2025/10/31

🟥食道がんの胸腔鏡手術、開胸手術に劣らない結果 負担少なく「推奨」

 食道がんの手術で、従来の開胸手術に比べ、より患者の負担が少ない胸腔鏡(きょうくうきょう)による手術を行った場合でも、長期的な生存期間が劣らないとする研究結果を、国立がん研究センターなどが30日、発表した。今後、食道がんの診療ガイドラインが改訂され、胸腔鏡手術の推奨度が上がるという。

 食道がんは、年間に約2万7000人が診断され、中高年男性に多い。のどと胃をつなぐ食道にできるために手術範囲が広く、従来の開胸手術は患者の負担が大きいことが指摘されてきた。近年、胸に小さな穴を開け、カメラや器具を入れて行う胸腔鏡手術が普及し、多くの医療機関で行われているものの、長期的な成績を比較した研究はなかったという。

 研究は、国立がん研究センターが支援し、国内の多施設が参加する日本臨床腫瘍(しゅよう)研究グループ(JCOG)が行った。2015〜2022年に手術可能と判断された患者300人を、開胸手術と胸腔鏡手術に無作為に割り当てて調べた。

 その結果、開胸手術は3年後の生存割合が70・9%だったのに比べ、胸腔鏡手術は82・0%。合併症の発生に大きな違いはなく、術後の呼吸機能の低下は開胸手術が12・5%、胸腔鏡手術は9・7%と抑えることができた。傷の痛みは胸腔鏡手術が少なかったという。

 研究チームの竹内裕也・浜松医科大教授は、「今回の研究では、日本内視鏡外科学会の技術認定医など熟練した外科医のもとで手術が行われた。今後の治療も、同等の技術のもと行われるようガイドラインで推奨する」と話す。

 一方で、近年はロボット支援による手術も急速に増えつつあるものの、長期的な有効性などが十分示されておらず、さらなるエビデンスの蓄積が必要だとした。

 論文はイギリスの医学誌に掲載された。

 2025年10月31日(金)

2025/10/30

🟥熱中症搬送が初めて10万人超す 5〜9月、死者117人・重症者2217人

 総務省消防庁は29日、今年5〜9月に熱中症で医療機関に救急搬送されたのは全国で過去最多の10万510人だったとの確定値を発表した。10万人を超えたのは、集計対象を5〜9月に広げた2015年以降初めて。梅雨明けが早かったことや、記録的猛暑が影響した。

 消防庁の担当者は、「6月中旬ごろから一気に気温が上がって搬送者が急増し、厳しい暑さが長期間にわたって続いた」と分析している。月別では、6月が前年比2・4倍の1万7229人で過去最多。9月が9766人で過去2番目となった。

 5〜9月の死者は117人で、3週間以上の入院が必要な重症は2217人。短期の入院が必要な中等症は3万4399人だった。65歳以上の高齢者が5万7433人で、搬送者の57・1%を占めた。都道府県別の搬送者数は東京都が9315人で最多。大阪府7202人、愛知6653人と続いた。

 気象庁によると、今年の夏(6〜8月)の日本の平均気温は平年を2・36度上回り、統計開始以降で最高。過去最も早い梅雨明けとなった地方も多かった。リスクが高まった際に注意を促す「熱中症警戒アラート」は、過去最多の延べ1749回発表された。

 2025年10月30日(木)

2025/10/29

🟥成人した小児がん経験者の14%に心臓の晩期合併症

 小児がんの治療成績は近年大きく向上し、8割以上の患者が長期生存できるようになった。一方、抗がん剤投与や放射線照射の長期にわたる影響で心臓などに障害が発生する恐れがあることが知られている。

 聖路加国際病院と順天堂大浦安病院は、小児がん経験者の7人に1人に当たる14%で、心臓が血液を送り出す機能に問題があったとの共同研究結果を発表した。

 研究では、聖路加国際病院で検査を受けた18歳以上の小児がん経験者108人で、心臓の超音波検査の結果を解析して心機能を詳しく調べた。対象者は、いずれも小児がんの診断から10年以上、治療を終えてから5年以上(平均16年)経過し、検査時の年齢は中央値で25歳だった。

 解析により、108人中15人は、左心室の血液がどのぐらい押し出されたかを表す「駆出率」が53%以下に低下し「がん治療関連心機能障害」と診断された。

 この15人では、駆出率の低下に先駆けて変化することが知られている左心室の「縦方向の伸縮の程度」が低下し、しかも、特定の部位にその低下が目立つことも明らかになった。研究チームは、これを調べられれば機能障害の早期発見につながる可能性があり、発見時の有効な治療法についても検証する。

 こうした心機能障害はアントラサイクリン系と総称される抗がん剤を投与された場合に発症リスクが上がる。今回の研究では、総投与量が体表面1平方メートル当たり150ミリグラム以上でリスクとなることも判明した。

 小児がん経験者は、がん治療の内容や使った薬剤の種類、量を記録した「治療サマリー」を治療終了後も長期に保管し、自分で把握しておくことが大切だとしている。

 2025年10月29日(水)

2025/10/28

🟥抗菌薬効かない「耐性菌」、百日せき患者の約8割から検出

 今年大きな流行となった「百日せき」について専門の学会が調査したところ、通常の治療に使われる抗菌薬が効かない「耐性菌」が調査対象の患者の約8割から検出されたことがわかった。専門家は「耐性菌にも効果のある抗菌薬を探す必要がある」と指摘している。

 百日せきは激しいせきが続く細菌性の感染症で、十分な免疫を持たない乳児が感染すると、重症化する恐れがある。

 国立健康危機管理研究機構によると、今年の患者数は8万人を超え、すべての患者を報告するようになった2018年以降で最も多くなっている。

 また、通常の治療に使われる抗菌薬が効かない「耐性菌」に感染して重症化するケースが各地で報告されていることから、日本感染症学会など4つの専門の学会は、4月から耐性菌の広がりについて調査を行っている。

