2024/01/31

🟧海外臓器あっせん、NPOに移植費用の全額1841万円を返還命令 東京地裁

 NPO法人「難病患者支援の会」(臓器移植法違反で有罪判決を受け、控訴中)に海外での臓器移植の仲介を依頼して手術を受けられなかった神奈川県内の男性(59)が支払った移植費用の返還を求めた訴訟の判決で、東京地方裁判所(大竹敬人裁判長)は30日、NPOに約1841万円全額の支払いを命じました。

 判決によると、男性は2021年10月までにNPOと腎移植手術の契約を締結しました。NPO側の案内で中央アジア・キルギスに渡ったものの、病院で別の外国人患者が死亡する事故が発生したことなどから手術を受けられないまま帰国。2022年8月、NPOが仲介した手術で臓器売買が行われた疑いを指摘した新聞の報道を知り、NPOを通じた海外移植をやめました。

 2024年1月31日(水)

🟧イタリアで観測の48・8度、ヨーロッパ最高気温に認定 2021年8月のシチリア島で観測

 世界気象機関(WMO)は30日、イタリア南部シチリア島のフロリディアで2021年8月11日に観測された48・8度がヨーロッパ大陸で史上最高の気温を更新したと公式に認めました。これまでは1977年7月10日にギリシャの首都アテネなどで記録された48・0度が最高でした。

 今回の記録は、トルコやイスラエル、シリアなどアジア大陸の一部を含めてWMOが管轄するヨーロッパ地域で史上最高気温だと認定。WMOの専門家は「将来的にヨーロッパ全域でさらに極端な事例が起こり得る」とし、史上最高気温の更新が続く傾向に警鐘を鳴らしました。

 2024年1月31日(水)

🟧特発性拡張型心筋症に新治療法、ネット装着で収縮力改善 名古屋大が開発

 心臓の筋肉が薄くなって収縮力が低下し、末期になると心臓移植でしか助からない拡張型心筋症。拡張した心臓を患者の適切な心臓の形に合わせて作ったネットで覆い、圧迫して収縮力を取り戻す新しい治療法を、名古屋大病院心臓外科の秋田利明特任教授が開発しました。

 これまでに4人の患者に手術を行い、スポーツや仕事に復帰できるまでに心臓機能が回復した人もいます。

 拡張型心筋症のうち、高血圧や心筋梗塞といった特定の原因が見付からない「特発性拡張型心筋症」は国の指定難病で、2021年時点で約1万9000人の患者がいます。全身に血液を送り出す左心室の筋肉が次第に薄くなり、送り出す血液量を確保するために左心室が拡張します。発症のピークは50歳代で、息切れや呼吸困難を伴います。

 さまざまな薬物治療でも改善しないと補助人工心臓を埋め込み、制御装置や電源を入れたバッグを身に付け、24時間の付き添いが必要になります。心臓移植待機患者の約6割が拡張型心筋症ですが、脳死での臓器提供者が少ないため、移植に至らず死亡する人も少なくありません。

 欧米でも患者が多く、1990年代には心臓の筋肉の一部を切り取って縫い合わせ、拡大した左心室を縮める「バチスタ手術」が広がったものの、長期的にはポンプ機能の低下が避けられず、アメリカの心臓協会は2009年の指針で推奨しないとしています。

 2000年代からネットで心臓全体を覆って手術中に大きさを調整し、心臓への圧力を高める製品が欧州で認可され、アメリカで臨床試験(治験)が行われました。しかし、肺に血液を送り出す右心室も丸ごと覆ってしまうため、左心室に必要な圧力をかけると、右心室の動きに支障が出たり、右心室の圧力を弱めると左心室への圧力が不十分だったりというジレンマを解決できませんでした。

 2006年、縫い目なしで立体的なニット製品が編める島精機製作所(和歌山市)のコンピューター編み機の新聞記事を目にした秋田教授は「心不全患者の心臓画像を基に設計すれば、患者の心臓の形に適したネットが作れるのではないか」とひらめきました。主任教授に就任した金沢医大で研究を重ねるうち、ネットの右心室の部分を穴のように大きく開ければ動きが窮屈にならず、左心室だけ圧迫することができることを発見しました。

 テーラーメードのネットを患者の心臓に専用器具を使って装着する時間はわずかに数分。左心室の形が整うことで、左心室からの血液の逆流を防ぐ僧帽弁の働きもよくなり、体に酸素を取り込む能力を示す数値が劇的に改善しました。

 1例目の60歳代患者は手術4年後でも週2回のバドミントンと週4回のジム通いができるまでになりました。ほかの3人も心臓機能が改善または維持ができており、仕事を再開したり、遠距離の旅行を楽しんだりしている人もいます。

 50歳代以降の中高年を主な対象とし、健康寿命を5~10年延長できれば、心臓移植や補助人工心臓に代わる有力な治療法になり得るというのが秋田教授の考えです。

 名古屋大のほか、東北大、東京大、東京慈恵医大、大阪大で計5例の治験を重ね、2024年度からは全国12~15の病院に拡大し、早期の保険適用を目指します。事業化に当たっては、命に直結する心臓ネットの開発に国内の医療機器メーカーが尻込みしたため、自らベンチャー企業を立ち上げました。

 秋田教授は「手技も簡単で、将来的には地元の病院でも手術ができるようになる。海外展開も検討中だ」と話しています。

 2024年1月31日(水)

🟧睡眠不足で最も労働生産性低下 筑波大が会社員の生活習慣調査

 会社員の生活習慣と労働生産性(労働パフォーマンス)の関係を分析した結果、男女ともに睡眠による休息の不足が労働生産性の低下に最も強く関係し、運動習慣の欠如や就寝前の夕食なども関連していることが、筑波大の研究チームの調査でわかりました。

 研究チームは、日本のある企業に勤める21~69歳の従業員約1万2476人を対象に、2016年の健康診断の質問票や診療報酬明細書、労働生産性に関する自己評価のデータを基に、生活習慣と労働生産性の関係を分析しました。病気による影響は除き、生活習慣では喫煙や運動、食事、飲酒、睡眠に関する11項目を検討対象としました。

 その結果、労働生産性の低下と最も関連の強い生活習慣は、男女ともに睡眠による休息の不足でした。男性では次いで運動習慣の欠如や歩行速度の遅さ、喫煙、就寝前の夕食、朝食の欠食が、労働生産性低下に関連していました。女性では次いで就寝前の夕食や食べる速度が速いこと、運動習慣の欠如が、関連していました。

 男女とも、飲酒の頻度や量は労働生産性の低下に関係はなく、女性よりも男性のほうがより多くの生活習慣が関係していることもわかりました。

 研究チームの武田文・筑波大体育系教授(公衆衛生学)は、「企業従業員の労働パフォーマンス改善に向けた取り組みとして、睡眠の改善や運動習慣の定着、適切な時間の夕食摂取について健康教育を行ったり職場環境を整備したりすることが重要だ」と話しています。

 研究結果は2023年11月9日付けで、国際専門誌「ジャーナル・オブ・パブリックヘルス」に掲載されました。

 2024年1月31日(水)

🟧中国、鳥インフルエンザ感染の女性死亡 春節の大移動での拡大を警戒

 中国衛生当局は1月31日までに、鳥インフルエンザ(H10N5型)と季節性インフルエンザ(H3N2型)に感染した女性(63)が浙江省の医療機関で死亡したと発表しました。中国では2月10日の春節(旧正月)に伴い市民の大移動が予想され、当局は新型コロナウイルスを含め感染症の拡大を警戒しています。

 国家疾病予防コントロール局によると、女性は昨年11月末に発熱やせきの症状が出て、12月中旬に死亡しました。鳥から鳥インフルエンザに感染したとみられ、今回のウイルスが人から人へ感染した状況は確認されていないといいます。

 春節の帰省や旅行に伴う特別輸送態勢「春運」が1月26日に始まり、3月5日までに延べ約90億人が移動するとの予測があります。コロナの新変異型「JN・1」の感染拡大が懸念されています。

 2024年1月31日(水)

2024/01/30

🟧山梨県、女性が卵子の凍結保存を行う費用助成へ 東京都に次いで2例目

 妊娠のタイミングと仕事のキャリアとの両立に悩む人を支援するため、山梨県が健康な女性が卵子の凍結保存を行う費用を助成する方向で最終的な調整を進めていることが30日、わかりました。

 山梨県は、出生率の低迷による人口減少に歯止めをかけるため、妊娠を望んだ時に備えて自らの健康を管理する「プレコンセプションケア」の普及を進めています。

 その一環として、県は妊娠のタイミングと仕事のキャリアとの両立に悩む人を支援するため、将来、妊娠を望む健康な女性が卵子の凍結保存を行う費用の一部を助成する方向で最終的な調整を進めています。

 県内に住む女性が対象で、事前に「プレコンセプションケア」や、卵子を取り出すリスクを学ぶ機会を持つことなどを条件とし、対象年齢や人数などについて詰めの調整を進めているということで、年間20万円程度を上限に助成し、凍結した卵子を使った治療にも最大10万円程度を助成する方針です。

 県は、必要な費用を2月定例県議会に提案する2024年度当初予算案に計上します。

 山梨県によると、都道府県が卵子の凍結保存費用の助成を実施するのは、東京都に次いで2例目。

 2024年1月30日(火)

🟧東京圏の転入超過12万6515人、東京都の転入超過6万8285人 一極集中が再び加速

 総務省は30日、住民基本台帳に基づき2023年に都道府県をまたいで引っ越し、転入届を出した人の移動を集計した人口移動報告を発表しました。

 東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では、転入者が転出者を上回る「転入超過」が12万6515人でした。東京圏への流入は新型コロナウイルス禍で一時は鈍ったものの、転入超過は2年連続で前年を超えて、2022年より2万6996人増え、2023年の転入超過はコロナ流行前に当たる2019年の85%まで戻りました。2014年からは外国人の移動も調べていますが、日本人に限れば28年連続の転入超過でした。一極集中が再び強まっています。

 都道府県別でみると、転入超過は東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、滋賀県、福岡県の7都府県でした。残り40道府県は転出者が転入者を上回る「転出超過」でした。

 東京都の転入超過は6万8285人と2022年よりも3万262人増え、2年連続で前年を上回りました。コロナ禍で在宅勤務が広がり転入超過は一時は減ったものの、足元では増加傾向に転じ、コロナ流行前だった2019年の8万2982人にも近付き、東京一極集中が再び加速しました。

 2024年1月30日(火)

2024/01/29

🟧早期乳がんの新たな治療法が始まる 切除手術より負担少ない治療に期待

 早期の乳がんの患者に対し、胸に細い針のような電極を刺して熱でがんを焼いて死滅させる新たな治療法が昨年12月に保険適用となり、東京都内の病院で25日から患者への治療が始まりました。乳房を切除する手術よりも負担の少ない治療になると期待されています。

 この治療法は「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」と呼ばれ、がんの中に外から細い針のような電極を刺して、ラジオ波帯の電流を流し、発生する熱によってがんを死滅させるもので、新たに早期の乳がんへの治療法として昨年12月15日、保険適用となりました。

 これを受けて東京都目黒区の東京医療センターでは、25日からこの治療法を始め、医師が画像を見ながら、患者の胸に慎重に電極を刺して治療を行いました。

 乳がんの治療は早期でも乳房の一部や全部を切除する手術が中心となっていますが、この治療法は、傷が小さいため体への負担も少なく、これまでの臨床研究では、切除手術と同等の効果が認められたということです。

 対象となるのは、がんが1つだけで、がんの大きさが1・5センチ以下などの条件に合った早期の乳がんで、治療は日本乳癌学会が認定した医療機関で行われるということです。

 臨床研究で代表を務めた東京医療センターの木下貴之副院長は、「乳房を切除せずに治療できるのは患者さんにもメリットが大きいはずだ。この治療が行える施設を増やせるよう、普及に力を入れたい」と話していました。

 2024年1月29日(月)

🟧拒食症の症状の重さに関係する脳の部位を突き止める 精神・神経医療研究センターなどが共同研究

 太ることを恐れて食事を極端に制限してしまういわゆる拒食症について、国立精神・神経医療研究センターなどの共同研究チームが多くの患者の脳の画像を詳しく調べたところ、症状の重さに関係する脳の部位を突き止めたと発表し、拒食症をより正確に診断する技術につながるとして注目を集めています。

 この研究は、国立精神・神経医療研究センターの関口敦室長などのチームが行いました。

 チームでは、2014年5月から2019年2月にかけて東北大学病院心療内科など国内の5つの医療機関で「神経性やせ症」、いわゆる拒食症と診断された女性103人の脳のMRIの画像を詳しく分析し、健康な女性102人の脳の状態と比較しました。

 その結果、拒食症の患者では症状が重くなるほど、脳の「腹側前頭前野」と「後部島皮質」という2つの部位の体積が増加していることがわかったということです。

 2つの部位はそれぞれ感情や食欲を抑制したり、吐き気などの感覚を処理したりする際に働く場所だということです。

 拒食症は、初期では患者自身が気付かないことも多く、正常な「やせたい」という願望との区別がむずかしいということで、チームでは、より正確に診断する技術への活用が期待できるとしています。

 関口室長は、「拒食症は精神疾患の中で突出して死亡率が高い。客観的な検査で診断できるようにして、治療体制を充実させたい」と話していました。

 2024年1月29日(月)

🟧イオン、オアシスからツルハホールディングス株取得へ ドラッグストア業界の再編加速か

 イオンは29日、ドラッグストア大手のツルハホールディングスの株式取得について、香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」と独占的に交渉を始めると発表しました。イオンはすでにツルハ株の13・6%を保有する筆頭株主で、オアシスの保有分と合わせると20%を超えるとみられ、持ち分法適用会社とすれば、ドラッグストア業界の再編の契機となる可能性があります。

 オアシスもツルハ株の約13%を保有しています。イオンは「オアシスが保有するツルハ株を取得することが、ツルハとの関係の維持・強化につながる」と交渉の理由を説明しました。

 イオンは、売上高1兆円を超える業界1位のウエルシアホールディングスを傘下に持っており、業界再編にも前向きとされます。2位のツルハとは1995年に資本業務提携を結び連携を続けており、ウエルシアと合わせて売上高2兆円規模のドラッグストア連合が誕生する契機となりそうです。

 オアシスは物言う株主として知られ、ツルハの収益性が低いなどとして経営陣と対立。昨年8月のツルハの定時株主総会で取締役の交代を求めたものの、イオンなどの反対で否決されました。

 2024年1月29日(月)

2024/01/28

🟧オホーツク海の流氷の「厚さ」も減少、「面積」減少に続き 北大教授ら分析

 気候変動に伴う海水温上昇の影響を受けるオホーツク海で、流氷の厚さが1980年代までと比べ約30%薄くなっていることが、北海道大低温科学研究所の大島慶一郎教授(極域海洋学)らの調査でわかりました。流氷面積の減少は以前から知られていましたが、厚さに関する長期的な変化が確認されたのは初めて。2月にアメリカで開かれる国際学会で報告されます。

 オホーツク海は世界平均の3倍の速度で温暖化が進んでいるとされ、同海域の流氷は「地球温暖化のセンサー」と呼ばれます。

 今年は網走市で22日、紋別市で26日に、オホーツク海の流氷が沿岸を覆い、船舶の航行ができなくなる「流氷接岸初日」が観測されました。気象庁によると、オホーツク海の流氷の面積は過去40年間で約30%減少しており、2050年までに現在の3分の1まで減るとの予測もあります。

 流氷は塩分をほぼ含まないため、溶けると水深50メートル未満の層にある海水の塩分濃度が薄くなります。こうした特徴を踏まえ、大島教授と北海道大大学院環境科学院博士課程1年の本田茉莉子さん(25)はオホーツク海の北緯48度以南で過去に観測された塩分濃度のデータから、年代ごとに溶けた流氷の分量と厚さを算出しました。

 データは気象庁や海上保安庁、道内各水産試験場などが戦後、蓄積してきました。分析の結果、1950~1980年代の40年間の流氷の厚さは平均94センチだったのに対して、以降の1990~2020年代の平均は67センチと約30%減少していたことがわかりました。

 面積減少に加え、厚さも薄くなったことで、オホーツク海南部の流氷の総量は最大で半分程度まで減っている可能性があるといいます。

 2024年1月28日(日)

🟧AEDで救命された人が7656人に 一般の人にも使用が認められて今年で20年

 心筋梗塞など心臓の異常で心停止になった人に電気ショックを与える医療機器「AED(自動体外式除細動器)」が一般の人も使えるようになって今年で20年になります。

 AEDによって救命された人はこれまでに7000人を超えることが、医師などでつくる団体のまとめでわかりました。

 AEDは心臓が止まった人に電気ショックを与えて心臓の動きを元に戻す医療機器で、2004年7月から医師でない一般の人にも使用が認められ、全国に60万台以上が設置されています。

 医師などでつくる「日本AED財団」が総務省消防庁のデータを基にまとめたところ、AEDによって救命された人の数は2022年末までに合わせて7656人に上ることがわかりました。

 救命された人の数はコロナ禍でいったん下がりましたが、年々増える傾向にあり、2022年1年間には618人が救命されています。

 しかし、誰かの目の前で倒れた人がAEDで処置を受けた割合は4・3%にとどまっていて、日本AED財団では積極的な使用を呼び掛けています。

 日本AED財団の三田村秀雄理事長は、「市民がAEDを使うことで7000人以上の命が救われたのは画期的なことだ。平均10分以上かかる救急隊の到着を待っていたら助かる命も助からず、その場にいる人がいかに早くAEDを使うかが救命のカギになっている」と話しています。

 2024年1月28日(日)

🟧札幌市で6歳未満男児が脳死 心臓、肝臓、腎臓を移植

 日本臓器移植ネットワークは27日、札幌市の手稲渓仁会病院に低酸素脳症で入院していた6歳未満の男児が24日午前11時40分、臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表しました。家族が臓器提供を承諾しました。

 心臓は東京大病院で10歳未満の女児、肝臓は自治医科大病院(栃木県下野市)で10歳未満の女児、腎臓は日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(名古屋市)で10歳代の女性に移植。肺は適合者がおらず、小腸は医学的理由で移植を断念しました。

 2024年1月28日(日)

🟧救急車の現場到着時間、初の10分超 2022年、出動件数も過去最多

 総務省消防庁は26日、救急車が119番通報を受けてから現場に到着するまでの時間が、2022年は全国平均で約10・3分だったと発表しました。10分を超えたのは初めて。出動件数は、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で2021年から16・7%増え、722万9572件で過去最多を更新しました。

 消防庁の担当者は、「現場近くの救急車が出払っていて、遠方から向かうケースが増えた」と分析しています。

 現場到着までの時間は2021年から約50秒長くなり、出動の半数近くで10分以上かかりました。医療機関に引き継ぐまでの平均時間も、約47・2分で最長となりました。

 2024年1月28日(日)

🟧千代田区のパレスホテルの社員食堂で101人が集団食中毒 3日間の営業停止処分

 東京都千代田区のパレスホテルの社員食堂で食事をした101人が下痢やおう吐、発熱などの症状を訴え、保健所が調べたところ、ノロウイルスによる集団食中毒だとわかり、千代田区はこの社員食堂を26日から3日間の営業停止処分にしました。

 営業停止の処分を受けたのは、港区に本社がある給食会社「エームサービス」が運営する千代田区のパレスホテルの社員食堂です。

 都によりますと、22日、パレスホテルの担当者から「社員食堂で食事をした92人が下痢やおう吐などの体調不良で休んでいる」などと、千代田区保健所に連絡がありました。

 保健所が調べたところ、19日と20日にこの社員食堂を利用した19~63歳の男女、合わせて101人が同じような症状を訴えていることがわかり、このうち複数の人からノロウイルスが検出されたということです。

