2023/11/11

🟩介護事業者の経営、特別養護老人ホームなどが赤字に 厚労省調査

 介護事業者の経営状況について厚生労働省が調べたところ、光熱費の高騰でコストがかさんだ影響などで、2022年度は特別養護老人ホームなど、施設で介護サービスを提供する事業者の利益率が統計開始以降初めて赤字になりました。

 調査は厚労省が3年ごとに行っていて、全国約1万6000の事業者から回答を得て施設や在宅などの種類ごとに収入から支出を差し引いた利益率を調べました。

 それによりますと、昨年度のすべての介護サービスの平均の利益率は2・4%の黒字で、前回3年前と同じ数字で横ばいでした。

 サービス別の利益率では、施設で介護サービスを提供する事業者の経営が厳しく、特別養護老人ホームがマイナス1%、介護老人保健施設がマイナス1・1%、地域密着型の特別養護老人ホームもマイナス1・1%で、前回調査からそれぞれ2から3ポイント余り下がり、統計を取り始めた2001年以降、初めて赤字となりました。

 厚労省は、「光熱費や水道代の高騰でコストがかさんだ影響で、介護施設の経営が厳しくなっている」と分析しています。

 介護事業者に支払われる来年度以降の介護報酬については、改定に向けた議論が進められており、厚労省は今回の調査も踏まえて決めることにしています。

 また、人材流出をどう防ぐかが議論の焦点の1つとなっており、国は介護職員に対して来年2月から月額6000円程度の賃上げを行うことを決めています。

 厚労省によると、一般企業など全産業の平均利益率(2022年度)は6・2%で、介護事業者とは大きな開きがある。

 2023年11月11日(土)

🟩新型コロナ、1医療機関当たりの患者数が5類移行後最少 厚労省は冬の拡大を懸念

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、11月5日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・44人で、前の週の0・85倍となっています。

 厚生労働省は、「医療機関当たりの平均の患者数は、5類へ移行後最も少なくなったが、冬には感染拡大が懸念されるので、今後も対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月30日から11月5日までの1週間に、全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から2060人減って、1万2065人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は2・44人で、前の週の0・85倍となりました。前の週から減少が続くのは9週連続となり、新型コロナの法的な取り扱いが5類に移行後、患者数は最少になっています。

 都道府県別では、多い順に北海道が6・.51人、長野県が5・84人、山梨県が4・78人、岐阜県が4・28人、愛知県が3・51人などとなっていて、青森県、山梨県、岐阜県、滋賀県、島根県以外の42の都道府県で前の週より減少しています。少なかったのは福井県1・26人、長崎県1・36人、神奈川県1・41人、大分県1・43人、東京都1・.46人、大阪府1・54人など

 11月5日までの1週間に、全国約500の定点医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて4人の減少でした。

 2023年11月11日(土)

🟩インフルエンザ患者数、山梨県が1医療機関当たり全国最多 39・63人で全国平均のほぼ倍

 山梨県が1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数で全国最多となったことを受け、県の感染症対策センター(CDC)は10日、緊急会見を開き、医療提供体制の状況を説明すると同時に、高齢者施設向けに注意喚起を発出したと、公表しました。

 CDCの藤井充総長は、「現時点では県内の医療提供態勢は逼迫(ひっぱく)はしていないが、年末年始の新型コロナの感染拡大の恐れもあり、ワクチン接種の検討を求めたい」と語りました。

 厚生労働省が10日に発表した10月30日から11月5日までの都道府県別インフルエンザ発生状況では、山梨県が前週比34%増の39・63人で首位。全国平均の21・13人のほぼ倍のレベルとなっています。県内では5保健所のうち、3保健所管内で同30人以上の警報レベル入りしているほか、富士吉田市、都留市などの富士・東部保健所でも28・00と警報レベル寸前です。

 CDCによると、過去10年で最も早くインフルエンザの流行入りしており、定点データでは19歳未満の患者が全体の8割を占める状況で、学級・学年閉鎖措置は59に上り、現時点では若年層の感染が中心です」。

 今後、子供から親世代、さらに高齢者への感染拡大の懸念もあるため、県内約2000の介護施設などにインフルエンザの感染拡大防止の注意喚起を伝えたといいます。

 その一方で、CDCでは「抗インフルエンザ薬、ワクチンなどは昨シーズンを上回る供給があり、不足は生じてはいない」と説明しています。

 2023年11月11日(土)

2023/11/10

🟩イーライ・リリーの肥満症治療薬、アメリカFDAが承認 減量効果に期待

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は8日、アメリカのイーライ・リリーの肥満症治療薬「ゼプバウンド」(一般名:チルゼパチド)を新薬として承認しました。この薬はアメリカで2型糖尿病の治療薬として承認を受け、「マンジャロ」の商品名で販売しています。減量への効果から、肥満症向けに適用外で使用する例が増えていました。今回、肥満症薬として正式に承認されたことで、利用がさらに広がりそうです。

 ゼプバウンドはホルモンに働き掛けてインスリンの分泌を促す新しいタイプの肥満症薬です。アメリカで2021年に承認されたデンマークのノボ・ノルディスクの「ウゴービ」と似た仕組みで、血糖値を下げたり、食欲を抑えたりする作用があります。

