2025/06/30

🟩高齢者の安全な薬物療法ガイドライン改定 日本老年医学会、10年ぶり

 日本老年医学会は、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を10年ぶりに改定したと発表しました。高齢者に出やすい薬の副作用を防ぐために、慎重な投与が必要となる薬物のリストを更新。糖尿病や肥満症の治療に使われる薬が加わりました。

 高齢者はたくさんの診療科にかかり、薬が増えて副作用が生じる「ポリファーマシー」を引き起こしやすくなります。ガイドラインは、薬の効果や有害事象に関する論文などをもとに、「特に慎重な投与を要する薬物」や、高齢者が必要な医療を受けられなくなることを防ぐために治療の選択肢の一つとして検討するよう求める「開始を考慮するべき薬物」を示しています。

 「特に慎重な投与を要する薬物」には、糖尿病の治療薬の「GLP―1受容体作動薬」や「GIP/GLP―1受容体作動薬」が加わりました。吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、食欲不振などに注意し、加齢に伴って心身の活力が低下した「フレイル(虚弱)」や全身の筋肉が弱る「サルコペニア」の患者では、体重減少に注意しながら投与の可否を慎重に判断する必要がある、としました。

 急に我慢できないほどの尿意を催したり、頻尿になったりする「過活動膀胱(ぼうこう)」の治療で使う「β3受容体作動薬」は、認知機能低下のリスクがないとして、「開始を考慮するべき薬物」に加わりました。

 ガイドラインの対象は75歳以上の高齢者や、75歳未満のフレイルの患者や要介護者。

 薬を自己判断でやめると、症状が悪化したり、予期せぬ副作用が出たりすることもあります。ガイドラインは医療者向けで、同学会は患者や家族、介護職に対して、自己判断で服薬を中止せず医師に相談するよう呼び掛けています。

 同学会理事長の神崎恒一・杏林大医学部高齢医学教授は、「暑くなると、脱水が引き金となり、腎機能の低下や薬物の有害事象が起こりやすくなる」と指摘し、「必要な薬を正しくのんでもらうためにも、重要なガイドラインだ」と話しました。

 2025年6月30日(月)

2025/06/29

🟩万博会場周辺の下水で感染症調査 はしか・MERSなど拡大予測の研究

 国内外から多数の人が訪れる大阪・関西万博を巡り、大阪健康安全基盤研究所(大安研)が会場周辺の下水に含まれる病原体を調べ、感染拡大を予測する実証研究を始めたことが29日、わかりました。万博会場などで体調不良で受診した患者の情報と合わせて解析することで、発生状況の早期探知や国内で流行するリスクがどれほどあるのか把握することが狙い。

 万博では半年の期間中、約350万人の訪日客を含む約2820万人の来場を見込んでいます。新型コロナウイルス流行後では最大級の国際的イベントで、大安研の朝野和典理事長は「技術を確立し、将来的な流行状況調査の負担軽減や医療提供体制の備えに生かしたい」としています。

 対象となる感染症は、はしかや中東呼吸器症候群(MERS)など約20種類。万博会場がある人工島・夢洲(ゆめしま)の周辺や、近隣の下水処理場でトイレなどの排水を週に1回採取し、ウイルスや細菌の遺伝子が含まれるかを調べます。

 2025年6月29日(日)

2025/06/28

🟩新型コロナ感染者、1医療機関当たり1人に 5月初め以来、前週比1・11倍

 厚生労働省は27日、全国約3000の定点医療機関から16~22日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3841人で、1医療機関当たり1・00人だったと発表しました。1人に達したのは、4月末から5月初めにかけての週以来。前週比は1・11倍で微増しました。

 新型コロナは、感染の規模が徐々に小さくなっているものの、例年夏と冬に流行を繰り返しています。

 1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは沖縄県で、前週の3・89人から5・87人に増加。愛媛県1・92人、埼玉県1・52人と続きました。少なかったのは島根県0・25人、秋田県と山形県が0・28人などでした。

 2025年6月28日(土)

2025/06/27

🟩訪問介護事業所、107町村でゼロ 中山間地や離島多く、経営難など

 ヘルパーが高齢者宅を訪れて身の回りの世話をする訪問介護サービスを提供する事業所がゼロの自治体が、2024年末時点で32都道府県の107町村に上ることが25日、わかりました。人口減少や高齢化が進む中山間地や離島の自治体が目立ちました。物価高などに伴う経営難やヘルパー不足が影響したとみられます。団塊世代が75歳以上となり、介護需要が高まる中、過疎地でのサービス提供の脆弱さが浮き彫りとなりました。

 利用者が必要なサービスを受けられない状況を避けるためにも、事業所の広域連携や経営の効率化を進めることが有効との指摘があり、行政による支援の強化が求められます。人手を確保するためヘルパーの賃上げなど待遇改善も重要となります。

 厚生労働省が公表している事業所の全国一覧に基づき集計。訪問介護事業所がゼロの自治体は2022年末は93町村、2023年末は97町村で増加傾向にあります。2024年末の107町村を都道府県別で見ると、北海道の14町村が最も多く、長野県10町村、沖縄県10町村、福島県8町村、高知県8町村が続きました。

