2023/07/31

🟧パルスオキシメーター、全国で30万個が未返却 47都道府県調査

 新型コロナウイルスの自宅療養者向けに都道府県が無料で貸し出したパルスオキシメーターが、全国で少なくとも約30万個返却されていないことが明らかになりました。

 購入価格は自治体ごとに違うものの、未返却数が多い東京都、埼玉県、神奈川県ぶんから試算すると計約15億円となります。貸し出しは市や区なども実施しており、実際の未返却数はさらに多そうです。

 パルスオキシメーターは、血中酸素濃度を測る医療機器。貸し出しは、2020年4月に始めた国の新型コロナ感染症緊急包括支援事業の対象となり、同支援交付金が充てられました。購入や配送、回収を都道府県などが担い、今年5月に原則終了しました。

 マスコミが全47都道府県に、自宅療養者向けの貸出パルスオキシメーターの確保数と未返却数について、今年7月上旬の状況を質問しました。

 45都道府県から回答があり、確保した計約176万5300個のうち、計約30万個が未返却。確保した数を基準にすると、未返却の割合は約17%でした。和歌山県と熊本県は、同時期の未返却数を詳しく把握していないとの回答でした。

 未返却は、都道府県別では最多が東京都の約7万個で、次いで埼玉約5万5000個、神奈川県約4万個など。

 自治体の確保数を基準にした未返却の割合は、沖縄県(約44%)、佐賀県(約40%)、山口県(約38%)など7県が30%超でした。

 延べ貸し出し回数は「不明」とした自治体が少なくないものの、把握していた自治体の大半が確保数を上回っており、1個を複数回貸し出していたとみられます。沖縄県は確保した約4万6000個を21万回以上貸し出し、約2万個が未返却でした。

 自治体が未返却者に督促すると、「なくした」「壊れた」などと答える人が多いといいます。

 一方、未返却の割合は群馬県の約1%(272個)が最低で、岩手県と茨城県が2%台でした。

 機器の購入価格は、未返却数の上位3都県によると1個平均約5000円でした。

 2023年7月30日(日)

🟧東京都内、熱中症疑いで49人搬送 東村山市、2日で高齢男女4人死亡

 東京消防庁によりますと、31日都内では、午後3時までに12歳から99歳までの男女合わせて49人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 このうち、80歳代の男性1人が重症で、18人が中等症、30人が軽症だということです。

 のどが渇く前にこまめに水分補給するなど、熱中症への注意が必要です。

 一方、東京都東村山市で29日から30日にかけて、高齢の男女合わせれ4人が住宅の中で死亡しているのが見付かり、警視庁は発見当時、室内が高温だったことなどから熱中症の可能性もあるとみて、詳しい状況を調べています。

 29日午後6時前、東村山市秋津町の住宅でこの家に住む91歳と84歳の夫婦が自宅の寝室で死亡しているのを訪れた介護職員が見付け、110番通報しました。

 警視庁によりますと、夫婦は2階の寝室のベッドの上で倒れていて、窓やドアは閉め切られた状態だったということです。

 扇風機は回っていましたが、寝室に設置されたエアコンのスイッチは入っていませんでした。

 また、30日午後3時ごろには、東村山市青葉町の住宅でこの家に住む70歳代の男女とみられる2人が寝室のベッドの上で死亡しているのが見付かりました。

 当時、扇風機が回っていて窓も少し開いていましたが、エアコンは入っていなかったということで、死後数日が経過しているとみられています。

 警視庁はいずれも発見当時、室内が高温だったことなどから熱中症の可能性もあるとみて、詳しい状況を調べています。

 東村山市の東側に位置する東京都練馬区は最高気温が30日が37・7度、29日が36・7度と7月24日以降、連日猛暑日が続いていました。

 東京都監察医務院によりますと、都内では7月に入って27日までに、熱中症の疑いで40歳代から90歳代の男女合わせて70人の死亡が確認されたということです。

 このうち63人は屋内で倒れていて、クーラーの設置がなかったのが14人、クーラーは設置されていたものの動いていなかったのが38人、クーラーが動いていたのが10人、不明が1人となっています。

 昨年は7月の1カ月間に93人の死亡が確認されていました。

 2023年7月31日(月)

2023/07/30

🟧新型コロナ5類移行後の死者初公表 5月に死亡診断書などに記載は最大1367人

 新型コロナが「5類」に移行した今年5月の死者数について、厚生労働省は迅速に把握するために死亡診断書(死体検案書)などに「新型コロナ」と書かれたケースを集計した結果、1367人だったと公表しました。新型コロナが「5類」に移行してからの死者数が公表されるのは初めてです。

 新型コロナの死者数については、感染症法上の分類が「5類」に移行するまでは、国が全国の死者数を毎日公表してきましたが、今年5月8日に「5類」に移行してからは行われなくなり、厚労省は、死者数の動向を迅速に把握するため、死亡診断書などに「新型コロナ」と書かれたケースを分析する新たな集計を始めました。

 28日は今年5月の死者数が公表され、それによりますと、新型コロナが最も死亡に影響した死者は610人で、前の4月と比べて50人増えました。

 また、新型コロナが死因となった病気の経過に影響を及ぼした人も含めた死者は1367人で、前の4月と比べて58人減りました。

 新型コロナが「5類」に移行してから死者数が公表されるのは初めてで、厚労省は引き続き動向を注視するとしています。

 2023年7月30日(日)

🟧国連のグテーレス事務総長、「地球灼熱化時代到来」と警告 各国に対策強化を要請

 国連(UN)のアントニオ・グテレス事務総長は27日、7月の世界の平均気温が観測史上最も高くなる見通しとなったことを受けて記者会見し、「地球温暖化の時代は終わり、地球灼熱化の時代が到来した」と警告しました。「まだ最悪の事態は防げる」とも述べ、各国の指導者に気候変動対策の強化を求めました。

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」と世界気象機関(WMO)は27日、7月の気温が月平均で最も暑かった2019年7月の16・63度を上回る見込みだと発表しました。

 グテレス事務総長は「人類の責任だ」と強調。20カ国・地域(G20)が世界の温室効果ガスの約8割を排出していると指摘し、9月のG20首脳会議などで「野心的な排出量の削減目標」を提示する必要があると語りました。

 また、「異常気象がニューノーマル(新常態)になりつつある」と危機感を示しました。洪水や干ばつで打撃を受ける途上国の防災強化などに先進国が年1000億ドルを拠出するとの約束を守るべきだと訴えました。先進7カ国(G7)でドイツとカナダ以外は拠出目標を達成していないと懸念を表明しました。

 2023年7月30日(日)

🟧世界の平均気温、7月は観測史上最も暑い1カ月に 世界気象機関などが発表

 今年の7月は観測史上、最も暑い1カ月になる見込みだと、世界気象機関(WMO)などが発表しました。

 WMOとヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は27日、7月に入って23日までの世界の平均気温は観測史上、最も高い状況だと発表しました。その原因として、5月以降世界の平均海面水温が高い状況が続いていることが影響しているということです。

 そして、このままの状況が続くと7月は観測史上最も暑い1カ月となる可能性が極めて高いとしています。

 「コペルニクス気候変動サービス」のデータによりますと、世界の平均気温は2019年7月に16・63度を記録しこれまでで最も暑かった月でしたが、今年の7月は23日までの平均で16・95度となっていて、月全体でも過去最高記録を大きく更新する形で推移しています。

 WMOなどは、このところの世界的な暑さは、アジアやヨーロッパ、それにアメリカでの熱波やカナダやギリシャの山火事にも関係していると指摘しています。その上で、人々の健康や環境のほか経済に対しても大きな影響を与えていると警鐘を鳴らしています。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「温室効果ガスの排出削減が以前にも増して急務となっている。気候変動に対する行動が必須だ」と訴えています。

 2023年7月30日(日)

🟧秋接種用の新型コロナワクチン2500万回分購入で合意 厚労省がファイザー、モデルナと

 厚生労働省は28日、9月以降の秋に始まる新型コロナウイルスワクチンの接種用として、オミクロン型の亜系統「XBB」に対応したワクチンをアメリカのファイザー社から2000万回分、アメリカのモデルナ社から500万回分購入することで合意したと発表しました。必要に応じてさらに追加購入できることも、両社と合意しました。

 両社はXBB系統に対応したワクチンの薬事承認を厚労省に申請しています。厚労省は承認され次第、購入を始めます。

 現在の接種は、65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人、医療・介護従事者らが対象。オミクロン型の「BA・1」「BA・4とBA・5」対応のワクチンが使われています。9月以降の接種はすべての世代を対象とするものの、予防接種法上の「努力義務」は65歳以上や基礎疾患のある人に限る方針。努力義務は、法律上は接種を受けるように努める必要があるものの、強制ではなく希望者が接種します。

 閣議後会見で加藤勝信厚労相は、「秋接種を着実に進めるため、円滑にワクチンの供給を受けられるよう取り組んでいきたい」と述べました。

 2023年7月30日(日)

2023/07/29

🟧14歳女子中学生死亡、接種と関係否定できず 新型コロナワクチンで2例目

 ワクチンの副反応を検討する厚生労働省の専門家部会は、昨年8月に新型コロナウイルスのワクチンを接種した後に亡くなった徳島県の当時14歳の女子中学生について、「接種との因果関係は否定できない」としました。専門家部会が新型コロナのワクチンの接種と死亡との因果関係が否定できないとしたのは、今回が2例目です。

 ワクチン接種の安全性を監視するため、副反応が疑われる事例については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査を行い因果関係を評価した上で、厚生労働省の専門家部会がその内容が妥当かどうか検証しています。

 28日に開かれた専門家部会で、昨年8月、ファイザーの3回目の新型コロナのワクチンを接種した2日後に、心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋心膜炎」で亡くなったとされる14歳の女子中学生について、「接種との因果関係は否定できない」としました。

 専門家の評価では、女子中学生はアレルギーや別のウイルスの感染がなく、接種後、短い間に心臓を含む多くの臓器で炎症を起こしていることから、ワクチンの接種によって、心筋心膜炎が生じたと考えて矛盾しないとしています。

 厚労省は亡くなった女子中学生の居住地などを明らかにしていませんが、関係者によりますと、徳島県の当時14歳の女子中学生だということです。

 これまでに新型コロナのワクチン接種後に死亡した事例として2000件以上が専門家部会に報告されていますが、ほとんどが情報不足などで評価不能とされていて、「因果関係は否定できない」とされたのは昨年11月にファイザーのワクチン接種後に亡くなった愛知県の42歳の女性に続いて2例目です。

 専門家部会ではこの事例も含め、現時点では新型コロナのワクチン接種に影響を与える重大な懸念は認められないとした上で、厚労省に接種後に胸の痛みや呼吸困難などの症状がある場合は早期の受診を勧めるなど、改めて注意喚起するよう求めました。

 心筋炎は心臓の筋肉に、心膜炎は心臓を包み込む膜に起こる炎症で、通常は主にウイルスの感染などが原因とされていて、薬の副作用などでも起こることがあります。

 ファイザーとモデルナの新型コロナワクチンの添付文書にも重大な副反応として心筋炎や心膜炎が記載され、大多数の症例で症状は改善しているとしています。

 厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&Aサイト」によりますと、新型コロナウイルスのワクチンを接種した後、ごくまれに心筋炎や心膜炎が報告され、10歳代から20歳代の男性に多い傾向があるとしています。

 また、ワクチンの接種後よりも、新型コロナウイルスに感染した場合のほうが心筋炎や心膜炎を発症する頻度が高く、重症だとする専門家の見解を紹介しています。

 2023年7月29日(土)

🟧東京都内、熱中症疑いで32人救急搬送 埼玉県内で82人救急搬送、27日には女性が死亡

 東京消防庁によりますと、29日都内では、午後3時までに9歳から94歳までの男女合わせて32人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 このうち13人が中等症で、19人が軽症だということです。

 一方、埼玉県は29日、県内で82人が熱中症の疑いで救急搬送されたと明らかにしました。

 消防防災課によると、午後5時現在で、13~103歳の男女計82人が搬送され、重症者はいないといいます。27日には、蓮田市の女性(91)が熱中症の疑いで死亡しています。

 県は熱中症予防対策として、水分の小まめな補給やエアコンの活用、周囲の気配りなどを呼び掛けています。

 環境省と気象庁は、30日も熱中症の危険性が極めて高くなる危険な暑さが予想されるとして、東京都や埼玉県など32都府県に「熱中症警戒アラート」を発表していて、のどが渇く前にこまめに水分補給するなど厳重な警戒を呼び掛けています。

 2023年7月29日(土)

🟧日本人の平均寿命、2年連続で前年を下回る 厚労省、新型コロナ影響

 2022年の日本人の平均寿命は女性が87・09歳、男性が81・05歳となり、いずれも2年連続で前の年を下回ったことが、厚生労働省のまとめでわかりました。厚労省は、「新型コロナで死亡した人が増加した影響が大きかったのではないか」としています。

 厚労省によりますと、2022年の日本人の平均寿命は女性が87・09歳、男性が81・05歳で、前の年より、女性は0・49歳、男性は0・42歳下回りました。平均寿命が前の年を下回るのは、いずれも2年連続です。

 平均寿命が公表されている世界の国では、女性は前年と同じ1位で、男性は3位から4位に下がりました。女性は2位が韓国(86・6歳)、3位がスペイン(85・83歳)。男性は1位がスイス(81・6歳)、2位がスウェーデン(81・34歳)、3位がオーストラリア(81・30歳)でした。 

 また、2022年と2021年の平均寿命の差を死因別に分析すると、特に新型コロナや心疾患、それに老衰で亡くなった人の割合が上昇していたということです。

 2022年、新型コロナで死亡した人は4万7635人で、2021年と比べると3万人余り増加していて、厚生労働省は「平均寿命が前の年を下回ったのは新型コロナで死亡した人が増加した影響が大きかったのではないか。今後、新型コロナの感染拡大が落ち着けば、平均寿命が再び上昇する可能性もあると考えている」としています。

 2023年7月29日(土)

🟧新型コロナ感染者、前週比1・26倍 45都道府県で増加

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月23日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が13・91人となり、前の週の1・26倍となっています。香川県と沖縄県を除く45の都道府県で前の週より増加していて、厚生労働省は「全国的には緩やかな増加傾向が続いていて、特に九州では患者の数が多く報告されている。引き続き感染状況を注視したい」としています。

 厚労省によりますと、7月17日から23日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1万4451人増えて、6万8601人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数が13・91人となり、前の週の1・26倍となっています。1医療機関当たりの患者数が10人を超えるのは2週連続で、前の週から増加が続くのは16週連続です。

 都道府県別では、多い順に佐賀県が27・44人、宮崎県が24・47人、長崎県が22・94人、沖縄県が22・43人、熊本県が22・05人、鹿児島県は21・42人、大分県は21・12人、岐阜県は20・72人、愛媛県は20・0人などとなっていて、45の都道府県で前の週より増加しました。

 このほか、7月23日までの1週間に新たに入院した人は全国で8983人で、前の週と比べて1281人の増加となりました。

 厚労省は全国の流行状況について「全国的には緩やかな増加傾向が続いていて、特に九州では患者の数が多く報告されている。これまでは例年、夏のお盆明けに感染拡大のピークを迎えているので引き続き状況を注視したい」としています。

 2023年7月29日(土)

2023/07/28

🟧アメリカ軍横田基地内で泡消火剤漏れ、これまでの3件のほかに4件確認 防衛省

 防衛省は、アメリカ軍横田基地内で泡消火剤が漏れ出たケースについて、アメリカ軍に問い合わせたところ、これまでの3件に加えて4件あったことが確認されたと発表しました。

防衛省はこれまで、アメリカ軍横田基地内で、有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」などが含まれる泡消火剤が漏れ出たのが3件あったとしています。

 マスコミがアメリカ軍に対し情報公開請求を行った結果、ほかに4件あったことがわかっており、防衛省がアメリカ側に問い合わせた結果、25日までに、そのことが確認されたということです。

 内訳は、3年前に3回、昨年に1回で、アメリカ軍はPFASなどの含まれていない泡消火剤への交換を進めていて、開示された報告書によりますと、今回の泡消火剤にはこれらは含まれていない上、いずれも基地の外には流出していないとしています

 防衛省環境政策課は、「これ以上の漏出はないと認識している。今後も関係自治体と相談しながら、必要に応じて対応していきたい」と話しています。

 2023年7月28日(金)

