2023/12/20

🟧オンライン診療、デイサービス施設で受診可能に へき地に限らず都市部も緩和

 政府はオンライン診療を受けられる場所を広げる方針で、デジタル機器に不慣れな高齢者が受診しやすいように通所介護施設や学校も対象に加えます。現在は自宅や診療所以外で受けられる場所は、へき地の公民館などに限定していました。高齢者らがデイサービスと同時に受診できるようになります。

 18日の規制改革推進会議の作業部会で、地域を「へき地など」に限定する条件を廃止すると決定しました。都市部を含めてオンライン診療へのアクセスを高め、医療提供を効率化します。

 家族や施設職員らにパソコンなどの操作を手助けしてもらって受診することを想定します。介護施設と医療機関の両方に通う患者にとって、通院を減らせる利点があります。

 現在は離島や山間部などのへき地に限り、医師が常駐しない施設でもオンライン受診を可能にしていて、居住系の介護施設、公民館などにとどまっていました。

 今後は、日帰りで通う介護事業所や学校も新たに加えます。厚生労働省が「患者が長時間にわたり滞在する」との要件に、デイサービスを提供する施設が当てはまると認めます。

 必要性や医療機関へのアクセスの難しさなどを都道府県が地域ごとに確認し、患者が急変した際に医療対応できる環境であることも求めます。

 12月内にまとめる規制改革推進会議の中間答申に方針を盛り込み、3年内にも厚労省が自治体に通知します。

 介護施設に頻繁に通う高齢者の中には、要介護のレベルが高く定期的に受診を必要とする人も多く、体調や症状の悪化を早期に発見できる効果も期待できます。

 全国各地で鉄道や路線バスの廃止・縮小が続き、高齢者の通院にかかる負担が重くなっているとともに、医師の都市部偏在の影響で、離島や山間部以外でも医療アクセスが低下する懸念があります。

 高齢者は増加傾向にあり、総務省の調査によると2022年9月時点で総人口に占める65歳以上の割合は約29%に上ります。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると2070年には39%程度に上昇する見込みで、高齢者医療を支える環境づくりが課題となっています。

 2023年12月20日(水)

🟧アメリカの新型コロナ感染56%増 有料化響きワクチンの接種率低迷

 アメリカで新型コロナウイルスやインフルエンザ、RSウイルスなど呼吸器系感染症が急拡大しています。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、12月上旬のコロナ新規入院患者数は1カ月前と比べ6割増えました。感染が広がる一方、ワクチンの無償提供の終了などで接種が進んでいません。アメリカ当局は重症患者が増えれば医療逼迫が起こる可能性を指摘しています。

 CDCの最新の発表によると、12月9日までの1週間のコロナ新規入院患者数は2万3432人で、5週連続で前の週を上回りました。患者数は約1カ月前の11月4日の週と比べると56%増えました。重篤化するケースも増えており、コロナとインフル、RSウイルス感染で救急治療にかかった割合は3つの感染全体の5・3%と、約1カ月前の2・7%から上昇しました。

 冬は乾燥するほか、11月下旬の祝日であるサンクスギビング(感謝祭)前後の休暇時期で外出や旅行が増えるために、感染が広がりやすくなります。昨年2022年12月末にコロナの入院患者は約4万5000人まで増えています。

 州別の呼吸器系感染症の流行をみると、全米51州のうち18州で流行が「活発」もしくは「特に活発」となっています。特に南部で感染が広がっており、ルイジアナ州とサウスカロライナ州は最高レベルの分類となっています。

 アメリカではインフル、RSウイルスのワクチンに加え、9月にはコロナの追加接種の提供も始まりました。だが、感染が拡大している12月2日時点で、コロナの追加接種の接種率は18歳以上で17・2%、重症化リスクが高いとされる65歳以上でも36%にとどまっています。RSウイルスワクチン(60歳以上で推奨)の接種率は15・9%と低水準で、インフルワクチンの接種率は58・6%と前年を3ポイント程度下回っています。

 コロナワクチンの接種率の低迷は、5月にコロナの緊急事態宣言が解除され、接種の無償化が終了した影響がありそうです。医療機関での接種の呼び掛けや周知が遅れているとの指摘もあります。

 コロナワクチン主要メーカーのファイザーは12月、2024年12月通期のコロナワクチンと治療薬の売上高について、2022年のピークの6分の1に落ち込むとの予想を発表。感染動向がワクチン需要の底上げにつながっていないとしています。

