2023/10/31

🟩福島第一原発の廃液かかるトラブル、飛散した量は公表の数十倍

 福島第一原発にある汚染水の処理設備を洗浄していた作業員に放射性物質を含む廃液がかかったトラブルで、東京電力は当初、飛散した廃液の量を約100ミリリットルと公表していましたが、実際にはその数十倍に上るとみられることが、作業員への聞き取りなどから新たにわかりました。

 10月25日、福島第一原発にある汚染水の処理設備で行われていた配管の洗浄作業中に、放射性物質を含む廃液をタンクに流すホースが外れて、作業員5人が防護服の上から廃液を浴びました。

 このうち20歳代と40歳代の男性作業員2人は当時監視役で防護服の上に雨がっぱを着用しておらず、汚染が確認され、福島県立医大病院入院して除染を続けていました。

 その結果、28日に放射能量が一定のレベルを下回ったことから、2人は退院しています。

 東京電力はトラブルが起きた当初、現場の床に残っていた廃液の量をもとにホースから飛散したのは約100ミリリットルとしていましたが、30日の会見で、その数十倍の数リットルに上るとみられることが新たにわかったと発表しました。

 廃液が噴き出る様子についての作業員たちの証言や、飛び散ったあとが残っていた床の面積などから推定し直したとしています。

 監視役だった2人には防水性のある雨カッパの着用が義務付けられていなかったことがわかっており、東京電力は、ルールの見直しを検討しています。

 2023年10月31日(火)

🟩プール熱の流行、秋になっても続く 患者数は過去10年の最多更新、7府県で警報レベル

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の流行が、秋になっても続いています。10月16日から22日までの1週間の患者数は過去10年間で最も多くなり、専門家は「今後も流行が続く可能性があり、換気や手洗いを心掛けて予防してほしい」と呼び掛けています。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心にのどの炎症や高熱、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで主に感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。ドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してもうつり、保育園、幼稚園、小学校などでの小児の集団発生も少なくありません。

 国立感染症研究所によりますと、10月22日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は6795人で、前の週から1279人増えました。

 1医療機関当たりでは2・16人で、これまで最も多かった前々週を上回り、過去10年で最も多くなりました。

 都道府県別にみますと、沖縄県が6・9人、福岡県が6・33人、奈良県が5・47人、佐賀県が4人、大阪府が3・58人、京都府が3・18人、三重県が3・07人と、7つの府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。41都道府県で前週を上回っています。 

 咽頭結膜熱は例年6月ごろの夏場が流行のピークですが、今年は秋になっても流行が続いています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「まだ流行は続く可能性があり、換気や手洗いを心掛けて予防してほしい。熱が3日以上続いたり、水分や食事がとれなかったりすると、重症化する可能性もあるので速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年10月31日(火)

🟩風邪薬など一部医薬品の大量販売、20歳未満に禁止案 オーバードーズ対策

 麻薬に似た成分を含む市販薬について、厚生労働省は30日、若者の間で広がる過剰摂取(オーバードーズ、OD)の対策として、20歳未満には大容量の製品や2個以上の販売を禁止する案を明らかにしました。

  案は、厚労省の検討会で示されました。厚労省は今後、専門家の意見を踏まえて案を取りまとめ、制度改正を目指します。

  薬局やドラッグストアで販売される風邪薬などの一部には、麻薬や覚醒剤に似た成分がわずかに含まれます。大量の摂取により、幻覚やけいれんを引き起こしたり、気分を高揚させたり、依存症にさせたりする場合があります。

 このため、厚労省はこうした作用のある6つの成分、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る)を「乱用の恐れのある医薬品」として指定。これらの成分が含まれる市販薬は1人1個の販売とすることなどを販売者に求めています。

 だが、1個でも中毒量や致死量に至るほどの大容量の薬が入った製品があるほか、ネット通販で簡単に購入できるなど、対策の実効性が問われていました。

 今回の案では、20歳未満に「乱用の恐れのある医薬品」を販売する場合、小容量の製品1個のみとし、2個以上や大容量の製品の販売は原則禁止としました。店頭では、客が手に取れない場所に陳列することにし、購入者の氏名や年齢を記録し、ネット通販では販売しないことも求めています。

 検討会の委員からは「ODをしてしまう若者の周囲の大人に、問題を周知する必要がある」「長期的には販売記録を一元管理できる仕組みが必要だ」などの意見が出されました。

  国立精神・神経医療研究センターの2021年度の調査によると、全国の高校生の1・6%に「過去1年間に市販薬の乱用経験がある」と推定されるといいます。背景には孤独や孤立、SNS(ネット交流サービス)の広がりがあると考えられています。

 2023年10月31日(火)

🟩O157感染の子供3人、ペッパーランチで食事 大分市の店舗、鹿児島県でも症状訴え

 ステーキチェーンの「ペッパーランチ」でハンバーグを食べた客が下痢や嘔吐などの体調不良を訴える被害が各地で相次ぐ中、30日までに大分市内で「O157」への感染が確認された子供3人がいずれもペッパーランチで食事をしていたことがわかり、保健所が関連を調べています。

 ペッパーランチを運営する「ホットパレット」は、今月14日から22日にかけて大分市と山口県、鹿児島県にある3つの店舗でハンバーグを食べた客合わせて5人が、下痢や嘔吐などの体調不良を訴えたと発表しました。

 会社は29日から、運営する全国の187店舗でハンバーグが入っているメニューの販売を休止しました。

 こうした中、大分市保健所によりますと、先週から30日までに腸管出血性大腸菌O157への感染が確認された児童と幼児合わせて3人が、いずれも大分市内のペッパーランチで食事をしていたということです。

 3人はいずれも入院していますが、快方に向かっているということです。3人はほかにも複数の飲食店を利用していて、感染経路は特定できておらず、保健所が関連を調査しています。

 また、鹿児島県によると、ペッパーランチの姶良(あいら)市内の店舗でも14日に食事をした1人が下痢や嘔吐の症状を訴えています。O157の感染については「調査中」だといいます。

 一方、ホットパレットでは店で食事をした後に体調不良を感じた場合には、相談窓口まで連絡するよう呼び掛けています。

 窓口の電話番号は03−5875−2566で、平日の午前9時から午後6時まで受け付けています。

 2023年10月31日(火)

2023/10/30

🟩介護離職、発生企業の5割超で支援制度を利用せず 介護休業・休暇制度の浸透に遅れ

 この1年間に家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をした従業員がいた企業のうち半数以上で、介護休業や介護休暇の制度が利用されていなかったことが、民間の信用調査会社のまとめでわかりました。信用調査会社は「制度の周知を徹底するなど早急な取り組みが必要だ」と指摘しています。

 この調査は「東京商工リサーチ」が10月、全国の企業を対象に行ったもので、5125社から回答を得ました。

 それによりますと、今年8月までの1年間に家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をした従業員がいた企業に、介護休業と介護休暇のいずれかの制度が利用されたかを尋ねたところ、回答のあった220社のうち「利用した従業員がいない」と答えた企業が54.・5%と、全体の半数以上に上りました。

 また仕事と介護の両立支援の取り組みが十分だと思うか尋ねたところ、全体の38%が「そう思わない」と答えました。

 さらになぜ十分ではないのか複数回答で尋ねたところ、多い順に、代替要員を確保しにくい、自分の会社に前例が少ない、介護休業制度が社員に浸透していないなどが挙げられました。

 調査を行った「東京商工リサーチ」は、「育児休業は知られるようになった一方で、介護休業や介護休暇の制度は認知度が低く利用せずに辞めている実態がある。今後、介護離職は増えると予想され、人手不足の中、企業にとっても痛手であることから、制度の周知を徹底するなど早急な取り組みが必要だ」と指摘しています。

 2023年10月30日(月)

🟩ブタの腎臓をサルに移植、最長2年以上生存 ハーバード大など「人への移植に近付いた」

 拒絶反応が起こりにくくなるよう遺伝子を改変したブタの腎臓をサルに移植したところ、最長2年以上生き延びたと、アメリカのハーバード大とアメリカのバイオ企業「イージェネシス」などの研究チームが発表しました。チームは「ブタの臓器を人に移植する臨床試験に近付く成果だ」としています。論文が、イギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載されました。

 人に移植する臓器は提供者(ドナー)が少なく、慢性的に不足しています。チームは、臓器の大きさや機能が人に近いブタの臓器で代用する方法を研究。腎不全患者など人への臨床試験の前段階として、サルに移植しました。

 ブタの腎臓をそのまま移植すると、拒絶反応が起こって正常に機能しません。チームは、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集の技術を使い、拒絶反応を起こすブタの遺伝子3種類を壊して働かないようにしました。さらに、過剰な免疫による炎症などを抑えるため、人の遺伝子7種類を追加しました。

 遺伝子改変したブタの腎臓をサル15匹にそれぞれ移植したところ、9匹が100日以上、最長で758日生存しました。6匹は1カ月以内に腎不全などで死にました。

 今回の研究は、人への移植を想定してブタの遺伝子を改変しており、人に移植した場合のほうが結果がよくなることが予想されるといい、研究チームの河合達郎・ハーバード大教授(移植外科)は「人に移植した場合は、拒絶反応がより抑えられる可能性が高い」と説明しています。

 愛知医科大病院・小林孝彰教授(移植外科)は、「これまでに報告された論文の中で最長の生存記録だ。サルでは血管障害が起きやすいなどの課題もあるが、人に移植して検証すべき段階にある」と解説しています。

 2023年10月30日(月)

🟩若年層の「献血離れ」が続く 30歳代以下、10年で3割減

 2022年度に献血をした30歳代以下は167万人で、2012年度の251万人から約33%減となり、若年層の「献血離れ」が続いています。この傾向が変わらなければ将来、輸血用血液の供給が不安定になる懸念もあり、厚生労働省と日本赤十字社は、早いうちから献血に関心を持ってもらおうと小中高生や大学生への啓発活動を強化しています。

 献血可能なのは16~69歳(65歳以上は条件あり)で、日赤によると2022年度の総献血者数は501万人。うち10歳代は22万人、20歳代は70万人、30歳代は75万人でした。10年以上前から総献血者数は500万人前後で推移しており、若年層の減少分を40歳代以上が支えている状態です。

 献血で集められた血液は、大半が50歳以上の医療に使われます。今後は少子高齢化で血液の需要が増す一方、献血に協力する人が減ることが懸念されています。

 献血バスが高校に出向く学内献血の減少が背景の一つで、30年前に6割ほどだった実施率は学校方針の変更などで2割前後まで減りました。献血に触れる機会が十分ではなかった世代は、成長しても積極的に献血へ行く人は少ないとみられます。

 2023年10月30日(月)

🟩ペッパーランチがハンバーグメニューの販売休止 客の嘔吐や下痢相次ぐ

 ステーキチェーン「ペッパーランチ」を運営するホットパレットは30日、ハンバーグを食べた人に嘔吐(おうと)や下痢の症状が相次いでいるとして、すべてのハンバーグメニューの販売を29日から休止したと発表しました。

 運営会社ホットパレットの発表によると、ペッパーランチの一部店舗で、10月14日から22日にかけて3店舗に来店した客5人から下痢や嘔吐などの症状が確認されたといいます。

 「発生原因については、保健所の指導の下に調査中」とした上で、症状が出た客が共通して食べていた「特製ハンバーグ」を含む、7ブランドの30品目のハンバーグメニューを一時販売休止しました。

 ホットパレットは「多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げる。体調不良の症状が見られたお客さまに真摯に対応する」と謝罪。感染源や感染経路は29日時点で特定できておらず、原因特定に努めるとしています

 ペッパーランチは「いきなりステーキ」などを手掛けるペッパーフードサービスが運営していましたが、同社は2020年にペッパーランチ事業を投資ファンドに売却、現在はホットパレットが運営しています。

 問い合わせはホットパレットお客様相談窓口、電話03(5875)2566。平日の午前9時から午後6時まで受け付けます。

 2023年10月30日(月)

2023/10/29

🟩利根川の支流で基準値超える「水銀」検出 工場排水の水質調査で発覚、群馬県明和町

 群馬県は26日夜、群馬県明和町にある工場の排水から基準値を超える水銀が検出されたと発表しました。すでに工場からの排水は停止していますが、県では詳しい調査結果がわかるまでは周辺の川に入らないように呼び掛けています。

 群馬県によりますと、基準値を超える水銀が確認されたのは利根川の支流、新堀川の導水路です。

 県が25日、群馬県明和町にある薬品メーカー「国産化学」の群馬工場から出る排水の定期的な調査を行ったところ、判明したということです。基準値は1リットル当たり0・005ミリグラムですが、検査の結果、基準値の7倍超となる0・038ミリグラムが確認されました。

 県などは引き続き調査を行うことにしています。また、すでに工場からの排水は停止していますが、県では水質汚染の可能性もあるとして詳しい調査結果がわかるまでは周辺の川に入らないように呼び掛けています。

 県によりますと、この工場から排出された水は新堀川を経由して谷田川や渡良瀬遊水地などに流れていくということです。

 基準値を超える水銀検出を受け、国土交通省関東地方整備局が26日夜、目視で導水路を確認しましたが、異常はなかったといいます。

 2023年10月29日(日)

🟩汚染水処理施設で廃液浴びた作業員2人が退院 福島第一原発

 東京電力は28日、福島第一原発の汚染水処理施設の配管の洗浄中、放射性物質を含む廃液を浴びて福島県立医大病院に入院していた協力企業の男性作業員2人が退院したと発表しました。東電によると、2人とも体調に問題はなく、汚染部位の皮膚に異常は確認されていません。引き続き経過観察を行うといいます。

 25日、福島第一原発の汚染水処理施設の定期点検中に、廃液をためるタンクからホースが外れ、作業員5人が防護服の上から廃液を浴びました。

 このうち20歳代と40歳代の男性作業員2人は当時監視役で防護服の上に雨がっぱを着用しておらず、25日夜に県立医大病院に入院し、除染を進めていましたが、28日、汚染のレベルが一定程度下がったため、医師の判断で退院したということです。

 身体汚染による作業員の入院は2011年3月以来。

 2023年10月29日(日)

🟩6歳未満の子供からの脳死臓器提供、国内30例目 臓器移植ネットワーク公表

 日本臓器移植ネットワークは28日、埼玉県の埼玉医大総合医療センターに入院していた6歳未満の女児が、改正臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表しました。国内の脳死臓器提供としては999件目、同ネットが公表した6歳未満の子供からの提供としては30例目となります。

 発表によると、家族が23日に臓器提供に同意し、26日までに脳死判定されました。28日に臓器が摘出され、心臓は10歳未満の男児、肝臓は別の10歳未満の男児、腎臓は10歳代の女性に、それぞれ移植される予定。

 6歳未満の子供からの脳死移植は、2010年に改正された臓器移植法で可能になりました。

 2023年10月29日(日)

2023/10/28

🟩脳死判定、累計1000例に達す 臓器移植法施行から26年、提供数底上げ急務

 日本臓器移植ネットワークは28日、中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60歳代の男性が、26日午後7時22分に臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表しました。脳死判定は1997年の臓器移植法施行後26年で1000例目。厚生労働省などによると、1000例の中には脳死判定後に臓器提供に至らなかったケースがあります。

 脳死下の臓器提供は増加傾向にあるものの、実際に移植を受けられたのは希望者の3%に満たず、臓器提供者(ドナー)不足が依然として課題となっています。

 脳死となった人からの臓器提供が初めて実施されたのは1999年。当時は「意思表示カード」などで生前に意思を書面で示しておく必要があったため、ドナーは年間3~13人にとどまっていました。

 2010年に改正法が施行され、家族の承諾による臓器提供と15歳未満からの臓器提供が可能になり、同年はドナーが32人に増えました。その後も増加傾向が続き、2019年には過去最多の97人に上りました。累計は2017年に500例に達した後、6年で倍増しました。 

 今年は27日時点で脳死提供数が100件と過去最多。脳死下の提供が増える一方で心停止後の提供は減っています。脳死提供臓器の移植を受けたのは25日時点で4347人。

 日本臓器移植ネットワークによると、これまでに移植された臓器は腎臓が最も多く、肝臓、肺、心臓の順でした。心停止後に提供できる臓器は腎臓、膵臓(すいぞう)、眼球に限られるものの、脳死後は心臓や肺、肝臓なども可能となります。心臓、肺、肝臓の移植件数は、昨年までの累計が700件を超えています。

 ドナーの年齢別(昨年末時点)で最も多かったのは、50歳代の194人で、40歳代181人、60歳代124人と続きました。18歳未満は65人で、うち6歳未満は25人でした。

 一方、待機患者約1万6000人のうち、昨年移植を受けたのは約3%の455人。臓器提供の約8割は本人の意思表示がなく、家族の承諾に基づいており、理解が進んでいないことも背景にあるとされます。

 日本臓器移植ネットワークは、「臓器移植は善意のドナーの存在があって初めて成り立つ医療。臓器提供の意思表示について家族などと話し合ってほしい」としています。

 2023年10月28日(土)

🟩5〜9月、熱中症で救急搬送9万1467人 過去2番目の多さ

 総務省消防庁は27日、今年5~9月に熱中症で救急搬送されたのは全国で9万1467人だったとの確定値を発表しました。2018年の9万5137人に続いて、過去2番目の多さでした。

 今年は5月中旬から各地で真夏日を記録し、気象庁によると7~9月の平均気温は3カ月連続で過去最高を更新。搬送者数も高止まりし、月別では5~7月と9月が過去2番目、8月も過去3番目に多くなりました。

 搬送後最初に行われた診断で死亡が確認されたのは107人で、3週間以上の入院を必要とする重症が1889人、短期入院の必要な中等症が2万7545人、軽症が6万1456人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が5万173人と半数あまりを占め、次いで、18歳以上65歳未満が3万910人、7歳以上18歳未満が9583人、7歳未満が801人となっています。

 場所別では、住居が3万6541人と最も多く、全体の4割近くを占め、次いで道路が1万5186人、屋外の駐車場や競技場などが1万1742人でした。

 この夏は青森県で初めて38度を上回ったほか、札幌市では過去最高の36・3度を観測するなど北日本でも暑さが際立ち、これに伴って搬送者も1万2032人と昨年(5512人)の2倍以上に上りました。

 総務省消防庁は、「全国的に暑い日が続いたので熱中症の搬送者数も多い日が続いた。来年に向けて厳しい暑さに慣れていない北日本での熱中症対策の普及や啓発をこれまで以上に進めていく」と話しています。

 2023年10月28日(土)

2023/10/27

🟩全国の新型コロナ感染者数、7週連続減 前週比0・86倍

 厚生労働省は27日、全国約5000の定点医療機関に16~22日に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数は前の週から2512人減って1万6075人で、1医療機関当たりの平均は3・25人だったと発表しました。前週比0・86倍で、7週連続で減少しました。

 8月末に流行のピークがみられ、その後減少が続いています。1週間で40都府県で減少しました。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多かったのは北海道6・79人、長野県5・17人、福島県4・93人、山梨県4・63人、石川県4・38人などとなっていて、7つの道と県で前の週より増加しています。少なかったのは島根県1・87人、東京都2・11人、神奈川県2・19人、福岡県2・29人、大分県2・29人など。

 また、10月22日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1138人で、前の週と比べて133人の減少でした。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「新型コロナの患者数は7週連続で減少し、新たに入院した患者も減少傾向であるが、例年、冬になるとコロナの感染が拡大傾向にあることから引き続き感染対策は続けてほしい」としています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、新型コロナウイルスの流行状況について、「感染者の数はかなり低い水準を維持しているが、これまでの経験からピークから4カ月か5カ月たつと、人々の免疫が低下し再拡大するリスクがある。引き続き冬や年明けの時期の流行には注意が必要だ」と話しています。

 そして今後の注意点について舘田教授は、「感染拡大を防ぐためには、インフルエンザも新型コロナも今まで行ってきた感染対策をできる範囲で継続していくしかない。具合が悪い時は外出せず、自宅療養を心掛け、不安がある人は早めに医療機関を受診し、薬を処方してもらうことが大事だ。また、インフルエンザはワクチンの接種が始まっているので、希望する人は早めに接種してほしい」と話しています。

 2023年10月27日(金)

🟩「スギ花粉米」実用化を促進、政府 医薬品に活用、アレルギー緩和

 政府は、近く取りまとめる新たな経済対策に、摂取すると花粉によるアレルギー症状緩和が期待できるコメ「スギ花粉米」の研究開発促進を盛り込む方針を固めました。粉末化した花粉米を錠剤やカプセルに加工し、医薬品としての活用を想定しています。2024年度中に医療機関で安全性と効果を確かめる臨床試験を始めたい考えで、10年以内の実用化を目指します。政府関係者が26日に明らかにしました。

