2023/10/08

🟧16歳男子と40歳代女性で体力低下傾向 スポーツ庁が「体力・運動能力調査」

 スポーツ庁が8日に公表した2022年度の「体力・運動能力調査」で、週3日以上、時間をかけてスポーツをする習慣があると、中高年は生活の充実度が高く、若年層は物事をやり遂げる意欲が高い傾向があることが、明らかになりました。40歳代では、頻繁にスポーツをする人の4割強が「毎日の生活が充実している」とした一方、ほぼスポーツをしない人は2割弱にとどまりました。 

 調査は1964年の東京オリンピック以降、毎年実施。今回は2022年5~10月、全国の6~79歳の計5万6365人が参加しました。握力測定や上体起こし、立ち幅跳び、50メートル走などの体力テストを受けてもらい、日々のスポーツ習慣や自身の健康状態に対する認識についても尋ねました。

 参加者のうち、9歳(小学4年生)、16歳(高校2年生)、40歳代、70歳代は、体力テストの成績と運動習慣の関連などを分析しました。

 それによりますと、スポーツを「週3日以上で各1時間以上」する習慣があった人は、テストの成績を点数化した「体力合計点」が、全世代の男女で平均値を上回りました。

 成人の分析を見ると、40歳代の男性は、頻繁にスポーツをする人(週3日以上で各1時間以上)で、毎日の生活が「充実している」と答えた割合が41・9%に上りました。

 一方、ほとんどスポーツをしない人(週1日未満で各30分未満)では、「充実している」が18・4%にとどまるとともに、「あまり充実していない」「全く充実していない」との回答が合わせて17・3%となり、頻繁にスポーツをする人(3・2%)を大きく上回りました。40歳代女性、70歳代の男女もほぼ同じ傾向でした。

 調査の分析に携わった放送大の関根紀子教授(運動生理学)は、スポーツをする習慣と生活の充実度との因果関係ははっきりしないとしつつ、「運動で目標を達成できれば、充実感を得られることもある。(スポーツ習慣と生活の充実度の)どちらが先かはわからないが、互いに関係し合っているのではないか」と話しています。

 16歳では、スポーツの頻度と物事をやり遂げる意欲の関係について分析。頻繁にスポーツをする人(週3日以上で各2時間以上)では、「何でも最後までやり遂げたいと思うか」との質問に対し、「とてもそう思う」と答えたのは男子で48・4%、女子で60・4%に上りました。一方、スポーツが週1日未満で各1時間未満の人では、男女とも20%台でした。

 また、小学校入学前に外遊びをした経験の多かった9歳男女は、スポーツに親しんでいるケースが多くなりました。70歳代の男女でほぼスポーツをしない人は、「あまり健康でない」と答える割合が高くなりました。

 今回の調査では、握力や上体起こしなど8つの項目について、16歳の男子の「体力合計点」が低下傾向であることがわかりました。

 今回の調査結果を分析した順天堂大学大学院の内藤久士教授は、「部活動などで日ごろよく運動をしていた年代がコロナ禍で練習時間の制限などを受けたことが一因の可能性がある」としています。

 また、40歳代女性についても、直近10年間で体力や運動能力が低下傾向にあることがわかりました。40歳代女性の体力テストの成績は上体起こしや立ち幅跳びなどほとんどの項目と「体力合計点」で低下傾向にあり、「週に1日もスポーツをしない」と答えた割合は5割を超えました。

 現在、40歳代に当たる女性は、「若いころからあまり運動をしていない世代がそのまま年を重ねている」ということで、スポーツ庁は「40歳代の女性は家事や子育ての負担が大きく運動を行う場所も十分に整っていない」と分析し、「周知啓発や環境整備を図り、女性のスポーツ実施の促進を図っていきたい」としています。

 2023年10月8日(日)

🟧静岡市の化学工場で10年前までPFAS使用 工場付近の水路など6地点調査へ

 静岡市は、有害性が指摘されている化学物質の「PFAS(ピーファス)」について、かつて使用していた市内の化学工場近くの水路など合わせて6つの地点で、10月末までに調査を行うことを決めました。

 有機フッ素化合物のPFASを巡っては、一部の物質で有害性が指摘され、静岡県内では、浜松市にある航空自衛隊浜松基地周辺の川や水路で国の暫定の目標値を上回る高い濃度で検出されています。

 これを受けて静岡市では9月、市内の大規模な事業所約10社を対象に、過去にPFASを使用していたかどうか、聞き取り調査を行いました。

 その結果、東京都に本社を置く「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水区三保の清水工場から、「PFASの一種PFOA(ピーフォア)を2013年以前は使用していたが、この年の12月までに使用を取りやめた」と回答があったということです。清水工場ではフッ素樹脂を製造しています。

 アメリカにあった親会社からの要請で清水工場では2008年から2010年にかけ、一部の従業員に対して血液検査を実施しました。

 会社側は検査結果を公表していませんが、アメリカのロバート・ビロット弁護士が裁判の過程で入手した資料によりますと、延べ24人の従業員に対し血液検査が行われていました。