 区はノロウイルスによる集団食中毒と断定し、この社員食堂を26日から3日間の営業停止処分としました。

 都によりますと、食べ物の何が原因かはわかっていないということで、保健所が調査を続けています。

 発症者はいずれも軽症で、回復に向かっているといいます。パレスホテルは発症した社員が移動したエリアを消毒し、通常通り営業を続けます。

 都は、ノロウイルスは毎年、冬に多く発生することから、調理や食事の前にきちんと手を洗うことや食品を十分に洗うなど注意を呼び掛けています。

 2024年1月28日(日)

2024/01/27

🟧2023年の全国の自殺者2万1818人 2年ぶりに減少も、男性は2年連続の増加

 厚生労働省と警察庁は26日、2023年の全国の自殺者数(暫定値)が、前年より63人少ない2万1818人だったと発表しました。2年ぶりに減少したものの、30~60歳代を中心に男性は増えており、厚労省は物価高騰などによる経済的困窮が影響したとみています。

 男性は全体の7割を占める1万4854人(前年比108人増)で、2年連続の増加でした。このうち9403人は30~60歳代で、前年から3・3%(298人)増えました。50歳代が最多の2934人(86人増)で、40歳代が2663人( 52人増)、60歳代が1928人(66人増)。

 会社員や自営業などの人が多く、「生活苦」や「事業不振」といった経済的な問題を抱えている人が目立ちました。

 厚労省の担当者は「物価高などにより、家計を支える男性が精神的に追い込まれている可能性がある」としています。

 女性は4年ぶりの減少となる6964人(同171人減)。20歳代以下の若年層が1298人に上り、前年から13・4%(153人)の大幅増となりました。原因・動機別でみると、「親子の不和」や「うつ病」、「失恋」など、対人関係の悩みや精神疾患が多くなりました。

 一方、小中高生は507人で、過去最多だった一昨年(514人)に次いで過去2番目に多く、高止まりしています。内訳は小学生13人、中学生152人、高校生342人。男子は259人、女子は248人でした。

 厚労省の担当者は、「行動制限が続いたコロナ禍で孤立が深まり、対人関係に悩む子供が増えている可能性がある」と分析しています。

 厚労省は悩みを抱える人の相談窓口として、「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570・064・556)を設けています。18歳以下の子供の相談は、NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都新宿区)が、電話(0120・99・7777)やインターネットのチャットで受け付けています。

 2024年1月27日(土)

🟧国の暫定目標値の80倍の濃度で「PFAS」検出 広島県東広島市の水路

 有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」のうち、有害性が指摘されている2つの物質について、広島県東広島市の水路で国の暫定目標値の80倍となる濃度が検出されました。東広島市は周辺の住民に井戸水の飲用を控えるよう呼び掛けるとともに、今後、さらに詳しい調査を行うことにしています。

 有機フッ素化合物の「PFAS」のうち、「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」の2種類は発がん性などの有害性が指摘され、国内でも製造や輸入が禁止されています。

 東広島市は昨年12月27日に採取した水を調べた結果、八本松町宗吉の水路で「PFOS」と「PFOA」が合わせて、国の暫定目標値である1リットル当たり50ナノグラムの80倍となる1リットル当たり4000ナノグラム検出されたと26日、発表しました。

 周辺には18世帯が住んでいるということで、東広島市は井戸水の飲用を控えるよう呼び掛けています。

 また、高い濃度が検出された水路とつながる瀬野川の2つの地点でも、国の暫定目標値を上回る1リットル当たり250ナノグラムと170ナノグラムがそれぞれ検出されたということで、東広島市は周辺の地下水などを詳しく調べて、発生源の特定を進めることにしています。

 高い濃度が検出された水路の近くにはアメリカ軍の川上弾薬庫があり、東広島市は国を通じて、「PFOS」や「PFOA」を使用していたか、使用していた場合はいつごろまで、どれくらいの量だったかなどを報告するよう求めたということです。

 国内各地の河川などから検出が相次ぎ、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」について、国の食品安全委員会の作業部会は健康への影響評価の案を取りまとめ、人が摂取しても問題ない量の指標を示しました。

 多くの種類がある有機フッ素化合物「PFAS」のうち、有害性が指摘される「PFOS」と「PFOA」は国内各地の河川や水道水で高い濃度で検出されるケースが相次いでいることから、国は水質について暫定的な目標値を定めています。

 これについて、食品安全委員会は作業部会を設けて、「PFAS」が飲料水や食品などとして体内に入った場合の健康への影響評価を進めており、26日に評価書の案を取りまとめました。

 それによりますと、国内外の研究で一部のがんとの関連が報告されているものの、証拠は限定的だとした上で、動物実験の結果などから、PFOSとPFOAについて、毎日摂取しても問題ない量を、いずれも体重1キログラム当たり20ナノグラムとする指標を示しました。これは現在の国の水質の暫定的な目標値とほぼ同等だということです。

 このほか、評価書の案では一般的な食生活で著しい健康リスクが生じている状況ではないものの、健康影響についての情報が足りないため、できるだけ摂取量を抑えるなどの対策が必要だと指摘しました。

 評価書の案は今後、正式に取りまとめられた上で、国の水質の正式な目標値などの議論に活用されるということです。

 環境省のPFAS対策を話し合う専門家会議のメンバーで、環境汚染による健康影響に詳しい京都大学大学院の原田浩二准教授は今回の報告書について、「PFASによる影響が少なくとも、脂質代謝やコレステロール値、子供の生まれてくる時の体重などと関係はありそうだという評価がされている。有害かどうかという点は専門家の中で意見が違うところはあるが、少なくとも疫学に関する知見が非常に高まっている。国内において行政によるPFASのリスクの評価はこれが初めてで、一つの基礎ができたと評価できる」と話しています。

 2024年1月27日(土)

🟧コロナ禍をへて、健康のために走り始めた人が9%増加 市民ランニング雑誌が調査

 市民ランニング雑誌「月刊ランナーズ」を発行しているアールビーズ(東京都渋谷区)が実施した「ランナー世論調査」で、「健康のために走り始めた」と回答した割合が、新型コロナウイルス禍前の2018年に比べて、2023年は9%上昇したことがわかりました。また、走ることのモチベーションに関する質問に対しては「走ること自体が楽しいから」と回答した割合も、コロナ禍前に比べて11%上昇。

 同社では、「多くの大会が(コロナ禍で)中止になった期間をへて、自由に走れることの喜びや楽しさを再認識するランナーの増加を示す結果となった」としています。

 5年ぶりに実施された調査は、市民ランナーのトレーニングや大会参加の実態を調査することを目的に2010年から開始。昨年10月に男女約1万3000人を対象にインターネットで実施しランニングを始めた切っ掛けを尋ねたところ、「健康のため」と回答した割合が62%と、2018年の調査時に比べて9%上昇。

 同社は「(コロナ禍で)行動が制限され運動不足になった人が、健康を保つために運動の必要性を感じ、その手段としてランニングを選んだと考えられる」と分析しています。

 また、「ランニングを続けるモチベーション」という質問に対し、「走ること自体が楽しいから」と回答した割合が2018年の調査時に比べて11%上昇。ランニングの実施頻度を問う質問では、週に1日以上を実施する人が全体の94%を占めました。

 一方、ランニンググッズにかける年間の金額は「1万円以上3万円未満」が38%と最多。物価高の影響で、ランニングにかける金額が「増えた」と回答した割合は22%でした。

 「ランニングを始めた切っ掛け」をコロナ禍前の2018年と比較すると、「健康のため」が9%上昇しました。行動が制限され運動不足になった人が、健康を保つために運動の必要性を感じ、その手段としてランニングを選んだと考えられます。

 また、「レース出場のため」は8%上昇しました。コロナ後、エントリー数が定員に満たない大会が増え、ランナーの「大会離れ」が指摘されますが、レース出場に魅力を感じて走り始めたランナーが増加しているという事実は、今後の大会参加者数回復に希望を見いだせる結果です。

 ランニングの実施頻度を問う設問では、「週に1日以上」実施する人が全体の94%を占めました。2017年の調査と比較すると、週に1日(1回)以上実施する人は5%上昇しており、コロナ禍によって「走ることに向き合う時間が増えた」「走ることが習慣化した」ランナーの増加を示す結果となりました。

 また、「週に5日以上」と回答した人は21%で、2017年(週に5~6回+週に7回以上)と比較して、5%上昇する結果となりました。

 2024年1月27日(土)

2024/01/26

🟧新型コロナ感染者、9週連続増加 昨年9月中旬以来、1医療機関当たり10人超

 1月15日から21日までの1週間に全国の医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数が前の週から増加していて、厚生労働省は「手洗いや、こまめな換気を行うなど引き続き対策を徹底してほしい」などと呼び掛けています。

 厚労省によりますと、1月21日までの1週間に全国およそ5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万6090人増えて6万268人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は12・23人で、前の週の「8・96人」から1・36倍に増えました。

 前の週から増加が続くのは9週連続で、1医療機関当たりの平均患者数が10人を超えるのは、昨年9月中旬以来です。

 都道府県別では多い順に、福島県が18・99人、茨城県が18・33人、愛知県が17・33人、大分県が17・16人、佐賀県が17・05人などとなっており、すべての都道府県で前の週より増加しています。

 能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を報告することになっている石川県の48の医療機関のうち、能登北部の4カ所からの報告は含まれませんが、石川県は14・33人で前の週より増加しました。

 1月21日までの1週間に、全国およそ500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は3462人で、前の週と比べて600人増加しました。

 新たに入院した患者数は、現在の集計方法を始めた昨年9月下旬以降最も多くなりました。

 厚労省は全国の流行状況について、「すべての都道府県で患者数が増え、感染拡大が続いている。手洗いやうがい、マスクの着用やこまめな換気などの感染対策を引き続き徹底してほしい」としています。

 2024年1月26日(金)

🟧沖縄県で警報レベル、41都府県で注意報レベル インフルエンザ患者が全国的に増加傾向

 国立感染症研究所などによりますと、1月15日から21日までの1週間に全国およそ5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は8万7318人で、1医療機関当たりでは17・72人と前の週よりも4・73人増え、前の週の「12・99人」から1・36倍になりました。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ61万7000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数はおよそ1221万7000人と推計されています。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみますと、沖縄県が最も多く32・33人で、「警報レベル」の30人を超えました。

 また、宮崎県が27・81人、福岡県が25・85人となっているほか、愛知県が22・71人、大阪府が19・23人、東京都が16・24人などと、41の都府県で10人を超える「注意報レベル」となりました。

 前の週と比べると、兵庫県は1・7倍、佐賀県は1・67倍、京都府は1・66倍などと、42の都府県で増えており、全国的に増加傾向となっています。

 東邦大学の舘田一博教授はインフルエンザの感染状況について、「前回や前々回の集計では正月の影響で減少傾向となっていたが、全国的に増加傾向に転じている。例年は、1月末から2月にかけて感染拡大のピークを迎えることから、今後も増加傾向が続き、子供や高齢者の患者も増えてくると考える必要がある」と話しています。

 2024年1月26日(金)

🟧心臓移植にかかわる医師や医療関係者ら「日本心臓移植学会」設立 「助かる命を助けられる国にしたい」

 心臓移植の件数が世界的にみても少ないなどの課題を受けて、心臓移植医療にかかわる医師や医療関係者らが新たに「日本心臓移植学会」を設立し、代表の大阪大学の澤芳樹名誉教授は、心臓移植が必要な人の待機期間を短くするために、速やかに移植を受けられる仕組み作りを国などに働き掛けていく考えを示しました。

 新たに設立されたのは「日本心臓移植学会」で、心臓移植にかかわる医師や看護師、臓器移植コーディネーターなど約560人などが参加しています。

 25日、学会の代表を務める大阪大学の澤教授らが東京都内で会見を開き、設立の趣旨を説明しました。

 澤教授は昨年の国内で行われた心臓移植の件数は115回と、これまでで最も多かったほか、移植後10年間の生存率も2014年までのデータで89・3%と高い水準となっている一方、臓器移植を行うことができる医療機関のうち、実際に必要な人員や機材を整備できているのは半分程度で、速やかに移植ができる態勢が十分に整っていないとしています。

 また、心停止や脳死と判定された人で臓器を提供した人の数は、日本の場合人口100万人当たり年間で0・62人と、アメリカの41・6人や韓国の8・56人と比べると大幅に少ない水準にとどまっているということで、心臓移植が必要な人の中には、提供の意思がある人が出るまで長期にわたって待機しなくてはいけないケースもあるということです。

 日本臓器移植ネットワークによりますと、昨年末時点で、日本で心臓移植を待つ人は865人に上るということです。しかし、実際に移植を受けられるのは待機者の13%程度にとどまり、移植を待つ間に亡くなる人のほうが、移植を受けることができた人より多いといった課題があるということです。

 このため学会では臓器を提供する意思のある人が脳死と判定された場合に、希望を確実にくみ取って移植を待つ人に速やかにつなげる仕組み作りを国などに働き掛けていきたいとしています。

 澤教授は「日本の医療レベルは高いが、心臓を提供するドナーが少ないのが問題。助かる命を助けられる国にしたい」と話しています。

 2024年1月26日(金)

2024/01/25

🟧小児・AYA世代のがん患者の10年生存率初公表 大人より高率、国立がん研究センター

 国立がん研究センターは25日、2011年にがんと診断された患者約36万人の10年生存率が53・5%だったと発表しました。前回調査(2010年)より0・2ポイント上昇しました。併せて、小児(15歳未満)と、思春期以降のAYA世代(15~39歳)の10年生存率を初めて公表し、小児がんは約7~9割と、5年生存率と大きな差がありませんでした。

 全国のがん診療連携拠点病院などが参加する「院内がん登録」の大規模データから集計しました。前回調査に続いて、純粋にがんのみが死因となる場合を推定した「純生存率(ネット・サバイバル)」を算出しました。部位別の10年生存率は、前立腺がんで 85・4%、乳がん(女性)で82・9%、大腸がんで57・9%、胃がんで56・8%などでした。

 また、小児がんとAYA世代のがんは、すべての死因による死亡者数を計算に含めた実測生存率を算出し、5年生存率と比較しました。

 小児がんでは、白血病の5年生存率が88・4%で10年生存率が86・2%、脳腫瘍の5年生存率が73・5%で10年生存率が71・5%と、いずれも10年生存率と5年生存率との差は約2ポイントとなり、わずかな低下にとどまりました。

 一方、AYA世代の10年生存率は、子宮がん(子宮頸(けい)部・子宮体部)が5年生存率より1・4ポイント減の87・2%だったのに対し、乳がんは同6・5ポイント減の83・5%、脳・脊髄腫瘍は同5・7ポイント減の77・8%など、がんの種類によって低下の幅に差がみられました。

 同センター院内がん登録分析室の石井太祐(たいすけ)研究員は、「これまで小児がんやAYA世代のがんは生存率に関するデータが限られていた。小児がんは治療後の見通しがよいことが裏付けられたが、AYA世代ではがんの種類によって必要な支援もさまざまだ。今回のデータを支援策を考える上で基礎資料にしてほしい」と話しています。

 2024年1月25日(木)

🟧訪問介護事業者の倒産、昨年は67件で過去最多

 昨年1年間の訪問介護事業者の倒産件数は67件で過去最多になったことが、信用調査会社のまとめでわかりました。調査会社では、深刻なヘルパー不足や燃料費の高騰などが影響しているとした上で、「ほかの業界との人材獲得競争が激しく、人手不足の解消はむずかしい状況が続く」と分析しています。

 東京商工リサーチによりますと、昨年1年間に倒産した訪問介護事業者は全国で67件で、前の年の50件から17件増えました、

 調査を開始した2000年以降、最多だった2019年の58件を上回り、過去最多を更新しました。

 介護施設や通所サービスなども含めた介護事業者全体の倒産は122件で、過去最多だった前の年より14・6%減少したものの、過去2番目に多くなっています。

 業種別では、「訪問介護事業」の67件に次いで、デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の41件(前年69件)、「その他」の10件(同10件)、「有料老人ホーム」の4件(同12件)と続きました。

 「通所・短期入所介護事業」は2022年と比べて28件減ったものの、同年にデイサービス運営の「ステップぱーとなー」のグループ31社が連鎖倒産した反動によるもの。

 原因別では、大手事業者との競合やヘルパー不足で利用者が減少したことなどによる「売り上げ不振」が92件で最も多く、ヘルパーの高齢化や燃料費の高騰なども影響したと分析しています。

 また、倒産以外でも昨年、休廃業や解散した介護事業者は510件に上り、過去最多を更新しました。

 東京商工リサーチは、「介護報酬の改定で賃上げなどの処遇改善が一部で進むことが期待されるものの、飲食業などほかの業界との激しい人材獲得競争が広がり、ヘルパー不足の解消はむずかしい状況が続く」と分析しています。

 2024年1月25日(木)

🟧愛知県、新型コロナ向けに109病床確保 入院患者4カ月ぶりに1000人超え

 愛知県の大村秀章知事は24日に臨時会見を行い、同日付で新型コロナウイルスの入院患者向け病床段階を「段階0」から「段階1」へ引き上げ、重症・中等症などの患者を受け入れる病床を109床確保すると発表しました。

 23日時点での新型コロナによる入院患者数は1080人となり、1週前と比べて219人増加。入院患者が1000人を超えるのは、昨年9月以来、4カ月ぶりとなります。

 新型コロナの確保病床については、昨年10月から国の方針で新たな指標が設定されており、入院患者数872人未満の「段階0」、872人以上の「段階1」、1308人以上の「段階2」、2092人以上の「段階3」の4段階となっています。愛知県は11月以降、確保病床の必要がない「段階0」で運用していましたが、入院患者数が「段階1」の指標に達したため引き上げに至ったということです。

 県内では新型コロナの感染者が増加しており、15日から21日までの1週間の感染者は3379人、1定点医療機関当たりの報告数は17・33人となり、昨年11月下旬から9週連続で増加。大村知事も17日の会見で「第10波に入った」と危機感を示していました。

 今回の病床段階の引き上げについて大村知事は、「コロナ感染者の入院対応が可能な医療機関は296病院あり、医療体制は万全を期しておりますので、ご安心いただきたい」と述べました。

 2024年1月25日(木)

🟧沖縄県、今シーズン2度目のインフルエンザ流行警報を発令 B型急増で再感染に注意

 沖縄県は25日、県内全域にインフルエンザ流行警報を出しました。1定点医療機関当たりの感染報告が1月15日から21日までの1週間で32・33人となり、警報発表基準の「30人」を超えました。今年に入り、インフルエンザB型の検出割合が急増中で、今シーズンでA型に感染した人であっても、再感染に注意が必要といいます。

 県内は昨年10月~12月に続いて、今シーズン2度目の流行警報の発令となります。

 インフルエンザが再び猛威を振るっている主な要因としては、新型コロナウイルスが落ち着いて初めて迎えた年末年始に人の行き来が活発になったことや、新型コロナが流行していた期間にインフルエンザが広がらず免疫を持つ人が減ったことなどが挙げられています。

 保健所の管内別で最も流行しているのは八重山で1定点医療機関当たり41・33人。次いで北部37・20人、中部35・25人、南部30・71人、那覇市28・00人、宮古26・50人。

 感染者の年齢別は5~9歳が26・0%、10~14歳で23・0%と、学齢期で約半数を占めました。1月15日からの1週間で公立小中高校の計36施設で学年・学級閉鎖がありました。

