2023/11/09

🟩エルニーニョ現象は来春まで継続、さらに高温も 世界気象機関が警戒

 世界気象機関(WMO)は8日、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」が少なくとも来年4月までは続くとの見通しを公表しました。エルニーニョ現象は世界的な気温上昇を招くことが多く、観測史上最も暑い年になることが確実視されている今年よりも、2024年がさらに高温になる可能性があるとして、WMOは警戒しています。

 WMOは今年7月に、7年ぶりにエルニーニョ現象が発生したと発表。エルニーニョ現象は2~7年おきに発生し、通常は9~12カ月は継続します。過去最も暑い年だった2016年も、エルニーニョ現象の影響を強く受けていました。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「エルニーニョは、発生翌年に世界の気温への影響を及ぼすことが通例だ」と指摘。「2023年は観測史上最も暑い年になることが見込まれており、来年はさらに暑くなる可能性がある」と述べ、温室効果ガスの濃度が高止まりしている現状に懸念を示しました。

 2023年11月9日(木)

🟩アメリカの「先天梅毒」の新生児、年3761人 10年で11倍に急増

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は7日、アメリカの先天梅毒の新生児が過去10年で11倍に急増していると警鐘を鳴らしました。同国では性感染症が全般的に増加しています。

 CDCによれば、2022年の先天梅毒の新生児は3761人に上り、2012年の11倍となりました。10例中9例は、母親が妊娠中に適切な時期に検査・治療を受けていれば感染を防げたはずだとCDCは指摘しています。

 母親が梅毒に感染して治療を受けていない場合、胎盤を通じて胎児にも感染するリスクがあります。流産や死産を招くか、新生児に関しては視力・聴力の低下、骨格異常などの長期的な合併症を引き起こす恐れがあります。

 CDCのデブラ・ホウリ最高医学責任者は、「アメリカで先天梅毒の危機が悲惨なペースで広がっている」と指摘。「アメリカでは性感染症が拡大し続けている」「生殖可能年齢の女性とその性的パートナーを含め、全年齢層で梅毒が増加している」と述べました。

 特に感染者が多いのは、人種的マイノリティーの人々で、検査や治療を受ける割合は白人を下回っています。

 CDCは、2021年では黒人、アメリカ先住民、ヒスパニックの新生児が先天梅毒になるリスクは、母親が白人のケースに比べると最大8倍も高かったと指摘し、最も脆弱(ぜいじゃく)なグループに合わせた戦略を求めました。

 CDCで社会的感染症予防の最高責任者を務めるローラ・バックマン氏は、人種的マイノリティーの人々の障壁には「継続的な健康保険がないために医療や妊産婦ケアを受けられず、交通手段も限られている問題や、物質使用障害や不安定な居住状態、貧困、人種差別などが含まれる」と説明しています。

 国立感染症研究所によると、日本での先天梅毒の報告は年20人前後。

 2023年11月9日(木)

🟩東京都のプール熱感染者数が前週に続き警報の基準超える

 東京都内の感染症について、都は9日、10月30日から11月5日までの1週間の動向を公表しました。

 それによりますと、1医療機関当たりの感染者数は、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱が2・73人で前の週の1・04倍に増え、引き続き警報の基準を超えています。

 一方、インフルエンザは16・99人で、前の週の0・85倍と減少しましたが、引き続き注意報の基準を超えています。

 新型コロナは1・46人で、前の週の1・84人からさらに減少しました。減少は9週連続で、5月に新型コロナが5類に移行して以降、最も低くなりました。

 一方、6日時点の入院患者数は570人で、前の週から約90人増加しました。

 専門家は、「現時点では医療提供体制への大きな負荷はみられない」と分析しています。

 都は、換気や場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年11月9日(木)

🟩運動不足で年5万人死亡 中等度の強度で毎週2回以上計150分以上の運動がお勧め

 運動不足になると、糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病になるリスクが上がります。その結果、長期的には心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気になりやすく、死亡リスクも上昇します。最近では、運動不足は心筋梗塞や脳卒中だけでなく、がんや認知症リスクも高めるといわれています。

 日本では運動不足による死亡者数は喫煙、高血圧に次ぎ3位で、年間約5万人が運動不足で亡くなっていると推定されています。

 では、どの程度の運動を何時間、週に何回やれば、生活習慣病やがんにならずにすみ、健康寿命を延ばせるのかといえば、1日数回10分ほど、早歩き程度の運動を続けても健康に効果があります。週末だけでも1日8000歩以上歩くと一定の健康増進効果が期待でき、死亡リスクが下がります。

 ただし、ほとんどの研究で、その効果が出るのに10年ぐらいかかります。三日坊主ではなく、数年以上続けないと、病気のリスクを下げたり寿命を延ばしたりすることはできないでしょう。

 少し前の調査では、日常的に健康維持や増進のために意識的に運動をしている人の割合は、男性も女性も5割ほどいます。しかし、1回30分以上「少し息が弾む」程度の運動(中等度の運動)を週2回以上かつ1年以上続けている運動習慣のある人に限ると、男女ともに3~4人に1人です。

 現在推奨されている運動は、中等度の強度で毎週2回以上、計150分以上行うことです。このような運動をしている人は、長期的に心筋梗塞のリスクが2割減少し、死亡リスクも2割ほど低下します。より運動強度の高い有酸素運動を週に75分行っても同程度の効果があります。