 その結果、24人全員の血中に含まれるPFOAの値がアメリカの学術機関が示す「指標値」を上回り、中には418倍の値が検出された従業員もいました。

 会社側はこれまでに従業員の健康被害は報告されていないとしています

 清水工場からの回答を受けて静岡市では、工場近くの水路と、安倍川や巴川など市内を流れる5つの河川の合わせて6つの地点で、10月末までに水質検査を行うことを決めました。

 市は11月末までをめどに、結果を公表することにしています。

 一方、市はPFASについて、2020年から水道水の調査を行っていますが、これまでに調べた8つの地点では、暫定の目標値を下回っているということです。

 2023年10月8日(日)

2023/10/07

🟧医療機関の9割が「入手困難な薬ある」 日本医師会が調査

 日本医師会(日医)は6日、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの不祥事や新型コロナウイルス流行などで長期化している医薬品不足について、日医会員や地域医師会員にアンケートをした結果を公表しました。院内処方をしている医療機関の9割が「入手困難な医薬品がある」と回答。日医の宮川政昭常任理事は「医療現場は本当に逼迫している」と訴えました。

 アンケートは8月から実施し、9月末までに回答があった6773施設分をまとめました。院外処方の医療機関は、7割以上が薬局から薬不足の連絡があったと答えました。具体的な品目では、せき止め薬や去痰薬、解熱鎮痛剤などが挙げられました。

 日本製薬団体連合会(日薬連)が製薬会社を対象とした調査では、8月時点で23%近い企業が限定出荷などを実施していると回答しました。

 日医の調査で院内処方で入手困難と回答した2082品目のうち32%について、日薬連の調査ではメーカー側が「通常どおり出荷している」と回答していました。医療現場との間で認識のギャップが生じています。

 日医の宮川常任理事は発表記者会見で、「医薬品の供給不安の問題は2〜3年続いており、対応は迅速とはいえない。医療界の現状を見て適切に考えて対策してほしい」と述べました。

 会見には分析に携わった神奈川県立保健福祉大学の坂巻弘之教授も同席し、「メーカー側は医療現場のニーズを把握せずに通常出荷といっている可能性がある。医療現場の状況について定期的に調べていくことが重要だ」と指摘しました。

 2023年10月7日(土)

🟧新型コロナワクチン、すべての小児に接種を 日本小児科学会が推奨

 今年の秋から冬にかけての子供への新型コロナワクチンの接種について、日本小児科学会は感染や重症化を防ぐためにワクチン接種は効果があるとして、引き続き「すべての小児に接種を推奨する」という考え方を示しました。

 厚生労働省の審議会が今年秋以降の新型コロナワクチン接種について、接種を勧める対象を重症化リスクの高い人に限定したことなどを受け、日本小児科学会は、子供への接種を推奨するかどうか改めて検討し、その結果を公表しました。

 それによりますと、現在国内で主流となっているオミクロン型のXBB系統や、さらに変異した「EG・5」(通称:エリス)と呼ばれる変異ウイルスが広がり、今後流行の拡大が想定されるとしています。

 その上で、この秋以降接種されるワクチンは、従来のワクチンよりも変異ウイルスに対して発症を予防する効果が高いと考えられることから、引き続き「すべての小児に接種を推奨する」としています。

 また、安全性については、5歳から11歳の子供に対してこれまで述べ430万回以上、0歳から4歳に対しては40万回以上接種され、膨大なデータに基づき、信頼性の高い安全性の評価が行われているとしています。

 一方で、5歳から11歳では接種100万回当たり0・6件程度の割合で心筋炎の発生が報告されているとして、接種後しばらくの間、胸痛や息切れなどの症状に注意するよう呼び掛けています。

 日本小児科学会は、「小児に対する新型コロナの脅威は依然として存在し、感染や重症化を予防する手段としてワクチン接種は有効だ」としています。

 学会の理事で新潟大学の齋藤昭彦教授は、「感染した子供の中には重い合併症が長引くケースも報告されている。可能な限り新しいワクチンを接種して、感染や重症化予防の高い効果を得てほしい」と話しています。

 2023年10月7日(土)

🟧コロナ検査有料で断念4割、薬だけ頼む患者増加 岐阜県保険医協会が開業医にアンケート

 岐阜県内の医師や歯科医師でつくる県保険医協会(竹田智雄会長)は、会員の開業医らに対して行った新型コロナウイルスの5類移行後の診療に関するアンケートの結果を公表しました。有料となった検査費を巡り、発熱などの症状が出て来院したのに患者が金銭的な理由からコロナ検査を断るケースが「たまにある」との回答は30・6%で、「多々ある」を含めると4割近くに上りました。協会幹部は「お金のない人は治療にアクセスできず、命と健康をお金が左右することになってしまう」との懸念を示しています。

 アンケートは8月28日~9月8日に会員の医師831人に行い、269人から回答を得ました。回答率は32・4%でした。

 コロナの検査料は5月に感染症法上の位置付けが5類に引き下げられるまで無料でしたが、現在は医療費3割負担の人で3000~5000円程度が必要となります。

 副会長の池庭誠医師(多治見市)は、「検査はいいから、解熱剤やせき止めなどの風邪薬だけ出してほしいといわれるケースが増えた」と話し、検査をしないことによって周囲に感染を広げてしまうリスクも高まると警告しました。

