静岡市は、有害性が指摘されている化学物質の「PFAS(ピーファス)」について、かつて使用していた市内の化学工場近くの水路など合わせて6つの地点で、10月末までに調査を行うことを決めました。
有機フッ素化合物のPFASを巡っては、一部の物質で有害性が指摘され、静岡県内では、浜松市にある航空自衛隊浜松基地周辺の川や水路で国の暫定の目標値を上回る高い濃度で検出されています。
これを受けて静岡市では9月、市内の大規模な事業所約10社を対象に、過去にPFASを使用していたかどうか、聞き取り調査を行いました。
その結果、東京都に本社を置く「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水区三保の清水工場から、「PFASの一種PFOA(ピーフォア)を2013年以前は使用していたが、この年の12月までに使用を取りやめた」と回答があったということです。清水工場ではフッ素樹脂を製造しています。
アメリカにあった親会社からの要請で清水工場では2008年から2010年にかけ、一部の従業員に対して血液検査を実施しました。
会社側は検査結果を公表していませんが、アメリカのロバート・ビロット弁護士が裁判の過程で入手した資料によりますと、延べ24人の従業員に対し血液検査が行われていました。
その結果、24人全員の血中に含まれるPFOAの値がアメリカの学術機関が示す「指標値」を上回り、中には418倍の値が検出された従業員もいました。
会社側はこれまでに従業員の健康被害は報告されていないとしています
清水工場からの回答を受けて静岡市では、工場近くの水路と、安倍川や巴川など市内を流れる5つの河川の合わせて6つの地点で、10月末までに水質検査を行うことを決めました。
市は11月末までをめどに、結果を公表することにしています。
一方、市はPFASについて、2020年から水道水の調査を行っていますが、これまでに調べた8つの地点では、暫定の目標値を下回っているということです。
2023年10月8日(日)