 スギ花粉米は、花粉症の原因物質となるタンパク質の一部遺伝子を組み込んだイネを栽培して作ります。農林水産省所管の農業・食品産業技術総合研究機構が2000年度から開発を進めています。マウスにこのスギ花粉米を食べさせる実験を行った結果、普通のコメを食べさせているマウスよりも、花粉症を引き起こす抗体を70%減らす効果があることが確かめられています。

 実用化されれば、スギ花粉の飛散開始を前にスギ花粉米の有効成分を含んだ錠剤を一定期間服用して徐々に体を慣らすことで、アレルギー症状の緩和が期待できるといいます。

 2023年10月27日(金)

🟩インフルエンザ感染者、前週比1・48倍で推計54万人 愛媛県は「警報」レベルに

 厚生労働省は27日、全国約5000の定点医療機関から16~22日に報告されたインフルエンザの感染者数は計8万1160人で、1医療機関当たり16・41人だったと発表しました。前週比1・48倍で、沖縄県を除く46都道府県で増加。全国の推計感染者数は約54万4000人でした。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最多なのは愛媛県の39・90人で、「警報」の基準となる30人を上回りました。次いで多いのは千葉県29・39人、埼玉県28・41人で、警報目前となっています。「注意報」レベルの1医療機関当たり10人を超えたのは31都府県。

 少なかったのは福井県2・15人、富山県3・42人、岩手県3・62人など。休校や学級閉鎖などになったのは全国で計3751施設でした。

 新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降はインフルエンザの流行規模が小さく、免疫が低下するなどして、すべての年代が感染しやすくなっているとみられます。

 厚労省はマスク着用や手洗いなど、基本的な感染対策が有効だと呼び掛けています。

 2023年10月27日(金)

2023/10/26

🟩井戸から国の値の10倍のPFAS検出 静岡市清水区の化学工場、敷地の外で

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使用していた静岡市清水区三保の化学工場従業員の血液から高濃度のPFASが検出された問題で、工場敷地外の井戸で24日に採取した水から国の目標値を10倍以上上回るPFASが検出されたことが、京都大准教授と静岡新聞社の調査で25日までにわかりました。

 内部資料から2006年12月、工場敷地内南西にある井戸から目標値の3万8000倍以上に当たるPFASの一種PFOA(ピーフォア)が検出されていたことも、明らかになりました。

 工場は、現在の「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水工場で、「テフロン」で知られるフッ素樹脂などを生産しています。2000年代初頭まで年間10トン程度のPFOAを大気中や敷地外の水路に排出し、2007年までに排出をほぼ全廃。2013年には使用自体を工場全体で廃止しました。

 敷地外の井戸のPFASの濃度は、京都大医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析。静岡新聞社が地主の許可を得て、工場敷地内南西の井戸から半径数百メートル以内にあり、地下5~10メートルから採水する家庭菜園用の井戸2カ所から24日に採水した水を調べました。現在製造や輸入が禁止されているPFASの一種PFOAとPFOS(ピーフォス)の1リットル当たりの濃度は534・72ナノグラムと234・68ナノグラムとなり、同50ナノグラムとする目標値の10・6~4・6倍でした。

 原田准教授は、「過去の経緯から清水工場由来のPFASであると考えてよいだろう。行政は広範囲の地下水、土壌調査を行う必要がある」と指摘しました。

 内部資料によると、2006年12月時点で工場敷地内南西の井戸からは、国の目標値の3万8760倍となる1リットル当たり193万8000ナノグラムを計測。PFOA排出をやめた2007年3月にも目標値の1万6880倍の同84万4000ナノグラムでした。

 三井・ケマーズフロロプロダクツは、工場からの排水は「適切な管理をしている」とした上で、工場の敷地外の調査はしていないとしました。今後は「周辺環境(敷地外)調査は行政の要請にもとづき、協力していく」と回答しました。

 2023年10月26日(木)

🟩東京都のプール熱の感染者数、前週に続き警報の基準超える

 東京都内の感染症について、都は26日、10月22日までの1週間の動向を公表しました。

 それによりますと、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の感染者数は、1医療機関当たり2・41人で、前の週の1・18倍に増え、引き続き警報の基準を超えています。

 また、インフルエンザの感染者数は、1医療機関当たり21・74人で、前の週の1・34倍になり、引き続き注意報の基準を超えています。

 一方、新型コロナの感染者数は、1医療機関当たり2・11人で、7週続けて減少しています。

 都によりますと、10月16日から22日までの1定点医療機関当たりの患者報告数は2・11人で、前の週の2・33人からさらに減少しました。減少は7週連続で、今年5月の新型コロナ5類移行後で最も低くなりました。

 また、10月23日時点の入院患者数は580人で、前の週から約100人減少しました。

 専門家は、「入院患者数は引き続き減少し、現時点では入院医療提供体制への大きな負荷はみられない」と分析しています。

 都は、換気や、場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年10月26日(木)

🟩福島第一原発、汚染水処理設備で作業員5人に廃液かかる 除染と経過観察のため2人入院

 東京電力は、福島第一原子力発電所で、汚染水の処理設備を洗浄していた作業員5人に誤って放射性物質を含む廃液がかかるトラブルがあったと発表しました。いずれも防護服などを着用していましたが、このうち2人は除染をしても放射線量が基準を下回らなかったことから、福島県立医科大学に搬送して引き続き除染を続けています。

 東京電力によりますと、25日午前10時半すぎ、協力会社の20~40歳代の男性作業員5人が汚染水の処理設備で、配管の内部を洗浄していたところ放射性物質を含む廃液をタンクに流すためのホースが外れ、約100ミリリットルの廃液が周囲に飛び散りました。

 この際、作業員に廃液がかかりましたが、いずれも防護服と全面マスクを着用していて、放射性物質を体の中に取り込むことはなかったということです。

 ただ、このうち4人は廃液が皮膚まで届き、東京電力は水で洗い流す対応を取ったということですが、20歳と40歳代の男性作業員2人は9時間近くがたっても、放射線量の値が一定のレベルを下回らなかったため、福島県立医科大学に入院して除染を続けているということです。

 東京電力によりますと、医師の診断の結果、放射線による急性の障害はみられていないということで、詳しい被ばく線量などを確認しているということです。入院期間は不明ですが、2週間は経過観察する見通し。

 東京電力によりますと、20歳代男性の外部被ばく線量はベータ線で6・6ミリシーベルト。線量計に設定していた5ミリシーベルトを上回り、現場でアラームが鳴りました。40歳代男性の被ばくは1・6ミリシーベルトでした。ガンマ線による2人の被ばくは最大0・11ミリシーベルトで、25日の作業で想定していた最大量0・6ミリシーベルトを下回りました。

 2023年10月26日(木)

🟩新型コロナワクチン誤接種、9歳児に12歳以上用 千葉県習志野の医療機関

 千葉県習志野市は25日、新型コロナウイルスワクチンの接種を巡り、市内の医療機関で、本来は12歳以上を対象とするオミクロン型対応型ワクチンを誤って9歳11カ月の男児に接種していたと発表しました。これまでのところ男児の健康状態に変化はなく、体調に問題はないとしています。

 市によると、この医療機関では12歳以上が対象のワクチンしか取り扱っていないものの、接種の予約を受け付けた時点と10月21日の接種当日の両方で男児の年齢確認を怠ったことで誤接種が発生したとしています。

 23日に医療機関側が男児の接種情報をシステム上に登録しようとしたところ、年齢誤りのエラーが出たため、誤接種を認知。医療機関側は保護者に連絡し、謝罪しました。

 市は再発防止策として、コロナワクチンの接種を手掛ける市内の医療機関を対象に、今回の誤接種のケースを共有するとともに、接種時の年齢確認の徹底を指導していくとしています。

 2023年10月26日(木)

2023/10/25

🟩性別変更の条件に生殖能力なくす手術必要な規定は「違憲」 最高裁大法定決定

 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、最高裁判所大法廷は「意思に反して体を傷付けられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として、憲法に違反して無効だと判断しました。

 法律の規定を最高裁が憲法違反と判断するのは戦後12例目で、性的少数者(LGBTなど)の権利に関しては初めて。国会は法律の見直しを迫られることになります。

 性同一性障害の人の戸籍上の性別について定めた性同一性障害特例法では、生殖機能がないことや、変更後の性別に似た性器の外観を備えていることなど複数の要件を満たした場合に限って性別の変更を認めていて、事実上、手術が必要とされています。

 この要件について、戸籍上は男性で女性として社会生活を送る当事者は「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反だ」として、手術なしで性別の変更を認めるように家庭裁判所に申し立てましたが、家裁と高等裁判所は認めませんでした。

 25日の決定で、最高裁判所大法廷の戸倉三郎裁判長は、生殖機能をなくす手術を求める要件について「憲法が保障する意思に反して体を傷付けられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として、憲法に違反して無効だと判断しました。

 一方、そうした制約の必要があるかどうかについて、子供が生まれ、親子関係の問題が生じるのは極めてまれで解決も可能なこと、特例法の施行から19年がたち、これまで1万人以上の性別変更が認められたこと、性同一性障害への理解が広がり、環境整備が行われていること、海外でも生殖機能がないことを性別変更の要件にしない国が増えていることなどを挙げて「社会の変化により制約の必要性は低減している」と指摘しました。

 憲法違反の判断は、裁判官15人全員一致の意見です。最高裁は2019年1月、性別変更後に変更前の生殖機能で子供が生まれれば、親子関係で社会に混乱が生じる恐れがあるとして生殖不能手術要件を合憲と判断していました。この際は裁判官4人の小法廷による決定でしたが、裁判官全15人が審理に参加する大法廷で憲法判断を変更しました。

 一方、手術なしで性別の変更を認めるよう求めた当事者の申し立てについては、変更後の性別に似た性器の外観を備えているという別の要件について審理を尽くしていないとして、高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。申立人の性別変更が認められるかは結論が持ち越されました。

 下級審は最高裁の判断に拘束されるため、生殖不能手術を受けていない人が今後、性別変更を望んだ場合、他の要件を満たしていれば性別変更を認めることが可能となります。ただ、外観要件は維持されるため、変更後の性別の性器に近付ける適合手術が必要となるケースは残るとみられます。

 2023年10月25日(水)

🟩旧優生保護法で不妊手術強制、2審も国に賠償命じる 仙台高等裁判所

 旧優生保護法(1948~1996年)の下で不妊手術を強いられたとして、宮城県内の男性2人が国に計6600万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、仙台高等裁判所でありました。小林久起裁判長は、国に計3300万円の賠償を命じた1審・仙台地方裁判所判決を支持し、国側の控訴を棄却しました。

 同種訴訟は全国12地裁・支部に起こされ、高裁判決は7件目。過去6件のうち4件は請求を認めたものの、残る2件は、不法行為から20年がすぎると賠償請求権が消える「除斥期間」を適用するなどして請求を退けており、判断は分かれています。

 訴えたのは、70~80歳代の男性2人。それぞれ1950~1960年代に旧優生保護法に基づいて不妊手術を受けさせられたと主張。子供を生み育てるかどうか意思決定する自由などを奪われ、憲法に違反するなどとして提訴しました。

 今年3月の1審判決は旧優生保護法について、幸福追求権を定めた憲法13条や法の下の平等を保障した憲法14条に反すると判断。国が優生思想を普及させる中、提訴するのは難しかったとし、除斥期間の適用は「著しく正義・公平の理念に反する」として国に賠償を命じていました。

 2023年10月25日(水)

🟩2021年度の医療費、過去最高の45兆円 新型コロナ受診控えの反動で2年ぶり増

 保険診療の対象となる病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた2021年度の医療費の総額「国民医療費」は、前年度より2兆694億円(4・8%)増えて45兆359億円でした。年代別にみると、65歳以上が27兆3036億円で、全体の60・6%を占めました。

 厚生労働省が24日、発表しました。2019年度の44兆3895億円を上回り、過去最高となりました。

 新型コロナの感染拡大に伴う医療機関の受診控えが収まった反動で、前年度から増えた額では過去最大となりました。都道府県別でみると、前年度からの増加幅が最も大きかったのは東京都の7・4%でした。神奈川県、埼玉県、千葉県と続いていて、新型コロナの感染者数が首都圏で比較的多かったことが影響したとみられています。新型コロナにかかわる医療費は全体で4500億円となりました。

 2021年度の国民1人当たりの医療費は、前年度から1万8200円(5・3%)増えて35万8800円。年齢別では、「0~14歳」が前年度比16・7%増の16万3500円で、大きく伸びました。新型コロナ禍の受診控えの反動や、RSウイルスの流行などが影響したとみられます。「15~44歳」は前年度比9・3%増の13万3300円、「45~64歳」は前年度比4・9%増の29万700円、「65歳以上」が前年度比2・8%増の75万4000円でした。

 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大で受診控えが起きたほか、マスク着用や手洗いといった対策で、例年より他の感染症が流行しなかったことなどから、医療費が減少しました。2021年度は再び増加に転じました。

 2023年10月25日(水)

2023/10/24

🟩大麻草が原料の医薬品容認へ 大麻取締法などの改正案を閣議決定

 政府は、大麻草を原料にした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、すでに禁じられている「所持」や「譲渡」に加えて「使用」も禁止することを盛り込んだ大麻取締法などの改正案を24日の閣議で決定しました。

 大麻草を原料にした医薬品は、欧米各国で薬事承認され、難治性のてんかんの治療目的などで使用されていますが、国内では大麻取締法で規制されて医療現場で使えないことから。医療関係者や患者から解禁を求める声が出ていました。

 政府が24日の閣議で決定した大麻取締法などの改正案では、大麻草を原料にした医薬品で、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を認めるほか、繊維や種子の採取、研究目的にのみ認められている大麻草の栽培を、医薬品などの原料を採取する目的でも認めるとしています。

 一方、若者などが大麻を乱用するのを防ぐため、新たに「麻薬及び向精神薬取締法」で規制する「麻薬」に位置付け、すでに禁止されている「所持」や「譲渡」などに加え、「使用」を禁止することも盛り込んでいます。

 厚生労働省によりますと、難治性のてんかん治療などに使用するための大麻草を原料にした医薬品は、すでに国内での治験が始まっており、使用が可能になれば2万人から4万人が対象になると見込まれています。

 政府は今の臨時国会で改正案の成立を目指す方針で、2024年にも施行します。

 2023年10月24日(火)

🟩新型コロナなど4種類のウイルスを同時検査 富山大と東洋紡がキット開発

 富山大は23日、フィルムや機能繊維などを手掛ける東洋紡(大阪市)と共同で、新型コロナウイルスとA型インフルエンザ、B型インフルエンザ、RSウイルスに感染しているかどうかを同時に調べられる検査キットを開発したと発表しました。富山大独自の新型コロナに関する技術を活用し、各ウイルスを別々に調べる負担を軽減し、検査の効率化につなげます。10月末から東洋紡が医療機関や検査施設向けに販売します。

 東洋紡によると、この4種類のウイルスを一度に検査するキットが、厚生労働省から製造販売承認を受けたのは国内初。検査時間は約15分といいます。従来はコロナとインフルや、インフルとRSウイルスの同時検査にとどまっており、症状だけでは判別しにくいことから何度も綿棒を患者の鼻の中に入れて調べる必要がありました。

 開発にかかわったのは、富山大先端抗体医薬開発センターの磯部正治センター長と学術研究部工学系の黒澤信幸教授の研究チーム。2021年5月に東洋紡とともにコロナの抗原検査キットを開発した後、4種類を一度に検査する研究を進めてきました。研究チームの持つコロナの抗体取得技術などを活用しました。

 今冬は新型コロナとインフルの同時流行が懸念されており、磯部センター長は「本格的な冬を前に販売にこぎ着けられてよかった。広く利用されることを期待したい」と話しました。

 2023年10月24日(火)

🟩プール熱の患者数、3週間ぶりに減少 専門家「流行は落ち着くだろう」

 子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の患者数が3週間ぶりに減少しました。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルや

プールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、10月15日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者の数は5516人で、前の週よりも300人余り減少しました。

 1医療機関当たりでは1・75人で、過去10年で最多だった前の週よりも0・12人少なくなっています。患者数が減少するのは3週間ぶりです。

 地域別では、福岡県が5・62人、沖縄県が5・19人、奈良県が4・15人、佐賀県が3・22人、大阪府が3・06人となり、国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「すでに多くの人が感染したため、今後、流行は落ち着くだろう。一方、インフルエンザの患者数が増え始めていて、過去3年間大きな流行がなかったことを考えると、今年は大きな流行になるリスクがある。体調不良の時は休み、熱が続く時は医療機関にゆくなど引き続き注意をしてほしい」と話しています。

 2023年10月24日(火)

🟩ポップコーンで心肺停止、4歳未満に与えないで 小児科学会が窒息リスクに注意呼び掛け

 ポップコーンを喉に詰まらせて窒息する危険性があるとして、日本小児科学会が4歳未満の子供には与えないよう呼び掛けています。特にトウモロコシを加熱した際に破裂せず残ってしまった未破裂コーンは硬くて嚙み切りづらいため、より注意が必要だとしています。

 小児科学会の傷害速報では、昨年12月に起きた事故を報告。当時1歳9カ月だった女児は、大型商業施設に設置された自動販売機で購入したポップコーンを食べていた際にむせ込みました。母親が背中をたたくとコーンを数粒吐き出したものの、すぐに顔色不良、全身脱力し、反応が消失したといいます。通行人により心肺蘇生措置が実施され、1分後に反応が出現して救急搬送。

 蘇生から1時間後、医療機関に到着。気管支鏡検査で気道に異物を確認後、バスケットカテーテルで摘出されました。摘出後は心停止後症候群として5日間集中治療室(ICU)で全身管理を行い、13日後に後遺症なく退院しました。

 気管支から摘出されたのは未破裂コーンで、直径6ミリほどの大きさでした。同学会は「市販の製品に未破裂コーンが交じっている可能性は低いが、自販機で買ったり自宅で作ったりした際は取り除いてから食べる必要がある」としています。

 ポップコーンは破裂したものでも窒息リスクが高く、アメリカ小児科学会(AAP)は、4歳未満の子供の手の届かないところで保管するよう推奨しています。一方、日本ではこれまで、ポップコーンに関して、年齢制限や誤嚥に関する注意喚起は行われていませんでした。食品を口の中に入れたまま走るなどの行動により窒息や誤嚥につながりやすいものの、今回は容器を傾けて一気に摂取したことが窒息リスクを高めたと思われます。

 日本小児科学会は予防について、①ポップコーンは窒息リスクの高い食品であることを知っておく、②食事の際には窒息につながる要因をできるだけ減らす、③ポップコーンを食べる際には未破裂コーンが混在することがあると知っておく、④4歳未満児にはポップコーンを与えない、⑤ポップコーンを食べる際には未破裂コーンを取り除いて1個ずつ食べるーを推奨してしています。

 赤坂ファミリークリニック(東京都港区)院長の小児科医、伊藤明子(みつこ)さんによると、4、5歳ぐらいまでの幼児は、のみ込んだ飲食物が気道に入るのを防ぐ喉頭蓋がうまく働かないために、誤嚥しやすいため、ポップコーンに限らずプチトマトやブドウなどでも同様に窒息事故のリスクがあるといいます。

 また、今回の事故では、女児が底に残ったポップコーンを一気に食べようと、容器を傾けて口に流し込むようにしていたことも重視。「4歳未満の子供に食べ物を与える時は、あらかじめ小さく切っておき、親がそばで顔を見られる位置、角度、距離で様子を見守ることが大切だ」と話しています。

 2023年10月24日(火)

2023/10/23

🟩沢井製薬、胃炎薬の品質確認試験を不正な方法で実施 2015年から継続的に

 大阪市に本社のある後発薬大手の沢井製薬は23日、九州工場(福岡県飯塚市)で製造する胃潰瘍や急性胃炎向けの後発薬で、厚生労働省に提出した承認書とは異なる方法で品質確認試験をしていたと発表しました。2015年以降、8年間にわたって不正が続いていました。後発薬では他社でも品質不正が相次いでおり、信頼の回復が求められています。

 不正があったのは「テプレノンカプセル50ミリグラム(サワイ)」。製造後3年が経過した薬のカプセルが、胃の中で問題なく溶け出すかを調べる試験(溶出試験)で不正がありました。カプセルに入っている中身を取り出し、劣化していない新しいカプセルに詰め替えて試験していたといいます。