 インフルエンザ型の検出割合はA型が44・2%、B型が45・0%。B型の割合が2週間前に比べて急増しています。

 県は手洗いほか、マスク着用、予防接種などの感染予防を呼び掛けています。

 2024年1月25日(木)

2024/01/24

🟧在宅酸素療法、3年で15人が火災で死亡 原因は喫煙が最多

 呼吸機能が低下した患者が在宅酸素療法の装置を利用中に火災が発生し、2021年以降の3年間で60~90歳代の男女15人が死亡していたことが、一般社団法人「日本産業・医療ガス協会」の調査でわかりました。このうち喫煙が原因(推定含む)と判断されたのは4件ありました。患者の中には喫煙の習慣を続けている人もいるとみられ、同協会は火気とは距離を置いて酸素供給装置を利用するよう呼び掛けを強めています。

 この治療法では、肺や心臓の疾患で呼吸機能が低下した患者の鼻に酸素濃縮装置や携帯用酸素ボンベなどからチューブを通じて酸素を送ります。「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」(COPD)の患者が利用することで知られ、COPD患者の大半が喫煙経験者とされます。

 同協会によると、利用者が自宅で火災に遭って死傷する重大な事故は、2003年10月~2023年11月末では103件に上り、94人が死亡していました。火災の原因は喫煙が39件(約4割)を占め、原因特定された中では最多でした。

 漏電は7件、ストーブや線香などの「その他」は16件、原因が不明だったのは41件でした。装置自体が火災の原因になったケースはありませんでした。協会の担当者は「治療の上でもよくないのに、喫煙を続けている人が多いのでは」としています。

 在宅酸素療法の装置を利用中に火気が近くにあると、酸素が燃焼を促して、チューブや洋服などに燃え移る恐れがあります。厚生労働省は室内で装置を使う時は、2メートル以内に火が出るものを置かないよう注意を呼び掛けており、担当者は「(装置の)使用経験が浅く使い方に不安がある人や、逆に慣れていて漫然と使っている人は特に注意してほしい」と話しています。

 2024年1月24日(水)

🟧大学病院医師の教育や研究は「労働」、厚労省が曖昧な「自己研鑚」通達を改正

 厚生労働省は、医師が知識や技能を習得するための「自己研鑚(けんさん)」に関する2019年7月の通達を一部改正し、労働に該当する具体例として、大学病院での教育や研究を明示しました。従来の通達は、自己研鑚と労働の線引きが曖昧(あいまい)で、 恣意(しい) 的な運用を懸念する声が医療現場から上がっていました。医師の残業時間を制限する「医師の働き方改革」が4月から始まるのを前に、解釈を明確化する狙いがあります。改正は1月15日付。

 厚労省は、診療などの本来業務と直接関連がなく、上司の指示もない自己研鑽は、労働に該当しないとの考え方を通達で示し、その運用方法については別の通達で説明していました。

 しかし、昨年8月、甲南医療センター(神戸市)の専攻医が過労自殺した問題が発覚。労働基準監督署が認定した長時間労働について、センター側は「自己研鑚が含まれる」と反論し、各地の医師から、本来は労働に当たる時間が自己研鑚として処理されているとの声が相次いでいました。

 こうした状況を受け、自己研鑚の考え方に関する通達は維持した上で、運用方法に関する通達を改正しました。大学病院の教育や研究は本来業務に当たると明示し、具体的には、学生の試験問題の作成・採点、学生の論文作成に対する指導などを挙げました。

 その上で、こうした教育や研究に直接関係のある自己研鑽に関しても、労働時間内に、指示された場所で行う場合は労働時間と見なし、上司の明示・黙示の指示で行う場合は、所定労働時間外でも労働時間と見なすと説明しています。

 一般病院については、具体例は示しませんでした。その理由について厚労省は「自己研鑚と業務の区分がむずかしい」としているものの、今回の改正で「医師と上司の理解が一致するよう双方で十分に確認すること」を求める文言を新たに加えました。

 厚労省は「一般病院も、大学病院の考え方に準じて業務との関連性を適切に判断してほしい」としています。

 2024年1月24日(水)

🟧終末時計、昨年と同じ「残り1分30秒」 核戦争など懸念

 アメリカの科学雑誌は「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す今年の「終末時計」について、ウクライナ情勢や緊迫化する中東情勢などによって、過去最も短かった昨年と同じ「残り1分30秒」と発表し、世界は引き続き、前例のない危険な状態にあると警告しました。

 これはアメリカの科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が23日、アメリカのワシントンで記者会見して発表したものです。

 この中で「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す今年の「終末時計」の時刻について、「残り1分30秒」と発表しました。

 「終末時計」の発表は1947年の「残り7分」から始まり、東西冷戦の終結後には「残り17分」まで戻されましたが、その後は徐々に短くなり、昨年はロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを受けて10秒進められ、「残り1分30秒」とこれまでで最も短くなっていました。

 今年は昨年と同じで、科学雑誌は長期化するロシアによるウクライナへの軍事侵攻でロシアの核兵器使用は依然として深刻なリスクだと指摘しています。

 さらに、イスラエルとハマスの軍事衝突はより広範な紛争になり、世界的にも予測不可能な脅威をもたらす恐れがあると強い危機感を示しました。

 そのほか、気候変動の世界的な影響や、AIによる偽情報拡散のリスクなどを挙げ、世界は引き続き、前例のない危険な状態にあると警告しました。

 国際政治が専門で、「終末時計」を発表している科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」のレイチェル・ブロンソン代表は、「世界はこれまでで最も終末に近付いている。持続不可能な危険な状況にある。これが私たちが伝えたい最も重要なメッセージだ」と強調しました。

 また、北朝鮮の核・ミサイル開発について、「北朝鮮はより好戦的で攻撃的になっている。そして、核兵器に焦点を合わせ続けている。北朝鮮は時計が終末に近付いている理由の1つだ」と述べ、強い懸念を示しました。

 さらに、イスラエルとハマスの軍事衝突の影響について、「衝突が地域紛争へとエスカレートし、核保有国や核保有国を目指す国々を巻き込み始める可能性がある。中東で私たちが目にしているのは、より広範な紛争の可能性だ」と述べて、強い危機感を示しました。

 その上で、ブロンソン代表は「終末時計」を巻き戻すためには、核保有国のアメリカと中国、アメリカとロシアの間の真剣な対話が必要だと訴えたほか、「核兵器への依存や投資の拡大、気候変動、AIについて、私たちが声を上げ、指導者たちと話し合う必要がある」と強調しました。

 2024年1月24日(水)

🟧群馬県の新型コロナ感染、18週ぶり「注意報」水準に 新変異型「JN・1」も確認

 群馬県は23日、85カ所の定点医療機関から15~21日に報告された新型コロナウイルス感染症の1医療機関当たりの患者数が前週比6・16人増の14・88人となり、昨年9月以来18週ぶりに10人を超えたと発表しました。増加は4週連続。入院患者も増えており、県は新型コロナ用の病床確保数を増やして対応しています。

 1医療機関当たり10人はインフルエンザの場合、県が「注意報」を発令する水準。県内12保健所別では、利根沼田の37・33人が最も多く、次いで富岡の22・33人、渋川の20・50人でした。社会福祉施設と医療機関での集団感染が、27施設で計391人報告されました。

 県衛生環境研究所は、「冬休みが明けて学校が再開したことや、施設の集団感染が増えたことが影響した可能性がある」と指摘しています。国内で感染が拡大している新たな変異型「JN・1」が、県内でも確認されているといいます。

 厚生労働省が毎週公表している群馬県内の入院患者数は、17日時点で前週比91人増の327人。県は同日、さらなる入院患者の増加に備え、コロナ用に空けておく県内の「即応病床」数をゼロから41床に引き上げました。

 一方、インフルエンザの患者数は1医療機関当たり14・42人で、前週から4・34人増えました。増加は6週ぶり。

 保健所別では、利根沼田の32・00人が最も多く、渋川の22・67人、桐生の21・25人と続きました。保育所や幼稚園、小中学校などの休校、学年・学級閉鎖は17市町村の35校で報告されました。

 2024年1月24日(水)

2024/01/23

🟧牛のげっぷ中のメタンガスを低減する海藻の量産手法を開発 鹿島建設

 ゼネコン大手の鹿島建設の葉山水域環境実験場(葉山町一色)は、牛のげっぷに含まれるメタンガス排出量低減に寄与する海藻「カギケノリ」の量産培養手法を開発しました。

 メタンガスは二酸化炭素(CO2)に次いで、地球温暖化の原因となっている気体です。カギケノリは牛などの反すう動物の餌に混ぜることで、胃の中で発生するメタンガスを抑制する効果を持つ海藻です。今回、カギケノリの形状を自然に近い状態である直立形状から球状に変えることで、人の管理のもと陸上の水槽で安定的に量産できる技術を確立しました。

 牛や羊、山羊(やぎ)、鹿(しか)などは反すう動物と呼ばれ、食べた物を部分的に消化した後に、もう一度口の中に戻して咀嚼(そしゃく)するという食べ方をします。これらの動物は4つの胃を持っていますが、第1胃と呼ばれる胃にいる微生物がメタンガスを作り出し、動物のげっぷを通して大気中に放出されます。

 その量は全世界の温室効果ガスの約4%(CO2換算)を占め、さらにメタンガスの温室効果は、CO2の28倍にもなるため、地球温暖化を引き起こす原因の1つとされています。また、反すう家畜の数は世界的に増加しており、げっぷを通して放出されるメタンガスは今後さらに増えると見込まれるため、その抑制が求められています。

 近年、海産紅藻類のカギケノリを反すう家畜の餌に混ぜて給餌することで、げっぷ中のメタンを低減できることが、研究によって明らかになりました。カギケノリには胃の中のメタンガス生成細菌を減らす物質が含まれ、牛の餌に混ぜることで排出量が最大80%減ったという報告もあります。

 しかし、カギケノリの量産技術はまだ確立されておらず、多くの企業や団体が研究を進めていました。鹿島建設は今後、ほかの機関と連携してカギケノリの大量生産を目指すといいます。

 2024年1月23日(火)

🟧小学校の給食のみそ汁に画びょう混入 鳥取県米子市

 鳥取県米子市の小学校で22日、給食のみそ汁に画びょうが入っているのが見付かりました。児童にけがはなく、米子市は画びょうが混入した原因を調べています。

 米子市教育委員会によりますと、22日、市立彦名小学校で児童が給食を食べていたところ、みそ汁の中に画びょう1個が入っているのを見付け、担任の教諭に知らせました。児童にけがはありませんでした。

 画びょうは直径1センチ、針の長さが8ミリの大きさで、市の学校給食センターの調理室では画びょうを使っておらず、この小学校で掲示物を張る際などに使っている画びょうと同じものだったということです。

 米子市は画びょうが混入した原因を調べています。

 米子市学校給食課は、「安全、安心であるべき学校給食で、このようなことが発生したのは極めて遺憾であり、異物混入の防止にいっそう努める」とコメントしています。

 2024年1月23日(火)

🟧2023年の出生数、過去最少の可能性高まる 1~11月出生数69万6886人

 2023年1~11月に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は前年同期比5・3%減の69万6886人だったことが23日、わかりました。厚生労働省が人口動態統計の速報値(外国人らを含む)を公表しました。

 12月分も同じペースだった場合、2023年通年の出生数は70万人台半ばとなり、過去最少となる可能性が高まりました。

 2024年1月23日(火)

🟧新型コロナ感染の被災者死亡、珠洲市の87歳女性

 能登半島地震の被災者で、新型コロナウイルスに感染した珠洲市若山町の比古咲(ひこさき)きみ子さん(87)が16日に亡くなっていたことが、明らかになりました。1日の地震後、新柄コロナに感染した被災者の死亡が確認されるのは初めてで、災害関連死の可能性があります。避難所では新型コロナや季節性インフルエンザが拡大しており、専門家は対策の徹底を呼び掛けています。

 比古咲さんの長男孝さん(59)によると、比古咲さんは地震後、避難所の珠洲市飯田小に身を寄せていました。肝臓に持病があり、7日に治療のため金沢市内の病院を受診したところ、新型コロナの陽性と診断されて専用病棟に移りました。その後、高熱を出すなどし、9日後に息を引き取りました。

 比古咲さんが入院直前まで過ごしていた飯田小は21日時点で107人が避難生活を送り、同日までに計12人の新型コロナ感染が確認されました。陽性の住民は別室に隔離し、トイレ、食事も別にして、ほかの避難者と接触がないようにしていました。

 現在、感染者以外の避難者が過ごすスペースに間仕切りはないものの、来週以降は屋内にテントを設営するなどして対策を強化します。避難所運営の責任者を務める泉谷信七さん(73)=珠洲市飯田町=は「日赤の助言を受けて対策に当たっている。コロナの感染者は出ているが、拡大はしておらず、しっかり対応していきたい」と語りました。

 孝さんは、「他の避難所に比べて手厚い感染症対策をしてくれたと思っており、関係者には感謝している」と語りました。

 亡くなった比古咲きみ子さんは、地震が発生した1日、ひ孫らと一緒に雑煮を食べるなどして家族団らんを楽しんでいました。昨年12月には孫の結婚式に出席し「次は新しいひ孫の顔を見よう」と話していたものの、かないませんでした。

 孝さんによると、きみ子さんは家族全員がノロウイルスに感染した時もただ1人無事だった「最強ばあちゃん」で、新型コロナの感染が判明した際も「おれに近づくな」と冗談を飛ばすほど元気でした。

 孝さんは、「あれが最後の会話になってしまったが、母には『よう生きてくれた』と声をかけてあげたい」と語りました。

 2024年1月23日(火)

2024/01/22

🟧入院に至らない救急搬送、6月から7700円徴収へ 三重県松阪市

 三重県松阪市は、救急車の出動件数が増加し、必要な人への早期の治療に支障が出ることも懸念されるとして、救急搬送されても入院に至らなかった場合、今年6月から1人当たり7700円を徴収することを決めました。

 松阪市によりますと、松阪地区広域消防組合は、松阪市と多気、明和の2町の人口約19万5000人をカバーしており、2004年に7945件だった救急車の出動件数は、2022年は1万5539件、昨年も1万6180件と2年連続で過去最多を更新しました。2022年の出動件数は、全国27位の多さでした。

 市が2022年4~6月に行った基幹3病院の実態調査によると、平日の昼間に救急搬送された患者で入院した人は50・6%。休日・夜間の場合はさらに37・1%まで下がり、入院に至らない軽症者の利用が目立ちました。

 市は、このままでは必要な人への早期の治療に支障が出ることも懸念されるとして、救急搬送されても入院に至らなかった場合、1人当たり7700円を、今年6月1日午前8時半から徴収することを決めました。

 対象となるのは、入院や手術が必要な患者を24時間体制で受け入れる「二次救急」の松阪中央総合病院、済生会松阪総合病院、松阪市民病院の基幹3病院。

 ただし、かかりつけ医からの紹介状があったり、入院に至らずとも、個別に医師が必要性を認めた場合は徴収の対象外になるということです。

 松阪市健康づくり課は、「このままの状態では、助かる命も助からないことが懸念される。救急車は適切に利用してほしい」と話しています。

 2024年1月22日(月)

🟧劇症型溶血性レンサ球菌感染症、昨年1年間の患者数が過去最多

 手や足の壊死などを引き起こし、死に至ることもある「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」について、昨年1年間に報告された患者の数が過去最多だったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、主に「A群溶血性レンサ球菌」と呼ばれる細菌に感染し、手足の壊死や多臓器不全などが起こる感染症で、症状が急激に悪化して死に至ることもあります。

 国立感染症研究所によりますと、昨年1年間に全国から報告された患者の数は速報値で941人で、これまで最も多かった2019年の894人を上回り、現在の方法で統計を取り始めて以来、最多となったということです。

 30歳以上の大人の患者が多いのが特徴とされ、国立感染症研究所によりますと、昨年7月から12月中旬までに報告された50歳未満の患者、65人を調査したところ、21人が死亡していたということです。

 感染症に詳しい岩手医科大学の元教授の櫻井滋医師は、「感染の初期は、発熱やのどの痛みなど、風邪と見分けがつきにくいが、意識がはっきりしなかったり、皮膚に赤い発疹が出たりするなど、ふだんの風邪と異なる様子があれば、すぐに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2024年1月22日(月)

2024/01/21

🟧重症コロナ肺炎で入院した患者がレジオネラ肺炎で死亡 新潟市民病院、病室の洗面台蛇口からレジオネラ菌を検出

 新潟市民病院(新潟市中央区)は19日、重症コロナ肺炎で入院した女性がレジオネラ肺炎と診断されて死亡し、病室の洗面台蛇口からレジオネラ菌が検出されていた医療事故があったと発表しました。

 新潟市民病院によりますと、患者は新潟市在住の当時70歳代の女性です。2023年10月、重症コロナ肺炎で入院し改善傾向にありましたが、入院10日後ごろから肺炎が悪化、レジオネラ肺炎と診断され、抗菌薬による治療が行われたものの、10月に死亡しました。

 その後の調べで、患者が初期に入院した病室内にある洗面台の蛇口からレジオネラ菌が検出されました。給湯管の末端での湯温の低下と滞留などで菌が増殖し、その水を免疫力が低下している患者の口腔ケアに使ったことで発症したということです。

 病院では、定期的にレジオネラ菌の検査や貯湯槽の点検洗浄を行っていたということですが、病院として安全な療養環境を提供する義務を十分果たしたとはいえないため損害賠償責任があるとしています。すでに遺族にも説明しているということです。また、給湯系統の水温の引き上げなどの対策をとっているということです。

 2024年1月21日(日)

🟧小児がん患者らに国内未承認治療薬の臨床研究開始 国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、子供や若い世代のがん患者に対し、国内で未承認の治療薬を投与する臨床研究を1月から開始しました。海外で使われている薬が、国内で使えるようになるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」の解消につながると期待されています。

 これは国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科の小川千登世科長などの研究チームが19日に発表しました。

 がんの治療では、慢性骨髄性白血病や腎細胞がんなどの原因となる遺伝子に対応した「分子標的薬」の開発が進んでいますが、小児がんは患者の数が少ないため国内での治験が進まず、海外では使われている薬でも国内で使えるようになるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」が課題となっています。

 臨床研究では、標準的な治療法がない0歳から30歳未満のがんの患者を対象に、国内で未承認の5種類の分子標的薬の中から遺伝子検査などで効果が期待できると判定された薬を投与し、4年間で安全性や効果を検証します。

 使われる治療薬は企業から無償で提供を受けるということで、患者は入院や検査費のみを負担すれば参加できるということです。

 小川科長は、「研究に参加してもらうことで治療薬へのアクセスが改善されるが、あくまで次善の策だと考えている。最終的には製薬会社とも連携し、より多くの薬が国内でも承認され使えるようにしていきたい」と話しています。

 2024年1月21日(日)

🟧ブロッコリー、重要な「指定野菜」に格上げ 農水省が50年ぶりに追加

 農林水産省は、消費量が多く国民生活に欠かせない重要な野菜である「指定野菜」にブロッコリーを追加します。現在はキャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、たまねぎ、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ばれいしょ、ピーマン、ほうれんそう、レタスの14品目が指定されており、新規の追加は1974年のばれいしょ以来、50年ぶりです。2026年度から適用します。

 ブロッコリーは、指定野菜に準じる35品目の「特定野菜」となっています。特定野菜から指定野菜への格上げは初めてで、安定的な生産を促すため、価格が著しく下がった場合に生産者に支払われる補助金が現在よりも手厚くなります。