 CDCは14日、感染拡大が医療逼迫を引き起こす可能性があるとして、医療関係者に積極的にコロナ、インフル、RSウイルスのワクチン接種を患者に推奨するよう呼び掛けました。

 2023年12月20日(水)

2023/12/19

🟧電動キックボード6車種、製品の安全性が基準に適合せず 国交省が公表

 電動キックボードの利用の広がりを受け、国土交通省がインターネットで販売されている製品の安全性を調べたところ、6車種でブレーキの性能が低いなど基準に適合していないことがわかりました。国交省は製品名を公表し、基準に適合していない製品の使用を控えるよう呼び掛けています。

 国交省はインターネットで販売されている電動キックボード81車種のうち、情報提供などから、安全性を定めた保安基準に適合していない恐れのある10車種の調査を行いました。

 調査はそれぞれの製品を1台購入して行われ、その結果、6車種で基準に適合していないことがわかったということです。

 国交省によりますと、6車種は「オールジャパン企画」、「Smacircle」、「MOBIーBIKE」、「FUGU」、「RICH BIT」、「COSWHEEL」のそれぞれ1車種です。

 これらの製品では、ブレーキをかけてから止まるまでの距離が基準より長かったものや、駐車するためのスタンドがなかったり、段差を安定して走行できなかったりしたものがあったということです。

 また、ウインカーやブレーキランプがなかったものや、ランプの明るさが基準を下回ったものもありました。

 販売する会社では、購入者に電話して説明を行ったり、会社のホームページで使用しないよう呼び掛けたりするなどすでに対応を始めているということです。

 国交省は会社に対し、車両の改修などを指導しているほか、ホームページで製品名を公表し、基準に適合していない製品の使用を控えるよう呼び掛けています。

 2023年12月19日(火)

🟧短時間の大量飲酒「ビンジドリンキング」に注意 厚労省が年末年始に向け呼び掛け

 忘年会、新年会の多い年末年始に合わせ、厚生労働省が、短時間に大量の酒を飲む「ビンジドリンキング」を控えるよう注意喚起しています。今年の冬は新型コロナウイルス感染対策の緩和で酒席が増加傾向にあり、大量飲酒は急性アルコール中毒の危険性を高め、命にかかわるケースもあります。同省は、「飲む場合は、料理や会話を楽しみながらゆっくり、を心掛けて」と呼び掛けています。

 「ビンジ」は英語の「binge」で、度を越して何かをすることの意味。厚労省によると「一度に純アルコール量60グラム以上」の飲み方がビンジドリンキングに該当します。60グラムの目安は、ビール中瓶3本、日本酒は3合、ウイスキーならダブル3杯です。

 厚労省は、日本人の4割は遺伝的にアルコールが弱いか飲めない体質だとし、啓発ポスターで、一気飲みや飲酒を強要するアルコールハラスメントは危険だと強調。一度にたくさん飲むと転落事故や交通事故のほか、けんかなどを起こすリスクが高まるとしています。

 2023年12月19日(火)

🟧駐車場で不審者が消火装置起動、PFOS含む157リットルの泡消火剤が川に流出 東京都町田市 

 東京都町田市の駐車場で消火装置を何者かが起動して、有害性が指摘されている有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤がまき散らされ、近くの川に流れ出ていたことが7日、わかりました。

 町田市によりますと、3日の午前1時40分ごろ、原町田1丁目にある市営の立体駐車場で、不審者が建物2階に設置されていた消火装置を作動させるハンドルのカバーをこじ開けて手動で起動し、天井から泡消火剤がまき散らされました。

 通行人が警察と消防に連絡して発覚。防犯カメラには、成人男性が消火装置を作動させる様子が映り込んでいました。泡消火剤の噴出は、連絡を受けた消防隊員の到着まで約40分間続きました。

 当時、駐車場に車は止まっておらず、その後、市の指定管理の事業者が清掃作業をしたため、排水溝から泡消火剤が流出し、近くを流れる境川に流れ出たということです。

 流出した泡消火剤には水のほか約157リットルの薬剤が入っていて、この中には有害性が指摘されている有機フッ素化合物のPFOSが8リットルから1・6リットル程度含まれていました。

 市によりますと、8日に市内で川の水質検査をした結果、下流の2カ所で1リットル当たり810ナノグラムと190ナノグラムの、国の基準値の50ナノグラムを大幅に上回るPFOSが検出されたということです。

