2025/05/30

🟩大阪府泉佐野市に全国3例目の「赤ちゃんポスト」設置へ 来年度にも

 親が自身で養育できない子を匿名でも預かるいわゆる「赤ちゃんポスト」について、大阪府泉佐野市は、市内の医療機関に設置するため具体的な調査を進めることになりました。来年度のスタートを目指していて、実現すれば自治体主導での設置は全国で初めてとなります。

 泉佐野市は29日、親が育てられない子供を匿名でも預かる「赤ちゃんポスト」を、市内の産科のある医療機関に委託する形で設置する方針を明らかにしました。

 妊婦が医療機関の担当者以外に身元を明かさない「内密出産」も受け入れたいとしています。

 今後、詳細な検討を進めるため、すでに開設している熊本市の慈恵病院と東京都墨田区の賛育会病院を視察することにしていて、こうした費用約800万円を盛り込んだ補正予算案を、6月の定例議会に提出することにしています。

 来年度のスタートを目指していて、実現すれば国内3例目となり、自治体主導での設置は全国で初めてとなります。

 泉佐野市の千代松大耕市長は、「せっかく生まれてきた大切な命が失われることがないよう、子供を守る最後のとりでをつくっていきたい。こういった取り組みは、行政主導でやっていくべきだ」としています。

 2025年5月30日(金)

2025/05/29

🟩終末期患者への「死の援助」法案を可決 フランス下院、9月以降に上院審議へ

 フランス国民議会(下院、577議席)は27日、終末期患者に厳格な条件の下で致死量の薬の投与を認める「死への積極的援助」を導入する法案を賛成多数で可決しました。自殺ほう助や安楽死を禁じていた従来の政策の転換に向けた一歩。9月以降に上院で審議される予定で、法制定までなお時間がかかる見通し。フランスメディアが報じました。

 賛成は305、反対は199。自身で死を決断できる能力があり、重篤で不治の病気に冒された終末期の患者で、苦痛を和らげることができないフランス国籍またはフランス在住外国人の成人のみが「死への援助」を受けることができるとしています。

 患者は自ら薬を投与する必要があり、身体的に不可能な場合にのみ例外的に医師または看護師が投与できます。

 エマニュエル・マクロン大統領は2022年、人生の終え方について幅広く議論する市民会議の設置を決定。市民の過半数が死への積極的援助に賛同したことを受け、法案を作成するよう政府に求めていました。ただ多くがカトリック教徒のフランスでは、宗教関係者や医療従事者らからの反対の声も根強くあります。

 2025年5月29日(木)

2025/05/28

🟩兵庫県の40歳代男性、はしか感染 連休中に韓国滞在、新幹線や大阪市・石垣島に滞在も

 兵庫県などは27日、県内に住む40歳代の男性がはしか(麻疹)に感染し、不特定多数の人と接触している可能性があるとして、注意を呼び掛けました。

 兵庫県などによりますと、男性は5月4~6日にかけて韓国に滞在し、17日に発熱の症状が出て、せきや発疹などを発症し、22日に医療機関を受診し、翌23日にはしかと判明したということです。

 府などによると、16日午前9時25分ごろ、男性はJR姫路駅(兵庫県姫路市)から山陽新幹線に乗車し、大阪市内に移動しました。同市中央区のスターバックスコーヒーの店舗を訪れ、午後に山陽新幹線で姫路市に戻りました。翌17日午前、関西空港発石垣島空港行き日本トランスオーシャン航空(JTA)83便に搭乗。沖縄県石垣市内に滞在し、19日のJTA86便で戻りました。

 2025年5月28日(水)

2025/05/27

🟩日本の医療用医薬品市場、2024年度は11兆円 過去最高額に

 アメリカの調査会社のIQVIA日本法人は、2024年度の日本の医療用医薬品市場の売り上げが薬価ベースで前年比1%増の11兆4874億600万円になったと発表しました。4年連続の増加でした。統計の発表を始めた2005年度(7兆7471億円)の約1・5倍になり、最高額となりました。

 薬効別売り上げでは抗がん剤領域が1位で、2位が糖尿病剤、3位が免疫抑制剤でした。ワクチン類の成長率が最も大きく、前年比43%増の3418億円でした。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンや小児用ワクチンが伸長しました。

 製品別売り上げではがん免疫薬「キイトルーダ」が1位で、前年比16%増の1917億円でした。2位以下に抗凝固薬「リクシアナ」、がん免疫薬「オプジーボ」、アトピー性皮膚炎などの治療薬「デュピクセント」が続きました。

 医薬情報担当者(MR)が販促活動をする製薬企業別の売上高ランキングは、1位が中外製薬(5343億円)、2位がイギリスのアストラゼネカ日本法人(5112億円)、3位が第一三共(4924億円)、4位がアメリカのメルク日本法人のMSD(4511億円)、5位が武田薬品工業(4278億円)でした。

 2025年5月25日(日)

2025/05/26

🟩岐阜市の禁煙外来病院で職員16人が隠れて喫煙 通報で判明、診療報酬計450万円を返還へ

 禁煙外来を設け、敷地内全面禁煙としている岐阜赤十字病院(岐阜市)で、職員16人が敷地内の病棟の陰などで喫煙していたことが26日、病院への取材でわかりました。敷地内全面禁煙は禁煙治療で保険が適用され、診療報酬を受け取る条件となっています。病院は東海北陸厚生局に報告し、禁煙外来を中止。診療報酬計約450万円を、健康保険組合や患者などに返還します。