 2025年6月27日(金)

2025/06/26

🟩「赤ちゃんポスト」設置へ補正予算可決、大阪府泉佐野市 慈恵病院の視察費など800万円計上

 大阪府の泉佐野市議会は25日、市が取り組む方針の「内密出産」や「赤ちゃんポスト」の関連予算を含む一般会計補正予算案を可決しました。市は近く連携する医療機関を明らかにし、早ければ来年度から導入するとしています。

 望まない妊娠に悩む女性が病院の担当者にのみ身元を明かして出産する「内密出産」や、育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」には、熊本市の慈恵病院と東京都墨田区の賛育会病院が取り組んでいます。泉佐野市で導入されれば全国3例目となります。

 可決された予算は、市による両病院への視察費など約800万円。市は今後、連携する病院に必要な設備の費用などを負担する方針です。ふるさと納税を原資とする基金を充てます。

 可決後に報道陣の取材に応じた千代松大耕市長は、行政主導で取り組むことで、病院と行政機関との調整が「スムーズにいくのではないか」と述べました。

 2025年6月26日(木)

2025/06/25

🟩入国前の結核検査を義務化、フィリピンとネパール対象

 留学や就労目的で日本に3カ月を超えて滞在する予定の外国人に、入国前の結核検査と、発症していないことの証明書の提出を義務付ける「入国前結核スクリーニング」が23日、フィリピンとネパールを対象に始まりました。在留中に結核と診断される人の割合が増加傾向にあり、対策が急務となっていました。比較的患者が多いこの2カ国で先行実施し、ベトナムも9月1日に開始します。

 日本政府は今後、対象国を中国、インドネシア、ミャンマーにも広げる方針。

 2023年に日本で新たに結核と診断されたのは1万96人。そのうち外国生まれの患者は1619人で約16%に当たり、年々割合が高くなっています。入国前結核スクリーニングの対象、または対象予定の6カ国からの入国者が、外国生まれの患者の約8割を占めるといいます。

 日本側が指定した現地の医療機関で、問診や胸のエックス線検査、必要に応じて喀痰検査などを受けます。証明書は在留資格の認定など来日手続きの際に提出。一部例外を除き、発症していないことを証明できなければ入国を認めません。

 2025年6月25日(水)

2025/06/24

🟩中国から輸入のスナック菓子から国内使用禁止の酸化防止剤、輸入業者に回収と廃棄命令

 千葉市は23日、同市美浜区の食品輸入業者「清水物産ホールディングス」が中国から輸入したスナック菓子から、国内で使用が禁止されている食品添加物が検出されたと発表しました。千葉市保健所は同日、同社に回収と廃棄を命じました。

 違反のあった菓子は「フライドポテト うすしお味」(1袋45グラム)で、今年3月31日以降に輸入された12万袋が回収の対象になります。すでに流通しているものの、健康被害は確認されていません。

 検出された添加物は酸化防止剤の「TBHQ」で、菓子1キロ・グラム当たり0・0011グラムが検出されました。千葉市保健所は、人が生涯食べ続けても、直ちに健康への影響はない値だとしています。

 19日に茨城県のサンプリング検査で違反が判明し、翌20日に千葉市に連絡がありました。千葉市保健所の担当者は、この菓子が手元にある場合は食べずに同社へ連絡するよう呼び掛けています。

 2025年6月24日(火)

2025/06/23

🟩熱中症疑いで救急搬送、東京都28人埼玉県28人群馬県14人など

 東京消防庁によりますと、23日、東京都内では、午後3時までに32歳から98歳までの合わせて28人が、熱中症の疑いで救急搬送されました。

 このうち1人が重症、15人が中等症、12 人が軽症だということです。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給することや、室内で適切に冷房や扇風機を利用することなど対策の徹底を呼び掛けています。

 埼玉県によりますと、23日午後4時の時点で、県内では熱中症の疑いで合わせて28人が救急搬送されました。

 このうち重症が1人、中等症が11人、軽症が16人だということです。

 年代別では65歳以上の高齢者が16人と半数以上を占め、18歳以上65歳未満が9人、7歳以上18歳未満が3人となっています。

 埼玉県はエアコンを使ったり、水分をこまめに補給したりして、熱中症の対策を徹底するよう呼び掛けています。

 消防によりますと、群馬県内では23日午後5時の時点で、20歳から95歳までの合わせて14人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 このうち中等症が10人、軽症が4人だということです。

 県は、エアコンの適切な使用やこまめな水分補給など熱中症対策を徹底するよう呼び掛けています。

 神奈川県によりますと、23日午後3時までに県内では12人が熱中症の疑いで搬送されました。

 重症の人はいませんでした。搬送された12人のうち、7人が65歳以上の高齢者でした。

 千葉県によりますと、県内では23日、午後2時までに11人が熱中症の疑いで医療機関に搬送されました。

 3週間以上の入院が必要な重症の患者はいませんでした。

 県は、エアコンの適切な使用やこまめな水分補給など、対策を徹底するよう呼び掛けています。

 茨城県によりますと、23日午後4時までに40歳代から80歳代の男女8人が熱中症の疑いで医療機関に搬送されました。

 このうち7人が中等症、1人は軽症となっています。

 栃木県消防防災課によりますと、23日午後4時時点で栃木県内では3人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 中等症が2人、軽症が1人となっています。

