2025/02/07

🟪口内が不健康なほど要介護認定や死亡のリスク高まる 島根大「歯科健診受け治療を」

 かみ砕く力が低下していたり、歯の数が少なかったりするなど口内が不健康なほど、要介護認定や死亡のリスクが高まるとの調査結果を島根大などの研究チームが発表しました。チームは「歯科健診を受け、口内を治療することでリスクが軽減される可能性がある」としています。

 島根県内に住む75歳以上の約2万5000人を対象に調べました。口内の状態と死亡率などとの関連を示す研究はこれまでもあったものの、島根大によると、2万人超の大規模調査は珍しいといいます。

 チームは、島根県歯科医師会などが2016〜2021年度に実施した後期高齢者の口内検査のデータを分析しました。かむ力や歯の数など13項目を調べた上で、その後の要介護認定や死亡の状況を確認しました。

 特に強い関連が認められたのが、かみ砕く力で、グミを15秒間かみ、いくつに分割できたか個数を数えて能力を計測。個数が3個以下のグループは22個以上のグループに比べ、要介護2以上に認定された人の割合が2・25倍でした。死亡率も個数が少ないほど高くなりました。

 検査項目のうち(1)歯の数が少ない(2)歯周病がある(3)自分自身が食べ物をかめないと自覚している―に該当する人もリスクが高い傾向が目立ちました。

 チームは、うまくかめず食べられる物が限定されることが関係している可能性があると指摘。島根大の安部孝文講師(医学)は、「今後、口内を治療した場合に死亡率などにどう影響するかも調べたい」としています。

 2025年2月7日(金)

2025/02/06

🟪アステラス製薬の眼疾患薬、日本で承認申請 アメリカやイギリスではすでに販売

 アステラス製薬は5日、目の疾患治療薬「アイザーヴェイ」について、国内での製造販売に向け承認申請したと発表しました。アメリカやイギリスでは失明の恐れがある加齢黄斑変性の治療薬として販売しています。日本でも承認を目指し、患者の新たな治療手段につなげます。

 有効性を確認するために実施した海外での臨床試験(治験)の結果をもとに申請しました。今後は並行して日本で小規模な治験を進め、安全性についての追加データをまとめて審査機関に提出します。投与間隔は1年間までは月1回、以降は月1回もしくは隔月としました。

 アイザーヴェイは2023年に、アメリカで初めて認可されました。アステラス製薬の重点戦略製品として、2025年3月期の売り上げは世界で715億円に達する見込みです。今回の申請を巡る2025年3月期の連結業績への影響はありません。

 2025年2月6日(木)

2025/02/05

🟪ドラッグラグが再拡大の兆し 希少疾患の分野、アメリカの新興企業と連携不足

 海外で承認された新薬の国内承認が遅れる「ドラッグラグ」が、希少疾患の分野で再び拡大し始めているとの研究結果を、星薬科大や名古屋市立大のチームが5日付で発表しました。近年、新薬開発の中心となっているアメリカのスタートアップ(新興企業)と日本企業が早い段階で連携できていないのが主な要因と指摘しています。

 希少疾患は患者数の少ない病気で、アメリカでは20万人未満、日本では5万人未満と定義されます。世界に約7000あり、命にかかわるものが多いものの、治療法があるのは5%未満といいます。

 チームは、2005〜2021年にアメリカで承認された希少疾患薬243種類の日本での開発状況を分析。2010〜2012年には4年以上の遅れがありましたが、厚生労働省が承認審査を迅速化したほか、外資系の大手製薬企業が日本での臨床試験を積極的に進めた結果、2016~2018年には差が195日に短縮しました。

 しかし2019〜2021年には261日と再び拡大に転じていました。日本に開発拠点を持たないアメリカの新興企業が開発する薬が増える中、アメリカでの開発がある程度進んでから日本に導入する事例が多くなっています。

 2025年2月5日(水)

2025/02/04

🟪食品の賞味期限、必要以上の短縮抑制 消費者庁、食品ロス量削減で新指針

 消費者庁の検討会は4日、食品の安全性を保ちながら賞味期限と消費期限の表示を長期化するため、事業者に期限を必要以上に差し引かないよう求める表示設定ガイドラインの改正案を議論しました。後日、意見公募(パブリックコメント)を行い、3月末までに正式決定する見込みです。政府の掲げた目標に向けて食品ロス量削減が進む中で、新たな指針により、さらなる促進を目指します。

 表示の意味を消費者がわかりやすいように、消費期限は「期限を過ぎたら食べないでください」、賞味期限は「おいしく食べられる期限」などの説明を付記することを促す内容も盛り込みました。

 政府は2030年度までに食品ロスの削減目標を、事業者は「2000年度比で60%減」とします。当初は消費者と事業者いずれも「2000年度比で半減」としていたものの、事業者はすでに達成し、新たな目標を設定しました。食品寄付の促進も目指しています。

