2025/01/29

🟧終末時計、1秒進み「残り89秒」 滅亡まで過去最短に

 アメリカの科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(「原子力科学者会報」の意味)は28日、人類が滅亡するまでの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の針を1秒進め、滅亡まで過去最短となる「残り89秒」としました。核兵器使用のリスク増大のほか、アメリカのドナルド・トランプ政権が気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱、世界保健機関(WHO)からの脱退へ向け政策転換したことなどが要因。

 同誌の理事会メンバーであるノーベル平和賞受賞者のフアン・マヌエル・サントス元コロンビア大統領はアメリカの首都ワシントンで記者会見し、「終末時計は真夜中まで89秒となり、過去最も滅亡に近付いている」と語りました。サントス氏は、各国の元指導者らでつくる人道活動グループ「エルダーズ」の議長も務めています。

 サントス氏は、トランプ氏がロシア、中国との外交を約束したことを歓迎しながら、アメリカ政権がパリ協定とWHOからの撤退を表明したことについて、地球にとっての2大リスクへの取り組みからの後退につながるとの考えを示しました。

 一方、別の理事会メンバーで、公衆衛生専門のアメリカの科学者スゼット・マッキニー博士は、人工知能(AI)の進歩が感染症のリスクを複雑にし、悪意を持つ者が生物兵器を拡散させるリスクを増大させ得ると警告しました。

 2025年1月29日(水)

2025/01/28

🟧アメリカのトランプ政権発足以降、保健福祉省傘下の機関が一部情報更新を停止

 アメリカでドナルド・トランプ政権が発足して以降、日本の厚生労働省に相当する保健福祉省(HHS)の傘下の政府機関が一部の公衆衛生に関する情報更新やSNSへの投稿を止めていて、地元メディアは政権側の意向を受けた対応だと伝えています。

 アメリカで1月20日にトランプ政権が発足して以降、医療などに関する施策を担う保健福祉省の傘下にある政府機関が一部の情報更新やSNSでの発信を止めています。

 このうち、感染症対策などで知られる疾病対策センター(CDC)は、公衆衛生に関する最新の情報を掲載した報告書をこれまで毎週公開してきましたが、16日を最後に新しい報告書は公開していません。

 このほか、インフルエンザの感染状況を詳しく分析した情報を毎週掲載しているウェブサイトは、17日で更新が止まっています。

 また、SNSのXでの情報発信は、26日の時点で、CDCのほか、食品医薬品局(FDA)や、国立衛生研究所(NIH)のアカウントで、政権が発足した21日以降、新しい投稿は行われていません。

 これについて地元メディアは、政権側の意向を受けた保健福祉省が、緊急性のない情報の発信を一時的に停止するよう指示を出したと伝えています。

 その上で、政府機関からの情報発信の一時的な停止は過去の政権移行期にもあったという指摘とともに、呼吸器系の感染症が流行する時期に情報発信が滞ることや、停止する範囲と期間の不確かさに対する医療関係者の懸念の声も伝えています。

 2025年1月28日(火)

2025/01/27

🟧エーザイ認知症薬「レカネマブ」、投与頻度半分に 患者の通院負担減

 エーザイとアメリカのバイオジェンは27日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名:レケンビ)」について、継続して治療した後は投与頻度を減らせる治療法の承認をアメリカ食品医薬品局(FDA)から取得したと発表しました。現在の2週間に1回の投与頻度を4週間に1回に移行できます。患者や家族の通院負担を減らせます。

 アメリカで隔週投与の治療を1年半続けた後が対象になります。レカネマブは脳内にたまった原因物質の1つ「アミロイド」を取り除きます。2週間に1度、1年半投与することで症状の進行を27%抑えます。

 だが治療を中止すると、症状の進行速度が薬を使わなかった場合と同等に戻ることが確認されています。継続して投与することで、治療効果が持続するとしています。

 似た作用の薬で、日本とアメリカで承認されたアメリカのイーライリリーの「ドナネマブ(製品名:キスンラ)」は、アミロイドが十分除去できれば投薬を終えられると想定しており、2つの薬の長期的な費用対効果が注目されています。

 2025年1月27日(月)

2025/01/26

🟧介護休業取得の対象、障害ある子供や医療的ケア児も明記へ 4月をめどに運用開始、厚労省

 働く人の介護休業の取得は、高齢者だけでなく、障害のある子供や医療的ケア児も対象であることを周知するため、厚生労働省の研究会は、国が企業に示す基準の中に明記する案をまとめました。

 育児・介護休業法では、2週間以上にわたり介護を必要とする家族がいる場合、働く人は対象者1人につき通算93日まで介護休業を取得できます。

 その取得については、厚労省が作成した介護の必要性の基準をもとに企業が判断していますが、この基準の文言が、高齢者の介護を念頭に置いた内容になっていて、企業や労働者から「障害のある子供の介護なども対象なのか解釈が難しい」という声が上がっていました。