 これまでに北海道から九州まで24の医療機関で35人の患者から採取した細菌の遺伝子を分析したところ、約8割の患者から耐性菌が検出されたということである。

 調査を取りまとめている千葉大真菌医学研究センターの石和田稔彦教授は、「調査はまだ続いているが今年の流行は耐性菌の増加が関係しているとみられる」としている。

 その上で、「耐性菌にも効果のある抗菌薬を探すなど、新たな治療の在り方を検討していく必要があるほか、ワクチンによる予防がより重要になる」と指摘している。

 2025年10月28日(火)

2025/10/27

🟥第三者機関の医療事故推奨に32%報告なし 2015~2024年、112件

 患者の予期せぬ死亡原因を調べる医療事故調査制度が始まった2015年から昨年末までに、医療機関から相談を受けて、第三者機関が事故として報告を推奨すると助言した計346件のうち、112件(約32%)の報告がなかったことが27日、第三者機関を運営する日本医療安全調査機構への取材でわかった。医療機関側に助言に従う義務はないが、第三者機関で相談があった事例を分析し、運用について検証を行う。

 医療機関は提供した医療に起因するか、起因が疑われる予期せぬ死亡が発生した場合、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告する義務がある。事故に該当するかどうかの判断は医療機関側にある。

 医療機関はセンターに相談でき、医師や看護師など専門家による検討後、事故に該当するかどうか助言を受ける仕組みがある。

 機構によると、2015年10月~2024年12月、医療機関からセンターに計578件の相談があった。専門家による検討後、センターが事故報告を推奨したのは346件(約59%)。うち234件は事故として報告された。81件が非報告だった。

 2025年10月27日(月)

2025/10/26

🟥徳島大で1型糖尿病の治験開始 患者自身の細胞から取り出した「幹細胞」使い完治目指す

 血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病患者に対し、患者自身の細胞から、さまざまな細胞のもととなる「幹細胞」を取り出し、インスリンを出す細胞を作り出して移植する臨床試験(治験)を、徳島大の研究チームが24日までに始めた。自らの細胞から作るため拒絶反応のリスクが低いといい、完治を目指す。

 1型糖尿病は、膵(すい)臓の細胞が自己免疫などによって壊れて発症し、患者は血糖値を下げるためにインスリン注射が不可欠となり、低血糖により失神することもある。国内に約10万〜14万人の患者がいるとみられ、子供の発症が多いとされる。

 徳島大病院の池本哲也教授らの研究チームは、脂肪から作られる「脂肪由来幹細胞」に注目。患者の脚の付け根から皮下脂肪を採取し、インスリン産生細胞(IPC)を作製した。IPCを膵臓に近い腸間膜に移植することで、血液中の糖濃度に応じてインスリンが体内へと供給される仕組みだ。

 池本教授は今年3月、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に治験計画届を提出し、9月から重症患者を対象に実施。移植後の血糖値コントロールを分析して安全性を確認する。

 2025年10月26日(日)

2025/10/24

🟥高血圧の治療、日本高血圧学会が新指針 75歳以上も目標値を共通化

 高血圧の治療に関する指針が今年8月、6年ぶりに改訂され、治療目標の血圧が75歳以上も他の世代と同じ値になった。生活習慣の改善や適切な治療につなげてもらうよう、血圧を下げるための具体的な対策が解説されている。

 血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の内側を押す圧力のことである。慢性的に高い状態を高血圧といい、診断基準は上の血圧が140以上、または下の血圧が90以上となる。該当する人は推計で4300万人いる。放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病、腎臓病を引き起こすリスクがある。

 血圧を下げる治療は生活習慣の改善の指導をまず行い、それから薬を用いて血管を広げたり、塩分(ナトリウム)を水分と一緒に排出したりする。

 日本高血圧学会の治療指針の改訂は2019年以来である。高血圧の診断を受けた後、患者が目指す「治療目標」の血圧について、75歳未満は上130、下80未満とし、75歳以上は血圧が下がることでふらついて転倒する恐れがあることなどから、上140、下90未満と設定していた。

 近年の研究で75歳以上では、厳しい目標値のほうが、死亡率や心臓病などのリスクを抑えられることがわかった。そこで、目標値を共通化した。ただし、めまいや立ちくらみなどの急激な血圧低下に伴う症状があれば、速やかに主治医に相談してもらう。

 指針の名称は「高血圧管理・治療ガイドライン」とし、「管理」という言葉を新たに加えた。作成委員会では、具体的な行動に結び付けてもらうため、医療者だけでなく、一般にもよりわかりやすい内容にまとめたとしている。委員長で沖縄県北部医療財団理事長の大屋祐輔さんは、「より高い関心を持って、治療に主体的に取り組んでもらいたい」と話している。

 生活習慣の改善では、食塩の摂取量を1日6グラム未満に減らし、カリウムを多く含む野菜を食べることを例に挙げている。カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがある。毎日30分以上の有酸素運動と、スクワットなどの筋トレも勧められている。

 日本高血圧学会理事長で自治医科大教授の苅尾七臣(かりお・かずおみ)さんは、「血圧を適切に下げるには、毎日自宅で血圧測定をすることが大切です」と語り、指針でも診断と治療に役立つとしている。

 肘より上の上腕にカフを巻くタイプの血圧計を用意し、朝と夜に測定する。朝は朝食前と排尿後、夜は就寝前に行う。

 習慣化して継続することが大切である。スマートフォンのアプリと連動してデータを自動でグラフにする血圧計もある。

 2025年10月24日(金)

2025/10/23

🟥マイコプラズマ肺炎の患者増加、大きな流行の可能性も

 発熱や長引くせきといった症状が特徴で、子供が感染することの多いマイコプラズマ肺炎の患者数が増加している。専門家は今後、大きな流行になる可能性もあるとして「手洗いやマスクなど基本的な感染対策をしてほしい」と呼び掛けている。

 マイコプラズマ肺炎は子供に多い細菌性の感染症で、飛まつや接触で広がる。発熱や全身のけん怠感、頭痛、長く続くせきといった症状が特徴で、中には肺炎が重症化して入院するケースもある。

