2025/08/13

🟥VR映像でうつ病患者治療 高知大病院が臨床研究

 高知大病院と医療系企業「BiPSEE」(東京都渋谷区)はこのほど、うつ病患者の気分が落ち込む症状「抑うつ」を、仮想現実(VR)映像を用いたデジタル療法で軽減できることを特定臨床研究で確認したと明らかにした。医療機器としての承認を目指し、治験開始に向け準備を進めている。

 同病院などによると、うつ病患者の中には抗うつ薬の効きにくい人や、論理的な理解が必要とされるタイプの精神療法が向かない人もいる。

 臨床研究では、VRとスマホアプリを組み合わせた8週間のプログラムを自宅で実施。仮想空間の海に漂う生物を、色や形などの指示に従い一定時間見詰め、自発的に注意を向ける練習を行った。自分の内面ばかりに向いてしまう注意をコントロールすることが狙いという。

 研究に参加した患者47人のうち、VR療法を実施した24人は、うつ病のスコアが減少し、追跡調査でも効果が継続した。

 同社の代表取締役で高知大医学部の松村雅代特任教授は、「誰でも感覚的に理解できるのはVRの大きな強み。うつ病治療の選択肢の一つにしていきたい」と話した。

 2025年8月13日(水)

2025/08/12

🟥マダニ媒介の感染症「SFTS」、全国の患者数が昨年1年間の累計上回る

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、今年、これまでに全国から報告された患者数は、速報値で124人と、昨年1年間の累計を上回った。これまで感染が確認されていなかった地域でも患者が報告されていて、専門家は対策を呼び掛けている。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニにかまれることで感染する感染症で、発症したネコやイヌから人に感染するケースも報告されている。

 国立健康危機管理研究機構によると、今年に入ってから8月3日までに報告された患者数は、速報値で124人に上り、すでに昨年1年間の累計の120人を超えた。

 また、過去最も多かった2023年の同じ時期を20人上回っている。

 感染者が報告されているのは28府県で、高知県で14人、長崎県で9人、島根県と熊本県と大分県で8人、愛知県と鹿児島県で7人など、西日本を中心に患者が多くなっている。

 今年は、これまで感染が確認されていなかった地域でも患者が報告されていて、各地の自治体の発表などを含めると、北海道、茨城県、栃木県、神奈川県、岐阜県で初めて感染が確認された。

 国立健康危機管理研究機構獣医科学部の前田健部長は、「西日本以外の地域でも、ウイルスを持ったマダニが増えている可能性がある。野外で活動する際はマダニに刺されないよう、肌の露出を減らす服装を心掛けるなど、対策をしてほしい」と話している。

 SFTSは、2013年に国内で初めて患者が確認され、例年約40人から130人ほどの患者が報告されている。

 感染すると、6日から2週間ほどの潜伏期間の後、発熱や倦怠感のほか、おう吐や下痢などの症状が現れ、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することがある。

 厚生労働省によると、国内でSFTSと診断された患者のうち、死亡した患者の割合は27%と報告されているということである。

 患者には対症療法が行われるほか、2024年に抗ウイルス薬の「ファビピラビル」が治療薬として承認されている。

 感染を媒介するマダニは、主に屋外の草むらや畑、森の中などに生息していて、農作業中や、山の中を歩いている時に、かまれることがあるとされている。

 厚労省では、マダニに刺されないよう、農作業や登山で草むらなどに入る場合は、長袖や長ズボンを着用し、肌の露出を少なくするよう呼び掛けている。

 また、SFTSを発症したペットのネコやイヌから飼い主や獣医師が感染したケースや、患者の血液から医師が感染したケースが報告されていて、厚労省は、動物や人の血液や唾液などを介した感染にも注意が必要だとしている。

 2025年8月12日(火)

2025/08/11

🟥訪問介護業者の倒産、最多45件 2025年1~6月、物価高で経営改善「限界」

 訪問介護事業者の倒産は2025年1〜6月に全国で45件あり、2年連続で過去最多を更新したことが9日わかった。前年同期の40件から12・5%増で、介護報酬の減額が影響した。集計した東京商工リサーチは、物価高でコスト削減が難しいため、自力での経営改善は「限界」だとして公的支援を訴えている。

 負債額1000万円以上を対象に集計した。45件の倒産のうち38件は、介護報酬の減額や利用者減少による売り上げ不振が原因だった。介護報酬は厚生労働省が原則3年に1度改定しており、訪問介護の基本報酬は2024年度改定で減額となった。

 各事業者は報酬減により、賃上げに回す資金が乏しくなっている。政府は補助金などで支援を続けているが、介護職の賃金は全産業平均を下回ったままだ。ヘルパーの採用が難しく、人手不足が一因となった倒産も6件あった。

 倒産事業者の規模は、これまで小規模・零細事業者が大半だった。今回は中小事業者にも広がり、業界の苦境が鮮明だ。都道府県別では、東京都が6件で最多。和歌山県が5件、兵庫県が4件で続いた。

 2025年8月11日(月)

2025/08/10

🟥「日本ストライカー」製造のAED9153台自主回収 品質検査で不具合確認

 心臓発作を起こした人に救命措置を行うAED(自動体外式除細動器)について、製造・販売している都内の会社が品質検査で電気ショックができない可能性がある不具合が確認されたとして、9000台余りを自主回収すると発表した。