 農水省によると、ブロッコリーの2022年産の出荷量は15万7100トンで、2012年産から28%増えました。総務省の家計調査でも、2人以上の1世帯当たりの購入量が2022年に4850グラムとなり、2012年比で29%増でした。

 農水省は、「出荷量が横ばいか減少傾向にある野菜が多い中、他の指定野菜と肩を並べる規模になった」としています。

 ブロッコリーは北海道や愛知県、埼玉県が主要な産地となっています。大規模な生産者や出荷団体は、農水省に登録すれば補助金の対象となり、国のガイドラインを踏まえて供給計画を作成します。

 2024年1月21日(日)

🟧インフルエンザ患者は横ばい、前週比1・03倍

 厚生労働省は19日、全国約5000の定点医療機関が8~14日に報告した季節性インフルエンザ患者数は6万4027人で、1医療機関当たり12・99人だったと発表しました。前週まで減少が続いていたものの、前週比1・03倍でほぼ横ばいとなりました。

 国立感染症研究所によると、1週間の全国の推計患者数は約52万6000人でした。

 増加したのは23都府県。都道府県別で1医療機関当たりの患者数が多かったのは宮崎

県22・90人、沖縄県22・13人、大分県18・53人。少なかったのは島根県7・29人、北海道7・40人、広島県9・20人。能登半島地震の影響で、石川県の一部の報告は含まれていなません。

 2024年1月21日(日)

2024/01/19

🟧アサヒグループ食品、月経前の気分改善で初の機能性表示食品を発売

 アサヒグループ食品(東京都墨田区)は、月経前の女性が一時的に感じる精神的な不調を軽減する機能性をうたったサプリメント「わたしプロローグ」を、同社公式通販で25日に発売します。同社によると、月経に関する機能性表示食品は日本で初めて。

 同社は乳酸菌飲料「カルピス」に由来する乳酸菌研究から選ばれた「CP2305ガセリ菌」の働きに着目。徳島大との共同研究で、正常な月経周期の女性が、この乳酸菌を100億個含むサプリを約6カ月間摂取したところ、女性ホルモンの分泌量に作用し、月経前特有の一時的な晴れない気分や精神的疲労感、眠気の緩和に役立つことが確認されました。

 1日の摂取目安量は2粒(同菌100億個配合)で、1袋30日分の60粒入り。価格は2210円。担当者は「体の変化を感じやすくなる20~30歳代女性が自分の体調に向き合う切っ掛けになれば」と話しています。

 2024年1月19日(金)

🟧ブタの肝臓を脳死状態の患者につなぎ血液循環、72時間状態安定 アメリカのペンシルベニア大学

 アメリカのペンシルベニア大学などは、遺伝子を操作したブタの肝臓を脳死状態の患者の体につなぎ血液を循環させたところ、72時間にわたって、患者の状態が安定したという研究結果を発表しました。

 アメリカではここ数年、ブタの臓器を移植できないか研究が進められており、人間の臓器の代わりとなるのか、注目されています。

 この研究はアメリカのペンシルベニア大学と、アメリカのバイオ企業「イージェネシス」などが18日、発表しました。

 研究では拒絶反応が起こりにくいよう、遺伝子を操作したブタの肝臓を専用の装置に入れ、脳死状態になった患者の体の外からチューブでつなぎ、血液を循環させました。

 その結果、患者の状態は72時間にわたって安定し、ブタの肝臓が炎症を起こすなどの兆候はみられなかったということです。

 アメリカでは、ここ数年、遺伝子を操作したブタの臓器を人間に移植できないか、研究が進められていて、2021年にはブタの腎臓を脳死状態の患者に移植する試みが行われたほか、2022年には、ほかの治療法で回復が見込めない患者がブタの心臓の移植を受け、約2カ月間、生存しています。

 アメリカでは現在、10万人以上が何らかの臓器移植を待っている状態で、1日に平均17人が死亡しているとされ、ブタの臓器が人間の臓器の代わりとなるのか、注目されています。

 2024年1月19日(金)

🟧新型コロナ、 東京都の感染者が7週続けて増加 神奈川県の感染者は9週連続増加

 東京都内の感染症について、都は18日、1月14日までの1週間の1医療機関当たりの感染者数などを公表しました。

 新型コロナウイルスは5・66人と、前の週の1・67倍となりました。入院患者数は1月15日の時点で1531人と、7週続けて増加傾向にあるということです。

 また、咽頭結膜熱が0・93人で、前の週の1・33倍、インフルエンザは10・11人で、前の週の1・29倍でした。

 主に子供が感染し発熱などの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は2・85人で、前の週の1・91倍でした。

 いずれの感染症も前の週に比べて増えていますが、都は前の週の数値について、医療機関が年始に休診していた影響を受けた可能性があるとしています。

 都は引き続き、咽頭結膜熱については警報を、インフルエンザについては注意報を出して、こまめな手洗いや、場面に応じたマスクの着用など感染対策を呼び掛けています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎については、基準を下回ったとして警報を解除しました。

 一方、新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は18日、県内362カ所の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。8~14日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は6・05人で、前週に比べ2・71人増えました。増加は9週連続。

 報告された患者数は全県で2190人。定点医療機関当たりでは、横浜市が4・73人、川崎市が6・30人、相模原市が6・74人、政令市以外の県域が7・25人でした。17日時点の入院患者数は808人(前週比85人増)で、うち重症者は19人(増減なし)でした。

 また、同期間の季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が11・96人で、前週に比べ4・19人増加しました。

 報告された患者数は全県で4328人。定点医療機関当たりでは横浜市が10・31人、川崎市が13・95人、相模原市が12・18人、政令市以外の県域が12・83人でした。

 2024年1月19日(金)

🟧新型コロナ感染者、8週連続増加 厚労省「定期的な換気を心掛けて」

 厚生労働省は19日、全国約5000の定点医療機関から8~14日に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数は計4万4178人で、1医療機関当たり8・96人だったと発表しました。前週比1・29倍で、8週連続で増加しました。能登半島地震の影響で、石川県の一部の報告は含まれていません。

 厚労省の担当者は、「寒い日が続き、暖房器具を使用する機会が多いと思うが、定期的な換気を心掛けてほしい」と話しました。

 1医療機関当たりの感染者数は、43都道府県で増えました。多かったのは岐阜県14・29人、茨城県14・21人、愛知県14・17人。少なかったのは福井県4・31人、青森県5・46人、東京都5・66人など。石川県は10・48人でした。

 全国約500の医療機関から報告された新規入院患者数は2846人で、前週比1・21倍。入院患者も増加しています。

 2024年1月19日(金)

2024/01/18

🟧資生堂、新ブランド初商品を発売 美容効果のドリンクやサプリ

 資生堂は18日、食事などで体の内部から美容効果を得る「インナービューティー」の新ブランドを立ち上げると発表しました。第1弾として食品大手カゴメ、漢方薬大手ツムラの2社と連携した新商品を発売します。商品拡充も視野に入れ、2030年ごろに数百億円の売上高を目指すといいます。

 ブランド名は「シセイドウ ビューティー ウエルネス」で、カゴメと提携した飲料2品目、ツムラと提携したサプリ5品目を2月1日から展開します。

 カゴメと開発した飲料の名称は「ルーティナ」。野菜や果実を多く取り入れており、朝や夜に飲むと「体内時計」を整えるとうたっています。参考小売価格はいずれも1本334円。 ツムラと開発したサプリ「チューンボーテ」はツムラの持つ漢方の技術を生かし、体の調子をサポートします。参考小売価格は約2週間用で3456円。

 また、資生堂の美容ドリンク「ザ・コラーゲン」をリニューアルし新ブランドで展開します。

 商品の発売に合わせて、オンライン販売サイトを開設します。消費者がパソコンなどのカメラで自分の顔を撮影し、鼻の骨格や自分の肌の特徴からお薦め商品を表示する無料サービスも展開します。実店舗での販売はまずは一部の化粧品専門店とし、段階的に広げます。

 資生堂がインナービューティー事業を本格的に手掛けるのは初めて。少子化などで国内の化粧品市場が中長期的に成熟しつつある中、非化粧品分野を広げます。

 資生堂の赤尾一成事業部長は、「インナービューティーの世界をしっかり拡張し、2030年には数百億円の売上高にしたい」と話しました。

 2024年1月18日(木)

🟧京都第一赤十字病院、手術の説明や診療記録で不適切対応 京都市が改善求める行政指導

 患者に対する手術の説明や診療記録の取り扱いが不適切だったとして、京都市が18日までに、東山区にある京都第一赤十字病院に対し、改善を求める行政指導をしていたことが明らかになりました。対象となった3件のほか、手術後に患者が死亡するなどした事例が複数あるとし、市は3月までに再検証した上、改めて報告するよう求めています。

 市によると、いずれも同病院の脳神経外科で確認されました。2020年に行われた脳腫瘍の手術を巡っては、予定外の再手術となったことを家族に説明した記録がありませんでした。同年、手術後に死亡した別の患者の死亡診断書には、「手術なし」と事実と異なる記載をしていました。また、2021年には、研修医の医療処置を受けた患者が死亡したものの、遺族には処置を施した説明をしていなかったといいます。

 市は外部からの情報提供を受け、昨年10月から医療法に基づく立ち入り検査を3回行いました。病院は脳腫瘍の再手術が行われた患者について、「医療事故という認識はあった」と市に説明しました。一方、院内の医療安全管理委員会には適切に報告されなかったといいます。また、患者が死亡したにもかかわらず、最も低い評価として報告された例もありました。

 市には3人の患者以外にも、2019~2021年にかけて手術後などに9人が死亡し、ほかにも3人の患者で不適切な対応があったとの情報が寄せられており、病院に再検証を要請しています。

 京都第一赤十字病院は、「市からの病院運営に関する指導を真摯(しんし)に受け止め、適切に対応していきたい」とコメントしています。

 2024年1月18日(木)

🟧緊急避妊薬が必要な未成年を支援、看護師などが医療機関へ同行  東京都が春から開始

 意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を必要とする若者を支援しようと、東京都は2024年春から、都の相談窓口にいる看護師などが医療機関に同行する取り組みを始めることにしています。

 この取り組みは、中学生以上の10歳代を対象に体や性に関する相談を受け付けることを目的に都がすでに設置している「とうきょう若者ヘルスサポート」、通称「わかさぽ」が行います。

 「わかさぽ」にはこれまでに「予期せぬ妊娠をしたかもしれない」などの相談が寄せられていて、都は、こうした悩みを抱える若者への支援を拡大しようと取り組みの実施を決めました。

 具体的には、この春から「わかさぽ」に相談した未成年女性のうち、避妊の失敗や、性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」が必要な場合に、相談員の看護師などの専門職が医療機関に同行することにしています。

 都の担当者は、「不安や悩みを抱えた方が一人で抱え込むことがないように若者のセーフティーネットになりたい」と話しています。

 2023年1月18日(木)

🟧歯周疾患検診の対象に20歳と30歳追加へ 4月以降、若年層患者増加で厚労省

 全身の病気リスクに影響する歯周病の患者が若年層でも増えているのを受け、厚生労働省が4月以降、健康増進法に基づく自治体の歯周疾患検診の対象年齢を拡大し、20歳と30歳を追加する方針であることが18日、明らかになりました。切れ目のない歯科検診体制を整えて早期治療を促し、健康寿命の延伸につなげます。

 現行は、乳幼児期と学齢期はそれぞれ母子保健法と学校保健安全法に基づき、歯科検診が実施されています。歯周疾患検診は40歳から10歳ごとに70歳までが対象で、75歳以上は高齢者医療確保法による検診があります。20、30歳代は国費の検診が手当てされていません。

 2022年の歯科疾患実態調査によると、歯周病が進行した状態の4ミリ以上の歯周ポケットがある人は15~24歳で17・8%、25~34歳で32・7%と、2005年調査に対していずれも10ポイント以上増えました。

 高齢者だけでなく若年層にも歯周病の増加がみられることから、2024年度以降の自治体の歯周疾患検診は、40歳以上と同様に20歳と30歳についても国が費用を補助します。

 2024年1月18日(木)

2024/01/17

🟧国内の海藻・海草が炭素36万トン吸収 「ブルーカーボン」世界初算定、国連に報告へ

 政府は、2022年度に国内の海の海藻・海草に吸収・固定された二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」を約36万トンと算定し、国連に報告する方針を固めました。今後、国内で排出された温室効果ガスの量から差し引いて、実質排出量を算出します。海藻・海草による吸収量を算定したのは世界で初めて。

 地球温暖化対策として各国は、人類の活動による排出量から、植物の光合成などによる吸収量を差し引いた実質的な排出量を算出し、将来の削減目標を策定しています。日本は実質排出量を2030年度に2013年度比で46%削減、2050年までにゼロとする目標を掲げ、最新の数値を国連に毎年報告しています。

 各国は、植物のうち、海藻・海草による吸収量については算定方法が確立されていないなどの理由で、国連に報告していません。そこで政府は、ワカメやアマモなど海藻・海草の種別の吸収量と沿岸部の藻場面積を基に国内全体の吸収量を算定する方法を考案。2022年度は、一般家庭約14万世帯分の年間排出量に相当する約36万トンと算定しました。1月22日の有識者らによる環境省の検討会で正式に確定します。

 国内で2021年度に植物が吸収したCO2量4760万トンのほとんどは、森林が吸収源。森林は今後、老化で吸収量が減退する見通しで、吸収量全体に占めるブルーカーボンの割合は2030年に1割に達するとの試算もあります。環境省は、「海に囲まれた地形をいかし、藻場の造成などブルーカーボンを活用した脱炭素化に努めたい」としています。

 2024年1月17日(水)

🟩スーパー中和抗体、オミクロン型にも効果 富山大などが改良に成功

 富山大と富山県衛生研究所などの研究チームは16日、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液を基に作った「スーパー中和抗体」を、オミクロン型に対しても感染予防効果を持つよう改良することに成功したと発表しました。分子シミュレーション解析の技術を活用したもので、この技術を今後の広範な変異型にも応用することを目指します。

 スーパー中和抗体は、ウイルスの特定の部分に結合して人などの細胞への侵入を防ぎ、感染を予防します。これまでの研究では、オミクロン型に対しては感染予防効果が落ちることが報告されていました。同チームは今回、分子シミュレーション解析を用いて抗体内のウイルスとの結合箇所を変異させ、オミクロン型にも効果を持つよう改良しました。

 今回の手法を使えば抗体医薬品の改良設計が1カ月程度で可能になるといい、今後の広範な変異型にも迅速に対応できるといいます。

 成果は16日付けの国際学術雑誌に掲載されました。同チームは、「今後同様の事例を積み重ねることで分子シミュレーション解析での予測精度の向上が見込まれ、ウイルスの非常に素早い変異速度を超えて、対抗できる中和抗体開発が進むことが期待される」としています。

 2024年1月17日(水)

🟧サワイグループホールディングス、アメリカの後発薬事業から撤退 台湾企業に譲渡

 ジェネリック医薬品(後発医薬品)大手の沢井製薬の親会社サワイグループホールディングスは17日、後発薬を手掛けるアメリカ子会社のアップシャー・スミス・ラボラトリーズなどを、台湾の医薬品メーカーのボラ・ファーマシューティカルズに譲渡すると発表しました。アメリカ事業から撤退し、品質不正で揺らぐ日本国内の後発薬事業に経営資源を集中させ、立て直しを急ぎます。

 サワイグループホールディングスは、アメリカ子会社の株式80%を3月末に約227億円で譲渡するなど、最大で約300億円を受け取る予定。アメリカ子会社の株式20%を保有していた住友商事も同様に売却します。

 サワイグループホールディングスは、2017年にアメリカ市場に進出したものの、競合他社の増加や価格競争の激化に見舞われ、2022年3月期にはアップシャー・スミス・ラボラトリーズの減損などで282億円の最終赤字になるなど業績が悪化していました。

 2024年1月17日(水)

🟧世界の喫煙者、2030年には12億人下回る WHOが推計を発表

 世界保健機関(WHO)は16日、世界中の15歳以上の喫煙者が2022年に12億4500万人おり、2030年には12億人を下回るとの推計を発表しました。2000年の13億6200万人から減少が続いています。

 WHOは「近年のたばこ規制でよい進展がみられる」と評価し、公衆衛生向上のため各国政府にさらなる規制を呼び掛けました。

 推計によると、15歳以上の人口に対する喫煙者の割合も、2022年の20・9%(男性34・4%、女性7・4%)から、2030年には18・1%(男性30・6%、女性5・7%)に減る見通しです。

 地域別では、2022年で東南アジア地域事務局管内が最も高い26・5%。ヨーロッパ地域事務局管内(旧ソ連諸国やトルコを含む)が25・3%と続きます。ヨーロッパでは女性喫煙者の割合がほかの地域よりも高く、減少する勢いも小さいといいます。

 調査対象は加熱式を含む紙巻きたばこや葉巻、無煙たばこなどで、化学物質が入った液体を蒸気化して吸う「電子たばこ」は除外されています。

 2024年1月17日(水)

2024/01/16

🟧老化抑える脳内の神経細胞を特定、マウス実験で寿命延長にも成功 アメリカのワシントン大

 老化を抑える働きを持つ脳内の神経細胞をマウス実験で特定したと、アメリカのワシントン大学の今井眞一郎卓越教授(老化学)らの研究チームが発表しました。この神経細胞を操作して老化を遅らせ、寿命を延ばすことにも成功しており、5年以内に人での臨床応用を目指すといいます。論文はアメリカの科学誌「セル・メタボリズム」に8日付けで掲載されました。

 研究チームは、哺乳類の視床下部にある「Ppp1r17神経細胞」に注目しました。遺伝子操作でこの神経細胞の働きを強化したところ、何も操作しなかったマウスより寿命が7~8%延びました。運動量も通常の1・5~2倍に増加したといいます。

 この神経細胞は脂肪細胞を刺激し、老化を抑える働きがある「 eNAMPT(イーナムピーティー )」という酵素を分泌させます。加齢とともにこの神経細胞の働きが衰え、老化が進むと考えられるといいます。

 今井卓越教授は、「人間でも同様の仕組みがあるか確かめ、抗老化の治療法の実現に向け、研究を進めたい」と語っています。

 理化学研究所の影山龍一郎・脳神経科学研究センター長(神経発生学)は、「特定の神経細胞が、寿命にこれほど影響することが示されたのは驚きだ。仕組みの解明や人での研究が進めば、老化研究は大きく進展する」とコメントしています。

 2024年1月16日(火)

🟧新型コロナ後遺症、発症者の7割が女性 症状は倦怠感が最多

 新型コロナウイルスの後遺症を発症する人の約7割は女性であることが、後遺症専門外来を設置する医学研究所北野病院(大阪市)を受診した320人のデータから判明しました。

 医学研究所北野病院の調査によると、後遺症を発症した患者のうち、女性は68・8%で男性は31・2%と、女性が多くなりました。

 主な症状は、「倦怠(けんたい)感」が最多で、「思考力と集中力の低下」、「軽い活動や運動後に数時間から3日以内の激しいだるさ」、「不眠」が続きました。

 年齢の中央値は45歳で、体格指数(BMI)の中央値は23・8。普通体重(18・5~25未満)に分類されるものの、やや肥満寄りでした。

 新型コロナを発症した際に入院した人の割合は12・5%にすぎず、症状の重さと後遺症の発症には関連性が乏しいとみられます。

 アメリカのワシントン大学の研究者らが2022年10月にアメリカの医師会誌に公表した論文では、アメリカやドイツ、イタリアなど22カ国の120万人を分析した結果、女性のほうが後遺症を発症しやすく、20~40歳代に多かったとまとめました。発症のピークは男女とも20歳代でした。医学研究所北野病院の調査と似たような傾向を示しています。

