2025/04/24

🟩大阪市のダイキン工業従業員らから高濃度PFAS検出、肺疾患と関連か 医師らのチームが健康調査

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を含む製品を作っていた工場の元従業員らの健康調査をした医師らのチームが23日、大阪市内で記者会見を開き、元従業員ら5人の血液からPFASの代表的な物質「PFOA(ピーフォア)」を高濃度で検出したと明らかにしました。間質性肺疾患を発症した人もおり、論文ではPFOAが関連する可能性も指摘し、分析に加わった小泉昭夫京大名誉教授は「肺疾患との関連指摘は初とみられる」としています。

 論文は厚生労働省所管の労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の学術誌に掲載されました。

 工場は大手空調メーカー「ダイキン工業」淀川製作所(大阪府摂津市)。大阪府北部の住民ら約1200人と、同製作所の元従業員ら7人の血液などを調べました。

 元従業員ら7人のうち、5人の血中からPFOAを高濃度で検出、うち2人が間質性肺炎で、いずれも粉塵(ふんじん)が発生する工程に携わるなどしていました。近隣住民や地元農家についても分析し、いずれも高いといえる濃度でした。

 記者会見には摂津市の住民も参加し、周辺に対する影響への懸念を訴えました。また、調査にかかわった市民団体の長瀬文雄事務局長は、「長期にわたってPFASに曝露された住民が住み続けている。国や摂津市、ダイキン工業に情報開示や対応を求めていきたい」と話しました。

 摂津市では、地下水から国が定めた目標値の約420倍のPFASを検出。ダイキン工業は過去にPFOAを取り扱っていたものの、2012年に国内での製造・使用を終了しています。

 ダイキン工業は取材に対し、「論文の内容を確認できておりませんので、コメントは差し控えます」と回答しました。

 2025年4月24日(木)

2025/04/23

🟩モデルナ製のRSウイルス用mRNAワクチンを了承、新型コロナ以外で初 厚労省部会

 厚生労働省の専門部会は21日、アメリカのモデルナがメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いて開発したRSウイルス感染症のワクチンの承認を了承しました。正式に承認されれば、新型コロナウイルス用以外で国内初のmRNAワクチンとなります。

 名称は「エムレスビア」で、60歳以上が使うとRSウイルス感染症を予防する効果があるといいます。アメリカやヨーロッパですでに承認されています。

 RSウイルスは小児の感染が多く、発熱や鼻水といった風邪症状が出て、重症化することがあります。高齢者は重い気管支炎や肺炎の原因になるほか、ぜんそくなどの持病が悪化するケースもあります。

 モデルナによると、日本では年に推定約6万3000人が入院し、約4500人の死亡原因になっているといいます。

 mRNAワクチンは、ウイルスのタンパク質の遺伝情報を人工的に合成して製造します。注射後、体内でつくられたタンパク質に免疫システムが反応し、ウイルスへの免疫ができます。

 新型コロナのワクチンとして実用化が進み、2023年には関連技術を開発した研究者がノーベル賞を受賞しました。

 大阪大の位高啓史教授は、「ほかの感染症でも、免疫形成に必要なタンパク質の遺伝子配列が決まれば、以降のmRNAを合成してワクチンにする作業は共通だ。従来のワクチンに比べて開発スピードが速い」と指摘します。

 エムレスビアは、RSウイルス用のワクチンとしては国内3例目となります。厚労省によると、残る2種類のワクチンと比べて重大な副作用の発生頻度などに特段の違いはないといいます。

 モデルナは、インフルエンザと新型コロナの混合ワクチンを手掛けています。最終段階の治験が進行中で、承認されれば1回の注射で2つの感染症に対応できます。接種する人の利便性が高まるほか、医療機関の業務効率化にもつながります。

 感染症だけでなく、がん治療などへの応用も進んでいます。モデルナとアメリカの製薬大手メルクの日本法人MSDは、皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)や一定の種類の肺がんを治療するワクチンを共同で開発中です。MSDが製造販売するがん免疫薬「キイトルーダ」とmRNAワクチンを併用して治療効果を高めます。

