2023/11/12

🟩新型コロナの危険度、高齢者らは「高」から「中」に改定 WHO新治療指針

 世界保健機関(WHO)は10日、新型コロナウイルス感染症の治療指針を改定し、重症化して入院する危険度をこれまで「高」としてきた65歳以上の高齢者や、糖尿病やがん患者、腎臓や肝臓の疾患を抱えた人らを、新設した「中」の危険度に分類し直しました。これにより危険度が「高」となるのは、免疫不全の人に限定されることになりました。

 WHOは危険度が「高」と「中」の患者への治療薬として、経口抗ウイルス薬パクスロビド(日本ではパキロビッド)を「最善の選択肢」として強く推奨。パクスロビドが入手できない場合、「高」の患者には経口抗ウイルス薬モルヌピラビル、もしくは抗ウイルス薬のレムデシビルを使うよう勧めています。

 危険度が「中」の患者については、モルヌピラビルとレムデシビルは、得られる効果よりも害を及ぼす可能性が高いとして使わないよう求めました。

 抗寄生虫薬イベルメクチンは、重症患者に対する臨床試験でのみ使用されるべきだとし、軽症患者への投与には「強く反対」しています。

 入院率は危険度「高」では6%、「中」は3%で、これら以外の「低」に該当する人たちは0・5%。WHOは「低」の患者にはいかなる抗ウイルス薬の使用も勧めないとしており、熱や痛みなどの症状は鎮痛薬での対処で十分だとしています。

 2023年11月12日(日)

2023/11/11

🟩宅配専用「明治牛乳」から動物用医薬品の成分を検出、福井県など2府23県で流通 4万4577本を回収

 大手食品メーカー「明治」の大阪府の工場で製造された瓶詰の牛乳から、牛の感染症予防などに使用される医薬品が検出されたとして、大阪府は会社に対して4万4000本余りの回収を命じました。これまでに健康被害の報告はないということです。

 回収を命じられたのは大手食品メーカー「明治」の大阪府貝塚市にある工場で製造された、180ミリリットル入りの瓶詰の牛乳「明治牛乳」。

 大阪府によりますと、11月6日に行った保健所による定期検査で、この牛乳から動物用の医薬品「スルファモノメトキシン」が0・02ppmの濃度で検出されたということです。

 このため大阪府は食品衛生法に基づき、会社に対して賞味期限が11月13日の製品、4万4577本の回収を命じました。

 大阪府によりますと、検出された成分は微量で、健康に影響はないとみられるということです。

 「スルファモノメトキシン」は牛などの感染症予防や治療に使用される抗菌剤で、食品衛生法では、成分の混入を防ぐため搾乳する72時間以内の使用が禁止されています。

 回収対象の製品は主に西日本エリアの個人宅などを中心に、福井県など2府23県で流通したとみられるということですが、これまでに健康被害の報告はないということです。

 大阪府は成分が混入したいきさつや流通先の確認を進めています。

 商品回収は、フリーダイヤルのほか、ホームページの商品回収窓口の登録フォームで受け付けます。登録フォームに必要事項を入力し送信すると、明治指定の配送会社が回収にきます。商品のフタのみを返送するよう求めていて、現金かクオカードで代金相当を返します。未開封の場合は牛乳の廃棄を求めています。

 問い合わせは株式会社明治商品回収係 商品回収窓口 フリーダイヤル 0120-233-112

受付時間 午前9時から午後5時(土日祝祭日除く)(11月11、12 日の午前9時~午後5時は受け付けます)

 2023年11月11日(土)

🟩特許切れ先発医薬品、患者負担額引き上げへ 後発医薬品との差額、保険外に

 厚生労働省は価格の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)への置き換えをさらに進めるため、特許が切れている先発医薬品について患者の負担額を引き上げる方針で、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 厚労省は医療費の増加を抑制し、新薬の開発を後押しする財源を捻出するため、医療機関で処方される薬の患者の負担額について検討を進めてきました。

