2023/06/07

🟧感染対策、発熱などの症状がある宿泊客に要請可能に 改正旅館業法が成立

 旅館やホテルが発熱などの症状がある客に感染対策を求められるようにする改正旅館業法が7日の参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。エボラ出血熱を始め、感染症法上の位置付けが1類や2類などの感染症が国内で発生している間、宿泊施設での感染拡大を防ぐため、検温やマスクの着用、部屋での待機といった対応を要請します。客に医療機関の受診や診察結果の報告を求めることも可能になります。年内に施行します。

 従来、客の感染防止策は任意でした。新型コロナウイルス禍では発熱のある宿泊客が旅館の求める対策に応じず、従業員や他の客の安全確保に支障を来すケースがありました。

 対策に法的な根拠を定めることで、従業員の負担の軽減や客の感染不安の払拭につなげます。症状のある客が医療機関を受診し、感染が発覚した場合には宿泊を拒めるようにもします。

 当初の改正案では、症状のある客が正当な理由なく検温や感染対策に応じない場合に宿泊拒否できるとしていました。ハンセン病の元患者団体が「差別を助長する」と反対、障害者団体も「一方的な判断で宿泊拒否されるのではないか」と懸念の声を上げたため、衆院の厚生労働委員会で宿泊拒否に関する項目は削除されました。厚労省が宿泊拒否や感染対策の目安を示す指針を作成することも盛り込まれました。

 感染症の流行にかかわらず、「迷惑客」の宿泊を拒めるようにもします。従業員の業務を妨害する行為を繰り返した場合を想定し、具体的な要件は今後詰めます。

 2023年6月7日(水)

🟧98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当 植物由来はほぼ検出されず、東京慈恵医大が調査

 東京都内で健康診断を受けた人の血液を調べたところ、98%がビタミンD不足に該当していたとの調査結果を東京慈恵会医科大学などの研究チームが5日、発表しました。特にシイタケなどのキノコ類から取れる植物由来のビタミンDはほとんど検出されませんでした。若い人ほど不足している傾向があり、食生活の変化が原因の可能性があるとみています。

 調査は2019年4月~2020年3月までの期間に、東京都内で健康診断を受けた成人男女5518人を対象に実施。島津製作所と新開発の液体クロマトグラフィー・質量分析法システムを使用して、血中ビタミンD濃度を算出した結果、全体の98%が必要とされる値を下回りました。検出されたビタミンDの種類を調べると、動物あるいは日光由来のビタミンD5であり、シイタケなどの植物由来のビタミンD2はほぼ検出されなかったといいます。また、年齢が低いほどビタミンD不足の割合が高くなりました。

 今回の研究結果から、日本人の食生活の変化によって、現代社会では特に植物由来のビタミンDが摂取されなくなったことが推察されます。

 ビタミンDはカルシウムの吸収を促す働きがあり、不足すると骨粗しょう症や骨折するリスクが高まる恐れがあります。

 越智小枝・東京慈恵会医科大学教授は、「都市部の生活では日光を十分に浴びるのは難しい。食生活も欧米化しており、不足している場合はサプリメントで取り入れてほしい」と話しました。

 2023年6月7日(水)

🟧受精卵の選択ミスで流産 不妊治療受けた夫婦が大阪市のクリニックを提訴

 体外受精した受精卵の染色体に異常がないかを調べる「着床前検査」のミスにより流産したとして、横浜市に住む40歳代の夫婦が7日、不妊治療専門のクリニックを大阪市北区で運営する医療法人などに約1000万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。

 訴状によると、体外受精を希望していた夫婦は2019年2月からクリニックへの通院を始め、着床前検査を受けました。医師が勧めた受精卵を子宮に戻して同年10月に妊娠したものの、翌月に流産しました。