 病院によると、昨年12月、職員が敷地内で喫煙しているという匿名の通報があり、今年1月から全職員に聞き取り調査をしました。この結果、看護師や元管理職を含む職員が喫煙していたことが判明しました。

 禁煙外来を設置した2006年6月から喫煙していた職員もおり、病院が昨年12月までに受け取った「ニコチン依存症管理料」約310万円と、2020年から昨年12月までに受け取った「連携強化診療情報提供料」約140万円を返還します。返還対象は延べ約2700件、患者は約750人。

 岐阜赤十字病院は「健康増進を率先して進めるべき病院においてこのような事態が発生したことを深くおわび申し上げます」とした上で、職員を厳正に処分するとともに、全職員への敷地内禁煙の周知徹底や公益通報窓口の設置などの再発防止策を実施するとしています。

 2025年5月26日(月)

2025/05/25

🟩新潟水俣病、新たに1人が患者認定 県と市の審査で4年ぶり、患者数は717人に

 新潟水俣病の被害を訴えている人を患者と認めるかどうかを判断する新潟県と新潟市の審査会の結果が公表され、新たに1人が水俣病と認定されました。認定は2021年以来、およそ4年ぶりです。

 県と市は、国の基準に沿って新潟水俣病の患者と認めるかどうかを判断する審査会を年に数回、開いています。

 今年3月の審査会の結果を受け、県と市は今月、県内外に住む50歳代から80歳代の男女24人のうち、1人を水俣病と認定しました。このほかの14人は棄却したほか、9人について判断を持ち越しました。

 新潟水俣病を巡っては4月末までに2767件の申請が出され、今回認定された1人を含め、これまでに717人が認定されています。棄却は計1649人、審査待ちは57人となりました。

 新潟県の花角英世知事は「一人ひとりの事情に配慮しながら丁寧な審査が行われたと受け止めている。引き続き丁寧な審査を期待している」とコメントしています。

 新潟市の中原八一市長は「一人一人の状況を丁寧に審査していただいたと考えている。引き続き、審査会には迅速かつ丁寧な審査をお願いしていく」とコメントしています。

 2025年5月25日(日)

2025/05/23

🟩リンゴ病報告数が基準値超える、京都市で初の警報 

 京都市は22日、伝染性紅斑(リンゴ病)の報告数が基準値を超えたとして、警報を出しました。警報は集計が始まった1999年以来初めて。また京都府も同日、初めて府内全域に警報を出し、感染防止を呼び掛けています。

 リンゴ病は、両頬に赤い発疹ができ、微熱やせきなどの症状が出ます。主に10歳未満を中心とした感染症ですが、成人もかかります。せきやくしゃみ、接触で感染し、発疹の7~10日前に微熱などの風邪症状が現れ、最も感染力が高くなります。予防するワクチンや薬はなく、妊婦の場合は胎児にも感染し、流産の恐れなどがあります。

 京都市によると、市内の医療機関の報告数が、5月12〜18日の1週間で基準値の2を超えて2・55となり、51人が発症しました。直近の5年間で感染者はほとんどいなかったといいます。市は「風邪症状がある場合は手洗いやマスクを心掛け、体調管理をしてほしい」としています。

 府によると、乙訓、南丹保健所管内でも基準に達しました。

 2025年5月23日(金)

2025/05/22

🟩国内最高齢114歳の女性2人、相次いで死去 新たな最高齢は大分県中津市の114歳女性に

 厚生労働省は21日、国内最高齢だった114歳の女性2人が20〜21日に相次いで亡くなったと発表しました。

 発表によると、愛知県幸田町の近藤ミネさん(1910年9月1日生まれ)が20日に死亡し、それに伴い最高齢となった静岡県小山町の臼井ますさん(同年12月18日生まれ)が21日に亡くなりました。臼井さんの死去により、同じ114歳の大分県中津市の広安美代子さん(1911年1月23日生まれ)が最高齢になりました。

 中津市の奥塚正典市長は、「毎年の敬老訪問でお会いした際には笑顔で話をして元気をいただいています。ますますお元気でお過ごしいただきたい」とコメントしています。

 2025年5月22日(木)

2025/05/21

🟩アメリカFDA、新型コロナワクチン接種を65歳以上・高リスク者に限定へ

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は20日、新型コロナウイルスワクチンの追加接種を65歳以上、または深刻な基礎疾患がある人に制限する方針を示しました。65歳未満で基礎疾患のない個人に関しては、ワクチンを製造する製薬会社に新たな臨床試験の実施を義務付けるとしています。

 FDAのマーティン・マカリー局長とビナヤク・プラサド氏は、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」誌への寄稿で、この政策転換は「エビデンスに基づいた」ものと位置付け、アメリカをヨーロッパの指針に近付けると主張しています。

 アメリカではワクチン懐疑論者のロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が、連邦公衆衛生政策の改革を推進しています。

 ケネディ氏は以前、予防接種プログラムを批判する非営利団体を率い、新型コロナの感染拡大時期には、頻度としてはまれなものの、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎などを発症することを理由に、新型コロナワクチンの承認を取り消すようFDAに要請していました。

 マカリー氏とプラサド氏は、初期の新型コロナワクチン接種は「科学・医学・規制上の成果」だと称賛する一方、低リスクの個人へのワクチン追加接種の利点は不確実だと主張。年齢や健康状態に関係なく、すべての成人に追加接種を推奨したアメリカの手法は、国民の信頼を築くどころか裏目に出て、麻疹(はしか)など、子供向けの予防接種に対するワクチン懐疑論を助長したとしています。