 こうした中、9日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で厚労省は、価格の安い後発医薬品への置き換えをさらに進めるため、効能が同じで特許が切れている先発医薬品について、患者の負担額を引き上げる方針を示しました。

 現在の患者の負担額は薬の価格の1割から3割になっていますが、先発医薬品を選んだ場合は、後発医薬品との差額の一部を保険適用対象から外し、自己負担額に上乗せする方向です。

 部会の委員からは、一部の後発医薬品は供給不足が生じていることから、生産体制にも配慮しながら検討を進めるべきだという指摘が出されたものの、おおむね異論はなく、厚労省は来年度の薬価改定も念頭に、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 2023年11月11日(土)

🟩介護事業者の経営、特別養護老人ホームなどが赤字に 厚労省調査

 介護事業者の経営状況について厚生労働省が調べたところ、光熱費の高騰でコストがかさんだ影響などで、2022年度は特別養護老人ホームなど、施設で介護サービスを提供する事業者の利益率が統計開始以降初めて赤字になりました。

 調査は厚労省が3年ごとに行っていて、全国約1万6000の事業者から回答を得て施設や在宅などの種類ごとに収入から支出を差し引いた利益率を調べました。

 それによりますと、昨年度のすべての介護サービスの平均の利益率は2・4%の黒字で、前回3年前と同じ数字で横ばいでした。

 サービス別の利益率では、施設で介護サービスを提供する事業者の経営が厳しく、特別養護老人ホームがマイナス1%、介護老人保健施設がマイナス1・1%、地域密着型の特別養護老人ホームもマイナス1・1%で、前回調査からそれぞれ2から3ポイント余り下がり、統計を取り始めた2001年以降、初めて赤字となりました。

 厚労省は、「光熱費や水道代の高騰でコストがかさんだ影響で、介護施設の経営が厳しくなっている」と分析しています。

 介護事業者に支払われる来年度以降の介護報酬については、改定に向けた議論が進められており、厚労省は今回の調査も踏まえて決めることにしています。

 また、人材流出をどう防ぐかが議論の焦点の1つとなっており、国は介護職員に対して来年2月から月額6000円程度の賃上げを行うことを決めています。

 厚労省によると、一般企業など全産業の平均利益率(2022年度)は6・2%で、介護事業者とは大きな開きがある。

 2023年11月11日(土)

🟩新型コロナ、1医療機関当たりの患者数が5類移行後最少 厚労省は冬の拡大を懸念

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、11月5日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・44人で、前の週の0・85倍となっています。

 厚生労働省は、「医療機関当たりの平均の患者数は、5類へ移行後最も少なくなったが、冬には感染拡大が懸念されるので、今後も対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月30日から11月5日までの1週間に、全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から2060人減って、1万2065人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は2・44人で、前の週の0・85倍となりました。前の週から減少が続くのは9週連続となり、新型コロナの法的な取り扱いが5類に移行後、患者数は最少になっています。

 都道府県別では、多い順に北海道が6・.51人、長野県が5・84人、山梨県が4・78人、岐阜県が4・28人、愛知県が3・51人などとなっていて、青森県、山梨県、岐阜県、滋賀県、島根県以外の42の都道府県で前の週より減少しています。少なかったのは福井県1・26人、長崎県1・36人、神奈川県1・41人、大分県1・43人、東京都1・.46人、大阪府1・54人など

 11月5日までの1週間に、全国約500の定点医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて4人の減少でした。

 2023年11月11日(土)

🟩インフルエンザ患者数、山梨県が1医療機関当たり全国最多 39・63人で全国平均のほぼ倍

 山梨県が1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数で全国最多となったことを受け、県の感染症対策センター(CDC)は10日、緊急会見を開き、医療提供体制の状況を説明すると同時に、高齢者施設向けに注意喚起を発出したと、公表しました。

 CDCの藤井充総長は、「現時点では県内の医療提供態勢は逼迫(ひっぱく)はしていないが、年末年始の新型コロナの感染拡大の恐れもあり、ワクチン接種の検討を求めたい」と語りました。