🟧知床など北海道の広いエリアの新雪からマイクロプラスチックを検出 北見工業大学

 海の生態系への影響が懸念されている微小なプラスチックごみ、マイクロプラスチックが、世界遺産の知床を含む、北海道の広いエリアの新雪から検出されたという研究結果を、北見工業大学が明らかにしました。雪の中のマイクロプラスチックも海と同様、生態系への影響が危惧されることから、研究グループはさらなる調査の必要性を指摘しています。

 マイクロプラスチックは、プラスチックごみが波の力や紫外線などの影響でもろくなって砕かれた大きさ5ミリ以下のものを指し、魚などが飲み込みやすいため、生態系への影響が懸念され、海以外でも富士山山頂付近の空気中で検出されています。

 北見工業大学の大野浩准教授の研究グループが、一昨年から今年2月にかけて世界遺産の知床五湖や大雪山系の旭岳、釧路湿原など、北海道内の8つのエリアの新雪を採取して調べたところ、すべての場所でマイクロプラスチックを検出しました。

 研究グループによりますと、人の生活圏から遠い知床五湖などで検出されたマイクロプラスチックは、プラスチック容器に使われるポリエチレンなどでできた0・06ミリ以下の極めて小さいものが中心だったということです。

 研究グループは、大気中を浮遊していたマイクロプラスチックが雪に混ざって広範囲に積もったとみています。

 雪の中のマイクロプラスチックも海と同様、生態系への影響が危惧されますが、研究事例がまだ少なく、研究グループはさらなる調査の必要性を指摘しています。

 大野准教授は、「道内で人の活動の影響を受けにくい場所でも、マイクロプラスチックが雪の中に入っていた。海の問題と同様に重要なテーマで、今後も調べていくべきフィールドだと思う」と話しています。

 2023年7月28日(金)

🟧新型コロナ感染者、お盆まで増加 警報・注意報導入の要望も

 厚生労働省の感染症部会が26日開かれ、新型コロナウイルスの感染者が全国的に増加傾向だと報告されました。脇田隆字部会長(国立感染症研究所長)は、「お盆ぐらいまでは増加が続くだろう」と述べました。

 定点医療機関からの報告に基づく感染者数の把握を巡っては、複数の出席者から、コロナ感染状況や対策を国民にわかりやすく周知するため、季節性インフルエンザが流行した際に示す「警報」や「注意報」といった基準を設けるよう求める意見が出ました。

 インフルエンザでは定点医療機関当たりの感染者数が10人を超えると「注意報」、30人超で「警報」を出します。感染症部会では、コロナ流行の目安について「インフルと同じかそれより低いぐらいでいいのではないか」という意見が出ました。

 感染症部会では、「地域によってはコロナ患者を受け入れている医療機関が限られている」との指摘もありました。政府はコロナ対応を発熱外来など一部の医療機関から、インフルを診察する全国6・4万カ所に拡大する計画で、足元では約4・9万カ所にとどまっています。

 感染症部会では、5類移行後も続けられている高額な薬や入院医療費の一部の公費支援といった対策を、10月以降に見直すかどうかの議論も始まりました。

 委員の医師は、「必要な抗ウイルス薬を提供する体制は重要だ」として、支援継続を要望しました。

 2023年7月28日(金)

🟧新型コロナ、東京都の1医療機関当たりの感染者は「9・35人」 5週連続で増加

 東京都内の新型コロナの感染者数は前の週の1・13倍と、5週続けて増えました。

 専門家は、コロナ以外の発熱患者も増加し救急医療への負荷がかかっているとして、受診を迷った場合は、専用の電話相談窓口などへ連絡するよう呼び掛けています。

 東京都は27日、新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、417カ所から報告があり、感染者数は7月17日から23日までの1週間で合わせて3898人で、1医療機関当たりでは9・35人となりました。

 これは前の週の8・25人の1・13倍と、5週続けて増えています。

 また、7月24日時点での入院患者数は前の週より221人増えて1554人となり、こちらも5週続けて増えています。

 専門家は、「患者の報告数は増加傾向がみられ、高齢者などハイリスク者への感染拡大に注意する必要がある。また、コロナ以外の発熱患者も増加し感染対策を要するため、救急医療への負荷がかかっている」として、受診を迷った場合は、東京都新型コロナ相談センター「#7119」や、小児救急相談「#8000」へ連絡するよう呼び掛けています。

 2023年7月28日(金)

2023/07/27

🟧新型コロナ、埼玉県で定点当たり11・98人 感染拡大鮮明に

 埼玉県は26日、県内261の定点医療機関から報告された17~23日の新型コロナウイルス感染者数が3126人で、定点当たり11・98人だったと発表しました。5月の5類移行後、10人を超えるのは初めて。前週比は1・3倍。8週連続で増加し、移行直後と比べると4倍となりました。

 県感染症対策課は「第9波」に差し掛かったのかという質問に対し、「国は第9波に入ったという話はしていない状況。専門家からは第9波(に入った)という声も聞かれるが、県としては感染が拡大しているということ」と話しました。

 保健所別では、草加が23・05人、越谷で19・77人、幸手で18・00人と県東部で増加が目立ちます。

 県感染症対策課の担当者は、、「(15~17日の)3連休で感染者、電話相談件数が増えている。(相談件数は)7月前半は1日当たり400件ほどだったが、500~600件と約1・5倍になっている」と指摘しました。

 また、「帰省や旅行など、人と人が接触する機会が増加する夏休みシーズンには、さらに感染拡大が生じる恐れがある」と指摘。体調が優れない場合は外出を控えるとともに、手洗いや部屋の換気など基本的な感染対策の徹底を呼び掛けています。 

 県はこのほか、高齢者ら「ハイリスク層」に向けて、ワクチンの積極的な接種を推奨しています。

 2023年7月27日(木)

🟧埼玉県内、熱中症疑いで67人搬送 東京都内、熱中症疑いで41人搬送

 埼玉県によりますと、27日午後4時の時点で、熱中症の疑いで救急搬送された人は67人に上っています。

 このうち重症が2人、中等症が19人、軽症が45人で、このほか症状の程度が確認できていない人が1人いるということです。

 また、65歳以上の高齢者は39人で、全体の半数以上を占めています。

 県は、外出を控えることや、こまめに水分を補給することなど、熱中症対策を呼び掛けています。

 一方、東京消防庁によりますと、27日午後3時の時点で、都内(島しょ部と稲城市除く)では、熱中症の疑いで12歳から89歳までの男女41人が救急搬送されました。

 このうち2人が重症、11人が中等症、28人が軽症です。

 東京消防庁は、のどが渇く前に、こまめな水分補給を心掛けるよう呼び掛けています。

 2023年7月27日(木)

🟧中国産冷凍枝豆から大腸菌群検出 大阪市が1万3000袋回収命じる

 大阪市は25日、同市北区の食品輸入会社「桜通商」が中国から輸入した中国産冷凍枝豆から大腸菌群が検出されたとして、食品衛生法に基づき同社に1万3000袋の回収を命じたと発表しました。現時点で健康被害は確認されていません。

 市生活衛生課によると、回収対象の商品名は「塩ゆで枝豆(冷凍食品)」で、2年後の6月27日が賞味期限の1袋500グラム入り。14日に中国から輸入され、厚生労働省の大阪検疫所がモニタリング検査をしたところ、大腸菌群の陽性が確認され、食品衛生法第13条第2項に違反することがわかりました。

 同商品は大阪、兵庫、京都、広島の4府県の卸売業者などに計2080袋販売されており、市は同商品を購入、保管している場合は食べずに市保健所や同社に問い合わせるよう呼び掛けています。

 2023年7月27日(木)

2023/07/26

🟧新型コロナ発症から2週間後も10人に1人で頭痛などの症状 患者12万人のデータを分析

 新型コロナの患者12万人を対象に、大阪府の研究機関などのグループが調査を行ったところ、発症から2週間たち新型コロナの治療が終わってからも約10人に1人の割合で頭痛やけん怠感などの症状がみられていたことがわかりました。

 大阪府茨木市にある国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所や医療法人徳洲会などのグループは2020年から昨年6月までの3年間に全国の徳洲会の病院を受診した0歳から85歳までの新型コロナの患者12万2000人余りのカルテのデータを基に新型コロナの治療後に続く症状についての分析を行いました。

 そして、症状ごとに分析した結果、発症から2週間以上たってからも頭痛、けん怠感・疲労感、味覚障害、嗅覚障害の4つの症状があった患者は、それぞれ約10人に1人の割合となっていました。

 また、60歳以上では、2週間たってからも約2割の患者でうつの症状が、約半数の患者で療養生活による体の機能の低下などの症状が、続いていたということです。

 新型コロナを巡っては感染後の後遺症が問題となっていますが、グループによりますと新型コロナの後遺症に関連して、カルテの情報を利用した大規模な調査が行われたのは初めてだということです。

 研究所の今井由美子さんは、「うつや体の機能の低下などは生活の質(QOL)の低下につながる可能性があり、新型コロナから回復した後も継続的なフォローが必要だ。今後、後遺症の予防法や治療法の確立につながる研究を進めたい」と話していました。

 2023年7月26日(水)

🟧新型コロナの入院者数と重症者数も「定点把握」へ 9月下旬から

 厚生労働省は25日、新型コロナウイルスの入院者数と重症者数の週1回の報告について、9月下旬以降、すべての医療機関からの報告を取りやめ、全国約500カ所の医療機関(ベッド数300床以上)からの「定点把握」に切り替えると発表しました。都道府県は原則として、季節性インフルエンザと同じ医療機関を指定します。

 新型コロナの感染症法上の扱いが5月8日に5類になったことに伴い、感染者数は全国約5000の定点医療機関から新規の患者数について報告を受け、1つの医療機関当たりの平均の患者数などを毎週金曜日に公表する「定点把握」を行っています。一方、入院者数と人工呼吸器を使用しているなどの重症者数はすべての医療機関からの報告を続けていました。

 定点把握に切り替わっても、コロナの流行状況の把握に影響はない、と厚労省の担当者は説明しています。

 これとは別に、厚労省は、全国各地の医療機関がコロナ患者のために用意する「確保病床使用率」を把握するため、各都道府県における入院者数と重症者数(毎週水曜日午前0時時点)を公表しています。この調査は当面、継続する予定といいます。

 2023年7月26日(水)

🟧タニタ、熱中症の危険度を知らせる室内用温湿度計を発売

 健康機器大手のタニタ(東京都板橋区)は、どれくらい熱中症になりやすい室内環境かを知らせる温湿度計を発売しました。室温と湿度を基に「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の4段階で危険度を知らせます。家庭や高齢者施設向けに販売し、室内での熱中症対策に役立ててもらいます。

 室温と湿度から「暑さ指数(WBGT)」を計算するとともに、日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」に準拠し、熱中症の危険度を判定します。複雑な操作は不要で、誰でも気軽に使用できるといいます。機能やデザインの異なる3機種を販売

 「TC-420」は温度と湿度を示す2本の針の交点で暑さ指数の目安を示し、4色の判定図で危険度を表します。「TC-421」は、「注意」「警戒」などの文字で示します。「TC-422」は顔を模したイラストと機器上部の光の点灯で危険度を表示し、暑さ指数が「危険」の時にはアラームで知らせます。室内の状態が「危険」から変わらない場合は、停止ボタンを押さない限り1時間毎に約3秒間アラームを繰り返します。

 スーパーマーケットや家電量販店といった小売店のほか、ネット通販などのオンラインショップで販売します。価格はオープンで、公式オンラインショップでの価格はTC-420が3300円、TC-421が4400円、TC-422が5500円。3機種の合計で1年間で3万5000台の販売を目指します。

 2023年7月26日(水)

2023/07/25

🟧ヘルパンギーナやRSウイルス感染症、患者が多い状況続く ヘルパンギーナは21都道県で警報レベルの「6人」超

 国立感染症研究所によりますと、子供がかかりやすく発熱などの症状が出る感染症「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス感染症」の患者が多い状況が続いています。専門家は「症状がある時は外出を控えるなど感染対策をとってほしい」としています。

 「ヘルパンギーナ」は夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子供がかかりやすく、発熱のほか口の中に水膨れができたり、のどが痛んだりといった症状が出ます。

 国立感染症研究所によりますと、全国の約3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は7月16日までの1週間で、合わせて2万1443人となりました。

 1医療機関当たりでは6・86人で、過去10年で最多だった前の週の7・32人よりも0・46人下回りました。

 地域ごとでは、21都道県で警報レベルの「6人」を超えており、このうち宮城県の20・62人を始め、岩手県や山形県など8つの道県で10人以上となっています。

 また、風邪のような症状が出る病気で幼い子供が感染すると重症化することもある「RSウイルス感染症」は、7月16日までの1週間に報告された患者の数が合わせて9882人、1医療機関当たり3・16人となっていて、前の週の3・38人より減少しましたが、引き続き患者の多い状況が続いています。

 子供の感染症に詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は、「ヘルパンギーナはまだ流行のピークを迎えていない地域もあり、しばらく流行が続く可能性がある。特にRSウイルスは子供だけでなく高齢者でも重症になることがある。夏休みで帰省や旅行に出掛ける機会が増えるが、風邪の症状がある時は外出を控えたり、人混みではマスクをするなど感染対策をとってほしい」と話しています。

 2023年7月25日(火)

2023/07/24

🟧栃木県の店舗内で作業中の50歳代男性が熱中症で死亡、栃木労働局が労災事故で調査

 今月、栃木県内の事業所の店舗で作業をしていた50歳代の男性が熱中症で死亡したことが、栃木労働局の調べでわかりました。

 栃木労働局によりますと、7月3日午後3時半ごろ栃木県内の事業所の店舗内で作業をしていた50歳代の男性が倒れているのが見付かり、救急車で搬送されました。

 男性は搬送先の病院で治療を受けましたが、当日の夜に熱中症で亡くなったということです。

 栃木労働局によりますと、店舗内にはエアコンが設置されていましたが、使用していなかったということで、労働局は労災事故として当時の詳しい状況を調べています。

 県内で熱中症で死亡する労働災害が起きたのは2015年以来、8年ぶりだということです。

 県内では、7月に入って各地で35度を超える猛烈な暑さとなる日が続いていて、労働局では適切な冷房の使用やこまめな水分補給など職場における熱中症の予防の徹底を呼び掛けています。

 2023年7月24日(月)

🟧第一三共の血液がん治療薬、アメリカFDAが承認

 第一三共は20日、進行性の血液がんと新たに診断された患者を対象とする同社の治療薬「ヴァンフリタ(一般名:キザルチニブ塩酸塩)」をアメリカ食品医薬品局(FDA)が承認したと発表しました。

 FDAは、ヴァンフリタを血液・骨髄がんの一種である急性骨髄性白血病(AML)患者のうち、再発リスクの増加に関連する遺伝子変異を持つ成人患者を対象に承認しました。

 AMLは骨髄の中でがん細胞が増殖し、血液が正常に作れなくなる病気で、患者の約3割に特異な遺伝子変異が認められ、変異のない患者と比較して治療が難しく、再発リスクが高いとされます。キザルチニブはこの遺伝子に作用し、腫瘍の増殖を抑えます。

 第一三共は、ヴァンフリタの卸売り購入価格が17・7ミリグラムと26・5ミリグラムの両用量で1錠当たり546ドルだと明らかにしました。

 同社によると、ヴァンフリタは化学療法との併用および化学療法併用後の維持のための単剤療法として承認されています。

 第一三共はヨーロッパ血液学会で、ヴァンフリタの最初に投与するがん治療薬(一次治療)の臨床試験(治験)の結果について、死亡リスクが減り生存期間が延びたと発表しています。

 ヴァンフリタは日本ではAML治療の飲み薬として再発患者などを対象に2019年に販売承認を得て、2023年5月に一次治療としての使用も認められました。ヨーロッパでも申請が受理されています。

 同薬は、スイス製薬大手ノバルティスの「ライダプト」とアステラス製薬の「ゾスパタ」と競合します。

 2023年7月24日(月)

2023/07/23

🟧住民54人中25人、有機フッ素化合物が指針値超え 愛知県豊山町、配水場から検出

 愛知県豊山町の配水場から健康被害のリスクが高いとされる物質が検出された問題で、市民団体が周辺住民を対象に行った血液調査の結果を20日、記者会見で公表しました。

 2021年3月、水道水を家庭に配水する豊山町の豊山配水場で国が定めた暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を大幅に超える有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出されたため、地下水のくみ上げが中止されました。

 こうした状況を受け、市民団体「豊山町民の生活と健康を守る会」が6月、豊山町と、隣接する北名古屋市の住民計54人の血液検査を行ったところ、25人のPFASの血中濃度がアメリカの学術機関が定める指針値で「健康に影響がある恐れがある」とされている1ミリリットル当たり20ナノグラムを超えていたということです。PFASは濃度が高いと健康へのリスクが高まるとされています。