 厚労省の研究会は、この基準の中に、障害のある子供や医療的ケア児の介護や支援に当たる場合も、介護休業の取得の対象だと明記する案をまとめました。

 障害のある子供のうち、たんの吸引や人工呼吸器を使うなどの医療的なケアが日常的に必要な「医療的ケア児」は、国の推計で、全国で2万人以上いるとされています。

 厚労省は、改正育児・介護休業法が施行される今年4月をめどに、この新しい基準の運用開始を目指したいとしています。

 2025年1月26日(日)

2025/01/24

🟧マイナ保険証読み取るアプリに不具合、37人分の投薬情報が同意なく共有

 訪問診療などの際に患者の「マイナ保険証」を読み取ることで過去の診療記録が取得できる医療用のアプリに不具合が見付かり、37人分の投薬情報が、本人の同意を得ないまま医療機関などで共有できる状態になっていたことがわかりました。

 不具合があったのは、厚生労働省の外郭団体「社会保険診療報酬支払基金」などが昨年10月から管理・配信している医療用のアプリです。

 団体によりますと、タブレットなどの端末にインストールされたこのアプリに、患者の「マイナ保険証」を読み込ませれば、過去の診療記録が取得できます。

 主に訪問診療の際に活用されていて、医師などが端末上のアプリの画面に表示されるボタンを患者にタップしてもらって同意を得た上で、記録を確認しています。

 しかし今回、37人分の患者の投薬情報が、本人の同意を得ていないのに医療機関などで共有できる状態になっていたことがわかりました。

 昨年12月、アプリを使った訪問看護ステーションから指摘があり、開発した富士通が詳しく調べたところ、問題が明らかになりました。

 原因はアプリのプログラムの設定ミスによるもので、すでに修正されたということです。

 管理している厚労省の外郭団体は「事案を厳粛に受け止め、再発防止策を策定し、実施していきたい」としています。

 2025年1月24日(金)

2025/01/23

🟧エボラウイルスなど危険な病原体扱うBSLー4施設、長崎大を正式指定へ 政令改正案を閣議決定

 エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスなど危険性が最も高いとされる病原体を扱う「高度安全実験(BSLー4)」の施設に、近く長崎大が指定されることになりました。

 「BSL−4」はエボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスなど危険性が最も高いとされる病原体を国の許可を得て持つことができる施設で、21日、長崎大を指定の対象とする政令の改正案が閣議決定され、早ければ24日にも指定されることになりました。

 長崎大では2021年に、長崎市にある坂本キャンパスに「BSL−4」の施設を建設し、指定に向けて国の審査を受けてきましたが、厚生労働省は昨年11月、適合性審査を終え、法令の基準に適合することを確認したとしていました。

 長崎大が指定されれば、予防法や治療法の開発目的で研究が行える国内初の「BSLー4」施設となります。すでに「BSLー4」施設として稼働している国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)は、地元との合意で患者の診断や治療の目的に特化しています。

 長崎大の「BSLー4」施設を巡っては、住宅地に整備することに反対する声も出ており、長崎大を相手取って計画の差し止めを求める裁判なども起こされています。

 2025年1月23日(木)

2025/01/22

🟧抗インフルエンザ薬「入手困難」54% 長崎県内の医療機関アンケート

 長崎県保険医協会は21日、インフルエンザの流行拡大を受けた県内の医療機関への医薬品に関するアンケート結果を発表しました。抗インフルエンザ薬が入手困難だと回答したのは、半数超の54%に上りました。昨年末から患者数が急増し、処方薬の量や期間を制限して対応する病院もあるといいます。

 県によると、1医療機関当たりの患者数(県内70カ所)は、昨年12月23〜29日に82・27人となり、統計を始めた1999年以降で最多を記録。直近の調査(1月6~12日)でも47・06人と警報レベルで推移しています。

 アンケートは14〜20日に県内の診療所など会員医療機関782カ所に実施し、120カ所から回答を得ました(回答率15・3%)。抗インフルエンザ薬が入手困難だと答えた医療機関に在庫期間を尋ねた設問では、「2週間」が最多の37%。次いで「1週間以内」の29%、「すでに在庫がない」も9%ありました。

 診察への影響(自由回答)としては、「(薬の)在庫がなくなり、電話での受診依頼を断ったことがある」といった声もありました。

 協会の本田孝也会長によると、2月にはB型インフルエンザが流行する傾向にあります。協会は県や国に備蓄薬の活用を求める要請書を提出します。

 協会は「薬が不足し、医療現場は緊迫している。行政や県民にも危機意識を持ってほしい」と訴えています。

 2025年1月22日(水)

🟩大阪市ではしか患者発生、10歳未満の女児 発症の前日に「ららぽーとEXPOCITY」などを利用

 大阪府などは14日、大阪市内に住む10歳未満の女児がはしか(麻疹)に感染し、不特定多数の人と接触している可能性があるとして注意を呼び掛けました。  大阪府などによりますと、女児は4月9日に発熱やせきなどを発症し、11日に検査を受け、12日にはしかに感染していると判明しました。...