 国立健康危機管理研究機構によると、10月12日までの1週間に全国約500の医療機関から報告された患者数は、前の週より0・17人多い1医療機関当たり1・53人で、5週連続で増加している。

 都道府県ごとにみると、秋田県で8・25人、群馬県で4・22人、鳥取県で3・6人、栃木県で3・43人、宮城県で3・3人、北海道で3・26人などとなっている。

 マイコプラズマ肺炎は、昨年の秋から冬にかけて大きな流行となったが、川崎医科大学の大石智洋教授は「過去の流行状況をみると大きな流行は2年続けて起きることがあり、今年もこれからさらに患者が増えていく可能性が高い」と分析している。

 その上で「手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策が有効だ。潜伏期間が2週間と長いので、周囲に感染した人がいた場合はしばらくの間、体調に気を付けて、症状が出たら医療機関を受診してほしい。特に、ぜんそく発作の経験がある人はぜんそくが再発する危険性もあるので注意が必要だ」と呼び掛けている。

 2025年10月23日(木)

2025/10/22

🟥北海道白老町の養鶏場、鳥インフルエンザ感染確定 今シーズン国内初、45万9000羽の殺処分始まる

 北海道白老町の養鶏場で死んだニワトリから、高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出された。今シーズン、養鶏場での確認は全国で初めてで、北海道はこの養鶏場で飼育されているニワトリ、約46万羽の処分を始めた。

 21日、北海道白老町の養鶏場で複数のニワトリが死んでいるのが見付かり、簡易検査で鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認された。

 北海道は22日朝、鈴木直道知事らが出席して緊急の対策会議を開き、その後担当者が、遺伝子検査の結果、高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。

 今シーズン、養鶏場で感染が確認されたのは全国で初めてである。

 このため北海道は午前8時ごろから、この養鶏場で飼育されている採卵用のニワトリ、約45万9000羽の処分を始めた。

 また半径3キロ以内にある1つの農場でニワトリや卵の移動を禁止し、半径3キロから10キロ以内にある3つの農場で区域外に運び出すことを禁止した。

 北海道は10月30日までに処分を完了し、11月2日までに鶏舎の消毒作業などを進める予定である。

 対策会議の中で鈴木知事は「まん延防止に向け万全の体制をお願いしたい。流通している卵や鶏肉は安全なので、情報の周知も徹底してほしい」と述べた。

 北海道白老町の養鶏場で、死んだニワトリから高病原性の「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受けて、政府は午前8時、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、自治体などと連携して情報の収集に当たっている。

 北海道の養鶏場では2016年に清水町で高病原性の鳥インフルエンザが初めて確認され、その後、しばらく感染はなかったが、3年前の2022年以降、毎年、確認されている。

 このうち、2023年の春には千歳市の養鶏場で感染が相次ぎ、道内で飼育されている採卵用のニワトリの2割以上が処分されたことなどで、卵不足に陥って価格が高騰した。

 今回、処分の対象になっている約46万羽は道内の採卵用のニワトリの約8%に上るということで、道はまん延を防止するための対策を徹底することにしている。

 一方、ニワトリの処分を巡り、農林水産省は今年5月、都道府県に対し、自衛隊の派遣要請は慎重に行うよう通知していて、今回、道は自衛隊の代わりに民間の事業者に委託している。

 現場では、道の職員と合わせた約120人体制で作業を進めているということで、処分を完了するまでにこれまでよりも時間がかかると見込まれている。

 2025年10月22日(水)

2025/10/21

🟥人工網膜で視力改善、文字が読めるように 特殊めがねで画像変換

 視力が低下する加齢黄斑変性の患者に、人工網膜の技術を使うことで、1年後に文字が読めるようになった、と欧米の研究チームが20日発表した。臨床試験の結果がアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。

 人は網膜の視神経で感知した光を、脳に信号として伝えることで視覚的な情報を認識している。加齢黄斑変性は、視神経が集まる黄斑部の細胞が失われ、視野の中心が欠けるなどする。失明の原因になる病気で、注射で進行を遅らせることはできるが、視力を改善させる方法はない。今回の臨床試験で対象とした欧米に多いタイプは、世界で500万人の患者がいるという。

 人工網膜は、視細胞が失われた患者の網膜にデバイス(チップ)を入れ、目の中に残っている細胞に電気的な刺激を与え、脳に信号を送る仕組み。1990年代に入り、研究が加速し、2013年にはアメリカで「アーガスⅡ」という人工網膜が認可された。

 今回の臨床試験は、アメリカのスタンフォード大で開発された「PRIMA」という装置を使った。患者に2ミリ四方のチップを移植。装着した特殊なめがねに取り付けたカメラで撮影した画像が、赤外線によりチップに伝わり、電気刺激に変換され、白黒の情報が認識される。

 2025年10月21日(火)

2025/10/20

🟥あすか製薬、処方箋不要の緊急避妊薬の承認取得

 あすか製薬(東京都港区)は20日、緊急避妊薬「ノルレボ」の市販向け製造販売承認を、厚生労働省から同日付で取得したと発表した。緊急避妊薬(アフターピル)の市販化が国内で認められるのは初めて。医療用医薬品として使われているノルレボが、医師による診断や処方箋がなくても購入できるようになる。販売を担う第一三共ヘルスケア(東京都中央区)は「発売時期は改めて公表する」(広報)としているが、関係者によると、早ければ年度内にも販売が始まる見通し。

 ノルレボは、避妊失敗や性暴力による望まない妊娠を防ぐための経口薬で、性交後72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は約8割という。今回の承認により、年齢制限なく親の同意も不要で購入が可能となるが、安全性の観点から、研修を受けた薬剤師の面前での服用が必要となる。

 2025年10月20日(月)

🟥大気中の二酸化炭素濃度、人類が地球に現れる前のレベルに 世界気象機関報告

 世界気象機関(WMO)は10月15日、最新の「温室効果ガス公報」を発表し、「2024年の大気中の二酸化炭素濃度が過去最高を記録し、地球が直面する気温上昇問題を深刻化させている」と述べた。