 2020年6月、再び受けた着床前検査の結果について詳しい説明を求めたところ、担当医が前回検査で流産の可能性が高い受精卵を選んでいたことが判明しました。

 クリニック側はミスを認めて謝罪しましたが、夫婦が担当医らの対応について改善を求めると、その後の診療を拒否されたといいます。

 夫婦側は、担当医らが検査結果を十分に確認して適切な説明をしていれば、夫婦は再度の採卵を望んだ可能性が高く、流産を回避できたと訴えています。

 夫婦は別の医療機関を受診して、2021年7月に第1子が生まれました。妻は代理人弁護士を通じ「流産の悲しみ、つらさ、絶望感を忘れることはありません。患者は人生と命を賭けて不妊治療に臨んでいる。このようなずさんなことがあっていいのか」とコメントしました。

 クリニック側は、「訴状を見ていないのでコメントできない」としています。

 2023年6月7日(水)

2023/06/06

🟧胃潰瘍で死亡し労災認定された男性の遺族が会社を提訴 富山市

 2021年に富山市の電気設備工事会社に勤める当時62歳の男性が出血性胃潰瘍で死亡したのは長時間労働などが原因だとして労災と認定され、遺族は6日、「会社が業務の管理を怠り過重な業務に従事させた」などとして、損害賠償を求める訴えを裁判所に起こしました。

 訴えを起こしたのは、東証プライム上場の北陸電気工事の社員で、2021年12月に死亡した当時62歳の男性の遺族です。

 訴状などによりますと、男性は4年前の8月に定年を迎えた後、再雇用され、放送局の新局舎建設事業で現場責任者を務めていましたが、2021年10月以降、工事日程が過密になって長時間労働が目立つようになり、12月に自宅で倒れ、搬送先の病院で出血性胃潰瘍により死亡したということです。

 男性の時間外労働は、死亡前の直近1カ月が約176時間、その前の1カ月が約145時間に上っていたとしています。

 男性の死亡について富山労働基準監督署は5月、現場責任者としての長時間労働やストレスが原因だとして労災と認定しました。

 遺族は6日、「業務の管理を怠り再雇用した後も強い心身の負荷が生じることが明らかな過重な業務に従事させ死亡させた」などとして、会社に約7300万円の損害賠償を求める訴えを富山地方裁判所に起こしました。

 厚生労働省によりますと、消化器系の病気が労災と認められるケースは極めて少ないということで、記者会見した原告の代理人で過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士は「国が定める過労死の基準には消化器系の病気は定められていない。今回の労災認定や訴訟を切っ掛けに消化器系の病気についても過労死の認定基準を大きく広げてほしい」と話しました。

 提訴について、北陸電気工事は「訴状が届いてから内容を確認して判断します」と話しています。

 また、男性が労災認定を受けたことについてはコメントで、「事実を大変重く受け止めております。亡くなられた従業員のご冥福を深くお祈り申し上げます。再び同様のことを起こさないよう、今後も健康経営の推進に努めてまいります」としています。

 2023年6月6日(火)

🟧子供の予防接種、コロナ禍を経て日韓など52カ国で信頼感低下 ユニセフが「世界子供白書」で警鐘

 世界の多くの国で、はしかやポリオなど子供の予防接種への信頼感が低下しています。新型コロナウイルスのワクチン接種に関連して、インターネット上に真偽不明の情報が広まったことも一因です。接種率の低下で、感染症の流行の懸念が高まっています。

 国連児童基金(ユニセフ)が4月に発表した「世界子供白書」によると、調査対象の55カ国中52カ国で、子供のワクチン接種を「重要」と考える人が新型コロナの流行前と比べ大幅に減少しました。

 韓国やパプアニューギニアで40ポイント以上の大幅減となり、ガーナ、セネガルのほか、日本も30ポイント以上減りました。途上国で減少が著しくなっています。

 他方、重要と考える人の割合が変わらない、もしくは増加したのは、中国、インド、メキシコのわずか3カ国にとどまりました。また、白書はほとんどの国で、35歳未満の年齢層と女性の間で、子供へのワクチンの信頼感に低下傾向がみられたと報告しています。

 背景にはインターネット上での誤情報の増加、専門知識に対する信頼の低下、政治的偏向などが挙げられるといいます。

 ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は声明で、「あらゆるワクチンへの恐怖と誤情報がウイルス同様に広まった」としました。はしかやジフテリアなど、予防接種で防げる感染症で子供の死者が出ることに懸念を示しました。