 現在国内で進んでいる新規のmRNA医薬品の治験は、すべて外資系企業によるものです。コロナ禍のような感染症危機時に、ワクチンや治療薬を海外に依存することは経済安全保障の観点からもリスクになるため、国内企業による創薬ノウハウの蓄積が欠かせません。

 2025年4月23日(水)

2025/04/22

🟩はしか感染、茨城県内で新たに3人 今年計9人に

 茨城県は19日、県内在住の20歳代男性と40歳代女性がはしか(麻疹)に感染したと発表しました。県は14日以降、不特定多数との接触がない1人の感染も確認し、県内の今年の感染者は計9人となりました。発表の2人はいずれも、竜ケ崎保健所管内の医療機関から報告があり、発症前後に県南地域3市の病院や店舗に出入りしていました。すでに感染の報告があった患者との接触で感染したとみられます。

 県感染症対策室によると、発表の男女2人はいずれも18日までに倦怠感や発熱などがありました。医療機関を同日に受診。県衛生研究所で検査し陽性が確定しました。それぞれ自宅療養中。

 男性や女性が利用した施設で、不特定多数の人と接触した可能性があります。該当施設に特定の時間帯に出入りした人は、10日前後経過して発熱や発疹などはしかを疑う症状が出た場合、最寄りの保健所に電話連絡するよう呼び掛けています。

 該当施設と時間帯は、男性が総合守谷第1病院(同県守谷市)で17、18両日の午前8時~午後7時半、セブン-イレブンつくば手代木店(同県つくば市)で17日午後7〜9時。女性がカスミ守谷テラス店(守谷市)で16日午後3時半~6時、セブン-イレブン守谷本町店(同)で17日正午~午後2時、ローソン谷和原小絹店(同県つくばみらい市)で同日午後8時半~10時半。

 2025年4月22日(火)

2025/04/21

🟩鳥取県倉吉市、 50歳代男性が熱中症疑いで心肺停止

 20日午前10時すぎ、鳥取県倉吉市関金町で用水路の清掃をしていた50歳代の男性が倒れているのを別の作業員が見付け、119番しました。県中部消防局によりますと、男性は熱中症とみられ、搬送された際、心肺停止の状態だったということです。

 鳥取地方気象台によると、倉吉市では20日、午前10時すぎに5月中旬並みの最高気温23度を観測しました。

 同県内では前日の19日午後にも、鳥取市の鳥取砂丘で観光客の30歳代男性と80歳代女性が熱中症の疑いで病院に搬送されました。県東部消防局によると男性は搬送時、重症だったということです。

 19日午後2時半ごろ鳥取砂丘に観光に来ていた30歳代男性が体調不良を訴え、砂丘の施設の職員と消防に通報がありました。

 消防によりますと、搬送の際、男性は熱中症疑いの重症で、意識はありましたがぐったりとした様子だったということです。

 また午後4時半ごろ、80歳代女性が砂丘でうずくまっているのを近くにいた他の観光客が発見し、消防に通報しました。女性も熱中症疑いとみられていて、搬送時は軽症で意識はあったということです。

 いずれも現在の容体はわかっていません。

 19日の最高気温は倉吉市で30・5度、鳥取市で30・4度、岩美町岩井で30・3度など、鳥取県内6地点で7月並みとなる今年最高気温を記録しています。

 2025年4月21日(月)

2025/04/20

🟩横田基地のPFAS流出、アメリカ側が再発防止策「活性炭フィルターで浄化処理」

 昨年、アメリカ軍横田基地から一部の物質が有害とされる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を含む水が流出したとみられる問題で、アメリカ側は基地内に残った水を活性炭で浄化して放出する方針を16日、東京都などに伝えました。

 これについて環境省は放出されるPFASの濃度が現在、国が水道水で設定している暫定的な目標値を下回れば許容されるという考え方を示しました。

 アメリカ軍横田基地では昨年、有機フッ素化合物の「PFAS」のうち、有害性が指摘されている「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」を含む水が基地の外に流出した可能性が高いことが明らかになりました。

 東京都や基地の周辺自治体でつくる協議会は、貯水池に残る「PFOS」などを含む水の処分時期を示すよう求めていましたが、アメリカ側は活性炭フィルターを使って貯水池に残された水に含まれる「PFOS」などを除去し、処理後の水を排水路へ放出すると16日、防衛省を通じて都や自治体に伝えました。