 2025年2月4日(火)

2025/02/03

🟪クルーズ船の新型コロナ集団感染から5年、 横浜港で当時の乗客が追悼

 横浜市のふ頭に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの集団感染が発生して3日で5年です。

 当時の乗客がふ頭に集まり、海に花を投げ入れるなどして亡くなった人たちを追悼しました。

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は5年前の2020年2月3日、横浜港の沖合に停泊した後、乗客や乗員の新型コロナウイルスへの感染が相次いで明らかになり、乗っていた世界50カ国超、3700人余りのうち712人が感染し、13人が死亡しました。

 当時はまだ新型コロナの検査や治療体制が確立していなかった上、関係国の責任の所在もあいまいで、乗客が船内に長期間隔離される事態となりました。

 3日は、当時の乗客5人がクルーズ船が停泊していた横浜港の「大黒ふ頭」に集まり、手を合わせて黙とうしました。そして海に花を投げ入れて亡くなった人を追悼しました。

 当時の乗客で大阪市から参加した平沢保人さんは、「亡くなった人の死を決して無駄にしないという思いを改めて強くした。国には船内での感染症の事故を思い出す慰霊碑をこの横浜のふ頭につくってほしい」と話していました。

 2025年2月3日(月)

2025/02/02

🟪海水魚はマイクロプラスチックの影響を受けやすい 淡水魚よりも長く体内に残留

 東京大の研究チームが、海水と淡水の両方に適応できるメダカの一種を使い、マイクロプラスチックの体内残留と排出について両方の環境で比較した結果、海水中のほうが残留量が多いことを突き止めました。海水魚は淡水魚よりも、プラスチックごみによる汚染の影響を長期的には受けやすい可能性を示しました。プラスチックが生物の体内で、どのように有害に作用するかを解明する手掛かりになりそうです。

 実験ではインドネシアなどに生息するジャワメダカの稚魚を、微小なプラスチック粒子を入れた海水と淡水それぞれの水槽に24時間入れて観察した後、粒子を含まない水槽に移して、体内から粒子が排出される過程や量を比べました。

 海水に入れた稚魚は、消化管内の水の移動速度が速く、この動きが取り込んだ粒子の排出も促すと考えられました。だが実際は消化管内に粒子が多く残り、観察5日後のふんにも含まれていました。一方、淡水に入れた稚魚は消化管内の水の移動は比較的遅く、取り込んだ粒子の量も少なくなりました。観察5日後のふんには粒子は含まれていませんでした。

 今後は、マイクロプラスチックの体内動態をさらに詳しく調査し、環境に応じた防除策の開発に成果を活用するといいます。

 2025年2月2日(日)

2025/02/01

🟪ウガンダの首都カンパラでエボラウイルス病発生、男性看護師1人死亡

 ウガンダ保健省は1月30日、首都カンパラで看護師1人がエボラウイルス病(エボラ出血熱)で死亡したと発表しました。

 同省のダイアナ・アトウィン事務次官は記者会見で、「カンパラでスーダン型のエボラウイルス病の発生が確認された。国の試験所3カ所ですでに確認ずみだ」と述べました。

 死亡したのは「ムラゴ国立紹介病院に勤務する32歳の男性看護師」で、当初は「発熱のような症状」を呈していたため、ムラゴ国立紹介病院を含むさまざまな医療施設で治療を受け、伝統的な治療師にも相談していました。

 保健省はX(旧ツイッター)への投稿で、男性看護師は多臓器不全を起こし、それが原因で1月29日にムラゴ国立紹介病院で死亡し、死後の検査により、スーダン型のエボラウイルス病の存在が確認されたと説明しました。これは2000年に初めて感染が記録されて以来、同国で9回目のエボラウイルス病の発生となります。

 同じ病棟の患者や医療従事者にエボラの兆候や症状は見られなかったとされます。また、死亡した看護師と接触のあった44人(うち30人は医療従事者)がすでに特定されており、全員がワクチン接種を受ける予定。

 世界保健機関(WHO)は、このエボラの発生に対処するため、公衆生成の専門家とスタッフをウガンダに派遣するほか、この取り組みに100万ドル(約1億5500万円)の資金を割り当てたと発表しました。

 2025年2月1日(土)

🟩終末期患者への「死の援助」法案を可決 フランス下院、9月以降に上院審議へ

 フランス国民議会(下院、577議席)は27日、終末期患者に厳格な条件の下で致死量の薬の投与を認める「死への積極的援助」を導入する法案を賛成多数で可決しました。自殺ほう助や安楽死を禁じていた従来の政策の転換に向けた一歩。9月以降に上院で審議される予定で、法制定までなお時間がかか...