2025/09/30

🟥10月から後期高齢者の窓口負担増 医療費「2割」負担の310万人対象

 75歳以上で医療費の窓口負担が2割の人を対象に行われてきた負担の増加を緩和する措置が、30日で終了する。これにより、10月1日以降、外来の窓口負担が増えるケースが出てくる。

 75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担は原則1割だが、現役世代の保険料負担を抑制するため、2022年10月から▽単身世帯で年収200万円以上、▽夫婦2人で暮らすなどの複数世帯で世帯年収320万円以上の人たちは、2割に引き上げられた。

 一方、急激な負担の増加を緩和するため1カ月の外来受診の負担増を3000円までに抑える「配慮措置」が3年間の期限付きで設けられた。

 そして、3年がたったことからこの措置は30日で終了し、10月1日以降、外来の窓口負担が増えるケースが出てくる。

 厚生労働省によると、負担が増えるのは窓口負担が2割となっている人のうち外来の医療費が月3万円を超え、15万円未満の場合である。

 例えば、医療費が月5万円だった場合、負担額は▽30日までは5万円の1割の5000円に3000円を加えた8000円だったが、▽10月1日以降は5万円の2割に当たる1万円となり、2000円負担が増える。

 ただ、「高額療養費制度」があるため、窓口負担は最大でも月1万8000円に抑えられる。

 影響を受けるのは推計で約310万人に上り、負担額は平均で年9000円程度増える見込みである。

 一方、これによって現役世代の保険料負担は年240億円程度、軽減されるということである。

 2025年9月30日(火)

2025/09/29

🟥呼気から「鉄のにおい分子」は肝臓の病気の兆候 京都大学が検査技術を開発

 京都大学などの研究チームは人の吐く息(呼気)を分析することで、脂肪肝や肝硬変といった肝臓の病気を調べることができる技術を開発した。肝臓に異常がある人の呼気からは、「鉄のにおい分子」が検出できたという。新たな検査法や診断法につながることが期待される。

 人体では細胞内に鉄が蓄積すると、脂質が酸化し、細胞死が起きる「フェロトーシス」と呼ばれる現象が起きる。さまざまな病気の原因になることが知られている。

 研究チームは独自に開発した呼気に含まれる揮発性有機化合物を分析する技術を使い、フェロトーシスの特徴を調べた。肝疾患を持つ患者には、鉄の独特のにおいの原因となる2種類の物質が多く含まれていた。2種類の物質はフェロトーシスが進むと空気中に増えることもわかった。

 この結果は血液検査の値とも関連しており、呼気に含まれる2種類の揮発性有機化合物が肝臓で起きている脂質の酸化反応を反映していた。

 今回確立した技術を応用すれば、肝臓の病気の早期発見や、進行状態のモニタリングが可能になる可能性がある。

 研究を主導した京大の松岡悠太特定助教は、「生体由来の揮発性物質は極めて微量で取り扱いも難しい。技術の確立には苦労した」とコメントした。

 研究成果はオランダの国際学術誌「レドックス・バイオロジー」に掲載された。研究チームには京大のほか、慶応義塾大学や医学研究所北野病院(大阪市)が参加した。

 2025年9月29日(月)

2025/09/28

🟥新型コロナウイルスワクチン接種後に短期間で抗体減少も 名古屋大など

 新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を受けた人の抗体の量の変化を名古屋大学などの研究チームが解析した結果、接種後、短期間で抗体が減少するグループがあることがわかった。今後、こうしたグループを事前に予測できるようになれば、より効率的な接種につながるとしている。

 名古屋大学や福島県立医科大学などの研究チームは新型コロナワクチンの3回目の接種を受けた福島県内の2500人余りを対象に、血液中の抗体の量がどう変化するかをAIを使った新たな手法で解析した。

 その結果、▽接種後に抗体が多く作られ、長い間保たれる「耐久型」▽抗体は多く作られるものの短い期間で減少する「急速低下型」▽作られる抗体の量が少なくすぐに減少する「ぜい弱型」の3つの特徴的なグループがあることがわかったということである。

 このうち「急速低下型」と「ぜい弱型」では、追加接種から3カ月を過ぎるとワクチン接種後に新型コロナに感染する「ブレークスルー感染」を経験するリスクが「耐久型」と比べて高かったということである。

 研究チームは、事前にどのグループか予測できるようになれば、「ブレークスルー感染」のリスクの高い人に優先的に接種をするなど効率的な接種ができるようになるとしている。

 名古屋大学大学院理学研究科の岩見真吾教授は、「どのタイミングでワクチンを接種したらいいのかといった個人レベルでの対策にもつながるのではないか」と話している。

 2025年9月28日(日)

2025/09/27

🟥エイズ、じわり増加 ウイルス感染判明の3人に1が発症

 厚生労働省のエイズ動向委員会は26日、2024年の1年間に新たにエイズウイルス(HIV)の感染が判明した人が、前年比34人増の994人(確定値)となり、2年連続で増加したと発表した。このうち、エイズを発症していた患者は同41人増の332人だった。いずれも過去20年では低水準だが、増加しているため、同委員会は今後の状況を注視するとしている。