 治療費についても、10月からはコロナ治療薬の費用が一部自己負担となりました。3割負担の人は薬代の9000円が必要となりました。

 この賛否を聞いたところ、「保険財政を考えると公費負担の終了も、やむなし」が46・8%を占めました。ただ「公費負担を継続すべき」も23・6%で、池庭医師は「約4分の1の開業医が、国にはできる限りお金を出して国民を守っていく必要があると思っている」と主張。自由回答では、「コロナ治療薬に自己負担が発生すると、服薬しない患者が多くなり、重症化する患者も出てくる」や「薬価がインフルエンザ治療薬と同程度まで安くなるまでは公費負担を継続すべき」との意見がありました。

 「5類移行は適切だったと思うか」の質問では、「思う」が38・6%だったものの、「思わない」も21・0%と割れました。

 副会長の永田正和医師(各務原市)は、「移行は経済の視点からやむなし。しかし感染は明らかに拡大したというのが医師の本心。社会として、どうしていくかをもっと議論していくべきだ」と語りました。

 一方、新型コロナの治療に当たり、133人が「医薬品が足りない」と回答しました。解熱剤やせき止めなどが品薄だということで、回答した60歳代の内科医は「国は薬の安定供給に向け、もっと積極的に対策を取ってほしい」と訴えています。

 県保険医協会は「新型コロナの『第9波』と思われる感染が猛威を振るい、医療体制のひっ迫が懸念される」としています。

 2023年10月7日(土)

🟧東京都のインフルエンザ患者数が前週上回る 6週連続で感染拡大

 東京都では9月21日にインフルエンザの流行注意報が発表されていますが、10月1日までの1週間に報告された患者数は、前の週をさらに上回り、6週連続で感染拡大が続いています。

 東京都感染症情報センターによりますと、10月1日までの1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザの患者数は16・58人で、前の週の1・36倍に増えました。

 こうした中、都内のクリニックではインフルエンザのワクチン接種を例年より前倒しして始めるなど、対応に追われています。

 定点医療機関当たりのインフルエンザの報告数が30人を超え、都内で最も多い中野区のクリニックでは、発熱などの症状を訴える患者には新型コロナとインフルエンザの両方の検査を行っています。

 今月に入ってからはインフルエンザの患者が新型コロナの患者を上回っているということで、今週検査した32人のうち、インフルエンザが15人、新型コロナは9人でした。

 インフルエンザの感染が例年より早く広がっていることから、このクリニックでは昨年は10月末から始めたインフルエンザのワクチン接種を、今週から始めました。

 いつもは11月に入ってからワクチン接種する人が多いということですが、今年は早めの接種を希望する人が多く、6日も20人ほどが訪れていました。

 60歳代の女性は、「今年はもう流行っているというので、いつもよりも早めに受けにきました。ちょっと安心です」と話していました。

 「みやびハート&ケアクリニック」の渡邉雅貴院長は、「この時期にインフルエンザのワクチン接種を多くの人が受けるというのは異例の事態ですが、これから寒くなってくると寒暖差で免疫も下がり、感染もしやすくなるので、さらに感染が広がる可能性がある。基本的な対策と併せて早めのワクチン接種を勧めたい」と話しています。

 東京都感染症情報センターによりますと、10月1日までの1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザの患者数は、16・58人で、前の週(12・19人)の1・36倍に増えました。

 保健所別では、中野区が最も多く30・30人。次いで、文京26・00人、荒川区23・14人、多摩府中23・93人、墨田区22・38人、台東22・14人、江戸川21・00人、目黒区20・25人、みなと19・67人、世田谷19・40人、多摩小平19・09人、八王子市18・78人、葛飾区18・62人、杉並17・88人、北区17・45人、江東区17・36人、練馬区17・00人、品川区15・55人、池袋13・75人、板橋区13・56人、町田市13・08人、足立11・50人、大田区11・33人、南多摩11・00人、多摩立川10・57人、新宿区9・58人、中央区8・80人、千代田8・00人、渋谷区7・00人、西多摩7・00人、島しょ1・50人の順となっています。

 2023年10月6日(金)

🟧沖縄県のインフルエンザ感染、7週連続で全国最多

 沖縄県は6日、季節性インフルエンザの定点把握状況を発表しました。9月25日~10月1日の1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数は25・93人(前週比1・15倍増)。全国平均は9・57人で、沖縄県が7週連続で最多。八重山と那覇市は流行警報発表水準の「30人」を超えて感染が広がっています。

 県は9月14日から、インフルエンザ流行注意報を発表中。保健所管内別で最も流行しているのは八重山で44・33人、那覇市で31・08人、宮古26・50人、中部25・56人、北部21・40人、南部19・43人。

 県内はインフルエンザによる学級・学年閉鎖も広がっています。県教育庁によると、9月24日からの1週間に学級閉鎖したのは小学校17、中学校13、高校7の計37学級。学年閉鎖は小学校3、中学校2、高校5の計10学年。

 2023年10月7日(土)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...