 公報が明らかにした3種類の主要な温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(亜酸化窒素、N2O)である。データによると、二酸化炭素濃度は過去最高を記録し、排出源は化石燃料の燃焼(排出量の約4分の3を占める)や山火事の頻発で、さらに陸上生態系や海洋などの二酸化炭素吸収量が減少していることに伴い、気候の悪循環を招く可能性があるとのことである。メタンの濃度も過去の記録を更新し、養牛、化石燃料採掘、水稲栽培など約60%は人為的排出源によるものである。一酸化二窒素の濃度も記録を更新し、主に化学肥料の使用、バイオマス燃焼など各種工業プロセスによるものである。

 公報はまた、「2023〜2024年に大気中の二酸化炭素濃度の増加幅が3・5ppmに達し、1957年に現代的な測定が始まって以来最大の年間増加幅を記録した」と述べている。

 公報は非常に明確で差し迫ったシグナルを出しており、地球の大気中の二酸化炭素濃度は、今から約300万年から500万年前の更新世中期のレベルに戻っていることをデータで示している。当時、人類はまだ現れておらず、世界の平均気温は現在より2〜3度高く、海面も現在より10〜20メートル高かったとのことである。

 2025年10月20日(月)

2025/10/19

🟥新感染症のPCR検査を素早く確立 国立衛研が模擬検体を開発

 新たなウイルス感染症が広がり始めた際、感染者の発見に役立つPCR検査を早期に使えるようにするため、国立医薬品食品衛生研究所などが性能評価に使う模擬検体を開発している。病気を起こさない疑似ウイルスと、唾液や鼻の粘膜を模した液体を混ぜたもので、実際の患者の検体が集まるのを待たずに開発を進められる体制を目指す。

 PCR検査は、検体に含まれるウイルスの遺伝子を大量に増やして検出する。新型コロナ禍の初期には感染者や接触者を見付け、感染の連鎖を断ち切るのに活用された。ただ日本では準備に時間がかかった。

 こうした教訓から、同研究所は2023年度に模擬検体の開発を始めた。コロナ禍のように発生国からウイルスの遺伝情報が公開されれば、検査に使う部分の遺伝物質「リボ核酸(RNA)」を人工的に合成して病気を起こさないウイルスの殻に入れ、人の粘液を模した液体と混ぜる。

 疑似ウイルスは作製・保存方法の見通しが立ち、国内の企業が製造と販売を担う予定。粘液を模した液体は献血事業を担う日本赤十字社から提供された血清から作製する。

 2025年10月19日(日)

2025/10/18

🟥無精子症マウスに精子作らせ子供も誕生、大阪大チームが研究に成功 男性不妊治療につながるか

 精子がないマウスに、精子を作らせることに成功したとする研究成果を、大阪大のチームが発表した。男性不妊の治療につながる可能性があるという。論文がアメリカの「科学アカデミー紀要」に掲載された。

 6組に1組のカップルが不妊に悩み、原因の半分は男性側にあるとされる。精巣で精子が正常に作られない「非閉塞(へいそく)性無精子症」の場合は、不妊治療が難しい。

 大阪大の伊川正人教授(生殖生物学)らは、精子の形成に必要な酵素が作れない無精子症のマウスの精巣に、この酵素を作る「メッセンジャーRNA(mRNA)」が入った粒子を投与した。この方法は、新型コロナウイルスワクチンでも注目された技術だ。粒子を投与してから3週間後、精巣内で精子が作られたのを確認した。精子を採取し、体外で受精させる「顕微授精」を実施したところ、子供も生まれた。

 同じ酵素の異常は人でも見付かっているが、伊川教授は「無精子症には他の原因も関係しているとみられ、調べていきたい」と話している。

  石黒啓一郎・千葉大教授は、「画期的な成果で、この方法なら健康被害のリスクも少ない。採取できる精子の量を増やすなど、人の治療に向けた研究を進めてほしい」と話している。

 2025年10月18日(土)

2025/10/17

🟥脳の再生医療薬、出荷制限解除へ 開発企業が品質データ再収集

 厚生労働省の専門部会は16日、事故などによる外傷性脳損傷の患者に細胞を移植して運動まひの改善を促す再生医療等製品「アクーゴ」の出荷制限を解除することを了承した。2024年7月に承認されたものの、品質に関する追加データを集め認められるまで出荷できない異例の条件が付き、開発企業「サンバイオ」が対応した。

 アクーゴは健康な人の骨髄液から採取した細胞を加工したもの。けがをして半年以上が経過した、中程度から重度の慢性期患者が対象で、移植すると損傷した神経細胞の修復を促すとされる。承認は2024年7月から7年間の期限付き。発売後も安全性や有効性の全例調査が必要となる。

 2024年6月の専門部会では、製品の品質が一定かどうか課題が残ると指摘され、異例の出荷制限をした上で承認を了承した。制限解除の条件として、市販用の製品が、臨床試験に使った細胞と同等なことを示すデータを提出するよう求めた。

 サンバイオはその後、製品を3回製造し、十分なデータが得られたとしており、出荷時期を2026年2月以降と見込む。

 2025年10月17日(金)

2025/10/16

🟥「危険なほど暑い日」が57日増加 今世紀、パリ協定の削減目標達成でも

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき各国が掲げる温室効果ガスの排出削減目標が達成されても、産業革命前と比べて今世紀中に2・6度の気温上昇が見込まれ、熱中症や死亡リスクが増加する「危険なほど暑い日」は世界平均で年間57日増えるとの試算を、アメリカの気候研究機関クライメート・セントラルなどのチームが16日発表した。

 2015年のパリ協定採択から今年で10年。当時は今世紀中に4度の気温上昇が見込まれ、危険なほど暑い日は年間114日増加すると試算した。チームは、パリ協定が一定の効果を発揮しているものの、協定が掲げる1・5度への抑制にはほど遠いとした。

