長野県は2025年度上半期にも、摂食障害の患者の専門的な治療、相談を担う「支援拠点病院」を開設することを決めました。県内の医療機関1カ所を指定する方針で、設置されれば県内初となります。県は早期に医療、相談支援につなげ、当事者が安心して暮らせる体制を整備する考えです
摂食障害は、体重や体形へのこだわりなどから、正常な食生活を送れなくなる精神疾患。極端な食事制限をする拒食や過度な量の食事を摂取する過食などを伴います。性別や年齢を問わず発症する可能性があり、特に若い女性に患者が多い傾向があります。
支援拠点病院では当事者や家族から相談を受け、早期に専門的な治療につなげます。専門的な治療体制を整備して地域の関係機関と連携し、疾患への理解を深めるための普及啓発も担います。県は、新年度の予算案に整備事業費約970万円を計上します。
厚生労働省によると、全国の患者数は推計で約22万人に上ります。死亡率は10%という報告もあり、やせや栄養障害などによる合併症は命にかかわることもあります。精神と身体に症状が現れ、食事の摂取に関する不安の傾聴やカウンセリング、精神・薬物療法、身体症状の治療など診療科を横断した治療が必要になるものの、受け皿となる病院は限られており、適切な治療を受けられていない患者もいるとされます。
県内でも患者が4000人ほどいると推計されています。摂食障害全国支援センターがまとめた治療施設の一覧に、県内では諏訪赤十字病院、長野赤十字病院、千曲荘病院の3病院が掲載されています。
一方、支援拠点病院は、東京、福岡、宮城、静岡など8都県に設置済み。早期の発見や治療につなげるため、摂食障害の当事者や家族でつくる県内の自助グループ「パステル・ポコ」(東御市)のメンバーが11月、県内での設置を阿部守一知事に要望していました。
2025年1月3日(金)