2025/09/30

🟥10月から後期高齢者の窓口負担増 医療費「2割」負担の310万人対象

 75歳以上で医療費の窓口負担が2割の人を対象に行われてきた負担の増加を緩和する措置が、30日で終了する。これにより、10月1日以降、外来の窓口負担が増えるケースが出てくる。

 75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担は原則1割だが、現役世代の保険料負担を抑制するため、2022年10月から▽単身世帯で年収200万円以上、▽夫婦2人で暮らすなどの複数世帯で世帯年収320万円以上の人たちは、2割に引き上げられた。

 一方、急激な負担の増加を緩和するため1カ月の外来受診の負担増を3000円までに抑える「配慮措置」が3年間の期限付きで設けられた。

 そして、3年がたったことからこの措置は30日で終了し、10月1日以降、外来の窓口負担が増えるケースが出てくる。

 厚生労働省によると、負担が増えるのは窓口負担が2割となっている人のうち外来の医療費が月3万円を超え、15万円未満の場合である。

 例えば、医療費が月5万円だった場合、負担額は▽30日までは5万円の1割の5000円に3000円を加えた8000円だったが、▽10月1日以降は5万円の2割に当たる1万円となり、2000円負担が増える。

 ただ、「高額療養費制度」があるため、窓口負担は最大でも月1万8000円に抑えられる。

 影響を受けるのは推計で約310万人に上り、負担額は平均で年9000円程度増える見込みである。

 一方、これによって現役世代の保険料負担は年240億円程度、軽減されるということである。

 2025年9月30日(火)

2025/09/29

🟥呼気から「鉄のにおい分子」は肝臓の病気の兆候 京都大学が検査技術を開発

 京都大学などの研究チームは人の吐く息(呼気)を分析することで、脂肪肝や肝硬変といった肝臓の病気を調べることができる技術を開発した。肝臓に異常がある人の呼気からは、「鉄のにおい分子」が検出できたという。新たな検査法や診断法につながることが期待される。

 人体では細胞内に鉄が蓄積すると、脂質が酸化し、細胞死が起きる「フェロトーシス」と呼ばれる現象が起きる。さまざまな病気の原因になることが知られている。

 研究チームは独自に開発した呼気に含まれる揮発性有機化合物を分析する技術を使い、フェロトーシスの特徴を調べた。肝疾患を持つ患者には、鉄の独特のにおいの原因となる2種類の物質が多く含まれていた。2種類の物質はフェロトーシスが進むと空気中に増えることもわかった。

 この結果は血液検査の値とも関連しており、呼気に含まれる2種類の揮発性有機化合物が肝臓で起きている脂質の酸化反応を反映していた。

 今回確立した技術を応用すれば、肝臓の病気の早期発見や、進行状態のモニタリングが可能になる可能性がある。

 研究を主導した京大の松岡悠太特定助教は、「生体由来の揮発性物質は極めて微量で取り扱いも難しい。技術の確立には苦労した」とコメントした。

 研究成果はオランダの国際学術誌「レドックス・バイオロジー」に掲載された。研究チームには京大のほか、慶応義塾大学や医学研究所北野病院(大阪市)が参加した。

 2025年9月29日(月)

2025/09/28

🟥新型コロナウイルスワクチン接種後に短期間で抗体減少も 名古屋大など

 新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を受けた人の抗体の量の変化を名古屋大学などの研究チームが解析した結果、接種後、短期間で抗体が減少するグループがあることがわかった。今後、こうしたグループを事前に予測できるようになれば、より効率的な接種につながるとしている。

 名古屋大学や福島県立医科大学などの研究チームは新型コロナワクチンの3回目の接種を受けた福島県内の2500人余りを対象に、血液中の抗体の量がどう変化するかをAIを使った新たな手法で解析した。

 その結果、▽接種後に抗体が多く作られ、長い間保たれる「耐久型」▽抗体は多く作られるものの短い期間で減少する「急速低下型」▽作られる抗体の量が少なくすぐに減少する「ぜい弱型」の3つの特徴的なグループがあることがわかったということである。

 このうち「急速低下型」と「ぜい弱型」では、追加接種から3カ月を過ぎるとワクチン接種後に新型コロナに感染する「ブレークスルー感染」を経験するリスクが「耐久型」と比べて高かったということである。

 研究チームは、事前にどのグループか予測できるようになれば、「ブレークスルー感染」のリスクの高い人に優先的に接種をするなど効率的な接種ができるようになるとしている。

 名古屋大学大学院理学研究科の岩見真吾教授は、「どのタイミングでワクチンを接種したらいいのかといった個人レベルでの対策にもつながるのではないか」と話している。

 2025年9月28日(日)

2025/09/27

🟥エイズ、じわり増加 ウイルス感染判明の3人に1が発症

 厚生労働省のエイズ動向委員会は26日、2024年の1年間に新たにエイズウイルス(HIV)の感染が判明した人が、前年比34人増の994人(確定値)となり、2年連続で増加したと発表した。このうち、エイズを発症していた患者は同41人増の332人だった。いずれも過去20年では低水準だが、増加しているため、同委員会は今後の状況を注視するとしている。