 2025年6月23日(月)

2025/06/22

🟩滋賀県の養鱒場で国内2例目の「レッドマウス病」確認、イワナ34万匹を殺処分

 滋賀県は20日、同県米原市の醒井(さめがい)養鱒(ようそん)場で飼育していたイワナの稚魚で、サケ科の魚類で口などから皮下出血する「レッドマウス病」を確認したと発表しました。国内2例目で、約34万匹を殺処分しました。人には感染せず、魚を食べても人体に影響はないといいます。県は感染経路を調べています。

 県水産課によると、国内では2015年に石川県でサケの稚魚が感染したのが最初。原因の細菌に感染すると口の中やヒレの根元などが皮下出血して赤くなり、死ぬこともあるといいます。

 養鱒場のイワナは、川への放流用や飲食店向けに出荷します。稚魚飼育棟の水槽で昨年秋に生まれた計約35万匹を飼育していましたが、5月下旬以降に約1万匹が死にました。6月10日に水産試験場の簡易検査で感染の疑いが判明。国の研究機関で20日に陽性が確定しました。

 すでに出荷され、県内で飼育されていた200匹も殺処分します。また、養鱒場で別の水槽で飼育していたニジマスやアマゴ、ビワマスには現時点で感染の兆候はないといいます。

 2025年6月22日(日)

2025/06/20

🟩ワクチン接種遅れていれば死者2万人増 2021年のコロナで東大推計

 新型コロナウイルスワクチンの接種開始が3カ月遅れていたら、2021年の国内死者数が実際より2万人余り増えていたとの推計結果を、東京大新世代感染症センターの古瀬祐気教授らのチームがまとめました。また「ワクチンの安全性に関するデータは捏造されている」といった誤情報を信じた未接種者が、信じていない人と同じ割合で接種したとすると431人の死亡を防げたとの結果が出ました。

 古瀬教授は、「次のパンデミックが発生した場合など、今後のワクチン接種戦略を考えるのに役立つ」と話しています。約3万人を対象にした2021年のアンケートによると、未接種者の36・6%が誤情報を信じていたといい、誤情報の影響を抑えることができれば、接種率を上げて死者を減らせる可能性も示しました。

 チームは、感染者数のほか、ワクチンの接種率や有効性のデータを基に計算。2021年12月にオミクロン株が出現するまでの国内の新型コロナによる死者は約1万5000人とし、同年2月に医療従事者らを皮切りに接種が始まったワクチンにより約3万人の死亡が回避されたと推計しました。

 2025年6月20日(金)

2025/06/19

🟩アメリカFDA、新型のHIV感染予防薬を承認 年2回注射、高い有効性

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は18日、アメリカの製薬大手ギリアド・サイエンシズのエイズウイルス(HIV)感染予防薬を承認しました。年に2回だけの注射で感染を予防でき、HIVの感染減につながることが期待されています。

 ギリアド・サイエンシズによれば、第3相臨床試験(治験)で抗ウイルス薬「レナカパビル(販売名イェズトゥゴ)」は99・9%以上の予防効果が確認できました。イギリスのグラクソ・スミスクライン(GSK)も同様の長期的な効果がある予防薬を展開していますが、2カ月に1回とより頻繁な投与が必要です。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカで2023年に3万9000人がHIVに感染しました。アメリカメディアによると、保険適用前の年間価格は約2万8000ドル(約400万円)といいます。

 ギリアド・サイエンシズのダニエル・オデイ最高経営責任者(CEO)は今回の承認について声明を出し、「この薬は年2回の注射で済むため、HIV予防を根本的に変えることができる。HIV撲滅という目標を現実に近付けることができた」と強調しました。現在ギリアド・サイエンシズが展開している錠剤の予防薬は毎日の摂取を必要としています。

 「レナカパビル」は「シュンレンカ」の製品名で、HIV感染者の治療薬として利用されています。今回は予防薬としてFDAに承認されました。

 アメリカのジェフリーズのアナリスト、マイケル・イー氏は予防薬としてのレナカパビルの売上高が2025年に1億3500万〜1億5000万ドル、2030年に35億ドルに上ると分析しています。

 ギリアド・サイエンシズはアメリカ以外でレナカパビルの承認申請をヨーロッパ連合(EU)やオーストラリア、ブラジルなどでしていることも明らかにしました。

 2025年6月19日(木)

2025/06/18

🟩尿を用いた検査でステージ0の肺がん患者を早期発見 名古屋大発の新興企業が発表

 尿を用いてがんのリスクを検査する「マイシグナル」を提供している名古屋大発のスタートアップ(新興企業)、Craif(クライフ、東京都文京区)は16日、北海道で行った共同研究で、検査でリスクが高いと判定した人から肺がんの疑いのある腫瘍が見付かり、手術で超早期のステージ0の肺がんを取り除いたと発表しました。