 調査結果をまとめた京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は、「配水区域の住民の血中PFAS濃度は比較的高い状況にあると考えられ、配水が停止されて2年が経過しているが、影響は持続していることがうかがえる」などと述べた上で、汚染源の特定とともに継続的なモニタリング調査が必要だと指摘しました。

 記者会見に同席した小泉昭夫京都大学名誉教授(環境衛生学)は、「(豊山町の)県営名古屋空港で使われた可能性がある泡消火剤が地下水を汚していると考えられる」と述べました。1994年に同空港で起きた中華航空機墜落事故でPFASを含む泡消火剤が使用された可能性があるといいます。

 PFASを含む泡消火剤を使っていたアメリカ軍横田基地(東京都)の周辺住民への血液検査でも、過半数が指針値を超えていました。

 市民団体は今後、医師による個別医療相談を行うほか、豊山町や周辺の河川や井戸水の調査を行うとしています。

 2023年7月23日(日)

2023/07/21

🟧新型コロナウイルス感染者、定点当たり11・04人 5類移行後10人超は初、前週比1・21倍

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月16日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が11・04人となり、前の週の1・21倍となっています。43の都道府県で前の週より増加しています。 

 厚生労働省によりますと、7月16日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から9042人増えて5万4150人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数が11・04人となり、前の週の1・21倍となっています。前の週から増加が続くのは、15週連続となります。5類に移行してからは9週連続の増加で、移行直後と比べると4・20倍となりました。定点医療機関当たりの報告者が10人を超えたのは、移行後初めて。

 都道府県別では、多い順に沖縄県が31・83人、佐賀県が23・05人、宮崎県が20・79人、鹿児島県が19・08人、長崎県が16・66人、大分県は16・47人、熊本県は15・93人、愛媛県は15・7人、三重県は15・53人などとなっており、43の都道府県で前の週より増加しました。少ないのは青森県4・05人、秋田県4・35人、山形県5・37人。

 このほか、7月16日までの1週間に新たに入院した人は全国で6952人で、前の週と比べて632人の増加となりました。

 厚労省は全国の流行状況について、「感染者数の伸び幅は横ばいで、全国的には緩やかな増加傾向が続いているが、特に九州や中国、四国では前の週より増加幅が大きい県が多い。一方で、沖縄県では2週連続で減少となった。各都道府県には夏の感染拡大に備えて医療機関の間の連携などの準備を進めるよう呼び掛けていて、引き続き感染状況を注視したい」としています。

 2023年7月21日(金)

🟧新型コロナ、沖縄・九州で急拡大 沖縄県や鹿児島県などで全国平均を上回る

 新型コロナウイルスの感染が、沖縄・九州を中心に再び急拡大しています。各県の定点医療機関からの感染者の報告数が、沖縄・九州では6県が全国トップ10に入り、各県は外出や移動機会が増える夏休みを前に、改めて感染対策の徹底を求めています。

 各県のまとめなどによると、7月3~9日の1週間でそれぞれ定点医療機関1カ所当たりの感染者数は、沖縄県が47都道府県で最も多い41・67人、次いで鹿児島県が17・18人、宮崎県が16人、佐賀県が15・33人、熊本県が11・99人などと続き、全国平均の9・14人を上回っています。

 宮崎県は20日、最新の直近10~16日の1週間でみると、20・79人と前週の1・3倍に拡大していると発表しました。入院患者数も19日時点で173人と、前週から1・8倍に増加しているといいます。1日当たりの新規感染者数は891人と推計され、担当者は「第8波に入った2022年12月上旬の1日当たりの実数988人に近付いている」としています。

 熊本県も20日、直近1週間では15・93人と、前週に比べ1・33倍に増えていることを明らかにしました。

 九州各県とも医療体制が逼迫(ひっぱく)する状況ではないものの、これまで夏場に感染が拡大し、夏休みで人の流れが増える時期を迎えるため、状況に応じたマスクの着用や「3密」の回避を呼び掛けています。

 2023年7月21日(金)

2023/07/20

🟧東京都の新型コロナ感染者、1医療機関当たり8・25人 前週比1・08倍で4週連続増

 東京都内の新型コロナウイルスの感染者数は前の週の1・08倍と4週続けて増えており、専門家は、重症化リスクの高い高齢者などに早めのワクチン接種を検討するよう呼び掛けています。

 都は20日、新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、413カ所から報告があり、感染者数は7月10日から16日までの1週間で合わせて3407人で、1医療機関当たりでは8・25人となりました。

 これは前の週の7・58人の1・08倍と、4週続けて増えています。

 また、7月17日時点での入院患者数は、前の週の1176人から157人増えて1333人となり、こちらも4週続けて増えています。

 専門家は、「入院患者数は4週連続で前週から増加しているが、医療提供体制への大きな負荷は今のところみられない」としています。

 2023年7月20日(木)

🟧HPVワクチン任意接種費用、小6~高1男子にも全額助成 東京都中野区

 東京都中野区は、女性の子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するワクチン任意接種について、区内に住む小学校6年~高校1年相当の男子の接種費用を助成することを決めました。区によると、男性への助成は都内自治体では初めて。

 対象となるのは4500人。4価HPVワクチン(ガーダシル)1回につき約1万7000円(計3回を想定)を助成し、8月1日以降の接種が対象。区内87カ所の医療機関であれば全額助成となります。区は接種費用約1600万円を予算化しました。

 HPVは男性についても性感染症や肛門(こうもん)がん、中咽頭(いんとう)がんなどを引き起こす原因となることがわかっています。主に性交渉を通じて感染することから、男性への接種を増やすことで、女性の感染リスクも減らせます。HPVワクチンは、小学校6年~高校1年相当の年齢の女子は公費で接種を受けられるものの、男子は対象外でした。

 男性へのHPVワクチン接種は多くの国で推奨され、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど20カ国以上の国で公費接種が行われています。日本では、2020年12月から任意接種で男性が4価HPVワクチンを受けられるようになりましたが、全額自費で合計3回で約5〜6万円かかります。

 2023年7月20日(木)

🟧「ヘルパンギーナ」感染者、過去10年で最多の状況続く

 子供がかかりやすく、発熱などの症状が出る感染症「ヘルパンギーナ」の流行が続いていて、7月9日までの1週間に報告された患者の数は、過去10年で最多だった前の週よりもさらに増加したことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 ヘルパンギーナは夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子供がかかりやすく、発熱のほか口の中に水膨れができたり、のどが痛んだりといった症状が出ます。

 国立感染症研究所によりますと、全国約3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は7月9日までの1週間で、合わせて2万2980人となりました。

 1医療機関当たりでは7・32人で、現在の集計方法になった1999年以降、7人台に達するのは初めてで、国が定める警報レベルの「6人」を超えた前週の6・48人からさらに増加しました。

 都道府県別では、最も多い宮城県の23・2人を始め、岩手県(14・7人)や三重県(12・4人)など8つの道県で10人を超えていて、27の都道府県で警報レベルの「6人」以上となっています。

 また、熱やせきなど、風邪のような症状が出る「RSウイルス感染症」の患者数は合わせて1万613人、1医療機関当たり3・38人で、引き続き患者の多い状況が続いています。

 感染症が専門の国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「この3年間は新型コロナウイルス対策が取られていたため、子供がさまざまなウイルスに接しておらず、感染しやすい状況になっているとみられる。今の流行が収まっても新型コロナウイルスを含めた呼吸器感染症が夏休みを中心に広がる恐れもある。ウイルスと接する量を減らすためにも、マスクや手洗いの徹底、人との距離を保つことに気を付けてほしい」と話していました。

 2023年7月20日(木)

2023/07/19

🟧宮城県大崎市の病院で6人がレジオネラ属菌に感染、1人死亡1人重症 目安値の68万~97万倍

 宮城県は19日、大崎市の医療法人永仁会病院を利用した患者6人からレジオネラ属菌を検出し、このうち通院患者の80歳代の1人が死亡、40歳代の患者が重症になったと発表しました。70歳代3人と90歳代1人は快方に向かっているといいます。

 病院に設置している2台の空調施設の冷却水を検査した結果、目安値の68万~97万倍のレジオネラ属菌が検出されているといいます。県では遺伝子検査を行い、罹患との関連を調べます。

 県によると、6月28日にレジオネラ肺炎の患者を確認したものの、感染源の特定には至りませんでした。7月4日になって3人のレジオネラ肺炎の届け出を受けたため、大崎保健所で聞き取りから患者が共通で利用してい永仁会病院を特定。空調施設の冷却水を採取するとともに清掃を指導しました。

 その後の検査で、冷却水からは目安値の68万~97万倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 冷却水が蒸発する際、レジオネラ属菌も同時に排出された可能性があるものの、遺伝子の特定には至っていません。

 レジオネラ属菌は、河川や湖水などの自然界に生息。感染すると「レジオネラ症」を引き起こし、国内では入浴施設などを発生源とした感染例が多数報告されており、過去には死亡した人もいます。人から人へは感染しません。

 厚生労働省によると、レジオネラ症の潜伏期間は、2~10日。同症の主な病型として、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られています。

 レジオネラ肺炎は、全身の倦怠(けんたい)感や頭痛などに始まり、せきや38度以上の高熱といった症状もみられるようになります。抗菌薬で治療できます。

 最近では、福岡県筑紫野市の老舗旅館で昨年2月、週1回以上必要な浴場の湯の取り換えを年2回しか行わず、調査で基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 2023年7月19日(水)

🟧熱中症の救急搬送者、7月16日までの1週間で8189人 前週比・前年比とも2倍

 危険な暑さが相次いだ7月16日までの1週間に、熱中症の疑いで病院に運ばれた人は8100人余りと、前の週の約2倍に上ったことが19日、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、7月10日から16日までの1週間に熱中症の疑いで病院に運ばれた人は、全国で合わせて8189人(速報値)でした。

 最高気温が39度を超えるなど危険な暑さが相次いだこともあり、前の週(3~9日、3964人)の約2倍と今年最も多くなったほか、昨年の同じ時期(3958人)比と比べても約2倍に増えています。

 このうち、死亡した人は愛知、和歌山、岡山3県の計3人(前週比1人増)で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて2752人、「軽症」が5350人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が4484人と全体の半分以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が2836人、7歳以上18歳未満が794人、0歳から7歳未満が75人でした。

 都道府県別では、東京都が1066人と最も多く、昨年の同じ時期の4・6倍に上りました。次に多かったのが埼玉県で806人、次いで愛知県の540人、神奈川県の473人、大阪府の433人などとなっています。

 また、場所別では、住居が3215人と最も多く、次いで道路が1445人、屋外の競技場や駐車場などが1066人などとなっています。

 気象庁によりますと、この先1週間も各地で厳しい暑さが続く見込みで、総務省消防庁は、適切に冷房を使用したり、こまめに水分を補給したりするほか、作業を行う時は適度に休憩するなど熱中症への対策を呼び掛けています。 

 2023年7月19日(水)

🟧福岡西陵高校、新型コロナ集団感染の疑いで休校 200人以上が陽性や発熱

 福岡市教育委員会は18日、市立福岡西陵高校(西区)で新型コロナウイルスの集団感染が疑われるとして、21日まで全校休校にしたと発表しました。

 市教委によると、全校24クラスの生徒939人のうち、18日朝の時点で、全学年にわたり39人が新型コロナ陽性と判明し、それ以外にも199人が発熱などの症状で欠席。同日午前に休校を決めたといいます。

 14日に全学年での体育祭があり、市総合体育館(東区)で綱引きやリレーなどを行ったといいます。マスク着用は個人の判断に任せていました。14日の欠席者は32人で、15~17日は休みでした。

 2023年7月19日(水)

2023/07/18

🟧アメリカFDA、RSウイルスワクチンを承認 2歳以下の乳幼児向けで初

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は17日、イギリスのアストラゼネカとフランスのサノフィが共同開発した乳幼児向けのRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染症のワクチンを承認したと発表しました。健康状態などに関係なく、2歳以下の幅広い乳幼児に使用できるRSウイルス向けのワクチンが許可されるのは初めて。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は8月に専門家による諮問委員会を開催し、医師による具体的な使用方法などの詳細を取りまとめる計画で、これを踏まえてCDCが推奨すれば接種を始められます。

 RSウイルスは大半の場合は軽い風邪のような症状ですむものの、乳幼児がかかると重症化する場合があります。アメリカでは昨年に子供の患者が急増し、緊急医療の現場が逼迫する一因となりました。RSウイルスの流行シーズンは秋から冬で、今年の流行期を前にRSウイルスワクチンへの期待は高まっています。

 製薬業界では近年、RSウイルスワクチンを巡る競争が激化していました。今年5月3日、FDAが世界で初めてとなるRSウイルス向けのワクチンを承認しました。イギリスのグラクソ・スミスクライン製のワクチンで、60歳以上の高齢者を対象としていました。

 RSウイルスは免疫が低下し持病のある高齢者では肺炎を起こし、重症化するリスクが高まります。アメリカ国立アレルギー感染症研究所の推定によると、アメリカではRSウイルスが原因で年間に約1万4000人の65歳以上の高齢者が死亡しています。世界では毎年6400万人が感染し、死亡者は16万人に上ります。日本では年に約6万人の入院と4000人の死亡につながるとの推計もあります。

 2023年7月18日(火)

🟧夏の間に一定のコロナ感染拡大が生じる可能性 加藤厚労相、感染対策を呼び掛け

 新型コロナの感染者数が増加傾向にあり、加藤勝信厚生労働相は夏休みの帰省で高齢者と会う際などには、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染対策を心掛けるよう呼び掛けました。

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月9日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が9・14人で、前の週の1・26倍となっています。

 これについて、加藤厚労相は18日の閣議の後の記者会見で、「新規感染者数は緩やかな増加傾向が続いている」とした上で、「過去の状況なども踏まえ、今後、夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある」との認識を示しました。

 また。加藤厚労相は夏休みの旅行や帰省などで高齢者や基礎疾患のある人に会ったり、大人数で集まったりする際には、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染予防対策を心掛けるよう呼び掛けました。

 また、マスクを着用する際にはより熱中症のリスクが高まるとして、こまめな水分補給などの熱中症対策についても周知を図っていく考えを示しました。

 2023年7月18日(火)

🟧熱中症の疑いで救急搬送、埼玉県内で101人 東京都内で73人

 埼玉県によりますと、18日午後4時の時点で、熱中症の疑いで救急搬送された人は101人に上り、10日の102人に次ぎ今シーズンで2番目に多くなりました。

 101人のうち重症が6人、中等症が29人、軽症が66人となっています。

 また、65歳以上の高齢者が66人と全体の3分の2近くを占めています。

 県は、外出を控えることや、こまめに水分を補給することなど、熱中症対策を呼び掛けています。特に、高齢者や持病がある人は、暑さで徐々に体力が低下し室内でも熱中症になることがあるとして、エアコンを適切に使い、周りの人も高齢者がいる部屋の温度に注意してほしいと呼び掛けています。

 一方、東京消防庁によりますと、東京都心で3日連続で「猛暑日」となる中、都内では18日午後3時の時点で、4歳から95歳までの合わせて73人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 73人のうち、70歳代と80歳代の男性合わせて2人が重症、28人が中等症、43人が軽症だということです。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給するなど対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年7月18日(火)

2023/07/17

🟧北京市の最高気温41・8度、欧米には熱波 記録的猛暑、北半球を襲う

 北半球の各地を記録的な猛暑が襲っています。中国・北京市では6月に最高気温が40度を超え、冷涼なロシア・シベリアでは森林火災が拡大。欧米も熱波に見舞われています。今年は南米ペルー沖の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」が発生しており、世界全体の気温はさらに上昇するとの観測も出ています。

 7月初旬、スマートフォンに北京市の気象当局からメッセージが届きました。「赤色警報。熱中症対策をしっかりして、高温時は屋外の作業をやめてください」。中国ではその日の気温の予測に応じ、警戒レベルを3段階に区分。6月下旬以降、最高気温が40度以上と最も深刻な「赤色」警報が相次いで出されました。

 中国気象局は、6月の全国平均気温が1961年以来、2番目に高かったと公表。北京市では6月22日に最高気温が41・8度に達しました。市内のタクシー運転手は「外が暑すぎて、エアコンの効き目がない」とぼやきました。

 アメリカでは西部や南部の広い範囲で熱波に見舞われ、アリゾナ州フェニックスでは7月15日までに16日連続で43度を超えました。アメリカ国立気象局は、西部・南部の州で「広範囲で厳しい」熱波についての警告が発せられ、8000万人以上が影響を受けるとの見方を示しました。

