2024/06/27

🟧札幌市の50歳代男性がダニ媒介脳炎を発症 国内6例目、山林でかまれる

 札幌市保健所は26日、市内の50歳代男性が、マダニにかまれて発症する「ダニ媒介脳炎」に感染したと発表しました。2018年5月以来、6年ぶりの感染確認で、国内6例目(いずれも北海道内)。男性は意識障害があり、入院中だといいます。

 発表によると、男性は5月中旬、山菜採りに出掛けた道央エリアでダニに脚をかまれました。同月23日に発熱や脚のしびれなどの症状が出たことから医療機関を受診。道立衛生研究所の検査で、6月24日に陽性と判明しました。

 道内では1993年以降、男女6人がダニ媒介脳炎になり、このうち2016年、2017年には計2人が死亡しました。

 マダニは森林や草地に生息し、春から秋にかけて活動が活発化するといいます。札幌市保健所は、森林や草地に行く時は長袖、長ズボンを着用し、肌の露出を少なくするよう呼び掛けています。

 2024年6月27日(木)

2024/06/26

🟧アルコール健康被害、世界で推計4億人 WHO、若者の飲酒に懸念

 世界保健機関(WHO)は25日、飲酒によるアルコール依存症など健康を害した15歳以上の人口が2019年に世界で推計4億人に上ったとする報告書を発表しました。15~19歳で飲酒経験がある人の割合が「受け入れがたいほど高い」と懸念。飲酒を容認する社会通念により、引き起こされる健康被害が軽視されていると指摘しました。

 WHOは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今回は2020~2022年のデータをまとめられなかったとしています。

 報告書によると、2019年の1人当たりの年間アルコール消費量(純アルコール換算)は5・5リットルで、2010年の5・7リットルから微減しました。2020年については、新型コロナの影響を受け、2019年に比べ10・1%減の4・9リットルと推測しました。

 消費量は旧ソ連諸国やヨーロッパ地域、北アメリカ・南アメリカ地域で多く、両地域では健康被害に苦しむ人口比が他の地域よりも高くなりました。最も消費量が多い国はルーマニアで17・0リットル。アメリカは9・6リットル、日本は6・7リットルでした。

 2024年6月26日(水)

2024/06/25

🟧国立ハンセン病療養所での旧陸軍の薬剤臨床試験、入所者2人の死亡と因果関係の疑い 

 熊本県合志市にある国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(けいふうえん)は24日、太平洋戦争中から終戦直後にかけて旧日本陸軍などが入所者に対し、「虹波(こうは) 」と呼ばれる薬剤の臨床試験を行い、試験中に死亡した9人のうち2人について投薬との因果関係が疑われるとする報告書を公表しました。投与対象者は少なくとも472人に上ります。国の報告書などで虹波の存在自体は知られているものの、被害の詳細をまとめたのは初めて。

 入所者自治会の要請を受け、2023年度に園の歴史資料館が収蔵する関連資料56点を精査しました。報告書では、死亡例や激しい苦痛を伴う副作用が確認されても臨床試験は中断されなかったとして、「当時の医師らの医療倫理の在り方に疑問が持たれる」と指摘しました。

 報告書によると、虹波は写真の感光剤を合成した薬剤で、熊本医科大(現熊本大医学部)の波多野輔久医師が陸軍の嘱託で開発しました。体質改善や結核のほか、ハンセン病の治療への活用も期待されたものの、効果は上がらなかったとされます。

 臨床試験は陸軍が指揮し、当時の宮崎松記園長の監督の下で行われ、1942年12月から1947年6月まで続いたといいます。対象と確認できた472人には6歳児も含まれていました。ほかに370人が参加した可能性があります。

 臨床試験中に死亡した9人のうち、7人の死因は肺結核や急性肺炎などでしたが、残る2人は虹波が原因と疑われるといいます。

 報告書では、「被験者は臨床試験への参加を拒否できなかった」と指摘。園内での安寧な生活を得るために、従順な態度を取らざるを得なかったと結論付けました。園は今後も調査を続け、薬剤の医学的な効果などを考察する方針。報告書は近く歴史資料館のホームページで公開する予定。