 世界保健機関(WHO)は後遺症を「発症から3カ月後に2カ月以上の症状がある」と定義しています。体内の炎症が後遺症の原因とみられ、炎症の原因として体内にウイルスが残る持続感染や再活性化が指摘されています。

 昨年2月に公表された横浜市立大学病院の論文は、日本やアメリカ、スイス、ノルウェーなどの7万4690人のデータを解析した結果、オミクロン型感染者のうち後遺症患者の定義に当てはまる人は11%に上ると明らかにし、後遺症に苦しむ人が多くいることが浮き彫りになっています。

 医学研究所北野病院で後遺症患者を治療する丸毛聡医師は、「治療を続けても完全に治らない人もおり、仕事復帰に支障を来すなど社会問題になっている。新型コロナのワクチン接種の拡大や、治療薬の登場で、後遺症の発症は以前より減ってきている印象だが、ゼロにはなっておらず注意してほしい」と呼び掛けています。

 国の後遺症診療手引の編集委員で、愛知医科大学の牛田享宏教授も、「後遺症の患者は、血液データなどから明確な異常がみえにくいことが多いため、治療法の選択がむずかしい。症状も多様で、根本的な治療法は確立していない」と説明した上で、「後遺症を抱えながら、仕事や社会活動に復帰するため、時短勤務や産業医の支援などが必要だ。社会復帰できないと、さらに症状が悪化するという悪循環に陥りかねない」と話しました。

 2024年1月16日(火)

🟧神奈川県の昨年の交通事故死者、過去2番目に少ない115人

 神奈川県警交通総務課は、県内で昨年発生した交通事故による死者数が115人だったと発表しました。統計が残る1948年以降で最少だった2022年より2人多く、過去2番目に少なくなりました。

 交通総務課では、「引き続き、取り締まりや啓発活動を強化し、今後さらに減らしていきたい」としています。

 事故の形態別では、二輪車の乗車中が41人(前年比14人増)に上り、このうち単独事故が16人(同10人増)でした。ツーリング中の事故が目立つとして、交通総務課の担当者は「スピードを出し過ぎず、技量に応じた運転をしてもらいたい。安全性の高いフルフェースなどのヘルメットを正しくかぶり、胸や腰にはプロテクターを着けてほしい」と呼び掛けています。

 自動車の乗車中が14人(前年比5人減)、自転車の乗車中が12人(同1人増)でした。

 一方、歩行中に死亡した人は前年から8人減って48人で、中でも横断歩道を渡っているケースは前年から6人減の8人でした。県警は横断歩道前での一時不停止の取り締まり強化や白線の塗り直しを進めています。

 昨年の交通事故の発生件数は2万1869件(同771件増)、負傷者数は2万5611人(同1229人増)でした。

 2024年1月16日(火)

🟧無印良品、電気ケトル1万3259台を自主回収 熱湯がこぼれる恐れ

 良品計画は16日、無印良品などで販売していた電気ケトル1万3259台を自主回収すると発表しました。本体の上部と下部の接着部分が外れて、熱湯がこぼれる恐れがあるため。昨年末、購入者から「接着部分が外れて軽度のやけどを負った」との指摘があったといいます。

 自主回収するのは2014年3月~1215年1月に製造されたもの。型番がMJ―EK5Aで、製造番号がDR4C191、DR4D172、DR4J073、DR4L013、DR5A063。税込み5500円で2014年4月に発売し、現在は販売終了しています。

 購入者には返金するといい、無印良品の店舗へ持ち込むか、ウェブから回収を申し込みます。問い合わせは、同社お客様相談室(0120・64・0433)へ。

 2024年1月16日(火)

🟧グラクソ・スミスクライン、RSウイルスワクチン発売 60歳以上対象

 イギリスのグラクソ・スミスクライン日本法人は15日、60歳以上向けのRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」を発売したと発表しました。日本では初めての高年齢成人向けのRSウイルスワクチンとなります。同日以降、順次接種ができるようになります。

 RSウイルスはほとんどの人が、幼いうちに一度は感染します。免疫の働きが低下した高齢者や基礎疾患のある人が感染した場合、肺炎などを起こして重症化するリスクが高くなります。日本では60歳以上の人について、年間約6万3000人の入院と4000人程度の死亡につながるとの推計もあります。

 アレックスビーは2023年5月に世界で初めてアメリカで承認されヨーロッパ(EU)、イギリス、カナダでも承認されました。日本では2022年10月に同社が承認申請し、2023年9月に厚生労働省から承認を取得していました。同社は現在、高リスクの50歳以上への適応拡大も申請しています。

 RSウイルスワクチンはアメリカのファイザーも申請中で、「アブリスボ筋注用」の製品名で母子免疫を対象に近く承認される見通し。アブリスボは60歳以上への適応拡大も申請しています。

 2024年1月16日(火)

2024/01/15

🟧新型コロナ医療費、4月から負担増 国内初確認4年、流行第10波も

 新型コロナウイルスの感染者が国内で初確認されてから15日で4年となった。冬に入って新たな変異型ウイルスが急増し、流行「第10波」が立ち上がりつつあります。一方で、ワクチンは4月から有料となり、治療薬代や入院費の公費支援も3月末で終了する方向です。厚生労働省は季節性インフルエンザなどと同じ通常の医療体制への移行を目指しており、新型コロナの医療費の自己負担は増える見通しです。

 厚労省によると、全国約5000の定点医療機関が1月1~7日に報告した新型コロナの新規感染者数は計3万4035人で、7週連続で増加し、流行の波が拡大しつつある状況です。感染症法上の位置付けが5類に移行した2023年5月より前の参考データと比べると、第8波が始まりつつあった2022年10月の水準です。

 流行規模が見通せない中で、無料でワクチンを打てる「特例臨時接種」は終了し、4月からは65歳以上の高齢者らを対象にした定期接種となることが決まっています。秋から冬に年

1回実施し、最大7000円程度の自己負担となる見込みです。

 対象外の人は任意接種となるため、負担額は増えそうです。

 2024年1月j15日(月)

🟧中国の衛生当局、新型コロナの感染再拡大を予想 新変異型「JN・1」が主流

 中国の衛生当局は、新型コロナウイルスの感染が今月、国内で再び拡大する可能性があるとの見方を示しました。世界で感染が広がっている新たな変異ウイルス「JN・1」が勢いを増し、中国でもコロナ感染の主流になるとみています。

 中国疾病予防管理センターは14日の記者会見で、年明け以降の新型コロナの感染状況について、病院での陽性率が1%以下で「低いレベルにとどまっている」との分析を示しました。

 一方、世界で感染が広がっている新たな変異ウイルス「JN・1」については、「増加傾向を示している」と指摘しています。

 その上で、「JN・1」が継続的に中国に流入するほか、集団免疫力の低下など複数の要因によって、「新型コロナの感染が今月、再び拡大する可能性があり、JN・1が中国における主流な変異ウイルスになる」との見通しを示しました。

 中国では来月10日から旧正月「春節」の大型連休を控えており、中国疾病予防管理センターは「大規模な人の移動や集まりによって、呼吸器疾患のまん延が加速する可能性がある」と指摘しています。

 中国は昨年1月に厳格な「ゼロコロナ」政策を終了後、日ごとの感染状況の発表を取りやめ、最近は月に1度だけ発表しています。足元の詳しい流行状況は不明です。

 同センターは今月10日に昨年12月のコロナ感染状況を発表し、全土で重症が88人、死亡が11人だったとしました。1日当たり23万~36万人が発熱外来を受診したといいます。

 2024年1月15日(月)

2024/01/14

🟧iPS細胞を活用し糖尿病治療法を共同開発 京大発リジェネフロとアラブ首長国連邦の研究所

 京都大学発スタートアップのリジェネフロ(京都市)は11日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用して糖尿病の治療法を開発する共同研究契約をアラブ首長国連邦(UAE)の研究機関などと結んだと発表しました。中東地域で多いとされる糖尿病に対し、患者負担が小さく低コストな治療法の普及を目指します。

 契約を結んだのは、リジェネフロとUAEの細胞医療の研究機関であるアブダビ幹細胞センター(アブダビ・ステム・セルズ・センター)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の3者。発症のメカニズムが異なる1型、2型糖尿病について、個別に治療法を開発します。

 2型糖尿病は肥満の人に多くみられ、血糖値を下げるインスリンが膵臓(すいぞう)の細胞から出づらくなるなどして発症します。こうした細胞の機能低下を抑える低分子医薬品を開発します。iPS細胞から膵臓細胞をつくって多数の薬剤を試し、効果が高いものを探します。

 膵臓の細胞が壊れてしまう1型糖尿病に対しては、iPS細胞から細胞を作って補充する治療法を開発します。iPS細胞を遺伝子改変し、免疫抑制剤を使わずに補充できるようにします。免疫抑制の副作用や生活の質低下を避けられる可能性があります。

 1型糖尿病の根治療法は膵臓移植ですが、臓器の提供者(ドナー)が不足しています。ほぼ無限に増やせるiPS細胞から機能の高い膵臓細胞を作製できれば、多くの患者を根治できる可能性があります。

 中東地域では、肥満や糖尿病の患者が多いとされます。世界保健機関(WHO)の2016年の報告によれば、UAEでは過体重の人が人口の7割を占め、糖尿病患者は8%います。サウジアラビアでは、糖尿病患者は14%に達します。

 2024年1月14日(日)

🟧正月用の冷凍おせちで81人が食中毒 関東5都県の高齢者施設12カ所で

 4日午後、徳島保健所に、徳島市北沖洲2丁目の総菜製造業「エイブルフーズ」から「冷凍おせちを販売したグループホームなどの施設で体調不良者がいる」と連絡がありました。

 その後の調査で、同じ業者が製造した「冷凍おせち」を食べて、下痢や嘔吐などの症状が出た高齢者関連施設が、5都県に12施設あることがわかりました。

 12日午前現在、対象の施設は、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県にある計12施設で、症状が認められた入所者と職員は42歳~100歳の計81人に上ることがわかりました。

 このうち、23人の便からノロウイルスが検出されているということです。入院した人はなく、いずれも快方に向かっているといいます。

 徳島保健所は、12月11日と12日に製造された冷凍おせちが原因と断定しました。

 同日に製造されたおせちは、5都県と群馬県の関東6都県で計480個販売されたということです。

 おせちは、有頭海老や豚角煮、合鴨ロース、昆布巻、黒豆、きんとん、伊達巻、なますなどのメニューでしたが、保健所は「製造から通報までおよそ1カ月経過しており原因は

わからない」としています。

 県は、エイブルフーズを1月12日から18日まで7日間の営業停止の処分としました。

 2024年1月14日(日)

2024/01/13

🟧筋ジストロフィーの一種で症状改善の可能性 山口大学が既存薬を転用

 全身の筋肉が委縮する難病、筋ジストロフィーの患者に感染症などの治療に使われる薬を投与する臨床試験を行ったところ、患者の症状を改善できる可能性が示されたと山口大学などの研究チームが発表しました。

 筋ジストロフィーの一種で、国内に1万人を超える患者がいるとされる筋強直性ジストロフィーは、細胞でタンパク質がうまく作られず、全身の筋力の低下などを起こす進行性の難病で、根本的な治療法はありません。

 山口大学などは、ほかの病気に使われている治療薬からこの病気に有効なものを探そうと感染症などの治療に使われる抗生物質「エリスロマイシン」に注目し、有効性や安全性を確認するための臨床試験を行いました。

 患者30人を、薬を投与するグループと投与しないグループに分け、4年前から2年半にわたってタンパク質を作る機能を調べた結果、投与したグループでは検査の数値が改善したということです。

 このことから、研究チームは、患者の症状も改善できる可能性が示されたとしています。

 薬の投与による重篤な副作用もなかったということで、今後、患者数を増やして最終段階の治験を行い、実際に症状の改善がみられるか確認し、根本的な治療薬の開発につなげたいとしています。

 山口大学の中森雅之教授(臨床神経学)は、「世界初の治療薬として患者からの期待は高く、安全性と有効性が確認できてほっとしている。治療薬につながるよう今後も開発を続けたい」と話しています。

 治験の結果をまとめた論文は昨年12月、イギリスの医学系学術誌に掲載されました。

 2024年1月13日(土)

🟧大腸がん手術の技術向上へ、シミュレーターを共同開発 イービーエムと国立がん研究センター

 医療従事者の技能を磨く訓練機器の開発・製造を手掛けるイービーエム(東京都大田区、研究拠点・福島市)は12日、国立がん研究センターと共同開発した大腸の内視鏡外科手術シミュレーター「COLOMASTER(コロマスター)」を発表しました。

 コロマスターは大腸がんの手術などで行われる「腹腔(ふくくう)鏡下結腸右半切除術」の訓練に用います。腸間膜や腹膜などの膜組織、胃や膵臓、腎臓などの周辺臓器、動脈、静脈の配置を1ミリ単位で再現しました。腹腔の構造は複雑で同様の訓練モデルはこれまでありませんでした。

 ポリエステルなどの化学繊維を用い、ゾル化素材を染み込ませることで内臓の質感を再現しました。人体構造の把握や内視鏡カメラを使用した場合の視野の展開、膜状組織を剥離する手技など、大腸がん手術の全工程を実際の医療機器を使って体験できます。

 大腸がんの外科手術の訓練は動物で行われ、1回の訓練費用が100万円を超えるなどの課題がありました。コロマスターは1体約20万円で販売します。安価かつ軽量で、どこでも訓練ができます。製品の活用により、外科医の専門的技能向上への貢献が期待されます。

 大腸がんの患者数は近年、増加しています。国立がん研究センターによると、2019年の大腸がんの罹患(りかん)者は15万5625人で、がんの部位別で最多。コロマスターは手術用のロボットを開発する上で、機能を評価する製品としての活用も期待されています。すでに大手医療機器メーカーからの引き合いもあり、今年は約2000個の生産を見込んでいます。

 2024年1月13日(土)

🟧北海道の赤ちゃんポストで新生女児を一時受け入れ 児相が保護し医療機関に搬送

 北海道当別町で自称「赤ちゃんポスト」を運営する施設で今月、出産直後の母親から新生児の預け入れ要請があり、女児を一時受け入れたことが13日、わかりました。施設によると、女児は児童相談所が保護し、その日のうちに医療機関に搬送されました。現時点で健康上の問題はないとしています。

 運営者の坂本志麻さん(49)によると、今月上旬、母親からLINE(ライン)で連絡があり対面。母親が独りで出産後「1日未満」で、母子を救急搬送しようとしたものの母親は断りました。複雑な事情を抱え、自分で育てられないと考えていたといい、施設側で児相などと連絡を取り、預かった女児を搬送しました。

 施設は2022年5月に開設。2023年2~3月、女児2人を受け入れたものの、先天性の病気を患う1人が必要な医療ケアを受けられず入院し、回復後、坂本さんに親権がないため引き取れない問題が一時生じました。

 2024年1月13日(土)

🟧観測史上最も暑い年となった昨年より、今年はさらに暑くなる可能性 エルニーニョ現象の影響で

 世界気象機関(WMO)は12日、今年はエルニーニョ現象の影響で、過去最高を大幅に上回り、観測史上最も暑い年となった2023年より、さらに暑くなる可能性があると警鐘を鳴らしました。

 WMOによると、2023年の世界の平均気温は産業革命前(1850~1900年)の水準よりも約1・45度高くなりました。特に7月と8月は観測史上最も暑い2カ月間でした。

 WMOのセレステ・サウロ事務局長は、「2023年半ばまでに、寒冷化をもたらすラニーニャ現象から温暖化をもたらすエルニーニョ現象に切り替わったことが、気温上昇に明らかに現れている」とし、「エルニーニョ現象が通常、ピークを迎えた後に世界の気温に最も大きな影響を与えるのを考えると、2024年はさらに暑くなる可能性がある」と述べました。

 アメリカ海洋大気局は、今年の気温が昨年より上昇する確率は3分の1で、暑い年の上位5番目までに入る確率は99%だと予測しています。

 アメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙科学研究所所長で気候学者のギャビン・シュミット氏は、「(昨年より)暑くなるか若干涼しくなるかは五分五分だ」とさらに高い確率を示した上で、地球の気候システムに「不可解な」変化の兆しがあるが、断定するにはデータ不足だと述べました。

 2024年1月13日(土)

🟧新型コロナ感染者の報告数、岐阜県が全国最多 新変異型「JN・1」が増加傾向

 新型コロナウイルスの岐阜県の感染状況は、1月7日までの1週間で1医療機関当たりの平均患者数が15・23人と、全国の都道府県で最も多くなりました。

 季節性インフルエンザの平均患者数も全国で3番目に多くなっており、岐阜県は「場面に応じた基本的な感染対策や体調管理をしてほしい」と呼び掛けています。

 厚生労働省によりますと、1月7日までの1週間に全国の医療機関から報告された新型コロナの患者数は7週連続で前の週より増加し、1医療機関当たりの平均患者数は6・96人でした。

 一方、岐阜県は1医療機関当たりの平均患者数が全国平均の2倍を超える15・23人で、昨年8月以来約5か月ぶりに全国の都道府県で最も多くなりました。

 また、同じ期間のインフルエンザの平均患者数は20・82人と4週間ぶりに増加し、全国の都道府県では3番目に多くなっています。

 古田肇知事は、新型コロナの変異型の状況について、全国と同様にオミクロン型の派生型「EG・5」系統が引き続き主流となっている一方、新変異型「JN・1」の増加傾向がみられるとし、「今後、感染力の強い危険因子が発生する可能性もあり、油断できない状況」と懸念を示しました。

 岐阜県は、「コロナ禍以降、初めて行動制限のない年末年始となり感染が拡大したとみられる。重症化のリスクが高い高齢者と接する際はより慎重に対応するなど、場面に応じた基本的な感染対策や体調管理をしてほしい」としています。

 また、12日夜に県庁で感染症対策の専門家会議を開き、感染状況の分析や今後の対策などを話し合うことにしています。

 2024年1月13日(土)

🟧無資格レーザー脱毛で年間収益数千万円か、院長逮捕の島田市のクリニック

 医師ではない無資格者がレーザー機器で脱毛施術をしたなどとして、静岡県島田市中溝町の、あらなみ皮膚科アレルギー科クリニックの院長の医師、荒浪暁彦容疑者(59)=静岡市葵区呉服町1=ら3人が静岡県警に医師法違反容疑で逮捕された事件で、同クリニックが違法な脱毛施術だけで年間数千万円の収益を上げていたとみられることが11日、明らかになりました。院長の男の指示の下、賃金面などで大人数雇いやすいエステティシャンらに施術を任せる運営体制を長年続け、近隣地域から多くの患者を受け入れてきたとみて、島田署と県警生活保安課が実態を解明します。

 複数の関係者によると、同クリニックは2010年に始めた脱毛施術で繁盛していたことで知られ、患者は約1200人に上るとみられます。エステティシャンは施術ごとに追加報酬も得ていました。人手が限られる医師や看護師ではなく、比較的確保しやすい職種の従業員らに担わせることで、稼働率などを上げてきた可能性があります。

 ほかに逮捕されたのは、いずれも同クリニックの元エステティシャンで自称無職の女(46)=藤枝市田沼=、アルバイト従業員の女(33)=島田市御請=の両容疑者。逮捕容疑は共謀して2021年4月ごろから2023年1月ごろまでの間、同クリニックで元エステティシャンの女とアルバイト従業員の女の両容疑者が患者計7人に医療行為である脱毛施術をした疑い。県警によると、院長の男は施術前後の診察も行っておらず、腕などにやけどを負った患者は複数いるとみられます。