 カリフォルニア州南部では山火事が相次ぎ、リバーサイド郡では3000ヘクタール超が焼失したほか、各地で避難命令が発出されました。

 ヨーロッパでもスペインやイタリア、ギリシャなどで40度を超える日が出ており、イギリスのBBC放送は「今夏は昨年よりもさらに死者が増える恐れがある」と報じました。

 世界気象機関(WMO)によると、先月は観測史上最も暑い6月となりました。7月7日に記録した世界平均気温は17・24度で、過去最高だった2016年8月16日の16・94度を更新。WMOはエルニーニョ現象が7年ぶりに発生したとし、さらに暑くなる可能性があると予測しています。

 エルニーニョ現象の際は日本では冷夏になることが多いものの、逆の影響が出る「ラニーニャ現象」終息から間もなく、日本列島も16日、各地でこの夏1番の暑さとなりました。

 ロシアのシベリアや極東でも6月から猛暑が続いています。現地メディアなどによると、アルタイ地方の中心都市バルナウルでは、20度台前半とされる例年6月の最高気温を大幅に上回り、6月7日に38・5度を記録しました。

 雨不足もあり森林火災も拡大し、サハ共和国では160カ所以上で火災が発生。首都ヤクーツクの旅行会社経営ボチカリョフ氏は取材に「猛暑と森林火災は近年は毎年続いているが、今年は暑さ到来が特に早かった」と話しました。

 インドでは、モンスーン(雨期)による豪雨に見舞われた北部で洪水や土砂災害が発生しています。首都ニューデリーではヤムナ川の水位が過去最高を記録しました。専門家は気候変動の影響により、同国におけるこうした自然災害の発生頻度と規模の増大を指摘しています。

 2023年7月17日(月)

🟧埼玉県内、熱中症疑いで少なくとも62人搬送 東京都内、熱中症疑いで51人搬送

 日本列島は17日、広く高気圧に覆われ、各地で猛烈な暑さになりました。東北から九州にかけ、今年最多の193地点で猛暑日(最高気温35度以上)を記録し、全国で最も気温が高かったのは愛知県豊田市で39・1度でした。

 気象庁によると、この日は32の都府県に「熱中症警戒アラート」が発表されました。各地の最高気温は、山梨県甲州市で38・8度、埼玉県熊谷市で37・7度、京都市中京区で37・7度、福島県伊達市で37・3度、福岡県太宰府市で37・3度など。

 県内の多くの観測地点で猛暑日となった埼玉県内の消防によりますと、17日午後5時半までに、少なくとも62人が熱中症の疑いで搬送されたということです。

 このうち蓮田市では、70歳代の女性が路上で倒れているのが見付かり、重症だということです。

 東京消防庁によりますと、東京都内では17日午後3時までに熱中症の疑いで6歳から95歳までの男女、合わせて51人が救急搬送されたということです。

 このうち、30歳代の女性1人が重篤な状態になっているほか、18人が中等症、32人が軽症だということです。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給するなど、対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 2023年7月17日(月)

2023/07/16

🟧DeNA・三嶋投手が受けた国指定難病の新手術、「MISHIMA手術」と命名

 プロ野球のDeNA・三嶋一輝投手が国指定の難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」を患い、昨年8月に受けた新術式「ナビゲーション支援マイクロウインドウ骨化切除術」が、「MISHIMA手術」の名称で12日にスイスの医学誌「Medicina(メディシーナ)」に承認され、同14日に掲載されました。

 黄色靭帯骨化症は背骨付近の靭帯が骨化し神経を圧迫する難病で、従来は骨化した黄色靱帯を取り除くため、正常な骨の突起や靱帯部分を含めた背中の後部を縦50ミリ、横20ミリ切除していた手術を、手術箇所を3次元的に確認する医療システム「O‐armナビゲーション」を用いて縦13ミリ、横12ミリに抑えた新手術。術後の影響を大幅に少なくし、三嶋投手は今季開幕から1軍の戦力としてカムバックを果たし、ここまでリリーフとして25試合に登板して、3勝1敗、防御率は3・98とチームの勝利に貢献しています。

 DeNAの三嶋投手に手術を行ったのは、最小侵襲脊椎治療学会の石井賢理事長などのグループです。

 手術を担当した医学博士の石井理事長は、「こうして医学誌に認めてもらったのは、すごくありがたいことだと感じています。何よりも三嶋選手が活躍してくれることが第一なので、それを切に願っています。科学がどんどん進歩している中で、このナビゲーションのように新しい技術を使った手術ができることは、アスリートを含む一般の難病で苦しんでいる方にとっても朗報だと思っています。これまでは復活をあきらめなくてはならなかった人が、この手術を受けてまたプレーできることが増えていけばいいなと思います」とコメントしました。

 新たな手術が自身の名前にちなんだものになったDeNAの三嶋投手は、球団を通じて「手術前は歩行困難、神経痛、頻尿障害、体調不良でどんな治療やマッサージを受けても全く改善されることはなく、周りにもわかってもらうことが難しく、1人で悩み考える毎日でした。今回の手術を受けて、症状は改善されて健康に過ごすことができています」とコメントしています。

 そして、「この手術が広まっていき、黄色靱帯骨化症の患者さんの光明になればいいと思います。このつらさはなった人にしかわからないと思いますし、人によって痛さ、脱力、しびれなど症状はさまざまで、もっとつらい方、苦しんでる方々がいると思います。そんな毎日闘っている方々に、プロ野球選手として戦っている姿を見てもらい、少しでも、何かの力になれればいいなと思っています」と話し、気持ちを新たにしていました。 

 2023年7月16日(日)

🟧東京都、RSウイルス感染症で入院する子供急増 通常医療への影響懸念

 子供の感染症が多い状況が続く中、小児医療の中核を担う東京都内の病院では「RSウイルス感染症」で入院する子供が急増しており、手術や入院など通常の医療への影響が懸念される状況になっています。

 「RSウイルス感染症」は熱やせき、鼻水など風邪のような症状が出る病気で、幼い子供が初めて感染すると肺炎や気管支炎を起こして重症化することがあります。

 秋から冬にかけて流行しやすいとされていますが、今年は5月ごろから感染者が増え始め、国立感染症研究所によりますと、7月2日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者は9981人となっています。

 東京都世田谷区にある小児医療が専門の国立成育医療研究センターでは、5月下旬からRSウイルス感染症で入院する子供が増え始め、7月9日以降は50人前後と非常に多い状態が続いているということです。

 このうち、約半数が1歳未満で、重症化しやすいとされる生後3カ月までの子供も2割程度いるということです。

 RSウイルス以外にも新型コロナウイルスやヒトメタニューモウイルスなどで入院している子供もいるため病床はひっ迫しているということで、このままの状況が続けば夏休みに併せて予定している手術や検査のための入院に影響が出る恐れがあるということです。

 国立成育医療研究センター感染症科の大宜見力診療部長は、「おそらく同じような状況はほかの病院でも起きていて、このままでは通常の医療ができなくなってしまう。小さい年齢でかかるほど重くなる感染症も多いので、マスクや手洗いなど家庭での感染対策を徹底してほしい」と話しています。

 2023年7月16日(日)

2023/07/15

🟧エイズ感染者、死者ともに減少 国連、2030年までに終結可能

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は13日、2030年までに公衆衛生上の脅威としての「エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を終結できる」と主張しました。ただ、世界の指導者が機会を逸しなければだと警告しました。

 UNAIDSのウィニー・バイアンイマ事務局長は、「我々は依然としてエイズ終結の軌道にはいない」としながらも、政治・経済的選択により「軌道に乗せることはできる」と述べました。

 アフリカなど大規模支援が行われている国では、エイズウイルス(HIV)感染対策が大きな効果をみせているといいます。

 サラハ以南のアフリカには世界のHIV陽性者の65%が暮らしています。

 UNAIDSは報告書で、20年前は毎年250万人がHIVに感染し、200万人がエイズで死亡しており、流行は止められないようにみえたと指摘。しかし、2022年の新規感染者数は約130万人で、ピークだった1995年から59%減りました。一方、エイズ関連疾患での死者数は63万人と、ピークの2004年の200万人から69%減となりました。感染者、死者ともに減少傾向が続いています

 UNAIDSによると、2022年の世界のHIV陽性者数は3900万人。うち2980万人はエイズ発症を予防する抗レトロウイルス療法を受けており、2010年の770万人から大幅に増加しています。残りの抗レトロウイルス療法を受けていない人のうち、66万人は子供だといいます。

 2023年7月15日(土)

🟧新型コロナウイルスのワクチン接種後死亡、新たに6人に死亡一時金など支給へ 

 新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した6人について、厚生労働省の専門家の会議は、死亡一時金などを支給することを認めました。

  厚労省の専門家の会議は、新型コロナワクチンの接種後に亡くなり、死亡一時金や葬祭料を支給するよう申請があった事例のうち、53歳から89歳までの男女合わせt6人について、ワクチン接種との因果関係が否定できないとして、支給を認めました。

  6人は、新型コロナワクチン接種後、急性心筋梗塞や腸管浮腫などで亡くなり、そのうち5人は慢性心不全や高血圧、脂質異常症などの基礎疾患があり、くも膜下出血で亡くなった71歳女性は基礎疾患がなかったということです。

 予防接種法に基づいた健康被害の救済制度では、ワクチンとの因果関係を否定する論拠がない限りは、死亡一時金などの支給を認めています。

 厚労省は、このほか、6月26日にも15歳から99歳の31人を認定していて、新型コロナのワクチン接種で死亡一時金などの支給が認められたのは、今回の6人を含め、10歳代から90歳代までの合わせて109人になったということです。

 接種したワクチンの種類や、接種の回数などは明らかにしていません。

 2023年7月15日(土)

🟧東京都、新型コロナ感染者3週連続増 ヘルパンギーナは4週連続「警報レベル」

 東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前の週の1・1倍と、3週続けて増えていて、専門家は「夏休みは人の往来が増える時期で、高齢者への感染の機会を減らすことが重要だ」として、重症化リスクの高い高齢者に接触する場合は基本的な感染対策をとるよう呼び掛けています。

 13日、東京都庁で感染症の対策会議が開かれ、この中で都内の新型コロナの感染者数について公表されました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、416カ所から報告があり、感染者数は7月9日までの1週間で合わせて3152人で、1医療機関当たりでは7・58人となりました。これは前の週の6・85人の1・1倍と、3週続けて増えています。

 東京都医師会の猪口正孝顧問は、「感染者数は緩やかに増加している。夏休みは人の往来が増える時期で、高齢者への感染の機会を減らすことが重要だ」として、重症化リスクの高い高齢者に接触する場合は状況に応じてマスクをつけるなど、基本的な感染対策をとるよう呼び掛けました。

 このほか会議では、幼い子供がかかりやすいウイルス性の感染症のヘルパンギーナやRSウイルス感染症についても、感染が広がっていると報告があり、換気や手洗い、うがいなどの徹底が呼び掛けられました。

 ヘルパンギーナは、定点医療機関当たりの患者報告数は8・0人で、前週の8・22人から横ばいで、4週連続で警報レベルの基準値「6」を超えています。

 2023年7月15日(土)

2023/07/14

🟧アメリカ、経口避妊薬の薬局などでの販売承認 オンラインでも購入可に 

 アメリカの食品医薬品局(FDA)は、経口避妊薬を医師の処方箋なしに薬局などで販売することを承認しました。

 アメリカでは人工妊娠中絶を巡って国を二分する議論となっていて、昨年は連邦最高裁判所が「中絶は憲法で認められた権利」だとした50年前の司法判断を覆したことから、共和党が強い州を中心に中絶を厳しく制限する動きが相次いでいることから、避妊薬の市販を求める声が高まっていました。

 アメリカのFDAは13日、アイルランドの製薬大手ペリゴ社の経口避妊薬「オピル」を薬局やオンラインで販売することを承認しました。

 FDAによりますと、この経口避妊薬はアメリカでは1973年に処方薬として承認され、毎日、同じ時間に服用することで避妊の効果を高め、適切に服用すれば安全で効果的だとしています。

 ペリゴ社によりますと、この避妊薬は2024年初めにもアメリカ国内のドラッグストアやコンビニ、オンラインで買えるようになる見通し。

 アメリカでは年間600万件の妊娠のうち、45%は意図しない妊娠とされます。避妊薬を入手しようとした女性の3人に1人は障壁を感じたことがあるといいます。

 2023年7月14日(金)

🟧新型コロナ、前週比1・26倍に 45都道府県で前週より増加、沖縄県は減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月9日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が9・14人で、前の週の1・26倍となっています。45の都道府県で前の週より増加していて、厚生労働省は「特に九州や中国、四国では前の週より増加幅が大きい県が多く、引き続き感染状況を注視したい」としています。

 厚生労働省によりますと、7月3~9日の1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から9361人増えて4万5108人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は9・14人で前の週の1・26倍となりました。前の週から増加が続くのは14週連続となります。

 7月8日で、新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行して2カ月がたちましたが、今回発表された7月9日までの1週間と、5類移行直後の5月14日までの1週間を比べると3・48倍となりました。

 都道府県別では、多い順に沖縄県が41・67人、鹿児島県が17・18人、宮崎県が16・0人、佐賀県が15・33人、熊本県が11・99人などとなっていて、45の都道府県で前の週より増加しています。沖縄県は依然突出して多いものの、前週比0・86倍で減少しました。少なかったのは青森県4・35人、富山県4・58人、秋田県4・87人など。

 このほか、7月9日までの1週間に新たに入院した人は全国で6096人で、前の週と比べて602人の増加となりました。

 厚労省は全国の流行状況について、「全国的に緩やかな増加傾向が続き、特に九州や中国、四国では前の週より増加幅が大きい県が多く、また沖縄県では前の週よりは減少したものの依然として高い水準が続いている。引き続き感染状況を注視したい」としています。

 2023年7月14日(金)

🟧人工甘味料アスパルテーム、発がんの可能性がある物質に指定 国際がん研究機関が初の見解

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は14日、ダイエット飲料やシュガーレス製品に広く使われている人工甘味料のアスパルテームについて、「人の発がんの可能性がある」物質に分類すべきだとする見解を初めて発表しました。

 IARCが研究論文などを検証した結果、アスパルテームと肝臓がんが関係している可能性があることがわかりました。ただし、アスベストやたばこのように確固たる結論が出ているわけではありません。

 IARCは、アスパルテームを4段階ある「人の発がんの可能性がある」物質のうち下から2番目の「2B」に指定。ガソリンを使用したエンジンの排ガスや、鉛などと同じレベル。発がんの可能性が最も高い「1」にはタバコやアルコール、紫外線などが含まれています。

 アスパルテームについてアメリカ食品医薬品局(FDA)などは、一定の基準以内であれば安全に消費できると繰り返し説明しています。アスパルテームのリスク評価を行ったWHOの別の専門家委員会は14日、WHOの基準を変更する必要はないとの見解を示しました。

 WHOは発がんの可能性を指摘することで、アスパルテームやがんとの関係についてさらなる研究を促したい考え。

 ノンアルコール飲料業界団体のアメリカン・ビバレッジは声明を発表し、「学会および規制機関において、アスパルテームは安全だという幅広いコンセンサスがある。それは世界中の食品安全機関が何度も何度も出した結論だ」と強調しました。

 アスパルテームは歯磨き粉や医薬品などに使われることもあり、「ダイエット」「ゼロシュガー」をうたう飲料や食品、甘味料などの製品に多く見受けられます。

 WHOが定めるアスパルテームの1日の許容摂取量は体重1キロ当たり40ミリグラムで、1981年以来変わっていません。

 アメリカン・ビバレッジによると、ダイエットソーダに含まれるアスパルテームの量は平均で1缶当たり100ミリグラム。アメリカ人の平均体重83キロで換算すると、1日に33缶までが許容範囲内になります。

 2023年7月14日(金)

2023/07/13

🟧6月の世界平均気温、観測史上最高に 異常気象が発生する可能性高まる

 先月の世界の平均気温は6月としては観測史上、最も高くなりました。海面の平均水温も高くなっていて、世界気象機関(WMO)は異常気象が発生する可能性が高まっていると警鐘を鳴らしています。

 WMOなどが10日までにまとめたところによりますと、世界の先月・6月の平均気温は、1991年から2020年の平均を約0・5度上回り、6月としては観測史上、最も高くなりました。