 HIVは性行為や血液を介して感染し、数年~10年の無症状期間を経てエイズを発症する。治療薬の服用で発症を抑えられる。

 発表によると、HIVの感染が判明した人のうち、エイズを発症していた患者の割合は33・4%と、過去20年で最も高かった。理由について同委員会は、コロナ禍でHIV検査を受ける人が減り、エイズを発症するまで感染がわからなかった患者が増加したためとみている。

 同委員会の白阪琢磨委員長は、「発症予防には早期の診断と治療が重要だ。感染リスクがある人は、保健所や医療機関で検査を受けてほしい」と話している。

 2025年9月27日(土)


2025/09/26

🟥腎不全患者の緩和ケアに初の手引、3学会 透析見合わせの意思確認を徹底

 腎不全患者に対する緩和ケアを巡り、日本緩和医療学会と日本腎臓学会、日本透析医学会が医療従事者向けの具体的な対応を示した国内初のガイダンスをまとめたことが25日、関係者への取材でわかった。痛みや抑うつなどへの対処に加え、家族支援も記載。末期腎不全による症状は透析によって和らぐことがほとんどだが、和らがない場合は死を迎える。本人が透析をしない意向を示した際は、意思に変更がないかを繰り返し確認するよう求めた。

 がん以外では緩和ケアの提供体制が不十分で、取り組む医療機関が少ないとの指摘がある。厚生労働省は、体制整備のため、来年度予算の概算要求に1億円を盛り込んだ。学会が、医療従事者が実践しやすいガイダンスを作成したことで、多くの医療機関で普及が進むと期待される。近く公表する。

 ガイダンスは腎不全の緩和ケアを「透析の有無にかかわらず、患者と家族の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな問題を評価し、苦痛を予防し和らげることを通じて生活の質を向上させるアプローチ」と定義。全病期に応じた緩和ケアを示した。

 2025年9月26日(金)

2025/09/25

🟥熱中症、5月から8月の救急搬送9万744人 同時期では過去2番目の多さ

 今年5月から8月までに熱中症で医療機関に救急搬送された人は全国で9万人余りで、同じ時期の数としては、比較できる2015年以降2番目に多くなったことが総務省消防庁のまとめでわかった。

 総務省消防庁によると、今年5月から8月までに熱中症で医療機関に救急搬送された人は全国で9万744人に上り、同じ時期の数としては5月分の調査を始めた2015年以降、2番目に多くなった。

 また、8月の搬送者の数は全国で3万1526人となっていて、死亡したのは39人、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて1万1458人、「軽症」が1万9936人だった。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が1万7273人と、全体の半分以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が1万1487人、7歳以上18歳未満が2641人、7歳未満が125人となっている。

 場所別では、住居が1万1579人と最も多く、次いで、道路が6288人、屋外の競技場や駐車場などが4250人、工事現場や工場などが3472人となっている。

 都道府県別では、東京都が3318人、大阪府が2219人、愛知県が2187人、埼玉県が1996人となっている。

 総務省消防庁は「今週は暑さが戻るという予報があるほか、来月も全国的に平年より気温が高い見通しのため、引き続きこまめに水分を取るなど、熱中症の対策を心掛けてほしい」としている。

 2025年9月25日(木)

2025/09/23

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。

 卵子凍結では、卵子を凍結保存し、妊娠希望時に融解して体外受精を行う。加齢で卵子の数が減ったり、質が低下したりする前の若いうちに保存することで、妊娠の確率を高めることが期待される。1回の採卵や凍結に数十万円かかる。

 事業は、10都道府県程度を予定。指定する医療機関で、卵子の凍結や、凍結した卵子を使って体外受精などを受けた際の費用の一部を補助する。

 補助額は卵子凍結で1回20万円を上限とする。体外受精などは1回25万円が上限で、39歳以下は6回まで、40~42歳は3回まで受けられる。事前の講習会で、必ずしも妊娠に結び付くわけではないことや、排卵を促す薬の使用で血栓(血の塊)ができるリスクもあることなどを学んでもらう。

 こども家庭庁は、補助を受けた人のデータを集め、卵子凍結の希望者数や国内の治療実績を分析する。若くして月経がなくなる早発卵巣不全との関連も調べる。

 こども家庭庁は2026年度予算の概算要求に関連費用として10億円を計上した。

 2025年9月23日(火)

2025/09/22

🟥スマホ等の使用、仕事・勉強・家事以外は1日2時間まで 愛知県豊明市の条例案可決

 仕事や勉強、家事以外でのスマートフォンなどの使用は1日2時間以内を目安にするよう促す条例案が、22日、愛知県豊明市の市議会で採決され、賛成多数で可決・成立した。市によると、すべての市民を対象にスマートフォンなどの使用時間の目安を示した条例は全国で初めてで、10月1日に施行される。

 豊明市は、スマートフォンなどは生活に欠かせない必需品だとする一方で、長時間の使用は、睡眠不足などの健康面のほか、家族の会話が短くなるなど家庭環境にも影響を与え、子供の健全な生育を妨げる恐れがあるとして、仕事や勉強、家事以外でのスマートフォンやタブレット、ゲーム機などの使用は、1日2時間以内を目安にするよう促す条例案を市議会に提出した。

