2023/09/30

🟧マイナ保険証、医療費自己負担割合の誤表示5695件 厚労省が公表

 医療機関を受診した際に患者が窓口で支払う医療費の自己負担の割合について、医療機関用のシステムに誤って表示されるトラブルが全国で5700件近く確認されたことが、厚生労働省の調査でわかりました。

 マイナンバーカードと保険証を一体にしたマイナ保険証に合わせて整備が進められている医療機関用のシステムに、医療費の自己負担割合などが誤って表示されるトラブルが相次いだことから、厚労省は、健康保険を運営するすべての「保険者」を対象に調査を行いました。

 その結果、こうしたトラブルが全国で5695件確認されたということで、29日開かれた社会保障審議会・医療保険部会に報告されました。

 それによりますと、データの入力作業のミスなどが原因のケースが4000件余りで、残りはシステムに問題があったということです。

 各保険者が把握している正確な情報に基づき、データはすでに修正されているということで、窓口で本来より多く医療費を支払っていた場合も、すでに正しい負担割合で精算されているということです。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルをわかりやすくしたり、負担割合が正しく表示されているか定期的に確認できる仕組みを導入したりする方針です。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルを改定し、正しい手順を踏むよう保険者に要請します。保険者が把握する正確な情報とマイナ保険証で受診した際に表示される情報を照合し、チェックする仕組みも導入します。2024年夏までの対応を目指します。

 患者の不安に応えるための相談体制も整えます。患者が加入する保険者に氏名や生年月日、受診した医療機関と受診日を伝えれば、情報を確認します。過払いがあった場合は返金などの対応をとります。

 医療機関を受診した際の自己負担は、年齢や所得に応じて1〜3割に設定されています。

 2023年9月30日(土)

🟧研究者のチフス菌感染は実験室内 国立感染症研究所が調査結果を発表

 8月中旬、国立感染症研究所の研究者がチフス菌に感染した問題について、研究所は29日に、感染は実験室で起きたとみられると発表しました。研究所は、実験室での病原体の扱いについて、緊急の点検を行うなどして再発防止に努めるとしています。

 国立感染症研究所は、チフス菌の検査などの業務に当たっていた研究者が、8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断された問題について、29日に感染の経路などを安全監視委員会が調査した報告書を発表しました。安全監視委員会は外部有識者らで構成され、問題発覚後、研究所に立ち入り調査しました。

 報告書によりますと、研究者から検出されたチフス菌と、研究所で取り扱っていたチフス菌の遺伝子を比較した結果などから、施設が原因の可能性は低く、感染は実験室内で起きたとみられるとしています。

 感染した原因は特定できなかったとしていますが、感染を防ぐための防護服の脱着や除染についてのマニュアルが作成されていなかったことや、病原体を取り扱う区域と、それ以外の区域が明確に分けられていなかったことなどが、感染につながったと考えられるとしています。

 研究者は20年以上病原体を扱うベテランだといい、報告書は「そのような者が無意識のうちに発症した事実は極めて深刻だ」と指摘しました。研究者は回復しつつあるが、今も入院中。

 チフス菌などを扱うレベルの実験室は、研究所自身や外部による監査の対象となっていないということで、研究所は、実験室での病原体の扱い方について緊急の点検を行うとともに、実験室の使用マニュアルを作成するなどして、再発防止を図ることにしています。

 国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「感染研の近隣住民を始め、国民からの信頼を損ないかねない極めて重大な事故である。病原体等を取り扱うすべての職員が、再発防止策の迅速な実施に最大限努力する」とコメントしています。

 2023年9月30日(土)

2023/09/29

🟧新型コロナ感染、ピーク越えた可能性 前週比0・63倍、全国で減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月24日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が11・01人で、前の週の0・63倍となっています。

 厚生労働省は、「3週連続で前の週から減少しているほか、今回はすべての都道府県で減少していてピークアウトの可能性がある。今後も感染対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、9月24日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から3万2164人減って5万4346人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は11・01人で前の週の0・63倍となりました。前の週から減少が続くのは3週連続で、すべての都道府県で減少しました。

 都道府県別では多い順に、愛知県が16・61人、岐阜県が15・24人、茨城県が14・53人、千葉県が14・43人、熊本県が12・74人などとなっています。少なかったのは山形県7・30人、香川県7・83人、福井県8・23人。

 このほか、9月24日までの1週間に新たに入院した人は全国で7685人で、前の週と比べて2288人の減少となりました。

 また、厚労省は29日、死亡診断書を基に集計した7月の新型コロナ関連死者数が2460人だったと明らかにしました。6月よりも800人以上増えました。担当者は「感染者数の増加に伴い、同じような割合で死者も増えた」と説明しています。

