2025/10/23

🟥マイコプラズマ肺炎の患者増加、大きな流行の可能性も

 発熱や長引くせきといった症状が特徴で、子供が感染することの多いマイコプラズマ肺炎の患者数が増加している。専門家は今後、大きな流行になる可能性もあるとして「手洗いやマスクなど基本的な感染対策をしてほしい」と呼び掛けている。

 マイコプラズマ肺炎は子供に多い細菌性の感染症で、飛まつや接触で広がる。発熱や全身のけん怠感、頭痛、長く続くせきといった症状が特徴で、中には肺炎が重症化して入院するケースもある。

 国立健康危機管理研究機構によると、10月12日までの1週間に全国約500の医療機関から報告された患者数は、前の週より0・17人多い1医療機関当たり1・53人で、5週連続で増加している。

 都道府県ごとにみると、秋田県で8・25人、群馬県で4・22人、鳥取県で3・6人、栃木県で3・43人、宮城県で3・3人、北海道で3・26人などとなっている。

 マイコプラズマ肺炎は、昨年の秋から冬にかけて大きな流行となったが、川崎医科大学の大石智洋教授は「過去の流行状況をみると大きな流行は2年続けて起きることがあり、今年もこれからさらに患者が増えていく可能性が高い」と分析している。

 その上で「手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策が有効だ。潜伏期間が2週間と長いので、周囲に感染した人がいた場合はしばらくの間、体調に気を付けて、症状が出たら医療機関を受診してほしい。特に、ぜんそく発作の経験がある人はぜんそくが再発する危険性もあるので注意が必要だ」と呼び掛けている。

 2025年10月23日(木)

2025/10/22

🟥北海道白老町の養鶏場、鳥インフルエンザ感染確定 今シーズン国内初、45万9000羽の殺処分始まる

 北海道白老町の養鶏場で死んだニワトリから、高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出された。今シーズン、養鶏場での確認は全国で初めてで、北海道はこの養鶏場で飼育されているニワトリ、約46万羽の処分を始めた。

 21日、北海道白老町の養鶏場で複数のニワトリが死んでいるのが見付かり、簡易検査で鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認された。

 北海道は22日朝、鈴木直道知事らが出席して緊急の対策会議を開き、その後担当者が、遺伝子検査の結果、高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。

 今シーズン、養鶏場で感染が確認されたのは全国で初めてである。

 このため北海道は午前8時ごろから、この養鶏場で飼育されている採卵用のニワトリ、約45万9000羽の処分を始めた。

 また半径3キロ以内にある1つの農場でニワトリや卵の移動を禁止し、半径3キロから10キロ以内にある3つの農場で区域外に運び出すことを禁止した。

 北海道は10月30日までに処分を完了し、11月2日までに鶏舎の消毒作業などを進める予定である。

 対策会議の中で鈴木知事は「まん延防止に向け万全の体制をお願いしたい。流通している卵や鶏肉は安全なので、情報の周知も徹底してほしい」と述べた。

 北海道白老町の養鶏場で、死んだニワトリから高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受けて、政府は午前8時、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、自治体などと連携して情報の収集に当たっている。

 北海道の養鶏場では2016年に清水町で高病原性の鳥インフルエンザが初めて確認され、その後、しばらく感染はなかったが、3年前の2022年以降、毎年、確認されている。

 このうち、2023年の春には千歳市の養鶏場で感染が相次ぎ、道内で飼育されている採卵用のニワトリの2割以上が処分されたことなどで、卵不足に陥って価格が高騰した。

 今回、処分の対象になっている約46万羽は道内の採卵用のニワトリの約8%に上るということで、道はまん延を防止するための対策を徹底することにしている。

 一方、ニワトリの処分を巡り、農林水産省は今年5月、都道府県に対し、自衛隊の派遣要請は慎重に行うよう通知していて、今回、道は自衛隊の代わりに民間の事業者に委託している。

 現場では、道の職員と合わせた約120人体制で作業を進めているということで、処分を完了するまでにこれまでよりも時間がかかると見込まれている。

 2025年10月22日(水)

2025/10/21

🟥人工網膜で視力改善、文字が読めるように 特殊めがねで画像変換

 視力が低下する加齢黄斑変性の患者に、人工網膜の技術を使うことで、1年後に文字が読めるようになった、と欧米の研究チームが20日発表した。臨床試験の結果がアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。

 人は網膜の視神経で感知した光を、脳に信号として伝えることで視覚的な情報を認識している。加齢黄斑変性は、視神経が集まる黄斑部の細胞が失われ、視野の中心が欠けるなどする。失明の原因になる病気で、注射で進行を遅らせることはできるが、視力を改善させる方法はない。今回の臨床試験で対象とした欧米に多いタイプは、世界で500万人の患者がいるという。

 人工網膜は、視細胞が失われた患者の網膜にデバイス(チップ)を入れ、目の中に残っている細胞に電気的な刺激を与え、脳に信号を送る仕組み。1990年代に入り、研究が加速し、2013年にはアメリカで「アーガスⅡ」という人工網膜が認可された。

 今回の臨床試験は、アメリカのスタンフォード大で開発された「PRIMA」という装置を使った。患者に2ミリ四方のチップを移植。装着した特殊なめがねに取り付けたカメラで撮影した画像が、赤外線によりチップに伝わり、電気刺激に変換され、白黒の情報が認識される。