 この条例案について、22日午後、市議会本会議で採決が行われ、議長を除く19人の議員のうち12人が賛成し、賛成多数で可決・成立した。

  条例の対象となるのは、▽すべての市民と▽市内の学校に通う18歳未満の子供で、子供の使用については、▽小学生以下は午後9時まで、▽中学生以上は午後10時までとする時間帯の目安も盛り込まれ、各家庭でルールを作るよう促している。条例に強制力や罰則はない。

 市議会では、付帯決議も可決され、1日2時間以内という条例の記述について、▽あくまで目安であることを明確にし、生活スタイルや家庭環境の多様性を尊重すること、▽市民に誤解を与えないよう丁寧でわかりやすい情報提供を行うこと、そして▽定期的に効果や市民の反応を検証し、必要に応じて条例の見直しを行うことなどを求めた。

 市によると、すべての市民を対象にスマートフォンなどの使用時間の目安を示した条例は全国で初めてで、10月1日に施行される。

 2025年9月22日(月)

2025/09/21

🟥血液製剤使えなくなるなど不適切な取り扱い5件相次ぐ 日本赤十字社公表

  日本赤十字社は、冷凍庫の電源が落ちて血液製剤1万本あまりが輸血用として使えなくなるなど、血液事業での不適切な取り扱いが5件相次いだことを明らかにした。日本赤十字社は、今後、全国で一斉点検を実施するなど、再発防止に努めるとしている。

 これは、日本赤十字社が19日、東京都内で会見し、明らかにした。

 日本赤十字社によると、今年5月、東京都江東区にある血液センターの出張所で、冷凍庫の電源が落ちて1万3700本あまりの血液製剤が、輸血用として使用できなくなった。

 その後も、9月には北海道の献血会場で職員が誤って使用済みの針を献血者に刺したほか、福岡県では献血者33人分の血液製剤が規定より少ない数の保冷剤で搬送されたため、廃棄処分になるなど、血液事業での不適切な事案や取り扱いが、全国で5件相次いだということである。

 日本赤十字社の紀野修一血液事業本部長は、「深くおわび申し上げます。献血は国民の皆様の善意で成り立っていることなどを踏まえ、重く受け止めています」と謝罪した。

 その上で、全国の血液センターで、業務が手順どおりに行われているかを確認する一斉点検を行うほか、新たに安全管理室を立ち上げることを発表した。

 また、事案の中には発生から公表までに2カ月以上かかったケースもあったことから、厚生労働省への報告や公表の在り方についても見直すとしている。

 2025年9月21日(日)

2025/09/19

🟥男性の性機能障害「ED」治療薬、市販薬として薬局などで購入可能へ

 男性の性機能の障害「ED(勃起障害)」の治療薬が、医師の処方箋がなくても市販薬として薬局などで購入できる見通しとなった。

 この薬は、「エスエス製薬」が市販薬の製造販売について承認申請していた男性の「ED(勃起障害)」の治療薬「シアリス(一般名・タダラフィル)」で、18日に開かれた厚生労働省の審議会で、医師の処方箋なしに薬局などで購入できるようにする方針が了承された。

 購入できるのは、EDの症状がある18歳以上の成人男性で、性行為の前に服用することで機能が改善するとされている。

 この薬は服用すると、陰茎の血管を拡張させて血液量を増やし、勃起を達成させる。国内の臨床試験では、10ミリグラムの服用で挿入成功が81・1%、性交の成功が64・8%だった。

 中枢神経には作用せず、性的欲求を増進させるなどの効果はないということである。

 また、狭心症に使われる硝酸剤など、併用してはいけない薬があることなどから、事前に製薬会社の研修を受けた薬剤師が対面で販売するということである。

 この薬は、3年前の2022年から不妊治療の目的で処方された場合に限り、保険が適用されているが、EDでは、症状があっても、羞恥心などから受診を控える人が少なくないほか、偽造薬が多く流通し、健康被害が出ることなども問題となっていた。

 厚労省によると、薬局などで市販薬として販売されることになれば、こうした状況の改善が期待されるということで、今後、販売錠数の上限といった詳細を詰めた後、パブリックコメントなどを行った上で、正式に承認することにしている。

 2025年9月19日(金)

🟥新型コロナ新規感染者、わずかに増加 1医療機関当たり8・43人

 厚生労働省は19日、全国約3000の定点医療機関から8~14日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3万1831人だったと発表した。1医療機関当たりの感染者数は8・43人で、前週比1・04倍。前週まで2週連続で減少していたが、わずかに増加した。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは宮崎県の17・93人で、愛媛県14・89人、長崎県14・61人と続いた。少なかったのは東京都4・43人、沖縄県4・84人、北海道4・86人などだった。

 2025年9月19日(金)

2025/09/18

🟥マダニが媒介する感染症「SFTS」、栃木県内で感染初確認

 栃木県によると、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、県内で刺されて感染した事例が初めて確認されたということである。