 2023年9月29日(金)

🟧八戸市の駅弁食中毒、29都道府県497人に増加

 青森県八戸市保健所は29日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、28日時点で29都道府県の497人の患者を確認したと発表しました。27日時点では489人でした。

 市保健所によると、都道府県別で長野県が加わったほか、各地で新たな患者が判明しました。埼玉県、東京都、福岡県、熊本県で過去の報告分からそれぞれ1人を取り下げました。重複集計があったとしています。

 吉田屋は23日から営業禁止処分中。患者が食べた弁当数は28日時点で21種類に上りました。

 2023年9月29日(金)

🟧せき止め薬の最少日数の処方を要請 供給不足受け厚労省

 新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大で、せき止め薬と去痰薬が供給不足になっているとして、厚生労働省は29日、医師が必要と判断した患者に最少日数分を適切に処方することなどを医療機関や薬局に要請するよう依頼する事務連絡を都道府県に出しました。

 事務連絡では、主要なせき止め薬はコロナ流行前の約85%まで生産量が低下し、メーカーで増産対応を取っていると説明。適切な処方のほか、残薬を有効活用することや、過剰な発注を控えるよう呼び掛けました。対象品目は例示せず、医師らの判断に委ねます。

 解熱鎮痛薬はコロナ禍前の出荷数を上回っており、不足は生じていないと説明しています。

 武見敬三厚労相は事務連絡に先立って開いた閣議後の記者会見で、せき止めや去痰薬について「医師が必要と判断した患者に、最少日数での処方に努めていただく」との考えを示し、「国民に必要な医薬品が確実に届けられるよう、しっかり対応していく」と述べました。

 2023年9月29日(金)

🟧インフルエンザ感染、9月では異例の高水準続く 沖縄県が全国最多

 厚生労働省は29日、全国約5000の定点医療機関から18~24日の1週間に新たに報告されたインフルエンザの感染者数は3万5021人だったと発表しました。1医療機関当たりの平均は7・09人で、このデータを基に推計される、この1週間の全国の感染者数は約25万8000人。前週比1・01倍でほぼ横ばいですが、9月としては異例の高水準が続いています。

 23都府県で増加しました。医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは沖縄県22・46人で、続いて千葉県15・14人、愛媛県14・07人、宮崎県14・00人、大分県が13・79人でした。少なかったのは青森県0・33人、岩手県0・89人など。流行の「注意報」レベルの10人を超えたのは9都県。

 休校や学級閉鎖などになったのは、全国で計1569施設でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「感染者の数は、前の週までは毎週、2倍近いペースで増えていたが、今回、横ばいとなった。爆発的な感染拡大の兆候はまだ見られていないが、季節外れの流行が起きないか推移を注視する必要がある」と話しています。

 一方、沖縄県は29日、インフルエンザの定点把握状況を発表。18〜24日の1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数は22.・46人。同じ期間の全国平均は7・09人で、沖縄県が47都道府県で最も多く流行しています。県はインフルエンザ流行注意報を発表中で、感染拡大による学級閉鎖も広がっています。

 保健所管内別で最も流行しているのは八重山で39・33人、次いで那覇市で31・25人、宮古23・25人、中部19・94人、南部18・93人、北部8・60人。八重山と那覇市は「流行警報」発表水準の30人を超え、急拡大しています。

 沖縄県教育委員会によると、県内の公立小中高で17〜23日の1週間にインフルエンザ感染拡大のため学級閉鎖したのは小学校9学級、中学校10学級、高校10学級の計29学級。学年閉鎖は小学校6学年、中学校2学年の計8学年。学校閉鎖も高校で1校ありました。

 2023年9月29日(金)

🟧赤ちゃんポスト、東京都内の病院が導入準備 内密出産も実施へ

 親が育てられない乳幼児を匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」について東京都墨田区の病院が来年度の設置に向けて準備を進めていることがわかりました。今後、東京都や墨田区と具体的な協議を進めていくとしています。

 東京都墨田区の社会福祉法人「賛育会」は、産科などがある区内の「賛育会病院」にいわゆる「赤ちゃんポスト」を設置する方針を明らかにしました。

 運用の開始は来年度中を目指していて、妊婦が医療機関だけに名前や連絡先などを明かして出産する「内密出産」などの事業も実施したいとしています。

 貧困や虐待などを背景に予期しない妊娠や孤立出産の悩みを抱える女性が増え、赤ちゃんを遺棄する事件が相次いでいることなどを受け、数年前から検討を重ねてきたとして、今後、東京都や墨田区と具体的な協議を進めていくとしています。