 2025年10月21日(火)

2025/10/20

🟥あすか製薬、処方箋不要の緊急避妊薬の承認取得

 あすか製薬(東京都港区)は20日、緊急避妊薬「ノルレボ」の市販向け製造販売承認を、厚生労働省から同日付で取得したと発表した。緊急避妊薬(アフターピル)の市販化が国内で認められるのは初めて。医療用医薬品として使われているノルレボが、医師による診断や処方箋がなくても購入できるようになる。販売を担う第一三共ヘルスケア(東京都中央区)は「発売時期は改めて公表する」(広報)としているが、関係者によると、早ければ年度内にも販売が始まる見通し。

 ノルレボは、避妊失敗や性暴力による望まない妊娠を防ぐための経口薬で、性交後72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は約8割という。今回の承認により、年齢制限なく親の同意も不要で購入が可能となるが、安全性の観点から、研修を受けた薬剤師の面前での服用が必要となる。

 2025年10月20日(月)

🟥大気中の二酸化炭素濃度、人類が地球に現れる前のレベルに 世界気象機関報告

 世界気象機関(WMO)は10月15日、最新の「温室効果ガス公報」を発表し、「2024年の大気中の二酸化炭素濃度が過去最高を記録し、地球が直面する気温上昇問題を深刻化させている」と述べた。

 公報が明らかにした3種類の主要な温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(亜酸化窒素、N2O)である。データによると、二酸化炭素濃度は過去最高を記録し、排出源は化石燃料の燃焼(排出量の約4分の3を占める)や山火事の頻発で、さらに陸上生態系や海洋などの二酸化炭素吸収量が減少していることに伴い、気候の悪循環を招く可能性があるとのことである。メタンの濃度も過去の記録を更新し、養牛、化石燃料採掘、水稲栽培など約60%は人為的排出源によるものである。一酸化二窒素の濃度も記録を更新し、主に化学肥料の使用、バイオマス燃焼など各種工業プロセスによるものである。

 公報はまた、「2023〜2024年に大気中の二酸化炭素濃度の増加幅が3・5ppmに達し、1957年に現代的な測定が始まって以来最大の年間増加幅を記録した」と述べている。

 公報は非常に明確で差し迫ったシグナルを出しており、地球の大気中の二酸化炭素濃度は、今から約300万年から500万年前の更新世中期のレベルに戻っていることをデータで示している。当時、人類はまだ現れておらず、世界の平均気温は現在より2〜3度高く、海面も現在より10〜20メートル高かったとのことである。

 2025年10月20日(月)

2025/10/19

🟥新感染症のPCR検査を素早く確立 国立衛研が模擬検体を開発

 新たなウイルス感染症が広がり始めた際、感染者の発見に役立つPCR検査を早期に使えるようにするため、国立医薬品食品衛生研究所などが性能評価に使う模擬検体を開発している。病気を起こさない疑似ウイルスと、唾液や鼻の粘膜を模した液体を混ぜたもので、実際の患者の検体が集まるのを待たずに開発を進められる体制を目指す。

 PCR検査は、検体に含まれるウイルスの遺伝子を大量に増やして検出する。新型コロナ禍の初期には感染者や接触者を見付け、感染の連鎖を断ち切るのに活用された。ただ日本では準備に時間がかかった。

 こうした教訓から、同研究所は2023年度に模擬検体の開発を始めた。コロナ禍のように発生国からウイルスの遺伝情報が公開されれば、検査に使う部分の遺伝物質「リボ核酸(RNA)」を人工的に合成して病気を起こさないウイルスの殻に入れ、人の粘液を模した液体と混ぜる。

 疑似ウイルスは作製・保存方法の見通しが立ち、国内の企業が製造と販売を担う予定。粘液を模した液体は献血事業を担う日本赤十字社から提供された血清から作製する。

 2025年10月19日(日)

2025/10/18

🟥無精子症マウスに精子作らせ子供も誕生、大阪大チームが研究に成功 男性不妊治療につながるか

 精子がないマウスに、精子を作らせることに成功したとする研究成果を、大阪大のチームが発表した。男性不妊の治療につながる可能性があるという。論文がアメリカの「科学アカデミー紀要」に掲載された。

 6組に1組のカップルが不妊に悩み、原因の半分は男性側にあるとされる。精巣で精子が正常に作られない「非閉塞(へいそく)性無精子症」の場合は、不妊治療が難しい。

 大阪大の伊川正人教授(生殖生物学)らは、精子の形成に必要な酵素が作れない無精子症のマウスの精巣に、この酵素を作る「メッセンジャーRNA(mRNA)」が入った粒子を投与した。この方法は、新型コロナウイルスワクチンでも注目された技術だ。粒子を投与してから3週間後、精巣内で精子が作られたのを確認した。精子を採取し、体外で受精させる「顕微授精」を実施したところ、子供も生まれた。

 同じ酵素の異常は人でも見付かっているが、伊川教授は「無精子症には他の原因も関係しているとみられ、調べていきたい」と話している。

  石黒啓一郎・千葉大教授は、「画期的な成果で、この方法なら健康被害のリスクも少ない。採取できる精子の量を増やすなど、人の治療に向けた研究を進めてほしい」と話している。

 2025年10月18日(土)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...