 ゼプバウンドは週1回の注射で投与します。高血圧、2型糖尿病、高コレステロールなど少なくとも1つの体重関連疾患を有する肥満または過体重の人を適用対象としています。

 イーライ・リリーの発表によると、肥満または過体重の患者2539人(平均体重105キログラム)が参加したゼプバウンドの後期臨床試験(治験)で、食事療法や運動と組み合わせた72週間の治療の結果、最も多い用量(15ミリグラム)を投与したグループでは平均21・8キログラムの減量効果がありました。

 最も少ない用量(5ミリグラム)を投与したグループでも、平均15キログラムの減量効果がありました。偽薬(プラセボ)のグループでは体重の減少は平均で3キログラム程度でした。

 FDAによると、ゼプバウンドの既知の副作用には、吐き気、下痢、嘔吐(おうと)、便秘、腹部の不快感や痛み、注入部位反応、倦怠(けんたい)感、アレルギー反応、げっぷ、脱毛、胃食道逆流症などがあります。

 イーライ・リリーはゼプバウンドの薬価を1回の投与につき1059・87ドル(約16万円)と設定しました。6種類の用量を提供します。

 成人の約70%が肥満か過体重に相当するアメリカでは、減量効果が高い新しいタイプの治療薬の需要が急拡大しています。ウゴービやマンジャロは発売以来、供給が追い付かず、品不足の問題がたびたび報告されてきました。アメリカのモルガン・スタンレー・リサーチは同薬の世界市場が2030年に770億ドルに達すると予想しています。

 イーライ・リリーが11月に発表した2023年1〜9月期決算では、マンジャロの売上高は29億5800万ドルと前年同期の2億300万ドルから急増しました。

 2023年11月10日(金)

🟩気象庁、エルニーニョ現象は来春まで継続 強さ過去5番目、暖冬予想

 気象庁は10日、南米ペルー沖の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」が、少なくとも来春にかけて続く可能性が高いと発表しました。今年春に発生し、海面水温の平年差は10月にプラス2・2度となっており、過去5番目の強さ。エルニーニョ現象の影響によって、暖冬になると予想しています。

 エルニーニョ現象は、世界的な気温上昇や異常気象の原因になるとされます。

 気象庁によると、エルニーニョ現象の発生確率は12月まで100%、来年1、2月は90%、3月は80%。海面水温の平年差は今年5月にプラス1・1度だったのが、8月にプラス2・2度まで上がり10月まで続いています。来年1月ごろまでは同程度の強さを維持するとみています。

 2023年11月10日(金)

🟩「先天梅毒」の子供、過去最多に 10月4日時点で32人

 梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」と診断された子供の数は10月4日の時点で32人と、現在の形で統計を取り始めてから最も多くなっていることが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 梅毒は主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると、流産、死産となったり、子供が梅毒にかかった状態で生まれる先天梅毒となることがあり、視力・聴力の低下、骨格異常などの長期的な合併症を引き起こす恐れがあります。

 国立感染症研究所が発表した今年第3四半期までのまとめによりますと、10月4日までに先天梅毒と診断された子供の数は全国で32人でした。

 これは現在の形で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人をすでに上回り、これまでで最も多くなっています。

 梅毒の感染者数はここ数年増加が続き、今年も10月29日の時点で1万2434人と、これまでで最も多かった昨年の同じ時期を上回るペースとなっていることから、梅毒に詳しい日本大学医学部の川名敬主任教授は、先天梅毒の子供の報告も今後、さらに増える可能性があると指摘しています。

 川名主任教授は、「過去に感染したものの、気付かないまま治療を受けずに妊娠すると、先天梅毒につながるリスクがより高く、そのような人が年々増えていると思われる。妊婦健診で気付いて治療しても先天梅毒になる可能性があり、妊娠前に治療することが大切だ。梅毒を疑う症状やリスクのある性行為があった場合は、男女ともに検査を受けてほしい」と話しています。

 2023年11月10日(金)

🟩インフルエンザ患者数、引き続き増加 1医療機関当たり21・13人

 国立感染症研究所などによりますと、5日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は10万4359人で、1医療機関当たりでは前の週から1・45人増え、21・13人となりました。

 このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から5万9000人多い約73万3000人となっており、今年9月4日以降の累積の患者数は約364万8000人と推計されています。

 都道府県別では、山梨県が39・63人、埼玉県が34・84人、愛知県が34・62人、長野県が32・89人、福島県が32・66人、愛媛県が30・62人と、6つの県で「警報レベル」とされる30人を超えたほか、37の都道府県で「注意報レベル」とされる10人を超えました。

 一方で、愛媛県や神奈川県、東京都など、10の都県で前の週より患者の数が減少しています。

 また、年齢別では、患者全体の6割近くが14歳以下の子供だということです。

 分析を担当している国立感染症研究所感染症疫学センターは、「患者の増え方はこれまでのところ、2009年のシーズンの動向に似ているが、流行がどこまで大きくなるかはさまざまなな要因で変化するため、推定することは難しい。引き続き、発生動向について注意深く監視を続けていく」としています。

 2023年11月10日(金)

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。  卵子凍結では、卵子...