 FDAは、65歳以上、または生後6カ月以上で基礎疾患が少なくとも一つある場合の追加接種については、臨床試験を基に承認。生後6カ月から64歳までの健康な個人への接種に関しては、無作為化臨床試験のデータを要求するとしています。

 FDAは一方で、新たな枠組みの下で追加接種を受けられなくなるかもしれないとの懸念を払拭(ふっしょく)するため、疾病対策センター(CDC)のリスク要因の定義は「広範囲で、肥満や、うつ病などの精神疾患も含まれる」として、1億人から2億人のアメリカ国民が依然として追加接種の資格を得られる可能性があると指摘しています。

 2025年5月21日(水)

2025/05/20

🟩WHO年次総会開幕、「パンデミック条約」採択へ アメリカ脱退を受けた対応も協議

 世界保健機関(WHO)の年次総会が、19日からスイスで始まりました。会期中には、感染症対策の強化のための新たな国際条約「パンデミック条約」が採択される見通しであるほか、最大の資金拠出国 アメリカの脱退表明を受けた対応についても協議される予定です。

 WHOの年次総会は19日午前、日本時間の夕方、本部のあるスイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部で始まりました。

 今回の総会では、総会2日目となる20日に、新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえ、WHOの加盟国が交渉を行ってきた新たな国際条約「パンデミック条約」が正式に採択される見通しです。

 また総会では、アメリカの脱退表明を受けて、当初の予算案から11億ドル、日本円で約1600億円削減しました、2026年からのWHOの2年間の予算案についても審議されます。

 このほか、各国がWHOに拠出している分担金の額を引き上げるかどうかも協議される予定です。

 初日は各国の閣僚などが演説を行い、このうち開催国スイスの代表は「世界が危機に直面する中、国際社会の連帯はこれまで以上に重要だ。WHOへの全面的な支援を確認する必要がある」と述べ、WHOへの支持を訴えました。

 総会は27日まで開かれ、最大の資金拠出国であるアメリカが脱退を表明する中、世界の感染症対策などの強化に向け各国が一致できるかが焦点です。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は、年次総会で演説し、最大の資金拠出国・アメリカの脱退表明を受けた財政難に対応するため、全体の活動予算を削減すると同時に各国に加えて民間からも新たな支援を募り、財源を増やす考えを示しました。

 その上で「大規模な構造改革によって現在の危機から抜け出すことができれば、WHOはより強固で、より独立した組織になることができる。私たちは世界の80億人に奉仕するためにいるのだ」と述べ、各国に対して支援を呼び掛けました。

 年次総会では、WHOに加盟していない台湾のオブザーバーとしての参加が審議されましたが、中国などの反対で認められませんでした。台湾の参加が認められなかったのは9年連続です。

 これについて中国外務省は19日、報道官の談話を発表し「台湾は自国の一部だ」とする主張を繰り返した上で「台湾の民進党当局がかたくなに『台湾独立』の立場を堅持していることが招いた結果だ」などとしています。

 一方、台湾外交部は、外交関係を持つ国々が台湾のオブザーバー参加を提案するとともに、日本やオーストラリア、それにヨーロッパ諸国などが事前に支持を表明したとして謝意を示し「中国による不当な妨害が国際社会に広く理解されず支持されていないことを十分に証明している」と強調しました。

 2025年5月20日(火)

2025/05/19

🟩国内初の「献便施設」、山形県鶴岡市にオープン 難病治療薬の開発を目指す

 健康な人の便に含まれる腸内細菌を集め、難病治療薬開発に活用する国内初の「献便(けんべん)施設」が山形県鶴岡市にオープンしました。山海の幸に恵まれた食文化が腸内細菌の多様性を生んでいるといい、便の提供を募るのに最適な場所として同市が選ばれました。

 4月24日にオープンしたのは、医療・創薬を行う新興企業メタジェンセラピューティクスの運営する施設「つるおか献便ルーム」。同市覚岸寺の鶴岡サイエンスパーク内に設置されました。

 同社によると、人の腸内には、約1000種類、40兆個以上の細菌が生息しています。腸内細菌のバランスが乱れると、さまざまな病気の発症に影響します。すでに、健康な人の便に含まれる「腸内細菌叢(そう)」を疾患を持つ患者に移植し、腸内環境を変える治療法が確立されています。同社は、2020年に腸内細菌移植の研究を行っている順天堂大や慶応大、東京科学大のチームらで創業。集めた腸内細菌で、難病の「潰瘍性大腸炎」の治療薬開発を行います。

 献便ルームは約70平方メートル。専用のトイレが3カ所あり、提供者は便器内の専用ボックスに便をします。その便から腸内細菌を抽出した溶液を作り冷凍。川崎市内の施設に運び、創薬に活用します。同社の計画では、2026年に日本とアメリカで治験を始め、2032年にカプセルの飲み薬として承認を目指します。

 鶴岡市は食物繊維が豊富に含まれている山菜などが各家庭で親しまれ、ユネスコ食文化創造都市に登録されています。こうした食生活は健康な腸内細菌の素地となることから、同社は献便ルームの設置場所として鶴岡市を選んだといいます。

 献便を行う「腸内細菌ドナー(提供者)」の対象は、18〜65歳の庄内地域に住む健康な人。専用アプリで健康チェックを行い、荘内病院(同市)での問診や血液・便検査などを経て、医師が適格と判断すると提供者として認定されます。一度不適格とされても、健康な食生活を続けることで適格となる可能性もあり、地域住民の健康意識向上も期待できるとしています。