 HIVは性行為や血液を介して感染し、数年~10年の無症状期間を経てエイズを発症する。治療薬の服用で発症を抑えられる。

 発表によると、HIVの感染が判明した人のうち、エイズを発症していた患者の割合は33・4%と、過去20年で最も高かった。理由について同委員会は、コロナ禍でHIV検査を受ける人が減り、エイズを発症するまで感染がわからなかった患者が増加したためとみている。

 同委員会の白阪琢磨委員長は、「発症予防には早期の診断と治療が重要だ。感染リスクがある人は、保健所や医療機関で検査を受けてほしい」と話している。

 2025年9月27日(土)


2025/09/26

🟥腎不全患者の緩和ケアに初の手引、3学会 透析見合わせの意思確認を徹底

 腎不全患者に対する緩和ケアを巡り、日本緩和医療学会と日本腎臓学会、日本透析医学会が医療従事者向けの具体的な対応を示した国内初のガイダンスをまとめたことが25日、関係者への取材でわかった。痛みや抑うつなどへの対処に加え、家族支援も記載。末期腎不全による症状は透析によって和らぐことがほとんどだが、和らがない場合は死を迎える。本人が透析をしない意向を示した際は、意思に変更がないかを繰り返し確認するよう求めた。

 がん以外では緩和ケアの提供体制が不十分で、取り組む医療機関が少ないとの指摘がある。厚生労働省は、体制整備のため、来年度予算の概算要求に1億円を盛り込んだ。学会が、医療従事者が実践しやすいガイダンスを作成したことで、多くの医療機関で普及が進むと期待される。近く公表する。

 ガイダンスは腎不全の緩和ケアを「透析の有無にかかわらず、患者と家族の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな問題を評価し、苦痛を予防し和らげることを通じて生活の質を向上させるアプローチ」と定義。全病期に応じた緩和ケアを示した。

 2025年9月26日(金)

2025/09/25

🟥熱中症、5月から8月の救急搬送9万744人 同時期では過去2番目の多さ

 今年5月から8月までに熱中症で医療機関に救急搬送された人は全国で9万人余りで、同じ時期の数としては、比較できる2015年以降2番目に多くなったことが総務省消防庁のまとめでわかった。

 総務省消防庁によると、今年5月から8月までに熱中症で医療機関に救急搬送された人は全国で9万744人に上り、同じ時期の数としては5月分の調査を始めた2015年以降、2番目に多くなった。

 また、8月の搬送者の数は全国で3万1526人となっていて、死亡したのは39人、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて1万1458人、「軽症」が1万9936人だった。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が1万7273人と、全体の半分以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が1万1487人、7歳以上18歳未満が2641人、7歳未満が125人となっている。

 場所別では、住居が1万1579人と最も多く、次いで、道路が6288人、屋外の競技場や駐車場などが4250人、工事現場や工場などが3472人となっている。

 都道府県別では、東京都が3318人、大阪府が2219人、愛知県が2187人、埼玉県が1996人となっている。

 総務省消防庁は「今週は暑さが戻るという予報があるほか、来月も全国的に平年より気温が高い見通しのため、引き続きこまめに水分を取るなど、熱中症の対策を心掛けてほしい」としている。

 2025年9月25日(木)

2025/09/23

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。

 卵子凍結では、卵子を凍結保存し、妊娠希望時に融解して体外受精を行う。加齢で卵子の数が減ったり、質が低下したりする前の若いうちに保存することで、妊娠の確率を高めることが期待される。1回の採卵や凍結に数十万円かかる。

 事業は、10都道府県程度を予定。指定する医療機関で、卵子の凍結や、凍結した卵子を使って体外受精などを受けた際の費用の一部を補助する。

 補助額は卵子凍結で1回20万円を上限とする。体外受精などは1回25万円が上限で、39歳以下は6回まで、40~42歳は3回まで受けられる。事前の講習会で、必ずしも妊娠に結び付くわけではないことや、排卵を促す薬の使用で血栓(血の塊)ができるリスクもあることなどを学んでもらう。

 こども家庭庁は、補助を受けた人のデータを集め、卵子凍結の希望者数や国内の治療実績を分析する。若くして月経がなくなる早発卵巣不全との関連も調べる。

 こども家庭庁は2026年度予算の概算要求に関連費用として10億円を計上した。

 2025年9月23日(火)

🟥成人した小児がん経験者の14%に心臓の晩期合併症

 小児がんの治療成績は近年大きく向上し、8割以上の患者が長期生存できるようになった。一方、抗がん剤投与や放射線照射の長期にわたる影響で心臓などに障害が発生する恐れがあることが知られている。  聖路加国際病院と順天堂大浦安病院は、小児がん経験者の7人に1人に当たる14%で、心臓が...