2023/11/19

🟩iPS細胞から免疫細胞を作製し子宮頸がん治療の治験へ 順天堂大など

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した免疫細胞で子宮頸(けい)がんを治療する治験を、順天堂大学などの研究チームが計画していることが、明らかになりました。チームは来年度にも患者に細胞を投与することを目指しています。

 治験を計画しているのは、順天堂大学の安藤美樹主任教授らのチームです。

 安藤教授らのチームは、健康な人の血液から、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した細胞を狙って攻撃する「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出し、この細胞からiPS細胞を作りました。

 そのiPS細胞から再びキラーT細胞を作ると、HPVに感染した細胞を攻撃する機能が高くなるほか、ゲノム編集技術を使うことで拒絶反応が起きにくくすることができたということです。HPVを攻撃する免疫細胞は血液中からわずかしか作れず、増やすこともむずかしいため、一度iPS細胞にすることで大量作製を可能にしました。

 チームではこうして作り出したキラーT細胞を、子宮頸がんが再発し治療がむずかしいとされる患者9人に投与する治験を計画しています。

 治験はまず少ない量から始め、安全性を中心に確認するということです。

 国内では年間約3000人が子宮頸がんで死亡しています。がんが再発した場合、治療がむずかしいことがあり、新たな治療法の開発が期待されているということです。

 チームは、今年度中に学内の審査委員会に申請して審査を受け、来年度には1人目の患者に投与したいとしています。

 安藤主任教授は、「安全性を確認した上で投与量を増やし、有効性を確認したい。子宮頸がんに苦しむ多くの女性の希望になるよう着実に進めたい」と話しています。

 2023年11月19日(日)

🟩新型コロナワクチン、定期接種に 費用の一部、自己負担も

 来年度からの新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は季節性インフルエンザなどと同様に、接種を受ける人に原則、費用の一部の自己負担を求める方針を固めたことがわかりました。来週、専門家の意見を聞いた上で正式に決めることにしています。

 新型コロナのワクチン接種は来年3月までは「特例臨時接種」となっており、接種費用を全額公費で負担して行われることが決まっています。

 来年度以降の接種費用負担について、厚労省は季節性インフルエンザなどと同様に原則、費用の一部自己負担を求める「定期接種」とする方針を固めました。

 具体的には、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人について、国の地方交付税で接種費用の3割程度を補助した上で、接種を受ける人に原則、費用の一部自己負担を求める方針です。

 また、接種の時期は年に1回、秋から冬の間に行う予定です。

 65歳未満で重症化リスクが高くない人については国の補助がなく、全額自己負担や自治体からの補助を受けて接種する「任意接種」とする方針です。

 さらに、新型コロナは流行する型が次々と変異することから、インフルエンザと同様に当面の間、使用するワクチンの型を毎年見直すこととしています。

 新型コロナワクチンの定期接種は、はしかのワクチンなどのように集団の予防を目的にするものではなく、高齢世代の季節性インフルエンザワクチンと同様に、個人の予防を目的にするものとなる方向です。

 厚労省は来週開かれる部会で専門家の意見を聞いた上で、正式に決めることにしています。

 2023年11月19日(日)

🟩東京都、梅毒感染者数が最多ペースを更新 先天梅毒も過去最多に

 東京都内の今年の梅毒患者報告数が、過去最多だった昨年を上回る勢いで増えています。感染は性風俗関係以外の幅広い層にも広がっている上、感染した母親から胎内で感染する「先天梅毒」も過去最多に上ります。都や医師会は、早期の検査や治療を呼び掛けています。

 梅毒は主に性的接触でうつる感染症。全身の発疹などの症状が出る例が多く、脳などに合併症が出る恐れもあります。母子感染する先天梅毒では、流産や死産の可能性が高まるほか、生まれた子供に骨や神経の異常、難聴が見付かるケースもあります。

 都によると、都内の患者数は11月6~12日に報告された時点で累計3209人で、昨年同期の3151人を超えています。年代別では女性は20歳代、男性は20~50歳代が中心。患者のうち先天梅毒の子供は過去最多の8人に達しています。

