猛暑日や真夏日が続く折、熱中症対策にこまめな水分補給は欠かせません。しかし、脱水症に用いられる飲料「経口補水液」について、消費者庁は「スポーツドリンクのように普段の水分補給として飲むものではない」と注意を呼び掛けています。体に良さそうだからと日常的に飲んだり、熱中症の予防対策として摂取したりするのは間違いとしています。
経口補水液とは、脱水時に体内から失われた水と電解質(ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)を素早く吸収できる飲み物です。感染性胃腸炎による下痢や嘔吐(おうと)、発熱、過度な発汗などによって脱水症状が起きた場合に、水と電解質を効率的に吸収できるように特別な割合で成分が配合されています。
「OS-1」(大塚製薬)、「アクエリアス 経口補水液 ORS」(日本コカ・コーラ)、「アクアソリタ」(味の素)などの商品が販売されています。ドラッグストアなどで手軽に購入できますが、病者向けの「特別用途食品」と国が定めており、脱水症状のない人が水分補給で飲むものではありません。
ペットボトル入り清涼飲料水と見た目が似ているため、スポーツドリンク感覚で飲用している人もいますが、消費者庁は経口補水液の特徴や正しい飲み方について、次のように示しています。
(1)経口補水液はスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムが約3~4倍多く含まれています。
(2)脱水状態でない人が普段の水分補給として飲むものではありません。経口補水液は、医師や管理栄養士らと相談し、指導に沿って使用しましょう。
(3)ナトリウムやカリウムの摂取量を制限されている人は、飲み方を誤ると健康に大きな問題を引き起こす恐れもあるので、使用前に必ず医師に相談しましょう。また、ナトリウムやカリウム以外に糖質も含まれているため、医師から糖質の摂取量の制限を指示されている場合も注意が必要です。
(4)脱水を伴う熱中症に効果がある経口補水液もあるので、パッケージの表示をよく確認しましょう。
2025年7月1日(火)