2024/02/20

🟧神戸徳洲会病院に改善命令、医療法で兵庫県内初 不適切措置で患者死亡相次ぎ

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月以降、糖尿病の入院患者が適切な治療を受けられずに死亡するなどの問題が相次いだことを巡り、神戸市は20日、運営する医療法人徳洲会(大阪市)に対し、医療法に基づく改善命令を出しました。同法による改善命令の発出は、兵庫県内で初めてとなります。

 同病院では昨年6月、カテーテル治療後に複数の患者の死亡が発覚し、同市が8月に行政指導を行いました。しかし、さらに別の患者3人が死亡した事例で医療安全上の不備が度重なり「組織のガバナンスが機能しておらず非常に危険」と見なし、行政処分に踏み切りました。

 市保健所によると、糖尿病患者は70歳代男性で昨年8月、新型コロナウイルスに感染し同病院から別の大学病院に転院。その後、神戸徳洲会病院に再入院しましたが、糖尿病の治療に用いられるインスリンの投与などが適切に行われず、同9月に死亡しました。主治医は外科医の新保雅也院長で、電子カルテに記載された持病を見落としました。

 遺族には死因を肺炎と説明したものの、市の立ち入り調査後に不十分な血糖値のコントロールが死因の可能性があると説明し直しました。院内の医療安全対策委員会で医療事故かどうか調査したものの、結論を出しませんでした。

 今年1月には市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された90歳代男性に血圧を上昇させる薬剤を投与していた際、追加が必要な状況で薬剤の準備ができず投与が間に合わない間に男性は死亡。また昨年10月に80歳代の男性患者が亡くなった経緯で院内から検証を求める意見が出たものの調査しなかったほか、複数の患者の電子カルテで記載漏れが確認されたといいます。

 市保健所は、「必要な調査を適切に実施しておらず、組織体制を含めた抜本的な見直しが必要」と指摘。病院側に3月上旬までに改善計画書の提出を求め、従わなければ一部業務停止などの罰則の対象となります。

 同病院の担当者は、「指導を受けている中で死亡事案が続いたことは重く受け止めている。改善命令には真摯に、適切に対応していく」とコメントしました。同病院は3月末まで、救急車による患者の受け入れを停止するといいます。

 2024年2月20日(火)

🟧スギ人工林の2割に当たる98万ヘクタールを「重点区域」に設定 花粉症対策で植え替え・伐採

 林野庁は19日までに、花粉症対策を推進するスギ人工林の「重点区域」として、香川、沖縄両県を除く45都道府県の97万8563ヘクタールが設定されたと公表しました。全国に440万ヘクタールあるスギ人工林の面積の2割に当たります。

 今後は各自治体が中心となって、花粉の発生が少ないスギの苗木への植え替えや伐採を進めます。農林水産省は2023年度の補正予算などを活用し、重点区域で林道の整備や植え替えにかかる人件費などの費用を補助します。

 重点区域の設定は、政府が昨年10月にまとめた花粉症対策に関する「初期集中対応パッケージ」の1つ。人口20万人以上の都市部から50キロ圏内に位置するエリアなどを対象としました。都道府県から報告を受けた民有林(私有林と自治体などの公有林の合計)89万7050ヘクタールと、その近隣にある国有林8万1513ヘクタールが区域に決まりました。 

 都道府県別にみると、愛知県が5万ヘクタールと最も広く、千葉県や京都府などの都市圏も3万ヘクタール以上が設定されました。

 2024年2月20日(火)

2024/02/19

🟧合成麻薬LSDに似た成分含む製品など6種類、販売禁止命令 厚労省

 合成麻薬のLSDに似た成分が入った製品など6種類について、厚生労働省は19日、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 販売禁止となったのは、合成麻薬のLSDに似た「1DーLSD」の名称で流通している薬物の入った3製品と、大麻に類似した「HHCPO」が含まれる3製品です。

 厚労省によりますと、今年1月、「1DーLSD」を含むとみられる製品を摂取した20歳代男性が錯乱状態となるなど、健康被害が報告されているということです。

 こうした状況を受け、厚労省は指定薬物以外の成分でも生産や流通を広域的に規制する必要があるとして、19日付けで医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 法律で規制されている薬物に似た成分が含まれる危険ドラッグを巡っては、昨年、大麻に似た成分が入った製品を摂取した後、病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次ぎ、厚労省は昨年12月にグミやクッキーなどの38製品の販売を禁止していて、19日に6製品を追加したことで販売を禁止したのは44製品になりました。

 厚労省は販売を禁止した製品に入っている成分について、指定薬物として規制対象にすることも検討しています。

 2024年2月19日(月)

🟧厚労省が飲酒に関する初のガイドラインを決定 高血圧、少量でもリスク増

 厚生労働省は19日、飲酒に伴うリスクを周知し健康障害を防ぐため、飲酒に関する初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を正式決定しました。疾患ごとに発症リスクが高まる酒量を純アルコール量換算で示し、適量を心掛けるよう呼び掛けています。高血圧などは少量でもリスクが上がると警告しました。

 ガイドラインは、生活習慣病リスクを高める純アルコール量の参考値として「男性1日40グラム以上、女性20グラム以上」を提示。20グラムはビール中瓶1本(500ミリリットル)、日本酒1合(180ミリリットル)に相当します。