 WMOは、こうした記録的な暑さは、エルニーニョ現象の発生と同じ時期に観測されたとした上で、今後さらに気温が上昇する恐れがあると懸念を示しています。

 また、海面の平均水温も5月と6月でそれぞれこの時期としては過去最高を記録したほか、南極海の氷の面積は人工衛星での観測が始まって以降、6月としては最も小さくなり、平均より17%少なくなったということです。

 温暖化はハリケーンや熱帯低気圧の増加につながると指摘されていて、WMOの担当者は10日に開いた会見で、「熱帯低気圧が発生すれば、漁業など沿岸部だけでなく、内陸部でも犠牲者を出す恐れのある大雨など、すべてが影響を受ける」などと述べて警鐘を鳴らしました。

 こうした中、7月、アメリカではニューヨーク州など東部で大雨による洪水被害が出ているほか、インドでも西部や北部で大雨によって少なくとも22人が死亡するなど世界各地で災害が相次いでいます。

 2023年7月13日(木)

🟧日医工、258品目の販売中止 品質不正契機の削減完了

 経営再建中の大手ジェネリック医薬品(後発薬)メーカー、日医工(富山市)は13日までに、医薬品258品目を新たに販売中止すると発表しました。一連の措置で販売品目数はピーク時の約1700から905に減り、経営合理化に向けた不採算品目などの販売中止は完了する見通しだといいます。

 日医工によると、258品目のうち、安定供給への懸念などを理由に146品目を販売中止します。グループ内で成分が重複している90品目や他社が製造し日医工が販売していた22品目も対象としました。同社は3月にも後発薬221品目の販売中止を発表していました。

 日医工は、工場での品質不正問題で富山県から業務停止命令を受け業績が悪化。企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズなどが出資する合同会社の子会社となり、3月に上場廃止となっていました。

  2023年7月13日(木)

🟧熱中症の疑いで救急搬送の93歳女性が死亡 愛知県西尾市

 愛知県西尾市で12日、熱中症とみられる症状で救急搬送された93歳の女性が死亡しました。

 消防によりますと、12日午後1時すぎ、西尾市内の畑で93歳の女性が倒れているのを家族が見付けました。

  女性は救急搬送されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。

  女性は午前7時ごろから畑仕事をしていたということで、女性が帰ってこなかったため、家族が様子を見に行き発見しました。

  12日、愛知県内ではこの女性を含む36人が熱中症とみられる症状で救急搬送されています。

 気象庁によると、12日は西尾市に隣接する岡崎市で、県内で最も高い気温36・4度を観測しました。

 2023年7月13日(木)

🟧学校祭シーズンに北海道の高校で集団感染相次ぐ 新型コロナ、150人陽性の学校も

 北海道内の少なくとも3つの高校で、新型コロナウイルスの感染者が数十人~150人規模で確認され、学校閉鎖となっていることがわかりました。直近に学校祭などを実施している高校もあり、道教育委員会では、行事などで人が集まる場合、マスクを着用したり、密集を避けたりする感染症対策をとるよう呼び掛けています。

 道教委によると、学校閉鎖となっているのは、札幌市の札幌月寒(つきさむ)高校と札幌東高校、松前町の松前高校の3校。いずれも11日に道に報告があったといいます。

 札幌月寒高校では、12日夕方までに新型コロナの陽性者が約150人確認されました。札幌東高校では、11日の報告時点で陽性者が50人以上確認されています。

 両校とも週末にかかる6日~8日に学校祭が開かれ、集団感染した可能性があるといいます。松前高校では、全校生徒の6割に当たる約30人の陽性が確認されているといいます。

 この時期は、学校祭などを実施する学校が多く、道教委では、事前に注意を呼び掛けていました。相次ぐ集団感染を受け、改めて、道立学校や札幌市を除く市町村の教育委員会に感染対策の徹底を呼び掛けました。

 道によると、道内の定点医療機関では6月26日から7月2日までの1週間に1332人の感染を確認。1医療機関当たりの感染者数は6・03人で、4週ぶりに増加しています。

 2023年7月13日(木)

2023/07/12

🟧授乳中の母親の加熱した卵摂取、赤ちゃんの卵アレルギー発症に影響なし 東京慈恵医大など分析

 国立病院機構相模原病院と東京慈恵医大などの研究チームは11日、授乳中の母親が加熱した卵を産後5日間毎日食べても、全く食べない場合と比べて赤ちゃんが卵アレルギーを発症する割合に差がなかったとする分析結果を公表しました。

 研究チームの浦島充佳・東京慈恵医大教授は、「火を通した卵であれば授乳期間中に毎日1個ぐらいは食べても大丈夫だろう」と話しています。ただ生卵や大量の卵を食べた場合の影響は調べておらず、発症リスクが高まる可能性はあるといいます。

 どちらかの親にアレルギーがある赤ちゃん380人の母親を産後5日間、毎日1個加熱した卵を食べるグループと全く食べないグループに分けました。1年後に採血などで赤ちゃんが卵アレルギーを発症した割合を調べると、卵を食べたグループは9・3%、食べなかったグループは7・6%で統計学的に差がありませんでした。

 乳幼児が発症する食物アレルギーでは、卵アレルギーが最も多くなっています。卵を食べ始める時期が早いほうがリスクが低下するとの報告があり、研究チームは産後すぐの母親が卵を食べるとリスクが低くなるとの仮説を立てたものの、異なる結果となりました。

 2023年7月12日(水)

🟧健康保険証、一律2025年秋まで使用可に 厚労省が方針を見直し

 厚生労働省は11日、マイナンバーと一体の「マイナ保険証」普及に向け2024年秋に廃止予定の健康保険証に関し、公的医療保険の種類にかかわらず、継続使用できる猶予期間を一律で2025年秋までの1年間とする方針を明らかにしました。自営業者らの国民健康保険や75歳以上向けの後期高齢者医療制度の保険証には有効期限があり、これまで厚労省は2024年秋の廃止後、期限が切れた時点で使用できないとしていました。

 加入する保険によって対応に差が出ないよう、厚労省が方針を修正しました。会社員や家族が入る健康保険組合や協会けんぽの保険証には有効期限がないため、2025年秋まで使える点に変わりはありません。

 厚労省の担当者が11日の立憲民主党会合で、有効期限がある保険証について「保険証の廃止後も1年間有効になるよう(運営主体の自治体などに)依頼し、円滑に施行したい」と述べました。具体的な運用については今後検討します。

 2023年7月12日(水)

🟧鹿児島県で2例目のエムポックス感染確認 1例目感染者との接触はなし

 鹿児島県は11日、県内在住の40歳代男性が「エムポックス」(サル痘)に感染したと発表しました。県内では10日の発表に続き2例目。県健康増進課によると、1例目の感染者との接触はありません。

 男性は3日ごろから発疹や咽頭痛、6日ごろから発熱の症状があり、医療機関を受診。県環境保健センターで検査したところ、11日に陽性が判明し、同日医療機関から発生届がありました。男性に海外渡航歴はなく、現在、容体は安定しています。 

 ウイルスに感染すると発症し、発熱や頭痛、リンパ節のはれといった症状が生じた後に、発疹ができます。多くは2~4週間で自然に回復します。感染者の皮膚の病変や体液、血液などに接触して感染するとされます。

 同課は、「エムポックスは4類感染症で比較的感染力も弱く、過度に心配する必要はない。県内でまん延しているといえる状況ではない。症状がある場合はマスク着用の上、発疹部をガーゼで覆うなどの対策をとって受診してほしい」としています。

 2023年7月12日(水)

🟧アメリカ軍厚木基地のPFAS、暫定目標値の18倍検出 神奈川県へ防衛省が情報提供

 アメリカ軍厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)で昨年9月下旬、発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を含む泡消火剤約7000リットルと、水約25万リットルが交ざった計約25万7000リットルが放出されがた問題で、神奈川県などは10日、泡消火剤が流入した基地内の調整池の水を調べた結果、最大で国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の18倍ものPFASが検出されたと発表した。

 検査は日米地位協定の環境補足協定に基づき、県などが昨年10月上旬に実施。調整池は基地の南側に位置し、PFASの一種であるPFOSとPFOAの合計値は、入水側で暫定目標の17倍に当たる1リットル当たり最大850ナノグラム、排水側で18倍の同910ナノグラムでした。調整池は基地内を流れる蓼川(たてかわ)につながっており、汚染された水の一部は基地外に漏れたとみられます。泡消火剤の流出量は、防衛省から7000リットルと説明されたといいます。

 県によると、検査結果の発表には日米両政府による協議が必要で調整に時間がかかり、10日に防衛省から県に連絡がありました。

 一方、アメリカ軍横須賀基地(同県横須賀市)の排水処理施設からPFASが流出した問題で、横須賀市は10日、昨年12月の国と市、アメリカ軍による基地の常時立ち入り禁止区域の海上サンプリング調査の結果が、日本の暫定目標値を下回ったと発表しました。市によると、PFOSとPFOAの合計値は最大で1リットル当たり3・2ナノグラムでした。アメリカ軍は市に対し、今後は結果を提供する考えがないほか、流出した原因の特定は困難との見解を示しました。

 流出の原因究明を求めている市民団体「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦弁護士は、「PFAS汚染が全国的に問題化している今、市民の安全や海洋環境に背を向けた幕引きは許されない」と批判しました。

 2023年7月12日(水)

2023/07/11

🟧ヘルパンギーナ、2週連続で過去10年最多を更新  25都道府県で警報レベル

 国立感染症研究所によりますと、全国約3000の小児科の医療機関から報告された「ヘルパンギーナ」の患者の数は、7月2日までの1週間で合わせて2万360人で、1医療機関当たり6・48人でした。

 これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っています。

 1医療機関当たりの患者数が「6」を上回ると警報レベルとされていますが、最も多い宮城県が15・85人で、三重県や鹿児島県、群馬県でも10人を上回るなど、25の都道府県で警報レベルを上回りました。

 ヘルパンギーナは接触や飛沫(ひまつ)などによって感染します。38~40度の発熱と、口の中やのどに直径1~5ミリ程度の小さな水疱(すいほう)ができるのが特徴。乳幼児を中心に夏に流行し、のどの痛みで食べ物や飲み物がうまく飲み込めず、脱水症状を引き起こす場合もあります。

 このほか、乳幼児に多い呼吸器疾患「RSウイルス感染症」の患者も増加傾向が続き、直近1週間の小児患者数は9981人、1医療機関当たりの患者数は3・17人と前年同期の約3倍に増えています。

 RSウイルスは新生児や基礎疾患のある子供は重症化しやすく、気管支炎や肺炎を引き起こす恐れもあります。

 日本小児科医会で感染症対策に携わる峯眞人理事は、「ヘルパンギーナは原因のウイルスが複数あり、今後も患者が増える可能性がある。これだけ急激に広がったウイルスはこれからも消えてなくなることはないので、マスクや手洗いなど基本的な対策をとってほしい」と話していました。

 2023年7月11日(火)

🟧3〜9日の熱中症搬送、全国で3964人 今年最多に

 総務省消防庁は11日、熱中症で3~9日の1週間に全国で3964人が救急搬送されたとの速報値を公表しました。今年の統計を開始した5月1日以来、1週間の搬送者数としては最多。前週(6月26日~7月2日)の3227人から737人増えました。

 茨城、長野両県で1人ずつ、計2人の死亡が確認されました。

 気象庁によると、東日本や西日本、沖縄・奄美は最高気温の高い日が今後続き、35度以上の猛暑日も予想されます。消防庁はこまめな水分補給、適切なエアコン使用などの対策を呼び掛けています。

 3週間以上の入院が必要な重症者は58人、短期の入院が必要な中等症は1271人でした。搬送者のうち、65歳以上の高齢者が2324人と全体の58・6%を占めました。

 熱中症の発生場所は、自宅の敷地内などの「住居」が1651人と最も多くなりました。 

 2023年7月11日(火)

🟧熱中症の疑いで救急搬送相次ぐ 埼玉県で72人、東京都で52人、岐阜県で児童19人

 11日も各地で気温が上がり、全国の57の観測点で猛暑日となりました。熱中症とみられる症状での救急搬送が相次いでいます。

 埼玉県によりますと、11日午後4時の時点で、合わせて72人が熱中症の疑いで救急搬送されました。

 このうち、重症が3人、中等症が21人、軽症が48人となっています。また、65歳以上の高齢者は45人で、全体の6割以上を占めています。

 埼玉県は、室内でも適切にエアコンを使用することや、こまめに水分を補給するなど、熱中症の対策を徹底するほか、周りにいる子供や高齢者に声掛けを行うよう呼び掛けています。

 東京消防庁によりますと、11日、都内では午後3時までに、10歳代から90歳代の男女合わせて52人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 このうち、13人が中等症、39人が軽症だということです。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給するなど対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 11日午前10時半すぎ、岐阜県各務原市の川島小学校から「子供が気分の悪さや体のだるさを訴えている」と通報がありました。

 市の教育委員会や学校によりますと、学校では午前9時半ごろから児童約730人が校庭に出て学校の創立150周年を祝う記念の航空写真を撮影していましたが、約50人が気分の悪さや体のだるさなどを訴えたということです。

 消防がこのうち19人を熱中症の疑いで病院に搬送しましたが、全員、意識はあり重症の児童はいないということです。

 市の教育委員会によりますと、熱中症対策のガイドラインに基づいて、児童には帽子をかぶらせ水筒を持たせていたということです。

 各務原市に隣接する岐阜市の気温は、午前10時半に30・7度、午前11時には32・3度を観測していました。

 2023年7月11日(火)

🟧7月第1週は観測史上「最も暑い週」 世界気象機関が発表

 国連の世界気象機関(WMO)は10日、暫定的なデータとして、7月第1週の世界平均気温は観測史上、最も暑い1週間となったと発表した。

 WMOは、気候変動とエルニーニョ現象の影響だとしています。

 また、7月7日の世界平均気温は17・24度で、WMOによると、2016年8月16日の16・94度を0・3度上回りました。2016年の夏には南米ペルー沖の太平洋の海面水温が上がり、世界的な気温上昇につながることが多いエルニーニョ現象が強く発生。WMOは4日に、エルニーニョが7年ぶりに発生したとしており、今後さらに気温が上昇する可能性があるとして懸念を示しました。

 WMOは地表温度と海面温度の両方が最高記録を更新しているとも指摘。生態系や環境に壊滅的な影響を及ぼす恐れがあると警告しました。

 WMOの気象サービス部門の責任者、クリストファー・ヒューイット氏は、「我々は未知の領域にいる。エルニーニョ現象がさらに発達すれば、さらに記録が更新される。影響は2024年まで続くだろう」と述べました。

 ヨーロッパの地球環境モニタリング計画「コペルニクス」も、1940年の観測開始以来、先週が最も気温が高かったとみられると述べました。

 2023年7月11日(火)

2023/07/10

🟧神戸徳洲会病院が循環器内科のカテーテル手術を当面中止 「手術で6人死亡」と告発書

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で、循環器内科の男性医師が行ったカテーテル手術後に複数の患者が死亡したとする告発を巡り、同病院が循環器内科でのカテーテル手術や検査を当面中止すると決めたことが、明らかになりました。

 神戸市によると、今年1月以降、男性医師らが心臓病患者や透析患者らにカテーテルと呼ばれる細い管を使った手術や検査を行った結果、6人が死亡したとする告発書が6月30日に郵送で届いたといいます。1月に赴任した男性医師の名前を挙げ、担当したカテーテル手術後に6人が死亡し、別の5人も容体が悪化したと書かれていたといいます。医師は循環器内科に所属し、心臓などのカテーテル手術を月約40件実施しています。

 これを受け、市保健所は5日に立ち入り検査し、医師が担当した患者のカルテ内容や病院の安全管理体制を調べています。1月下旬の手術から数時間後に急性心筋梗塞(こうそく)で亡くなった患者のカルテも確認したものの、明確な法令違反はありませんでした。今後も継続して検査を進める方針です。

 一方、病院は7日、職員を集めた臨時の説明会を開き、循環器内科でのカテーテル手術や検査を当面中止すると伝えたといいます。

 病院を運営する「徳洲会グループ」(東京都千代田区)の担当者は「死亡事例は2件ありカルテを確認したが、医療事故とは考えていない」と説明。14日にも院内で調査委員会を設置し、一連の経緯を調べることを明らかにしました。 

 2023年7月10日(月)

🟧ヤングケアラーへの支援強化、厚労省 介護保険の基本指針案に初明記へ

 厚生労働省は来年度、家族を介護する若者「ヤングケアラー」への支援強化に乗り出します。介護保険事業の方向性を決める新たな基本指針の原案に盛り込み、10日に開かれる厚労省の部会で示します。介護保険の実施主体である市区町村は、介護サービスを実施するための事業計画に、支援方針をそれぞれ反映させ、地域での相談体制を拡充します。