 県は引き続き、草むらに入る際には、肌の露出を少なくするなどの注意を呼び掛けている。

 県によると、県内に住む70歳代の女性が8月下旬、発熱や下痢などの症状が出たため、9月1日に医療機関を受診したということである。

 検査の結果、SFTSに感染していることが確認されたということで、女性は県西健康福祉センター管内の医療機関に入院したということである。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することもあり、厚生労働省によると死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされている。

 この女性は自宅周辺でマダニに刺されたとみられ、県内での感染者の確認はこれで2例目だが、県内で感染した事例はこれが初めてである。

 県は引き続き、草むらややぶなどに入る場合は長袖や長ズボン、それに帽子や手袋を着けて肌の露出を減らし、虫よけなどを適切に使用するほか、マダニに刺された後は無理に引き抜こうとせずに、医療機関を受診するよう呼び掛けている。

 2025年9月18日(木)

2025/09/17

🟥紀文食品、カニかま24万個自主回収 一部製品に腐敗臭

 紀文食品は16日、9月1日に発売したカニ風味のかまぼこ「The SURIMI(ザ・スリミ)」の約23万9000個を自主回収すると発表した。一部で腐ったような臭いのするものが見付かったという。現在、出荷を停止している。これまでに同社に健康被害の情報は寄せられていないという。

 小売店からパッケージが膨張しているとして返品があった。同社は、製造工程の一部で問題があった可能性があるとみて原因を調査している。同社は「今後このような事態が再び発生することのないよう、管理体制の一層の強化に努める」とコメントしている。

 同商品の賞味期限は23日程度と、従来品(10〜14日程度)よりも長いのが特徴の一つだ。希望小売価格は277円。

 問い合わせは通話無料のお客様相談室(0120)012778。

 2025年9月17日(水)

2025/09/16

🟥マダニ媒介感染症「SFTS」、患者150人超に どの地域でも患者が出る可能性

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者の報告が続いていて、今年の全国の患者数は速報値で152人となった。昨年まで報告がなかった地域にも広がっていて、専門家は「どの地域でも患者が出る可能性があり、医療機関は警戒を高めてほしい」と呼び掛けている。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することもあり、厚生労働省によると死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされている。

 国立健康危機管理研究機構によると、9月7日までに全国から報告された患者数は速報値で152人となり、これまで最も多かった2023年の1年間の累計の134人を上回って増え続けている。

 患者が報告されているのは32道府県で、いずれも累計で、▽高知県で14人、▽大分県で13人、▽長崎県、熊本県で9人、▽兵庫県、島根県、鹿児島県で8人など、西日本を中心に多くなっているが、昨年まで報告がなかった北海道や関東地方にも広がっている。 

 長崎大学病院総合感染症科の泉川公一教授はマダニに刺されないよう野外で肌の露出を減らすなどの対策が重要だとした上で、「医療機関はどの地域でもSFTSの患者を診察する可能性を踏まえて警戒を高めてほしい。国内でも医療現場での人から人への感染が報告されているので、手袋やゴーグル、ガウンといった標準的な予防策を実践することが必要だ」と話している。

 2025年9月16日(火)

🟥違法美容医療、厚労省が指導強化へ 相談増で保健所立ち入り事例示す

 美容医療を巡り健康被害や相談が増えていることを受け、厚生労働省が違法の可能性がある医療行為を事例として挙げ、適切に指導するよう求める通知を各都道府県などに出したことが14日、わかった。無資格者による医療方針の決定や、メールやチャットでの不十分な説明などを挙げた。美容医療は違法性の線引きや立ち入り検査の可否判断が難しいとの指摘があり、法的根拠を明示して保健所が動きやすくなることで医療機関への指導体制の強化につなげる狙いがある。

 美容医療はエステサロンなどと比べて大きな効果が期待できるが、医療行為に当たるため、医師や看護師などの資格が必要。美容医療を巡る相談件数は年々増加し、2023年度の国民生活センターなどへの相談件数は5000件超。厚労省の検討会では「医師の診察前に治療内容が決まり契約した」「医師ではない無資格者の施術だった」との相談が報告された。

 美容医療の多くは自由診療で行われ、行政による指導・監査などがある保険診療に比べ実態が見えづらいとの指摘がある。

 2025年9月16日(火)

2025/09/15

🟥コンゴでエボラ出血熱のワクチン接種開始、WHOが発表 資金不足や交通事情で対応遅れも

 世界保健機関(WHO)は14日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)中部カサイ州で感染が判明したエボラ出血熱の拡大を防ぐため、現地でワクチン接種が始まったと発表した。ただ届いたのは400回分にとどまり、AP通信は資金不足などで「接種が妨げられている」と指摘。対応が遅れると封じ込めが困難になるとの見方も出ている。

 カサイ州で8月下旬に最初の感染が確認され、少なくとも16人が死亡している。コンゴ国内のワクチン備蓄は2000回分で、WHOなどは追加の約4万5000回分の輸送を急ぐが、コンゴでは交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)なため配布に時間がかかる可能性がある。

 ロイター通信によると、支援団体関係者は、アメリカのドナルド・トランプ政権による国際開発局(USAID)廃止の影響で、「効果的な対策が取れない恐れがある」と指摘した。WHOの担当者は「封じ込めは可能だが、好機を逃せば難しくなる」と警告し、支援を訴えた。