 小野瀨隆一最高経営責任者(CEO)は発表会で、「がんは早期発見できれば生存率も高く、治療のコストも低くできる。早期に発見して治療するのが当たり前の社会にしていきたい」と強調しました。

 同社が開発したマイシグナルは、尿からがん細胞が放出する「マイクロRNA」を高い精度で検出し、がんのリスクを判定します。

 共同研究は北海道大学病院の加藤達哉教授らと実施し、北海道岩内町などの100人にキットを無償提供して検査しました。この結果、5人が肺がんの「中」リスクと判定され、精密検査を受けたところ、1人に肺がんの疑いのある腫瘍が見付かりました。その後、手術で取り除き、完治しました。研究成果は呼吸器外科学会学術大会で発表しました。

 北海道は面積が広大で、医療機関の不足などもあって、がん検診の受診率が低くなっています。マイシグナルは自宅で尿を採取して検査できるため、医療機関で行う血液検査などより手軽といいます。

 2025年6月18日(水)

2025/06/17

🟩東京都内、熱中症の疑いで54人搬送 千葉県内では30人搬送

 東京消防庁によりますと、17日、東京都内では、午後3時までに14歳から96歳までの合わせて54人が、熱中症の疑いで救急搬送されました。このうち2人が重症、24人が中等症、28人が軽症だということです。

 また、千葉県によりますと、千葉県内では午後2時までに30人が熱中症の疑いで搬送されました。3週間以上の入院が必要な重症の患者はいませんでした。

 消防では、のどが渇く前にこまめに水分を補給することや室内で適切に冷房や扇風機を利用することなど対策の徹底を呼び掛けています。

 2025年6月17日(火)  

2025/06/16

🟩環境省などが和歌山県、香川県、鹿児島県、沖縄県に熱中症警戒アラート エアコンの適切な使用を呼び掛け

 熱中症の危険性が極めて高い危険な暑さが予想されるとして、環境省と気象庁は16日、和歌山、香川県全域と鹿児島県奄美地方、沖縄県八重山地方に「熱中症警戒アラート」を発表しました。

 環境省によると、和歌山県、香川県、鹿児島県への警戒アラートは今季初めて。急激な気温の上昇で暑さに慣れていない人も多いため、熱中症への注意が必要だといいます。

 「熱中症警戒アラート」が発表されたエリアでは、▼普段以上に屋内の気温や湿度に気を配り、エアコンなどを適切に使用し、より涼しい環境で過ごしてください。▼こまめに休憩を取り、水分・塩分を補給してください。▼人の健康にかかわる被害が生じる恐れがあります。暑さから自分の身を守ってください。

 一方、▼屋外やエアコンが設置されていない屋内での運動・作業・活動は、できるだけ中止や延期を検討してください。▼激しい運動は禁物です。さらに、▼特に暑さに弱い高齢者や障害者の人たち、小さな子供たちに対しては、大丈夫かどうか声をかけてあげてください。

 2025年6月16日(月)

2025/06/15

🟩美容医療トラブルに特化した救急外来が本格開始 東京都新宿区の病院が6月から

 まぶたの二重手術や脂肪吸引など美容医療のニーズが高まる一方で、一部では、合併症や後遺症などの健康被害も起きています。そうした中、東京都新宿区の病院が6月から、美容医療のトラブルに特化した救急外来を本格的に開始しました。

 美容医療を巡っては全国の消費生活センターなどに寄せられた健康被害の相談が、昨年度822件と、5年前の1・7倍に増加しています。

 こうした中、東京都新宿区で24時間、救急患者を受け入れている春山記念病院は、患者を迅速に治療するため、6月から、美容医療のトラブルに特化した救急外来を本格的に開始しました。

 病院はこれまでも、美容医療による合併症などの緊急手術を行ってきましたが、どんな施術を受けたのかわからず、処置に苦慮するケースも少なくなかったといいます。

 このため6月には、東京都内の美容クリニックと覚書を交わし、クリニックで施術を受けた患者を病院が受け入れる場合は、施術内容など、治療に必要な情報を共有していくことになりました。

 治療は公的な医療保険が適用されない自由診療で行われます。

 美容医療の健康被害を巡っては、厚生労働省の検討会も昨年、美容クリニックと、合併症などに対応できる医療機関の連携を深める必要性を指摘しています。

 覚書を交わした美容クリニックの深堀純也理事長は。「これまで施術後の死亡事故や重篤な後遺症は起きていないが、今後、予期せぬ合併症が起こる可能性もあり、安心して美容医療を提供する上で、救急病院と連携できるのは心強くありがたい」と話していました。

 春山記念病院の事業責任者の櫻井裕基医師は、「一刻一秒を争う事例があるため協定を事前に結ぶ取り組みを始めた。今後はほかのクリニックとの連携も広げていきたい」と話していました。

 2025年6月15日(日)