 賛育会によりますと、設置が実現すれば医療機関としては熊本市の慈恵病院に続き、全国で2例目になるということです。

 賛育会は、「全国で痛ましい事件が相次いでおり、母親と赤ちゃんを守るセーフティーネットにならなければいけないと決断しました。このプロジェクトは行政の援助がなければできません。来年度中の開始に向けて今後も粛々と準備を継続してまいります」としています。

 東京都によりますと、今年5月に墨田区の賛育会病院側から区を通して連絡があり、これまでに数回、都や区、それに病院の担当者が参加して打ち合わせが行われたということです。

 この打ち合わせに際しては、病院側から来年度中に「赤ちゃんポスト」や「内密出産」などの事業を実施したいという考えや、行政との連携について相談したいという意向が示されたということです。

 都は、子供の戸籍の作成や、生活場所の確保などが課題になると病院側に伝えたということです。

 都の担当者は、「都は人口が集中しているため利用規模も大きくなる可能性があり慎重な検討が必要」とした上で、「病院側から具体的な事業計画が提出されれば、対応を考えていく」としています。

 いわゆる「赤ちゃんポスト」は、親が育てられない子供を匿名で受け入れるもので、日本では、16年前の2007年に、熊本市の「慈恵病院」に、「こうのとりのゆりかご」という名前で設置されました。

 医療機関が設置するものとしては現在も国内では唯一の「赤ちゃんポスト」となっていて、昨年度までの16年間で合わせて170人が預けられたとされています。

 一方、北海道では当別町の女性が昨年5月に「赤ちゃんポスト」の設置を公表していますが、道は医療提供体制が不十分だとして運用をやめるよう要請しています。

 都内でも、江東区の医療法人社団「モルゲンロート」は来年秋を目指し、区内に産婦人科を新たに開設した上で、施設にいわゆる「赤ちゃんポスト」を設置したいとしています。

 医療法人は現在、用地の取得を目指していて、江東区によりますと、今年5月、区長にあてて区内での用地取得に向けた支援を求める要望書が届いたものの、区は「一民間事業者の事業に直接的な支援を行うことは困難だ」と回答したということです。

 その後、「赤ちゃんポスト」の設置に向けた具体的な協議には至っていないということです。

 東京都の小池百合子知事は記者会見で、「子供の命が失われるということはなくさなければならない。東京は人が集まるところで困っているいろいろな人が東京を目指すことも想定して準備もしなければならないのではないか」と述べました。

 その上で、「墨田区とも連携して、預かる赤ちゃんを守っていく体制をしっかり整えないといけなくなるのではないか。現在、賛育会病院に詳細な説明を求めているところだ」と述べました。

 一方、小池知事は「『赤ちゃんポスト』という名称も少し考えたほうがいいのではないか。何かちょっと安易だが、『子殺し』につながるよりはいいと思う。どれがいいか悪いかも超えて、命を守るという点で重みも必要なのではないか」と述べました。

 東京と墨田区の「賛育会」は、東京都や長野県、それに静岡県で病院や特別養護老人ホーム、それに保育園などを運営する社会福祉法人です。

 墨田区にある「賛育会病院」は病床数199で、産科や婦人科、小児科などがあり、東京都の地域周産期母子医療センターにも指定されています。

 賛育会は、数年前から勉強会を開くなど検討を進め、昨年11月に正式に方針を決め、プロジェクトチームをつくり、準備を本格化させてきました。

 プロジェクトはいわゆる「赤ちゃんポスト」のほか、「内密出産」や妊娠SOS相談といった3つの事業が計画されていて、いずれも来年度中の運用開始を目指しているということです。

 東京都で事業を行う意義について賛育会は、現在「赤ちゃんポスト」を設置している、熊本市の「慈恵病院」には関東地方から訪れる人も多いため必要性は高いとしています。

 一方で、実施に向けた課題もあります。預けられた子供の養育を将来どうするかや戸籍の作成、さらに出産前後の母親の支援体制をどうするかなど、行政側との連携が不可欠です。

また、子供自身の「出自を知る権利」も課題とされています。

 熊本市の「慈恵病院」ではいわゆる「赤ちゃんポスト」に加え、2019年に「内密出産」を独自に導入していますが、預けられたり「内密出産」で生まれたりした子供の出自情報の開示をどのようにしていくか、熊本市と共同で検討を進めています。

 2023年9月29日(金)

🟥ゴールドウイン、PFAS不使用に 年内に衣料品の素材切り替え、海外拡大で

 アパレル大手で衣料品の素材として有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使うことを取りやめる動きが広がっている。「ザ・ノース・フェイス」などを展開するゴールドウインは2025年内で代替素材に切り替える。PFASは熱に強く、アウトドア向け衣料で活用されている。健康への有害性...