 提供者は献便の3日前から酒や生ものなどの飲食が禁じられ、3カ月ごとに検査を受けて資格を更新する必要があるものの、献便1回当たり3000〜5000円の協力金が準備されています。

 応募者のうち、提供者として適格と判断されるのは1割程度。2025年は約100人の提供者の確保を目指します。

 同社の中原拓社長は、「便由来の薬は国内にはなく、我々がトップランナーとして進めている。最高のうんちから、最高の薬が生まれると思い、この地を選んだ。ぜひ皆さまにご協力いただきたい」と話しました。

 2025年5月19日(月)

2025/05/18

🟩無痛分べん、約120人に1人の割合で合併症 日本産婦人科医会が調査

 麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」について全国調査したところ、約120人に1人の割合で母親が出血するなどの合併症が起きていたとする結果を日本産婦人科医会がまとめました。

 調査した専門家は、「通常のお産よりリスクが増えることを理解した上で、無痛分べんにするかどうか検討してほしい」としています。

 日本産婦人科医会は、全国1900余りの産科の医療機関を対象にアンケート調査し、2023年に417施設で実施された無痛分べん、合わせて5万3000件余りの合併症を分析しました。

その結果、無痛分べんに関連した処置で母親に出血や子宮が傷付くなどの合併症が起きたケースは454件と、約120人に1人の割合でした。

 このほか、麻酔が下半身以外にもかかってしまうなど、麻酔に関する合併症が38件、赤ちゃんが出血するなどの合併症が21件あったということです。

 調査を行った聖マリアンナ医科大学の長谷川潤一教授は、「無痛分べんは痛みが少なく希望する人は年々増えている。基本的には安全に行われていると思うが、通常のお産よりも医療の介入が増えるため、そのリスクを理解した上で無痛分べんを受けるかどうか検討してほしい」と話していました。

 2025年5月18日(日)

2025/05/17

🟩愛知県の岡崎市民病院、投薬量誤り70歳代男性死亡 1000万円の賠償支払いで遺族と和解へ

 愛知県の岡崎市民病院は、2023年6月に入院していた70歳代の男性が脳出血で死亡した原因に投薬ミスがあったとして、遺族に1000万円を賠償して和解することになったと発表しました。

 これは、岡崎市民病院が16日に会見を開いて明らかにしました。

 それによりますと、愛知県幸田町の70歳代の男性は、胆管がんなどと診断されて2023年5月下旬に入院しました。

 男性は脳梗塞を予防するための薬を服用していましたが、病院の検査で腎機能障害が認められ、出血が止まらない恐れがあることから、薬の量を半分にする必要がありました。

 ところが、治療を担当した30歳代の医師は通常の量の投与を続け、男性は入院からおよそ2週間後に脳出血を起こして死亡したということです。

 病院が調査した結果、医師は薬剤師などからも薬の量を減らすよう連絡を受けていたにもかかわらず、対応を怠っていたことも判明したということで、病院は投薬ミスがあったと認め、遺族に1000万円を賠償して和解することになったと発表しました。

 会見で岡崎市民病院の小林靖院長は「亡くなられた患者とご遺族に心より深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

 2025年5月17日(土)

2025/05/16

🟩鳥取大病院がロボット手術でミス 障害残った男性に和解金1億5000万円

 鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市)で、胸部の腫瘍(しゅよう)をロボット支援手術で切除した際に医師のミスで首の動脈を損傷し重い障害が残ったとして、米子市に住む20歳代の男性が同大を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、14日、鳥取地裁米子支部(三島琢裁判長)で大学側が1億5000万円を支払うことで和解が成立しました。

 訴状や原告側代理人の高橋真一弁護士によると、男性は胸部の悪性腫瘍のため、2019年4月、同病院でロボットによる胸腔(きょうくう)鏡手術を受けました。その際に医師が電気手術鉗子(かんし)を深く挿入し過ぎて、首の動脈を損傷し、大量出血したといいます。腫瘍は切除されたものの脳に障害が残りました。現在は簡単な会話しかできない、話す・書く・計算に支障が出る、マンガを読んでも内容が理解できない、などの状態で、障害等級4級。通常の就労はできないといいます。

 高橋弁護士によると、病院側はミスを認めて謝罪し、当初2000万円の解決金を提示しました。男性側は「極めて不十分」として提訴しました。

 高橋弁護士は会見で、「ロボット手術とはいえ、人間が行うものでミスは起き得るとの再認識が必要。ロボットを否定する考えはない。また、病院側が提示する補償額をそのまま受け入れてはならないことを知ってほしい」と述べました。

 男性の家族のコメントも発表しました。「手術の際は事前に十分な準備を行いリスクを下げて行ってほしい。二度とこのような医療事故が起こらないことを願っている」としています。

 病院は、「和解したことは事実だが、相手があることなので詳細は控える。再発防止に努めるとともに、今後とも安全で質の高い医療の提供に最大限努める」などとするコメントを出しました。

 2025年5月16日(金)

2025/05/15

🟩子供の幸福度、日本は14位 前回より順位6つ上げる、ユニセフ調査

 先進国などの子供の幸福度についてまとめた国連児童基金(ユニセフ)の報告書が発表され、日本は子供の身体的な健康度が最も高い一方、精神的な幸福度が低く、総合順位は36カ国中14位でした。