2025/06/14

🟩ALS嘱託殺人、医師の上告を最高裁が棄却 懲役18年の実刑確定へ

 6年前の2019年、難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害した罪などに問われ、無罪を主張した医師について、最高裁判所は12日までに上告を退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。

 医師の大久保愉一(よしかず)被告(47)は元医師の山本直樹被告(47)(上告中)とともに6年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の当時51歳の女性から依頼を受け、薬物を投与して殺害した嘱託殺人や、14年前の2011年、精神疾患のある山本被告の父親を殺害した罪などに問われました。

 医師側は裁判で「女性が尊厳ある死を選択し、医師が応じたものだ。医師を処罰するのは個人の尊厳などを保障する憲法に違反する」などとして、無罪を主張していました。

 2審の大阪高等裁判所は「尊厳ある人生の終わりを決める権利は尊重されるべきだが、嘱託殺人が直ちに許されるわけではない。医師は、女性の気持ちが変わらないか慎重に見極めることが必要だったのに、わずか15分程度の面会で犯行に及び、130万円の謝礼も受け取っている。女性を思っての犯行とは考えがたい」などとして、医師側の主張を退け、1審に続いて懲役18年を言い渡しました。

 医師側が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の高須順一 裁判長は12日までに退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。

 亡くなった女性の父親(84)は、「判決が確定することになっても娘は帰ってきません。医師には薬物を投与して殺害する前、娘が思いとどまるような言葉をかけてほしかった。同じような事件が2度と起こらないことを願っています」と話していました。

 2025年6月14日(土)

2025/06/13

🟩長崎県で30歳代妊婦が鳥から感染する「オウム病」で死亡か 飼育歴なく感染経路不明

 長崎県内で昨年亡くなった30歳代の妊婦が、鳥のふんなどに含まれる細菌に感染して引き起こされる「オウム病」で亡くなった疑いがあると、長崎県が発表しました。県は鳥との過度な接触を避けるなど、感染予防を呼び掛けています。

 長崎県によりますと、昨年1月、県内の医療機関を受診した30歳代の妊婦が発熱や呼吸困難、意識障害などの症状が出た後、亡くなりました

 医療機関が調べたところ、今月5日、妊婦の検体から「オウム病クラミジア」という細菌の遺伝子が検出され、妊婦が「オウム病」で亡くなった疑いがあることがわかったということです

 長崎県内で「オウム病」の患者が確認されたのは、2017年以来です。

 厚生労働省や長崎県によりますと「オウム病」はオウム病クラミジアという細菌が引き起こし、発熱やせき、全身のけん怠感などインフルエンザのような症状が出る病気で、特に妊婦は重症化する傾向にあり、呼吸困難や意識障害となって死亡する場合もあります

 オウムやインコ、ハトなどのふんに含まれた細菌を吸い込んだり、餌を口移しで与えたりすることで人に感染しますが、人から人への感染は確認されていないということです

 長崎県によりますと、亡くなった妊婦は鳥を飼っておらず、感染経路はわかっていないということです

 県は、鳥との過度な接触を避け、飼育する場合はケージ内の羽やふんをこまめに掃除し、鳥の世話をした後は手洗いやうがいをするなど感染予防を呼び掛けています。

 人獣共通感染症に詳しい岐阜大学の福士秀人名誉教授は、「オウム病という名前がついているが、どの種類の鳥でも原因となる病原体を持っている。病原体が鳥のふんに含まれていて感染の原因になる。空気中に舞い上がった病原体を吸い込んで呼吸器に感染する」と話していました

 その上で「妊婦は重症になる可能性が高いと思われる。また、高齢者など免疫が弱っている人も重症化しやすい」としています

 また、「巣の近くにいる時などに知らない間に感染してしまうこともあり、野外で感染する可能性があることを覚えていてほしい。野外での感染を防ぐ方法はあまりない。重症化すると死亡する可能性もあるが、抗生物質を飲めば治療できるので、高熱が出た時などにはオウム病の可能性も疑って治療してもらってほしい」と話していました。

 2025年6月13日(金)

2025/06/12

🟩認知症の原因物質、中高年のうつ発症と関連か 高い割合で脳に蓄積

 中高年で発症するうつ病などの気分障害に、認知症の原因とされる物質がかかわっている可能性があることがわかったと、量子科学技術研究開発機構(QST)と慶応大などのチームが9日、発表しました。近年の研究で、中高年以降に発症する気分障害の一部が認知症の前兆として現れる可能性が指摘されていますが、詳しい発症メカニズムはわかっていませんでした。

 チームは、認知症の早期診断や治療につながると期待しています。

 40歳以上でうつ病や双極性障害(そううつ病)を発症した患者52人と、同年代の健常者47人を対象に、陽電子放射断層撮影(PET)を実施。アルツハイマー病などの原因とされるタウやアミロイドベータというタンパク質が脳内に蓄積しているかどうかを調べました。

 その結果、タウの蓄積が見られたのは健常者で約15%だったのに対し、気分障害の患者では50%に上りました。幻覚や妄想といった精神症状を伴う重症の患者では蓄積量が多い傾向がありました。アミロイドベータの蓄積も、患者のほうが多く見られました。