 23日の記者会見で沢井製薬の木村元彦社長は、2023年4月に、九州工場の品質管理部門の担当者が代わったことを切っ掛けに不正が発覚したと説明しました。6月に外部の専門家や弁護士を含む特別調査委員会を立ち上げ、10月20日に報告書を受け取りました。7月には使用期限内のすべてのテプレノンを自主回収したとしています。

 木村社長は「(違うカプセルに)詰め替えをして試験してもよいという間違った認識が広がってしまっていた」と不正が起きた理由を説明しました。現場のリーダー格の社員が、誤った手順での試験を上層部からの指示であると誤認し、試験不正を繰り返していました。詰め替えは担当者間で、口伝えで指示されてきたといいます。

 健康被害については、「カプセルが溶けないため薬効が期待できないものの、今回の問題で健康被害の報告はないし、起こる可能性は非常に低い」としています。同様の試験不正は他の工場では行われておらず、九州工場でもテプレノンのみにとどまると説明しました。

 工場の操業停止については、「当局の判断に委ねる」として明言を避けました。厚労省の担当者は「行政処分に関してはまだ調査中の段階で未定。調査結果を踏まえた上で、不正に対しては厳正に対処していく」としました。省内からは「今回の不正に関しては特に健康被害が出るものではない」との声も出ており、慎重に処分内容を検討します。

 後発薬業界では品質を巡る不正が相次いでおり、2020年12月には小林化工が製造した真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用後に意識を失うなどの健康被害が相次ぎました。2021年3月には日医工が、国が承認した工程とは異なる手法での製造を10年以上前から続けていたとして業務停止命令を受けました。

 品質不正を受けて小林化工は後発薬事業から撤退し、生産・物流拠点をサワイグループホールディングス(大阪市)が引き継いでいました。日医工は2022年5月に私的整理を申請し、企業再生ファンドのもとで経営再建を進めています。

 長生堂製薬(徳島市)や共和薬品工業(大阪市)などの後発薬メーカーも品質不正で行政処分を受けています。後発薬メーカーは規模が比較的小さく、品質検査などに十分な人員を配置できないことも、不正の一因になっているとみられます。

 小林化工や日医工の問題が発生して以降、供給力が大きく落ち込んだことで後発薬不足が表面化しました。大手である沢井製薬の供給が停滞すれば、後発薬の不足にさらに拍車がかかる可能性があります。

 2023年10月23日(月)

🟧デング熱や新型コロナなどのウイルス増殖を抑える化合物を発見 北海道大

 北海道大学はデングウイルスや新型コロナウイルスの増殖を抑える化合物を発見しました。ウイルスに感染したマウスに化合物を投与すると、生存率が向上することを確かめました。製薬企業と連携し、数年以内に臨床試験(治験)を始めたい考えです。

 デングウイルスなどの遺伝情報はRNA(リボ核酸)に刻まれており、RNAからRNAを複製して新しいウイルスを作り出します。発見した化合物はRNAの材料となる物質に似た構造をしています。ウイルスが増殖する際にこの化合物を利用すると、RNAの複製が失敗し、ウイルスの増殖を抑えることができます。

 新型コロナウイルス治療薬のラゲブリオやベクルリーも同様にRNAの複製を失敗させる仕組みです。「効果は同等もしくはやや弱いが、安全性は高そうだ」と北海道大学の前仲勝実教授は話しており、発見した化合物を体内に投与した際、生物の遺伝情報に変異を引き起こす度合いが検出限界以下だったことを確かめました。

 デングウイルスに感染したマウスに化合物を飲ませたり、新型コロナウイルスに感染したマウスに注射したりしたところ、いずれもマウスの生存率が向上しました。例えばデングウイルスに感染させた直後に化合物を多く投与すると、感染から16日たっても6割が生存しました。化合物を投与しなかったマウスは10日で全滅しました。

 デングウイルスや新型コロナウイルス以外にも、日本脳炎やジカ、黄熱などRNAを遺伝情報に持つさまざまなウイルスに対して効果があることも、細胞実験で確認しました。特にデング熱やジカ熱は有効な治療薬がなく、世界的に問題となっています。現在連携する企業を探しており、まずはデング熱で数年以内に治験を始めたいとしています。

 2023年10月23日(月)

🟧ES細胞の医療製品、初の承認申請へ 国立成育医療研究センター、肝臓病の赤ちゃん治療に

 重い肝臓病の赤ちゃんに、体のさまざまな細胞になれるES細胞(胚性幹細胞)から作った肝細胞を移植する国立成育医療研究センターの臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとして、企業を通じて本年度中に再生医療等製品として国に承認申請することが23日、明らかになりました。

 承認されれば来年度中にも実用化の可能性があり、国内初となります。ES細胞を用いた治療は、海外では目の病気や脊髄損傷などを対象に治験が進んでいるものの、実用化の報告はまだありません。

 生まれ付き有毒なアンモニアが分解できずにたまる「尿素サイクル異常症」の赤ちゃんが対象。8000~4万4000人に1人の割合で発症します。

 不妊治療で余った受精卵から作製したES細胞を肝細胞に成長させ、へその緒から患者の肝臓内の血管に注入し、アンモニアの分解を助けます。

 ES細胞は、受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製されます。ES細胞は、さまざまな細胞に分化しあらゆる組織や臓器になることができるというメリットがあります。また、ES細胞は無限に近い形で増殖させることが可能です。

 2023年10月23日(月)

2023/10/22

🟧「がん治療と仕事の両立は困難」と感じている人は54%に がん検診率減、新型コロナ影響か

 がん対策に関する内閣府の世論調査で、自分ががんになった場合、治療を受けながら働き続けるのは難しいと感じている人は54%に上り、厚生労働省は、治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたいとしています。

 内閣府は、今年7月から8月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象にがん対策に関する世論調査を行い、54%に当たる1626人から回答を得ました。

 それによりますと、仮に自分ががんになって、治療や検査のために2週間に1度程度、病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか聞いたところ、「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と答えた人は45%だった一方、「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」と答えた人は54%でした。

 このうち「そう思わない」と答えた人に理由を尋ねたところ、「体力的に困難」が28%と最も多く、次いで「代わりに仕事をする人がいない、いても頼みにくい」が22%、「職場が休むことを許してくれるかわからない」が16%でした。

 厚生労働省の担当者は、「職場での理解促進や相談支援体制の充実を進めてきた効果が一定程度表れているが、まだ半数以上の人が両立が難しいと感じている。引き続き治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたい」と話しています。

 また、2年以内にがん検診を受診した人の割合は42・7%で、2019年の前回調査より約14ポイント減少。新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があります。

 2023年10月22日(日)

🟧患者の検体取り違えで良性の前立腺摘出 静岡県立総合病院で医療ミス

 静岡市葵区の静岡県立総合病院が前立腺がんの疑いで検査した患者2人の検体を取り違え、悪性腫瘍がなかった同市の60歳代男性の前立腺を摘出し、悪性腫瘍のある同市の80歳代男性の治療開始が遅れたことが20日、明らかになりました。小西靖彦院長らが同日、静岡県庁で記者会見を開き、経緯を説明しました。

 2人は4月の同じ日、同じ手術室で連続して、病変の一部を切り取って顕微鏡で調べる生体検査(生検)を受けました。同病院の医療事故調査委員会の調べでは、その際に採取した細胞組織を取り違えて容器に入れた可能性があるといいます。

 60歳代男性は別人のデータに基づく告知を受け、7月中旬にロボット支援の腹腔(ふくくう)鏡手術で前立腺を全摘出したものの、摘出した組織は病理検査で良性でした。DNA鑑定により、80歳代男性と検体が取り違えられていることが判明。60歳代男性は前立腺の摘出後に尿漏れなどが起きていて、現在は同病院が定期的に健康状態を確認しています。

 80歳代男性はリンパ節への転移がみられ、現在ホルモン療法を受けています。吉村耕治副院長は「治療開始は実質的には5カ月ほどの遅れが生じた」としました。 

 生検では患者ごとに台車を分け、伝票、名前などを記載した検体容器を準備しています。同病院は患者2人と家族に謝罪した上で、再発防止策として「連続で生検を実施する際は患者ごとに部屋を分けて準備する」「患者のリストバンドと検体容器に貼られたバーコードを照合する」ことをマニュアルに盛り込みました。

 2023年10月22日(日)

2023/10/20

🟧第一三共、新型がん治療薬で世界開拓 アメリカのメルクと提携、最大3・3兆円受領

 第一三共は20日、同社の技術を使ったがん領域の3製品でアメリカのメルクと全世界での開発・商業化契約を結んだと発表しました。第一三共は販売のマイルストーンも含め最大で220億ドル(約3兆3000億円)を受け取るとしています。国内製薬会社の契約としては過去最高額となります。

 第一三共の発表によると、内訳は40億ドルの契約時一時金、15億ドルの後払い一時金と、最大165億ドルの販売マイルストーンで、対象製品は同社独自のDXd-ADC技術を用いた「パトリツマブ デルクステカン」、「DS-7300」と「DS-6000」の3製品。製造と供給は第一三共が担います。

 発表を受けて、第一三共株は6営業日ぶりに反発して取引を開始。一時前日比18%高の4210円と、第一製薬と三共が経営統合した2005年9月以降で最大の日中上昇率となりました。

 同社は4月に、2026年3月期の売上高目標を2兆円とする計画を公表。そのうち9000億円以上をがん領域から叩き出す計画です。がん細胞に標的を絞り、抗体に付加した薬物をがん細胞内に直接届ける抗体薬物複合体(ADC)で同社は世界をリードしており、適用できるがんの範囲を拡大しようとしています。

 同社はこれまでイギリスのアストラゼネカと、乳がん治療など向けの「エンハーツ」製品で提携しています。開発中の製品については単独での販売展開も視野に入れていたものの、ADC領域での競合相手だったメルクとも新たに提携することとなりました。

 第一三共によると、全世界における3製品合計の年間売り上げ規模は、2030年代半ばに向けて、数十億ドルに達する可能性があるといいます。

 2023年10月20日(金)

🟧インフルエンザ患者、「注意報」基準超える 1医療機関当たり11・07人

 インフルエンザの流行状況について、10月15日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者の数は、1医療機関当たり11・07人となりました。前週比1・11倍で、それぞれの自治体がインフルエンザの「注意報」を出す基準となっている10人を超えました。例年より1カ月以上早くなっています。

 国立感染症研究所などによりますと、10月15日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より約5500人増え5万4709人となりました。

 1医療機関当たりでは全国で11・07人となっており、それぞれの自治体が「注意報」を出す基準となっている10人を超えました。

 地域ごとでは、沖縄県が25・37人、千葉県が20・86人、埼玉県が19・69人、愛媛県が18・45人、山口県が17・58人などとなっており、17の都と県で「注意報レベル」の10人を超えています。

 新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降は、インフルエンザの感染が少なかったため、免疫が低下するなどし、すべての年代が感染しやすくなっているとみられます。

 厚労省は「今年は例年より早く本格的な流行が始まる可能性がある」と注意を呼び掛けています。

 2023年10月20日(金)

🟧9月に熱中症で搬送、9193人 過去2番目の多さ

 総務省消防庁は20日、9月に熱中症で病院に救急搬送されたのは全国で9193人だったとの確定値を発表しました。搬送数は前年9月(4931人)の約1・9倍で、集計を始めた2008年以降、2019年の9532人に次いで2番目の多さでした。

 9月の平均気温が全国的に高かったことが影響しました。

 病院に搬送後に死亡が確認されたのは10府県の計12人。3週間以上の入院が必要な重症は132人、短期入院が必要な中等症は2411人でした。

 年齢別では、約半数の4597人が65歳以上。発生場所は、庭なども含む「住居」が2802人で最も多くなりました。

 都道府県別では、大阪府が708人で最多となり、東京都636人、愛知県609人と続きました。

 2023年10月20日(金)

🟧新型コロナ、1医療機関当たり平均患者数が前週比0・72倍 ピークをすぎて6週連続減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月15日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が3・76人で、前の週の0・72倍となっています。

 厚生労働省は「ピークをすぎて6週連続減少しているが、引き続き感染対策は続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月15日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から7043人減って1万8587人となりました。

 1つの医療機関当たりの平均の患者数は3・76人で、前の週の0・72倍となりました。

前の週から減少が続くのは6週連続です。

 都道府県別では多い順に、北海道が6・61人、岐阜県が6・13人、石川県が5・58人、沖縄県が5・54人、長野県が5・38人などとなっていて、香川県のみ前の週より増加しています。

 また、今月15日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1245人で、前の週と比べて265人の減少でした。

 厚労省は全国の流行状況について、「ピークをすぎて6週連続減少しているが、インフルエンザの患者は増加傾向にあるほか、例年、冬にコロナの感染が拡大することからも引き続き、感染対策は続けてほしい」としています。

 都道府県別の1医療機関当たりの平均患者数は、北海道は6・61人、岐阜県は6・13人、石川県は5・58人、沖縄県は5・54人、長野県は5・38人、愛知県は5・12人、福島県は5・11人、山梨県は5・05人、香川県は4・85人、奈良県は4・65人、茨城県は4・53人、岩手県は4・48人、富山県は4・38人、静岡県は4・24人、群馬県は4・13人、鳥取県は4・1人。

 2023年10月20日(金)

2023/10/19

🟧エムスリーと富士製薬工業、月経困難症の治療薬を国内で承認申請

 医師向け情報サイト運営のエムスリーと富士製薬工業は18日、月経困難症を対象としたホルモン剤「FSNー013」の国内での販売に向けて、厚生労働省に承認申請をしたと発表しました。2024年中の販売を目指し、両社で準備を進めるとしています。

 富士製薬工業がベルギーの製薬企業「ミスラ・ファーマシューティカルズ」から導入した天然型エストロゲンの成分「エステトロール」を使って製造します。既存製品と比べて血栓症のリスク低減が期待できるといいます。アメリカやヨーロッパではすでに販売しており、タイでは富士製薬工業の現地子会社を通じて5月から販売を始めました。

 月経困難症は月経期間中に吐き気や頭痛、食欲不振などの症状が出ます。富士製薬工業は治療薬として低用量ピル「ルナベル」を国内で販売しているものの、低用量ピルを使った治療は海外に比べ普及していません。ホルモン剤を加えることで、患者の選択肢を増やせるとみています。

 2023年10月19日(木)

🟧新型コロナワクチン、新たに1000万回分を追加購入 厚労省発表

 新型コロナウイルスのワクチン接種について、一部の自治体や医療機関で予約が取りづらくなっていることなどから、厚生労働省は新たに1000万回分のワクチンを追加購入したと発表しました。

 新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応するワクチンは、9月20日から希望する生後6カ月以上のすべての人を対象に接種が行われています。

 厚労省はワクチンの廃棄ができるだけ少なくなるよう、接種希望者の人数の状況を確認しながらメーカーから購入をしており、今年7月に2500万回分を購入したほか、9月には1000万回分を追加購入しています。

 一方、一部の自治体や医療機関では、希望者が当初の見込みよりも多く、接種の予約が取りづらい状況が続いています。

 感染が拡大する冬を前に、今後も接種が滞りなく行えるよう厚労省は、ファイザーのワクチン900万回分と、モデルナのワクチン100万回分を追加購入したことを19日発表しました。

 ワクチンは11月から年内にかけて、自治体や医療機関に配送される予定です。

 厚労省は、「打ちたい人が滞りなくワクチンを打てるよう今後も確実に供給していきたい」としています。

 2023年10月19日(木)

🟧千葉県、新型コロナ感染者6週連続減少 インフルエンザは0・99倍に微減

 千葉県は18日、県内204の定点医療機関から1週間(9~15日)に報告された新型コロナウイルスの感染者数が1医療機関当たり3・75人で、前週の0・60倍(2・42人減)になったと発表しました。減少は6週連続で、16保健所のうち野田を除く15保健所で平均報告数が前週を下回りました。

 インフルエンザは20・86人で、0・99倍に微減しました。

 県の週報によると、新型コロナは16保健所別で長生が最多の5・86人。次いで海匝が5・50人、君津が5・15人、船橋が4・88人、印旛が4・75人でした。

 年代別の総数は、50歳代が最も多く107人。10歳代が102人、40歳代が96人、30歳代が86人、20歳代が84人と続きました。

 インフルエンザは保健所別で、海匝が最多の47・0人、習志野が27・87人、松戸が26・36人でした。

 2023年10月19日(木)

2023/10/18

🟧特別養護老人ホームの6割強が赤字、コロナ禍前の2倍近くに 2022年度、物価高や光熱費上昇が影響

 特別養護老人ホーム(特養)の経営者らで構成する全国老人福祉施設協議会は、2022年度の特別養護老人ホームの経営状況について、6割強が赤字だったとする調査結果をまとめました。物価高や光熱費の上昇などが響きました。介護サービスを巡る経営環境は厳しさを増していると指摘しました。

 全国の約1600の特養を対象に、2023年7〜9月に調査しました。特養は社会福祉法人や地方自治体が運営していて、常時介護を必要とする要介護3以上の人が入居できます。介護保険を活用できるため、利用者は月額の費用負担を比較的安価に抑えることができます。

 2022年度は62%(992施設)が赤字で、2021年度の43%から19ポイント上昇し、2005年の調査開始以降で最大になり、コロナ禍前と比べて2倍近くになりました。物価高や光熱費の上昇といった経営コストの増加が収益を圧迫しました。国からの補助金などを含んだ場合でも51%(816施設)が赤字でした。

 収入に占める利益の割合を示し、経営状況に関する指標の1つとなる「収支差率」も調べました。加盟する特養の収支差率は2022年度に平均でマイナス2・8と、初めてマイナスに転じました。2021年度を3・6ポイント下回っています。

 特養の経営は、コロナ禍を境に悪化が進んできました。赤字施設の比率は、コロナ禍前の2019年度は34・3%だったものの、2020年度は40・8%と初めて4割を超え、2021年度も43%とさらに拡大。補助金などを含めた赤字も急激に増え、2022年度に初めて5割を超えました。

 2024年度は2年に1度の診療報酬と、3年に1度の介護報酬の改定が重なるダブル改定の年となります。協議会の担当者は、「赤字が6割を超えるのは初めてで、想像以上に厳しい状態にある」と話し、「次の介護報酬改定では大幅な報酬の引き上げが不可欠だ」との考えも示しました。

 2023年10月18日(水)

🟧埼玉県、インフルエンザ患者数は増加傾向 1医療機関当たり19・69人に

 埼玉県内のインフルエンザの患者数は1医療機関当たり19・69人と前の週よりも増加し、県は流行が継続しているとして、手洗いやうがいの徹底を呼び掛けています。

 県によりますと、10月15日までの1週間に、県内260の医療機関から報告されたインフルエンザの患者は5119人で、1医療機関当たり19・69人となりました。

 前の週と比べて3・61人増えており、県が9月20日に9月としては異例の「流行注意報」を出して以降、増加傾向が続いています。

 埼玉県は、「新型コロナは感染者が減少している一方、インフルエンザの感染は増えている。双方の対策は共通しているので、手洗い、換気などを徹底し、体調が悪い時は外出を控えてほしい。インフルエンザの予防接種も始まっているので早めに打ってほしい」と話しています。

 2023年10月18日(水)

🟧マダニの媒介による感染症「SFTS」、患者数が過去最多 全国で122人

 マダニが媒介するウイルスによって発熱や下痢などが引き起こされる感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」を発症した患者数が、全国で122人となり、統計を取り始めてから最も多くなりました。専門家は、温暖化でマダニの生息域が広がっていることによる影響を指摘しています。

 SFTSは、マダニにかまれることで感染し、発熱や下痢などの症状を引き起こします。

特効薬がないこともあり、専門家によりますと、致死率が約10%に上るとされています。

 国立感染症研究所によりますと、今年の患者数は10月8日の時点で、全国で122人となり、感染症法で全数把握対象疾患である4類感染症に指定されて統計を取り始めた2013年以降、最も多かった昨年の年間の患者数の118人をすでに上回りました。

 都道府県別では、山口県が最も多く13人、次いで、宮崎県が12人、大分県が11人などと、西日本が多く、神奈川県でも1人となっています。

 SFTSに詳しい長崎大学の安田二朗教授は、「温暖化の影響で、マダニの生息域が広がっている可能性がある。これまで報告されていなかった地域でも患者が報告されるようになっている。晴れた日はマダニの動きが活発になるため、キャンプや山菜採りなどで山の中に行く際は長袖や長ズボンを着用するなど、注意してほしい」と話していました。

