2024/04/08

🟧海洋汚染の「マイクロプラスチック」を雲や雪の中から発見 早稲田大や北見工業大が研究

 微細なプラスチック片「マイクロプラスチック(MP)」が、雲や雪の中からも見付かったことが、早稲田大の大河内博教授(環境化学)や北見工業大(北海道北見市)の大野浩准教授らの研究で8日までにわかりました。海洋汚染が大きな問題となっていますが、大気中ではより小さく、人体に取り込まれた場合の影響は大きいとの指摘があります。ただ研究例は少なく、実態解明が急務です。

 MPはプラスチックごみが波や紫外線などで壊れることによって生じる粒子で、大きさが5ミリ以下のもの。有害な化学物質を吸着する性質があり、海洋生態系への影響が懸念されるほか、人間も魚介類を通じて摂取している恐れが指摘されています。

 大河内教授らの研究チームは2021~2022年、富士山頂など3地点で採取した雲水にMPが含まれていることを野外観測で初めて実証しました。MPが紫外線劣化により水をはじきにくくなり、雲の核となっている可能性があります。有機物などを表面に吸着していると、さらに核になりやすくなるといいます。

 MPは紫外線で劣化する際、温室効果ガスを排出します。一方で雲の形成を促進して太陽光を地表に届きにくくし、地球温暖化の予測モデルを不確実なものにしている可能性もあります。発生源ははっきりしないものの、陸のほか「日本では近海から台風や冬の北西からの季節風で巻き上げられた海洋MPが有力ではないか」と推測します。

 雪からMPを発見したのは、氷雪学を専門とする大野准教授。2021~2023年、世界自然遺産の知床や旭岳(2291メートル)など、道内9カ所で採取した雪を分析すると、全地点で検出されました。

 知床など人の生活圏外では、プラスチック容器に使われるポリエチレンなど0・06ミリ以下のごく小さいものが中心で、大気によって運ばれたと考えられるといいます。一方、都市部では合成ゴムや比較的大きなMPが見付かり、車のタイヤなど現地由来の可能性が高くなっています。

 大河内教授によると、大気中のMPは0・1ミリ以下で海洋と比べて小さくなっています。海洋と同様に日常的に使われるプラスチックが主ですが、上空にあることから強い紫外線にさらされ劣化が早くなっています。MPが呼吸で取り込まれると、肺に蓄積されるほか、より微細なものは血液中に入り込み全身に広がると考えられ、飲食物に混入したものとは異なり体外に排出されにくくなっています。

 ただ大気中のMPに言及した論文が初めて登場したのは2016年。研究手法が統一されておらず、大気中にどのようなサイズのMPがどれほどあるかなど、実態の把握が進んでいません。

 大河内教授は、「まだまだわからないことが多い。特に健康リスクについて明らかにし、対処を考えていきたい」と話しています。

 2024年4月8日(月)

2024/04/07

🟧世界最高齢男性はイギリスの111歳 ギネス社が認定

 存命中の世界最高齢の男性として、イギリスに住む111歳のジョン・アルフレッド・ティニスウッドさんがギネス記録に認定されました。

 ギネス・ワールド・レコーズが5日に発表しました。3月下旬から4月初旬にかけて、114歳で世界最高齢の男性だったベネズエラのフアン・ビセンテ・ペレス・モラさんや、112歳で日本最高齢の男性だった薗部儀三郎さん=千葉県館山市=が相次いで亡くなっていました。

 新たに認定を受けたティニスウッドさんは、ギネスとのインタビューで「人は長生きしたり短命だったりするが、自分ではどうしようもない」と話しました。

 ティニスウッドさんは、たばこを吸わず、酒もめったに飲みません。毎週金曜日には白身魚とポテトを揚げたイギリス料理「フィッシュ・アンド・チップス」を食べる習慣だというものの、長生きの理由は「単なる運」と語っています。

 何事も適度がいいと話し、「飲みすぎ、食べすぎ、歩きすぎなど、なんでもやりすぎればいずれ体を悪くする」と指摘しました。

 ティニスウッドさんは豪華客船タイタニック号の沈没と同じ1912年の8月26日にイングランド北西部リバプールで生まれ、2回の世界大戦とスペイン風邪、新型コロナという2回のパンデミックを生き抜きました。ギネスによると、第2次世界大戦で従軍を経験した男性としても世界最高齢。

 イングランドのサッカーチーム、リバプールは昔からのファンで、19回のリーグ優勝と8回のFAカップ優勝をすべて見届けてきました。

 現在はリバプール近郊の海辺の町、サウスポートの介護施設で暮らしています。施設の責任者によると、新聞を読んだり、ラジオを聴いたりするのが好きだといいます。施設スタッフによると、「とてもおしゃべり」な人柄。

 存命中の世界最高齢の女性には、スペインに住む117歳のマリア・ブラニャス・モレラさんが認定されています。

 2024年4月7日(日)