 厚労省がヤングケアラーの支援を基本指針で示すのは初めて。「認知症高齢者の家族、ヤングケアラーなど家族介護者支援に取り組むことが重要」との文言を明記します。590万人いる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる2025年を見据えた措置で、高齢者介護を担う若者の負担軽減策を市区町村に促します。

 市区町村は3年ごとに行われる介護保険法の改正に合わせ、事業計画を見直しています。新たな計画は2024~2026年度が対象となります。

 介護や家事に追われるヤングケアラーは、学習や部活動の時間が制約され、同世代と人間関係を築きにくくなるとされます。心身に負荷がかかっても、自覚がないまま誰にも相談できずに体調を崩すこともあります。

 また、地域の高齢者が気軽に集い、介護予防の拠点とされる「通いの場」の活動が、新型コロナウイルスの感染拡大期間に休止していたのを受け、活動再開に向けた取り組みの重要性についても触れます。 

 ヤングケアラーは、病気や障害を抱える親、祖父母ら家族の介護や家事など、本来は大人が担うべき役割を負っている若者。厚生労働省による初のインターネット調査(2020年度)によると、介護を担う中学2年は17人に1人(5・7%)、高校2年(全日制)は24人に1人(4・1%)いました。

 2023年7月10日(月)

🟧新型コロナ拡大で入院困難になり、 訪問看護での自宅療養広がる 沖縄県

 沖縄県では新型コロナウイルスの感染拡大により、重点医療機関などで入院受け入れが困難になる中、本来は入院対象となる患者を訪問看護事業所につなぎ、自宅療養で対応する動きが広がっています。重点医療機関の負担軽減にもなるものの、利用者からは「慌ただしい病院より自宅のほうが落ち着いて療養できる。こういう選択肢があることも知ってほしい」との声もあります。

 沖縄県の発表によると、2日時点で県全体の病院に1130人が入院中で、うち15人が重症。1130人の内訳は、重点医療機関36カ所で784人、その他の病院は346人でした。重点医療機関の病床使用率は増加を続け、75・3%となりました。

 重点医療機関だけでなく、地域の診療所でも入院先を探すのが難しくなりつつあります。

中頭(なかがみ)病院の仲村尚司医師によると、同病院では6月15日から7月4日まで、救急搬送を含めた救急外来患者14人を訪問看護につなげ、そのうち10人は自宅で療養を終えました。ある訪問看護の事例では、入院に比べ医療費が5分の1に抑えられたといいます。

 5類移行以前は県対策本部が訪問看護などを調整していましたが、現在は医師による調整が必要となっています。仲村医師は「コロナ禍で経験値を高めた訪問看護を利用したほうが患者や医療の負担が減ることもあるので、医師の皆さんは訪問看護につなぐことを積極的に検討してほしい」と呼び掛けました。

 2023年7月10日(月)

🟧埼玉県、熱中症疑いで102人搬送 今年初の1日100人超に

 熱中症警戒アラートが出ていた埼玉県では、10日午後4時までに、熱中症の疑いにより102人が救急搬送されました。県内で1日に100人以上が熱中症で搬送されるのは今年、初めてです。

 埼玉県によりますと、10日午後4時の時点で、熱中症の疑いで病院に救急搬送された人は102人に上り、今シーズンで最も多くなりました。

 このうち重症が3人、中等症が32人、軽症が67人となっています。

 また、65歳以上の高齢者が65人と全体の3分の2近くを占めています。

 10日、さいたま市や所沢市では38度を観測し、それぞれ今年の最高気温を記録していて、熱中症警戒アラートも出されていました。

 埼玉県は、直射日光を避けて暑い日の外出を控えることや、こまめに水分を補給することなど、熱中症対策を呼び掛けています。

 特に、高齢者や持病のある人は、暑さで徐々に体力が低下して室内でも熱中症になることがあるとして、エアコンを適切に使い、周りの人も高齢者のいる部屋の温度に気を配るよう呼び掛けています。

 2023年7月10日(月)

🟧エムポックスに30歳代男性が感染 鹿児島県内で初確認、海外渡航歴なし

 鹿児島県は10日、県内の30歳代男性の「エムポックス(サル痘)」感染を確認したと発表しました。県内での感染確認は初めて。

 7日に陽性が判明し、8日に医療機関から管轄保健所に発生届がありました。発疹、発熱咽頭痛などの症状がみられるものの、容体は安定しています。男性は海外渡航歴はありません。

 エムポックスウイルスに感染すると発症し、発熱や頭痛、リンパ節のはれといった症状が生じた後に、顔などに発疹ができ水膨れとなります。多くは2~4週間で自然に回復しますが、まれに重症化します。

 感染者の皮膚や体液、血液などに接触して感染するほか、寝具を介してうつることもあります。世界的に男性同士の性的接触による感染報告が大多数となっています。天然痘のために開発されたワクチンに発症予防効果があります。

 今年5月26日に「サル痘」から「エムポックス」に感染症法上の名称が変更されました。

 2023年7月10日(月)

🟧東京都内熱中症疑い、午後3時時点で53人搬送 東京消防庁が「救急車ひっ迫アラート」を初めて発表

 都心で今年初めて35度を超える猛暑日となった東京都では、熱中症による救急搬送が相次ぎました。

 東京消防庁によりますと、10日午後3時までに、都内(島嶼部と稲城市除く)で熱中症の疑いで救急搬送されたのは14歳から91歳までの男女53人です。

 このうち50歳代、60歳代、80歳代の男性3人と70歳代の女性2人の合わせて5人が重症で、20人が中等症、28人が軽症です。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給するなど対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 また、東京消防庁は10日、島嶼部と稲城市を除く管轄エリアで救急車の出動率が90%を超えるなどしたため、7月から運用を始めた「救急車ひっ迫アラート」を初めて発表しました。

 通常は日中、279台で運用している救急車の台数を30台ほど増やして300台以上で救護活動に当たっているということです。

 2023年7月10日(月)

2023/07/09

🟧アメリカ軍横田基地内でPFAS含む泡消火剤漏出 10年以上前に3件

 東京都は、有害性が指摘されている化学物質「PFAS(ピーファス)」が含まれる泡消火剤がアメリカ軍横田基地内で10年以上前に漏れ出たのが確認されていたと、国から連絡があったことを公表しました。基地のある多摩地域などでは、地下水からPFASが検出されていて、都は「速やかに情報提供されなかったのは極めて遺憾」としています。

 有機フッ素化合物の「PFAS」は、一部の物質で有害性が指摘されています。

 このPFASを巡り、都は4日、防衛省北関東防衛局から「アメリカ軍横田基地内で、これまでに3件、PFASを含む泡消火剤が漏れ出たことを確認した」などと情報提供があったことを、5日公表しました。

 漏れ出たのは、2010年1月に格納庫内で、2012年10月にドラム缶から、2012年11月に保管されていた容器からの、合わせて3件で、アメリカ軍は「基地の外へ流出したとは認識していない」と説明しているということです。

 PFASを巡っては、都の地下水の調査で、多摩地域と23区の合わせて17自治体で、国の暫定の目標値を超える値が検出されていました。

 都は「多くの都民が健康への影響などについて不安を抱いており、早急に払拭(ふっしょく)する必要がある。速やかに情報提供されなかったのは極めて遺憾」などとして、国に対し、地下水への影響調査や都民への情報提供を行うよう要請しました。

 2023年7月9日(日)

🟧宮城県こども病院、心臓手術で血液送る管が外れる 脳に重度の後遺障害

 仙台市の宮城県立こども病院は6日、県内居住の小児患者に心臓手術を行ったところ、人工心肺用送血管が外れ、脳への血液供給が一時的に不十分となり、重度の障害が残る医療事故が発生したと発表しました。

 病院によると、昨年2月25日、先天的に心臓内にある左右の心房を隔てる壁に穴がある「心房中隔欠損症」の患者の手術を行おうと、大動脈と送血管を接続した後に出血が始まりました。さらに、原因の確認に時間がかかったため、少なくとも約18分間、患者の脳への血液供給が不十分な状態になりました。患者は低酸素性脳症に陥り、日常生活で介護が不可欠となる重度の後遺障害(1級)となりました。人工心肺から体内へ血液を送り出す送血管が外れていたのが原因でした。

 事故が起きた手術では、脇の下を切開する腋窩(えきか)側方切開が採用されたものの、この方法は傷口が目立ちにくくなるというメリットの半面、人工心肺のリスクが高くなり、難易度が上がるとされます。

 手術は3人で行われ、研修医が執刀。この研修医は心房中隔欠損症を含めて40~50例の手術経験があったといい、「目視での確認を怠ってしまった」と話しているといいます。

 記者会見した今泉益栄理事長は「経験や手術数を踏まえると問題はなかった」とした上で、「安全確認が不十分だった。多大なる苦しみを与えてしまったことに心から深くおわびを申し上げる」と謝罪しました。

 今年6月2日に示談が成立し、病院は賠償金を支払いました。小児患者の性別や年齢などは非公表でした。

 2023年7月9日(日)

🟧子育て世帯数が初の1000万割れ、老老介護は過去最高の63・5% 厚労省調査

 厚生労働省は、世帯の状況などを調べる「国民生活基礎調査」を行っていて、2022年6月の調査で得られた約20万4000世帯からの回答を分析して、全国の世帯数を推計しました。

 4日に公表した調査結果によりますと、18歳未満の未婚の子供がいる、いわゆる「子育て世帯」は991万7000で、初めて1000万を下回りました。全世帯に占める割合も、2019年の前回の調査から3・4ポイント低下し18・3%と初めて20%を下回り、過去最低を更新。少子化の加速が改めて示されました。 

 岸田文雄政権は6月に「こども未来戦略方針」をまとめたものの、財源の裏付けなど不透明な面が多く、少子化対策の実効性が問われています。

  子供がいる、子育て世帯を人数別にみると、「1人」が49・3%とほぼ半数に上り、「2人」が38・0%、「3人以上」が12・7%でした。

  同居の家族らによる介護では、介護を受ける人と世話をする人がともに65歳以上の「老老介護」が63・5%に達しました。2019年調査から3・8ポイント上昇。過去最高を更新しました。 

 65歳以上の高齢者のみか、65歳以上と18歳未満の未婚の子供だけで暮らしている「高齢者世帯」は1693万1000。全世帯に占める割合は、2019年の前回の調査から2・5ポイント上昇し31・2%でした。高齢化が進む中、単独世帯も1785万2000へ増えました。2019年から4・1ポイント上がり32・9%を占めました。

 今回の調査について、厚生労働省は「出生数が去年80万人を下回ったが、そのような要因も反映された結果だと思う。少子化の動向については今後も引き続き注視していきたい」としています。

 2023年7月9日(日)

2023/07/08

🟧軽い運動で高血圧が改善する仕組みを解明 脳に伝わる適度な衝撃が有効

 ジョギングや速歩などの運動で脳に適度な衝撃が伝わると高血圧が改善することを、国立障害者リハビリテーションセンターや国立循環器病研究センター、東京大、群馬大などの研究チームが発見しました。論文が7日、イギリスの科学誌に掲載されました。成人を対象とした臨床試験でも効果が確かめられ、さまざまな疾患の原因となって健康寿命を縮める高血圧の新たな治療法につながると期待されます。

 軽いジョギングのような運動では、足が着地する時に頭部に衝撃が伝わり、脳内の細胞の隙間を埋める間質液が動きます。この動きで血圧の調整にかかわる細胞が物理的に刺激され、血圧を上げる作用があるタンパク質の量が減り、血圧が低下することがわかりました。適度な運動が高血圧改善に効果があることは統計的に知られていたものの、そのメカニズムが明らかになりました。

 軽いジョギングで頭部に加わる衝撃は約1G。高血圧のラットを使った実験で、麻酔をかけた上で、1Gの衝撃がリズミカルに加わるように頭部を上下させる受動的な運動を1日30分、2~3週間続けたところ、血圧が低下しました。ラットが自ら走行した場合と効果は同じでした。

 人間での臨床試験は、高血圧の約30人を対象に、座面が上下に動いて頭部に1Gの衝撃が加わるようにした椅子に週に3回、1回当たり30分座る実験を1カ月間続けたところ、最高血圧の平均は141・9から132・9に低下しました。さらに、実験終了から約1カ月にわたって効果が持続しました。

 受動的な運動で改善効果が認められたことから、自ら運動できない寝たきりの高齢者や障害者にとって、新たな治療法の開発につながる可能性があります。

 また、糖尿病や肝機能障害など適度な運動による改善効果が知られている病気でも、同様のメカニズムが働いている可能性があり、研究チームは今後の研究で解明したいとしている。

 このほか、重度の身体障害がある子供向けに、上下に動く椅子を使って自律神経障害を改善する臨床試験も進めています。自律神経の乱れは睡眠や排泄(はいせつ)などに問題を起こし、本人や世話をする家族にとって負担が大きくなっています。

 国立障害者リハビリテーションセンター病院の澤田泰宏・臨床研究開発部長(細胞生物学)は、「高血圧や糖尿病には薬があるが、こちらには有効なアプローチがない。負担を軽減できるよう研究を続けたい」と話しました。上下動する椅子は医療機器としての承認を目指します。

 2023年7月8日(土)

🟧新型コロナ感染、前週比1・18倍 富山県を除く46都道府県で拡大、沖縄県は高水準

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月2日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が7・24人で、前の週の1・18倍となっています。厚生労働省は「全国的に前の週と比べると増加傾向が続いていて、沖縄県では引き続き高い水準で感染が拡大しているため引き続き注視したい」としています。

 厚労省によりますと、6月26日~7月2日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から5492人増えて3万5747人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は7・24人で、前の週の1・18倍となりました。前の週から増加が続くのは13週連続となり、新型コロナの法的な位置付けが5類に移行して以降では7週連続となります。

 都道府県別では、多い順に沖縄県が48・39人、鹿児島県が13・48人、千葉県が9・89人、宮崎県が9・66人、熊本県が9・58人などとなっていて、富山県を除く46の都道府県で前の週より増加しています。

 このほか、7月2日までの1週間に新たに入院した人は全国で5320人で、前の週と比べて569人の増加となりました。

 厚労省は7日、新型コロナに感染した後に亡くなった人に関する分析も発表しました。死亡診断書の死因欄に「コロナ」や「COVID」と示されていた人数を集計しました。最新の4月の数値は、コロナが直接に影響した死者数は550人、コロナ感染による持病の悪化など間接的に影響を受けた死者数を含めると1406人でした。

 5類移行に伴って都道府県別の死者数の報告や公表は原則終了しました。厚労省はコロナ関連による死者数の公表を亡くなった月の2カ月後としており、今回が初めての発表となりました。

 2023年7月8日(土)

🟧ファイザーとモデルナ、新型コロナ「XBB・1・5」対応ワクチンを厚労省に申請

 アメリカの製薬会社、ファイザーとモデルナは、新型コロナウイルスのオミクロン型の一種「XBB・1・5」に対応したワクチンについて、それぞれ厚生労働省に承認を申請しました。

 承認を申請したのはファイザーとモデルナがそれぞれが開発したオミクロン型の「XBB・1・5」に対応した成分を含むmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。

 6月に開かれた厚労省の専門家分科会で示された資料によりますと、モデルナのワクチンはアメリカで行われた臨床試験で「XBB・1・5」や「XBB・1・16」といった「XBB」系統の変異ウイルスに対して免疫の反応が確認できたということです。

 また、ファイザーのワクチンもマウスを使った実験で「XBB」系統の変異ウイルスに対して免疫の反応が確認されたとしています。

 接種の対象となる年齢はファイザーは生後6カ月以上、モデルナは12歳以上を想定しているということです。

 厚労省は、今年9月から5歳以上の人を対象に行われる予定の追加接種で、「XBB・1・5」を含む「XBB・1」系統に対応する1価ワクチンを使う方針を示しています。現在国内の接種ではファイザー製、モデルナ製ともに、従来型とオミクロン型「BA・1」「BA・4」「BA・5」に対応した2価ワクチンが使用されています。

 2023年7月8日(土)

🟧新型コロナ担当相、第9波入りを否定 「新しい流行の波と認識せず」

 新型コロナウイルス対策を担当する後藤茂之経済再生担当相は、患者数が大きく伸びてはいないとして、現時点では感染の「第9波」には当たらないという認識を示しました。

 新型コロナの感染状況を巡り、日本医師会の釜萢敏(かまやち・さとし)常任理事は5日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染が沖縄県など九州地方で拡大していることなどを踏まえ、「現状は第9波と判断することが妥当だ」と指摘しました。

