2024/03/22

🟧世界初、ブタの腎臓を移植した患者が順調に回復 アメリカのマサチューセッツ総合病院

 アメリカのボストンにあるマサチューセッツ総合病院は21日、重い腎臓病を患ったマサチューセッツ州の62歳男性にブタの腎臓を移植したと発表しました。これまで脳死状態の患者へのブタの腎臓移植は行われたことがありましたが、患者の回復を目指した移植は世界で初めてだということです。

 ブタは人体側の拒絶反応を避けるため、69カ所の遺伝子操作を施してありました。男性は順調に回復し、近く退院できる見込み。移植用臓器の不足を緩和するための重要な一歩だと評価しました。

 同病院移植外科の河合達郎医師は、「この手法が、世界で腎不全に苦しむ何百万人もの人々にとって頼みの綱になることを望む」とコメントしました。 使用した腎臓は、アメリカの企業eGnesis(イージェネシス)が供給しました。遺伝子を高効率で改変するゲノム編集技術を使ってブタの一部遺伝子を削除し、人間の遺伝子を挿入することで人体への適合性を高めました。ブタのウイルスの機能を失わせる感染対策もしました。サルへの移植で有効性を検討し、人間の患者への実施に踏み切りました。

 男性は長く2型糖尿病や高血圧に悩まされ、7年間の透析治療の後、2018年に死亡した人から腎臓の提供を受けたものの、昨年、機能不全に陥りました。

 アメリカでは遺伝子操作したブタの臓器を人間に移植できないか、研究が進められており、2022年には、ほかの治療法で回復が見込めない患者がブタの心臓の移植を受けましたが、およそ2カ月後に死亡していました。

 2024年3月22日(金)

2024/03/21

🟧大麻絡む事件で摘発、昨年6482人で過去最多 初めて覚醒剤上回る

 昨年1年間に全国の警察が大麻が絡む事件で摘発した人数が過去最多の6482人(前年比1140人増)に上り、記録が残る1958年以降で初めて覚醒剤事件の摘発者数を上回ったことが21日、警察庁のまとめでわかりました。10歳代も初めて1000人を超え、同庁は若年層で大麻の蔓延(まんえん)が深刻化しているとみています。

 発表によると、年代別では、20歳代が3545人(前年比692増)、10歳代が1222人(同310人増)と、20歳代以下だけで全体の73・5%を占めました。続いて30歳代が974人(同43人増)でした。

 10歳代の摘発は、年々増加しており、2014年の80人から約15倍になりました。低年齢化が加速しており、高校生は前年比約1・4倍の214人、中学生も同約2倍の21人でした。

 警察庁が昨年10~11月、大麻の単純所持容疑で摘発した1060人を対象にした調査では、初めての大麻使用年齢は「20歳未満」が52・5%に上り、2017年に行った同様の調査の36・4%から約16ポイント上昇していました。

 動機はどの年代も「好奇心・興味本位」が最多で、20歳代以下で次に多かったのは「その場の雰囲気」でした。入手先を知った方法は20歳未満の半数が「インターネット経由」でした。利用したツールはX(旧ツイッター)が約9割でした。

 大麻の危険性についての質問では、7割超が「全くない」「あまりない」と回答し、1割だった覚醒剤を大きく上回りました。

 昨年の大麻の末端価格は1グラム5000円で、同6万6000円の覚醒剤の13分の1程度。16歳を境に摘発が増える傾向があり、警察庁は「入手が容易になり、有害性の認識も低くなっている」とみて、高校生を対象に啓発活動を強化します。

 一方、昨年1年間に覚醒剤事件で摘発された人数は5914人(前年比210人減)でした。2016年以降減少が続いていたものの、覚醒剤の押収量は1342・9キロ(同1053・9キロ増)と増加しました。外国人による密輸入が目立ちます。

 21日の定例会見で警察庁の露木康浩長官は、「若年層が大麻の有害性を正しく認識できるよう、積極的な情報発信や、ネット上の取引情報の排除などを一層推進していきたい」と述べました。

