80人から約15倍になりました。低年齢化が加速しており、高校生は前年比約1・4倍の214人、中学生も同約2倍の21人でした。

 警察庁が昨年10~11月、大麻の単純所持容疑で摘発した1060人を対象にした調査では、初めての大麻使用年齢は「20歳未満」が52・5%に上り、2017年に行った同様の調査の36・4%から約16ポイント上昇していました。

 動機はどの年代も「好奇心・興味本位」が最多で、20歳代以下で次に多かったのは「その場の雰囲気」でした。入手先を知った方法は20歳未満の半数が「インターネット経由」でした。利用したツールはX(旧ツイッター)が約9割でした。

 大麻の危険性についての質問では、7割超が「全くない」「あまりない」と回答し、1割だった覚醒剤を大きく上回りました。

 昨年の大麻の末端価格は1グラム5000円で、同6万6000円の覚醒剤の13分の1程度。16歳を境に摘発が増える傾向があり、警察庁は「入手が容易になり、有害性の認識も低くなっている」とみて、高校生を対象に啓発活動を強化します。

 一方、昨年1年間に覚醒剤事件で摘発された人数は5914人(前年比210人減)でした。2016年以降減少が続いていたものの、覚醒剤の押収量は1342・9キロ(同1053・9キロ増)と増加しました。外国人による密輸入が目立ちます。

 21日の定例会見で警察庁の露木康浩長官は、「若年層が大麻の有害性を正しく認識できるよう、積極的な情報発信や、ネット上の取引情報の排除などを一層推進していきたい」と述べました。

 一方、昨年の危険ドラッグが絡む事件では、前年比52%増の424人が摘発され、2年連続で増加しました。このうち乱用者は395人。若年層の割合が増えており、昨年は20歳代が52・4%、20歳未満が9・4%でした。

 2024年3月21日(木)

2024/03/20

🟧マダニ媒介のウイルス感染症、国内初の人から人への感染確認 患者を処置した医師に症状

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、国立感染症研究所は人から人に感染したケースを国内で初めて確認したと発表しました。感染したのはSFTSの患者を担当した医師で、すでに症状は軽快しているということです。

 国立感染症研究所によりますと、2023年4月、SFTSに感染した90歳代の男性患者を診察した20歳代の男性医師が、最初の接触から11日後に発熱し、その後、SFTSと診断されたということで、ウイルスの遺伝子検査で90歳代の患者と同じウイルスと考えられることなどから、人から人への感染と診断したということです。

 SFTSの人から人への感染は中国や韓国では報告されていますが、国内で確認されたのは、初めてだということです。

 国立感染症研究所によりますと、90歳代の男性患者が入院中は、医療従事者は感染対策をとっていましたが、医師は診断される前の診察で手袋をしておらず、また、その後、患者が死亡し、点滴を外す処置などをした際もマスクや手袋などはしていたもののゴーグルを着けていなかったということです。

 SFTSは、主にマダニに刺されることで感染するウイルス感染症で、発熱や腹痛などの症状を引き起こし、重症化すると死に至ることもあります。

 国立感染症研究所は、感染した患者の診療の際には、医療従事者は感染予防対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 厚生労働省は、「SFTSはマダニからの感染が基本で、人から人への感染は簡単には起きない。ただ、患者の血液や体液に触れる可能性がある医療従事者は感染対策を徹底する必要がある」としています。

 2024年3月20日(水)

🟧2023年は観測史上最も暑い年、南極海氷も最小に WMO発表

 スイスのジュネーブに本部を置く世界気象機関(WMO)は19日、2023年が観測史上最も暑い年になったのを確認したとする報告書を発表しました。南極の海氷消失や海が蓄えた熱量、海面上昇、氷河の融解でも、それぞれ過去最高の記録を更新しました。

 WMOがまとめた報告書は、2023年が観測史上最も暑い年になったとの暫定データを確認すると同時に、直近10年間も観測史上最も暑い10年間だったと指摘しています。

 報告書によると、2023年の世界の平均気温は、産業革命前と同程度とされる1850~1900年の平均より約1・45度高くなりました。今世紀末の気温上昇を1・5度に抑えるとする2015年パリ協定の目標値に迫っています。

 南極の海氷は、1979年以降で最小となる面積を2023年2月に記録。2023年で最大だった9月の約1700万平方キロメートルも、これまでの最小記録より約100万平方キロメートルも小さくなりました。

 WMOの気候監視部門の責任者は会見で、「2024年は昨年の記録を再度更新する可能性が高い」と述べました。

 国連(UN)のアントニオ・グテレス事務総長は同報告書について、「地球は瀬戸際にある」とビデオメッセージで指摘。「地球は救難信号を発している」「化石燃料による汚染で気候変動が加速している」と警告しました。

 2024年3月20日(水)

2024/03/19

🟧東京都で20歳代男性のはしか感染を確認 今年に入って4人目 2月下旬に東南アジアから帰国

 国内で「はしか」(麻疹)の感染報告が相次ぐ中、東京都内に住む20歳代の男性の感染が新たに確認されました。都内では、今年4人目の感染者となります。

 東京都によりますと、「はしか」への感染が確認されたのは都内在住の20歳代の男性です。

 男性は、3月10日に発熱やせき、それに目の充血などの症状が出たことから、医療機関を受診しましたが「はしか」とは診断されず、その後、発疹の症状も出たため、再度、医療機関を受診したところ、18日になって感染が確認されました。現在、男性は自宅で療養中で、快方に向かっているということです。

 感染経路はわかっていませんが、男性は2月下旬に東南アジアから帰国し、3月10日の夜に新宿区内の飲食店を、12日の昼に千代田区内のファストフード店を利用していたということです。

 「はしか」は空気感染で広がり、感染力が極めて強いため、都は男性が利用した飲食店などの情報をホームページで公開しています。

 「はしか」を巡っては3月に入って、都内を訪れていた大阪市在住の20歳代の女性や、都内に住む5歳未満の男の子の感染が確認されていますが、都によりますと、感染経路はそれぞれ異なるとみられています。

 今回の感染で、今年の都内の感染者数は4人となりました。

 都は症状が疑われる場合は事前に医療機関に連絡した上で受診し、移動の際は公共交通機関の利用を控えるよう呼び掛けています。

 2024年3月19日(火)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...