 コンゴでは過去にもエボラ熱発生が相次いでおり、2018~2020年に東部で流行した際には2200人以上が死亡した。

 2025年9月15日(月)

2025/09/14

🟥石炭の燃焼や野焼きで出る「すす」、心筋梗塞リスク高める可能性 患者4・4万人とPM2・5濃度のデータを分析

 大気汚染を引き起こす微小粒子状物質(PM2・5)の成分のうち、石炭の燃焼や野焼きなどで発生する「ブラックカーボン」(すす)が急性心筋梗塞(こうそく)のリスクを高める可能性があるとの研究結果を、熊本大や国立環境研究所などの研究チームが発表した。健康に被害を及ぼす成分を特定することで、より効果的な対策につながるとしている。論文が国際学術誌に掲載された。

 チームの小島淳(すなお)・熊本大客員教授(循環器内科)らは、2017年4月~2019年12月に東京、大阪、福岡など7都道府県で救急搬送され、急性心筋梗塞で入院した患者約4万4000人のデータと、各地のPM2・5濃度の観測データを分析した。その結果、入院した当日と前日のPM2・5濃度が上昇すると、患者が増加する傾向があることが判明した。

 PM2・5の成分ごとに調べると、急性心筋梗塞のリスクを高めていたのはブラックカーボンだけだった。濃度が1立方メートル当たり0・3マイクロ・グラム(マイクロは100万分の1)上昇すると、患者数が2・8%増えていた。吸引したブラックカーボンが、肺で炎症を起こすことなどが影響している可能性があるという。

 一方、「硝酸イオン」や「硫酸イオン」などその他の成分には、急性心筋梗塞との明確な関係はみられなかった。

  上田佳代・北海道大教授(環境保健)は、 「PM2・5はさまざまな物質の混合物であり、詳しい成分に着目して疾病との関係を分析することは重要だ。どの排出源への対策が優先されるかの判断に役立つ」と話している。

 2025年9月14日(日)

2025/09/13

🟥臓器提供の意思表示、「していない」が76% 政府の世論調査

 移植医療に関する政府の世論調査で、臓器を提供するかどうかの意思表示をしていないと回答した人は全体の76%だった。厚生労働省の担当者は「提供する、しないのどちらも意思表示をすることができるので、啓発に力を入れたい」としている。

 内閣府は今年7月か8月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象に移植医療に関する世論調査を郵送で行い、1391人から回答を得た。

 それによると、臓器移植に「関心がある」と答えたのは全体の62%で、「関心がない」の35%を大きく上回った。

 臓器を提供するかどうかの意思表示の方法として知っているものを複数回答で尋ねたところ、運転免許証が67%、健康保険証が50%、マイナンバーカードが39%、意思表示カードが31%などとなった。

 さらに意思表示についての考えを尋ねたところ、「意思表示をしている」が全体の21%だった一方、「意思表示をしていない」が76%だった。

 意思表示をしていない理由を複数回答で聞いたところ、「抵抗感があるから」と「不安感があるから」がともに28%で最も多くなった。

 厚生労働省の担当者は「臓器提供をする、しないのどちらも意思表示をすることができるので、さらに啓発に力を入れていきたい」としている。

 2025年9月13日(土)

2025/09/12

🟥新型コロナウイルス感染者が2週連続で減少 1医療機関当たり8・12人、最多は宮崎県の17・29人

 厚生労働省は12日、全国約3000の定点医療機関から1〜7日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3万1329人だったと発表した。1医療機関当たりの感染者数は8・12人。前週比0・97倍で、2週連続の減少となった。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは宮崎県の17・29人で、長崎県13・90人、大分県13・88人と続いた。少なかったのは東京都3・98人、北海道4・81人、沖縄県5・49人などだ。

 2025年9月12日(金)

2025/09/11

🟥高血圧の診療ガイドラインに似た本、ネット通販で販売 誤った記載も確認

 高血圧や骨粗しょう症などの専門の学会が作成している診療ガイドラインと紛らわしい、タイトルなどがよく似た本がインターネットの通販サイトで販売されているのが確認された

。生成AIで作られたとみられ、誤った記載も確認されたということで、学会が注意を呼び掛けている。

 日本高血圧学会によると、8月に発行された高血圧の診療ガイドラインにタイトルや表紙のデザインがよく似た本がインターネットの通販サイトで複数、販売されているのを確認したということである。

 このうち「高血圧管理・治療ガイドライン2025」という実物と同じタイトルの本を学会が購入して調べたところ、全体で70ページ余りと4分の1ほどしかない上に、著者の詳しい情報が書かれておらず、内容も治療の目標とする血圧の値が古い数値になっているなど誤った記載が確認されたということである。

 学会が出版社を通じて連絡しこれらの本はサイトから削除されたが、同様のケースは骨粗しょう症などの診療ガイドラインでも確認されていて、関係する学会は間違えて購入しないよう呼び掛けている。

 こうした本について生成AIに詳しい国立情報学研究所の越前功教授に分析を依頼したところ、1つの文が短く箇条書きが多いことや、図表がないといった特徴から生成AIで作られたとみられるということです。