 2025年10月16日(木)

2025/10/15

🟥認知症の前段階「軽度認知障害」、3割が5年後に「正常」に戻る 九州大調査、生活習慣病や筋力と関係か

 認知症の前段階と診断された高齢者の約3割は、5年後に認知機能が正常に戻ったとする研究結果を、九州大のチームがまとめた。生活習慣病がないことや、筋力が保たれていることなどが関係しており、認知症の発症予防につながる可能性があるという。日本老年精神医学会で報告された。

 この研究は、福岡県久山町の65歳以上の住民を対象に1961年から行われている追跡調査の一環。

 調査は2012年と2017年、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断された高齢者計398人を対象に実施。このうち5年後の状況を追跡できた380人を分析した。正常に戻ったのは119人(31%)で、MCIのままだったのは102人(27%)、認知症に移行したのは106人(28%)だった。

 認知機能が回復した人の背景を解析すると、糖尿病がないことや、血圧が低い、年齢が若い、握力が強いなどの要因があった。

 九州大の二宮利治教授(公衆衛生学)は、「認知症になる可能性は誰にでもある。診断を恐れて検査を受けるのを遅らせるよりも、早い段階から認知機能を理解し、対策に役立ててほしい」と話す。

 2025年10月15日(水)

2025/10/14

🟥WHO、薬剤耐性菌の急増に警鐘 「軽傷でも致命的に」

 世界保健機関(WHO)は13日、薬剤耐性菌(AMR)感染症の急増に警鐘を鳴らした。耐性菌の感染では薬の効果が損なわれ、軽傷や一般的な感染症であっても致命的となる可能性がある。

 WHOは、抗菌薬耐性に関する報告書を発表。尿路・消化管感染症、血流感染症、淋病の治療に用いられる22種類の抗生物質について耐性の普及率を調査した。その結果、2023年に世界で確認された細菌感染症のうち、6分の1が抗生物質による治療に耐性を示したことがわかった。

 報告書によると、2023年までの5年間で監視対象の抗生物質の40%以上で耐性が増加し、年間平均で5~15%の増加が見られた。尿路感染症では、一般的に使用される抗生物質に対する耐性率は世界的に30%前後に達していた。

 WHOの抗菌薬耐性部門責任者イバン・j-F・ヒューティン氏は記者団に対し、「非常に憂慮すべき状況だ。抗生物質耐性が増え続ける中で、治療の選択肢が限られ、命が危険にさらされている」と述べた。

  細菌は長い時間をかけて薬剤に対する耐性を獲得しており、多くの薬剤が無効になっている。この現象は、人間や動物、食品への抗生物質の大量使用によって加速されている。

 WHOによると、薬剤耐性菌は毎年100万人以上の直接死因となり、間接的には約500万人の死に関与している。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は声明で、「抗菌薬耐性は現代医療の進歩を上回る速さで広がっており、世界の健康を脅かしている」と警告した。

 利用可能なデータから判断すると、耐性は医療システムが弱く、監視体制が不十分な地域で高い傾向があった。最も耐性が高かったのは東南アジアおよび東地中海地域で、報告された感染症の3分の1が耐性を示した。アフリカ地域では5分の1の感染症が耐性を持っていた。

 2025年10月14日(火)

2025/10/13

🟥「無痛分娩」最大10万円の助成スタート、東京都に相談急増 医療機関側に「逼迫」懸念も

 東京都による「無痛分娩(ぶんべん)」の助成が今月始まり、妊婦らの申し込みや問い合わせが急増している。都道府県としては初の試みで、都は少子化の改善につなげたい考えだ。ただ、医療機関側の逼迫(ひっぱく)が心配されるケースもみられ、専門家は対策の必要性を指摘する。

 9月中旬の週末、都内の産科クリニックの待合室で、無痛分娩を検討する妊婦向けの説明会が開かれ、20人以上が参加した。クリニックでは都の制度が公表された今年1月以降、無痛分娩に関する問い合わせが増えているという。院長は「出産の時の痛みで体力を大幅に奪われる人もいる。無痛分娩で体力を温存できるメリットもある」と説明した。

 友人の勧めで無痛分娩に興味を持ったという練馬区の保育士の女性(32)は、11月に第1子の出産を予定する。初産で痛みに耐えられるか不安だったといい、「子育ては何かとお金がかかるので、負担が少しでも減るのは助かる」と話す。

 無痛分娩の費用は10万~20万円ほど。母体の急変に備えて蘇生機器を整えるなど一定の安全基準を満たし、都に届け出た病院・診療所で出産した都内在住者は、最大10万円の助成を受けられる。

 都が3月下旬に設置した問い合わせ窓口でも、「どうすれば申請できるのか」「自分は対象か」といった相談が急増。件数は9月までの半年間で496件だったが、今月は1~9日だけで143件に達した。都に届け出た病院・診療所も、都内で出産できる医療機関の8割に当たる125施設(9月末時点)に上り、制度は妊婦と医療機関の双方から支持を得ているようだ。

 ただ、無痛分娩は麻酔による合併症を引き起こすリスクがある。分娩が長引いて赤ちゃんを吸引しなければならない事態も起こり得る。

 東邦大医学部産科婦人科学講座の中田雅彦主任教授(60)は「デメリットを理解していない妊婦は多い」と明かす。同大大森病院(大田区)では、昨年まで1割ほどだった無痛分娩の取扱件数が6割前後に増えたという。中田主任教授は「希望者がさらに増えた際に対応し切れるのか不安」とも語る。

 都が昨年8~10月、都内の母親約1万1000人を対象に行った調査では、無痛分娩で出産した母親は35・8%にとどまった。だが、次回出産時の希望を聞いたところ、無痛分娩で出産したいと答えた割合は63・3%に上った。助成が始まったことで、希望する妊婦はさらに増えるとみられる。