 ユニセフは経済協力開発機構(OECD)やヨーロッパ連合(EU)に加盟している国々を対象に、さまざまなデータをもとに子供の幸福度についてまとめた報告書を14日、5年ぶりに発表しました。

 それによりますと、データが得られた36カ国のうち1位がオランダ、2位がデンマークでどちらも前回と変わらなかったほか、3位がフランスとなっています。

 日本は14位で、38カ国中20位だった前回よりも順位を6つ上げました。

 幸福度は「身体的な健康度」と「精神的な幸福度」、それに学問などの能力に関する「学力・社会的スキル」の3つの分野で測られます。

 日本は子供の肥満の割合や死亡率から算出する「身体的健康度」が前回と同じく1位で、「学力・社会的スキル」は前回より順位を大きく上げて12位でした。

 一方、「精神的幸福度」は前回より5つ順位を上げたものの32位となっています。

 これは生活にある程度満足している子供の割合が増えて各国の平均とほぼ同じ水準になった一方、自殺率が上がって4番目に高くなったためです。

 このほか報告書では、家庭や学校での人間関係などが子供の心に影響を与えるとも指摘していて、良好な親子関係を築くための保護者への支援や、学校や地域社会による暴力やいじめなどのリスクに対処などが必要だとして、各国に対策を呼び掛けています。

 林芳正官房長官は午前の記者会見で、「精神的な幸福度に関する結果は重く受け止めている。一昨年策定した『こどもの自殺対策緊急強化プラン』に基づき、教育や普及啓発、早期発見などの取り組みを進めるほか、地域の中に安全に安心して過ごせる居場所づくりを推進し、さまざまな困難を抱える子供や若者からワンストップで相談を受ける取り組みなどを進めていく」と述べました。

 2025年5月15日(木)

2025/05/14

🟩出産費用の無償化、政府検討会で大筋了承 範囲や方策など検討へ

 少子化対策の一環として出産費用の在り方を議論している政府の有識者検討会は来年度をめどに、出産費用の無償化に向けて、具体的な制度設計を進めるべきだという取りまとめの案を大筋で了承しました。これを受けて、厚生労働省は今後、無償化する範囲や方策などの検討を進めることにしています。

 政府は出産への支援を強化する方針で、昨年6月から有識者検討会で、出産費用に保険を適用すべきかどうかなど議論を進めてきていて、14日の会合では、これまでの議論の取りまとめ案が示され、大筋で了承されました。

 それによりますと、出産費用の平均が、出産育児一時金の50万円を上回り、妊産婦の経済的負担が増加しているとして、来年度をめどに、医療機関の経営実態にも十分配慮しながら、出産費用の自己負担の無償化に向けて、具体的な制度設計を進めるべきだとしています。

 その上で、無償化の方法として、一時金の増額などが考えられるとしています。

 また仮に、保険適用した場合、医療機関の自由度が効かなくなり収入が落ちるという指摘や、妊産婦の窓口負担が増えないよう自己負担割合をどう設定するのかなどの検討課題があるとしています。

 厚労省は、今後、社会保障審議会の医療保険部会で、無償化とする範囲や方策などについて、さらに検討を進めることにしています。

 2025年5月14日(水)

2025/05/13

🟩トランプ大統領、アメリカ国内の処方薬価格引き下げへ大統領令に署名

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、アメリカ国内の処方薬などの価格を引き下げるための大統領令に署名し、世界で最も安い価格で販売する国と同じ水準まで価格を引き下げると主張しました。

 アメリカのトランプ大統領は12日に大統領令に署名し、アメリカ国内の処方薬などの価格を引き下げるため、商務省とアメリカ通商代表部(USTR)による適切な措置を求めるとともに、関係省庁が連携し30日以内に価格引き下げの目標について製薬会社などに伝えるよう指示しました。

 トランプ大統領は記者会見で、「これ以上、大手製薬会社による価格のつり上げを許さない。しかし、そうさせているのはほかの国々なのだ。我が国は世界のどの国よりも薬の価格が高い。10倍も高い場合がある」と述べ、不満を示しました。

 そして、ヨーロッパ連合(EU)を名指しして、適切な対応をとらない国などには追加の関税を課す可能性を示唆するとともに、世界で最も安い価格で販売する国と同じ水準まで価格を引き下げると主張しました。

 トランプ大統領は先週、「地球を揺るがす進展がある」と述べたり、11日にはSNSで「最もインパクトのある発表になる」と投稿したりして、今回の発表への期待感をあおっていました。

 2025年5月13日(火)

2025/05/12

🟩光免疫療法、同様名で自由診療クリニックなどで治療 学会が注意喚起

 5年前に世界で初めて日本で承認された、がんの治療「光免疫療法」と同様の名前の治療が自由診療のクリニックなどで行われていることについて、専門の学会は、国に承認された治療とは異なるものとみられるとして、注意を呼び掛けています。

 「光免疫療法」は、光に反応する化学物質と組み合わせたがんの薬を患者に投与し、レーザー光を当てて薬を活性化することで、がん細胞を攻撃する治療法で、5年前、再発するなどした頭頸(けい)部がんの治療薬が世界で初めて日本で承認されました。

 日本頭頸部外科学会は実施施設として全国の大学病院など約120カ所を認定していますが、同様の名前の治療が自由診療のクリニックなどで行われているとして注意を呼び掛ける文書を、12日に公表しました。