 医学史に詳しい京都大医学部の吉中丈志臨床教授は、「ハンセン病は死に至ることが少ない慢性疾患で、死者が出た薬を使い続けるのは医療倫理以前に、常識としておかしなことだ」と批判しました。

 虹波に関しては、国が設置した有識者らによるハンセン病問題の検証会議が、2005年にまとめた最終報告書で触れており、他の薬物とともに「副作用ばかりが目立つ」「試用は全くの人体実験だった」と指摘しています。

 厚生労働省は、恵楓園による今後の調査を注視するとしています。

 菊池恵楓園は1909(明治42)年、当時の法律に基づいて全国5カ所に設置されたハンセン病の患者を収容する療養所の1つ「九州らい療養所」として現在の熊本県合志市に開設されました。その後「らい予防法」の制定などによってハンセン病の患者が強制的に収容されるようになり、入所者は1958年のピーク時で1734人でしたが、現在は6月1日の時点で126人となっています。

 また、入所者の平均年齢は87・5歳と高齢化が進んでいます。

 菊池恵楓園には国の隔離政策の一環として、全国で唯一のハンセン病患者専門の刑務所が設けられていましたが、現在は取り壊され、跡地には3年前、小中一貫の公立学校が開校しました。

 園内には、入所者の無断外出を防ぐために設けられた「隔離の壁」など、差別の歴史を今に伝える施設が残っていて、厚労省は、これらの施設をハンセン病問題の啓発のために歴史的建造物として保存することにしています。

 2024年6月25日(火)

2024/06/24

🟧 新型インフルエンザ薬「アビガン」、ダニ感染症に応用承認 世界初のSFTS治療薬に

 富士フイルム富山化学は24日、新型インフルエンザ薬「アビガン」を、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の治療にも使えるようになる承認を取得したと発表しました。世界初のSFTS治療薬が登場することになりました。

 SFTSは主にウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、致死率は約27%と高くなっています。6~14日の潜伏期を経て発熱や下痢などの症状が出ます。

 患者は西日本に多くなっています。ペットからの感染が報告されているほか、患者を診察した医師への感染例も3月に公表されました。

 アビガンのSFTSへの治療応用は愛媛大、長崎大、国立感染症研究所が中心に実施した臨床研究を経て進められました。

 アビガンは新型インフルエンザの流行に備えて国が備蓄している飲み薬で、新型コロナウイルス流行当初に使われ、話題になりました。

 SFTS治療では、緊急時に対応できる医療機関で十分な知識を持つ医師が投与します。動物実験で胎児に奇形が出る恐れが指摘され、妊婦や妊娠している可能性がある人には使えません。

 2024年6月24日(月)

2024/06/23

🟧新型コロナウイルスの感染者は2万561人、6週連続で増加 沖縄県は突出続く

 厚生労働省は21日、全国約5000の定点医療機関から10~16日に報告された新型コロナウイルスの感染者数が計2万561人だったと発表しました。1機関当たりは4・16人で前週比1・04倍となり、6週連続で増加しました。前年同期(5・6人)よりは低くなりました。

 都道府県別では、沖縄県が18・11人と、前週(19・58人)に比べやや減ったものの、突出して多い状況が続いています。

 厚労省の担当者は、「過去に夏に一定の感染拡大があったので状況を注視している」と話しています。

 26都府県で増加。沖縄県に次いで多かったのは鹿児島県8・58人、佐賀県7・26人。少なかったのは山形県1・63人、福井県1・82人、福島県1・89人など。

 全国約500の定点医療機関が報告した新規入院患者数は1372人で、前週比0・98倍でした。

 2024年6月23日(日)

2024/06/21

🟧蚊が吸血やめる仕組み解明、被害防ぐ薬開発の可能性も 理化学研究所などのチーム

 デング熱などを媒介するネッタイシマカが「腹八分目」で血を吸う行動をやめるメカニズムを解明したと、理化学研究所と東京慈恵会医科大のチームが発表しました。針を刺すことで血液中に生じる物質が、蚊に満腹感をもたらしているといいます。蚊の被害を防ぐ薬の開発に役立つ可能性があり、論文が21日、アメリカの科学誌「セル・リポーツ」(電子版)に掲載されます。