 日本高血圧学会の市原淳弘理事は、「一般の人が間違えて購入すると病気が悪化することにもつながりかねないので、類似品でないかどうか注意してほしい」と話していた。

 2025年9月11日(木)

🟥虐待死、0歳が7割弱 こども家庭庁が検証

 虐待で死亡した子供は、親などによる心中を除くと2023年度、全国で48人に上り、このうち3割余りは生後すぐに遺棄されていたことがわかった。国は、妊娠にとまどう女性などへの妊娠期から出産後までの切れ目のない支援体制の整備を進めることにしている。

 こども家庭庁が公表した2023年度の事例検証によると、虐待を受けて死亡した子供は親などによる心中以外では全国で48人で、前の年度より8人減った。

 年齢別でみると、0歳が33人、1歳、3歳、それに4歳がそれぞれ3人、2歳と5歳がそれぞれ2人、6歳と9歳がそれぞれ1人となっていて、0歳で死亡した割合は全体の68・8%と、事例検証の公表が始まった2005年以降、最も高くなった。

 生後1カ月未満の新生児は18人に上り、このうち15人は生後すぐに遺棄されて死亡していた。

 こども家庭庁によりますと、予期せぬ妊娠などで孤立した状況で出産し、周囲に相談できないまま、遺棄につながったケースが多かったということである。

 こども家庭庁は、今年度中に各地にある相談窓口の一覧サイトを設けるほか、妊娠にとまどう女性などへの妊娠期から出産後までの切れ目のない支援体制の整備を進めることにしている。

 検証委員会の委員長を務めた明星大学の川松亮教授は、「支援が必要な方は、相談をためらってしまうかもしれないが、安心して頼ってほしい。関係機関は相談が寄せられたら思いを丁寧に聞くことを意識してほしい」と話しています。

 2025年9月11日(木)

2025/09/10

🟥熱中症搬送、全国で3776人 9月7日までの1週間に

 9月7日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で3700人余りで、前の年の同じ時期より900人ほど多かったことが、総務省消防庁のまとめでわかった。 

 総務省消防庁によると、9月1日から7日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で合わせて3776人だった。

 昨年の同じ時期と比べて890人余り多くなっている。

 内訳でみると、「死亡」した人はおらず、入院が必要な「重症」と「中等症」が1342人、入院の必要がない「軽症」が2408人などだった。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が2159人と全体の半数以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が1338人、7歳以上18歳未満が257人、7歳未満が22人だった。

 場所ごとに詳しくみると、住宅が1314人と最も多く、次いで道路が779人、駅や競技場、野外のコンサート会場など不特定の人が出入りする屋外が486人などとなっている。

 これで、今年5月1日から9月7日までの累計は9万3783人となり、昨年の同じ時期の8万8956人から4800人余り多くなった。

 2025年9月10日(水)

2025/09/09

🟥ブタ腎臓移植で生存7カ月超える アメリカの67歳男性、世界最長更新

 アメリカのバイオ企業イージェネシスは8日、遺伝子操作したブタ腎臓の移植を1月に受けたアメリカの男性(67)が7カ月以上生存し、世界最長を更新したと発表した。現在は透析なしで生活しているという。移植から半年は拒絶反応が起こりやすくリスクが高い期間で、イギリスの科学誌「ネイチャー」は「画期的な事例だ」と指摘した。

 アメリカで80万人以上、世界中で数百万人が末期腎不全に苦しんでいるが、臓器提供者の数は圧倒的に不足している。ブタの臓器はサイズや生理学的特徴が人と比較的似ており、遺伝子操作して拒絶反応を起こりにくくし、人に移植する取り組みが進められている。

 移植を受けたのはティム・アンドリュースさん。東部ボストンのマサチューセッツ総合病院で1月25日、移植手術を受けた。2年以上透析治療を受けていた。

 これまでの最長はブタ腎臓の移植を受けたアメリカ女性で130日。拒絶反応が見られるようになり、医師らは透析治療に戻るのが最善と判断、手術で腎臓を摘出した。

 2025年9月9日(火)

2025/09/08

🟥タカラトミー、玩具4万個を自主回収 子供が指挟むケース相次ぐ

 大手おもちゃメーカー「タカラトミー」は8日、ミニカーを走らせるおもちゃで、遊んでいた子供が指を挟むケースが相次いだため、約4万個を自主的に回収すると発表した。

 発表によると、自主回収するのは今年7月に国内のほか台湾や香港、フィリピンなどで発売した「グランドモールトミカビル(トミカ55周年記念特別仕様)」約4万個。

 会社によると、この商品はミニカーを走らせて遊ぶもので、8月に東京都内で開催したイベントで、この商品で遊んでいた3歳の子供2人が、らせんエレベーターと呼ばれる部分で、ミニカーを取ろうとして指を挟んでけがをしたということである。

 このほかにも会社のアンケートで、この商品で指を挟んだという記載が9月5日の時点で12件あったということである。

 タカラトミーは「けがをされたお子様とご家族に心より深くおわび申し上げます。品質管理のさらなる強化徹底を図り、再発防止に万全を期す所存です」としている。

 商品を着払いで郵送するよう呼び掛けていて、宛先は千葉県流山市野々下1-355タカラトミー「グランドモールトミカビル」係で、電話での問い合わせはフリーダイヤル0120ー35-1031となっている。購入者には返金する。