 この中では、認定した施設以外の治療に学会は一切関与しておらず、希望する場合は認定した施設を受診するよう強く推奨するとしています。

 学会などによりますと、自由診療のクリニックなどで行われている治療は国に承認されたものとは異なり、有効性や安全性は確立していないとみられるということです。

 日本頭頸部外科学会の朝蔭孝宏理事長は、「『光免疫療法』と検索して学会と関係のない医療機関に行ってしまうと、本来の治療にたどりつくまでに時間がかかるおそれがあるので、注意してほしい」と話していました。

 2025年5月12日(月)

2025/05/11

🟩指令受信の設定忘れ、救急隊の出動に6分遅れ 搬送時に60歳代男性は心肺停止状態

 名古屋市消防局は10日、仮眠中の救急隊員が、急病者搬送の指令に気付かず、出動が約6分遅れたと発表しました。別の救急隊が出動して心肺停止状態だった同市天白区の60歳代男性を病院に運んだものの、死亡が確認されました。

 市消防局によると、10日午前4時30分、名古屋市天白区の急病者の家族から救急搬送要請の119番がありました。本部機動部隊に所属する救急隊の3人が指令を受信する装置の設定を忘れ、仮眠していたため、指令センターからの指令を受けることができませんでした。指令センターは別の救急隊を出動させましたが、約6分の遅れが生じたといいます。救急隊が通報先に到着した際、急病者の男性は心肺停止状態で、病院に到着後に亡くなったといいます。

 消防局は、搬送した病院の医師の見解として「遅延が傷病者の予後に影響を与えたとは考えにくい」と説明し、死亡との因果関係は不明としています。

 伊藤一義消防局長は、「亡くなった方とご家族におわび申し上げる。今後このようなことが発生しないよう再発防止の徹底に取り組む」とのコメントを出しました。

 2025年5月11日(日)

2025/05/10

🟩逆子の適切処置、医師が怠った疑い 男児障害、京都府警が書類送検

 逆子の胎児を正常な位置に戻す施術で適切な処置を怠り、生まれた男児(4)に脳性まひなどの障害を負わせたとして、京都府警は9日、京都第一赤十字病院(京都市東山区)に勤務していた50歳代の男性医師を業務上過失傷害容疑で京都地検に書類送検しました。捜査関係者への取材でわかりました。

 捜査関係者によると、男性医師は2020年12月、母親(37)に対し、腹部を押すなどして逆子の胎児を正常な位置に戻す「外回転術」を2度行った後、胎児が低酸素状態となったにもかかわらず、緊急帝王切開などの適切な処置を怠った疑い。母親が昨年7月、男性医師を府警に告訴していました。

 告訴状によると、男性医師は20年以上の経験がある産婦人科医。母親は施術の2日後、別の医師による帝王切開で男児を出産しましたが、男児には脳性まひなど重度の障害が残り、介護が必要な状態といいます。告訴状によると、医師はすでに同病院を退職し、別の医療機関で勤務しています。

 京都第一赤十字病院は昨年7月、マスコミの取材に「医療過誤が発生したことは事実で、再発防止に努めている」とコメントしていました。

 2025年5月10日(土)

2025/05/09

🟩カルディ、生ハム7万個を自主回収へ 一部からサルモネラ属菌を検出

 輸入食品などを販売する「カルディコーヒーファーム」の運営会社「キャメル珈琲」は、店舗で取り扱っていた生ハムの一部からサルモネラ属菌が検出されたと発表し、約7万個の商品を自主回収することにしています。

 コーヒー豆や輸入食品などを販売する「カルディコーヒーファーム」の運営会社「キャメル珈琲」は、全国の店舗で取り扱っていた「オリジナル生ハム切り落とし」の一部から、食中毒を引き起こす可能性があるサルモネラ属菌が検出されたため、自主回収を行うと発表しました。

 消費者庁のウェブサイトによりますと、自主回収の対象は4月11日から5月6日までに全国約500店全店で販売された7万824個で、食べた場合には、腹痛やおう吐、発熱などの健康被害が発生する可能性があるとしています。

 会社は対象となる商品を店舗に持参することなどを呼び掛けています。

 客からの電話での問い合わせは、フリーダイヤル0120-415-023で午前9時から午後6時まで受け付けています。

 キャメル珈琲は、「お客様にはご迷惑をおかけいたしますことを心よりおわび申し上げます」とコメントしています。

 2025年5月9日(金)

2025/05/08

🟩新型コロナ以外の感染症、顕著に増加 5類移行2年、対策への意識低下も

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して8日で2年。この間、マイコプラズマ肺炎や百日ぜきなど、新型コロナ以外の感染症の報告数増加が顕著となっています。昨冬のインフルエンザの記録的な流行では、病床が逼迫する地域もありました。コロナ禍での感染対策強化によって病原体にさらされる機会が減り免疫が下がったことや、5類移行後の対策への意識低下が一因となっている可能性があります。

 全国の定点医療機関からの報告によると、新型コロナの流行の波は、5類移行後も夏と冬に現れているものの、規模は縮小傾向。2024年は夏、冬ともピーク時の1医療機関当たりの新規感染者数が2023年より少なくなりました。

 一方、2024年12月下旬には、1週間のインフルエンザ報告数が1医療機関当たり64・39人となり、同じ方式で統計を開始した1999年以降、最多となりました。一部で救急搬送や入院病床が逼迫しました。

 2023年7月には、乳幼児がかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」が流行し、国立健康危機管理研究機構によると、2013年以降で最多の報告数となりました。