 これについて後藤担当相は7日の閣議の後の記者会見で、「全国的に少しずつ感染が拡大しているが、数字の伸び方はまださほど大きいという認識は持っていない」と述べました。

 その上で、「政府として今の段階で新しい流行の波が発生しているとは特に認識していない」として、現時点では感染の「第9波」には当たらないという認識を示しました。

 一方で、沖縄県には職員を派遣するなど、必要な支援を行っているとした上で、「今後ともできる限り注意しながら基本的な感染対策をとるようお願いしたい」と呼び掛けました。

 2023年7月8日(土)

🟧インフルエンザ、史上初めて7月も流行 コロナ禍での免疫低下で拡大か

 厚生労働省は7日、6月26日~7月2日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は1医療機関当たり1・26人だったと発表しました。

 7月まで流行の目安(1人)を超える状態が続いたのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めて。新型コロナの感染拡大が始まってからの2シーズンは流行がなく、人々の免疫が低下したことが影響しているとみられています。

 厚労省によると、今シーズンは、昨年12月下旬に全国的に流行入りとなりました。

 小児科や内科の定点医療機関から7月2日までの1週間に報告されたインフルエンザ患者数は計6228人。1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、鹿児島県が20・07人(前週比1・98人増)で、突出して多くなり、県内全域に流行発生注意報が出されています。宮崎県の7・34人、長崎県の5・26人、熊本県の3・99人が続き、九州7県で前週より増えていました。一方、35都道府県では1人を下回りました。

 この1週間、休校や学年・学級閉鎖があった小中学校などは、全国で193カ所に上りました。

 流行が長引いていることについて、日本感染症学会インフルエンザ委員長の石田直・倉敷中央病院副院長は「2シーズン流行がなかったことで免疫が落ちているため、1人が発症すると周りに広がりやすい状況になっている。手洗いやうがいなど基本的な対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2023年7月8日(土)

2023/07/07

🟧アメリカ、エーザイの認知症薬を本承認 「レカネマブ」、保険適用も 

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は6日、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカのバイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を本承認しました。今年1月、仮免許に相当する迅速承認を出し、アメリカ国内での販売が始まっていました。認知症の進行を遅らせるという患者の利益を認め、新薬の実用化に向けた最後の扉を開きました。

 高齢者向け公的医療保険メディケアは、この薬の必要性をさらに検証するためのデータ提出を条件に保険適用しました。

 日本でも承認申請しており、秋には承認の可否が判断される見込み。脳神経を傷付ける脳内の有害タンパク質「アミロイドベータ」に結合し除去する抗体の薬で、病気の原因に働き掛ける「疾患修飾薬」と呼ばれます。

 アメリカのイーライリリーによる同種の薬も開発の最終段階で、長く停滞していた認知症治療薬の開発は活発化の兆しをみせています。

 対象は、年齢だけでは説明できない物忘れが現れた軽度認知障害から、生活に支障が出始めた早期認知症の人で、有害たんぱく質の蓄積が画像診断で確認できたことが条件。2週間に1度、点滴で投与します。

 2023年7月7日(金)

🟧東京都、新型コロナ感染者が前週の1・1倍に 60歳以上の患者が増加

 新型コロナウイルスの感染者数について、東京都は7月2日までの1週間では、1医療機関当たり6・85人と発表しました。前の週の1・1倍になっていて、専門家は、「重症化リスクの高い60歳以上の患者が増えている」として、高齢者などに早めのワクチン接種を検討するよう呼び掛けています。

 都は6日、新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415カ所から報告があり、感染者数は7月2日までの1週間で合わせて2841人で、1医療機関当たりでは6・85人となりました。

 前の週の6・22人の1・1倍で、専門家は「緩やかに増加していて、特に重症化リスクの高い60歳以上の患者が増えていて、今後の動向に十分な注意が必要だ」として高齢者などに早めのワクチン接種を検討するよう呼び掛けています。

 また7月3日時点での入院患者数は、前の週より58人増えて1089人となりました。

 2023年7月7日(金)

🟧沖縄県のコロナ推計患者週1万2260人、前週比1・22倍 子供の間で感染拡大続く

 沖縄県は6日、6月26日から7月2日に定点医療機関54カ所から報告のあった新型コロナウイルスの患者報告数が1医療機関当たり48・39人で、前週比1・22倍に増加したと発表しました。1週間の患者総数(推計値)は1万2260人となりました。

 年代別の定点当たり患者報告数は50歳代が5・30人と最多で、続いて60歳代5・04人、30歳代4・96人などでした。20歳未満は5歳ごとに分類されていて、10歳代でまとめると6・58人、10歳未満は6・56人となり、子供たちの間で感染拡大が続いています。

 2日時点の入院患者数は1130人(重症患者15人)で、過去最多だった2022年8月の1166人に迫っています。入院患者の内訳は、重点医療機関36カ所で784人、その他の病院は346人でした。

 重点医療機関の確保病床582床で対応している新型コロナ入院患者は483人。病床使用率は県全体が75・3%で、圏域別では本島78・2%、宮古40・5%、八重山65・4%でした。

 県内では確保病床以外にも、647人が入院しています。入院患者の増加により、重点医療機関では一般病床でも受け入れているほか、その他の病院では重点医療機関に患者が集中しないように、自院で治療を続けています。

 県教育委員会によると、新型コロナウイルス感染症の影響により6月29日~7月5日の1週間で、学級閉鎖は小学校5学級、中学校6学級、高校9学級、計20学級ありました。高校で1学年の学年閉鎖がありました。

 インフルエンザは、小学校で1学級の閉鎖がありました。

 これから人の移動が活発な時期を迎えることから、県は今後も感染者が増える可能性もあるとして、警戒を強めて対策をするとしています。

 2023年7月7日(金)

🟧中国、福島県を含む10県の食品輸入禁止へ 処理水海洋放出巡り

 中国税関当局は7日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出が実施されれば、福島県を含む10の県などの食品輸入を禁止すると表明しました。福島県以外の具体的な県名などは明らかにしていません。

 関税当局は安全性への懸念を指摘。「福島県を含む10の県などの食品輸入を禁止」するとともに、それ以外の地域の食品についても厳格な放射性物質検査を行う用意があると述べました。

 国際原子力機関(IAEA)は、日本政府の処理水放出計画は国際的な安全基準に合致しているとの報告書を出しています。

 処理水の海洋放出は今夏にも開始される見通しですが、一部の近隣諸国は反発しています。

 中国外務省は6日、IAEAの報告書は海洋放出の「ゴーサイン」にはならないと述べ、人体への未知のリスクに警鐘を鳴らしました。

 中国は2011年に起きた福島第1原発の事故以降、福島、宮城、長野など10都県のすべての食品の輸入を停止しているほか、10都県以外の野菜や果実などについても事実上輸入を認めていません。処理水が海洋放出された場合、新たな制裁を加える可能性を示唆した形です。

 2023年7月7日(金)

2023/07/06

🟧世界の平均気温、連日で過去最高更新 3日に17・01度、4日は17・18度

 世界の平均気温が連日、過去最高を更新しています。3日に17・01度に達し、2016年8月と2022年7月に記録した16・92度を上回りました。4日には17・18度まで上昇し、1979年開始の観測史上最高を更新しました。専門家は南米ペルー沖の海水温が上がる「エルニーニョ現象」によって、今夏の平均気温がさらに高まる可能性を指摘しています。

 アメリカ国立環境予測センターなどが観測した気象データを、アメリカのメーン大学の研究チームが集計しました。

 世界的な気温上昇は、各地に影響をおよぼしています。アメリカ南部では6月下旬以降、40度超の気温を観測。来週にかけてテキサス、ルイジアナ、フロリダ各州を中心に50度近くに達するような危険な暑さが予想されています。カナダでは高温や乾燥した気候により、山火事の焼失面積が例年の10倍強に達しました。

 中国北部も6月から北京市などで40度を超える日が続出しているほか、インドでは100人近くが熱波で亡くなったとの報道もあります。現在は冬の南極でも異常な高温となっており、一部では7月としては最高の8・7度を記録しました。

 最高気温の記録は今後更新される可能性があります。世界気象機関(WMO)は4日、エルニーニョ現象が7年ぶりに発生したと発表し、ペッテリ・ターラス事務局長は声明で「エルニーニョの発生が猛暑を引き起こす可能性を大幅に高めるだろう」とコメントしました。

 世界の平均気温は1年を通じ12度前後から17度弱の間で推移しており、1970~2000年の7月初旬の平均気温は16・2度に上りました。

 2023年7月6日(木)

🟧難聴の人、補聴器を使えば認知症リスク軽減 国際研究チームが分析

 加齢などで周囲の音が聞き取りにくくなる難聴は、認知症のリスク要因とされます。イギリスに住む約44万人のデータを中国・山東大などの国際研究チームが分析すると、難聴の症状があるのに補聴器を使っていなかった人は、耳が健康な人に比べて認知症を発症するリスクが大きく高まることがわかりました。

 一方で、難聴の人が補聴器を使うと、健康な人と変わらない程度までリスクを減らせる可能性があることも示されました。

 「難聴は40歳代の早い時期に始まることが多いが、認知症は診断まで20年以上かけて少しずつ認知機能の低下が続く」とチームの研究者。「耳が聞こえにくくなったら早いうちに補聴器を使って対処することが重要だ」と指摘しています。

 チームは「UKバイオバンク」に登録されたイギリス人のデータを利用。約44万人を40~69歳から平均12年間追跡し、難聴の症状や補聴器使用の有無と、認知症発症との関係を分析しました。

 その結果、難聴にもかかわらず補聴器を使わなかった人は、難聴がない人に比べて認知症になるリスクが1・42倍と高くなりました。難聴で補聴器を使っていた人のリスクは、難聴がない人とほぼ同等の1・04倍でした。

 補聴器を使うことで認知機能の低下を抑制できそうだとする研究結果は、国立長寿医療研究センターのチームが日本人のデータで示しています。今回の研究はイギリス人が対象ですが、より大規模なデータで認知症との直接の関係を調べたものとして注目されます。

 国際研究チームには日本やイギリス、オーストラリアの研究者も参加。研究結果はイギリス医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」に発表しました。

  認知症を減らすために、もっとも容易に介入できる危険因子は難聴対策ですが、社会福祉法人「京都聴覚言語障害者福祉協会」の調査によれば、日本の難聴者のうち、補聴器を使用しているのは13・5%にすぎません。イギリス(42・4%)、ドイツ(34・9%)、アメリカ(30・2%)など、欧米先進国にははるかに及びません。

  使用時期も遅く、欧米先進国では、難聴を自覚してから補聴器をつけるまでの期間は2~3年なのに対して、日本は平均4~6年かかっています。

 聴力は40歳代後半から、高音域から低下し始めます。70歳代になると、ほぼすべての音域で聴力が低下し、75歳以上では、約半数の人が難聴に悩みます。高齢化が進んだ日本で、難聴は国民病といっていいかもしれません。

 補聴器が普及しない理由としては。補聴器技能者が少ないこと、補聴器のイメージが悪いこと、世界の補聴器市場は欧米の5社の寡占状態であり、日本人に合わせた商品が開発されていないことなどが挙げられています。 

 2023年7月6日(木)

🟧乳がん遺伝子検査「オンコタイプDX」、9月1日から公的医療保険の対象に 3割負担で13万500円

 厚生労働省は5日、乳がんの遺伝子検査「オンコタイプDX」について、公的医療保険の対象とすることを決めました。厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で同日、了承されました。9月1日から適用となります。

 検査の対象は、女性ホルモンに反応し、がんが増殖するタイプの早期患者。採取したがん組織に含まれる21個の遺伝子を解析し、再発のリスクを点数化、抗がん剤治療をするかの判断などに役立てます。

 検査費の公定価格は43万5000円で、3割負担だと13万500円。所得によっては、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度の適用となります。年1万8700人が検査を受けると推計されています。

 この検査は2021年12月、製造販売元のエグザクトサイエンス社の開発が遅れ、保険適用が見送られました。今回、同社が開発を終えたため、中医協で改めて審議されました。

 2023年7月6日(木)

🟧中国の6月のコロナ死者239人、前月から45%増 発熱外来の受診者は減少

 中国疾病予防コントロールセンターは6日までに、6月に新型コロナウイルスで239人が死亡したと発表しました。5月の164人と比べて45%増となりました。6月1日に28万8000人だった発熱外来の受診者数は、30日には16万4000人まで減少しました。

 中国では4月下旬からコロナが再流行し、専門家は6月末にピークを迎えて1週間に4000万人から6500万人が感染すると予測していましたが、6月の感染者数は公表されておらず、再流行の実態把握は困難です。

 中国当局は感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を1月に終了した際に、正確な感染者数の公表を取りやめています。

 2023年7月6日(木)

2023/07/05

🟧「触覚」伝える支援ロボットで世界初の手術、東京医科歯科大病院が成功 東工大などと共同開発

 東京医科歯科大学病院(東京都文京区)は4日、触覚を伝える手術支援ロボットを使った世界初の手術に成功したと発表しました。操作する医師が感触を得られることで、安全性の向上が期待できます。2024年度の統合を目指す東京工業大などと共同開発したもので、「医工連携」の成果をアピールしました。

 ロボット手術は、患者の体に入れた内視鏡や器具が接続されたアームを、医師が患部の画像を見ながらハンドルで操作します。国内では2012年に公的医療保険の適用となり、広がっています。

 新たなロボット「サロア」は、両大学と、東工大発の新興企業「リバーフィールド」が開発し、今年5月に医療機器として承認されました。空気圧で3本のアームを動かし、先端の器具にかかった圧力から、臓器などの硬さや軟らかさを推定し、医師の指先に感触を伝えます。

 従来のロボットでも、手ぶれがないなど精密な操作ができますが、同大病院によると、触った感覚が得られないため、不慣れな医師では、切る必要のない組織を切ったり、臓器に穴を開けたりする恐れがあったといいます。

 今回の手術は7月3日、40歳代のS字結腸がん患者に実施。術後の経過は良好で、1週間ほどで退院する予定です。

 執刀した絹笠祐介教授(大腸・肛門外科)は記者会見で、「ガーゼと脂肪の違いもわかった。引っ張る力なども伝わるよう改良していく」と話しました。

 両大学は、2024年度の統合に向けて、医工連携を進めてきました。藤井靖久病院長は「連携によりロボットが実用化されたことは大変意義がある」と強調しました。

 日本ロボット外科学会の渡辺剛理事長は、「触覚を備えたロボットは画期的だ。経験が少ない医師でも、標準的な手術を、より確実に行えるのではないか。機能の改良とともに、価格を抑える工夫も求めたい」と述べています。

 2023年7月5日(水)

🟧太平洋赤道域のエルニーニョ現象、7年ぶり発生 WMO、気温上昇や災害発生に警戒

 国連の世界気象機関(WMO)は4日、太平洋赤道域で海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が7年ぶりに発生したと宣言しました。「世界の多くの地域や海洋で気温の記録が更新され、猛暑を引き起こす可能性が大幅に高まる」として、注意を呼び掛けました。

 エルニーニョは、南米ペルー沖から太平洋中部の赤道域で、海面水温が平年よりも高くなる現象。数年おきに発生し、世界の気温を押し上げるほか、地球規模で異常気象に伴う災害発生の原因になるとされます。

 WMOは世界の気象当局、研究機関や専門家による助言などを基に、今夏のエルニーニョは少なくとも中程度の強さを保ち、90%の確率で今年後半まで続くと予測しました。ペッテリ・ターラス事務局長は声明で、「WMOによる宣言は、私たちの健康、生態系、経済への影響を抑えるために、各国の政府に準備を呼び掛ける警告だ」と述べた。

 WMOは、今年から5年間の世界の気温が記録的に高まる可能性が高いと予測しています。2016年は前年に発生したエルニーニョと人為的な地球温暖化との「ダブルパンチ」で、世界の年平均気温が観測史上で最も高い年になりました。エルニーニョの地球の気温への影響は発生翌年に現れる傾向があり、今夏のエルニーニョは2024年の世界の気温に最も強く影響を与える可能性があるといいます。

 気象災害のみならず、漁業被害や熱帯病の増加など広範囲の影響が危惧されています。アメリカのダートマス大の研究グループは今年5月、アメリカの科学誌「サイエンス」に発表した論文で、エルニーニョに伴う長期的なコストを過去の事例を基に検証。今夏にエルニーニョが発生した場合は、2029年までに世界経済に3兆ドル(約433兆円)の経済損失をもたらす可能性があると見積もっています。

 2023年7月5日(水)