 2025年9月8日(月)

2025/09/07

🟥受精卵の染色体を調べる着床前検査、35歳以上の不妊症夫婦も対象へ 

  日本産科婦人科学会(日産婦)は6日、体外受精させた受精卵の細胞の染色体数に異常がないかを調べる「着床前胚染色体異数性検査(PGTーA)」の対象を広げると発表した。従来は不妊治療を繰り返しても妊娠しない場合や流産の経験を持つ場合に限っていたが、女性が35歳以上の不妊症の夫婦にも広げる。妊娠率の向上や流産の予防につなげる。

 6日、東京都内で開いた定例記者会見でPGTーAの細則を変更する方針を発表した。8日にホームページに掲載する。

 従来の細則では不妊治療をしても妊娠しない夫婦や、流産を繰り返す夫婦などを検査対象としていたが、文言を追加する。女性の年齢については自然妊娠率が低下する35歳以上を「目安」とする。

 日産婦の臨床倫理監理委員会委員長を務める三浦清徳・長崎大学教授は、「高年齢の不妊症の夫婦に検査を導入することで、妊娠率の向上や流産の予防につながる」と説明した。海外の研究などで科学的根拠が示されているほか、国内の医療関係者らからも対象の追加を求める声が上がっていたという。

 PGTーAは体外受精させた受精卵の染色体数に異常がないかを調べる検査だ。染色体に異常がないものを子宮に戻す。流産リスクの低減や妊娠率の向上が期待される一方で、「命の選別」につながるという批判もある。

 2025年9月7日(日)

2025/09/06

🟥宮崎大学と花王、猫のウイルス感染を簡易検査 あぶらとりフィルムで

 宮崎大学(宮崎市)は3日、花王や宮崎市との共同研究でネコのウイルス感染を簡易検査できる手法を確認したと発表した。市販のあぶらとりフィルムで採取した皮脂に含まれるRNA(リボ核酸)を分析して、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と猫免疫不全ウイルス感染症(FIV、ネコエイズ)の検出に成功したという。

 SFTSはマダニを媒介とし、人にも動物にも感染する。感染した人や動物の血液などを介してもうつる。発症すると、発熱や嘔吐(おうと)、下痢、意識障害などの症状が出る。宮崎大によると、致死率は人が10〜30%、ネコは60%と高い。有効な治療法は確立されていない。

 花王が開発した人の肌や体の状態を把握する「皮脂RNAモニタリング」という技術をネコに応用した。従来の血液検査に比べネコへの負担を軽減できるほか、獣医師のSFTS感染リスクを減らせる。

 宮崎大はネコの皮脂からのRNA検出感度が高く、人のDNAやRNAと見分けられる「プライマー」と呼ばれる遺伝子増幅に必要な因子を開発した。「偽陰性」が出ることを防ぐ。ネコの皮脂は耳から採取する方法が最適といい、かまれるリスクも低い。

 SFTSについては血液検査で感染が確認されたネコから採取した皮脂を動物病院から入手して、RNAの検査でも陽性を確認した。FIVについては皮脂による検査での陽性21体と血液検査の結果が一致した。

 宮崎大農学部の斉藤暁准教授は、「情報量の多さで血液検査に完全に置き換えられるものではないが、早く陽性の判断ができることで感染を広げるリスク低減に役立つ。動物に対する検査としては有効性が高いのではないか」と話している。

 将来は自宅の飼い猫の皮脂を採取して、動物病院などに郵送して検査できるようにすることを目指す。

 2025年9月6日(土)

2025/09/05

🟥小林製薬、男性向けシミ防止クリーム約57万個を自主回収 水分蒸発で成分濃縮の恐れ

 小林製薬は5日、男性用のスキンケア商品について、有効成分が時間の経過とともに濃縮されて法律で定める基準を上回る可能性があるとして、対象の商品約57万個を自主回収すると発表した。

 自主回収を行うのは、小林製薬が販売するシミ防止クリーム「メンズケシミンプレミアムオールインワンクリーム」で、2023年9月から今年8月までに製造された約57万個。

 会社によると、今年8月、2023年に製造された商品を自主的に検査したところ、シミやしわを改善する「ナイアシンアミド」と呼ばれる有効成分が濃縮され、法律で定める基準よりごくわずかに高くなっていたということである。

 時間の経過とともに水分が蒸発したためとみられ、会社では、使用期限の3年以内に承認された規格から外れる可能性があるとして、自主回収を決めた。

 これまでに、健康被害の情報は寄せられていないということである。

 ほかのケシミンブランドの製品については使用に問題はないとしている。

 小林製薬は「原因を一刻も早く究明するとともに、品質管理に万全を期し、再発防止に徹底して取り組んでいきます」とコメントしている。

 回収対象の製品は小林製薬の依頼を受けた配送会社が引き取った上で、購入金額と同額をQUOカードで払い戻す。問い合わせは、フリーダイヤル0120−24−5884で受け付けている。