 厚生労働省は、特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけてはマダニに刺される危険性が高まるため、マダニが多く生息している草むらなどに入る際は、長袖や長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻くなど肌の露出を少なくするよう呼び掛けています。

 屋外で活動した後は入浴してマダニに刺されていないかチェックし、万が一刺された場合は、マダニを無理に引き剥がそうとせず、医療機関で除去や洗浄などの処置を受けることが必要です。そして、数週間程度は体調の変化に注意して発熱などの症状があれば医療機関を受診してほしいとしています。

 専門家は、農作業や森林での作業や、キャンプや山菜採りで山の中に入る場合のほか、ペットの犬や猫から感染することもあるとして、注意が必要だとしています。

 2023年10月18日(水)

2023/10/17

🟧脳死下の臓器提供、1000件へ 増加傾向もドナー足りず、臓器移植法施行から26年

 1997年10月16日の臓器移植法施行から26年が経過し、脳死となった人からの臓器提供は、国内で間もなく1000件となります。提供数は増加傾向で、2023年は過去最多となっています。だが、希望する多くの患者が移植を受けられず、国内の提供者(ドナー)数は世界的にも少ない状態が続いています。

 10月16日は、家族や大切な人と「臓器移植」や「いのち」について話し合い、考える「グリーンリボンデー」です。

 脳死下の臓器提供は、(1)「移植のために臓器を提供する」という意思を本人が表明していて、家族が提供を拒まない場合、(2)本人の意思が不明で、提供することを家族が書面で承諾した場合にのみ可能となります。

 「提供したくない」という意思も尊重されます。事前に「提供したくない」と意思表示していた場合は、臓器が移植に使われることはありません。

 10月15日時点の脳死となった人からの臓器提供は996件で、近く1000件となる見通しです。

 臓器移植ネットワーク(JOT)が公表した9月末までの991人分のデータを分析すると、ドナーの年代は働き盛りの世代が多いことがわかります。50歳代が222人(22%)と最多で、40歳代が192人(19%)でした。15歳未満の子供のドナーは47人(5%)、60歳代以上は143人(14%)。性別は男性が約6割、女性が約4割でした。

 臓器移植法施行後、初めて脳死からの臓器提供が行われたのは1999年。本人が事前に提供意思をドナーカードなどで示す必要があり、当初は年間、数~十数件にとどまりました。

 臓器移植法改正により2010年からは、家族の承諾で提供ができるようになり、大幅に増加。2023年は100件(15日時点)で、過去最多となっています。

 JOTによると、国内で移植を希望し登録する人は、時期によって増減はあるものの、約1万6000人。昨年1年間に移植を受けたのは455人(心停止後の提供も含む)で、年約3%しか移植を受けられていないことになります。

 ドナーが少ない背景には、提供の意思表示をする人が増えていないことや、提供にかかわる医療機関の体制が整っていないことが挙げられています。

 2023年10月17日(火)

🟧プール熱の患者、過去10年で最も多い状態が続く 福岡など6府県で「警報レベル」 

 子供がかかりやすく、高熱や結膜炎などの症状が出る咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の10月2日から8日までの1週間に報告された患者が、過去10年で最多を記録した前週(9月25日から10月1日)を上回ったことが、国立感染症研究所が17日に公表した速報でわかりました。過去10年最多を2週連続で更新しており、患者が増加傾向の自治体は警戒を強めています。

 いわゆるプール熱は、高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を起こすアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、全国約3000の小児科の医療機関で、10月8日までの1週間に報告された患者は前の週から2週連続で増えて、5854人でした。

 1医療機関当たりの患者数は1・87人で、過去10年間で最も多くなった前の週の1・81人をさらに上回りました。

 都道府県別でみると、1医療機関当たりの患者が最も多いのは福岡県で5・83人、次いで、沖縄県で4・97人、大阪府で3・82人、奈良県で3・5人、佐賀県で3・39人、京都府で3・2人と、6府県で警報レベルとされる「3・0人」を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「例年、秋は感染症の患者が減る時期だが、今年に限ってはさまざまな種類の感染症が流行し発熱やのどの症状で受診する患者が高止まりしている状況だと思う。プール熱はのどの痛みで食事や水分がとれず脱水気味になることがあるので、水分がとれず元気がない時は医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年10月17日(火)

🟧有害性指摘のPFAS、2つの浄水施設で国の値超える濃度検出 岡山県吉備中央町と三重県桑名市

 有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)のうち有害性が指摘されている2つの物質について、岡山県の浄水場で国の値の20倍を超える濃度が検出されるなど、全国の2つの浄水施設の水道水から国の値を超える濃度が検出されたことがわかりました。

 有機フッ素化合物のPFASは、水や油をはじき、熱や薬品に強いなどの特性を持つ化学物質で1万種類以上が存在するとされます。そのPFASの中の「PFOS(ピーフォス)」は金属メッキや泡消火薬剤、「PFOA(ピーフォア)」は界面活性剤など幅広い用途で使用されてきましたが、この2つの物質は発がん性や子供の成長への影響などが報告され、体内で蓄積しやすく自然界で分解しないことから現在は製造や輸入が原則禁止されています。

 国は1リットル当たりのPFASの濃度を50ナノグラムとする暫定目標値を設定し、2020年度から水質検査の実施に努めるとする項目に追加しました。

 日本水道協会が公表した2021年度に全国1247地点で行われた水道水の水質検査の結果によりますと、PFASの2つの物質について、岡山県吉備中央町の「円城浄水場」で国の暫定目標値の24倍に当たる1リットル当たり1200ナノグラム、三重県桑名市の「多度中部送水場」で3・4倍に当たる1リットル当たり170ナノグラムが検出されたということです。

 厚生労働省によりますと、PFASの測定結果が初めて公表された前回、2020年度の調査で国の値を超えたのは589の調査地点のうち5地点で、三重県桑名市は前回に続き、値を超えました。

 一方、岡山県吉備中央町は今回が初めての結果公表のため前回のデータはありません。

 前回、国の値を超えた神奈川県座間市、長野市、兵庫県宝塚市、沖縄県金武町は、今回は値を下回りました。

 PFASの環境省専門家会議のメンバーでもある京都大学大学院の原田浩二准教授は、「1000ナノグラムを超えているのは、水道水の汚染の中では極めて高い状況だ。発生源はどこになるのか、低減対策などが可能かどうかについて検討する必要がある」と話しています。

 国の値の20倍を超える濃度のPFASが浄水場から検出された岡山県吉備中央町は17日に会見を開き、該当する地域では水道水を飲み水として利用しないよう呼び掛けました。

 吉備中央町によりますと、522世帯の約1000人が利用する水道水を供給している「円城浄水場」で、2021年度の検査で、国の値の24倍に当たる1リットル当たり1200ナノグラム、2022年度は28倍に当たる1400ナノグラムのPFASが検出されたということです。

 山本雅則町長などが17日に会見を開き、原因は不明で、該当する地域の世帯では水道水を飲み水として利用しないよう呼び掛けるとともに、給水車を派遣したり、ペットボトルの水を配ったりする対応をとっていることを明らかにしました。

 また、国の値を超える調査結果をこれまで公表してこなかったことについて、「飲み水として適切だと判断したが、認識が甘かった」などと説明しました。

 町は、この浄水場について、PFASの除去に一定の効果があるという活性炭を置き換えたり、別のダムの水に入れ替えることも検討しているということです。

 山本町長は、「高い数値が出て驚いている。原因究明が必要なので、県と協議しながら対応していきたい」と話していました。

 2023年10月17日(火)

2023/10/16

🟧治療継続のコロナ後遺症に初の傷病補償年金支給 症状が2年以上続く東京都内の女性に 

 新型コロナウイルス感染後に労災認定を受け、後遺症が2年以上続く東京都内の女性(55)に対し、「傷病補償年金」の支給が認められました。コロナの労災認定は約20万件に上るものの、後遺症による年金支給は初めてとみられます。社会が平時の姿を取り戻す一方、原因不明の症状に苦しむ人は多く、救済につながるとして期待の声も上がっています。

 9月中旬、東京都内で記者会見した女性はハンカチを握りしめ、苦しい胸の内を明かしました。

 2021年1月、勤務先の有料老人ホームで集団感染が起き、事務職だった女性も感染しました。CT検査で両肺が真っ白になるほどの肺炎に陥り、一時入院。退院後も息苦しさは残り、自宅での酸素吸入が必要となりました。

 同年5月に労災請求し、同年7月に認定を受けたものの、1日に2リットルの酸素が必要で「ずっとチューブにつながれた状態」(女性)。感染前は運動不足解消のため2駅分歩くこともあったものの、ほとんど外出はしなくなり、歩行速度も以前の半分に満たないほどに落ちました。

 倦怠(けんたい)感や頭痛も残り、家の中でも体と相談しながら動く日々。少し活動量が増えると、翌日から2~3日は寝込んでしまうという不安定な状態での職場復帰は、到底考えられませんでした。

 労働基準監督署から傷病補償年金の支給決定通知を受けたのは今年5月。「ほっとした」という女性は、休職扱いとなっていた勤務先を退職し、現在は療養に専念できています。

 厚生労働省の研究班は9月、3自治体の住民らを対象に行った調査で、成人のコロナ感染者11・7~23・4%に後遺症があったとする結果を公表。重症化しにくいとされるオミクロン型の罹患(りかん)者にも、倦怠感、咳(せき)、集中力の低下などの症状が、感染から2カ月以上続く人が多くいる実態が明らかとなりました。

 コロナ感染による労災申請は今年8月31日時点で約21万件。このうち、認定を受けたのは約20万件に上っています。

 傷病補償年金の支給は労災認定を受けていることが前提となり、療養開始後1年半を経過しても傷病が治らず、重い症状が続いている人を対象として、労基署長が認定可否を判断します。

 NPO法人「東京労働安全衛生センター」(東京都江東区)によると、これまで傷病補償年金の支給対象となった多くは、重度のじん肺や脊髄損傷などの患者でした。女性は呼吸器障害で傷病等級3級に該当すると判断されたといい、コロナ後遺症では初のケースとみられるといいます。

 同センターの飯田勝泰事務局長は、「今回のケースは後遺症に苦しんでいる方にも年金を適用できるという事例を示したものであり、患者にとっては治療を続けていく上で大きな支えになる」と指摘。「国は労災申請の勧奨に取り組むとともに、症状が相当程度重い方については年金移行に該当するかを審査し、移行できるものは移行してもらいたい」と訴えました。

 2023年10月16日(月)

🟧アステラス製薬の更年期障害薬、ヨーロッパ当局が承認勧告

 アステラス製薬は16日、更年期障害向け治療薬「フェゾリネタント」について、女性の閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状「VMS」に対する経口の非ホルモン治療薬として、ヨーロッパ医薬品庁(EMA)のヨーロッパ医薬品委員会(CHMP)が販売承認勧告を採択したと発表しました。CHMPの販売承認勧告を受けて、欧州委員会(EC)が今後67日以内に最終的な承認可否を判断する予定。

 VMSは、顔のほてりやのぼせ、夜の発汗などの症状が特徴。フェゾリネタントは、脳の体温調節中枢のバランス回復を助け、閉経に伴う中等度から重度のVMSの頻度と重症度を軽減すると期待されます。

 現在、更年期障害にはホルモン補充療法が行われているものの、乳がんと血栓の発症リスクを高める恐れがあります。フェゾリネタントは非ホルモン治療薬で、臨床試験によって症状を緩和し、患者の生活の質が向上することが示されました。ただし、同薬には肝酵素の上昇ないし肝障害の発症についての注意書きが添付されます。

 フェゾリネタントは5月に、アメリカで承認を取得しています。アステラス製薬は同薬のピーク時の売上高を最大5000億円と見込み、注力製品の1つと位置付けています。

 CHMPの販売承認勧告により、イギリス医薬品医療製品規制庁(MHRA)への承認申請が可能となり、MHRAによる承認可否の判断は数カ月以内に行われる見込み。

 2023年10月16日(月)

🟧新型コロナの飲み薬、「自己負担あり」変更後に処方率減少 10月1週目は前週から9ポイント減

 新型コロナウイルスの感染が確認された新規患者に、医師が新型コロナの飲み薬を出す処方率が、10月1週目(1~7日)に急減したことが、民間の診療情報データベースで明らかになりました。

 飲み薬3製品(ゾコーバ、パキロビッド、ラゲブリオ)の合計の処方率は、9月最終週(24~30日)は22・2%でしたが、10月1週目は13・1%と9・1ポイント低下。専門家は、10月から新型コロナ治療薬について一部患者負担を求め始めたことが影響しているとみています。なお、薬剤ごとの低下率は非公開。

 医師向け情報提供企業「エムスリー」が全国約4100のクリニックから集めた診療情報データベース「JAMDAS」(Japan Medical Data Survey:日本臨床実態調査)によると、新型コロナの飲み薬の処方率は7月23~29日の週に20%を超え、9月最終週まで20%以上で推移してきました。国内では今夏、感染第8波が広がったこともあり、重症化リスクの高い患者らを中心に医療現場で一定程度、飲み薬の処方が定着してきたとみられます。

 一方、政府は10月から、それまで「患者負担ゼロ」としてきた新型コロナ治療薬の公費支援を見直し、所得に応じて患者が上限3000~9000円を負担する対応に切り替えました。

 新型コロナ治療薬は高額で、例えばラゲブリオの薬価は約9万円。窓口負担が3割の人は本来であれば2万7000円を払う必要がある中、政府としては激変緩和策として自己負担を最大9000円に抑えた形ながら、患者側からは「負担増」と映っているとみられます。

 国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は、「10月に入り『お金を払うのであれば薬はいらない』という患者が増えてきている。重症化予防という点で重要な薬で、内服した方がよいと思われる患者もいるが、説明しても拒否されると残念ながら断念せざるを得ない」と説明。この秋冬に懸念される新型コロナの再流行についても「ハイリスク者で薬を『使わない』選択をする人が増えると、医療負荷が大きくなる懸念がある」と語っています。

 2023年10月16日(月)

🟧医師の時間外労働、年間960時間超えが2割 2022年の勤務実態調査

 来年度から医師の働き方改革が本格的に始まるのを前に、去年行われた医師の勤務実態調査の結果が公表され、休日・時間外労働の時間が来年度以降、「上限」の1つとなる年間960時間を超える医師の割合は4年前より減少したものの、依然として2割に上っていたことがわかりました。

 医師の働き方を巡っては2024年4月から、患者の診療に当たる勤務医に対して、労働基準法に基づき、休日・時間外労働の上限規定が適用され、年間換算で960時間が上限となります。

 これを前に、12日、厚生労働省の検討会が開かれ、2022年に行われた医師の勤務実態調査の結果が公表されました。

 この中で、休日・時間外労働時間が年間に換算すると、過労死ラインとされる月平均80時間に相当する960時間の上限を超える医師の割合は全体の21・2%、1920時間を超える医師は3・6%いることがわかりました。4年前の同様の調査より16・6%と4・9%、それぞれ減少したものの、依然、長時間労働が課題となっています。

 一方、働き方改革と地域医療体制の維持との両立が課題となる中、地域医療で中心的な役割を担う医療機関への調査では、来年4月時点で、大学病院の医師の引き上げにより診療機能に支障が出ることが見込まれる医療機関の数は、46の都道府県で合わせて「30」あったということです。

 検討会で委員からは、「単に労働時間を短縮するのでなく、現場の医師がワークライフバランスを実感できることが重要だ」とか、「自己研さんの時間が適切に勤務時間と認められているのか見直す必要がある」といった意見が出されていました。

 来年4月に向けて、各地の医療機関は労働時間短縮に向けた計画をまとめていて、国は研修会などを通して今後、さらに長時間労働の是正に向けた呼び掛けを進めることにしています。

 2023年10月16日(月)

2023/10/15

🟧新型コロナ後遺症、血液中物質に特定の変化 アメリカの大学の研究チーム発表

 新型コロナウイルスの感染後、症状が長引く人では、ストレス反応にかかわるホルモンが減少するなど、血液中の物質に特定の変化がみられるとする研究成果を、アメリカの研究チームが発表しました。研究チームは新型コロナの「後遺症」の正確な診断や治療法の開発に応用できるとしています。

 この研究は、アメリカのコネチカット州ニューヘイブンに本部を置くイエール大学の岩崎明子教授らの研究チームが、科学雑誌「ネイチャー」で発表しました。

 研究チームは、新型コロナに感染した後、けん怠感や息苦しさなど、何らかの症状が長引く「後遺症」が1年以上ある人と、感染後、後遺症がない人、感染しなかった人など、合わせて268人の血液成分を分析しました。

 その結果、後遺症がある人たちでは、血液中にあるB細胞やT細胞と呼ばれる特定の免疫細胞が増加していたほか、体内で潜伏していたヘルペスウイルスが活性化するなどの変化が確認されたということです。

 さらに、後遺症がある人では、体の状態を一定に保ちストレス反応にかかわる「コルチゾール」というホルモンの量が、後遺症がない人や感染しなかった人と比べ、半減していました。

 研究チームは、こうした変化を指標にすることで、新型コロナの後遺症の正確な診断や、治療法の開発につながるとしています。

 岩崎教授は「後遺症の中でも、けん怠感は、コルチゾールの低下が要因だと考えられ、ほかの症状も、免疫とホルモンの量が不安定になることで起きている可能性がある。後遺症があることを周りに理解されず悩み続ける人も多いので、原因の解明を目指し、さらに研究を進めたい」と話しています。

 2023年10月15日(日)

🟧ローソン、サラダチキンを自主回収 パッケージに記載がないアレルギー物質混入

 コンビニエンスストア大手のローソンは14日、全国で販売していたサラダチキンの商品の一部で、パッケージに記載のないアレルギー物質が混入していたとして、対象の6万個余りを自主回収すると発表しました。

 自主回収されるのは、ローソンのプライベートブランド商品で、伊藤ハム米久ホールディングスが輸入と加工を行っている「大きなサラダチキン 柚子こしょう風味」のうち、10月3日から14日午後5時までに全国の店舗に納品された約6万2000個です。

 会社側によりますと、13日に商品を食べた人から「小麦アレルギーの症状が出た」と問い合わせがあり、調べたところ、パッケージに記載のないアレルギー物質の「小麦、卵、乳成分」が混入していたことがわかったということです。

 今のところ健康被害の報告は1件で、対象商品は製造を中止し、店頭から撤去したということですが、約1万8000個がすでに購入されたということで、アレルギーのある人は口にしないよう呼び掛けています。

 原因は調査中だということで、ローソンは「お客さまにご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。再発の防止と品質管理の徹底に努めてまいります」とコメントしています。

 問い合わせ先は、フリーダイヤル0120-07-3963で、15日と平日の午前9時から午後5時まで、受け付けています。

 2023年10月15日(日)

2023/10/14

🟧睡眠時間が理想より不足、うつ病リスク高まる傾向 厚労省・過労死白書

 厚生労働省は13日、2023年版の「過労死等防止対策白書」を公表しました。睡眠時間が理想より不足すればするほど、うつ病などになるリスクが高まるという調査結果を示し、「心身の健康を保つためには、睡眠時間の確保が重要」と指摘しました。

 白書では、労働者や自営業者ら9852人を対象に、昨年12月に行ったアンケート調査の結果を分析しました。理想とする睡眠時間は、「7~8時間未満」が最多の約45%でしたが、実際に確保できているのは、「5~6時間未満」が最も多く約36%でした。

 睡眠時間と精神状態の関係を比較したところ、うつ病や不安障害の疑いがある人の割合は、理想の睡眠時間を確保している場合や、理想より1時間不足している場合では20%未満でした。これに対し、理想から2時間不足すると約28%、3時間不足すると約38%に上り、理想と実際の睡眠時間の差が広がると、精神状態が悪化する傾向がみられました。差が広がるにつれて、幸福感も低下する傾向がみられました。

 また、前日の疲労を翌朝に持ち越すことがある人の割合は、労働時間が「週20~40時間未満」で約53%だったのに対し、「週60時間以上」では約69%に達しました。

 「週60時間以上」だった人は2022年に8・9%で、前年から0・1ポイント増え、9年ぶりに増加に転じました。「週60時間以上」働いている人の4割以上が理想の睡眠時間から2時間以上不足していました。

 白書は、「労働時間が長い人は疲労を翌日に持ち越しやすく、うつ傾向も高い。心身の健康を保つため、睡眠時間を確保することが重要になる」としています。

 白書ではこのほか、芸術・芸能分野で働く人たちの労働実態も初めて調査。640人の回答を分析したところ、「声優・アナウンサー」(35人)の約26%、「俳優・スタントマン」(108人)の約20%がセクハラ被害を受けた経験があると答えました。