 南アフリカでは2022年末からはしかが流行し、5月中旬までに970人超が感染しました。日本でも2023年に入り、はしか患者が報告されています。国連によれば、東アフリカのブルンジで3月、ワクチン未接種の4歳児のポリオ感染が明らかになりました。同国で約30年ぶりの感染報告だといいます。

 感染症研究に取り組む大阪公立大学大学院の城戸康年教授は途上国での予防接種への信頼感の低下について、「ワクチン開発の実験台にされているのではないかという懸念が根強いことも一因だ」と指摘。将来のリスクを回避する考え方を身に着けるため、予防接種や自分の健康について正しく理解する機会を広げる必要が大切だと話しています。

 予防接種が子供の命を救うことは各国の接種プログラムの実績でも明らかで、アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、世界で毎年約400万人の命が子供の定期接種によって守られているといいます。

 ユニセフは新型コロナ禍での医療体制の逼迫により、2019〜2021年に世界で6700万人の子供が定期接種の機会を逃したと推計しています。同期間に112カ国で接種率が低下したことについて、ユニセフは「過去30年間で最大の後退だ」と警鐘を鳴らしています。

 2023年6月6日(火)

🟧新型コロナ前より自宅で食事増加が38・5% 2022年度食育白書、食生活改善へ期待

 政府は6日、2022年度版の食育白書を閣議決定しました。白書は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年11月ごろと比べた食生活に関する調査結果を報告。食生活の変化について尋ねたところ、「自宅で食事を食べる回数」が増えたとの答えが38・5%に上り、20~30歳代に限ると51・3%となりました。白書は、「食生活の改善に取り組む切っ掛けになることが期待される」としました。

 調査は2022年11月に、全国の20歳以上を対象に郵送やインターネットで実施しました。「自宅で料理を作る回数」が増えたと回答した割合は27・9%で、「持ち帰りの弁当や総菜の利用」が増えたのは21・1%でした。

 一方、「家族以外の誰かと食事を食べる回数」は67・0%が減ったと回答。「朝食を食べる回数」は87・0%が変わらないとしました。

 また、白書では、食料安全保障と食育の推進について言及。食料自給率向上の意義を理解する機会を持つことなどの重要性を指摘しました。

 2023年6月6日(火)

🟧マウスピース歯列矯正治療で追加提訴 請求総額は4億5900万円規模に

 マウスピースを使った歯列矯正治療が「実質無料で受けられる」と勧誘されて高額なローン契約を結んだ後、施術が受けられなくなったとして、男女約150人が6日、歯科医院を運営する医療法人「デンタルオフィスX」などを相手取り、約2億6200万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしました。

 この医療法人を巡っては今年1月にも患者らが集団訴訟を起こしており、原告数は合計312人、請求総額は約4億5900万円に上ります。原告側は詐欺罪などで医療法人の理事長らを警視庁に刑事告訴しています。

 訴状によると、原告らは東京都、京都府、福岡県にある医療法人などが経営する歯科クリニックと治療の契約を結ぶ一方、別会社とモニター契約を締結。SNSなどで宣伝をすれば「毎月モニター報酬が支払われるので実質的に無料で治療が受けられる」と説明を受けていたというものの、昨年3月以降、報酬の支払いが停止しました。

 原告側は追加提訴後に会見。代理人の加藤博太郎弁護士は、原告側にはローン返済が残ったほか、健康被害も生じているとし「破綻することが明らかな詐欺的なモニター商法だった」と指摘しました。原告の20歳代女性は、「マウスピースを作るために歯を削ったが、治療は途中で終わってしまった。歯がしみることもあり、これからどうなるのか心配だ」と話しました。

 歯科クリニック側は、「弁護士と相談しながら対応していきたい」などとコメントしています。

 2023年6月6日(火)

🟩世界の糖尿病患者、過去32年で倍増

 世界の成人の糖尿病患者の割合は過去30数年で倍増し、特に途上国での増加が著しいとする論文が14日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載されました。  イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らによると、成人の糖尿病患者は1990年には全成人のうち7%でしたが、202...