 感染者数は、2016~2020年が横ばい傾向だったものの、2021年から増加に転じ、感染者

は2451人に上りました。2022年の感染者3677人のうち、性風俗業従事者は2割にとどまっています。

 14日に開かれた都医師会の定例会見で、川上一恵理事は「風俗産業の病気だと思われているかもしれないが、性風俗関係ではない仕事の方や主婦、学生など、検査が行われない中で広がっている」と危機感をあらわにしました。

 川上理事は先天梅毒についても触れ、「生まれながらにこの病気で苦しむ赤ちゃんがいないように、不安な性交渉をした場合には検査をしてほしい」と呼び掛けました。

 都は、12月15日までエイズなどの性感染症の予防月間として、各区の保健所などで実施している検査回数を増やしています。検査日時の詳細や申し込み方法は、「都HIV検査情報WEB」で検索できます。

 2023年11月19日(日)

2023/11/17

🟩グミで相次ぐ体調不良、製造会社「未成年者の使用は控えるよう注意書きをしている」 厚労省麻薬取締部が東京都内販売店立ち入り

 大阪市の会社が製造したグミを食べた人が体調不良を訴えるケースが東京都や大阪府で相次いでいることを受けて、会社が記者会見を開き、グミには法律で規制されていない大麻に近い成分が含まれているとした上で、「会社のホームページでは未成年者などの使用は控えるよう注意書きをしている。このようなことが起きたのは遺憾だ」と述べました。

 一方、厚生労働省の麻薬取締部はこれらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるとして、東京都豊島区の販売店に立ち入り検査を始めました。

 東京都や大阪府では、今年に入ってから大阪市の会社が製造している同じグミを食べた人が病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次いでおり、警視庁や大阪府警によりますと、これまでに合わせて20数人に上っています。

 グミの袋には「HHCH」(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)と、法律で規制されていない大麻に近い成分の名前が書かれていて、警視庁などが鑑定を進めています。

 これを受けて、グミを製造した会社が17日、大阪市内で記者会見を開き、販売の経緯などを説明しました。会社によりますと、グミは気分の向上やリラックス効果などを目的に今年4月から製造を始め、インターネットや一部の店舗で販売しているということです。

 グミには「HHCH」という成分が含まれていて、会社は厚労省の許可を得て輸入している業者から、仕入れたものだと説明しています。販売する際は、20歳以上であることを確認しているということです。

 一方、会社にはグミを食べた人が気分が悪くなり、おう吐するなどの報告が今年4月以降、合わせて10件前後寄せられているということです。

 会見で、松本大輔代表取締役は「会社のホームページでは未成年者などの使用は控えるよう注意書きをしている。それにもかかわらずこのようなことが起きたのは遺憾だ」と述べました。

 その上で、「今回、未成年者に配布されるなどしたことは許される行為ではなく、これまで以上に、業界全体で注意喚起をしていく」と話していました。

 会社のホームページによりますと、グミの価格は10粒7000円で、「HHCH」が1粒当たり30ミリグラム含まれているとされています。

 一方、武見敬三厚労相が、成分が特定されれば類似するものも含めて、指定薬物として流通させることや所持することを禁止する方向で検討する考えを示したことについては、「愚策だと思う。規制すればするほど新しい成分が開発されるので、私としては反対だ」と述べました。

 一方、大麻に近い成分の名前が表示されているグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、厚労省の麻薬取締部はこれらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるとして、東京都豊島区東池袋の販売店に医薬品医療機器法に基づく立ち入り検査を始めました。

 麻薬取締部は幻覚などの健康被害を引き起こす成分がグミに含まれていないかを調べ、販売停止の命令を出すかどうか検討することにしています。

 販売店の関係者は、「外国人や海外で大麻を経験した日本人が大麻に近い成分を求めて買う人が多い」とか「20歳代から50歳代まで幅広い世代が買っていく。ほかの大麻由来の成分よりも刺激を求める人が買っている印象がある」と話していました。

 2023年11月17日(金)

🟩「エムポックス」感染、岡山県で初確認 30歳代男性、海外渡航歴なし

 岡山県は17日、県内在住の30歳代の男性がかつて「サル痘」と呼ばれていた「エムポックス」に感染したと発表しました。県内でエムポックスの感染が確認されたのは、初めてです。