 2023年10月14日(土)

🟧海外から入る感染症、到着旅客機などの下水の分析で検知へ 関西空港で研究開始

 国際空港のターミナルや旅客機から出された下水を分析することで、海外から入ってくる感染症の流行を予測し、対策に役立てようという研究が、関西空港で始まりました。この研究は、大阪公立大学の研究チームが進めます。

 関西空港の下水を処理する浄化センターのタンクから、ターミナルや旅客機のトイレから出された処理する前の汚水を採取し、感染症を引き起こすウイルスや細菌の有無や量を分析します。

 13日から泉佐野市の大学の研究室で分析が始まり、メンバーは12日に採取した汚水約3リットルを遠心分離機にかけて沈殿物を取り出していました。

 研究チームでは、月に2回程度汚水を採取して、新型コロナウイルスやインフルエンザ、はしか、デング熱など、約30種類の感染症について大阪府内での流行状況を照合して関連を分析し、流行の予測につなげたいとしています。

 研究チームによりますと、国内のいわゆる国際空港でこうした研究が行われるのは初めてだということです。

 研究チームの代表を務める大阪公立大学大阪国際感染症研究センターの山崎伸二 教授は、「たくさんの外国人がくる2025年の大阪・関西万博までに流行の予測モデルをつくり、感染対策に活用したい。未知の感染症・病原体の把握にも努めたい」と話しています。

 下水に含まれるウイルスや細菌の遺伝子を分析し感染症の流行をとらえる「下水サーベイランス」は、欧米の一部の国際空港では水際対策の一環として取り入れられています。

 日本でも新型コロナウイルスの感染拡大で注目されましたが、活用には課題もあります。

国は2021年に下水サーベイランスの推進計画を策定し、自治体や大学、研究機関など合わせて20のグループが新型コロナウイルスについて下水処理場などで実証実験を行いました。

 その結果、市中の流行状況や変異型ウイルスへの置き換わりについては、相関関係が確認できたということです。

 一方で、大量の水に希釈される下水という特性からデータのばらつきが大きいことに加え、汚水の採取や分析の手法が複数ありノウハウが不足しているなど、課題も多いということです。

 今回の大阪公立大学の研究では、こうした技術的な課題の解決策についても検討を進めることにしています。

 2023年10月14日(土)

🟧冬に多発「入浴時の突然死」、約9割が65歳以上の高齢者 鹿児島大が調査

 寒さが厳しい時期の入浴時などに起きる突然死について、鹿児島大学の研究チームが検視を行った警察の協力を得て調査したところ、入浴中やその前後に起きた突然死の約9割が65歳以上の高齢者で、半数が12月から2月の冬場に集中していたことがわかりました。

 気温が低く、1日の気温差が大きいほど突然死が起きやすいということで、研究チームは警戒を呼び掛けることにしています。

 鹿児島大学の研究チームは、2006年から2019年までの14年間に、鹿児島県内で入浴中やその前後に突然死した2689人について、年齢や発生した日時などを検視を行った警察の協力を得て調査しました。

 その結果、全体の約9割が65歳以上の高齢者で、半数のケースが12月から2月の冬場に集中していたほか、気温が低く1日の気温差が大きいほど突然死が起きやすいことがわかったということです。

 統計上の分析では、入浴時の死亡リスクが高まるのは鹿児島市で最高気温が14・5度未満で、最低気温が5度未満、そして、1日の気温差が8度を超えた場合だとしています。

 こうした突然死は、脱衣所と浴室、それに浴槽内のお湯との温度差によって血圧が急激に変化し、心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」が原因と考えられていますが、特に高血圧の既往症のある人が全体の4割以上を占めていました。

 2019年までの14年間に鹿児島県内で入浴時の突然死で亡くなった人は、同じ時期に交通事故で亡くなった960人の3倍近くに上っているということです。

 研究チームは高齢化に伴って今後もさらに増えることが予想されるとして、入浴する場合は脱衣所と浴室の間の温度差をなくし、浴槽に入る前に心臓から遠いところから体に湯をかけること、それに、同居している人と声を掛け合うことなどを心掛けてほしいとしています。

 また、鹿児島大学は11月から2024年2月まで、分析した気温条件により、突然死の恐れが高いと予想される日は、入浴に気を付けるよう呼び掛ける警戒情報(アラート)をホームページで発表することにしました。

 例えば、鹿児島市の場合は、最高気温が14・5度以下、最低気温が5度以下、1日の気温差が8度以上の時に死亡のリスクが高まることから、3つの条件が重なる時に「警戒(赤)」、2つが「注意(黃)」、1つ以下の時は「油断禁物(青))」となります。

 このような試みは全国初ということで、鹿児島大学は効果などを検証した上でこの取り組みを全国に広めていきたい考えです。

 2023年10月14日(土)

🟧潰瘍性大腸炎の治療薬「ミリキズマブ」、クローン病への効果を治験で確認 アメリカのイーライ・リリー

 アメリカの医薬品大手のイーライ・リリーはこのほど、同社の潰瘍性大腸炎の治療薬「ミリキズマブ」について、消化器系の難病クローン病への効果を後期臨床試験(治験)で確認したと発表しました。この結果を受けて、2024年にアメリカなどで販売承認を申請する計画です。

 治験では中度から重度のクローン病の患者にミリキズマブを投与し、偽薬(プラセボ)を投与したグループと比較。52週目の時点でクローン病の症状がない「寛解」状態だった患者はミリキズマブ投与のグループでは54%でした。偽薬投与グループの約2割を大きく上回っており、クローン病の症状改善に効果が期待できると結論付けました。

 ミリキズマブは潰瘍性大腸炎の治療薬として、日本で2023年3月に承認を取得し、日本イーライ・リリーが製品供給を担当し、持田製薬が「オンボー」の商品名で販売しています。

 クローン病は腸など消化器に慢性の炎症を引き起こす難病。遺伝や免疫の働き、食生活などが発症に影響すると考えられているものの、はっきりとした原因はわかっていません。

 アメリカではクローン病と潰瘍性大腸炎を合わせた患者数は2015年の時点で約300万人でした。日本のクローン病患者は7万人程度とされ、アメリカに比べて発症率は低いものの、患者数は増加傾向にあります。

 2023年10月14日(土)

2023/10/13

🟧全国のインフルエンザ患者は推計32万6000人 例年より早く本格的流行も

 インフルエンザの感染状況について、10月8日までの1週間に医療機関を受診した患者の数は、全国で1医療機関当たり9・99人となり、前の週より増加しています。厚生労働省では、例年より早く本格的な流行になる可能性があるとして、すべての年齢の人に対して注意を呼び掛けています。

 国立感染症研究所などによりますと、10月8日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より2000人近く増え、4万9212人となりました。1医療機関当たりの患者数は全国で9・99人で、このデータを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約32万6000人となっています。

 地域ごとでは、いずれも1医療機関当たりの患者数で、沖縄県が30・85人と大きな流行が起きているとされる「警報レベル」の30人を超えたほか、千葉県が21・08人、山口県が19・22人。大分県が18・00人、愛媛県が16・69人、東京都が16・44人、埼玉県が16・14人、神奈川県が15・84人、宮崎県が14・19人、熊本県が12・46人、福岡県が11・40人、茨城県が11・11人、静岡県10・08人と、12の都と県で今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを示す「注意報レベル」の10人を超えています。

 日本感染症学会のインフルエンザ委員会の委員長で岡山県の倉敷中央病院の石田直副院長は、現在のインフルエンザの流行状況について、「インフルエンザの感染者の数は、爆発的には増えていないが、緩やかな増加傾向が全国的に続いている。また、東京都のデータでは、入院患者のうち6割は20歳以下で、岡山県内での診療実感からも若い世代を中心とした流行になっているといえる。今後、若い人から高齢者に感染が広がって、流行の規模が大きくなることが予想される」と指摘しました。

 今後については、「日本とは季節が逆のオーストラリアでは、インフルエンザの感染拡大が今年は例年より早く進んだ。日本でも例年は年末年始に流行のピークを迎えるが、今年は12月上旬にはピークになる可能性もある」と話していました。

 一方、新型コロナウイルスについては、「感染者の数の減少傾向が全国的に続き、『第9波』となったこの夏の感染拡大は、このまま収束すると考えられる。しかし、年末にかけて再び感染が広がる恐れがあり注意が必要だ」と話しています。

 その上で、今後の注意点について「インフルエンザは本格的な流行を早い時期に迎える可能性があり、ワクチン接種を希望する人は例年より前倒しで11月上旬にはすませてほしい。新型コロナも冬に向けて再び感染拡大し、インフルエンザとの同時流行も懸念される。それぞれの感染を避けるためには基本的な感染対策が引き続き有効で、人混みではマスクを着用すること、手洗いを習慣付けることなどが大事になる」と話しています。

 2023年10月13日(金)

🟧新型コロナ感染者、前週比0・59倍 秋接種ワクチンの追加購入検討も

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月8日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が5・20人で、前の週の0・59倍となっています。

 厚生労働省は、「全国的に減少しており、感染拡大のピークはすぎたとみられるが感染対策は引き続き行ってほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月8日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万8075人減って2万5630人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は5・20人で、前の週の0・59倍となりました。前の週から減少が続くのは5週連続で、47の都道府県で減少しました。

 都道府県別では、多い順に北海道が8・19人、沖縄県が7・52人、石川県が7・42人、愛知県が7・11人、茨城県が6・84人、山梨県が6・56人、岐阜県が6・52人、岩手県が6・52人、熊本県が6・36人、千葉県が6・24人、長野県が6・17人などとなっています。少なかったのは秋田県3・58人、福井県3・59人、東京都3・62人、大阪府は3・85人、山形県4・02人、滋賀県4・17人。

 10月8日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1431人で、前の週と比べて580人減少しました。

 9月20日に始まったコロナワクチンの秋接種では、一部自治体に「予約が取れない」との声が寄せられています。当初の購入量が限定的だったことや、集団接種会場の減少などが影響している可能性があります。

 武見敬三厚労相は13日の閣議後会見で「接種の状況や自治体の予約状況なども踏まえて、適切な追加購入を急ぎ検討したい」と話しました。

 2023年10月13日(金)

🟧ブタからサルへ腎臓移植で2年超生存 アメリカ企業「人への移植に近付いた」

 拒絶反応が起こりにくくなるように遺伝子を改変したミニブタの腎臓をサルに移植して、最長2年間生存させることに成功したと、アメリカの企業「イージェネシス」やマサチューセッツ総合病院などの研究チームが発表しました。同社は「ブタの腎臓を人に移植する臨床試験に近付いた」と説明しています。

 イギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に11日付で発表しました。

 動物の臓器を人に移植する「異種移植」は、別の人からの臓器移植に代わる方法として長年研究されてきました。特にミニブタは、臓器の大きさが成人のものに近く、管理もしやすいため、適しているとされます。

 ただ、人の免疫細胞から「異物」とみなされやすく、移植後に起きる激しい拒絶反応が大きな課題になっていました。

 研究チームは今回、「ゲノム編集」技術でブタ特有のタンパク質を作る3つの遺伝子を壊し、移植直後の超急性拒絶反応を引き起こす分子を除去。さらに、人の免疫などにかかわる7つの遺伝子をブタに導入し、人の免疫細胞からの攻撃を受けにくくしたといいます。

 こうしてできた遺伝子改変ブタの腎臓を15匹のカニクイサルに1つずつ移植。サルに元々あった2つの腎臓は取り除き、免疫抑制剤で拒絶反応を抑えながら2023年3月末まで観察しました。

 その結果、最長で1匹が758日生存しました。一方、4匹は腎不全などで10日以内に死にました。

 今回の研究は、人への移植を想定してブタの遺伝子を改変しており、人に移植した場合のほうが結果がよくなることが予想されるといいます。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)に認められれば、来年にも人の腎不全患者を対象とした臨床試験を始められる可能性があるといいます。

 ブタの腎臓や心臓を使った移植は、人からの提供臓器の不足を補う目的で研究が進んでいます。アメリカでは昨年、重い心臓病のためにブタの心臓の移植を受けた男性が約2カ月後に死亡しました。

 2023年10月13日(金)

🟧神奈川県、インフルエンザの感染者が2週連続増加 新型コロナの感染者は4週連続減少

 季節性インフルエンザを巡り、神奈川県は12日、県内の定点医療機関で報告された感染者数を発表しました。2~8日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は15・84人で、前週比で0・79人増えました。増加は2週連続。前週に引き続き、注意報の発令基準となる10人を超えています。

 報告された患者数は県内全体で5623人。地域別では、1医療機関当たりの報告数で平塚保健福祉事務所管内(24・91人)、川崎市(21・85人)で20人を超えました。厚木保健福祉事務所管内(19・16人)、茅ケ崎市(18・82人)などでも高水準でした。

 8日までの1週間で、県内の幼稚園4、小学校124、中学校44、高校7、その他1の計180校がインフルエンザにより学級閉鎖になりました。

 一方、新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は12日、県内の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。2~8日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は4・26人となり、前週比で4・04人減りました。減少は4週連続。

 報告された患者数は県内全体で1513人。1医療機関当たりの報告数は、横浜市で3・69人、川崎市で4・20人、相模原市で3・76人、政令市以外の県域で5・10人でした。381カ所の定点医療機関のうち、355カ所から報告がありました。

 11日時点の入院者数は580人(前週比200人減)で、うち重症者は16人(同7人減)でした。

 2023年10月13日(金)

2023/10/12

🟧男女とも3人に1人が性生活に「プレッシャー」 小林製薬が調査

 日常生活で過半数の人がプレッシャーを抱えており、生活の局面別では「仕事」の際が6割、「性生活」でも3人に1人が感じているという実態が、小林製薬(大阪市)が行った調査でわかりました。両者とも重圧を覚える割合に男女で差はなく、性生活へのプレッシャーの原因には「加齢」を挙げた割合が最も多くなりました。

 日常生活でプレッシャーを「感じる」か「感じない」か調査したところ、「感じる」と回答したのは53・3%。「感じない」は46・8%でした。

 プレッシャーを感じる局面を「仕事」「家事」「性生活」に分けて尋ねると、仕事は男女同率で57・7%が「感じる」と回答。家事で「感じる」としたのは41・5%でしたが、男性が37・4%、女性は45・4%と男女間で差が開きました。性生活では34・4%(男性34・2%、女性34・6%)が「感じる」と答えました。

 調査では、性生活でプレッシャーを「感じる」と回答した人に原因も聞いたところ、「加齢」(20・4%)が最も多く、「メンタルの疲れ」(17・4%)が続きました。これに対し「適切な方法がわからず、対策はしていない」(26・1%)、「あきらめて対策はしていない」(25・8%)など、過半数が対策をとっていないことも浮き彫りとなりました。

 調査は全国の20~60歳代の男女を対象に、今年9月13、14日にインターネットで実施。男女各1000人から回答を得ました。

 小林製薬は、性生活においてプレッシャーを感じている男性の焦りや不安を和らげることで神経質を改善する漢方薬「メンタフ」(第2類医薬品)を、10 月11 日から新発売しました。その発売に合わせ、「性生活に関するプレッシャー調査」を実施しました。

 2023年10月12日(木)

🟧東京都のプール熱感染者が増加 統計開始以降初めてとなる警報を発表

 子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の感染者数が増えて基準を超えたとして、東京都は初めてとなる警報を出し、手洗いやうがいなどの感染対策を呼び掛けています。

 これは12日、東京都庁で開かれた感染症の対策会議で発表されました。

 プール熱は、子供を中心にのどの痛みや高熱、結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 プール熱は季節性インフルエンザと同じ5類感染症に位置付けられていて、通常は7月から8月に流行のピークを迎えます。今年は8月をすぎてから都内で感染が急拡大していて、10月8日までの1週間で、警報レベルにある保健所の管内人口の合計が都全体の人口の30%超となり、都全体としての警報基準に達したため、都は12日、統計を取り始めた1999年以降初めてとなる警報を出しました。

 感染者の8割は5歳以下の子供だということです。

 東京感染症対策センターの賀来満夫所長は、「プール熱はほとんどの場合は自然に治るが、アルコールがなかなか効かないので、感染を拡大させないためにも、流水による手洗いやうがい、タオルを別にするなどの対策をお願いしたい」と呼び掛けました。

 また、対策会議では新型コロナの感染者数について、1医療機関当たり3・62人と、前の週の約51・1%と5週続けて減少したことが報告されました。

 一方、インフルエンザの感染者数は、1医療機関当たり16・44人と前の週からほぼ横ばいで、引き続き注意報のレベルを超えています。

 2023年10月12日(木)

🟧5000キロ以上離れた愛知県とシンガポールでロボット遠隔手術の実験 藤田医科大学など

 手術支援ロボットを使った遠隔手術の実証実験が愛知県の藤田医科大学と5000キロ以上離れたシンガポール国立大学の間で行われました。藤田医科大学は、遠隔で手術を支援し、高度な医療技術を広めていきたいとしています。

 この実証実験は、愛知県豊明市にある藤田医科大学とシンガポール国立大学との間で9日から4日間の予定で行われ、医療用ロボットメーカー「メディカロイド」(神戸市)の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ」が使われています。

 11日は、ロボット手術の第一人者で藤田医科大学の宇山一朗教授らが、シンガポール国立大学でロボットを操作し、5000キロ以上離れた藤田医科大学の手術台に設置された、人工の胃からがんを切除する手術を遠隔で行う様子が公開されました。

 2つの病院は専用の高速回線でつながれ、宇山教授らは離れた場所からの操作に遅れがないかや、正確に動いているかを確認していました。

 藤田医科大学は、今後、国内外で遠隔で手術を支援することで、高度な医療技術を広め、医療の質の向上に貢献していきたいとしています。

 宇山教授は、「実験が成功し、うれしく思っています。0・1秒くらいの遅延を感じたが、やっているうちに慣れていくので、特に大きな問題はなかった。今後はロボット手術の指導を遠隔で行っていきたい」と話していました。

 2023年10月12日(木)

2023/10/11

🟧新型コロナと季節性インフルの両方に効果、第一三共が混合ワクチン開発へ

 製薬大手の第一三共は10日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンの開発を始めると発表しました。遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使ったタイプで、同時流行の際、より大勢の感染予防効果を高められるほか、医療従事者の負担軽減も期待されます。

 新型コロナとインフルの混合ワクチンは、冬季に流行しやすい2種類の感染症の予防が1度の接種ですみます。mRNAワクチンの開発を独自に進める同社は、新型コロナのオミクロン型から派生した「XBB」系統に対応するタイプの製造販売の承認を厚生労働省に申請中。新たに開発する混合ワクチンもmRNAを使う方針で、政府のワクチン推進事業に採択されたことで、政府のワクチン開発の司令塔「先進的研究開発戦略センター( SCAスカRDAーダ )」が開発費を支援します。

 mRNAを使った混合ワクチンの開発を巡っては、アメリカのモデルナ社とアメリカのファイザー社が先行しています。このうちモデルナ社は10月4日、初期の臨床試験で安全性と有効性が確認できたと発表。年内にも最終段階の試験を開始し、2025年の承認を視野に入れています。

 2023年10月11日(水)

🟧しらす干しパックに毒を持つフグの稚魚混入 食品加工会社の川崎事業所が自主回収

 9日、東京都内のスーパーで販売されたしらす干しのパックに猛毒・テトロドトキシンを持つフグの稚魚のような魚が混入しているのが見付かり、製造した川崎市の食品加工会社が商品の自主回収を進めています。

 川崎市は購入した人に絶対に食べずに返品するよう呼び掛けています。

 川崎市によりますと、9日、東京都内にあるスーパー「マルエツ」の店舗でしらす干しのパックを購入した人から「異物が混入していた」という連絡が店側にありました。

 店側が調べたところ、体長約2・5センチの毒を持つフグの稚魚のような魚が混入しているのが見付かり、製造した食品加工会社「マルエツフレッシュフーズ」の川崎事業所が自主回収を進めています。

 自主回収の対象は、このしらす干しと同じロットで製造された1474パックで、9日と10日の2日間、東京都、神奈川県、千葉県の合わせて108店舗で販売されましたが、これまでに健康被害の報告は入っていないということです。

 川崎市は食品加工会社に再発の防止を指導するとともに、購入した人には絶対に食べずに返品するよう呼び掛けています。

 フグ処理の資格・免許を持たない素人による調理は大変危険なため禁じられていますが、一方でフグがほかの魚に混じって誤って販売されてしまったケースは度々起こり問題になっています。