 2025年6月12日(木)

2025/06/11

🟩ワクチン接種拒否した女性職員を「接種拒否者」として文書回覧 パワハラ認定し150万円賠償

 滋賀県の甲賀広域行政組合消防本部(甲賀市)で新型コロナワクチンを接種しなかった女性職員(退職)を、ほかの職員と離れた場所で勤務させていた問題で、同組合は10日、臨時議会を開き、精神的苦痛に対する損害賠償金として150万円を支払うことを決めました。

 女性は警防課に勤務していた2021年4月、全職員を対象としたワクチン接種で、過去に別のワクチンで副反応が出たことを理由に接種を受けませんでした。「接種拒否者」として全職員に文書回覧されたほか、仕事場所も課外の共用スペースに移され、約4カ月後に自己都合で退職しました。 

 この問題を受けて設置された第三者委員会は、女性へのパワーハラスメントを認定。昨年12月には、女性の代理人弁護士から同組合に損害賠償などを求める通知があり、双方の弁護士が協議していました。

 消防本部の藤川博樹消防長はこの日開かれた臨時議会後に、「大変申し訳なく思っており、深くおわび申し上げる。再発防止策に真摯(しんし)に取り組んでいく」と話しました。

 2025年6月11日(水)

2025/06/10

🟩レジオネラ菌が基準の24倍、公表せず「大浴場のリフレッシュ」と一時利用中止 鳥取県日野町の宿泊施設

 鳥取県日野町にある宿泊などができる施設で昨年、国の基準値を超えるレジオネラ菌が検出され、入浴営業を停止した際に、施設を所有する町は入浴営業停止の理由を「大浴場のリフレッシュ作業のため」などとし、レジオネラ菌の検出を公表していなかったことがわかりました。

 昨年7月、国の基準を超えるレジオネラ菌が検出されたのは、日野町が所有し民間企業に運営を委託している宿泊交流施設の「リバーサイドひの」です。

 日野町によりますと、昨年6月に定期的な水質検査を行った際、大浴場の男性浴場から基準値の10倍、女性浴場から24倍のレジオネラ菌が検出されたということです。

 翌月の7月1日に検査機関から施設に連絡、翌日2日に町に報告が入り、町は施設の入浴営業を停止し、県に報告をしました。

 町は「大浴場のリフレッシュ休業のため」と施設での張り紙や防災無線、ケーブルテレビで周知をしたということですが、レジオネラ菌が検出されたことは明示していなかったということです。

 7月11日に行われた町議会での報告の際に、議員から「公表したほうがよいのでは?」という指摘はあったとしながらも、県と相談し、健康被害が出ていないことや、基準値は超えたもののわずかであり、感染力は少ないという点から公表しなかったということです。

 町は「当時の対応としては県の改善指導を適切に行い、相談もしたので間違いはなかった。しかし昨今、近辺施設でのレジオネラ菌への対応などを鑑み、今後の対応については改めて協議が必要と考えている」とコメントしています。

 2025年6月10日(火)

2025/06/09

🟩人口減で全国11万床が不要に、自公と維新が病床削減で合意 医療法改正案の年内成立目指す 

 社会保障改革を巡り、自民・公明両党と日本維新の会の実務者は、病床の削減などによって保険料を含む国民負担の軽減を図っていくことで合意しました。

 自民・公明両党と日本維新の会の3党の実務者は、6日の会合で、今後の社会保障改革の方向性について合意し、文書を交わしました。

 合意では、人口減少などによって不要になると推定される、全国で約11万床の病床を対象に調査した上で削減を図っていくとしています。

 そして、すべて削減した場合は、医療費を1兆円程度減らす効果が見込めると試算しています。

 また、医療の効率化に向け、5年以内に電子カルテを100%普及させることを目指すことや、介護・福祉に従事する人の処遇を改善するため、予算措置などを組み合わせて必要な対応をとるとしています。

 そして、3党は、政府が今の国会に提出している、医師の偏在対策などを盛り込んだ医療法の改正案について年内に成立を図るとしています。

 一方、維新の会が強く求めている、医薬品への保険給付を見直し、同様の効能がある市販薬に切り替えることについて今回の合意には含まれていないものの、検討を進めることなどを大筋で確認しました。

 3党は、教育政策、社会保障改革、税制の3つのテーマで実務者協議を行っていて、4日に取りまとめた教育政策に次いで、社会保障改革でも合意しました。

 2025年6月9日(月)

2025/06/08

🟩沖縄県に熱中症警戒アラート 沖縄本島地方・宮古島地方では今年初の発表

 環境省と気象庁は8日、沖縄本島地方と宮古島地方、八重山地方の3つの地方で「暑さ指数」が33以上となり、熱中症の危険性が極めて高くなる危険な暑さが予想されるとして、午前5時ごろ、「熱中症警戒アラート」を発表しました。

 沖縄本島地方と宮古島地方の発表は、今年初めてです。八重山地方の発表は、今年3度目です。

 熱中症警戒アラートは、気温と湿度などから算出する指標「暑さ指数」が33以上と予想された場合に気象庁と環境省が発表します。

 8日の予想最高気温は那覇で32度、名護32度、久米島32度、宮古島31度。

 2025年6月8日(日)