 県医療政策課によると、県内診療所には保健所などが原則3年に1回、調査で立ち入るものの、従業員数や医療機器・薬品の管理方法、衛生面などが対象。「医療行為を行う人物を特定できる調査ではない」としています。

 同署などは11日、3容疑者を医師法違反容疑で静岡地検に送致しました。

 事件があった島田市中溝町の、あらなみ皮膚科アレルギー科クリニックは、脱毛施術などを担っていた美容部門を昨年9月末で廃止し、今回の事件対象ではない皮膚科保険診療も同10月から休診しています。

 同市健康福祉部の宮地正枝部長は、「市民から皮膚科医院が少ないという声があった中での休院。参入を希望する医院を待つしかない」と打ち明けます。

 市内で診療科目に皮膚科を掲げる医院は他に3カ所ありますが、専門的に患者を受け入れているのは同市大川町の伊藤医院のみ。同医院では、事件があったクリニックが休診した影響で昨年11月の患者数が前年同月比約400人増えたといいます。伊藤宗成院長は「今はまだ対応できているが、例年患者数が増加する夏場が不安」と漏らしています。

 市によると、現時点で市内に新たな皮膚科医院が開業する予定はなく、宮地部長は「皮膚科は元々患者数が多い。市民のため体制を整えたい」と話しました。

 2024年1月13日(土)

2024/01/12

🟧インフルエンザ患者、前週比0・58倍で4週連続減 石川県は1医療機関当たり12・84人

 厚生労働省は12日、全国約5000の定点医療機関が1~7日に報告した季節性インフルエンザ感染者数は6万1918人で、1医療機関当たり12・66人だったと発表しました。前週比0・58倍で4週連続の減少となりました。

 国立感染症研究所によると、全国の推計患者数は約48万7000人でした。直近5週間で検出されたウイルスはA香港型と呼ばれるAH3型が57%、2009年に新型として流行したAH1型が35%。

 増加したのは岐阜と沖縄の2県。都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多かったのは宮崎県26・05人、茨城県22・34人、岐阜県20・82人。少なかったのは神奈川県7・77人、東京都7・83人、栃木県7・97人。

 能登半島地震で大きな揺れを観測した石川県の、1月7日までの1週間の1医療機関当たりインフルエンザ感染者の数は、前の週より減少していますが、「注意報レベル」の10人を超えています。また、地震の影響で正確な感染者数の把握が難しくなっている地域もあり、専門家は、避難所で症状のある人を実際に数えるなど、さまざまな手法を組み合わせて感染者動向の把握に努めてほしいとしています。

 石川県では、地震の影響で、調査の対象となっている医療機関のうち、能登北部の6カ所すべてと、能登中部の1カ所で、インフルエンザなどの感染者数の報告が困難になっています。

 このため、震度6強を観測した輪島市、珠洲市、穴水町、震度6弱を観測した能登町を含む能登北部は欠測となっています。

 12月25日以降に報告があった医療機関に限って集計した結果、1月7日までの1週間に報告された1医療機関当たりのインフルエンザの感染者数は、県全体で12・84人でした。

 保健所の管轄する地域ごとでは、震度7を観測した志賀町、震度6強を観測した七尾市、震度6弱を観測した中能登町などを含む能登中部が24・80人、南加賀が12人、石川中央が11・73人、金沢市が10・53人でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、地震の被害があった地域での感染対策について、「避難所では、新型コロナやインフルエンザなど、呼吸器の感染症だけでなく、感染性胃腸炎にも注意する必要がある。中でもノロウイルスは避難所で爆発的に広がるリスクがあり、おう吐物などを処理する時は、マスクや手袋をつけ、手洗いを十分に行うなどして慎重に対応してほしい。少しでも体調が悪くなったら、周囲で声を掛け合い、体調の変化に敏感になることも大事だ」と話していました。

 2024年1月12日(金)

🟧新型コロナ感染者、7週連続増加 1医療機関当たり6・96人、前週の1・2倍

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、1月7日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の感染者数が6・96人で、前の週の1・2倍となっています。厚生労働省は「全国的に緩やかな増加傾向が続いていて、これまでも冬場は一定の感染拡大がみられてきたので、引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

 厚労省によりますと、1月1〜7日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの感染者数は、前の週から6048人増えて3万4035人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は6・96人で、前の週の1・2倍となりました。前の週から増加が続くのは7週連続となります。

 都道府県別では多い順に、岐阜県が15・23人、長野県が12・61人、愛知県が12・4人、茨城県が12・27人、福島県が11・29人などとなっていて、40の府県で前の週より増加しています。

 能登半島地震の影響で、新型コロナの感染者数を報告することになっている石川県の48の医療機関のうち、5カ所からは報告がなかったということですが、石川県は1医療機関当たり8・44人で、前の週の1・56倍となっています。

 また、1月7日までの1週間に全国約500の医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は2336人で、前の週と比べて394人の増加でした。

 2024年1月12日(金)

🟧昨年の梅毒感染者1万4906人、3年連続過去最多を更新

 昨年1年間に全国から報告された性感染症の梅毒の感染者数は、速報値で1万4906人に上ったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。感染者数は3年続けて過去最多を更新しており、専門家は「身近な病気になってきているので、ためらわずに検査を受けてほしい」と話しています。

 国立感染症研究所によりますと、昨年1年間に全国から報告された梅毒の感染者数は速報値で1万4906人と、一昨年から1940人増え、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最も多くなりました。過去最多を更新するのは3年連続です。

 都道府県別では、東京都が3658人、大阪府が1967人などと大都市圏で多くなっていますが、一昨年からの増加率をみると、長崎県が146人で2・81倍、鳥取県が28人で2倍、山形県が31人で1・94倍などと、各地で急増しており、専門家は「流行しているのは大都市だけでなく、身近な病気になってきている」と指摘しています。

 梅毒は薬で治療できますが、放置すると脳や心臓に深刻な症状が出ることがあり、妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」を引き起こすこともあります。

 日本大学医学部の川名敬主任教授は、「梅毒は感染力が強く、1回の性交渉で感染し得る性感染症だ。コンドームを使うなど予防に努めることが大事だが、感染しても簡単な治療で治るので、ためらわずに検査を受けてほしい」と話しています。

 2024年1月12日(金)

2024/01/11

🟧無資格者がレーザー機器で脱毛施術、医師ら3人逮捕 静岡県島田市のクリニック

 医師ではない無資格者がレーザー機器で脱毛施術をしたなどとして、静岡県の島田署と静岡県警生活保安課は10日、医師法違反の疑いで、島田市などで皮膚科医院を経営する病院の総院長の男(59)=静岡市葵区呉服町1丁目、いずれも同クリニック静岡院(島田市中溝町)の元エステティシャンで自称無職の女(46)=藤枝市田沼4丁目=、アルバイト従業員の女(33)=島田市御請=の3容疑者を逮捕しました。

 島田署などによると、同院では少なくとも10年以上前から無資格者による脱毛施術が常態化していたといいます。同署などは施術を受けた患者は約1200人に上るとみて捜査を進めています。

 逮捕容疑は共謀して 2021年4月ごろから2023年1月ごろまでの間、同院で医師ではない元エステティシャンの女、アルバイト従業員の女の両容疑者が患者に対し医療行為である脱毛施術を行った疑い。同署などによると、総院長の男は施術前後の診察も行っていなかったといいます。同院では、やけどを負った患者もいるとみられます。

 施術に使用したレーザー機器は強力な光線を肌に照射して脱毛させるため、やけどのリスクがあり、医師か医師の指示を受けた看護師しか使用できません。厚生労働省は「医師以外がレーザーを毛根に照射する脱毛行為をするのは医師法に違反する」と都道府県に通知しています。

 2024年1月11日(木)

🟧2022年に出産した妊婦の梅毒感染者370人あまり 2016年の3倍以上の割合に

 産婦人科の医師の団体が妊婦での梅毒の感染状況を調査したところ、一昨年(2022年)1年間で感染がわかった妊婦の数は370人あまりで、感染者の割合は8年前(2016年)の調査の3倍以上となったことがわかりました。専門家は、「梅毒は早期に治療すれば治せる病気なので心配な時は婦人科に相談してほしい」と話しています。

 ここ数年、国内で梅毒の患者が急増していることを受けて、日本産婦人科医会は妊婦の感染状況について出産を取り扱っている約2000の医療機関を対象にアンケート調査を行い、1346の施設から回答を得ました。

 アンケートの結果、回答した施設で2022年に出産した妊婦約45万5000人のうち梅毒に感染していたのは376人で、感染している人の割合は前回調査した2016年と比べ約3・3倍に増えていることがわかりました。

 感染がわかった時期については、80・9%が妊娠初期の健診でわかった一方、健診を受けずに出産するなどした結果感染がわかったケースも14・5%と前回の調査よりも増えていました。

 また、梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の子供は28人いたほか、梅毒との関係はわからないものの、死産も8例あったということです。

 調査をとりまとめた東邦大学の早田英二郎 准教授は、「今回の調査は国内の出産数の6割ほどが対象のため、梅毒に感染している妊婦はもっと多い可能性がある。梅毒は早期に治療すれば治すことができる病気なので、心配な時は婦人科に相談してほしい」と話しています。

 2024年1月11日(木)

🟧ボトル入り飲料水のプラスチック粒子、従来測定の10~100倍 アメリカのコロンビア大学が研究

 ペットボトル入り飲料水に含まれるプラスチック粒子の数が、これまで考えられていた10~100倍にも相当する1リットル当たり数十万個に上るとする研究結果が8日、「アメリカ科学アカデミー紀要」(PNAS)に発表されました。

 アメリカのコロンビア大学の研究チームは、ペットボトル入り飲料水主要3ブランドのプラスチック粒子含有量を、最近開発されたレーザー技術を用いて測定。その結果、1リットル当たり約11万~37万個、平均24万個のプラスチック粒子が検出されました。

 検出されたプラスチックのうち、90%はナノプラスチックで、残りはマイクロプラスチックでした。マイクロプラスチックは大きさが5ミリ以下のプラスチック粒子と定義されるのに対し、ナノプラスチックは1マイクロメートル(1000分の1ミリ)以下の微粒子と定義されます。

 種類別に最も多かったのは、水を浄化するプラスチックフィルターに由来すると考えられるナイロンでした。次いで多かったのは、ボトル自体の材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)。残りの種類のプラスチックは、キャップの開閉時に水に混入するとされました。

 ナノプラスチックは非常に小さいため、消化器官や肺を通過して直接血流に入り、脳や心臓などの臓器に到達するとされ、人体への影響が懸念されています。

 水道水にもマイクロプラスチックが含まれていることが判明しているものの、そのレベルははるかに低いとされます。

 論文の共著者を務めたコロンビア大学のベイザン・ヤン研究准教授(地球化学)は、「ボトル入り飲料水に含まれるナノプラスチックを心配するならば、代わりに水道水などを検討するのは妥当なことだ」と語りました。

 ただし、脱水症状のリスクはナノプラスチックへの暴露による潜在的な影響を上回る可能性があるため、「どのような状況においても絶対に口にしてはいけないといっているわけではない」とも述べました。

 2024年1月11日(木)

🟧ALS患者への嘱託殺人罪に問われた医師、初公判で「女性の願いをかなえるためにやった」

 全身の筋肉が衰える難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)を患っていた女性(当時51歳)に対する嘱託殺人罪などに問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判の初公判が11日、京都地方裁判所(川上宏裁判長)でありました。大久保被告は罪状認否で「起訴状の通り間違いない」と認める一方、「私は女性患者の願いを叶(かな)えるためにやった」と述べました。弁護側は被告の行為に嘱託殺人罪を適用するのは、自己決定権を定めた憲法に反するとして、無罪を主張しました。

 起訴状では、大久保被告は2019年11月、元医師の山本直樹被告(46)(控訴中)と、女性患者が住む京都市中京区のマンションを訪ね、女性患者に頼まれ、薬物を投与して殺害したとされます。

 大久保被告は厚生労働省で医系技官として勤め、2018年に宮城県内で医院を開業。SNSで「安楽死」を肯定する持論を展開していました。

 検察側は冒頭陳述で、大久保被告は2019年10月から、薬物を投与して殺害する計画について、女性患者とSNSでやり取りしていたと指摘。発覚を免れるため、女性患者にはSNSのメッセージを削除するよう指示していたとしました。

 事件当日は、女性患者の友人を装って2人で訪問し、山本被告が見張りをする中、大久保被告が女性患者に薬物を注入したと言及。「医療に見せ掛けて高齢者や障害者を殺害する行為に興味を持っていた」と強調しました。

 弁護側は冒頭陳述で、「女性患者は死にたいという願いを自分で叶えることができず、被告がその願いを叶えた。その被告を嘱託殺人に問うことは、自己決定権を保障した憲法13条に違反する」と無罪を主張。

 大久保被告は、山本被告とその母親淳子被告(79)と共謀し、2011年3月に東京都内で山本被告の父親(当時77歳)を殺害したとする殺人罪にも問われています。大久保被告は罪状認否で、殺人罪について「私はやっていない」と無罪を主張しました。

 2024年1月11日(木)

🟧インフルエンザ感染者、3週連続減 昨年末、前週比0・94倍

 全国の医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は、昨年12月31日までの1週間で1医療機関当たり21・65人となり、減少傾向が続いています。専門家は、例年、インフルエンザは年明け以降に感染者数のピークを迎えることなどから、再び増加に転じる可能性があるとして注意を呼び掛けています。

 また、能登半島地震で大きな揺れを観測した各県では感染者が多く報告されている地域がある一方、正確な患者数の把握が難しくなっている医療機関もあります。

 国立感染症研究所などによりますと、昨年12月25〜31日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は10万4612人で、1医療機関当たりでは前の週から1・48人減って21・65人となりました。前週比0・94倍で、3週連続の減少となりました。

 データをもとに推計されるこの1週間の全国の感染者数は約76万9000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の感染者数は約1058万7000人と推計されています。

 都道府県別にみますと、宮崎県が44・86人、高知県が36・25人、大分県が35・66人、熊本県が32・46人、青森県が30・38人と、5つの県で「警報レベル」とされる30人を超えているほか、愛知県で22・47人、東京都で19・22人、大阪府で15・67人などと、そのほかすべての都道府県で「注意報レベル」の10人を超えています。

 直近5週間で検出されたウイルスは、A香港型と呼ばれるAH3型が58%、2009年に新型として流行したAH1型が33%でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「年末にかけて休みになっている医療機関もあり、見掛け上、患者数が減っている可能性もある。年明けから人の移動が活発になることや、例年なら1月下旬から2月上旬にかけて流行のピークを迎えることから、今後、患者数が増加に転じる可能性もあり、推移に注意する必要がある」と話しています。

 2024年1月11日(木)

2024/01/10

🟧臓器移植の体制充実を求める要望書、日本移植学会が国に提出へ 東大、京大などで受け入れ断念相次ぎ

 日本移植学会は、脳死者から提供された臓器の移植手術を担う施設の体制充実を求める要望書を国に提出する方針を固めました。東京大など3大学病院で人員や病床などが不足し、臓器の受け入れを断念する例が相次いでいる問題を受けたもので、小野稔・同学会理事長(東大心臓外科教授)が9日、明らかにしました。厚生労働省も関係学会と協力して対応を進めます。

 脳死下の臓器提供は2023年、過去最多の132件となりました。主要な移植施設に臓器の受け入れ要請が集中し、東大、京都大、東北大の3大学病院では対応能力が限度を超えたとして、受け入れを断念する例が60件超ありました。

 断念する例が増えた背景には、脳死下の臓器提供が増加していることがあり、臓器の摘出手術が複数行われる日が急増し、移植手術を担う限られた施設に、同時期に臓器の受け入れ要請が重なる例が増えたためです。

 小野理事長は、「今後の移植医療の方向性を決める重要な時期を迎えている。問題が広がる前に、早く手を打たねばならない」と述べ、6~7月にも要望書を提出する考えを示しました。

 一方、武見敬三厚労相は同日の閣議後の記者会見で、手術に携わる医師、看護師、臨床工学技士や集中治療室の不足による臓器受け入れの断念例が生じていることを認めた上で「提供件数の増加を踏まえた対応が重要。移植医療の円滑な実施に向けて関係学会と協力して対応する」と述べました。

 2024年1月10日(水)

🟧「MRワクチン」を接種する子供の割合が低下 専門家「新たな流行につながる恐れ」

 就学前の子供を対象としたはしかと風疹のワクチン「MRワクチン」の接種率が低下しています。小学校入学前に行う2回目の接種の昨年度の接種率は過去10年で最も低くなっており、専門家は「新たな流行につながる恐れがあり、忘れず接種してほしい」と呼び掛けています。

 はしかや風疹を予防するMRワクチンは、公費で接種できる「定期接種」として、1歳以上2歳未満の時に1回目、小学校入学前の5歳以上7歳未満の時に2回目を接種することになっています。

 厚生労働省によりますと、昨年度のMRワクチンの接種率は、1回目では95・4%と過去10年で2番目に低く、2回目は92・4%と、過去10年で最も低くなりました。

 はしかは感染力が非常に強い感染症で、重症化すると死亡したり、後遺症として極めて重い脳炎が起きたりすることがあります。

 また、風疹は軽症のことが多いですが、妊娠中の女性が感染すると、胎児にも感染し、難聴や、心臓の病気になる可能性が高まります。

 はしかと風疹のウイルスは感染力が強く、流行を防ぐためには1、2回目のいずれも95%以上の接種率を保つのが望ましいとされています。

 ワクチンに詳しい川崎医科大学の中野貴司主任教授は、「90%台と聞くと高く感じるかもしれないが、毎年数万人の子供が未接種となり、流行を引き起こす切っ掛けになるリスクがある」と懸念を示しています。

 公費でワクチンを接種するには、決められた期間があり、1回目は2歳の誕生日の前日まで、2回目は小学校に入学する前の3月末までとなっていて、中野主任教授は「対象となっている人は、忘れず接種してほしい」と話しています。

 2024年1月10日(水)

🟧2023年の世界平均気温、観測史上最高 産業革命前から1・48度上昇

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)は9日、2023年は観測史上最も暑い年だったと発表しました。気候変動の影響で、熱波や干ばつの強度が増し、山火事も世界的に多発しました。産業革命前と同程度とされる1850〜1900年の平均より1・.48度高く、気温上昇を1・5度に抑えるとする温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標値に迫りました。

 C3Sは昨年11月に、2023年が観測史上最も暑い年になるとの見通しを示したものの、実際の気温を基に世界平均気温の記録更新を発表したのは初めて。

 産業革命前に比べて地球の平均気温が1・5度を超えてしまうと、気候変動の影響はより破滅的になると科学者は考えています。2023年は1年の半分以上の日で1・5度を上回りました。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、2023年は「観測史上初めて、すべての日で産業革命以前比で1度を上回った」と述べ、「平均気温としては、過去10万年で最も温暖だった可能性がある」としました。

 また、11月には産業革命前と比べて平均気温が2度を超えた日が2日ありました。

 C3Sは、2023年の平均気温の上昇は4~12月の海面水温が記録的に高かったためだと説明。大気中の温室効果ガス濃度が観測史上最高レベルに達したことや、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」が7月以降、強まり続けたことが、海面水温の上昇を招いたと指摘しました。

 世界各地では昨年、自然災害が多発。カナダやギリシャで山火事が相次ぎ、「アフリカの角(アフリカ東端部)」や中東の一部地域では深刻な干ばつが起きました。また、欧米と中国は夏季に前例のない厳しい熱波に見舞われたほか、オーストラリアと南アメリカでは記録的な暖冬となりました。