 無痛分娩に詳しい神奈川県立保健福祉大の田辺けい子准教授(助産学)は「出産時の痛みや苦しみに悩む女性もおり、選択肢を広げることにつながる助成は高く評価できる。無痛分娩の需要は全国的に高まっており、都の制度はモデルケースになる」と評価。一方、「希望者の急増により、安全性を担保できるか懸念している。出産に携わる医師や助産師について、無痛分娩の知識や技術を底上げさせる取り組みも必要だ」と指摘する。

  ◆無痛分娩=局所麻酔で出産の痛みを和らげる方法。国内では背中に入れた管から麻酔薬を入れる硬膜外麻酔が主流。日本産婦人科医会の調査では、2023年の出産全体の中で無痛分娩が占める割合は13・8%で、5年前の倍以上に増えている。

 2025年10月13日(月)

2025/10/12

🟥認知症の人に「接したことある」61% 政府が支援策などの周知徹底へ

 内閣府の世論調査で、認知症の人と接したことがあると答えた人は61%となった一方、昨年施行された、認知症の人が安心して暮らせるための国などの取り組みを定めた法律について知っている人は22%にとどまり、政府は支援策などの周知を徹底したいとしている。

 内閣府は今年8月から9月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象に認知症に関する世論調査を行い、52%に当たる1551人から回答を得た。

 それによると、認知症の人と「接したことがある」と答えた人は61%だった。具体的な接点を複数回答で聞いたところ、▽「家族の中にいる」と答えた人が54%、▽「親戚の中にいる」が34%、▽「近所付き合いで」が22%などとなった。

 一方、昨年1月に施行された認知症の人が安心して暮らせるための国や自治体の取り組みを定めた「認知症基本法」について知っている人は22%にとどまった。

 厚生労働省は、「高齢者のおよそ5人に1人が認知症になると予測される中、皆が安心して暮らせるよう、支援策などの周知をさらに徹底したい」としている。

 一方で、調査では、自分が認知症になった場合に不安を感じることは何かを尋ねたところ、「家族に負担をかける」と答えた人が74・9%に上った。複数回答で「できていたことができなくなる」は66・2%だった。

 自分が認知症になった際、どのように暮らしたいかを尋ねると「医療・介護のサポートを利用しながら今まで暮らしてきた地域で生活したい」との回答が27・4%だった。

 厚労省の担当者は、認知症の人や住民が集う「認知症カフェ」など交流の場を増やし、不安を和らげたいと話した。

 2025年10月12日(日)

2025/10/11

🟥新型コロナ感染、3週連続で減少 前週比0・82倍、厚労省

 厚生労働省は10日、全国約3000の定点医療機関から9月29日〜10月5日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が1万8587人だったと発表した。1医療機関当たりの感染者数は4・82人で、前週比0・82倍となり、3週連続で減少した。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最多だったのは大分県の8・38人で、愛媛県8・30人、長崎県7・57人が続いた。少なかったのは滋賀県2・64人、青森県2・94人、大阪府3・27人などだった。

 同じ期間の全国のインフルエンザ新規患者数は1医療機関当たり1・56人で、前週比1・50倍だった。沖縄県は12・18人で、注意報レベルとされる10人を上回った。

 2025年10月11日(土)

2025/10/10

🟥マダニ感染症「SFTS」、東京都でイヌの感染初確認 都が「もはや全国どこでも感染リスク」と注意喚起

 ウイルスを持ったマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の感染が全国的に拡大する中、東京都は9日、都内で飼われていたイヌの感染を初めて確認したと発表した。人にはマダニから直接感染するほか、イヌ、ネコを通しても感染することから都は警戒感を強めており、感染域も「全国に拡大しており、もはや国内のどこでも感染リスクがあると考えたほうがいい」として注意を呼び掛けている。

 都によると、感染が確認されたイヌは15歳で、都内の室内で飼われていた。9月2日に嘔吐や下痢の症状が現れ、動物病院を受診し治療を続けていた。同18日になってマダニが付着しているのを飼い主が発見。遺伝子検査によりSFTSの感染が判明した。その後も治療を続けたが、同27日に死んだ。

 犬種や性別は非公表。イヌには基礎疾患があり、死とSFTSの因果関係は不明としている。また、イヌは8月下旬、都外に出ており、「どこで感染したのかは不明」(都担当者)という。

 SFTS発症後の致死率は人の場合6〜30%と高い。イヌ、ネコはさらに高く、イヌが40%程度、ネコが60%程度という。今年5月には三重県で獣医師が、診療していたネコから感染し、死亡している。

 SFTSは2013年に山口県で国内で初めて感染者が確認されて以降、九州・四国・中国地方など西日本地域を中心に感染が徐々に拡大。今年に入り、関東や北海道でも感染が初確認されるなど感染域が広がり、年間の感染者数も過去最多を更新している。

 都の担当者は、「今は日本全国どこにいっても感染のリスクがあると考えたほうがいい」とし、「屋外活動で注意するなど、予防や対策について意識を高めてほしい」と呼び掛けている。

 2025年10月10日(金)

🟥「年1回以上」のランニング人口、4年で300万人減少 20歳代は大幅減で3分の1に

 笹川スポーツ財団は9日、18歳以上の男女の運動実施状況などを昨年調査した「スポーツライフ・データ2024」を発表し、20歳以上で年1回以上のジョギング・ランニング実施率は7・4%、推計758万人だった。過去最高だった2020年と比べて2・8ポイント減り、推計で約300万人減少した。

 実施率は男性が11・4%、女性が3・3%。女性は1998年の調査開始以来最低となり、20歳代は2020年と比べて約3分の1と大幅に減少した。

 調査は昨年6~7月、全国の18歳以上の男女3000人を対象に実施。

 財団の担当者は、「ライフスタイルの変化によるSNSやスマホゲームの利用、動画視聴といった余暇活動の選択肢拡大が、運動・スポーツ実施率全体の減少傾向の一因となっていると推測される」としている。

 2025年10月10日(金)

2025/10/09

🟥社会保険料の負担「重い」8割、生活費「昨年より増えた」は5割 住友生命の家計調査

 住友生命保険は9日、家計に関するアンケートで、社会保険料の負担が「重い」と答えた割合が8割に上ったと発表した。物価高が響き、1カ月当たりの生活費は前年に比べて「増えた」が5割を占めた。