 発症リスクが高まる量として、大腸がんは男女ともに1日20グラムとしました。ただ、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などは、少しでも飲むと発症リスクが高まる恐れがあると指摘。「より少ない飲酒量とすることが望まれる」と強調しました。 

 健康への配慮として、あらかじめ量を決めて飲む、飲酒前や飲酒中に食事を取る、合間に水を飲む、1週間のうち飲酒しない日を設ける、などが必要と説明しました。短時間の大量飲酒や他人への強要、不安や不眠を解消するための飲酒は避けるよう求めました。

 厚労省などによると、成人1人当たりの酒類の消費量は1992年をピークに減っている一方、アルコール依存症の総患者数は2017年時点で4・6万人と、1996年の4・7万人と同水準となっています。

 2024年2月19日(月)

2024/02/18

🟧高い枕で寝る人ほど脳卒中の発症率が高い 循環器病研究センターが発見

 国立循環器病研究センターの研究チームは、枕の高さが高い人ほど脳卒中の原因となる「特発性椎骨動脈解離」の発症リスクが高いことを発見しました。首が曲がることなどで負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。枕を低くすることで予防につながるとみています。

 特発性椎骨動脈解離は首の後ろ側にある「椎骨動脈」という血管が裂けてしまう病気のうち、原因が詳しくわからないタイプを指します。若者や中年で脳卒中が起きる原因の1つとみられています。

 研究チームは、特発性椎骨動脈解離の患者の一部が極端に高い枕を使うことに着目しました。この病気の患者約50人と他の病気の患者約50人について、発症時の枕の高さで分類しました。

 高さ12センチメートル未満の普通の枕を使うグループのうち、特発性椎骨動脈解離の患者は約4割でした。だが高さ15センチメートル以上の高い枕を使うグループでは、この病気の患者が約9割を占めました。こうした関係を詳しく調べ、枕が高いことと病気の発症リスクが関連することを突き止めました。こうした関係は枕が硬いほど顕著だといいます。

 枕が高いと首が曲がって負荷がかかり、さらに寝返りの時にも負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。

 研究チームは、「何げない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ることを認識してもらい、予防につなげてほしい」と話しています。

 2024年2月18日(日)

🟧医師免許ない臨床工学技士が手術で皮膚を縫合、山形済生病院に保健所が立ち入り検査

 山形市沖町にある山形済生病院で2021年1月~2022年4月に、整形外科の手術中に、臨床工学技士が皮膚の縫合を行っていたことがわかりました。医師法は医師免許のない者による医療行為を禁じており、同市保健所が昨年12月、同法に抵触する可能性があるとして病院に立ち入り検査を行いました。

 石井政次院長によると、臨床工学技士は2021年1月~2022年4月、医療機器の操作のため十数件の手術に参加。整形外科の執刀医の指導のもと、皮膚の縫合を複数回行ったといいます。病院は、手術を受けた患者全員に事情を説明しました。健康被害は確認されていないとしています。

 皮膚の縫合を行った臨床工学技士は、医師の負担軽減のための業務分担と認識しており、医師法に違反するとの認識はなかったといいます。

 石井院長は、「コンプライアンスを徹底するよう、全職員に通達した。今後の管理を徹底したい」と話しました。

 また、山形済生病院はホームページで、「病院の業務管理が不十分であったことが一因で、今後、このような事案が起こらないよう院内体制を整備し、再発防止を徹底します。患者様にはご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

 2024年2月18日(日)

🟧薬剤の補充分なく、薬切れた直後に90歳代患者が死亡 神戸徳洲会病院「死期早めた可能性」

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で1月、心肺停止状態で搬送されてきた90歳代の男性患者に血圧を上げる薬を投与した際、補充分が用意されておらず、薬が切れた直後に男性が死亡したことがわかりました。同病院は「死期を早めた可能性がある」として、家族に謝罪しました。

 同病院によると、男性は1月19日午前に、市内の福祉施設から搬送されました。治療を受けて心拍は再開し、病院内で管を通して血圧を上げる薬を投与されていました。同日夜、薬が残り少なくなったことを知らせる警告音が鳴り、家族が職員に知らせたものの、補充する薬が準備されていませんでした。

 看護師がすぐに手配したが間に合わず、男性は薬が切れた直後に死亡。同病院は事故調査委員会を設置し、神戸市に報告しました。同病院は、「市の指導を受け、適切に対応する」としています。

 同病院では昨年7月、循環器内科医が行ったカテーテル手術後に複数の患者が死亡したことが発覚し、同市は同8月「医療安全体制に不備がある」として是正を求める行政指導を行いました。

 その後、糖尿病患者に必要な治療が行われず、同9月に死亡していたことも判明。市は今年1月に医療法に基づく改善命令を同病院に出す方針でしたが、今回の死亡事案を受けて延期していました。今回の事案を含めて近く、改善命令を出す方針です。

 2024年2月18日(日)

🟥医療機関の受診、原則マイナ保険証の利用に 従来の保険証も3月までOK

 12月2日から、会社員やその家族が加入する健康保険組合の健康保険証に代わって、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用が原則となった。1日までですべての健康保険証の有効期限が切れたため。厚生労働省は患者が期限切れの保険証を提示しても、来年3月末まで...