 2025年9月5日(金)

2025/09/04

🟥新型コロナ感染、2年たっても後遺症続く 3・5~7・2%の人に疲労感や睡眠障害など

 新型コロナウイルスに感染してから2年たっても、疲労感・ 倦怠(けんたい)感、睡眠障害などの後遺症が続く人が、3・5~7・2%いることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。後遺症がある人の割合は時間の経過とともに低下した。

 調査は大阪府八尾市と札幌市で継続的に行っている。2024年度は、計1万4872人の成人を対象に実施し、5972人から回答を得た。

 2024年11月~2025年1月時点で感染から2年以上が経過していた八尾市1922人、札幌市1620人のうち、感染2年後の時点で何らかの症状が続いていたと答えたのはそれぞれ3・5%、7・2%だった。感染3カ月後の時点と比べ、八尾市で4分の1、札幌市では2分の1以下に減った。

 症状別では、疲労感・倦怠感、睡眠障害、集中力低下、呼吸困難、嗅覚障害などが目立った。

 厚労省が3日に開いた専門家部会で、研究担当者は「2年たっても一定割合で症状が続いており、就業や就学に影響が出るなど社会経済的な課題を抱えている可能性がある。より詳しい状況を調べたい」と述べた。

 2025年9月4日(木)

2025/09/03

🟥熱中症で5486人搬送、6人死亡 8月31日までの1週間

 8月25日から31日までの1週間に熱中症で医療機関に運ばれた人は全国で合わせて5486人だったことが、総務省消防庁のまとめでわかった。

 内訳でみると、岐阜県、兵庫県、高知県など1府5県で「死亡」が計6人、入院が必要な「重症」と「中等症」が1979人、入院の必要がない「軽症」が3474人などだった。

 都道府県別の搬送者は、東京都が589人で最多。大阪府422人、埼玉県357人と続いた。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が3143人と全体の半数以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が1868人、7歳以上18歳未満が457人、7歳未満が18人だった。

 場所ごとに詳しくみると、住宅が1982人と最も多く、次いで道路が1149人、駅や競技場、野外のコンサート会場など不特定の人が出入りする屋外が771人などとなっている。

 これで、今年5月1日から8月31日までの累計は9万7人となり、昨年の同じ時期の8万6075人から3900人余り多くなった。

 2025年9月3日(水)

2025/09/02

🟥マダニ媒介感染症「SFTS」、患者数142人 ペット介して感染にも注意を

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、今年、これまでに全国から報告された患者数は速報値で142人となった。感染したペットの体液などを介して感染するケースも確認されていて、専門家は注意を呼び掛けている。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する感染症で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することがあり、厚生労働省によると、感染して死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされている。

 国立健康危機管理研究機構によると、8月24日までに31の道府県から患者が報告され、累計の患者数は速報値で142人となっていて、これまでで最も多かった2023年を上回って過去最多となっている。

 西日本を中心に患者数が多くなっているが、今年はこれまで感染が確認されていなかった北海道や関東地方からも患者が報告されていて、厚労省は、マダニに刺されないよう野外で肌の露出を減らすなどの対策を呼び掛けている。

 さらに感染したネコを始めとしたペットの体液などを介して人に感染するケースもあり、国立健康危機管理研究機構獣医科学部の前田健部長は「患者の少なくとも数%は、感染したネコから感染するなどしていると考えられる。ネコを飼っている場合は、ダニに刺されないよう室内飼いを徹底するほか、野外のネコは素手で触らないようにしてほしい」と呼び掛けている。

 2025年9月2日(火)

2025/09/01

🟥東京都の今夏、熱中症疑いで8341人搬送 すでに昨夏を上回る

 厳しい暑さが続く中、東京都内でこの夏、熱中症の疑いで医療機関に搬送された人は合わせて8341人と、昨年の夏をすでに上回り、2年連続で過去最多となったことがわかった。

 東京消防庁は、年齢や場所にかかわらず症状を訴える人が相次いでいるとして、対策の徹底を呼び掛けている。

 東京消防庁によると、都内で今年6月以降に熱中症の疑いで搬送された人は8月31日までに速報値で8341人に上った。

 これは昨年の6月から9月までの搬送者の数(7996人)より340人余り多く、2年連続で過去最多となった。

 搬送者のうち、1人が死亡、47人が重篤、192人が重症、3125人が中等症、4976人が軽症となっている。

 年代別では高齢者が多いものの、10歳代や20歳代の若い世代も含まれているということである。

 東京消防庁は厳しい暑さが続く中、年齢や場所にかかわらず症状を訴える人が相次いでいるとして、のどが渇く前にこまめに水分を補給することや、室内では冷房や扇風機を適切に使用することなど、対策の徹底を呼び掛けている。

 2025年9月1日(月

🟥「危険なほど暑い日」が57日増加 今世紀、パリ協定の削減目標達成でも

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき各国が掲げる温室効果ガスの排出削減目標が達成されても、産業革命前と比べて今世紀中に2・6度の気温上昇が見込まれ、熱中症や死亡リスクが増加する「危険なほど暑い日」は世界平均で年間57日増えるとの試算を、アメリカの気候研究機関クライメート...