 社会保険料について「非常に重いと感じている」との回答が45・2%で、「やや重いと感じている」は34・8%だった。「社会保険料の額を把握していない」は9・6%で、20歳代は18・2%と全体を大きく上回った。将来の社会保障に関しては、83・4%が「不安」を感じていると答えた。

 家計への物価上昇の影響が「ある」と回答したのは82・9%で、前年(78・9%)から4ポイント上昇。影響があった項目は食費(91・3%)、電気代(61・5%)が多かった。

 1カ月当たりの生活費が「増えた」は53・3%で、「変わらない」は44・3%だった。増加額の平均は9636円で、前回調査の2024年の8955円と比べ増えた。

 コメの価格上昇や品薄の影響(複数回答)については「価格が高過ぎて購入を控えた時があった」が26・4%となった。「売り切れていて購入できない時があった」が23・9%で、「備蓄米を購入したことがある」は20・3%だった。5キロ当たりの適正価格を聞いたところ、「2000円以下」が最多の34・0%だった。

 一方、年収見込み額が前年より「増える」との回答は14・3%にとどまり、779%が「変わらない」と答えた。 

 調査は9月4〜8日にインターネットで実施し、20~60歳代の正規雇用の男女5484人が回答した。

 2025年10月9日(金)

2025/10/08

🟥エーザイ、自宅投与の認知症薬をアメリカで発売 患者支援アプリも

 エーザイとアメリカのバイオジェンは7日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名:レケンビ)」について、自宅で投与できる皮下注射タイプをアメリカで発売したと発表した。治療開始から1年半が経過した患者を対象とし、通院や看護の負担を減らせる。

 レカネマブの価格は1本375ドル(約5万6000円)に設定し、年間では1万9500ドルとなる。週1回、専用のペン型注入器で投与する。腹や太ももなど皮下脂肪のある場所に針を押し当て、15秒程度で投与が完了する。患者本人や周囲の介助者が投与できる。

 エーザイは同日、患者の自宅での治療をサポートするプログラムをアメリカで始めた。看護師がオンラインなどで注射投与を支援するサービスや、患者や家族が自宅での注射投与について学習できる教育資材を提供する。さらに投与方法に関する教材や、投与歴を記録するツールなどを集約したアプリを提供する。

 レカネマブはアメリカや日本、中国、韓国やヨーロッパ(EU)など50カ国・地域で承認を取得している。10カ国・地域で承認申請をしている。

 2025年10月8日(水)

2025/10/07

🟥電子たばこ、世界で1億人が使用 WHO初推計、青少年に悪影響も

 世界保健機関(WHO)は、電子たばこの使用状況に関する初めての推計をまとめ、世界で電子たばこを使用する人は推計で1億人を超えたと発表した。

 WHOは6日、世界での電子たばこの使用状況に関する初めての推計を報告書として発表した。

 それによると、化学物質が入った液体を蒸気化させる電子たばこを使用する人は世界で1億人を超え、特に南北アメリカやヨーロッパの高所得国で使用者が多い傾向があるとしている。

 電子たばこの使用者のうち、13歳から15歳だけで少なくとも1470万人に上り、実際の人数はこれより多いとみられるとしている。

 さらにWHOは、13歳から15歳が電子たばこを使用する割合は、それより上の年代と比べて9倍高いとしている。

 WHOは、紙巻きたばこなどだけでなく電子たばこも健康に有害だとしていて、テドロス・アダノム事務局長は6日の声明で「たばこ業界は、新たな製品で若者を積極的にターゲットにしている」と懸念を示した。

 2025年10月7日(火)

2025/10/06

🟥神奈川県立がんセンター、医療事故で60歳代男性死亡 栄養剤投与のチューブが飛び出る 

 神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)は1日、食道がんの手術を受けた60歳代の男性患者が、栄養を送るために体内に入れたチューブが十二指腸から20センチ飛び出したことによる医療事故で死亡したと明らかにした。外部の専門家を加えた院内医療事故調査委員会を設置し、原因を調査するとしている。

 センターによると、男性は9月4日、食道の大部分を摘出する手術を受け、栄養を直接腸に送るためのチューブを入れた。6日に血液の数値が悪かったため、検査したところ、チューブが十二指腸から飛び出していることが判明。緊急手術をしたが、容体が改善せず8日に敗血症性ショックと急性呼吸不全で死亡した。

 県庁で記者会見した酒井リカ病院長は、「男性とご家族に、このような結果になったことを心よりおわびする。原因の究明と再発防止策に取り組み、医療安全の確立に全力を尽くしたい」などと述べた。

 2025年10月6日(月)

2025/10/05

🟥医師のうつ病診断を助けるAIが承認取得 脳活動のパターンを解析

 国際電気通信基礎技術研究所(本社・京都府)などが開発した、脳の活動を解析して医師のうつ病診断を助ける人工知能(AI)が厚生労働省から薬事承認を受けた。血流の変化を捉える機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)の撮影画像を用いて脳活動のパターンを数値化し、臨床現場で客観的な診断を助ける。

 うつ病は抑うつ気分のほか不眠、気力の減退などの多様な症状が出る症候群。血液中の物質など診断基準となる指標が見付かっていないため、ほかの疾患との判別が難しく、診断がばらつくことが課題だった。

 開発チームは、健康な人とうつ病のある人の平常時の脳活動を記録したfMRI画像約1200人分を収集。うつ病に特徴的な脳活動のパターンをAIに学習させた。画像からうつ病の程度を算出した結果、どの施設の画像でも、うつ病かどうかを約70%の精度で判別できたという。

 医療用のソフトウエア(プログラム医療機器)としての承認を今年3月に取得。現在進行中の臨床試験の結果を踏まえ、来春にはうつ病の確率を導き出す2段階目の承認に向けた申請を予定する。将来的に保険適用を目指すとしている。