 2023年の平均気温は、これまで最も高かった2016年を0・17度上回りました。

 2024年1月10日(水)

🟧エーザイの認知症治療薬「レカネマブ」、中国で承認取得 世界3カ国目で7~9月に発売予定

 エーザイは9日、アメリカの医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)が中国国家薬品監督管理局(NMPA)から承認を得たと発表しました。今回の承認はアメリカ、日本に次ぐ3カ国目で、7~9月に中国で発売する予定です。

 中国での販売価格は今後検討します。日本での薬価は体重50キログラムの人で年間約298万円になります。

 エーザイによると、中国でのアルツハイマー病による軽度認知障害などのレカネマブの投与対象者は2024年に1700万人と推定され、高齢化の進展で今後も増加する見込み。原因物質の1つとされるタンパク質「アミロイドベータ」の脳内への蓄積を血液で調べる診断体制も整備します。

 レカネマブはアルツハイマー病の症状の進行を抑える効果を科学的に証明した世界で初めての薬となります。中国では2022年12月に申請が受理され、2023年2月に優先審査の指定を受けていました。中国の規制当局の指示に応じ、最終段階の臨床試験(治験)のデータの追加提出などをしていました。

 レカネマブは現在、ヨーロッパやカナダ、イギリスなど11カ国・地域で申請しています。

 2024年1月10日(水)

🟧全国の新型コロナ感染者、6週連続で増加 前週比1・27倍

 厚生労働省は10日、全国に約5000ある定点医療機関に昨年12月25~31日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計2万7987人で、1定点当たり5・79人だったと発表しました。前週(4・57人)の約1・27倍で、6週連続で増加しました。

 都道府県別の最多は北海道の12・28人で、長野県10・65人、愛知県9・19人、岐阜県9・.15人、大分県9・1人と続きます。東京都3・39人、大阪府3・38人、福岡県5・32人でした。44都道府県で前週より増加しました。

 今回の集計期間後に発生した能登半島地震の影響で、新型コロナの感染者数を報告することになっている石川県の48の医療機関のうち、5カ所からは報告がなかったということですが、石川県は5・42人で、前の週より増加しました。

 被災地では、新型コロナのほか、インフルエンザ、ノロウイルスの感染報告があり、拡大が懸念されています。

 12月31日までの1週間に定点医療機関に報告された新規入院患者数は1942人で、前週の1616人から326人増加。集中治療室(ICU)に入院している患者数は90人で、前週(66人)から24人増えました。

 厚労省は全国の流行状況について、「前の週に続いて全国的に緩やかな増加傾向となっている。手洗いや換気など引き続き対策を徹底してほしい」としています。

 季節性インフルエンザの新規感染者数は、1定点医療機関当たり21・65人で、前週(23・13人)の約0・94倍。3週連続で減少しました。5県で警報レベルの30人を超えました。

 2024年1月10日(水)

2024/01/09

🟧東京都の新型コロナ感染者、1定点医療機関当たたりり3・39人 6週連続増加

 東京都の新型コロナウイルスの感染者の報告数は1医療機関当たり3・39人で、6週連続で増加しました。

 都によりますと、昨年12月25日から31日までの1医療機関当たりの新型コロナウイルスの感染者報告数は3・39人で、前の週の3・13人から約8%増加しました。増加は6週連続です。

 専門家は、「年末年始による定点医療機関の診療日数減少の影響を受けた値であるため、評価には注意が必要」と指摘しています。

 また、1月1日時点の入院数は911人で、前の週から約150人増加しました。

 専門家は、「現時点では医療提供体制への大きな負荷はみられない」と分析しています。

 一方、インフルエンザの感染者の報告数は1医療機関当たり19・22人で、前の週の1・06倍と増え、引き続き注意報の基準を超えています。

 主に子供が感染し発熱などの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染者の報告数は1医療機関当たり4・71人と前の週の0・81倍に、同じく子供を中心に感染する咽頭結膜熱が1・93人と前の週の0・71倍と、いずれも減ったものの引き続き警報の基準を超えています。

 都はこまめな手洗いや、せきやくしゃみが出る場合はマスクをするなどの感染対策を呼び掛けています。

 2024年1月9日(火)

🟧アステラス製薬の胃がん治療薬、アメリカFDA「審査終了目標日までに承認できず」

 アステラス製薬は9日、開発中の胃がん治療薬「ゾルベツキシマブ」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)から期日までの承認ができないとの通知を受けたと発表しました。査察の結果、指摘事項が生じたため。アステラス製薬は指摘されている問題に対応し、FDAに再申請をします。

 ゾルベツキシマブは2023年夏に、FDAから優先審査に指定されていました。アステラス製薬によると、ゾルベツキシマブの製造を委託している拠点をFDAが査察した結果、未解決の指摘事項が生じ、審査の終了目標日としていた12日までに承認ができないとの通知を受けました。指摘事項の内容は非開示。2024年3月期連結業績への影響は軽微としています。

 FDAは有効性や安全性についての懸念は示しておらず、追加の臨床試験(治験)も求めていないといいます。アステラス製薬は今後、FDAや医薬品製造受託機関などと連携して指摘事項を解決し、アメリカでの承認取得に向けて再申請します。

 アステラス製薬によると、アメリカでは2023年に2万6500人が胃がんと診断されたといいます。ゾルベツキシマブは胃腺がん、食道胃接合部腺がんの患者を対象として開発を進めています。

 同社は、ゾルベツキシマブを重点戦略品と位置付けており、ピーク時の世界売上高を最大年2000億円と見込んでいます。日本では2023年6月にゾルベツキシマブの製造販売承認を厚生労働省に申請したほか、ヨーロッパ、中国などの国・地域でも承認申請しており、規制当局が審査を進めています。

 2024年1月9日(火)

🟧高度不妊治療に取り組む女性のストレス、「終わりの見えない治療」が最多 成育医療研究センターが調査

 体外受精や顕微授精といった高度な不妊治療に取り組む女性の約3割が「終わりの見えない治療」に強くストレスを感じ、そのうち7割の人が抑うつ症状を伴うことが、国立成育医療研究センターなどの研究チームによる調査で明らかになりました。

 研究チームは、高度な不妊治療を始めて早期の女性344人を対象に、2019~2021年に行ったアンケートから、本人が最も強く感じるストレス要因を特定し、メンタルヘルスとの関係も分析しました。ストレス要因には妊娠への期待感などの前向きな反応も含みます。

 その結果、妊娠に至らず努力などが失われる喪失体験を繰り返すつらさや、仕事と治療の両立ができないことで葛藤するといった「終わりの見えない治療」が28%で最多。女性にばかり負担が大きいことへの不満や理解のない周囲の言葉に傷付くなどの「独りで抱え込む苦しみ」が25%でした。

 自然に妊娠できず女性としてのアイデンティティーが傷付いたり、今までの自分でなくなったように感じたりする「アイデンティティーの揺らぎ」は15%で、このグループは健康状態の悪化が顕著でした。

 「高額な治療費」を挙げた人は17%いたものの、不妊治療は2022年から保険適用され、状況は改善されている可能性があります。

 タイミング法や人工授精などの軽度な不妊治療から高度な不妊治療にステップアップしたため前向きな気持ちで取り組めているなどの「治療のステップアップ」を挙げた女性は15%でした。

 調査結果をまとめた同センターの高畑香織共同研究員は、「不妊治療を受ける人はさまざまな葛藤を独りで抱えている。不妊治療に関する情報提供や今後の方針に悩む方の意思決定を支援していきたい」と話しています。

 2024年1月9日(火)

2024/01/08

🟧新型コロナの新変異型「JN・1」、従来型より高い感染力と免疫逃避能力

 国内でも急速に拡大している新型コロナウイルスの新変異型「JN・1」について、これまでの変異型に比べて、免疫をかいくぐる能力が高く、感染が広がる力も強いとの結果を、東京大医科学研究所の佐藤佳教授が主宰する研究チームがまとめました。今後の流行の主体になる可能性があるといいます。

 JN・1は2022年に流行したオミクロン型の派生型「BA・2」がさらに変異したウイルスで、2023年11月ごろから世界的に感染が広がり、世界保健機関(WHO)は翌12月に「注目すべき変異株(VOI)」に指定しました。

 国立感染症研究所によると、国内でJN・1が検出された割合は、12月上旬の1週間で1割強でしたが、約3週間後には3割強に高まり、大幅に増えつつあるとみられています。だが、JN・1の細かな性質などはわかっていませんでした。

 そこで研究チームは、イギリスやフランス、スペインのウイルスゲノムの疫学調査に関するデータや、培養細胞などを使って調べました。

 その結果、感染者1人が何人に感染を広げるかを示す「実効再生産数」は、現在流行している変異型の1・2~1・4倍程度で、広げる能力が高いことがわかりました。

 培養細胞を使った実験では、2023年夏に国内で確認され、世界的にも流行した「BA・2・86」(通称ピロラ)の約2倍の感染力がある可能性が示されました。

 ワクチン接種者が持つ抗体から逃れる力は、ピロラの3・6~4・5倍でした。新型コロナに感染することで体内に作られる抗体からの逃避能力は、ピロラの3・8倍でした。

 研究チームは、「今後、JN・1は全世界に拡大し、流行の主体になることが懸念される。有効な感染対策を適切に行う必要がある」としています。

 研究成果は、イギリスの医学誌「ランセット」の姉妹誌に掲載されました。

 2024年1月8日(月)

2024/01/07

🟧「入れ歯、毎日洗わない」が4割 誤嚥性肺炎など重大なリスク招く恐れも

 入れ歯関連商品の販売などを手掛ける「お守り入れ歯」(札幌市)がインターネットを通じ、入れ歯の洗浄の頻度を尋ねたところ、回答者548人のうち「毎日」と答えたのは61%でした。

 一方、「全くしていない」(12%)、「2~3日に1回」(10%)、「1週間に1回」(6%)など、毎日洗浄していない人は約40%いました。

 日本歯科医師会などは正しい入れ歯の洗い方として、①専用のブラシで食べかすを取り除く②洗浄剤につけて除菌することを推奨しています。

 だが、①②両方を実行している人は42%にとどまりました。このほか、②のみ(33%)、①のみ(19%)、すすぎ洗いのみ(3%)などが続き、多くの人が十分に手入れをしていない実態が浮かびました。

 洗浄剤につけている時間は「一晩中」が57%と最も多かった一方で、「30分以内」(19%)や「1~2時間以内」(15%)など、短時間ですませる人も少なくありませんでした。

 入れ歯の洗浄を怠ると、細菌が繁殖することで口臭の原因となります。また、食事と一緒に細菌をのみ込むことで誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすリスクもあるといいます。

 厚生労働省によると、誤嚥性肺炎は死因で6番目に多く、入れ歯の小まめな手入れは健康維持の観点からも重要です。

 お守り入れ歯代表の池田昭さんは、「繁殖した細菌が層になると、洗浄剤をたまに使った程度では取り除けません。ブラシで大まかに汚れを落とした後、洗浄剤に2時間以上つける必要があり、一晩中つけるのが理想です」と話しています。

 だが、札幌市の「コンフォート入れ歯クリニック」の理事長も務める池田さんは、「患者の中には、事情があってそもそも入れ歯を外したくない人もいます」と明かします。

 クリニックの患者の7割は女性。40~50歳代で総入れ歯になる人もいます。女性が多い要因として、妊娠による口内環境の変化で歯が弱くなったり、妊娠中や産後に口内のケアまで手が回らなかったりすることが考えられるといいます。

 「入れ歯を外すと家族との会話に支障が出てしまいます。また、入れ歯を着けたり、外したりする姿を見られるのが恥ずかしいとの理由から家族にも入れ歯をしていることを明らかにしていない人もいます。こっそりお風呂場で洗っている患者さんもいます」

 入れ歯を作り直す際に「顔の形が変わるから」と古い歯並びの型をオーダーする人もいるといいます。池田さんは、「男性は洗浄を面倒くさがる傾向が強いですが、調査結果には女性のこうした事情もある程度反映されているように思います」と話しました。

 2024年1月7日(日)

🟧男性に多いとされてきた大動脈解離、男女で発生率の差がない可能性 熊本大が発表

 大動脈の内側の壁が裂け、死につながることも多い血管の病気、大動脈解離は、これまで男性に多いとされてきましたが、実際には男女で発生率に差がない可能性があるとする分析結果を、熊本大学などの研究チームが発表しました。

 この研究は、熊本大学の辻田賢一教授(循環器内科)や丸目恭平客員助教らのチームがアメリカの医学雑誌で発表しました。

 大動脈の壁が裂ける大動脈解離は、死亡することも多い深刻な病気で、これまで男性が女性の2倍から3倍発症しやすいとされてきました。

 チームでは、他の大きな医療機関から離れていることから、地域で多くの患者を受け入れている宮崎県延岡市の県立延岡病院で病院到着前に死亡した人にCT(コンピュータ断層撮影)を使った死因の調査が行われていることに注目し、大動脈解離と診断された患者と死後に大動脈解離とわかった人を合わせて分析しました。

 その結果、2008年から2020年までの間に大動脈解離になった患者は、男性が129人、女性が137人でした。

 人口比などを調整した発生率は年間、10万人当たりで、男性が16・7人、女性が15・7人となり、男女でほぼ差がなかったということです。

 一方、病院に到着する前に死亡した人の割合は、女性が37%、男性が21%と女性のほうが高くなっていました。女性は病院に到着前に亡くなるケースが多いため、これまで過小評価されてきた可能性があるといいます。女性のほうが、胸部の血管に異常が生じる、特に致死率が高いタイプの病態が多いこと、年齢が男性より高いこともわかりました。

 丸目客員助教は、「大動脈解離は男性に多いと認識していたのは、病院にたどり着いた氷山の一角を見ていた可能性がある。男女とも病気について啓発することが大切だ」と話しています。

 2024年1月7日(日)

🟧6日から大麻類似成分「HHCP」など6成分含む製品、所持・使用・販売が禁止に

 「大麻グミ」による健康被害が相次いだ問題で、大麻に似た有害な「HHCP(ヘキサヒドロカンナビフォロール)」など6成分を含む製品の規制が6日に始まりました。所持や使用、販売が禁止され、違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

 厚生労働省は12月、HHCPや、まだ製品として流通が確認されていない類似成分を含めた6成分について、包括的に指定薬物としていました。

 2024年1月7日(日)

🟧女性は座りっ放しに注意! 1日7時間以上で乳がん発症リスクが4割近く上昇

 座っている時間が1日に7時間以上だと、女性が乳がんを発症するリスクが4割近く上昇するという結果が、京都府立医科大などの研究チームによる大規模疫学調査で出されました。筋肉を動かさないことで血行が悪くなる影響などが考えられるといいます。

 研究チームの京都府立医科大の富田仁美(さとみ)研究員(内分泌・乳腺外科)は、「座りっ放しによる運動不足の解消には、余暇にまとめて運動するより、ふだんから座っている時間を短くし、こまめに運動することが効果的。座りっ放しに気が付いたら、立ってストレッチをするなど、こまめに体を動かすよう意識してほしい」と話しています。

 長時間座ったままだと、心筋梗塞(こうそく)や脳血管疾患、糖尿病などに悪影響があることが最近の研究でわかってきており、世界保健機関(WHO)も座ったままの行動を減らすように推奨しています。

 日本人は世界的にも座っている時間が長く、1日当たり7時間(中央値)というデータもあります。厚生労働省の検討会がまとめた身体活動・運動の目安となるガイド案でも、座りっ放しに注意を呼び掛けています。

 研究チームは、日本の女性に最も多いがんである乳がんとの関連を調べました。全国の35~69歳の約3万6000人の女性に、健康状態や座位時間などの生活習慣を尋ね、9・4年間(中央値)にわたり追跡。554人が乳がんを発症しました。年齢や体格指数(BMI)、喫煙、飲酒、乳がんの家族歴、初経や閉経の時期、出産経験、ホルモン療法の有無など、ほかの乳がんリスクの影響を取り除く手法で分析しました。

 その結果、座っている時間が7時間以上の女性は、7時間未満の女性に比べて乳がんを発症するリスクが36%高いという結果が出ました。予防効果があるとされる「1日1時間以上歩く」「週3回以上運動する」といった対策を行っても、発症リスクは変わらなかったといいます。

 研究チームは、長時間座って筋肉を動かさない状態が続くと、性ホルモンの乱れなどが生じやすく、乳がんの発症につながる可能性があるとみています。

 乳がんは日本人女性の9人に1人が発症し、年間約9万8000人が新たに診断されています。

 2024年1月7日(日)

2024/01/06

🟧アメリカFDA、フロリダ州によるカナダからの処方薬輸入を初承認 薬価の押し下げを図る

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は5日、南部フロリダ州に対し、アメリカより薬価が安いカナダからの処方薬輸入を承認したと発表しました。アメリカでは薬価が日本などほかの先進国に比べて2〜3倍高いため、輸入を認めて価格の押し下げを図ります。インフレ対策を急ぐジョー・バイデン政権が、製薬業界の反対を押し切って実現しました。

 アメリカ当局が処方薬の輸入を認めるのは初めてとなり、糖尿病や肝炎、精神疾患などを治療する医薬品を対象とします。フロリダ州はカナダの卸売り企業から、同じ薬を安価で大量購入できるようになります。

 FDAによると、フロリダ州が実際に処方薬を輸入するにはより具体的な製品情報を提出し、FDAから審査と承認を得ることが必要。輸入しようとする処方薬がFDAの基準に合致することを試験済みとの証明も必要となります。

 フロリダ州のロン・デサンティス知事は承認について、「最初の1年で最大1億8000万ドル(約260億円)の薬価を節約できる。ようやく低価格の処方薬を輸入できるようになる」と歓迎する声明を出しました。

 ほかの州も輸入承認に向けて申請しているといいます。バイデン政権は医療費の低下を政策の柱に掲げており、その一環としてFDAにも輸入解禁を検討するよう働き掛けていました。

 一方、製薬業界は過去数十年間にわたって、処方薬の輸入に反対してきた経緯があり、今回の決定についても、「消費者の費用低減にはつながらず、アメリカの医薬品供給の安全性を危険にさらすことになる」と批判を強めています。

 業界団体のアメリカ研究製薬工業協会(PhRMA)のスティーブ・ユーブル理事長兼最高経営責任者(CEO)は同日、「FDAによるフロリダ州の輸入承認は無謀な決断であり、深く懸念している」との声明を出し、「この政策が患者に害を与えないよう、あらゆる選択肢を検討している」とも強調しました。

 アメリカのシンクタンク、ランド研究所の2021年の報告書によれば、アメリカの処方薬の価格はカナダの3倍以上でした。

 安い薬を求めてアメリカからカナダへ国境を越えて購入しに行く消費者も少なくないといいます。数年前には糖尿病治療薬の「インスリン」や、アレルギー患者がショック時に使う治療薬「エピペン」など、アメリカで一部薬品の価格が高騰した際に渡航者が殺到するケースもありました。

 2024年1月6日(土)

🟧アマゾン熱帯林消失、前年比半減 2023年、ブラジル政権交代1年で一定の成果 

 ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は5日、2023年の国内アマゾン地域9州の熱帯林消失面積が約5151・6平方キロと、前年比で半減したと発表しました。ルラ政権は「世界の肺」と呼ばれるアマゾンの保護強化を掲げており、消失面積は2018年以来の低い数字ですが、それでも愛知県ほどの面積が消失したことになります。

 ブラジルはアマゾン熱帯林の約6割を抱えています。アマゾン保護に後ろ向きだったボルソナロ前大統領が就任した2019年から2022年までは消失面積が顕著に拡大、2022年は1万277・6平方キロでした。