🟧危険ドラッグ「1DーLSD」摂取後に飛び降りか 死亡するケースが2件相次ぐ

 合成麻薬LSDに似た成分の「1DーLSD」を摂取したとみられる人が、マンションから飛び降りて死亡するケースが相次いでいることがわかりました。

 捜査関係者によりますと2024年2月、東京都新宿区の22歳の女性がマンションの8階から飛び降り死亡しました。

 女性は飛び降りる前に合成麻薬LSDに似た成分の1DーLSDを含んだ製品を摂取したとみられ、一緒にいた男性は警視庁に対し、摂取後に女性の様子がおかしくなり「新しい自分になる」「飛びそう」などといって飛び降りたと話したということです。

 また、2024年1月には四国地方に住む20歳代の男子大学生も、1DーLSDを含んだとみられる製品を摂取後にマンションから飛び降り死亡したということです。

 マンションの部屋からは、いずれも1DーLSDという法律で規制されていないLSDに似た成分の名前が書かれた製品などが見付かっていて、警視庁や厚生労働省の麻薬取締部は、この製品を摂取したことで錯乱状態に陥り、飛び降りにつながった可能性があるとみているということです。

 そのほかにも2023年8月に東京都の浅草の路上で1DーLSDを摂取したという20歳代の男性が全裸の状態で発見され、首を切った痕が複数あったため救急搬送されたケースや、東京都町田市で16歳の男子高校生が摂取後、通行人に暴行を加えたり路線バスや車を壊したりするなどして逮捕されるケースなど、1DーLSDとの因果関係はわかっていないもののトラブルが相次いでいるということです。

 2人が相次いで死亡したことを受け、厚労省は2024年2月、1DーLSDが含まれる3製品について医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しています。

 厚労省は1DーLSDについて、「危険ドラッグの一種で乱用するとどういう症状が出るかわからないため絶対に使用しないでほしい」と呼び掛けています。

 危険ドラッグが社会問題になったのは10年前の2014年で、警察庁によりますと危険ドラッグを使ったことが原因で死亡したとみられる人は1年間で112人に上りました。

 東京都の池袋では危険ドラッグが原因の暴走事故で歩行者7人が死傷し、取り締まりや規制が強化されました。

 その後、危険ドラッグを使ったことが原因で死亡したとみられる人は2015年は11人に減り、2016年は6人、2017年は3人、2018年と2019年はそれぞれ1人、そして、2020年から昨年までの4年間は1人も確認されていませんでした。

 一方、危険ドラッグを使ったなどとして検挙された人は、2015年の1196人をピークに、2021年には145人まで減りましたが、2022年は279人、2023年は424人と再び増加傾向になっています。

 2024年4月7日(日)

2024/04/06

🟧水道水に基準超す六価クロム、再検査で職員が加水し隠蔽 秋田県由利本荘市

 秋田県由利本荘市は5日、記者会見を開き、市郊外の大台飲料水供給施設の水道水から、水道法に基づく水質の基準値(1リットル当たり0・02ミリ・グラム)を上回る有害物質「六価クロム化合物」が2020年度から検出されていたと発表しました。供給先の6世帯17人に健康被害は確認されていないといいます。市は除去装置を付ける方向で検討しています。

 市によると、六価クロムは2018年度から微量に検出されていましたが、当時の基準値(1リットル当たり0・05ミリ・グラム)は下回っていました。しかし、現行基準に改正された2020年度からの4年間は、基準値を0・003~0・009ミリ・グラム上回っていたにもかかわらず、見過ごされたといいます。

 施設を管理する市建設管理課は2020年度から、年2回(8月上旬と下旬)の水質検査を市企業局水道課に委託し、報告を受けていました。1回目は基準値を超えていた一方で、2回目の再検査で下回ったとの報告が4年続いたため、建設管理課が不審に感じて今年2月、水道課に問い合わせました。その結果、これまで検査を水道課職員が1人で実施し、再検査では水を2割加えて薄めていたことがわかったといいます。

 市は問題の発覚後も供給を止めるなどの対応はせず、水源の再調査を実施。その結果も基準値を0・004ミリ・グラム上回りました。

 これを受けて、4月2日から施設タンクに給水車で水道水を入れて安全な水に切り替え、4日夜になって地元説明会を開催しました。住民からは「安全に水を供給してほしい」などの要望があったといいます。

 市の三森隆副市長は、「水道課の担当者は、少し水を足せば基準値以下になる実験としてやったといっており、 捏造(ねつぞう)の意図はなかったと思う」と話し、処分するかは未定としています。

 六価クロムは発がん性などがある有害物質。メッキ、触媒などに使われ、自然界ではほとんどみられません。

 2024年4月6日(土)

2024/04/05

🟧季節性インフルエンザ患者数、2週連続減少 新型コロナは8週連続減少

 全国の医療機関から報告された患者の数が季節性インフルエンザは2週連続で、新型コロナウイルスは8週連続で減少しました。

 厚生労働省によりますと、季節性インフルエンザについて全国約5000の定点医療機関から3月31日までの1週間に報告された患者数は、前の週より1万4321人少ない5万5189人でした。