 ネッタイシマカは東南アジアや南アメリカなどに生息するヤブ蚊の一種で、デング熱やジカ熱などのウイルスを媒介します。

 人や動物の血液に含まれるATPという物質が蚊の「食欲」を促していることはわかっていたものの、腹部が吸った血で満たされる前に逃げることが多く、何を切っ掛けに「食事」をやめるのかはわかっていませんでした。

 理研の佐久間知佐子・上級研究員らは、ネッタイシマカが好むATPの溶液に、血液から赤血球などを取り除いた上澄みだけを加えると、あまり吸わなくなることを発見。上澄みの中に、蚊に満腹感をもたらす物質があると推定して成分を絞り込んだ結果、「フィブリノペプチドA」という物質がかかわっていることを突き止めました。

 この物質は、血液の凝固に欠かせないフィブリノーゲンというタンパク質から作られます。蚊が血管に針を刺した刺激で血液の凝固反応が進んでこの物質が増え、蚊の体内にある程度蓄積すると血を吸う行動を終えることがわかりました。

 ネッタイシマカと同じヤブ蚊の仲間で、国内に多いヒトスジシマカなども、同じ仕組みを持っているとみられ、佐久間上級研究員は「蚊の体内でどのような反応が起きて満腹と感じているかがわかれば、吸血を抑える薬を作れるかもしれない」と話しています。

 蚊の感染症対策に詳しい愛媛大の渡辺幸三教授(熱帯疫学)は、「独創的な研究成果だ。血を吸うのはメスの蚊で、卵が成熟する栄養となる。蚊の吸血行動を抑えることは個体数を減らすことにもつながるだろう」としています。

 2024年6月21日(金)

2024/06/20

🟧つけ爪用など瞬間接着剤、拭き取りで発熱 国民生活センターがやけどに注意呼び掛け

 つけ爪などにも使われる瞬間接着剤をティッシュペーパーなどで拭き取ろうとして発熱し、やけどをするといった事例が報告されているとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 国民生活センターによりますと、全国の消費生活センターなどに、瞬間接着剤によってやけどをしたという情報が、2019年4月からの5年間で7件寄せられています。

 このうち、今年1月には10歳代の女性がつけ爪用の接着剤をデニム素材の服にこぼしたところ、服が溶けるほど熱くなり、太ももに全治1カ月以上のやけどをしました。

 このほか、5月には、大阪府河内長野市で行われたイベントで4歳の男の子に、近くにいた見物客が持っていたつけ爪用の接着剤が誤ってかかり、右腕に全治約2週間のやけどをした事例も明らかになっています。

 瞬間接着剤に含まれるシアノアクリレート系の物質は接着面などの水分と反応して熱が発生する特徴があり、ティッシュペーパーや布などにしみ込んで表面積が拡大すると反応が急激に進む場合があるということです。

 国民生活センターが、市販されている瞬間接着剤、12製品について、ティッシュペーパーや衣類に付着した際の温度を調べたところ、粘度が低くさらさらした製品を中心に、合わせて5製品が、ティッシュペーパーや綿100%の衣類に付着した後、やけどを引き起こすとされる70度以上の高温になり、最も高いものは、わずか15秒ほどで167度にまで上昇したということです。

 国民生活センターは、誤って衣類に付着した場合は大量の水をかけることや、皮膚に付着した場合は慌てて拭き取ろうとせず、40度ほどのお湯の中でもむようにしてはがすよう注意を呼び掛けています。

 2024年6月20日(木)

🟩昨年の出生数68万6061人、初めて70万人下回る 厚労省調査

 昨年1年間に生まれた日本人の子供の数は68万6000人余りと、前年より4万1000人余り減少し、統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回ったことが、厚生労働省の調査でわかりました。また、1人の女性が産む子供の数の指標となる合計特殊出生率は昨年1・15となり、これまでで最も低...