 エムポックスは主にアフリカで流行しているウイルスで、発疹、発熱、倦怠感などの症状がみられます。多くは2~4週間で自然に治るものの、まれに重症化します。

 岡山県によりますと、感染したのは県内に住む30歳代の男性で10月20日、発熱や発疹、咽頭痛などの症状が出たため医療機関を受診、その後、11月6日に陽性が確認されました。

 男性に海外渡航歴はなく、自宅療養して症状は回復しているということです。エムポックスは2022年5月以降、北米やヨーロッパを中心に感染が拡大し、国内でも2022年7月に1例目が確認され、今年11月10日までに218例報告されています。

 厚生労働省によりますと、人から人への感染はまれで、感染した人や動物の体液や、血液に触れた場合などに感染するということです。

 岡山県健康推進課は、「感染を疑う症状がある場合、医療機関や保健所に相談してほしい。受診の際はマスクを着用し、発疹を覆うなど対策を」としています。

 2023年11月17日(金)

🟩第一三共開発の新型コロナワクチン購入で合意 承認後140万回分、厚労省

 製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は今後、製造・販売を承認した後に、140万回分を購入することで会社と合意したと発表しました。早ければ12月上旬から自治体に配送され、新型コロナウイルスの国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 製薬大手の「第一三共」は、今年9月に新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応するワクチンの承認申請を行い、厚労省は、11月に開かれる専門家部会での議論を経た上で正式に承認する方針です。

 このワクチンについて、厚労省は承認後に、140万回分を購入することで会社と合意したと発表しました。

 国内の新型コロナウイルスのワクチン接種では、これまで海外の製薬メーカーのものが使われ、国産のワクチンとしては、今年8月に「第一三共」が開発した「従来型」のワクチンの製造・販売が承認されましたが、実際の接種では使われていませんでした。

 今回の「XBB」系統対応ワクチンが承認されれば、早ければ12月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 厚労省によると、合意したワクチンはアメリカのファイザー製、モデルナ製と同じメッセンジャーRNAワクチンで、「XBB・1・5」に対応。追加接種用で、12歳以上が対象となります。

 武見敬三厚労相は閣議後会見で、「ようやくできた。もっと早くほしかったというのが正直な感想」と述べました。購入額は明らかにしていません。

 2023年11月17日(金)

🟩インフルエンザ新規感染者、前週より減少 厚労省「引き続き高水準」 

 厚生労働省は17日、全国約5000の定点医療機関から6~12日に報告されたインフルエンザの新規感染者数は計8万5766人で、1医療機関当たり17・35人だったと発表しました。前週比は0・82倍。前週まで11週連続で増加していたものの、減少に転じました。厚労省の担当者は、「この時期としては高い水準で、引き続き注意してほしい」と話しています。

 国立感染症研究所の推計では、全国の患者数は約63万5000人でした。

 厚労省によると、31都府県で減少しました。都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多かったのは、佐賀県36・13人、山梨県29・78人、長野県27・78人。少なかったのは福井県7・87人、青森県8・58人。

 一方、インフルエンザの1医療機関当たりの感染報告者数が前週に全国一となった山梨県は、16日の県感染症対策グループ(CDC)の発表によれば、11月6日から12日までの週では、減少に転じました。流行の中心であった19歳以下の感染者が減ったためであり、20歳以上の成人では一部の年齢層で増加しており、全体としては流行が収まっている状況ではないと分析しています。

 1医療機関当たりの感染者数では富士吉田市、都留市などの富士・東部保健所管内では増加したものの、それ以外の保健所管内では減少しています。県全体でも10月30日から11月5日までの39・63人が、29・78人へと減りました。

 県CDCによると、学級・学年閉鎖など19歳以下向けの対策によって流行状況は改善しつつあるとみています。ただ、成人でも特に小・中・高校生の親世代での感染が増加傾向にあるとみられ、現時点ではインフルエンザの流行期がピークになったとはいい難いとしています。

 2023年11月17日(金)

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。  卵子凍結では、卵子...