 厚生労働省が10日に発表した10月30日から11月5日までの都道府県別インフルエンザ発生状況では、山梨県が前週比34%増の39・63人で首位。全国平均の21・13人のほぼ倍のレベルとなっています。県内では5保健所のうち、3保健所管内で同30人以上の警報レベル入りしているほか、富士吉田市、都留市などの富士・東部保健所でも28・00と警報レベル寸前です。

 CDCによると、過去10年で最も早くインフルエンザの流行入りしており、定点データでは19歳未満の患者が全体の8割を占める状況で、学級・学年閉鎖措置は59に上り、現時点では若年層の感染が中心です」。

 今後、子供から親世代、さらに高齢者への感染拡大の懸念もあるため、県内約2000の介護施設などにインフルエンザの感染拡大防止の注意喚起を伝えたといいます。

 その一方で、CDCでは「抗インフルエンザ薬、ワクチンなどは昨シーズンを上回る供給があり、不足は生じてはいない」と説明しています。

 2023年11月11日(土)

2023/11/10

🟩イーライ・リリーの肥満症治療薬、アメリカFDAが承認 減量効果に期待

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は8日、アメリカのイーライ・リリーの肥満症治療薬「ゼプバウンド」(一般名:チルゼパチド)を新薬として承認しました。この薬はアメリカで2型糖尿病の治療薬として承認を受け、「マンジャロ」の商品名で販売しています。減量への効果から、肥満症向けに適用外で使用する例が増えていました。今回、肥満症薬として正式に承認されたことで、利用がさらに広がりそうです。

 ゼプバウンドはホルモンに働き掛けてインスリンの分泌を促す新しいタイプの肥満症薬です。アメリカで2021年に承認されたデンマークのノボ・ノルディスクの「ウゴービ」と似た仕組みで、血糖値を下げたり、食欲を抑えたりする作用があります。

 ゼプバウンドは週1回の注射で投与します。高血圧、2型糖尿病、高コレステロールなど少なくとも1つの体重関連疾患を有する肥満または過体重の人を適用対象としています。

 イーライ・リリーの発表によると、肥満または過体重の患者2539人(平均体重105キログラム)が参加したゼプバウンドの後期臨床試験(治験)で、食事療法や運動と組み合わせた72週間の治療の結果、最も多い用量(15ミリグラム)を投与したグループでは平均21・8キログラムの減量効果がありました。

 最も少ない用量(5ミリグラム)を投与したグループでも、平均15キログラムの減量効果がありました。偽薬(プラセボ)のグループでは体重の減少は平均で3キログラム程度でした。

 FDAによると、ゼプバウンドの既知の副作用には、吐き気、下痢、嘔吐(おうと)、便秘、腹部の不快感や痛み、注入部位反応、倦怠(けんたい)感、アレルギー反応、げっぷ、脱毛、胃食道逆流症などがあります。

 イーライ・リリーはゼプバウンドの薬価を1回の投与につき1059・87ドル(約16万円)と設定しました。6種類の用量を提供します。

 成人の約70%が肥満か過体重に相当するアメリカでは、減量効果が高い新しいタイプの治療薬の需要が急拡大しています。ウゴービやマンジャロは発売以来、供給が追い付かず、品不足の問題がたびたび報告されてきました。アメリカのモルガン・スタンレー・リサーチは同薬の世界市場が2030年に770億ドルに達すると予想しています。

 イーライ・リリーが11月に発表した2023年1〜9月期決算では、マンジャロの売上高は29億5800万ドルと前年同期の2億300万ドルから急増しました。

 2023年11月10日(金)

🟪妊産婦の自殺、昨年までの3年間で162人 20歳代前半と40歳代前半がハイリスク

 自殺の調査や支援に当たる一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」がまとめた調査によりますと、昨年の妊産婦(妊娠中および産後1年以内)の自殺者数は44人でした。このうち妊娠中は12人、産後2カ月以内は7人、産後3カ月〜1年以内は25人だったということです。  妊産婦の自...