 2023年1月に就任したルラ大統領は2030年までにアマゾンの伐採の実質ゼロを公約に掲げ、保護の強化に転じました。政権交代から1年間で、一定の成果を収めたことになります。

 一方で、農業などに利用される「セラード」と呼ばれるサバンナ地帯の消失面積は、前年比43%増加し7828・2平方キロでした。

 2024年1月6日(土)

🟧千葉県の新型コロナ感染、7週連続で増加 前週比1・15倍、1医療機関当たり5・48人

 千葉県は5日、県内181の定点医療機関から1週間(12月25~31日)に報告された新型コロナウイルスの感染者数が1医療機関当たり5・48人で、前週の約1・15倍(0・75人増)になったと発表しました。増加は7週連続。インフルエンザは23・18人で、前週から0・91倍に減少しました。

 県の週報によると、新型コロナは16保健所別で、海匝(かいそう)が最多の9・75人。次いで長生が9・71人、香取が9・50人、山武が9・00人、君津が7・50人でした。

 年代別の総数は、50歳代が最も多く164人。20歳代が131人、40歳代が119人、30歳代が114人、60歳代が102人と続きました。

 インフルは保健所別で、長生が最多の33・0人、君津が32・9人、香取が31・3人でした。

 2024年1月6日(土)

2024/01/05

🟧インフルエンザ患者2週連続減少も再増加の懸念

 全国の医療機関から報告された季節性インフルエンザの患者数は、昨年12月24日までの1週間で1医療機関当たり23・13人となり、減少傾向が続いています。専門家は年末年始に人の移動が活発になったことで、再び増加に転じる可能性があるとして、注意を呼び掛けています。

 また、能登半島地震で大きな揺れを観測した各県では、インフルエンザの患者が多く報告されている地域があり、専門家は、避難所での感染症対策に注意してほしいと呼び掛けています。

 厚労省のまとめによりますと、昨年12月18~24日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は11万4126人で、1医療機関当たりでは前週から6・81人少ない23・13人となりました。前週(29・94人)比0・77倍で、2週連続の減少となりました。

 データをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は約79万6000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数は約981万8000人と推計されています。

 都道府県別にみますと、宮崎県が44・43人、宮城県が39・05人、大分県が37・67人、北海道が36・66人、青森県が31・05人、山形県が30・51人と、6つの道県で「警報レベル」とされる30人を超えているほか、愛知県が25・48人、東京都が18・08人、大阪府が15・77人などと、そのほかすべての都府県で「注意報レベル」とされる10人を超えています。

 前の週と比べると、沖縄県と青森県を除く45の都道府県で減少し、全国的に減少傾向となっています。

 直近5週間で検出されたウイルスは、A香港型と呼ばれるAH3型が62%、2009年に新型として流行したAH1型が33%で、2つのタイプのA型が同時に流行しています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、年末年始に帰省や旅行で人の移動が活発になったことで、再び感染が広がる可能性があると指摘しています。

 その上で「年末の時期に定点当たりの患者数が20人以上の高い水準になるのはこれまでになかった傾向だ。例年ならばピークとなる1月下旬に向けて、どの程度増加するのか、動向に注意する必要がある」と話しています。

 2024年1月5日(金)

🟧2023年の国内平均気温、平年より1・29度上回り過去最高 全国最高は福島県伊達市、石川県小松市で記録

 気象庁は4日、昨年・2023年の日本の年間平均気温(確定値)が、平年値(2020年までの30年間平均)を1・29度上回り、1898年(明治31年)の統計開始から最も高くなったと発表しました。なお、平均気温は、都市化による影響が比較的小さく、特定の地域に偏らないように選定された全国15地点(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の観測値に基づく計算です。

 これまでの最高は2020年の平年プラス0・65度で、大幅に記録を更新しました。特に近年は高い傾向が続いており、2019~2023年が観測史上の上位5番目までを占めます。

 気象庁によると、2023年は春(3~5月)と夏(6~8月)、秋(9~11月)の3季連続で過去最高を更新。月別でも、3、7、8、9月が統計史上最も高くなりました。

 2023年の全国最高気温は、8月5日に福島県伊達市、10日に石川県小松市で記録した40・0度。群馬県桐生市では、最高気温35度以上の猛暑日を46日観測し、年間の最多日数を更新しました。秋になっても暑さは収まらず、東京都心では11月7日に27・5度に達し、都心の11月観測史上最高を100年ぶりに塗り替えました。

 温暖化に加え、春から秋にかけて偏西風が北寄りを流れて暖かい空気に覆われやすく、日本の南で高気圧の勢力が強かったためだといいます。

 全国149地点の観測に基づく2023年の地域別平均気温では、北日本(北海道・東北)が平年を1・8度、東日本が1・4度上回り、統計開始以来最高。西日本も0・9度上回り、1998年と並んで最も高くなりました。

 年間降水量は、台風や前線の影響が少なく、高気圧に覆われて晴れた日が多かったことから、東日本では平年の95%、西日本では99%、沖縄・奄美で90%と少なくなりました。北日本は100%でした。

 2024年1月5日(金)

🟧岐阜県山県市の養鶏場で鳥インフル、高病原性の疑い 5万羽の殺処分を開始 

 岐阜県は5日、同県山県市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザについて、鳥での感染力や致死率が高い高病原性の疑いが判明し、飼育する肉用鶏約5万羽の殺処分を始めたと発表しました。同県内の養鶏場での感染確認は今季初めてで、2021年1月に美濃加茂市の養鶏場で確認されて以来となり、計4例目。全国では今季6例目となります。

 県によると、中央家畜保健衛生所(岐阜市)に4日午前10時5分ごろ、この養鶏場から「162羽が死んでいた」との通報がありました。簡易検査で陽性だった10羽について、遺伝子検査した結果、すべてで高病原性が疑われる「H5亜型」のウイルスが検出されました。

 殺処分は県職員ら延べ約2000人態勢で夜通し行い、6日午前までに終えます。8日昼までには埋却、消毒を含めた防疫措置を完了する見通し。

 県はこの養鶏場から半径3キロ以内にある山県市内の1農場(22羽)について鶏や卵の移動を制限。3~10キロ以内の岐阜市や関市などの24農場(計約158万羽)について域外への搬出を制限しました。

 また、農林水産省は、感染経路の特定のため、疫学調査チームの現地への派遣を決めました。

 2024年1月5日(金)

2024/01/04

🟧全国の新型コロナ感染者、5週連続で増加 前週比1・10倍、インフルは減少

 厚生労働省は4日、全国に約5000ある定点医療機関に昨年12月18~24日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計2万2529人で、1定点当たり4・57人だったと発表しました。前週(4・15人)の約1・10倍で、5週連続で増加しました。

 都道府県別の最多は北海道の10・69人で、次いで山梨県9・73人、長野県8・55人、愛知県7・06人、大分県6・43人。少なかったのは沖縄県2・.04人、長崎県2・77人、島根県2・84人、神奈川県2・88人、福井県2・90人など。東京都3・13人、大阪府2・92人、福岡県3・70人でした。33都道府県で前週より増えました。

 12月24日までの1週間に定点医療機関に報告された新規入院患者数は1597人で、前週の1478人から119人増加。集中治療室(ICU)に入院している患者数は66人で、前週(68人)から2人減りました。

 厚労省は全国の流行状況について、「前の週に続いて緩やかな増加となっている。例年、冬は感染が増加傾向となるので引き続き対策を徹底してほしい」としています。

 季節性インフルエンザの新規感染者数は、1定点医療機関当たり23・13人で、前週(29・94人)の約0・77倍。2週連続で減少しました。6道県で警報レベルの30人を超えました。休校や学年・学級閉鎖は全国で計3153校で、前週の6334校から半減しました。

 2024年1月4日(木)

🟧東京都が介護職員に月額1~2万円支援 2025年度に3万1000人不足見通しで人材確保狙い

 東京都の小池百合子知事は4日、介護人材の確保に向け、都内在勤の介護職員らを対象に1人当たり月額1万~2万円の経済的支援を行う方針を明らかにしました。

 年頭の職員に対する訓示で述べました。介護職員への支援を巡っては、政府が今年から月額6000円の賃金引き上げを決めています。小池知事は、住宅費など生活コストが高い都内の事情を踏まえ、支援を上乗せする必要があるとして、「東京の実情に応じた積極的な施策を考えていく」と語りました。

 民間企業で賃上げが進む中、介護業界では待遇の悪さから人材流出が続いています。都の2021年の推計では、2025年度の都内の介護需要は約22万3000人に達するのに対し、介護職員は約19万2000人で、約3万1000人の不足が見込まれています。

 小池知事は、「高齢者介護に携わる人たちが希望を持って働き続けることができる環境整備が重要だ」と述べました。

 経済的支援は2024年度の開始を目指しており、都は詳しい対象者や支給額、支給方法を検討しています。

 2024年1月4日(木)

🟧2023年の交通事故死者、8年ぶり増 前年より68人多い2678人

 2013年に全国で起きた交通事故による死者数は、過去最少だった2022年より68人多い2678人で、2015年以来8年ぶりに増加に転じたことが4日、警察庁のまとめでわかりました。

 死者数は2016年から2022年まで、統計がある1948年以降の最少を7年連続で更新していました。過去最多は1970年の1万6765人で、統計がある1948年以降では3番目に少なくなりました。

 警察庁は新型コロナウイルスによる行動制限がなくなり、社会活動が活発化したことが死者数の増加の背景にあるとみているものの、詳細はこれから分析するといいます。

 都道府県別では、大阪府が2年連続の最多で148人。次いで愛知県145人、東京都136人でした。最少は佐賀県の13人。

 事故発生件数(速報値)は30万7911件、負傷者数(同)は36万5027人で、前年からそれぞれ7072件、8426人増えました。

 死者3人以上の交通事故は、北海道、宮城県、山形県、福島県、群馬県、三重県で計7件発生。2022年の3件、2021年の2件から大きく増えました。同庁によると、正面衝突する事故が目立っているといいます。

 この統計を受けて松村祥史国家公安委員長は、「歩行者の安全確保、飲酒運転などの悪質・危険な交通違反の取り締まりなどをこれまで以上に強力に推進するよう警察を指導していく」としました。

 政府は2021~2025年度の交通安全基本計画で、2025年までに死者数を2000人以下にするとの目標を掲げています。

 2024年1月4日(木)

2024/01/03

🟧中国、新型コロナの新変異型「JN・1」増加傾向

 中国保健当局は12月28日、新型コロナウイルスの新変異型「JN・1」の感染例が中国で出ており、増加傾向にあると発表しました。JN・1はアメリカやインドなど各国で急速に感染が拡大し、世界保健機関(WHO)が12月18日に「VOI=注目すべき変異ウイルス」」に指定しました。現行のワクチンで予防効果が得られるといいます。

 中国当局は年末年始や今年2月の春節(旧正月)の大型連休で人の移動が多くなり、コロナ感染の増加が予想されるとして、マスク着用や手洗いなどの感染対策を励行するよう呼び掛けました。

 中国疾病予防コントロールセンターの担当者は12月28日の記者会見で、JN・1は海外で感染が急速に広がり、流行の中心となっていると指摘。中国のコロナ感染状況は「低いレベルだ」としながらも、JN・1が増加しており、国内の主流となる可能性があると説明しました。

 JN・1はオミクロン型の一種で、2022年に日本国内でも広がっていた「BA・2」系統のウイルスがさらに変異したもので、感染力が強いとされます。

 中国では今年の冬、子供を中心に肺炎などの呼吸器疾患が流行しています。

 2024年1月3日(水)

🟧東京都で40~90歳代の男女13人がもちをのどに詰まらせて救急搬送 うち6人が意識不明の重体

 東京消防庁は2日、元日から2日午後3時までに、都内で40~90歳代の男女13人がもちをのどに詰まらせて病院に救急搬送されたと発表しました。このうち40~80歳代の男女6人が意識不明の重体といいます。

 発表によると、世田谷区内の70歳代男性は2日午前9時半ごろ、自宅でもちをのどに詰まらせました。

 正月はもちを食べる機会が多くなるため、東京消防庁は「もちを食べる時は小さく切り、急がず、よくかんでほしい。幼児や高齢者と一緒にもちを食べる際は特に注意が必要だ」としています。

 2024年1月3日(水)

2024/01/02

🟧目の病気、指先の毛細血管を撮影して発見 東北大などが糖尿病網膜症で新手法

 糖尿病の合併症である糖尿病網膜症の有無や重症度を、指先の血管を外から撮影するだけで簡便に発見、評価できることを東北大などの共同研究チームが国際科学誌に発表しました。 

 糖尿病網膜症は強い自覚症状がないまま進み、眼底出血や網膜剝離を伴って失明にも至る合併症で、日本の失明原因の3位。研究チームは、簡便な手法で早期に発見し、機能を維持するのに有効な技術だとしています。

 東北大大学院医学系研究科の中澤徹教授(眼科)らと、指先(爪の裏側)の毛細血管を撮影する「爪床毛細血管スコープ」を開発した「あっと株式会社」(大阪市)の共同研究。

 研究では、83人の2型糖尿病患者と63人の非糖尿病患者でそれぞれ指先の毛細血管を撮影し、本数や長さ、幅、血管が傷害されて変化した様子などの特徴を比較しました。

 その結果、糖尿病患者では、非糖尿病患者に比べて毛細血管の本数が減り、長さも短く、幅も狭い傾向がありました。そうした変化は、糖尿病網膜症の重症度が高くなるにつれて著しくなる傾向も明らかになりました。

 糖尿病網膜症のリスクを評価するために従来用いられていた全身状態や検査結果のデータに、このスコープ撮像による評価を加えることで、より診断がつきやすくなるといいます。

 中澤教授は、「今後、目の網膜と指先の毛細血管でどちらが早く変化しているのかなど詳細を解析した上で、健診センターやショッピングセンターなどの日常生活のさまざまな場で活用し、誰もが視覚障害に気付く機会を増やせるよう、実用化を図りたい」と話しています。

 2024年1月2日(火)

🟧東京都、もちをのどに詰まらせ男女7人が救急搬送 70歳代の女性1人が意識不明の重体

 東京消防庁は1日、元日(午後3時時点)に東京都内でもちをのどに詰まらせた70~80歳代の男女7人が病院に救急搬送され、このうち70歳代の女性1人が意識不明の重体となったと発表しました。正月はもちを食べる機会が多くなることから、東京消防庁は、食べる際は小さく切り、急がず、ゆっくり食べるよう呼び掛けています。

 発表によると、江戸川区の70歳代女性は1日午前10時頃、自宅でもちを食べている最中にもちをのどに詰まらせたといいます。

 東京消防庁は、「乳幼児や高齢者と一緒にもちを食べる際は、注意して様子を見てほしい」としています。

 2024年1月2日(火)

2024/01/01

🟧臓器移植見送り、東大・京大・東北大で昨年60件超 提供件数が伸び、対応できる限界超え

 脳死者から提供された臓器の移植手術実績が上位の3大学病院で2023年、人員や病床などが不足し、臓器の受け入れを断念する例が60件超あったことがわかりました。東京大では少なくとも35件あり、前年の4倍に急増しました。京都大で約20件、東北大で7件ありました。提供件数が大きく伸び、限られた移植施設に要請が集中したためで、受け入れ体制の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになりました。

 2023年に、脳死ドナー(提供者)からの心臓、肺、肝臓の移植手術は国内で352件行われました。最多は東大の88件で、京大36件、東北大34件が続きました。

 東大によると、▽手術に携わる看護師や臨床工学技士を確保できない▽手術後の患者が入る集中治療室(ICU)が不足している――などの理由で35件(心臓10件、肺14件、肝臓11件)の受け入れを断りました。2022年は8件でした。京大は、ICUや麻酔科医らの不足により肺と肝臓で約20件断念したことを明らかにしました。東北大も手術に携わる医師の不足により肺で7件あったとしました。

 断念する例が増えた背景には、脳死下の臓器提供が増加していることがあります。2023年は132件と過去最多となりました。これに伴い、臓器の摘出手術が複数行われる日が急増し、移植施設に、同時期に臓器の受け入れ要請が重なる例が増えました。

 1997年の臓器移植法施行以降、国内で行われた脳死下の臓器提供1028件について、日本臓器移植ネットワーク(JOT)の公表データを分析すると、複数の摘出手術が行われた日は、2023年は29日を数えました。提供条件を緩和した2010年の改正法施行以降、増加傾向にあります。

 東大に手術が集中するのは、待機患者を多く抱えているためとみられます。心臓、肺、肝臓合わせて昨年12月21日現在で458人。国内でこの3臓器の移植を待つ患者の4分の1を占めます。田中栄・東大病院長は「臓器提供が増えているのは望ましく、受け入れるように尽くしてきた。スタッフも病床も対応できる限界を超え、病院だけで改善するのは難しい」と話しています。

 東大病院は、心臓、肺、肝臓などの移植施設に選ばれており、2023年は、同日に2臓器を受け入れた日が23日を数え、2022年の15日から急増している。看護師や、生命維持装置などを扱う臨床工学技士が確保できないため、1日に行える移植手術は2件が限界で、3臓器目は受け入れを断念せざるを得ないといいます。

 厚生労働省移植医療対策推進室の担当者は、「臓器の受け入れが難しくなっていることは把握しているが、詳しい原因は確認していない」と話しています。

 日本臓器移植ネットワークは移植を待つ患者リストから、臓器ごとに優先順位を出して上位から順に移植施設に受け入れを要請します。施設が断った場合は、別の施設に確認します。

 移植を受けた患者らでつくるNPO法人「グリーンリボン推進協会」の大久保通方(みちかた)理事長は「ドナー増を見据えた移植体制の整備を国を通じて要望してきた。施設側の都合で移植が受けられなかった患者がいることに憤りを感じる。国と移植施設は早急に体制を整えてほしい」と求めています。

 2024年1月1日(月)

🟧群馬県で高病原性鳥インフル陽性確認、36万羽殺処分へ 養鶏場では全国で今季5例目

 群馬県は1日、同県高山村の養鶏場で見付かった高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)に感染した疑いのある鶏について、遺伝子検査で陽性が確認されたと発表しました。12月31日に養鶏場から、死んだ鶏の確認数が増えていると保健所に連絡があり、県が13羽を簡易検査したところ、すべて陽性でした。

 県は殺処分を速やかに実施するため、1日午前、自衛隊に災害派遣を要請し、この養鶏場で飼育する採卵鶏約36万羽の殺処分を始めたといいます。群馬県内での感染確認は今季初めてで、昨年1月以来では通算4例目。都道府県別では、鹿児島県や埼玉県などに次いで今季5例目となります。

 感染確認に伴い、県はこの養鶏場から半径3キロ以内にある3養鶏場(計約6万羽)について、鶏や卵の移動を制限。3~10キロ以内の7養鶏場(計約3000羽)については、域外への搬出を制限しました。この10養鶏場の鶏に異常は出ていないといいます。

 殺処分数は昨年1月の前橋市の約45万羽に次ぐ規模。県は7日までに殺処分を終え、10日までに消毒などの防疫措置を完了させる計画で、周辺の移動制限は1月下旬の解除を目指しています。

 2024年1月1日(月)

🟪インフルエンザの患者数が注意報の基準を超える 新型コロナと同時に流行ピークの恐れも

 インフルエンザの感染状況について、厚生労働省は20日、全国約5000の定点医療機関から9〜15日の1週間に報告された感染者数が1医療機関当たり19・06人だったと発表しました。前週(9・03人)と比べ2・11倍に急増し、「注意報」の基準の10人を超まし た。  都道府県別では...