 1つの医療機関当たりの患者数は前の週と比べて0・79倍の11・18人となり、2週連続で減少しました。

 都道府県別の感染状況をみると、愛媛県で25・80人、新潟県で24・12人、富山県で21・54人、群馬県で20・54人、福島県で17・76人などとなっていて、43の都道府県で前の週から減少しています。

 このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、約34万3000人で、昨年9月4日以降の累積の患者数は、約1763万人と推計されています。

 直近5週間に検出されたウイルスを分析すると、B型のインフルエンザが82%で最も多くなっています。

 また、新型コロナウイルスについては、全国約5000の定点医療機関から3月31日までの1週間に報告された患者数は、2万5179人でした。

 1つの医療機関当たりでは5・10人と8週連続で減り、前の週と比べて0・98倍となりました。

 都道府県別にみると、1つの医療機関当たりで患者数が最も多かったのは秋田県の12・27人でした。

 厚労省は、「患者数は減少傾向が続いているが、特にインフルエンザは例年に比べると多い。新学期が始まり、人の移動も増える時期のため、引き続き注意してほしい」としています。

 2024年4月5日(金)

🟧島根県は新たに3件、鳥取県は初確認1件 紅麹サプリ健康被害

 小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」の成分が入ったサプリメントを摂取した人が健康被害を訴えている問題で、島根県は3日、新たに県内在住の3人から健康被害に関する相談があったと発表しました。いずれも重症ではないといいます。県内で健康被害が疑われる事例の報告は計7件となりました。

 県薬事衛生課によると、3人は大阪市が回収命令の対象としている「紅麹コレステヘルプ」または「ナイシヘルプ+コレステロール」を摂取しました。2~4カ月間摂取した50歳代男性と60歳代男性は、頻尿や腹痛などを訴え症状が続いているものの、入院はしていません。2年間摂取した50歳代女性は倦怠(けんたい)感や尿の泡立ちを訴えており今後、医療機関を受診します。

 現時点で、製品の摂取と相談のあった症状の因果関係は不明といいます。同課は、体に不安や異常がある場合は、あらかじめ医療機関に相談した上で受診するよう呼び掛けています。

 一方、鳥取県は3日、県内在住の50歳代女性が健康被害を訴えていると発表しました。入院はしておらず、重篤ではないといいます。県内で被害が疑われる事例の発覚は初めてとなります。

 県くらしの安心推進課によると、女性は2023年12月11日から2024年3月22日までの間、「紅麹コレステヘルプ」を摂取しました。背中や排尿時の違和感があり、尿の頻度や量が増加する症状が続いています。摂取との因果関係は特定できていませんが、摂取後に症状が現れたといいます。

 県内では米子、倉吉、鳥取市の各保健所と消費生活センターで相談を受け付けています。3月26日から4月3日午前9時までに「紅麹を食べても大丈夫か」「回収対象食品を食べたので不安」との相談が計23件寄せられました。

 県と鳥取市は3日、合同会議を開き、各保健所に対応チームを設置して保健師が電話で健康観察し、必要に応じて医療機関の受診を案内する方針を確認しました。平井伸治知事は、「心配な人は窓口に相談してほしい」と述べました。

 2024年4月5日(金)

2024/04/04

🟧イオン、プライベートブランドの2リットル入り飲料水86万1552本を自主回収 複数客が異臭を指摘

 流通大手のイオンは、プライベートブランドの2リットル入りの飲料水、約86万本を自主回収すると発表しました。キャップの外側から異臭がすることを確認したためで、これまでのところ健康への被害の連絡はないとしています。

 イオンが自主回収を行うのは、プライベートブランドのペットボトル入りの飲料水「トップバリュベストプライス 国内で採水した天然水」(2リットル)で、賞味期限が再来年の2月と3月の商品のうち、特定のロットの86万1552本です。

 この商品は、岐阜県関市にある委託先の工場で製造され、ことし2月27日から4月1日までの間、首都圏と関西、中部などの1都11県にある、スーパーの「まいばすけっと」や、ディスカウントストアの「ザ・ビッグ」などで販売されました。

 会社によりますと、3月27日以降、商品を購入した複数の客から「カビのようなにおいがする」と問い合わせがあり、会社が調べたところ、キャップの外側から異臭がすることを確認したということです。

 このため、4月1日に販売を中止しました。

 会社によりますと、これまでの調査では細菌は検出されておらず、健康への被害の連絡はないとしています。会社は原因の調査を進めています。

 イオンは、「お客さまにご心配とご迷惑をおかけしますことを重ねておわび申し上げます」としています。

 問い合わせ先の電話番号は、フリーダイヤル0120-28-4196で、日曜日を除く午前10時から午後5時まで受け付けています。

 2024年4月4日(木)

🟧インフルエンザ感染者、1医療機関当たり35・02人 全国的に警報レベル続く

 厚生労働省は17日、全国約5000カ所の定点医療機関から直近(1月6~12日)の1週間に報告された季節性インフルエンザの感染者数が、1医療機関当たり35・02人で、年末年始で多くの医療機関が休みだった前の週の33・82人から増加したと発表しました。警報レベルとなる30人を依然...