一部が有害とされる、有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」の東京都内全域を対象にした都の地下水の調査が完了し、全体の約3分の1に当たる21の自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出されていたことがわかりました。
「PFAS」は有機フッ素化合物の総称で、このうち、有害性が指摘される「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」は国内各地の河川や水道水で高い濃度で検出されるケースが相次いでいることから、国は水質について1リットル当たり50ナノグラムという暫定的な目標値を定めています。
都の環境局は、都民の不安を解消するため、2021年度から島しょ部を除く都内全域を対象に地下水の調査を進めてきましたが、当初の予定を1年前倒しして、3月に調査を終えました。
関係者によりますと、これまでの調査の結果、都内のすべての自治体の約3分の1に当たる21の自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出されたということです。
2023年度までの調査では、目標値を上回る値が検出されたのは17自治体でしたが、新たに足立区、台東区、八王子市、小平市の4つの自治体で検出されたということです。
都は、都内の広い範囲で検出されているとして、新年度も同じ規模の調査を行って実態を把握し、今後の対策を検討するとしています。
今回の都の調査結果について、PFASの研究を続けている京都大学大学院の原田浩二 准教授は、「都内でも発生源が複数存在し得ることがわかった。PFOSやPFOAは、これまで泡消火剤や半導体の製造、フッ素樹脂の製造などのため使われてきたこともあり、使用されていた場所で何らかの流出が起こったのではないか」と指摘しました。
その上で、「地下水から検出された場所の周りに、発生源がどのようなものがあるかを調べ、さらにその周辺の場所にも調査を広げることが望まれる。また、地下水の調査のみではなく、周辺の事業者などの協力を得て、PFASなどの使用履歴を確認していくことも必要だ。各自治体と連携し、実態の把握と対策に向けた取り組みを進めていくことが重要だ」と訴えました。
一方、都内の水道水からは高い濃度は検出されていないとした上で、「井戸から地下水を使用する人は注意が必要で、自治体から周知してほしい」と話していました。
2024年3月31日(日)