2025/06/07

🟩血液のがん「成人T細胞白血病」に新治療法、高齢患者に効果高く 鹿児島大など

 鹿児島大医学部などのグループが6日、九州に多い血液のがん「成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)」の高齢者向け標準治療を確立したと発表しました。臨床試験で症状が悪化せずに1年後も生存している(1年無増悪生存)割合が3割を超え、既存の治療法を大きく上回りました。

 ATLは、「ヒトT細胞白血病ウイルス1型」(HTLV―1)感染者の3〜5%が発症するとされます。70歳以下の患者には造血幹細胞移植が有効ですが、体の負担が大きいため高齢者には向かないとされます。このため鹿児島大と名古屋市立大、九州がんセンターが共同で高齢者向け治療法の確立を目指していました。

 有効性が確認されたのは、「モガムリズマブ併用CHOP療法」と呼ぶ療法で、抗がん剤などを使う療法と、モガムリズマブという薬の投与を併せて行います。

 67~86歳の患者48人を対象にした試験で、1年無増悪生存割合は36・2%。生存期間の中央値は1・6年でした。

 研究代表者で鹿児島大学病院長の石塚賢治教授は、「ATLは鹿児島に多い病気であり、地域の問題解決のためにも取り組んだ」と話しました。

 研究の成果は、アメリカの血液学雑誌「Blood」から5月15日付でプレリリースされました。

 2025年6月7日(土)

2025/06/06

🟩新型コロナ新規感染者は定点当たり0・84人、4週連続で1人を下回る

 厚生労働省は6日、全国約3000の定点医療機関から5月26日〜6月1日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3227人だったと発表しました。1医療機関当たりは0・84人で、前週と変わらず横ばい。1人を下回るのは4週連続。

 1医療機関当たりの感染者数が多かったのは、沖縄県2・76人、京都府1・62人、鹿児島県と佐賀県1・25人。少なかったのは青森県0・33人、大分県0・40人、福井県0・41人などだった。

 2025年6月6日(金)

2025/06/05

🟩布マスクを巡る文書不開示決定、一部取り消し 大阪地裁、賠償も命じる

 5年前、当時の安倍晋三政権が新型コロナ対策として配布した布マスク「アベノマスク」について、神戸市の大学教授が、納入業者とのやりとりを記録した文書を国が開示しないのは違法だなどと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、不開示とした国の決定の一部を取り消す判決を言い渡しました。

 5年前、当時の安倍政権が新型コロナ対策として440億円余りをかけて、約3億1800万枚を調達し、全国すべての世帯などに配布した布マスクについて、神戸学院大学の上脇博之教授は、契約や発注などを巡る納入業者とのやりとりの内容が記録された文書を、厚生労働省などに情報公開請求しました。

 しかし、契約書や見積書など一部の資料を除き、「作成した事実はなく、保有していない」などとして開示されなかったということで、上脇教授は「文書を作成していないことなどあり得ず、開示しないのは違法だ」として国に対し、決定の取り消しと110万円の賠償を求めました。

 5日の判決で、大阪地方裁判所の徳地淳裁判長は不開示とした国の決定の一部を取り消すとともに、国に11万円の賠償を命じました。

 布マスクを巡って、上脇教授は今回の裁判とは別に、1枚当たりの発注金額などを国に開示するよう求める訴えも起こしていて、2023年に、国に開示を命じた判決が確定しています。

 2025年6月5日(木)


2025/06/04

🟩昨年の出生数68万6061人、初めて70万人下回る 厚労省調査

 昨年1年間に生まれた日本人の子供の数は68万6000人余りと、前年より4万1000人余り減少し、統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回ったことが、厚生労働省の調査でわかりました。また、1人の女性が産む子供の数の指標となる合計特殊出生率は昨年1・15となり、これまでで最も低くなっています。

 厚労省によりますと、昨年1年間に国内で生まれた日本人の子供の数は68万6061人となり、前年より4万1227人減少しました。

 出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回りました。出生数はすべての都道府県で減少しています。

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来予測では、日本人の出生数が68万人台になるのは2039年と推計していて、想定より15年ほど早く少子化が進行しています。

 日本人の出生数は、最も多かった第1次ベビーブーム期の1949年には269万人余りいましたが、その時と比べると4分の1近くまで減少しています。

 また、1人の女性が一生のうちに産む子供の数の指標となる合計特殊出生率は昨年1・15となり、前年から0・05ポイント低下し、統計を取り始めた1947年以降で最も低くなりました。

 最も低かったのは東京都の0・96で、宮城県が1・00、北海道が1・01などとなっています。最も高かったのは沖縄県で1・54、次いで福井県が1・46、鳥取県と島根県、宮崎県が1・43などとなっています。