 返品の連絡先は、「マルエツフレッシュフーズ」川崎事業所で、電話番号は044−287−2730、24時間受け付けているということです。

 2023年10月11日(水)

🟧新型コロナ感染者、埼玉県は4週連続で減少 千葉県は5週連続で減少

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり5・29人で4週連続で減少しました。

 埼玉県が11日発表した新型コロナの感染状況によりますと、10月2日から8日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関から報告のあった新たな感染者数は1365人でした。

 1医療機関当たりでは5・29人で、前の週と比べて4・47人減少しました。減少したのは4週連続となります。

 感染者はすべての世代で減少していますが、10歳代が261人と最も多く、次いで10歳未満が245人となっています。

 埼玉県は、感染者は減少傾向にあるものの高齢者や基礎疾患がある人にとっては重症化リスクが高いとして、体調が悪い時は外出を控えることや場面に応じてマスクをするなど引き続き感染対策をとるよう呼び掛けています。

 一方、千葉県は11日、県内199の定点医療機関から10月2日から8日までの1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数が1医療機関当たり6・24人で、前週の0・58倍(4・37人減)になったと発表しました。減少は5週連続で、16保健所すべてで平均報告数が前週を下回りました。インフルエンザは21・08人で、1・07倍に微増しました。

 県の週報によると、新型コロナは16保健所別で長生が最多の12・29人。次いで君津が9・77人、夷隅(いすみ)が8・20人、市原が8・18人、松戸が7・89人でした。

 年代別の総数は、10歳代が最も多く242人。10歳未満が159人、40歳代が158人、50歳代が154人、30歳代が137人と続きました。

 インフルは保健所別で、海匝(かいそう)が最多の44・5人、習志野が34・0人、松戸が29・5人でした。

 2023年10月11日(水)

🟧人間ドックで判定ミス、システム改修で誤り 京都府亀岡市立病院

 京都府の亀岡市立病院は10日、6~9月に行った人間ドックで判定ミスがあったと発表しました。判定が悪くなったケースはなく、健康への影響はないとしています。

 同病院によると、人間ドックを6月6日~9月7日に受診した60人について、血清に含まれるタンパク質の一部の検査数値が診断システムに反映されていませんでした。11月5日に判定医が数値の不自然さに気付いて判明。検査会社の変更に伴うシステム改修で誤りがあったといいます。

 再判定の結果、「軽度異常あるも日常生活に支障なし」と通知した18人が「異常なし」に変更されました。対象者には電話で謝罪した上で、正しい結果報告書を送付するといいます。

 2023年10月11日(水)

🟧海外での臓器移植あっせん NPO法人理事に懲役1年と罰金100万円を求刑

 海外での臓器移植を希望する患者に対し、国の許可を受けずに臓器提供をあっせんした罪に問われているNPO法人の理事の裁判で、検察は「移植の公平性を損なう行為だ」として、懲役1年と罰金を求刑しました。

 一方、弁護側は「あっせん行為には当たらない」などと無罪を主張しました。

 NPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)の理事菊池仁達(ひろみち)被告(63)=横浜市都築区=は、国の許可を受けずに昨年、海外での臓器移植を希望する患者2人に対し、東欧ベラルーシで腎臓の移植手術を受けさせるなど臓器提供のあっせんをしたとして、臓器移植法違反(無許可あっせん)の罪に問われています。

 10日の裁判で検察は「患者の募集や病院への連絡・調整をしていてあっせんに当たる。国内外の移植の公平性を損なう行為だ」などとして、菊池被告に懲役1年と罰金100万円、NPO法人に罰金100万円をそれぞれ求刑しました。

 一方、弁護側は「海外での移植に臓器移植法は適用されず、仮に適用されたとしても臓器の提供者側とは接触しておらず、あっせん行為には当たらない」などとして、無罪を主張しました。

 菊池被告は審理の最後に、「私はこれまでに100人以上の命を救ってきていて、恥ずべきことはない」と述べました。

 判決は11月28日に言い渡されます。

 起訴状によると、菊池被告は2021年、海外での臓器移植を希望する患者をホームページで募集。問い合わせをしてきた慢性腎臓病の患者と肝硬変の患者・親族に対し、ベラルーシでの死体からの臓器移植を厚生労働相の許可なくあっせんし、計5150万円を受け取ったとされます。患者2人は2022年に現地で移植手術を受けました。

 2023年10月11日(水)

2023/10/10

🟧緊急避妊薬、処方箋なしの試験的な薬局販売開始へ 11月20日から

 性交直後の服用で望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」について、医師の処方箋なしでの試験的な薬局販売を11月20日に開始するよう、日本薬剤師会が準備していることが10日、明らかになりました。各都道府県で要件を満たした調剤薬局2~3店舗ずつ、全国計150店舗程度で販売する方針。

 厚生労働省が日本薬剤師会に事業を委託。関係者によると、検討案では販売価格は7000~9000円を想定。16歳未満は試験販売の対象とせず、医療機関などを紹介します。16歳以上18歳未満は保護者の同伴が必須条件になります。

 緊急避妊薬(一般名・レボノルゲストレル)はホルモン剤を成分とする錠剤の薬で、排卵を遅らせる効果があり、国内では2011年に承認されました。性交後72時間以内に飲むと、8割の確率で避妊できるとされます。副作用は子宮からの出血や頭痛などが報告されていますが、重大なものはないとされています。

 厚労省の専門家の検討会で示された資料によりますと、海外では約90の国や地域で、医師の処方箋がなくても薬局などから購入できるということです。

 また、購入にかかる費用はイギリスやアメリカなど7カ国のデータでは、日本円で約6000円以下ですが、日本では平均で約1万5000円となっています。ジェネリックも発売されているものの、それでも1万円以上する医療機関も多くあります。

 2023年10月10日(火)

🟧水俣病訴訟、国と熊本県が控訴 原告勝訴の大阪地裁判決に不服

 水俣病特別措置法に基づく救済策の対象外となった13府県に住む原告128人全員を水俣病と認め、国や熊本県、原因企業チッソに賠償を命じた大阪地方裁判所の判決を不服として、国と熊本県は10日、大阪高等裁判所に控訴しました。いずれも「過去の判決と大きな相違がある」などと理由を説明しました。控訴期限は11日で、チッソは4日付ですでに控訴しています。

 国は、今回の判決を受け入れれば、感覚障害とほかの症状の組み合わせを原則とした1977年判断条件による患者認定の枠組みに影響を与えかねないと判断。新潟、東京、熊本の各地裁で同種の訴訟が係争中であることも考慮したとみられます。

 環境省で記者団の取材に応じた伊藤信太郎環境相は大阪地裁判決について、世界保健機関(WHO)の基準値を下回るメチル水銀の濃度でも水俣病発症を認めているなどと指摘。「これまでの国際的な科学的知見や最高裁判決の内容と大きく異なる」として、高裁の判断を仰ぐ必要があることを控訴理由に挙げた。熊本県の蒲島郁夫知事も、「過去の判決と大きな相違があると判断した。苦渋の決断だ」と説明しました。

 2009年に施行された特措法は約3万8000人を新たな救済対象とし、一時金を支給するなどしました。一方で原則として、水俣病に関しては不知火海(八代海)周辺の熊本、鹿児島両県の9市町の沿岸部などに居住歴があり、チッソがメチル水銀排出を止めた翌年の1969年11月末までに生まれた人などに限定した。

 大阪地裁判決は、特措法の対象の地域や年代から外れた人でも、メチル水銀に汚染された魚介類を多食すれば発症する可能性があると指摘。水銀暴露から長期間が経過した後に発症する遅発性水俣病の存在を認めました。

 2023年10月10日(火)

🟧プール熱の感染拡大、過去10年の最多更新 福岡など4府県で警報レベル

 子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の患者が増えていて、10月1日までの1週間に報告された患者数は、過去10年で最も多くなっています。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心にのどの炎症や高熱、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、アデノウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。保育園、幼稚園、小学校などでの集団感染も少なくありません。

 国立感染症研究所によりますと、9月25日から10月1日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者の数は、前の週から1500人余り増えて5698人でした。1医療機関当たりでは1・81人で、秋田を除く全都道府県で前週を上回っていて、過去10年で最も多くなっています。

 都道府県別では、福岡県が5・73人、沖縄県が4・48人、大阪府が4・24人、奈良県が3・88人で、国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州(きよす)院長は、「都市部から、これまで流行がなかった地域にも広がり切って、そろそろピークを打つだろうと思う。今年は、さまざまなウイルスや細菌がこれまでの患者数の少なさを取り戻すような形で流行し続けていて、この冬くらいまでは影響があると思われる。体調の悪い時は学校や保育園を休んだり、手洗いやマスクをして必要な場面での感染対策をとってほしい」と話しています。

 2023年10月10日(火)

🟧沖縄県、インフルエンザで計44学級13学年3校が閉鎖 前週の計37学級10学年より拡大

 沖縄県教育庁保健体育課は10日、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染拡大で10月1日から7日の1週間に学級・学年・学校閉鎖を決めた公立小中高、特別支援学校の施設数をまとめました。流行注意報が発表中のインフルエンザでは計44学級13学年3校で影響が出ており、前週の計37学級10学年より広がっています。

 インフルエンザの感染拡大で学級閉鎖したのは小学校21、中学校12、高校10、特別支援学校1の計44学級。学年閉鎖は小学校7、中学校4、高校2の計13学年。学校閉鎖は小学校1、中学校1、高校1。

 新型コロナウイルス感染拡大で学級閉鎖したのは小学校の3学級、高校の1学級の計4学級。

 インフルエンザは9月25日から10月1日の1週間で、県内1定点医療機関当たりの患者数報告が25・93人と、7週連続の全国最多でした。県は4年ぶりとなる夏季のインフルエンザ流行注意報を発表中で、感染拡大防止として手洗いやマスク着用、予防接種などの対策を呼び掛けています。

 2023年10月10日(火)

2023/10/09

🟧40歳代女性の体力低下止まらず、6割がスポーツ「週1日未満」 スポーツ庁調査

 40歳代女性の6割はスポーツをする機会が週1日に満たないことが8日、スポーツ庁が公表した2022年度の男女の「体力・運動能力調査」で明らかになりました。仕事や育児に追われて時間がないことなどが要因とみられ、10年近く前の同年代と比べて体力や運動能力の成績が落ちている実態が判明しました。

 調査は2022年5~10月、6~79歳の約5万6000人から握力や上体起こしなどのデータを集めて得点化しました。6種目実施した40歳代女性の合計点(60点満点)は平均33・37点にとどまり、低下傾向に歯止めがかかりませんでした。

 運動習慣調査も行われ、スポーツをする頻度が「週1日未満」という40歳代女性は60・9%に上りました。大半は1日当たり「30分未満」で、そのうち1割程度は「あまり健康でない」「生活が充実していない」などと回答。

 一方、40歳代男性のスコアは横ばいで、運動するのが「週1日未満」という割合は47・3%でした。

 今回の調査結果を分析した順天堂大学大学院の内藤久士教授(運動生理学)は、「子供のころからあまり運動しなかった世代が40、50歳代に差し掛かってきた。近い将来、60歳代の数値が下がる可能性がある」と指摘しています。

 スポーツ庁は「40歳代の女性は家事や子育ての負担が大きく運動を行う場所も十分に整っていない」と分析し、女性が日常生活の中で運動に取り組めるプログラムをホームページで紹介しているほか、「周知啓発や環境整備を図り、女性のスポーツ実施の促進を図っていきたい」としています。

 2023年10月9日(月)

🟧昨年度の都道府県決算、歳入歳出とも4年ぶり減少 コロナ対策費減で 

 総務省は、2022年度の都道府県と市区町村の普通会計決算の集計結果(速報値)を発表しました。

 都道府県の歳入総額は前年度比6・7%減の63兆7357億円、歳出総額は前年比6・9%減の61兆7395億円でした。歳入と歳出いずれも、過去最大だった2021年度に続く2番目の規模で、4年ぶりに減少しました。

 減少したのは新型コロナウイルス対策費が少なくなったのが主な要因で、歳入では地方創生臨時交付金など国庫支出金が3兆5053億円減少し、歳出では営業時間の短縮要請に応じた飲食店に支払う協力金に関する補助費が減りました。一方、コロナ禍で落ち込んだ経済活動の回復や企業業績が好調だった影響で、地方税収は9265億円増えました。

 市区町村の歳入総額は前年比2・1%減の68兆3827億円、歳出総額は前年比1・7%減の65兆8869億円。1人10万円の特別定額給付金の支給で過去最大規模だった2020年度以降、2年連続で減少しました。

 2023年10月9日(月)

2023/10/08

🟧16歳男子と40歳代女性で体力低下傾向 スポーツ庁が「体力・運動能力調査」

 スポーツ庁が8日に公表した2022年度の「体力・運動能力調査」で、週3日以上、時間をかけてスポーツをする習慣があると、中高年は生活の充実度が高く、若年層は物事をやり遂げる意欲が高い傾向があることが、明らかになりました。40歳代では、頻繁にスポーツをする人の4割強が「毎日の生活が充実している」とした一方、ほぼスポーツをしない人は2割弱にとどまりました。 

 調査は1964年の東京オリンピック以降、毎年実施。今回は2022年5~10月、全国の6~79歳の計5万6365人が参加しました。握力測定や上体起こし、立ち幅跳び、50メートル走などの体力テストを受けてもらい、日々のスポーツ習慣や自身の健康状態に対する認識についても尋ねました。

 参加者のうち、9歳(小学4年生)、16歳(高校2年生)、40歳代、70歳代は、体力テストの成績と運動習慣の関連などを分析しました。

 それによりますと、スポーツを「週3日以上で各1時間以上」する習慣があった人は、テストの成績を点数化した「体力合計点」が、全世代の男女で平均値を上回りました。

 成人の分析を見ると、40歳代の男性は、頻繁にスポーツをする人(週3日以上で各1時間以上)で、毎日の生活が「充実している」と答えた割合が41・9%に上りました。

 一方、ほとんどスポーツをしない人(週1日未満で各30分未満)では、「充実している」が18・4%にとどまるとともに、「あまり充実していない」「全く充実していない」との回答が合わせて17・3%となり、頻繁にスポーツをする人(3・2%)を大きく上回りました。40歳代女性、70歳代の男女もほぼ同じ傾向でした。

 調査の分析に携わった放送大の関根紀子教授(運動生理学)は、スポーツをする習慣と生活の充実度との因果関係ははっきりしないとしつつ、「運動で目標を達成できれば、充実感を得られることもある。(スポーツ習慣と生活の充実度の)どちらが先かはわからないが、互いに関係し合っているのではないか」と話しています。

 16歳では、スポーツの頻度と物事をやり遂げる意欲の関係について分析。頻繁にスポーツをする人(週3日以上で各2時間以上)では、「何でも最後までやり遂げたいと思うか」との質問に対し、「とてもそう思う」と答えたのは男子で48・4%、女子で60・4%に上りました。一方、スポーツが週1日未満で各1時間未満の人では、男女とも20%台でした。

 また、小学校入学前に外遊びをした経験の多かった9歳男女は、スポーツに親しんでいるケースが多くなりました。70歳代の男女でほぼスポーツをしない人は、「あまり健康でない」と答える割合が高くなりました。

 今回の調査では、握力や上体起こしなど8つの項目について、16歳の男子の「体力合計点」が低下傾向であることがわかりました。

 今回の調査結果を分析した順天堂大学大学院の内藤久士教授は、「部活動などで日ごろよく運動をしていた年代がコロナ禍で練習時間の制限などを受けたことが一因の可能性がある」としています。

 また、40歳代女性についても、直近10年間で体力や運動能力が低下傾向にあることがわかりました。40歳代女性の体力テストの成績は上体起こしや立ち幅跳びなどほとんどの項目と「体力合計点」で低下傾向にあり、「週に1日もスポーツをしない」と答えた割合は5割を超えました。

 現在、40歳代に当たる女性は、「若いころからあまり運動をしていない世代がそのまま年を重ねている」ということで、スポーツ庁は「40歳代の女性は家事や子育ての負担が大きく運動を行う場所も十分に整っていない」と分析し、「周知啓発や環境整備を図り、女性のスポーツ実施の促進を図っていきたい」としています。

 2023年10月8日(日)

🟧静岡市の化学工場で10年前までPFAS使用 工場付近の水路など6地点調査へ

 静岡市は、有害性が指摘されている化学物質の「PFAS(ピーファス)」について、かつて使用していた市内の化学工場近くの水路など合わせて6つの地点で、10月末までに調査を行うことを決めました。

 有機フッ素化合物のPFASを巡っては、一部の物質で有害性が指摘され、静岡県内では、浜松市にある航空自衛隊浜松基地周辺の川や水路で国の暫定の目標値を上回る高い濃度で検出されています。

 これを受けて静岡市では9月、市内の大規模な事業所約10社を対象に、過去にPFASを使用していたかどうか、聞き取り調査を行いました。

 その結果、東京都に本社を置く「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水区三保の清水工場から、「PFASの一種PFOA(ピーフォア)を2013年以前は使用していたが、この年の12月までに使用を取りやめた」と回答があったということです。清水工場ではフッ素樹脂を製造しています。

 アメリカにあった親会社からの要請で清水工場では2008年から2010年にかけ、一部の従業員に対して血液検査を実施しました。

 会社側は検査結果を公表していませんが、アメリカのロバート・ビロット弁護士が裁判の過程で入手した資料によりますと、延べ24人の従業員に対し血液検査が行われていました。

 その結果、24人全員の血中に含まれるPFOAの値がアメリカの学術機関が示す「指標値」を上回り、中には418倍の値が検出された従業員もいました。

 会社側はこれまでに従業員の健康被害は報告されていないとしています

 清水工場からの回答を受けて静岡市では、工場近くの水路と、安倍川や巴川など市内を流れる5つの河川の合わせて6つの地点で、10月末までに水質検査を行うことを決めました。

 市は11月末までをめどに、結果を公表することにしています。

 一方、市はPFASについて、2020年から水道水の調査を行っていますが、これまでに調べた8つの地点では、暫定の目標値を下回っているということです。

 2023年10月8日(日)

2023/10/07

🟧医療機関の9割が「入手困難な薬ある」 日本医師会が調査

 日本医師会(日医)は6日、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの不祥事や新型コロナウイルス流行などで長期化している医薬品不足について、日医会員や地域医師会員にアンケートをした結果を公表しました。院内処方をしている医療機関の9割が「入手困難な医薬品がある」と回答。日医の宮川政昭常任理事は「医療現場は本当に逼迫している」と訴えました。

 アンケートは8月から実施し、9月末までに回答があった6773施設分をまとめました。院外処方の医療機関は、7割以上が薬局から薬不足の連絡があったと答えました。具体的な品目では、せき止め薬や去痰薬、解熱鎮痛剤などが挙げられました。

 日本製薬団体連合会(日薬連)が製薬会社を対象とした調査では、8月時点で23%近い企業が限定出荷などを実施していると回答しました。

 日医の調査で院内処方で入手困難と回答した2082品目のうち32%について、日薬連の調査ではメーカー側が「通常どおり出荷している」と回答していました。医療現場との間で認識のギャップが生じています。

 日医の宮川常任理事は発表記者会見で、「医薬品の供給不安の問題は2〜3年続いており、対応は迅速とはいえない。医療界の現状を見て適切に考えて対策してほしい」と述べました。

 会見には分析に携わった神奈川県立保健福祉大学の坂巻弘之教授も同席し、「メーカー側は医療現場のニーズを把握せずに通常出荷といっている可能性がある。医療現場の状況について定期的に調べていくことが重要だ」と指摘しました。

 2023年10月7日(土)

🟧新型コロナワクチン、すべての小児に接種を 日本小児科学会が推奨

 今年の秋から冬にかけての子供への新型コロナワクチンの接種について、日本小児科学会は感染や重症化を防ぐためにワクチン接種は効果があるとして、引き続き「すべての小児に接種を推奨する」という考え方を示しました。

 厚生労働省の審議会が今年秋以降の新型コロナワクチン接種について、接種を勧める対象を重症化リスクの高い人に限定したことなどを受け、日本小児科学会は、子供への接種を推奨するかどうか改めて検討し、その結果を公表しました。

 それによりますと、現在国内で主流となっているオミクロン型のXBB系統や、さらに変異した「EG・5」(通称:エリス)と呼ばれる変異ウイルスが広がり、今後流行の拡大が想定されるとしています。