 自主回収の対象となるのは「日本ストライカー」が製造し、一昨年3月から今年2月にかけて販売した「サマリタン」シリーズ、合わせて9153台。

 会社によると、これらの製品はヨーロッパの基準に合わせて製造プロセスを変更したということで、今年3月の品質検査で回路の基板部分に故障があり、電気ショックができなくなる可能性があることがわかったということである。

 これまでのところ国内でトラブルは報告されていないということであるが、会社は救命措置を行う場合に機械が作動しない可能性があるとして、自主回収すると発表した。

 この製品は全国の4348施設に納入されていて、会社は情報提供を行った上で、準備ができしだい、代わりの製品を発送し、対象の製品を回収するという。

 日本ストライカーは、「ご迷惑をおかけすることを心よりおわび申し上げます。緊急時に、ほかに使用できるAEDがある場合はそちらを使用してほしい」とコメントしています。

 2025年8月10日(日)

2025/08/09

🟥建設アスベスト訴訟、大阪高裁でも和解 12社が115人に計12億円支払い

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸って肺がんや中皮腫になった元作業員と遺族ら約130人が、アスベストを含む建材を扱った複数のメーカーに損害賠償を求めた訴訟が8日、大阪

高裁(徳岡由美子裁判長)で和解が成立した。原告弁護団は「多くの被災者が亡くなる中で、早期救済の一点で集団和解に至った意義は大きい」と評価する。

 和解条項によると、建材メーカー12社が原告115人に対して、計約12億5000万円を解決金として支払う。そのうち、日東紡績や大健工業など10社は被害を生じさせたことについて謝罪。責任が認められないとされたメーカー9社も原告らに「哀悼とお見舞いの意」を表する。

 東京高裁でも7日に和解が成立しており、原告弁護団の村松昭夫弁護士は会見で「画期的な前進だ。全国で続く関連訴訟で和解が進むこと、裁判がなくても救済される仕組みができることを強く望む」と話した。

 一方、屋外の解体作業などをしていた原告らについては、メーカー側の責任が否定された。村松弁護士は「建設現場でアスベストを吸って病気になった事実は同じで、被災者の線引きは許されない。政治こそが動くべき問題だ」と訴えた。

 建設アスベストを巡っては、最高裁が2021年に国と一部メーカーの賠償責任を認め、国が給付金を支払う制度をつくった。一方で、建材メーカー側は賠償額などを争い、訴訟が続いている。

 弁護団は9~10日の午前10時~午後6時、被害者向けに電話での無料相談を実施する。問い合わせは0120・966・329へ。弁護団は「できるだけ多くの被災者を掘り起こしたい」と話している。

 2025年8月9日(土)

2025/08/08

🟥認知症薬、年45万円値下げ 「レカネマブ」、11月から

 厚生労働相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)は6日、認知症のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の薬価を11月1日から15%引き下げることを了承した。費用対効果が低いとの分析結果が示されていた。患者1人(体重50キロの場合)当たり年約298万円から約45万円安い年約253万円とする。

 「レカネマブ」(商品名レケンビ)は軽い認知症と、その前段階の軽度認知障害の人が対象の薬。エーザイなどが開発し、認知機能の低下を遅らせる効果が期待されている。体重1キロ当たり10ミリグラムを点滴で2週間に1回投与する。期間は原則1年半まで。

 中医協は2023年12月、公的医療保険の適用対象とすることを了承した。その際、薬価を引き下げる場合でも下げ幅を最大15%にとどめると定めていた。薬価は現在、1瓶(500ミリグラム)11万4443円で、11月から9万7277円に引き下げる。

 患者の自己負担は年齢や所得に応じて薬価1~3割。自己負担に上限を設ける高額療養費制度もある。

 2025年8月8日(金)

2025/08/07

🟥30年凍結保存の受精卵から男児誕生 世界最長、アメリカのカップル

 アメリカ中西部のオハイオ州の女性がこのほど、30年以上前に凍結された受精卵(胚)を使って妊娠し、赤ちゃんを出産した。出生に至った凍結胚としては、世界で最も長期にわたって保存されたものと報じられている。

 オハイオ州在住のリンジー・ピアースさん(35)と夫ティム・ピアースさん(34)のもとに7月30日、息子タディアス・ダニエル・ピアースくんが誕生した。リンジーさんは、「まるでSF映画のようだ」と家族で話していると、学術誌「MITテクノロジーレビュー」に語った。

 今回用いられた凍結胚は、出生に至ったものとしては世界で最も長い間、保存されていたとされる。これまでの最長記録は、2022年にアメリカのオレゴン州で誕生した双子のケースで、30年前の1992年に凍結された胚が用いられた。

 ピアース夫妻は7年間にわたり子供を授かろうと努力を重ねた末、凍結された受精卵を用いることを決めた。そして、リンダ・アーチャードさん(62)が1994年に、当時の夫と体外受精(IVF)治療でつくった受精卵が用いられた。

 アーチャードさんは当時、4つの胚をつくった。1つは現在30歳の娘の誕生につながった。残りの3つは冷凍保存されたままだった。

 アーチャードさんは、その後、夫と離婚し、冷凍保存費用がかさみ、使わなかった胚を別のカップルや個人に提供する「胚の養子縁組」に出すことにした。

 2025年8月7日(木)

🟥新型コロナ感染者、8週連続で増加 1医療機関当たり6・13人

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、8月10日までの1週間に、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数が6・13人と8週連続で前の週から増加した。  厚生労働省は、「例年夏と冬には感染者が多くなる傾向にあり、感染者の増加が続いている。手洗いやせきエチケット、エアコンを使用して...