 一方、昨年1年間に死亡した人は160万5298人と、前年より2万9282人増えて過去最多となりました。

 この結果、亡くなった人の数が生まれた子供の数を上回る「自然減」は91万9237人(前年比+7万509人)と過去最大となりました。

 このほか、結婚の件数は昨年48万5063組と前の年より1万322組増加したものの、10年間で15万組余り減少しています。

 日本人の出生数が初めて70万人を下回ったことについて、厚労省は「若い世代の減少や、晩婚化・晩産化が要因にあると考えている。急激な少子化に歯止めが掛からない危機的な状況にあり、今後も少子化対策に取り組んでいきたい」としています。

 2025年6月4日(水)


2025/06/03

🟩赤穂市民病院の医療過誤訴訟、市と執刀医への8900万円賠償命令が確定 

 赤穂市民病院(兵庫県赤穂市中広)で受けた手術中のミスで両足に重度のまひが残ったとして、患者の女性(80)と家族が当時の執刀医と赤穂市に損害賠償を求めた訴訟で、被告側に計約8900万円の支払いを命じた神戸地裁姫路支部判決が確定しました。確定は5月31日付で、原告、被告側のいずれも期限までに控訴しませんでした。元執刀医と市が双方の支払い額について協議することになります。

 5月14日に言い渡された判決では、当該手術について「被告医師の注意義務違反は著しい」と指摘。入職後9カ月間で関与した手術11件が院内事故調査委員会の検証対象とされた経緯を巡っても、「直ちに被告医師に本件手術の執刀をしてはならなかったほどの技量不足があったと認めることはできないが、被告医師の技量が稚拙であったことをうかがわせる事情とはいえ、注意義務違反の程度が著しいものであったことを裏付ける事情というべきだ」としました。

 術後に被告医師が神経を損傷したことを明確に説明しなかったことや、病院側が過誤を認め謝罪するまでに時間を要した一連の経緯も「慰謝料を検討する上で相応に考慮すべき」と認めました。

 術前に、透析となる可能性があるとして「早く手術したほうがいい」などと説明したことについては、虚偽とは認定しませんでした。

 被告医師はウェブ漫画によって社会的制裁を受けたとして慰謝料の減額を求めていたものの、認められませんでした。

 判決後、元執刀医側と赤穂市側はともに「判決を真摯に受け止める」としていました。原告代理人も判決の内容を肯定的に評価していました。

 2025年6月3日(火)

2025/06/02

🟩精神疾患男性の不妊手術、国の統計に未計上 岩手医大病院、届け出怠った疑い

 岩手医大病院で2003年11月に実施された精神疾患がある男性の不妊手術が、全国の実施件数などをまとめた国の統計に計上されていないことが1日、わかりました。病院側が、母体保護法で義務付けられた行政への届け出を怠っていた疑いがあります。

 男性を巡っては、同法の要件で精神疾患を理由とする不妊手術が認められていないにもかかわらず、病院側が事前に要件を十分確認していなかった疑いが判明しています。

 岩手医大病院は「記録が残っていないため回答できない」、岩手県は「当時、県への届け出がなかったためと認識している」としました。母体保護法を所管する、こども家庭庁は「手術が行われた場合は、法に基づく届け出が適切に行われるべきだ」としています。

 母体保護法は、不妊手術を実施した場合は翌月10日までに都道府県知事に届け出るよう医師に義務付けています。件数は国の統計「衛生行政報告例」に計上されます。

 それによると、2003年度は全国で男女計2873件実施され、岩手県分は女性が71件、男性が0件となっていました。

 2025年6月2日(月)

2025/06/01

🟩温暖化が妊婦の健康に影響 日本はリスク高まる「暑い日」が15日増、アメリカ機関分析

 アメリカの気候研究機関クライメート・セントラルは、地球温暖化の影響で、早産など妊娠にかかわる健康リスクが高まる暑い日が世界的に増えており、日本では年平均で15日増加したとする分析結果をまとめました。都道府県別では、最多は沖縄県の36日増で、続く東京都が28日増、鹿児島県が22日増でした。「暑い日が1日でもあれば、リスクは上がる」と注意を呼び掛けています。

 妊娠中の女性が暑さにさらされると、高血圧や妊娠糖尿病、早産などの影響が出るとされます。研究チームは日本を含む247の国と地域でリスクが高まる気温を割り出し、2020〜2024年の5年間でそれを上回った日数を推計しました。その上で、温暖化が起きなかったと仮定した場合と比較し、増えた日数を数えました。

 約9割の国と地域で、健康に影響が出る恐れがある暑い日が倍増していました。日本全体の年平均は15日増の33日でした。リスクが高まるとされる気温は沖縄が29・1度で、年平均で36日増えて42日に。東京都は28・6度で、28日増の43日、鹿児島県は29・5度で、22日増の33日でした。

 2025年6月1日(日)


🟪「O157」に感染、横浜市の70歳代女性が死亡 市内死亡例は2019年以来

 神奈川県横浜市は18日、腸管出血性大腸菌「O157」に感染した女性が死亡したと発表しました。  横浜市青葉区に住む70歳代の女性は7月5日、腹痛などの症状が出て7日に病院に運ばれました。  女性は搬送先の病院で腸管出血性大腸菌「O157」が検出され入院していた16日、合併症に...