 一方、昨年の危険ドラッグが絡む事件では、前年比52%増の424人が摘発され、2年連続で増加しました。このうち乱用者は395人。若年層の割合が増えており、昨年は20歳代が52・4%、20歳未満が9・4%でした。

 2024年3月21日(木)

2024/03/20

🟧マダニ媒介のウイルス感染症、国内初の人から人への感染確認 患者を処置した医師に症状

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、国立感染症研究所は人から人に感染したケースを国内で初めて確認したと発表しました。感染したのはSFTSの患者を担当した医師で、すでに症状は軽快しているということです。

 国立感染症研究所によりますと、2023年4月、SFTSに感染した90歳代の男性患者を診察した20歳代の男性医師が、最初の接触から11日後に発熱し、その後、SFTSと診断されたということで、ウイルスの遺伝子検査で90歳代の患者と同じウイルスと考えられることなどから、人から人への感染と診断したということです。

 SFTSの人から人への感染は中国や韓国では報告されていますが、国内で確認されたのは、初めてだということです。

 国立感染症研究所によりますと、90歳代の男性患者が入院中は、医療従事者は感染対策をとっていましたが、医師は診断される前の診察で手袋をしておらず、また、その後、患者が死亡し、点滴を外す処置などをした際もマスクや手袋などはしていたもののゴーグルを着けていなかったということです。

 SFTSは、主にマダニに刺されることで感染するウイルス感染症で、発熱や腹痛などの症状を引き起こし、重症化すると死に至ることもあります。

 国立感染症研究所は、感染した患者の診療の際には、医療従事者は感染予防対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 厚生労働省は、「SFTSはマダニからの感染が基本で、人から人への感染は簡単には起きない。ただ、患者の血液や体液に触れる可能性がある医療従事者は感染対策を徹底する必要がある」としています。

 2024年3月20日(水)

🟧2023年は観測史上最も暑い年、南極海氷も最小に WMO発表

 スイスのジュネーブに本部を置く世界気象機関(WMO)は19日、2023年が観測史上最も暑い年になったのを確認したとする報告書を発表しました。南極の海氷消失や海が蓄えた熱量、海面上昇、氷河の融解でも、それぞれ過去最高の記録を更新しました。

 WMOがまとめた報告書は、2023年が観測史上最も暑い年になったとの暫定データを確認すると同時に、直近10年間も観測史上最も暑い10年間だったと指摘しています。

 報告書によると、2023年の世界の平均気温は、産業革命前と同程度とされる1850~1900年の平均より約1・45度高くなりました。今世紀末の気温上昇を1・5度に抑えるとする2015年パリ協定の目標値に迫っています。

 南極の海氷は、1979年以降で最小となる面積を2023年2月に記録。2023年で最大だった9月の約1700万平方キロメートルも、これまでの最小記録より約100万平方キロメートルも小さくなりました。

 WMOの気候監視部門の責任者は会見で、「2024年は昨年の記録を再度更新する可能性が高い」と述べました。

 国連(UN)のアントニオ・グテレス事務総長は同報告書について、「地球は瀬戸際にある」とビデオメッセージで指摘。「地球は救難信号を発している」「化石燃料による汚染で気候変動が加速している」と警告しました。

 2024年3月20日(水)

2024/03/19

🟧東京都で20歳代男性のはしか感染を確認 今年に入って4人目 2月下旬に東南アジアから帰国

 国内で「はしか」(麻疹)の感染報告が相次ぐ中、東京都内に住む20歳代の男性の感染が新たに確認されました。都内では、今年4人目の感染者となります。

 東京都によりますと、「はしか」への感染が確認されたのは都内在住の20歳代の男性です。

 男性は、3月10日に発熱やせき、それに目の充血などの症状が出たことから、医療機関を受診しましたが「はしか」とは診断されず、その後、発疹の症状も出たため、再度、医療機関を受診したところ、18日になって感染が確認されました。現在、男性は自宅で療養中で、快方に向かっているということです。