 その上で、この秋以降接種されるワクチンは、従来のワクチンよりも変異ウイルスに対して発症を予防する効果が高いと考えられることから、引き続き「すべての小児に接種を推奨する」としています。

 また、安全性については、5歳から11歳の子供に対してこれまで述べ430万回以上、0歳から4歳に対しては40万回以上接種され、膨大なデータに基づき、信頼性の高い安全性の評価が行われているとしています。

 一方で、5歳から11歳では接種100万回当たり0・6件程度の割合で心筋炎の発生が報告されているとして、接種後しばらくの間、胸痛や息切れなどの症状に注意するよう呼び掛けています。

 日本小児科学会は、「小児に対する新型コロナの脅威は依然として存在し、感染や重症化を予防する手段としてワクチン接種は有効だ」としています。

 学会の理事で新潟大学の齋藤昭彦教授は、「感染した子供の中には重い合併症が長引くケースも報告されている。可能な限り新しいワクチンを接種して、感染や重症化予防の高い効果を得てほしい」と話しています。

 2023年10月7日(土)

🟧コロナ検査有料で断念4割、薬だけ頼む患者増加 岐阜県保険医協会が開業医にアンケート

 岐阜県内の医師や歯科医師でつくる県保険医協会(竹田智雄会長)は、会員の開業医らに対して行った新型コロナウイルスの5類移行後の診療に関するアンケートの結果を公表しました。有料となった検査費を巡り、発熱などの症状が出て来院したのに患者が金銭的な理由からコロナ検査を断るケースが「たまにある」との回答は30・6%で、「多々ある」を含めると4割近くに上りました。協会幹部は「お金のない人は治療にアクセスできず、命と健康をお金が左右することになってしまう」との懸念を示しています。

 アンケートは8月28日~9月8日に会員の医師831人に行い、269人から回答を得ました。回答率は32・4%でした。

 コロナの検査料は5月に感染症法上の位置付けが5類に引き下げられるまで無料でしたが、現在は医療費3割負担の人で3000~5000円程度が必要となります。

 副会長の池庭誠医師(多治見市)は、「検査はいいから、解熱剤やせき止めなどの風邪薬だけ出してほしいといわれるケースが増えた」と話し、検査をしないことによって周囲に感染を広げてしまうリスクも高まると警告しました。

 治療費についても、10月からはコロナ治療薬の費用が一部自己負担となりました。3割負担の人は薬代の9000円が必要となりました。

 この賛否を聞いたところ、「保険財政を考えると公費負担の終了も、やむなし」が46・8%を占めました。ただ「公費負担を継続すべき」も23・6%で、池庭医師は「約4分の1の開業医が、国にはできる限りお金を出して国民を守っていく必要があると思っている」と主張。自由回答では、「コロナ治療薬に自己負担が発生すると、服薬しない患者が多くなり、重症化する患者も出てくる」や「薬価がインフルエンザ治療薬と同程度まで安くなるまでは公費負担を継続すべき」との意見がありました。

 「5類移行は適切だったと思うか」の質問では、「思う」が38・6%だったものの、「思わない」も21・0%と割れました。

 副会長の永田正和医師(各務原市)は、「移行は経済の視点からやむなし。しかし感染は明らかに拡大したというのが医師の本心。社会として、どうしていくかをもっと議論していくべきだ」と語りました。

 一方、新型コロナの治療に当たり、133人が「医薬品が足りない」と回答しました。解熱剤やせき止めなどが品薄だということで、回答した60歳代の内科医は「国は薬の安定供給に向け、もっと積極的に対策を取ってほしい」と訴えています。

 県保険医協会は「新型コロナの『第9波』と思われる感染が猛威を振るい、医療体制のひっ迫が懸念される」としています。

 2023年10月7日(土)

🟧東京都のインフルエンザ患者数が前週上回る 6週連続で感染拡大

 東京都では9月21日にインフルエンザの流行注意報が発表されていますが、10月1日までの1週間に報告された患者数は、前の週をさらに上回り、6週連続で感染拡大が続いています。

 東京都感染症情報センターによりますと、10月1日までの1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザの患者数は16・58人で、前の週の1・36倍に増えました。

 こうした中、都内のクリニックではインフルエンザのワクチン接種を例年より前倒しして始めるなど、対応に追われています。

 定点医療機関当たりのインフルエンザの報告数が30人を超え、都内で最も多い中野区のクリニックでは、発熱などの症状を訴える患者には新型コロナとインフルエンザの両方の検査を行っています。

 今月に入ってからはインフルエンザの患者が新型コロナの患者を上回っているということで、今週検査した32人のうち、インフルエンザが15人、新型コロナは9人でした。

 インフルエンザの感染が例年より早く広がっていることから、このクリニックでは昨年は10月末から始めたインフルエンザのワクチン接種を、今週から始めました。

 いつもは11月に入ってからワクチン接種する人が多いということですが、今年は早めの接種を希望する人が多く、6日も20人ほどが訪れていました。

 60歳代の女性は、「今年はもう流行っているというので、いつもよりも早めに受けにきました。ちょっと安心です」と話していました。

 「みやびハート&ケアクリニック」の渡邉雅貴院長は、「この時期にインフルエンザのワクチン接種を多くの人が受けるというのは異例の事態ですが、これから寒くなってくると寒暖差で免疫も下がり、感染もしやすくなるので、さらに感染が広がる可能性がある。基本的な対策と併せて早めのワクチン接種を勧めたい」と話しています。

 東京都感染症情報センターによりますと、10月1日までの1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザの患者数は、16・58人で、前の週(12・19人)の1・36倍に増えました。

 保健所別では、中野区が最も多く30・30人。次いで、文京26・00人、荒川区23・14人、多摩府中23・93人、墨田区22・38人、台東22・14人、江戸川21・00人、目黒区20・25人、みなと19・67人、世田谷19・40人、多摩小平19・09人、八王子市18・78人、葛飾区18・62人、杉並17・88人、北区17・45人、江東区17・36人、練馬区17・00人、品川区15・55人、池袋13・75人、板橋区13・56人、町田市13・08人、足立11・50人、大田区11・33人、南多摩11・00人、多摩立川10・57人、新宿区9・58人、中央区8・80人、千代田8・00人、渋谷区7・00人、西多摩7・00人、島しょ1・50人の順となっています。

 2023年10月6日(金)

🟧沖縄県のインフルエンザ感染、7週連続で全国最多

 沖縄県は6日、季節性インフルエンザの定点把握状況を発表しました。9月25日~10月1日の1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数は25・93人(前週比1・15倍増)。全国平均は9・57人で、沖縄県が7週連続で最多。八重山と那覇市は流行警報発表水準の「30人」を超えて感染が広がっています。

 県は9月14日から、インフルエンザ流行注意報を発表中。保健所管内別で最も流行しているのは八重山で44・33人、那覇市で31・08人、宮古26・50人、中部25・56人、北部21・40人、南部19・43人。

 県内はインフルエンザによる学級・学年閉鎖も広がっています。県教育庁によると、9月24日からの1週間に学級閉鎖したのは小学校17、中学校13、高校7の計37学級。学年閉鎖は小学校3、中学校2、高校5の計10学年。

 2023年10月7日(土)

2023/10/06

🟧インフル感染者増、コロナ感染者を上回る 「注意報」レベル14都県に

 厚生労働省は6日、全国約5000の定点医療機関から9月25日~10月1日の1週間に新たに報告されたインフルエンザの感染者数は計4万7346人だったと発表しました。前週比1・35倍と増加しました。1医療機関当たりの平均は9・57人で、減少傾向となっている新型コロナウイルスの8・83人を上回りました。

 武見敬三厚労相は6日の閣議後記者会見で、「例年と比較して患者が多い状態で推移している」と言及。インフルエンザの予防接種を巡り「新型コロナワクチンとの同時接種も可能。希望する人は早めの接種を」と呼び掛けました。

 前週と比べ39都道府県で増加しました。流行の「注意報」レベルとなる10人を超えたのは14都県。1医療機関当たりの感染者数が多かったのは順に沖縄県25・93人、千葉県19・56人、大分県19・55人でした。首都圏や九州・沖縄での流行が目立ちます。少なかったのは青森県0・48人、福井県0・92人、岩手県1・03人など。

 休校や学級閉鎖などになったのは全国で計2204施設でした。

 2023年10月6日(金)

🟧新型コロナ感染者が4週連続で減少 厚労省「ピークアウトした」

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月1日までの1週間では1つの定点医療機関当たりの平均の患者数が8・83人で、前の週の0・8倍となっています。厚生労働省は「4週連続で全国的に減少しているのでピークアウトしたと考えられるが、インフルエンザなどの患者数は増加傾向にあるので、引き続き基本的な感染対策を行ってほしい」としています。

 厚労省によりますと、9月25日から10月1日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1万641人減って、4万3705人となりました。

 また、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数は8・83人で、前の週の0・8倍となりました。

 前の週から減少が続くのは4週連続で、46の都府県で減少しました。

 都道府県別では多い順に、愛知県が12・4人、熊本県が11・3人、茨城県が10・73人、千葉県が10・61人、北海道と大分県が10・43人、岐阜県が10・26人、鹿児島県が10・23人などとなっています。少なかったのは島根県5・26人、福井県5・44人、秋田県6・52人、鳥取県6・55人、山形県6・58人。

 また、厚労省は、全国約3万8000の医療機関としていた新規入院患者数の集計対象を、今回から約500の定点医療機関に変更しました。それによりますと、9月25日から10月1日までの1週間に新たに入院した人は2011人でした。

 担当者は「前週と単純比較はできないが、減少傾向が続いている」と説明しました。

 2023年10月6日(金)

🟧石川県の観光流しそうめんの集団食中毒、18都府県の892人に 帰省や観光シーズンと重なり拡大

 今年8月中旬、石川県津幡町にある流しそうめんの店で発生した食中毒の患者が892人に上ることが、県の調査で明らかになりました。石川県内の食中毒事故としては、平成以降で最も多い患者数です。

 患者は石川や東京、愛知、大阪など18都府県の422グループで確認されており、旧盆の時期に合わせて帰省客や旅行客が多かったことが、患者が増えた一因とみられるということです。

 今年8月11日から17日に、石川県津幡町牛首の木窪大滝にある飲食店「大滝観光流しそうめん」で食事をした少なくとも93人が下痢や腹痛、発熱などの症状を訴える食中毒が発生し、その後、石川県の調査で、流しそうめんなどに利用する湧き水から食中毒の原因となる細菌「カンピロバクター」が検出されました。カンピロバクターが混入したいきさつは特定できなかったということです。

 県によりますと、これまでに店を利用した1298人から相談が寄せられ、保健所が調査を進めたところ、食中毒の患者は1歳から80歳代までの892人に上るということです。このうち22人が一時入院しましたが全員回復し、重症の患者はいませんでした。

 石川県は9月、今回の食中毒を受けて、井戸水や湧き水を使う県内の飲食店約550店に、年に1回以上の水質検査の実施の徹底を求める通知を出し、再発防止に向け衛生指導の強化を図るとしています。

 「大滝観光流しそうめん」は夏季のみ営業していますが、今年は7月の大雨被害の影響で営業開始前の水質検査をしていませんでした。店を運営する「大滝観光」は会社のホームページで、患者への損害賠償の支払いを進めているとした上で、支払いを終えた時点で廃業することを明らかにしています。

 2023年10月6日(金)

🟧マダニ感染症で呉市の90歳代女性死亡 広島県内で今年4例目

 マダニにかまれることによって感染する「日本紅斑熱」で、広島県呉市の90歳代の女性が4日、死亡しました。

 呉市によりますと、10月2日、市内に住む90歳代の女性が発熱を訴え、病院に入院しましたが、その後容体が悪化し2日後に死亡しました。

 血液検査の結果、女性が、マダニを媒介とする「日本紅斑熱」に感染していたことが判明しました。

 女性の体にはかまれたような痕は見付かっていませんが、日常的に農作業に当たっていたということです。

 広島県内でのマダニによる感染症での死亡は今年4例目となります。

 マダニは秋にかけて活動が活発になり感染症も増えるため、広島県は農作業を行ったり草むらに入ったりする際は長袖、長ズボンを着用するなど肌の露出を少なくするよう呼び掛けています。

 2023年10月6日(金)

🟧モデルナのコロナとインフル混合ワクチン、治験の最終段階へ

 アメリカのモデルナは4日、同社が開発する新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの混合ワクチンの初期・中期臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとする中間報告を発表しました。年内にも最終段階の治験を始め、2025年の承認取得を目指します。利便性が高い混合ワクチンを真っ先に実用化し需要を取り込みます。

 この治験は50歳以上が対象。50〜64歳と65〜79歳の治験グループに、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を使ったモデルナのコロナ・インフル混合ワクチン候補「mRNAー1083」と既存のインフルワクチンをそれぞれ接種し、免疫反応などを比べました。

 その結果、混合ワクチン候補を接種したグループで、インフルエンザに対し既存のインフルワクチンと同等か、それ以上の予防効果が期待できる免疫反応を確認しました。副作用の発生率や症例は、これまでに実用化したモデルナ製のコロナワクチンと変わりませんでした。

 コロナとインフルの混合ワクチンは、冬季に流行しやすい2種類の呼吸器系感染症の予防が1度の接種ですむ利点があります。患者や医療関係者の負担軽減に加え、インフルとコロナ両方の接種率の引き上げにつながるとの期待もあり、製薬会社の間で開発競争が激しくなっています。mRNA技術を使った混合ワクチンは、モデルナのほかにアメリカのファイザーとドイツのビオンテックも開発を手掛けています。

 2023年10月6日(金)

2023/10/05

🟧「性風俗業はコロナ給付金の対象外」再び「合憲」 東京高裁

 新型コロナウイルスの経済対策として行われた国の給付金制度で性風俗業が対象外とされたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、事業者が国を訴えた裁判の2審で、東京高等裁判所は「給付対象にすると、国民の理解を得るのが難しいと判断した理由には合理性がある」として、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、訴えを退けました。

 関西地方でデリバリーヘルス(派遣型風俗店)を営む性風俗事業者は、新型コロナの影響を受けた事業者に国が支給する「持続化給付金」や「家賃支援給付金」の制度の対象から外されたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張して、国などに賠償と給付金計約446万円の支給を求めました。

 1審の東京地方裁判所は昨年、「性風俗業の特徴は、大多数の国民の道徳意識に反するもので、異なる取り扱いをすることには合理的な根拠がある。国庫からの支出で事業継続を下支えすることは相当でない」として、憲法には違反しないと判断し、訴えを退けました。

 5日の2審の判決で、東京高等裁判所の松本利幸裁判長は「給付対象とすると、国民の理解を得るのが難しいと判断した理由には合理性がある。性の在り方に関する価値観は多様化しているが、性風俗業を公的に認めるのは相当ではないとする考えが失われたわけではない」として、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、事業者の訴えを退けました。

 2023年10月5日(木)

🟧今年の北半球は史上最も暑い、異常な9月に EU気象機関が発表

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は5日、観測史上最も暑い9月となった先月の気温は、例年を「異常」に上回ったと発表しました。

 観測史上最も暑い年となることが予想されている今年、北半球の夏は史上最高気温を記録。世界の多くの地域では、9月に入っても季節外れの暑さが続きました。

 C3Sによると、世界の9月の平均気温は、2020年の記録を0・5度上回る16・38度でした。

 1940年まで逆上る記録の中で「最も異常な暑い月」となり、産業革命前の1850~1900年の9月の平均気温よりも1・75度高かったといいます。また、1991〜2020年の平均気温を0・93度上回りました。

 C3Sのカルロ・ブオンテンポ所長は、「気候の観点からこれまでで最も驚異的な夏だった。信じられないほどだ。気候変動は10年後に起こる何かではなく、今ここにある」と語りました。

 サマンサ・バージェス副所長も、前例のない9月の気温は「異常なほど記録を塗り替えた」と述べました。

 また、C3Sは5日、今年の世界の気温が観測史上最高を更新するとの見通しを示しました。年初からの平均気温は過去の平均を0・52度上回り、産業革命以前の平均気温を1・4度上回ったとしました。

 昨年の世界の平均気温は産業革命以前の平均を1・2度上回ったものの、記録は更新しませんでした。これまでの記録は2016年と2020年のもので、平均気温が産業革命以前の平均を1・25度上回りました。

 2023年10月5日(木)

🟧イギリス、紙巻きたばこ生涯禁止 2009年以降生まれ対象に法案導入へ

 イギリスのリシ・スナク首相は4日、紙巻きたばこの解禁年齢を段階的に引き上げ、喫煙人口の抑制を目指す法案を議会に提出する考えを表明しました。 

 スナク首相はイギリス中部マンチェスターで行われた与党・保守党の年次党大会で演説。「重い病気を引き起こすたばこが公的医療制度の負担になっている」と指摘し、「今後、たばこの解禁年齢を毎年1歳ずつ引き上げていくことを提案する。現在の14歳は合法的にたばこを生涯買えなくなる。たばこを吸うことなく成長できる」と語りました。

  現在、イギリスではたばこの購入は18歳以上に制限されています。2027年から段階的引き上げを開始すれば、2009年以降に生まれた現在14歳以下の⼈は生涯、たばこを買えなくなります。イギリス政府によると、早ければ2040年にも若者の喫煙をほぼ完全になくせる可能性があります。

 スナク首相は、法案の採決は各議員が党の方針に縛られない自由投票で行われる、としています。

 今回の法案は電子たばこは対象に入っていませんが、今後、規制する措置を検討するということです。

 紙巻きたばこの販売禁⽌を巡っては、ニュージーランドも2009年以降に⽣まれた⼈を対象にした法律をすでに整備しています。 

 がん研究機関キャンサー・リサーチUKのミシェル・ミッチェル最高経営責任者(CEO)は、「スナク首相はたばこ業界の利益よりもイギリス国民の健康を優先する姿勢を打ち出した」と歓迎し、「全議員が法案を支持することを望む」と述べました。

 2023年10月5日(木)

🟧「梅毒」の患者が岩手県で増加、9月時点で年間最多に並ぶ 長野市は過去最多

 岩手県内で性感染症の「梅毒」の患者数が増えています。今年は9月24日時点で29人となり、すでに年間患者数が過去最多だった昨年と同数に上っています。全国的に増加する中、県は各保健所で無料・匿名の検査を行っているほか、早期の医療機関の受診を呼び掛けています。

 県感染症情報センターの集計によると、県内の今年の患者報告数は、9月18~24日が2人で、累計29人となりました。全数把握が始まった1999年以降で最多だった2018年と2022年(速報値)の年間患者数29人と早くも並びました。

 一方、長野市保健所は4日、性感染症の「梅毒」の患者報告数が1日時点で25人となり、記録のある2006年以降最多となったと明らかにしました。全国や長野県全体の患者数も過去最多ペースで増加。交流サイト(SNS)やマッチングアプリで、見知らぬ人とも簡単に出会えるようになったことが一因とみられ、県や市は適切な予防を呼び掛けています。

 市保健所によると、2006年~2017年の年別の梅毒患者報告数は1ケタ台で推移し、2018年に初めて10人を超えました。今年は3カ月を残して、これまで最多だった2019年の23人を上回りました。今年の県全体の報告数は10月1日時点で63人に達しており、過去最多だった2022年の71人(速報値)を超えるペースとなっています。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、人との粘膜接触などによって体内に侵入する感染症。感染後数週間で、侵入した部位にしこりや潰瘍などができることがあり、治療をしなくても症状はいったん軽くなります。数カ月で手のひらなどに赤い発疹が現れます。

 早期の薬物治療で完治が可能なものの、放置すると脳や心臓に合併症を起こします。また、妊婦が感染すると流産や死産の危険性が高まり、赤ちゃんが先天性梅毒を患ったりする恐れもあります。

 2023年10月5日(木)

2023/10/04

🟧武田薬品、アメリカで肺がん治療薬の販売中止 迅速承認後に治験で効果示せず 

 武田薬品工業)は3日、2021年にアメリカ食品医薬品局(FDA)から条件付きで販売できる「迅速承認」を受けた肺がん治療薬について、アメリカでの販売を自主的に中止すると発表しました。正式承認の取得に向けて続けていた後期臨床試験(治験)で、効果が示せなかったことが理由。

 対象は経口投与する「エクスキビティ(一般名:モボセルチニブ)」で、アメリカ以外にスイス、韓国、オーストラリア、中国でも条件付きで承認されていましたが、治験のつまずきにより有効性を確認するデータ提出の要件が満たせなくなりました。アメリカ株式市場引け後の時間外取引(アフター・マーケット)で株価は約6%下落しました。