 境川は飲み水に使われていないものの、市は下流域にある神奈川県内の5つの市にも情報を提供して注意を呼び掛けています。

 市は管理事業者の対応が適切だったか、検証を進めるとともに、引き続き検出されるPFOSの値が基準値を下回るまで調査を続けるということです。

 2023年12月19日(火)

🟧「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の患者数が4週連続で過去最多を更新 「咽頭結膜熱」の患者数は8週ぶりに減少

 国立感染症研究所によりますと、子供がかかりやすく、発熱、のどの痛みなどを発症する「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数が、4週連続で過去最多を更新しました。

 10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関で報告された患者は、前の週から2093人増えた1万5196人で、1医療機関当たりの患者数は4・83人となりました。

 都道府県別では、1医療機関当たりの患者が最も多いのは鳥取県の10・68人で、次いで宮崎県の8・31人、千葉県の8・17人となっていて、警報レベルとされる「8人」を超えいるほか、東京都では6・25人、大阪府では5・01人、愛知県では3・49人などとなっています。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数は過去10年間で最も多い状況が4週連続で続いており、専門家は「マスクの着用や換気、手洗いといった基本的な感染対策が重要だ」と話しています。

 また、子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱の10日までの1週間の患者数は、8週ぶりに前の週から減少しましたが、依然として多い状況が続いています。

 咽頭結膜熱は子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より755人少ない1万947人となりました。

 1医療機関当たりでは3・48人と、前の週を0・24人下回り、8週ぶりに減少しましたが、依然として多い状況が続いています。

 都道府県別では、福井県が8・76人、北海道が7・59人、富山県が6・59人、福岡県が6・09人となっているほか、東京都で3・23人などと合わせて24の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。また、大阪府と愛知県では2・57人となっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「これから保育所や学校などが冬休みに入るため、患者数は一時的に減少するとみられるが年明けに再び増加する可能性がある。人が集まるところではマスクを着用する、換気を行うといった基本的な感染対策を引き続き取ってほしい。また、咽頭結膜熱のウイルスに対してはアルコール消毒が効きづらいので、手洗いで物理的にウイルスを洗い流すことが重要だ」と話しています。

 2023年12月19日(火)

2023/12/18

🟧滝山病院の患者虐待で調査報告書を公表 背景に行政の検査不備と不十分な看護体制

 看護師による入院患者への暴行事件が起きた東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」について、第三者委員会が調査報告書を公表し、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しました。

 東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」では今年2月、入院患者への暴行事件が発覚し、これまでに看護師ら5人が略式起訴されており、東京都は今年4月、病院に改善命令を出しました。


 これを受け、弁護士でつくる第三者委員会(委員長・伊井和彦弁護士)が職員や患者、それに患者の家族などを対象に調査を行い、18日結果を公表しました。


 それによりますと、略式起訴された5人のほかに看護師2人が、患者の首を絞めたり、頭をたたいたりするなどの暴行を行っていたことが認められたということです。


 また、医師の指示のない違法な身体拘束が日常的に行われていたほか、入浴前の患者を裸に近い状態で廊下を歩かせるなどの不適切な行為が確認されたということです。


 虐待が起きた背景として、病院を運営する医療法人のガバナンス(組織統治)や役員のコンプライアンス意識の欠如、非常勤職員率が高い不十分な看護体制などを挙げています。


 第三者委員会は、医療法人では倫理研修などが開かれず、利益を優先する体質があったと指摘。多数を占める非常勤職員に勤務シフトを依存していたことが、指揮命令の不徹底や統制のゆるみにつながり、違法行為の助長を招いた可能性があるとしました。

 このほか、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しています。

 病院の検査などを行った東京都は、「事件が発覚してから虐待の疑いがある場合は、抜き打ち検査の実施などに取り組んでいて、今回の報告書の指摘も踏まえ、指導を強化していく」としています。


 第三者委員会が調査報告書を公表したことを受け、滝山病院はホームページで「この結果を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めてまいります」とするコメントを出しました。


 2023年12月18日(月)

🟥血液製剤使えなくなるなど不適切な取り扱い5件相次ぐ 日本赤十字社公表

  日本赤十字社は、冷凍庫の電源が落ちて血液製剤1万本あまりが輸血用として使えなくなるなど、血液事業での不適切な取り扱いが5件相次いだことを明らかにした。日本赤十字社は、今後、全国で一斉点検を実施するなど、再発防止に努めるとしている。  これは、日本赤十字社が19日、東京都内で会...