 2025年5月8日(木)

 

2025/05/07

🟩はしか感染、新たに10歳代女性1人 茨城県内で今年16人目

 茨城県は6日、県内在住の10歳代女性がはしか(麻疹)に感染したと発表しました。竜ケ崎保健所管内の医療機関から報告がありました。

 女性は発症前、同県つくばみらい市のコミュニティーセンターに出入りしていました。すでに報告があった患者と接触して感染した可能性がある人の同居家族で、家庭内感染とみられます。県内の今年の感染者は計16人となりました。

 県感染症対策室によると、女性は3日に発熱と発疹があったため、医療機関を受診。県衛生研究所で4日に遺伝子検査した結果、陽性が確定しました。現在は自宅で療養しています。

 女性は2日、同市小絹の「小絹コミュニティセンター」を利用していました。同対策室は同日午後3〜6時に出入りした不特定多数の人に感染の可能性があるとし、10日前後経過して発熱や発疹などはしかの症状が出た場合、最寄りの保健所に電話連絡するよう呼び掛けています。

 2025年5月7日(水)

2025/05/06

🟩ドラッグ・ロス解消のため「開発の必要性が特に高い」14品目の開発要請へ 厚労省研究班まとめ

 海外で使える薬が日本で使えない、いわゆる「ドラッグ・ロス」について、厚生労働省の研究班は、開発の必要性が特に高い医薬品が、がんや肺炎の薬など14品目あるとする研究結果をまとめました。厚労省は企業に対して必要に応じて開発の要請などを行うことにしています。 

 海外では使える薬が日本では承認されていないために使えない、いわゆる「ドラッグ・ロス」を巡っては、2023年の時点で143品目に上り、このうち86品目は国内で開発も着手されていませんでした。

 こうした中、厚労省の研究班はこの86品目について、類似した薬があるかなどを調査して、開発の必要性がどこまであるかを分析しました。

 その結果、5つのグループに分類し、このうち「開発の必要性が特に高い医薬品」には、希少がんや産後うつ、それに細菌性の市中肺炎の薬など、14品目に上ると指摘しました。

 また「開発の必要性が高い医薬品」には、統合失調症や急性リンパ性白血病、それに片頭痛の薬など41品目を挙げました。

 一方で「開発の必要性が低い医薬品」には11品目、「開発の必要性がない医薬品」には12品目を分類しました。

 このほかの8品目については、すでにドラッグ・ロスが解消されているとしています。

 今回の研究結果を受けて厚労省は今後、専門家会議で議論し、必要性が高いと判断された薬については、企業に開発を要請したり、開発する企業を公募したりすることにしています。

 2025年5月6日(火)

2025/05/05

🟩発達障害、全国ネットワーク結成 当事者団体が連携、施策を提言へ

 発達障害がある人たちの権利を守り、生きやすい社会を実現するために、各地の当事者団体がネットワークを結成しました。名称は「全国発達障害者連絡会議」(略称・発達連)。当事者の意見を集約し、行政、立法への提言や啓発活動を行います。

 発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)などの総称。2005年施行(2016年改正)の発達障害者支援法は、相談体制の整備や教育現場での配慮、就労支援、司法手続きにおける意思疎通の手段確保などを規定しています。

 一方、施行から20年がたち、発達障害という言葉は知られるようになったものの、自治体の地域協議会に当事者が参画するケースは限られ、施策に声が十分反映されていません。

 ネットワーク結成には、シンポジウムなどで交流を重ねてきた6団体が参加。NPO法人「DDAC(発達障害をもつ大人の会)」(大阪市)の理事長で、ネットワーク共同代表の広野ゆいさんは「当事者が自らの言葉で社会に訴え、社会を変えていく力を発揮するため、確かな道しるべになりたい」としています。

 2025年5月5日(月)

2025/05/04

🟩東京都が確認したはしか患者が新幹線で静岡県内を訪問 県が接触者に注意喚起

 4月下旬に静岡県を訪れていた女性が、はしか(麻疹)に感染していたことが、5月2日にわかりました。東海道新幹線に乗って静岡県内を訪れていたということで、静岡県は女性と接触した疑いがある人は届け出てほしいと話しています。

 県によると、女性は30歳代で、2日に東京都が患者として確認しました。東京都の保健医療局や静岡県の感染症管理センターによりますと、女性は4月26日、品川駅を午前9時04分に発車した東海道新幹線こだま711号・新大阪行きの3号車(自由席)に乗車し、同10時34分ごろ掛川駅で降りたということです。

 県では女性が県内で接触した人は特定できていて、体調チェックなど健康観察を行っています。そのほかで不特定多数の人との接触は確認されていません。

 はしかに感染した女性は海外渡航歴があり、発熱やせき、発疹などの症状が出ているということです。

 はしかは感染力が極めて強く、感染すると約10日から12日後に風邪のような症状が現れ、2~4日熱が続いた後、39度以上の高熱と発疹が現れるということです。

 県は、はしかの症状が疑われる場合は医療機関に相談の上、速やかに受診してほしいと呼び掛けていて、5月3日、県感染症管理センター内に相談窓口を設置し、窓口でははしかに関して心配のある県民からの相談を受け付けています。

 相談窓口は<電055(928)7220>。当面の間、午前9時から午後5時まで受け付けます。

 2025年5月4日(日)