 武田薬品は7月に、目標を達成する見込みがないとして治験中止を発表していました。また、2022年にヨーロッパ連合(EU)での販売承認申請を取り下げました。

 治験は非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、化学療法との比較で安全性と有効性を評価しましたが、薬の投与によって病気の進行を防ぐ期間の評価項目を達成できませんでした。後期治験の全データを学会か、査読のある学術誌で発表します。

 アメリカ以外にエクスキビティを承認した各国でも販売を中止する方針で、当局と協議を進めています。

 2023年10月4日(水)

🟧不登校の小中学生、過去最多の29万9048人 いじめ認知件数も過去最多の68万1948件

 不登校の状態にある小中学生は、昨年度およそ29万9000人となり、10年連続で増加して過去最多となったことがわかりました。いじめの認知件数や暴力行為も過去最多となっており、調査した文部科学省は「コロナ禍での生活環境の変化や、学校生活での制限による交友関係の築きにくさなどが背景にある」とみています。

 文部科学省は全国の小中学校と高校、それに特別支援学校を対象に不登校やいじめ、自殺などの状況を毎年調査していて、昨年度の結果をまとめました。

 それによりますと、小中学校を30日以上欠席した不登校の状態にある子供は、前の年度から5万4000人余り、率にして22%増え、29万9048人となりました。10年連続で増加し、過去最多となっています。

 このうち小学生が10万5112人で、10年前の2012年度の5倍に、中学生が19万3936人で、10年前の2倍に増えています。このほか高校生も増加して6万575人でした。

 また、認知されたいじめの件数は、小学校が55万1944件、中学校が11万1404件、高校が1万5568件、特別支援学校が3032件で、合わせて68万1948件と、前の年度より6万件余り増え、過去最多となりました。

 いじめによる自殺や不登校などの「重大事態」と認定された件数も200件余り増えて923件と過去最も多く、4割近くは「重大事態」として把握するまで学校がいじめと認知しておらず、課題がみられました。

 調査では、小中学校と高校の暴力行為の発生件数が9万5426件と過去最多となったほか、自殺した児童や生徒は小学生が19人、中学生が123人、高校生が269人で合わせて411人となり、過去2番目に多くなりました。

 こうした状況について文部科学省は、「児童生徒の自殺が後を絶たないことは、極めて憂慮すべき状況だ。不登校などの増加はコロナ禍の長期化で生活環境が変化したことや、学校生活でのさまざまな制限で交友関係が築きにくくなったことなどが背景にある」と分析しています。

 2023年10月4日(水)

🟧長野県民の9割以上が塩分取り過ぎ 調味料から取る量が多いことや漬物などを多く食べる食文化が影響か

 長野県民の9割以上が食塩を取り過ぎていることが、県の県民健康・栄養調査(速報値)でわかりました。塩分の取り過ぎは脳血管疾患の要因とされており、調味料から取る量が多いことや、漬物、魚の加工品を多く食べる食文化が影響している可能性があるとみて、県は減塩を呼び掛けます。

 調査はおおむね3年に1度行っており、今回は昨年10~12月、県内42地区の599世帯約1250人が回答しました。

 それによると、20歳以上の1日当たりの食塩摂取量の平均は男性11・5グラム、女性9・6グラム。国の定める目標量は男性7・5グラム未満、女性6・5グラム未満で、目標量を上回る男性は93・5%(前回比0・3ポイント増)、女性は90・0%(前回比2・0ポイント減)でした。県は男女ともに8グラム以下を目標に減塩を呼び掛けているものの、摂取量は横ばいでした。

 また、野菜の摂取量の平均は近年横ばいで、男性が333グラム、女性が298グラムでした。全国的にみると、県民の野菜摂取量は多いとみられるものの、男女ともに国の目標量の350グラムより少なくなりました。

 肥満とされるBMI(体格指数)25以上の20歳以上の男性は27・1%、「やせ」とされるBMI18・5未満の20歳以上の女性は14・0%で、ともに横ばい。一方、65歳以上の低栄養傾向の女性は、前回よりも9・6ポイント多い36%と急増していました。

 長野県は2020年時点で平均寿命が男性が全国2位の82・68歳、女性が全国4位の88・23歳ですが、2010年時点の健康寿命の男性72・55歳、女性74・99歳との差は大きくなっています。また、脳血管疾患の死亡率は全国上位であり、脳卒中は要介護の主な原因となっています。

 2023年10月4日(水)

2023/10/03

🟧プール熱の患者報告数が減少に転じる 専門家「さまざまな感染症に注意が必要」

 子供を中心に感染する「咽頭結膜熱」、いわゆる「プール熱」は、患者が多い状態となって5週連続で増加していましたが、最新のデータでは前の週より患者の数が減少に転じました。専門家は「今年は引き続きさまざまな感染症に注意が必要だ」と指摘しています。

 「咽頭結膜熱」、いわゆるプール熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、9月10日から24日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者の数は4126人で、前の週よりも400人余り減りました。1医療機関当たりでは、前の週より0・14人少ない1・31人となりました。過去10年で2番目に多い患者数です。

 地域別では、福岡県が4・44人、沖縄県が3・61人、大阪府が3・55人と国の警報レベルの目安となる「3」人を超えていて、このほか、佐賀県が2・39人、大分県が2・36人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「プール熱はピークを超えたと思うが、今年はほかにもさまざまなウイルス感染症が交錯している状況で注意が必要だ。すでにインフルエンザの流行が始まっている地域もあるので、親も子もワクチンを打つなど対策をとってほしい」と話しています。

 2023年10月3日(火)

🟧武田薬品のワクチンをWHOが推奨 デング熱流行地域の6~16歳に接種を

 世界保健機関(WHO)は2日、武田薬品工業が開発したデング熱ワクチン「QDENGA(キューデンガ)」について、デング熱が大規模流行している地域で6~16歳の子供への接種を推奨すると発表しました。QDENGAはヨーロッパ連合(EU)やインドネシア、ブラジルなどではすでに承認済み。

 蚊が媒介するウイルス感染症のデング熱は近年、感染者が増加しており、地球温暖化も要因となって確認地域も拡大しています。QDENGAは初回接種の3カ月後に、2回目を受けるようWHOは求めています。9月下旬に開かれた専門家による諮問委員会の協議結果を踏まえて決定しました。

 デング熱はアフリカやアジア、中南米での流行拡大が懸念されており、専門家はQDENGAについて「幅広い使用の可能性を秘めた最初のデング熱ワクチンだ」と述べました。 

 WHOはまた、イギリスのオックスフォード大が開発したマラリアのワクチン「R21」の子供への接種を推奨すると発表しました。

 蚊が媒介するマラリアは、アフリカの幼い子供を中心に毎年50万人もの死者を出しています。マラリアのワクチンは、すでにWHOによって承認されたものがありますが、現在世界的な需要に供給が追い付いていないということで、WHOとしては新たなワクチンの承認によって普及を後押ししたい考えです。

 2023年10月3日(火)

🟧フランスでトコジラミ大発生 政府、オリンピック向け駆除作戦

 フランスの公共交通機関や空港などで「南京虫」の名前で知られる害虫の「トコジラミ」の発生が相次いで報告され、社会問題となっています。殺虫剤への耐性が高まったことなどが背景とみられます。国内外からの多くの観客が予想される来年7月のパリ夏季オリンピック開催まで1年を切る中、政府は深刻な問題だとして駆除作戦に乗り出しました。

 地元メディアによると、ここ数週間、パリの地下鉄や高速列車TGV、空港の待合室、映画館、病院などでトコジラミの発生が報告されました。すべてが確認されたわけではないものの、ソーシャルメディア上に列車や地下鉄をはい回るトコジラミの映像が公開され話題となっています。

 事態を重く見たパリのエマニュエル・グレゴワール副市長は9月下旬、エリザベット・ボルヌ首相に書簡を送り「来年にオリンピック・パラリンピック開催を控える中、国はこの災いに見合った行動計画を早急に策定する必要がある」と訴えました。

 これを受け、クレマン・ボーヌ交通担当相は9月29日、対策を話し合うため近く交通事業者と面会すると約束しました。

 トコジラミはフランスでは1950年代までにほとんどいなくなっていましたが、ここ数十年は、人口密度の上昇と大量輸送機関での移動の機会が増えたことなどで再び増加しています。

 トコジラミの問題が生じた世帯はここ数年、全体の10分の1に上っているとみられます。通常、駆除には数百ユーロかかり、多くの場合、何度も行う必要があります。

 トコジラミは、マットレスに卵を産み付け、生息する習性があることから名付けられましたが、衣服や荷物の中にも入り込み、夜になると出てきて人の血を吸います。

 フランスの衛生当局は、旅行の際はホテルのベッドを点検し、中古の家具やマットレスを自宅で使用する時は注意するよう呼び掛けています。また、自宅で発見した場合は、直ちに影響を受けた部屋の駆除作業を行わなければならないとしています。

 血を吸われると、皮膚に赤みや水疱(すいほう)、大きな発疹ができ、場合によって激しいかゆみやアレルギー反応を起こします。精神的苦痛や睡眠障害、不安、うつ病を引き起こすこともあります。

 フランス当局によれば、トコジラミの発生は衛生状態とは関係ありません。

 2023年10月3日(火)

2023/10/02

🟧7月、8月に続いて9月も平均気温が過去最高 平年を2・66度上回る

 気象庁は2日、今年9月の平均気温が、平年値(1991~2020年の平均)を2・66度上回り、1898年の統計開始以降で最も高くなったと発表しました。これまで最高だった2012年のプラス1・51度より1度以上高くなっています。今年は7、8月もそれぞれ過去最高気温を記録しており、3カ月連続の更新となった。

 今年は春(3~5月)、夏(6~8月)も過去最高で、年間でも1位のペースで推移。気象庁は10月から冬(12月~来年2月)にかけても高温傾向が続くと予想しています。

 9月の高温の原因は、「偏西風」と「太平洋高気圧」です。日本の上空には「偏西風」と呼ばれる、西から東に向かう風の流れがあり、寒気と暖気の境目になっています。9月はこの偏西風が平年より北側にあったため、暖気が北上し全国的に暖かい空気に覆われやすくなっていました。また夏には日本の南に温暖な「太平洋高気圧」がありますが、9月はこの張り出しが強かったため暖気が日本の上空に、より流れ込みやすくなっていました。

 地球温暖化により平均気温は上昇傾向にありますが、9月はさらに気温上昇を強める条件が重なっていたということで、気象庁の担当者も「これほどの高温になるのは信じられない。温暖化を背景に、たくさんの要因が重なり記録的な現象となった」と語りました。

 2023年10月2日(月)

🟧ノーベル生理学・医学賞にアメリカのカリコ氏ら2人 mRNA研究で新型コロナワクチン開発に貢献

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、2023年のノーベル生理学・医学賞を「メッセンジャーRNA」(mRNA)ワクチンの基盤技術を開発したハンガリー出身でアメリカ・ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)と同大のドリュー・ワイスマン教授(64)に贈ると発表しました。新型コロナウイルス禍で普及したmRNAワクチンで、多くの人命が救われたことが評価されました。

 mRNAという遺伝物質を使ったワクチンや難病の治療薬として応用しようとする研究は約30年前からあったものの、mRNAを人体に投与すると免疫が攻撃して強い炎症が起きるため、安全性で難点がありました。これを解決したのがカリコ氏とワイスマン氏で、2人がペンシルベニア大で研究していた2005年、mRNAの一部の化学物質(ウリジン)を別の化学物質(シュードウリジン)に置き換えると、免疫の攻撃が抑えられることを発見しました。

 この研究がmRNAを医薬品化する最初の足掛かりとなって、ドイツの製薬企業ビオンテックやアメリカのモデルナなどのバイオ企業が注目し、がんやインフルエンザなどに対するmRNAを使った次世代の創薬研究が盛んになりました。

 2020年初頭、新型コロナの感染が世界に拡大すると、アメリカのファイザー、モデルナがmRNAワクチンの開発を進め、同年12月に世界で初めて実用化しました。

 授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日に当たる12月10日にスウェーデンの首都・ストックホルムで開かれます。

 2023年10月2日(月)

🟧果物を食べない日本人、20歳以上の38%は1日摂取量が0グラム 目標は1日200グラム

 春から夏にかけてはイチゴにサクランボ、スイカにメロン、秋になれば梨、ブドウ、柿、栗。冬にはリンゴとミカン。日本では四季折々の果物が楽しめますが、日本人は驚くほど果物を食べていません。厚生労働省の国民健康・栄養調査の最新結果では、20歳以上の38%は、果物の1日摂取量が0グラムです。若い世代ほどその割合が高く、20歳代は61%、30歳代は55%、40歳代は53%となっています。

 この調査は、ある特定の1日の食事内容を調べるため、1年を通して全く食べない人の割合とはいえないものの、果物を食べる習慣のない人が相当数いることを示しています。

 ただ、果物は野菜と同じように生活習慣病のリスクを減らし、健康維持に大きな役割を果たしています。

 厚労省は今年、2024年から開始する「健康日本21(第三次)」で、果物摂取量の目標値を1日200グラムと定めました。

 健康日本21は、生活習慣の改善、社会環境の質向上といった健康づくりの各種指標を定めたもの。食生活に関して品目別に挙げられているのは、果物のほか、野菜と食塩の摂取量のみです。「疾患予防に寄与する科学的根拠がそろっている項目を、指標に設定した」と担当者は話しています。

 2023年10月2日(月)

🟧保管温度が不適切なコロナワクチンを170人に接種 滋賀県草津市

 滋賀県草津市は9月22日、冷凍庫での保管温度が適正に保たれていなかった新型コロナウイルスのワクチンを170人に接種していたと発表しました。冷凍庫の異常が原因とみられます。健康被害の報告はないといい、市は対象者全員に連絡し、抗体検査を実施するとともに抗体のない人には追加接種する、としています。

 市によると、ワクチンはアメリカのファイザー社製のオミクロン型派生型「XBB・1・5」対応品で、9月11日に冷凍庫の適正温度(零下60~90度)を確認して保管を始めたものの、18日に一時的に零下28・4度まで上昇していました。冷凍庫は警報アラームが鳴るものの、同日は祝日で職員が不在でした。

 その後、保管温度は適正値に戻っていたといいます。22日朝に零下54度に上がり、職員が警報に気付きました。この際、冷凍庫のログを調べ、18日にも保管温度を超えていたことが判明しました。

 保管温度が不適切だったワクチンは、20日に始まった秋接種で7医療機関と1集団接種会場で計170人に使われていました。市は未使用だった約9100回分を廃棄する予定で、ほかの自治体からワクチンの融通を受けるなど接種に影響が出ないようにするといいます。

 市は冷凍庫の故障の可能性もあるとみて、メーカーに原因調査を求めています。

 橋川渉市長は、「市民の皆様にご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる。確認体制の強化や再発防止策を講じる」とコメントしました。

 2023年10月2日(月)

2023/10/01

🟧肝臓の線維化を血液で手軽に検査できる試薬を発売 シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス

 シーメンスヘルスケア傘下で診断薬事業を手掛けるシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(東京都品川区)は、慢性肝疾患を持つ患者の肝臓の線維化(肝線維化)の程度を診断する血液検査用試薬「ケミルミTIMPー1」を発売しました。国内では初の製品。これまでは患者から病理組織を切り取って診断していたものの、より手軽に検査できるようになります。

 肝線維化とは肝臓が損傷した細胞を修復する過程で起き、組織が固くなって機能しなくなる状態。ウイルス性肝炎や過度のアルコール摂取、脂肪性肝疾患などで起こり、進行すると肝硬変や肝不全、肝細胞がんになる可能性があります。同社が発売したケミルミTIMPー1は、血清中の「組織メタプロテアーゼ阻害物質」を測定する試薬で、同社の免疫自動分析装置「アテリカ シーアイ1900」と組み合わせて使用します。

 組織メタプロテアーゼ阻害物質とヒアルロン酸数値、プロコラーゲンⅢペプチドの値を組み合わせて「強化肝線維症(ELF)スコア」と呼ばれる数値を算出し、線維化の程度を示します。

 肝線維化の診断には患者の体内に針を入れ、肝臓の一部を切除して検査する「肝生検」という手法が主流なものの、対応できる病院が限られていることや、入院する必要があるなどの課題がありました。

 切り出す組織によっても、肝臓の線維化が進んでいるかどうか判断が分かれる可能性があるといいます。同じ症例であっても、検体を見る医師によって約4割の確率で診断が異なるなど正確な診断ができないリスクも加わります。

 血液で検査できるため、開業医などでも検査できるようになります。従来の肝生検の手法では入院が必要なため、7万円から8万円ほどかかるのに対して、安価に抑えられます。

 肝生検の検査では痛みや合併症のリスクがあるなど患者の体にも負担がかかるため、一度しか検査できません。血液による検査では同じ患者でも複数回検査ができるため、早期の病状把握につながるほか、病状の改善なども数値で追いやすくなります。

 国内ではB型肝炎やC型肝炎などウイルス性による肝疾患の割合は減少しているものの、アルコールの摂取が少ないにもかかわらず肝臓の病気が進行する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の患者数は増加傾向にあります。

 国内の有病率は男性が3〜4割で、女性は1〜2割ですが、検査し切れていない潜在的な患者も多く、全体では2000万人以上の患者がいると推定されています。

 非アルコール性脂肪肝炎については現在は治療薬がなく、生活習慣の改善などで進行を遅らせる対応が主流。そのため手軽な検査のニーズが低かったものの、アメリカなどでは治療薬の開発が進んでおり、実用化に向けて血液による検査の需要が高まっています。

 横浜市立大学大学院・医学研究科の中島淳主任教授は、「肝生検以外の方法でハイリスク患者を拾い上げる方法の確立が急務だった。新薬が登場した際には治療効果の評価にも使える」と期待を寄せています。

 2023年10月1日(日)

🟧粉末調味料2種の回収発表 ディズニーリゾートの飲食施設で販売

 オリエンタルランドは9月30日、東京ディズニーランドと東京ディズニーシー内の飲食施設で販売した商品に含まれる2種類の調味料について、一部で原材料のアレルゲンなどの表示が誤っていたとして、5144セットを回収することを発表しました。

 オリエンタルランドによりますと、9月1日から29日まで東京ディズニーランドと東京ディズニーシー内の飲食施設で販売した「シーズナルグルメチケットセット」(4000円)に付けた粉末調味料「シーズニングパウダー」の「トリュフ塩(白色)」と「マロングラッセシュガー(茶色)」のセットについて、内容物の入れ違いにより、一部に原材料のアレルゲンなどの表示に誤りのある商品があることがわかったということです。

 問題のあった粉末調味料は、東京ディズニーリゾート40周年のロゴの絵柄がプリントされた透明の包装袋に入っているもので、オリエンタルランドはこの商品5144セットの回収を決めました。

 仕入れ先の宮崎市の会社が袋詰めした際、トリュフ塩の袋に乳成分が含まれるマロングラッセシュガーが混入し、検品されないまま販売されました。

 オリエンタルランドは、乳アレルギーのある人はこのポップコーンやチュロスに振り掛けて使う粉末調味料を摂取しないよう呼び掛けています。

 9月30日時点で、購入した人から健康被害の申し出はないということです。 

 問い合わせは通話無料の特別対応窓口、電話(0120)131676。10月1日から土日祝日を含めて午前10時から午後5時まで受け付けます。

 2023年10月1日(日)

🟧コロナ治療薬、1日から有料 3000円から9000円の自己負担

 これまで全額公費負担だった高額な新型コロナウイルスの治療薬代が、10月1日から有料となります。医療費の窓口負担割合に応じて3000円から9000円の自己負担が生じ、支払額に上乗せされます。医療機関を受診した人が混乱しないよう厚生労働省は周知を徹底したいとしています。

 有料となる薬は抗ウイルス薬のラゲブリオやパキロビッド、ゾコーバなど。10月以降は薬の種類にかかわらず、医療費の自己負担が3割の人は9000円、2割の人は6000円、1割の人は3000円を上限に自己負担が生じます。

 厚労省の想定では、75歳以上で1割負担の人が医療機関で診察を受けた場合、これまでは診察料や調剤料などで窓口での支払額は1000円程度でしたが、治療薬代3000円が上乗せされます。

 1人分の薬価はラゲブリオ約9万4000円、パキロビッド約9万9000円、ゾコーバ約5万2000円で、インフルエンザ治療薬のタミフル約2000円、ゾフルーザ約5000円と比較して高額です。

 2023年10月1日(日)

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