 開発チームは統合失調症や双極性障害、自閉スペクトラム症の診断を補助する手法も開発中だ。特に双極性障害はうつ病との判別が難しく、AIが有用な可能性があるという。うつ病治療薬の効きやすさを調べるプログラムも実用化を目指す。

 国際電気通信基礎技術研究所脳情報通信総合研究所の川人光男所長(計算論的神経科学)は、「患者は検査をしてもらえなかったり、診断名が数年で変わったりすることにストレスを感じている。客観的な診断で診断名が揺るがなくなれば福音だ」と話した。

 2025年10月5日(日)

2025/10/04

🟥全国の新型コロナ感染者、2週連続減少 前週比0・85倍

 厚生労働省は3日、全国約3000の定点医療機関から9月22〜28日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が2万2640人だったと発表した。1機関当たりの感染者数は5・87人で前週比0・85倍。2週連続で減少した。

 都道府県別で1機関当たりの感染者数が最も多かったのは愛媛県の10・11人で、大分県10・10人、宮崎県9・21人と続いた。少なかったのは青森県3・29人、北海道と東京都3・62人などだった。

 2025年10月4日(土)

🟥病院ごとの臓器移植実施数を公表 待機者数も、登録時参考に

 日本臓器移植ネットワークは1日、臓器移植手術を担う病院ごとの移植実施数、待機患者数などの情報をホームページで公開した。移植を希望する患者が、手術する病院を登録する際の参考にできるようにする。臓器によっては情報が公開されていない病院もあるが、今後、追加するという。

 公表された情報は他に、移植を担当する医師名や、認定医師数、患者への説明などを担う「コーディネーター」の人数など。待機患者数と待機期間に関係がないことも記した。実施数が0件の病院も含まれる。

 心臓では認定されている全12施設の情報を公表。2022~2024年の実施数が最も多かったのは、国立循環器病研究センター(大阪府)の77件で、2024年末時点の待機者は152人。東京大病院は同じ期間で71件、220人、大阪大病院は43件、137人だった。

 肺も全12施設を公表。一方、肝臓、膵臓、小腸、腎臓は半数程度にとどまっている。

 これまでは全国での臓器別の実施数、待機者数が公表され、腎臓は、都府県別の情報が示されていた。

 2025年10月4日(土)

2025/10/03

🟥東京都でインフルエンザ流行入り、昨年より1カ月以上早く

 東京都は、インフルエンザの流行期に入ったと発表した。定点医療機関から1週間に報告された感染者数が、9月22〜28日に1機関当たり1・96人となり、流行開始の目安(1・0人)を超えた。昨年(11月4~10日)より1カ月以上早い。

1 都内の小中学校や高校では9月1〜28日、インフルエンザが原因とみられる学級閉鎖や休校などが46件発生し、17件だった昨年の3倍近くに上った。

 都は、今後の本格的な流行が予想されるとして、こまめな手洗いや消毒、マスク着用などを呼び掛けている。

 2025年10月3日(金)

2025/10/02

🟥昨年度の介護費用、11・9兆円に膨らむ 介護報酬プラス改定も押し上げ要因に

 介護保険からの給付や利用者負担を含めた2024年度の介護費用は11兆9381億円で過去最多を更新した。前年度比3・7%増。高齢化による利用者の増加や、サービス提供事業者が受け取る介護報酬が2024年度にプラス改定されたことも押し上げ要因となった。厚生労働省が9月30日に発表した。

 集計を始めた2001年度の4兆3782億円から約2・7倍に膨らんだ。

 介護費用のうち、要介護認定を受けて利用する介護サービス分は11兆6179億円、状態が軽い人向けの介護予防サービス分は3202億円だった。

 利用者数は、介護サービスが前年度比1・1%増の573万1100人、介護予防サービスが4・8%増の130万3900人だった。

 1人当たり介護サービス費用(2025年4月審査分)を都道府県別に見ると、鳥取県が22万9900円で最も多く、新潟県が22万500円で続いた。

 介護保険制度は2000年度に始まった。

 2025年10月2日(木)

2025/10/01

🟥新型コロナワクチン定期接種、1日開始 高齢者ら対象、国の助成なし

 新型コロナウイルスワクチンの2025年度の定期接種が1日、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある60〜64歳の人を対象に開始された。2024年度の国による自治体への助成(1回当たり8300円)はなくなり、自治体独自の補助のみとなる。

 補助がない場合、接種費用は1万5600円程度。自治体によって自己負担額に差が生じるが、低所得者は無料となる。2026年3月末までに1回接種できる。

 使用されるワクチンは5製品。ファイザー、モデルナ、第一三共の「mRNAワクチン」3製品と、武田薬品工業の「組み換えタンパクワクチン」、Meiji Seika ファルマのmRNAが細胞内で複製される「レプリコンワクチン」となる。

 2025年10月1日(水)

🟥熱中症搬送、5月から9月までに初の10万人超 記録的猛暑や早い梅雨明けが影響か

 総務省消防庁は9月30日、熱中症により5月1日~9月28日に全国で10万143人が救急搬送されたとの速報値を公表した。搬送者が10万人を超えたのは、集計の対象を5〜9月に広げた2015年以降初めて。記録的な猛暑や、梅雨明けが早かったことなどが影響したとみられる。

 死者は116人。3週間以上の入院が必要な重症は2206人、短期の入院が必要な中等症は3万4242人だった。

 65歳以上の高齢者が57・2%を占めた。都道府県別の搬送者は、東京都が9309人で最多。大阪府が7175人、愛知県が6630人と続いた。

 2025年10月1日(水)

🟥インフルエンザが全国で警報レベル超え 子供の異常行動や脳症に注意を

 インフルエンザの患者数が、全国で「警報レベル」を超えた。インフルエンザは学校や保育園など集団生活の場で、感染が広がりやすい。子供はインフルエンザ脳症にも注意が必要だ。小児科医は、手洗いなどの感染対策に加え、早めのワクチン接種を呼び掛けている。  インフルエンザにかかると、高齢...