2025/05/03

🟩アスベストじん肺訴訟、国の敗訴判決確定 賠償金請求時期見直し

 アスベスト(石綿)を扱う工場で働き、じん肺を患ったとして元労働者の遺族が訴えた裁判で、国に賠償を命じた2審の判決について国は上告せず確定しました。これを受けて厚生労働省は被害者が賠償金を請求できる開始時期を見直し、これまでより遅くなっても受け取れるようにしました。

 アスベストを扱う工場で働き1999年にじん肺と診断され、翌年、労働局から健康被害を認定された兵庫県尼崎市の男性の遺族が国に約600万円の賠償を求めた裁判では、20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」の起算点について争われました。

 遺族側は「行政が健康被害を認定した時」だと主張したのに対し、国はこれよりも早い「医師の診断日」が起算点になり、尼崎市の男性の場合、権利は消滅していると主張しましたが、4月、2審の大阪高等裁判所は遺族側の訴えを認める判決を言い渡しました。

 厚労省は期限の5月1日までに最高裁判所に上告せず、この判決が確定しました。

 そして、アスベストを扱う工場で働きじん肺になった人について「除斥期間」の起算点を見直し、これまでよりも遅い時期で、行政がじん肺の症状の重さなどを区分する「じん肺管理区分」を決定した日を新たな起算点とし、この日から20年以内であれば賠償金を受け取ることができるようにしました。

 厚労省は、「慎重に検討を重ねた上、関係省庁とも協議した結果、最高裁への上告は行わないこととした」とコメントしています。

 2025年5月3日(土)

2025/05/02

🟩百日せきで乳児2人死亡、薬が効きにくい耐性菌に感染 専門家「速やかなワクチン接種」呼び掛け

 子供を中心に感染し激しいせきが続く「百日せき」の感染拡大が続く中、今年に入り全国で少なくとも2人の乳児が死亡していることが、関係者の話でわかりました。いずれもワクチン接種前の生後1カ月でした。専門家は、飛沫(ひまつ)を防ぐなど基本的な感染対策の徹底と、ワクチンの接種が可能になる生後2カ月での速やかな接種を呼び掛けています。

 百日せきは、主にせきやくしゃみなどの飛沫に含まれる細菌から感染します。百日せきを含む5種混合ワクチンは、公費による定期接種の対象で、安全性と有効性が確認されている生後2カ月から接種が可能となります。接種前の乳児は、呼吸困難や肺炎などで重症化する恐れがあります。

 東京都立小児総合医療センターと兵庫県立こども病院で今年3月、いずれも生後1カ月の女児が呼吸不全などで亡くなりました。どちらも治療薬が効きにくい耐性菌に感染していたといいます。

 過去の乳児の死亡例は、2014~2023年の国の人口動態統計で、2015年と2028年に各1人が確認されています。

 東京都立小児総合医療センター感染症科の堀越裕歩部長は、「今回の急激な感染拡大には、耐性菌の影響もあるとみられる。治療が難しく、子供の重症例が増える恐れもある」と警戒感を示しています。

 乳児の感染対策として、欧米などでは妊婦に百日せきワクチンを接種する方法が普及しています。堀越部長は、「耐性菌にもワクチンは有効で、生後2カ月になったらすぐに接種することが大切だ」と指摘しています。

 百日せきの患者数について、国立健康危機管理研究機構は、4月14~20日の1週間で1884人(速報値)だったと発表しました。前週の1222人を上回り、すべての患者を把握するようになった2018以降で過去最多を4週連続で更新しました。今年の累計患者数は9336人で1万人に迫っています。

 2025年5月2日(金)

2025/05/01

🟩東京都内「赤ちゃんポスト」に子供の預け入れ 墨田区の賛育会病院

 親が育てられない子供を匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」の運用を東京都墨田区の病院が始めて1カ月がたちましたが、これまでに生後間もない赤ちゃんが実際に預けられていたことが1日、初めてわかりました。

 東京都墨田区の賛育会病院は今年3月31日から親が育てられない子供を匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」を「ベビーバスケット」と名付け、運用を始めました。

 また、妊婦が医療機関以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」も同時に開始し、いずれも、医療機関としては熊本市の慈恵病院に続いて全国で2例目となります。

 事業開始から1カ月となる中、これまでに内密出産の相談や問い合わせが複数件、寄せられたほか、生後間もない赤ちゃんが実際にベビーバスケットに預けられたケースがあったことが、病院への取材で初めてわかりました。

 具体的な件数は明らかにされていませんが、病院によりますと、赤ちゃんの健康状態に問題があった事例はなく、親がしたためたとみられる書き置きが残されていたこともあったということです。

 賛育会病院の賀藤均院長は、「赤ちゃんが生きていてよかった、よく預けに来てくれたと思っています。身近な家族に相談できずに追い込まれている人はたくさんいます。赤ちゃんが遺棄される事件が繰り返される中、社会がどう対応していくのかみんなで考えていかないといけません。とにかく1人で悩まず相談してほしい」と話しています。

 病院では妊娠や出産の悩みについて匿名での電話相談にも応じていて、不安があればまずは連絡してほしいと呼び掛けています。

 2025年5月1日(木)

🟩大阪府泉佐野市に全国3例目の「赤ちゃんポスト」設置へ 来年度にも

 親が自身で養育できない子を匿名でも預かるいわゆる「赤ちゃんポスト」について、大阪府泉佐野市は、市内の医療機関に設置するため具体的な調査を進めることになりました。来年度のスタートを目指していて、実現すれば自治体主導での設置は全国で初めてとなります。  泉佐野市は29日、親が育て...