 運動時間を増やすと追加効果が期待でき、さらに生活習慣病や死亡のリスクが下がります。ただ、やりすぎは禁物で、過度に長い時間運動したり、より高負荷の運動を続けたりすると、運動による追加的健康効果がなくなるばかりか、逆に死亡リスクを上げます。

 健康寿命を延ばす運動は、テニスでもジョギングでも、ゴルフや水泳でもよく、要は、少し汗ばむ程度の運動負荷を身体にかけ、脈拍が100~120/分になる有酸素運動であれば効果が期待できます。これを週に2~3時間するのがよいといわれています。

 目標とする運動時間や負荷は、年齢により異なります。30歳代や40歳代の人は脈拍が130/分ほどになる運動を週3時間程度するのがよく、60歳代の人は脈拍が110/分ほどになる運動を週2時間ほどすれば十分でしょう。

 このような運動で健康は増進されます。一方、脳の健康や認知症の予防には、もう少し工夫が必要です。運動する時に、左右の足を非対称に動かしたり、手足を別々に動かしたりするほか、簡単な計算や仲間と楽しくしり取りをすると、同時に脳も使うため、効果があるとされています。

 2023年11月9日(木)

2023/11/08

🟩マイナンバーカード、救急搬送時に医療情報閲覧システム導入へ

  救急搬送を迅速に行うためとして、総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを救急隊が現場で読み取り、通院歴などの情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。必要な費用を今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 救急搬送の要請を受けた救急隊は、現場で患者や関係者から通院している医療機関などを聞き取って搬送先を決める参考にしていますが、患者本人が話ができない場合は正確な情報を得られず、現場で迅速な措置ができないケースもあるということです。

 こうしたことから総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを患者が持っている場合に、救急隊が専用のタブレットを使って現場でカードを読み取り、医療情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。

 導入すれば、氏名や生年月日に加えて、通院歴がある医療機関や処方された薬などの情報が閲覧でき、現場での救命措置や、搬送する医療機関の選定に役立てられるということです。

 カードの読み取りには患者本人の同意が必要ですが、意識がない場合などは、救急隊の判断で閲覧できるようにすることも検討することにしています。

 総務省消防庁は、来年度、全国の約50の消防本部で実証事業を行うことにしており、必要な費用3億7000万円を、今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 2023年11月8日(水)

🟩今年の10月は「観測史上最も暑い10月」 5カ月連続で記録更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)は8日、今年の10月は1940年からの観測史上最も暑い10月だったと発表しました。世界の平均気温は6月から5カ月連続で記録を更新しており、2023年は史上最も暑い年になる見込み。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「世界の気温の記録が4カ月連続で破られた後の2023年10月は特に異常な気温となった」と述べました。

 「2023年は、ほぼ確実に観測史上最も暑い年になるといえる。現時点で(今年の気温は)産業革命前の平均より1・43度高い。野心的な気候変動対策を求める切迫感がこれまでになく高まった状態で、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で30日から始まる」と述べました。

 C3Sによると、今年の10月の平均気温は15・3度で、これまで最も高かった2019年を0・4度上回り10月の記録を更新。産業革命前の10月の推定平均気温を1・7度上回りました。北緯60度から南緯60度の海域を対象にした平均海面水温も20・79度で、10月としては最高でした。

 また、C3Sは、1~10月の世界平均気温も1940年からの観測史上、過去最高だったと発表しました。1991~2020年の同期間の平均気温を0・55度上回り、これまで最高だった2016年を超えました。

 正式な観測記録以外では、木の年輪や氷床コアなどのデータから、今年の気温は人類史上類をみない高さで、過去10万年で最も暑かった可能性があるとされます。

 今年はアジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカが熱波に見舞われ、カナダやギリシャ、スペインなどで山火事が相次ぎました。

 2023年11月8日(水)

🟩北海道大、ウイルス増殖抑制の化合物発見 新型コロナ、デング熱の新薬期待

 北海道大学の前仲勝実教授と松田彰名誉教授らは、新型コロナやデング熱などのウイルス増殖を抑える化合物を新たに発見しました。細胞には強い毒性を持たず、デングウイルスなど複数のウイルス種に対して強力な抗ウイルス活性を示す化合物を同定しました。

 ウイルスのリボ核酸(RNA)の合成伸長を阻害し、投与によりウイルス感染マウスの生存率が向上しました。デング熱など有効な治療薬のない新興・再興ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬開発が期待されます。

 北大創薬科学研究教育センターの化合物ライブラリーを用いてスクリーニングし、デングウイルス感染モデルで薬効評価した結果、「2―Thiouridine(s2U)」という化合物が強力な抗ウイルス活性を持つことを見いだしました。

 s2Uは、デングウイルスだけでなく、人に重篤な疾患を引き起こすジカ、黄熱、日本脳炎ウイルスやオミクロン型を含む複数の新型コロナウイルスなどプラス鎖RNAをゲノムに持つ多数のウイルスにおいて、その複製を強力に抑制しました。

 デングウイルスなどのRNAウイルスは、自身のゲノム複製時にRNA依存性RNAポリメラーゼという酵素を介して核酸合成します。s2Uはこの酵素に作用し、酵素によるウイルスRNAの合成伸長を妨げることでウイルス増殖を抑えます。

 実際にデングウイルスと新型コロナウイルスの感染マウスでの試験において、投与量に応じて体内のウイルス量が減少し、致死抑制効果を認めました。

 前仲教授は、「将来起きうるパンデミック(世界的大流行)にいち早く対応できる新薬の開発につながる可能性がある」と述べています。

 2023年11月8日(水)

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。  卵子凍結では、卵子...