 現在、「PFAS」を排水する際の法律に基づく基準はありませんが、環境省は放出される「PFAS」の濃度が現在、国が水道水で設定している暫定的な目標値の1リットル当たり50ナノグラムを下回れば許容されるという考え方を示しました。

 浅尾慶一郎環境大臣は18日の閣議後の記者会見で、「今回の事案を踏まえて、『PFOS』『PFOA』を含む水の処理の目安として考えているものだ。この濃度であれば健康への悪影響はないレベルだと考えている」と述べました。

 2025年4月20日(日)

2025/04/18

🟩女性の過度なやせ願望に日本肥満学会が警鐘 「女性の低体重・低栄養症候群」を新たな症候群として位置付け

 女性のやせすぎや栄養不足は骨密度の低下や月経周期の異常などの健康障害を引き起こすとして、日本肥満学会が過度な「やせ願望」に警鐘を鳴らしました。

 日本では、20歳代女性の5人に1人が肥満度を示すBMIが18・5未満の低体重(やせ)とされていて、先進国の中でも特に高い割合となっています。

 若い女性のやせすぎや栄養不足は、骨密度の低下、月経周期の異常などの健康障害、不妊や生まれてくる子供の健康に影響をおよぼす可能性があります。

 そのため、日本肥満学会は17日、記者会見を開き、「女性の低体重・低栄養症候群」を新たな症候群として位置付けるためのワーキンググループを立ち上げると発表しました。今後、診断の基準や治療法を確立するための研究などを進めていくということです。

 日本肥満学会は、やせている女性が多い背景として、SNSやファッション誌などのメディアの影響で、「やせていることが美しい」という価値観が浸透し、特に若い女性の間で「やせ願望」が高まっていることや、貧困により十分な食事をとれていないなどの社会的な要因があると指摘。過度な食事制限や偏った食生活が長期化すると健康障害を招きやすくなるとして、過度な「やせ願望」に警鐘を鳴らしました。

 日本肥満学会の小川渉常務理事は記者会見で、「まずはしっかり食べて、運動して寝る。それでも調子が悪い場合は医療が必要になる」と話しました。

 2025年4月18日(金)

2025/04/17

🟩茨城県の緊急性ない救急車利用で「選定療養費」徴収は940件 軽症者搬送9・2%減

 茨城県内の大規模病院で昨年12月から始まった、緊急性が認められない救急搬送に対する「選定療養費」の徴収について、同県は2月までの約3カ月間の検証結果を発表しました。対象22病院での徴収率は4・2%で、県内全体の「軽症など」の救急搬送件数は前年同期比で9・2%減少しました。県は救急医療の逼迫(ひっぱく)緩和などについて「一定の効果があった」としています。

 県によると、昨年12月2日から今年2月末までの3カ月間で、対象22病院への救急搬送は2万2362件。うち4・2%に当たる940件で、選定療養費が徴収されました。症状別では、「風邪の症状」83件(8・8%)や「腹痛」80件(8・5%)、「発熱」68件(7・2%)、「打撲」59件(6・3%)などが多くなりました。

 一方、県は、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉の近隣5県の協力を得て同期間の救急搬送件数も比較。その結果、5県の救急搬送はいずれも前年同期比約4~9%増加しましたが、茨城県は全体の救急搬送が0・5%減少の3万8041件でした。

 内訳でみると、同期間中には記録的なインフルエンザの流行などもあり、「中等症以上」は前年同期比で7・1%増加したものの、「軽症など」が9・2%減少しました。医療、救急の現場からも、「軽症者や不要不急の救急搬送が減った」といった意見があったといいます。

 こうした結果を踏まえ、県は「救急搬送のピークでもある冬場で救急車の適正利用や救急医療の逼迫緩和に一定の効果があった」と結論付けました。

 また、救急車の呼び控えによる重症化などの事例報告はありませんでした。このほか、「救急電話相談で救急車を呼ぶよう助言されたにもかかわらず、選定療養費を徴収された」といった苦情により返金されたケースも2件あったといいます。

 県は引き続き、関係者で構成する検証会議で運用に問題がないか検討するとともに、県民への広報などを実施し、適切な運用を図る方針。

 2025年4月17日(木)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...