 感染経路はわかっていませんが、男性は2月下旬に東南アジアから帰国し、3月10日の夜に新宿区内の飲食店を、12日の昼に千代田区内のファストフード店を利用していたということです。

 「はしか」は空気感染で広がり、感染力が極めて強いため、都は男性が利用した飲食店などの情報をホームページで公開しています。

 「はしか」を巡っては3月に入って、都内を訪れていた大阪市在住の20歳代の女性や、都内に住む5歳未満の男の子の感染が確認されていますが、都によりますと、感染経路はそれぞれ異なるとみられています。

 今回の感染で、今年の都内の感染者数は4人となりました。

 都は症状が疑われる場合は事前に医療機関に連絡した上で受診し、移動の際は公共交通機関の利用を控えるよう呼び掛けています。

 2024年3月19日(火)

🟧認知機能低下による死亡リスク、「独居」の高齢者は「同居」の高齢者より低い 7万5000人を調査

 認知機能の低下や認知症は、将来の死亡リスクを高める要因として知られています。この関係に「孤立」がどう作用しているか調べたところ、1人暮らしの場合、同居の人がいるよりも、認知機能低下が死亡につながる関係性は弱かったとの意外な分析結果を、東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームがアメリカの医学誌に発表しました。

 研究チームは、2015年に東京都足立区で自宅に居住し、認知症との診断を受けていない65歳以上の約7万5000人に、認知機能や世帯構成、他者との交流頻度などに関するアンケートに答えてもらいました。このデータを、区の協力で得たその後5年間の死亡情報と突き合わせて、認知機能低下と死亡リスク、孤立の状況の関係を分析しました。

 その結果、調査時に認知機能が低下していた人は、していなかった人と比べて、5年後までの死亡リスクが1・37倍高くなりました。特に、他者との交流が少ない人の死亡リスクは1・60倍と高く、交流が多い人は1・24倍と低くなりました。

 誰かと同居している場合、認知機能低下による死亡リスクは1・43倍だったのに対し、独居の人の認知機能低下による死亡リスクは1・13倍と低くなりました。

 調査結果をまとめた社会参加とヘルシーエイジング研究チームの村山洋史研究副部長は、「認知機能が低下すると死亡リスクが高まり、他者との交流が少ないとますますリスクが高まるが、独居は必ずしもそうではない。家事を独りでできるなど、生活力があるから独居できていることもある。孤立の実態を注意深く把握し、支援やケアの在り方に役立てるべきだ」と話しています。

 2024年3月19日(火)

2024/03/18

🟧環境省がPFAS除去の指針を策定へ 各地の健康懸念受け

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を巡り、水道水や生活用水の水源などで高濃度で検出された場合の具体的な除去技術をまとめた指針を環境省が夏ごろ策定することが16日、わかりました。国の暫定目標値を超えるPFASが各地で相次ぎ検出されて、健康への影響が懸念されており、自治体などが取るべき対応を明確にします。

 汚染が確認された岐阜県各務原市や沖縄県宜野湾市では、活性炭などを使った除去の実証を進めており、知見を指針に反映させます。最新の研究事例も盛り込む方針で、環境省の専門家会議で議論します。

 活性炭は低コストで多用途に使える除去技術として、PFAS除去でも利用が拡大。だが岡山県吉備中央町の浄水場汚染は、野ざらしで保管された使用済みの活性炭からPFASが流出したのが原因とみられており、政府関係者は「活性炭使用後の適切な処理の徹底を同時に図る必要がある」と強調しています。

 PFASはフライパンのコーティングや航空機用の泡消火剤など幅広く使われてきました。極めて分解されにくく、環境中に出ると長期間残留して人の体内などに蓄積。発がんリスクやコレステロール値の上昇、免疫機能への悪影響などが懸念されています。

 2024年3月18日(月)

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。  訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ...