2023/04/06

🟩パーキンソン病発症に脳の脂質が関与か 大阪大など、新しい治療法の可能性

 全身の震えや、手足がうまく動かせなくなるなどの症状が出るパーキンソン病について、原因物質が脳内にたまる仕組みの一端を解明したと、大阪大の望月秀樹教授(神経内科学)らの研究チームが3月31日、発表しました。発症を未然に防ぐ治療法につながる可能性があります。

 国内のパーキンソン病患者は10万人当たり120~130人で、高齢者ほど多い傾向があります。神経変性疾患では、アルツハイマー病に次いで2番目に多い病気です。

 患者の脳内では、元々存在するタンパク質「αシヌクレイン」が異常な構造に変化し、それが複数集まった凝集体が神経細胞を傷めるといわれています。患者の1割では、この凝集体が遺伝的に蓄積しやすいことが知られている一方で、残りの9割ではなぜ異常な構造になるのか不明でした。

 そこで、研究チームは「脂質がαシヌクレインの凝集のカギを握る」という過去の研究成果に着目。細胞内に存在する主な脂質約30種について調べたところ、「PIP3」という脂質がαシヌクレインと強く結び付くことが判明しました。

 次に、PIP3をαシヌクレインと混ぜたところ、患者の脳内にある異常なタンパク質の凝集体と、形や性質が似た構造のものができました。

 一方、培養した神経細胞などを使って調べたところ、αシヌクレインはPIP3に反応して凝集体になることも確認しました。

 実際に死亡した患者7人の脳内を調べると、脳内でPIP3が過剰に発生していることがわかり、その場所に異常なαシヌクレインがあることも確かめました。患者の脳内では、PIP3を分解する酵素が何らかの原因で減るため、PIP3が過剰になっていると考えられます。

 パーキンソン病の治療を巡っては、神経細胞が傷んで情報伝達が滞るため、情報伝達を担う物質「ドーパミン」を補充する対症療法が主です。望月教授は、「発症の根本的な理由に迫ることができた。PIP3の過剰な発生や、αシヌクレインとの結合を抑える薬剤が開発されれば、発症を防げる可能性がある」と話しています。

 成果は、ヨーロッパの医学専門誌に掲載されました。

 2023年4月6日(木)

2023/04/05

🟩塩野義のコロナ飲み薬「ゾコーバ」、ウイルス量が陰性になる時間を1日短縮 治験最新データ

 塩野義製薬は5日、同社が開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、無症状または軽度症状のみの感染者を対象に実施した臨床試験(治験)で、陰性になるまでの時間を約1日短縮する効果を確認したと発表しました。

 軽度症状は軽症よりも軽い分類。これまで実施した軽症・中等症対象の治験結果と同様に感染期間の短縮を示唆しました。

 感染性を持つウイルスの量が陰性になるまでの時間は、偽薬(プラセボ)を投与した集団が66・7時間なのに対し、ゾコーバの集団は38・3時間でした。投与4日目(3回投与後)におけるウイルス量の減少も確認しました。

 また、無症状から発症に至った人の割合と、軽度症状から悪化した人の割合を減少させました。

 塩野義製薬は、「ウイルス量の減少と陰性までの時間の短縮は、感染期間の短縮を示唆するもので、ウイルスが伝播(でんぱ)するリスクの減少に寄与する可能性がある」としています。

 成果は、デンマークで15日から開催されるヨーロッパ臨床微生物学感染症学会議(ECCMID)で発表します。

 2023年4月5日(水)

🟩ベビーパウダーの発がん性を巡る集団訴訟で和解 アメリカJ&Jが1兆1700万円支払い

 アメリカの医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は4日、ベビーパウダーの発がん性に関して健康被害を訴える集団訴訟を巡り、原告側に25年間で最大89億ドル(約1兆1700億円)を支払う和解案に合意しました。当初提示した20億ドルを大きく上回ります。

 J&Jは声明で、「製品の安全性に問題はなく、不正行為を認めたものではない」と主張しています。

 J&Jのベビーパウダーは130年近く販売されており、おむつかぶれの予防や化粧に使われて、家庭に優しい同社のイメージを象徴する製品となっています。

 しかし、タルク(滑石)を使ったパウダーを巡っては、含有されているアスベスト(石綿)が原因で卵巣がんを発症したとして、女性や遺族らがJ&Jを相手に6万件以上に上る訴訟を起こしています。

 J&Jは、アメリカでは3年以上前にタルクを使った製品の販売を終了し、コーンスターチをベースにしたベビーパウダーは、すでに世界各国で販売されているとしています。

 2023年4月5日(水)

🟩塩野義製薬のコロナ飲み薬「ゾコーバ」、アメリカで迅速審査へ

 塩野義製薬は4日、新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、アメリカの食品医薬品局(FDA)から迅速審査の指定を受けたと発表しました。まだ承認申請はしていないものの、FDAとの間でより多くの協議ができるようになり、実用化に向けた手続きの加速が期待されます。

 ゾコーバは国内で昨年11月に緊急承認され、今年3月末に国費購入の配分から通常の医薬品と同様の一般流通に切り替わりました。塩野義製薬は海外展開も目指しており、アメリカのほか中国や韓国の規制当局とも協議を続けています。

 アメリカでの承認には治験データの拡充が求められる可能性があります。塩野義製薬は現在、入院患者対象の治験と、重症化リスクのある患者対象の治験の2つを欧米各国で進めています。

 2023年4月5日(水)

🟩東京都で新たに1204人感染 新型コロナ、前週比202人増

 厚生労働省は5日、東京都内で新たに1204人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の水曜日より202人増え、5日連続で1週間前を上回りました。

 1週間平均の新規感染者数は、5日時点で938・7人で、前の週に比べて115・5%。

 新規感染者1204人を年代別でみると、0歳13人、1~4歳22人、5~9歳14人、10歳代75人、20歳代233人、30歳代208人、40歳代188人、50歳代203人、60~64歳61人、65~69歳46人、70歳代85人、80歳代48人、90歳以上8人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は187人でした。

 入院患者は459人で、病床使用率は8・8%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、4日と同じ3人でした。

 一方、感染が確認された80歳代の男性1人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者434万2832人、死者8065人となりました。

 2023年4月5日(水)

🟩全国で新たに9500人感染 新型コロナ、前週比1100人増

 厚生労働省は5日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で9500人確認されたと発表しました。前週の水曜日より約1100人増えました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、兵庫県で4人、大阪府で4人、埼玉県で3人、三重県で1人、北海道で1人、宮城県で1人、山口県で1人、山形県で1人、山梨県で1人、東京都で1人、神奈川県で1人、福岡県で1人、長崎県で1人の合わせて21人、累計で7万4002人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で1204人。次いで大阪府の615人、神奈川県の595人、北海道の559人、愛知県の511人、千葉県の441人、埼玉県の394人、広島県の391人、兵庫県の380人、福岡県の316人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、5日時点で56人となっています。重症者の数は、4日と比べて2人増えました。

 2023年4月5日(水)

2023/04/04

🟩新型コロナとインフルエンザ、ウイルス同時検出キット発売 キヤノンメディカル

 キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)は4日までに、1回の検体採取で新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できるキットを発売しました。

 同社によると、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの症状は酷似しているため、診断で検査が欠かせません。1回の検体採取で両ウイルスを同時に検出できるようにして、患者や医療従事者の負担軽減を図りました。

 発売したのは「Rapiim SARS-CoV-2-N/Flu(ラピーム・サーズ・コブ・ツー・エヌ・フル)」。新型コロナウイルスの検出性能を同社の従来品と比較したところ、感度は同等で測定時間は3分短縮の12分。ウイルス量が多ければ、4分で陽性を判定できるといいます。

 インフルエンザウイルスの場合でも、約2〜4倍の高感度化を実現しました。ウイルス量が少ない検体でも陽性判定が可能で、早期診断、早期治療に役立つとしています。

 キットは10回分入りで税別4万2000円。

 2023年4月4日(火)

🟩マイコプラズマ肺炎の患者数、5週連続で過去最多更新

 発熱や長引くせきといった症状が特徴で、子供が感染することの多いマイコプラズマ肺炎の流行が続いていて、10月27日までに全国の医療機関から報告された患者数は1医療機関当たり2・49人と、5週連続で過去最多を更新しました。  マイコプラズマ肺炎は子供に多い細菌性の感染症で、飛まつ...