🟧日本医師会、「新型コロナ第9波と判断が妥当」 沖縄県など九州地方で感染拡大

 日本医師会の釜萢敏(かまやち・さとし)常任理事は5日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染が沖縄県など九州地方で拡大していることなどを踏まえ、「現状は第9波と判断することが妥当だ」と指摘しました。

 この中で、釜萢常任理事は、新型コロナウイルスの感染状況について、「5類への変更後、一貫して全国で徐々に増えているのは変わらない。ほとんどの県で、5月よりも6月のほうが報告数が増えており、沖縄県の感染者の増加が非常に著しい」と懸念を示しました。

 その上で、「これまで一時下がって、最も低いところになって、もう一度上がる状態がずっと持続している場合には、新しい波と考えてきた。現状は、第9波という状況になっていると判断することが妥当ではないか」と指摘しました。

 加えて、沖縄県では、リスクの高い高齢者などへの感染を防ぐ取り組みが最も求められるとし、ほかの地域についても、今後の感染状況を注視していく必要があるという考えを示しました。

 厚労省は6月30日、全国約5000の定点医療機関から6月19~25日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者は前週から2641人増えて、計3万255人となり、1医療機関当たりの平均は6・13人だったと発表。前週比1・09倍でした。都道府県別では沖縄県が最多の39・48人(前週比1・37倍)、続く鹿児島県が11・71人(同1・22倍)で、前週比で増加したのは39都府県に上りました。

 新型コロナの法的位置付けが5月8日に「5類」に移行してから2・3倍となり、6週連続で増加しています。

 2023年7月5日(水)

🟧北朝鮮、7月からマスク着用義務緩和か メディアの画面や写真でノーマスクの住民を確認

 北朝鮮当局が7月に入り、新型コロナウイルス対策として取っていた屋内外でのマスク着用義務を解除したもようです。テレビ画面や新聞の写真から、住民がマスクを着用していない姿が確認されました。アメリカ政府系のラジオ自由アジア(RFA)は、北朝鮮当局がマスク着用義務を7月1日に解除したと報じました。 

 朝鮮中央テレビでは2日から、屋内でマスクを着けていない住民の姿が見られました。3日には北東部の咸鏡北道の劇場で、マスクを着用していない数百人の若者がびっしりと着席している様子が映し出されました。6月30日にはまだ、屋内の行事で全員がマスクを着けていました。

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞を見ると、6月30日付け紙面に掲載された平壌樹脂鉛筆工場の写真では、写っている5人全員がマスクを着けています。一方、7月4日に掲載された咸鏡北道出版物管理局の写真の8人は誰も着用していません。咸鏡北道革命史跡館と金正淑平壌紡績工場の写真にも、マスクを着けた住民は見当たりません。

 ただし、新型コロナ防疫に従事する人と田で農薬をまく農業従事者は、マスクを着けています。

 RFAは西部・平安北道在住の消息筋の話として、6月30日に住民に対しマスク着用義務を7月1日付けで解除するとの指示が出されたと伝えました。国家非常防疫司令部が各道の防疫指揮部に着用義務解除を指示し、道内の工場や企業所、機関、社会団体、住民に伝達されたといいます。

 だが、着用義務の解除は一時的な措置の可能性もあります。RFAによると、当局は解除を公示した際、夏場のマスク着用による皮膚と目の不調・病気が広がることを懸念した臨時措置と説明しました。

 昨年5月から新型コロナウイルス感染者が急増した北朝鮮では、同年8月に金正恩朝鮮労働党総書記が新型コロナに「勝利した」と宣言し、マスク着用の義務はいったん解除されました。しかし、翌9月下旬から当局は再び全住民にマスク着用を求めていました。

 北朝鮮は感染対策として、2020年1月末から国境を越える人の往来を厳格に統制しており、この措置が緩和される見通しは立っていません。

 2023年7月5日(水)

🟧新型コロナワクチン接種による健康被害認定37件、うち1件は死亡事例 熊本県

 新型コロナウイルスのワクチン接種による健康被害が疑われる人が申請する国の救済制度について、熊本県は6月30日現在、県内で37件の健康被害が認定され、うち1件は2021年度に申請があった死亡事例だったと発表しました。否認は7件で、亡くなったケースはありませんでした。

 県はこれまで、認定や否認の年度ごとの内訳や死亡事例の件数について公表していませんでした。県健康危機管理課は、「県議会や報道機関から質問があり、関心が高い事柄だと判断した」として運用を改め、今後は半年に1回程度公表します。

 認定37件の内訳は、専門家でつくる審査会で救済の可否の審査が始まった2021年度が33件、2022年度が4件。否認は2021年度5件、2022年度2件でした。

 県が6月定例県議会の厚生常任委員会後に明らかにした5月24日時点と比べると、申請は3件増の累計114件、死亡事例は2件増えて13件でした。一方、審査中は70件。

 厚生労働省が公表している審議結果や県のまとめによると、全国の申請累計は6月26日現在で7966件。認定2881件(死亡事例103件)、否認405件(同4件)で、審査中は4680件。

 県健康危機管理課は、「被害の認定があったのは事実だが、ワクチンの重症化予防効果と副反応のリスクの双方を踏まえて接種するかどうか判断してほしい」と呼び掛けています。

 2023年7月5日(水)

2023/07/04

🟧職場の熱中症を防ぐ、現場作業者向けガイド作成 厚労省

 職場での熱中症対策をまとめた「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」を厚生労働省が作成し、ウェブサイトで公表しています。職場で発生する危ない状況と対策をイラスト付きで表記。屋外作業を伴う建設業者や、産業医のいない中小企業の事業主などへ周知を図ります。

 厚労省によると、過去10年で職場で熱中症になった人は建設業が1571人と最多で、製造業1311人、運送業940人と続きます。ガイドでは現場で作業員が倒れた時は、すぐに119番し、作業着を脱がせて水をかけ、全身を急速冷却することが「命を救う行動」だと強調しました。

 予防にはこまめに水分と塩分を取ることや、休憩することが大事。作業初日や長期休暇明けの人は、体が慣れていないので特に気を付ける必要があります。実際に現場でできる取り組みとして、車を涼しくして休憩所として利用することや、足を水に入れて冷やす足水コーナーの設置を紹介しています。

 手足がつる、吐き気や立ちくらみ、めまいがする、汗のかき方がおかしい(汗が⽌まらない/汗がでない)といった症状は熱中症の可能性があります。

 担当者は「ちゅうちょなく119番し、水をかけるなどしてほしい」と呼び掛けました。

 2023年7月4日(火)

🟧子供で広がる夏風邪「ヘルパンギーナ」、過去10年で最多 18の都府県で警報レベル上回る

 乳幼児がかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」が流行し、各地で警報が発令されています。国立感染症研究所が4日に公表した速報値によりますと、感染者は6月下旬に前年同期比で41倍超に増加、18都府県が警報レベルとなりました。

 専門家は新型コロナウイルス対策で感染者がここ数年減少し、免疫を持たない乳幼児が増えたことが原因と指摘しています。

 ヘルパンギーナは飛沫や接触によって、エンテロウイルスに感染して発症します。38~40度の高熱と、口の中に水膨れができたり、のどが痛んだりといった症状が出るのが特徴。飲食できずに脱水症状となり、重症化する場合があります。ワクチンや特効薬はなく、解熱剤などの対症療法で対応します。

 感染症研究所によると、6月19~25日に全国約3000カ所の小児科の定点医療機関に報告された感染者数は患者は1万8176人、1医療機関当たりでは5・79人で、過去10年間で最も多くなりました。

 厚生労働省研究班が定めた基準では1定点医療機関当たり6人を超えると警報レベルで、地域別では、宮城県が1定点医療機関当たり14人と最も多く、鹿児島県や静岡県でも10人を上回るなど、18都府県が基準を超えました。

 千葉大の石和田稔彦教授(小児感染症学)によると、例年より1~2カ月早いペースです。

 2023年7月4日(火)

🟧医療機関8割、オンライン診療の届出意向なし 「対面診療のほうが優れている」など理由

 オンライン診療料の届出意向がない医療機関の多くは、対面診療のほうがオンライン診療よりも優れていると認識しており、受診経験のある患者も対面診療に比べると十分な診療を受けられないと感じている―。こんな実態が、厚生労働省が6月8日の診療報酬調査専門組織である入院・外来医療等の調査・評価分科会に報告した、2022年度診療報酬改定の検証調査の結果(速報値)で明らかになりました。

 調査結果によると、回答した800施設中、情報通信機器を用いた「初診料」等の届出をしていたのは255施設(31・9%)でした。2022年10月1カ月間の実施状況では6施設(2・4%)が「オンライン初診料」を算定。「オンライン再診料・外来診療料」の算定は23施設(9・3%)で15回を超えていました。

 オンライン診療料の未届出施設の今後の意向では、「届出の意向なし」が82・3%で最多。その理由では、「対面診療のほうが優れているため」(72・3%)、「患者のニーズがない・少ないため」(52・9%)、「オンライン診療のメリットが手間やコストに見合わないため」(43・0%)などの回答が多くなりました。

 一方、オンライン診療の受診経験がある外来患者や一般国民の感想では、「対面診療であればすぐに受けられる検査や処置が受けられないと感じた」、「対面診療と比べて十分な診療を受けられていないと感じた」などが上位となりました。

 回答者全体の約7割はオンライン診療よりも対面診療を希望しているものの、対面とオンラインの選択については、「医師の判断に任せたい」、「症状に応じて使い分けたい」との回答が4割から5割程度となりました。

 2023年7月4日(火)

🟧「最適化栄養食」を認証する取り組み開始 協会が独自のマークを商品に付与へ

 健康寿命を延ばすための政府の新たな目標が示される中、企業や専門家らが連携して、必要な栄養素をバランスよくとれる食品を認証する新たな取り組みが始まることになりました。

 大手の流通グループやコンビニ、食品メーカー、生活習慣病に詳しい専門家などが参加して設立された団体、「日本最適化栄養食協会」は3日、東京都内で発表会を開きました。

 この中で、今後の活動について、年齢や性別、生活習慣など体の状態に合わせて、必要な栄養素をバランスよくとれる食品を科学的なデータをもとに「最適化栄養食」として認証し、商品に表示できる独自のマークを付与する取り組みを始めると明らかにしました。

 発表会場では、対象となる食品の試作品が展示され、塩分やカロリーを抑えながら、たんぱく質など体に必要な栄養素をとれる、かつ丼やピザなどが紹介されていました。

 協会では、今後、認証基準などを整え、今年の秋ごろから、認証マークをつけた商品を市場に展開したい考えです。

 厚生労働省は、国民の健康作りに向けた基本計画で、1日当たりの塩分の平均摂取量を7グラム未満に引き下げるなど、食事や生活習慣についての来年度からの新たな数値目標を今年5月末に公表しており、協会の理事長を務める慶応大学予防医療センターの伊藤裕特任教授は「おいしく食べていく中で、自然と食事のバランスがとれることを期待している。日常の食事のクオリティーを上げるために努力していく」と話していました。

 日本では肥満や間違ったダイエット方法での栄養不足などが問題視されていて、近年、食品メーカーなどは健康に配慮した食品開発に力を入れています。

 2023年7月4日(火)

2023/07/03

🟧5月に報告された「クラミジア」と「尖圭コンジローマ」の感染者数、ここ10年で最多 性感染症が急増

 性感染症の「梅毒」の感染者が急増する中、「クラミジア」と「尖圭コンジローマ」という2つの性感染症も、5月に報告された感染者数がここ10年で最も多くなったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 国立感染症研究所は、感染者数が特に多い4つの性感染症について、全国約1000カ所の医療機関から毎月の感染者数の報告を受け、1医療機関当たりの数を調べる「定点把握」を行っています。

 それによりますと、5月の1医療機関当たりの感染者数は、クラミジアが2・76人、性器ヘルペスが0・81人、尖圭コンジローマが0・62人、りん病が0・85人となりました。

 このうち、クラミジアと尖圭コンジローマの報告は、ここ10年で最も多くなりました。また、性器ヘルペスとりん病の感染者数も高い水準で推移しています。

 札幌医科大学の安田満病院教授は、ここ数年急増している「梅毒」以外の性感染症も増加傾向にあるとした上で、「性感染症はより身近な問題になっていて、誰でも感染し得ると考えてほしい。女性の場合は、感染を放置すると不妊につながる恐れもある。コンドームを使うなど、感染しないよう気を付けてほしい」と話しています。

 クラミジアは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌が原因で、性感染症の中では最も感染者数が多いとみられています。

 目やのど、性器や尿道などのほか、女性の場合は卵管や子宮頸管に炎症などの症状が出ることがあり、放置すると不妊症の原因にもなりますが、無症状で感染に気付かない人も多いということです。抗菌薬の服用で治療できます。

 尖圭コンジローマは、子宮頸がんの原因ともなるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することで起きる性感染症です。

 性器の周辺に小さなとがったいぼができますが、いぼができず、症状に気付かない場合も多いということです。

 手術でいぼを切除したり、塗り薬を使ったりして治療するほか、HPVワクチンで予防することもできます。

 性器ヘルペスは、「単純ヘルペスウイルス」の1型と2型が原因で、性器に潰瘍や水ほうができると歩くのが難しいほどの激しい痛みを感じることもありますが、無症状のことも多いということです。

 抗ウイルス薬や抗炎症薬などで治療を行いますが、一度感染すると、ウイルスが身体の中に潜伏し、何度も再発する可能性があります。

 りん病は「淋菌」が原因の性感染症で、感染力が非常に強いとされています。

 発症すると男性は性器から「うみ」が出ることがありますが、女性は症状に気付かない場合が多く、進行すると子宮内膜炎や卵管炎などを起こし、不妊症の原因になるということです。

 治療には抗菌薬が有効ですが、薬の効きにくい淋菌も増えていて、現在治療に使える抗菌薬は2種類にとどまるということです。

 このほか、国立感染症研究所は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)や梅毒の感染状況も調べています。

 HPVは感染後、治療をせずに数年から10数年たつと、エイズ(後天性免疫不全症候群)の発症につながります。

 体の免疫機能が低下し、さまざまな合併症を引き起こしますが、ウイルスが増えるのを抑え、病気の進行を抑える治療薬も普及しています。

 また、梅毒は1999年に今の方法で統計を取り始めてから最多となるペースで増加しています。

 感染しても無症状だったり、症状が出ても、すぐに消えたりすることがあり、治療せずに放置すると全身に炎症が起こって深刻な状態になることもあります。

 妊婦が感染すると、死産や流産につながるリスクがあるほか、母子感染で子供が「先天梅毒」になり、皮膚や骨の異常、難聴や視覚障害といった症状が出る恐れもあります。

 抗菌薬を一定期間服用したり、抗菌薬を注射したりする治療法が確立しています。

 2023年7月3日(月)

🟧被爆者11万3649人に減少 平均年齢85・01歳、いっそう高齢化進む

 広島、長崎に投下された原爆で被爆し「被爆者健康手帳」を持つ人は3月末現在で11万3649人(前年比5286人減)となり、旧原爆医療法の施行で手帳交付が始まった1957年度以降で最少を更新したことが3日、厚生労働省のまとめでわかりました。

 平均年齢は85・01歳で、前年から0・48歳上昇しました。高齢化がいっそう進み、医療や介護の支援拡充、被爆体験継承が課題です。

 厚労省によると、都道府県別では広島県の5万3460人が最多で、次いで長崎県2万8339人、福岡県4576人。全国の人数は1980年度末の37万2264人をピークに減少し、2013年度末に20万人を下回りました。

 2022年度に亡くなった被爆者は9350人。

 2023年7月3日(月)

🟧沖縄県の新型コロナ入院患者が1000人超える 最大流行時の昨年8月に匹敵

 沖縄県で新型コロナウイルスの入院患者数が2日時点で、少なくとも1031人になりました。最大の流行となった第7波のピーク時(昨年8月)の1166人に匹敵する規模です。

 また、6月25日までの1週間の1定点医療機関当たりの平均患者数は39・48人となり、今年1月の第8波のピークを超えたことが2日、わかりました。

 感染症法上の位置付けが5月8日に5類へ移行して以降、社会活動が活発になったほか、感染力の強い変異型が主流になったことが背景にあるとみられる。検査を受けていない「隠れ感染者」も多数いるとみられ、数字以上に流行が広がっている恐れがあります。

 新型コロナの感染者が再び急増している中、沖縄県那覇市内のPCR検査所では朝の時間帯などに行列ができ始めています。5類移行を境に検査は有料になり、検査数はいったん落ち着きつつあったものの、次第に増加し陽性率も上昇しています。入院患者は増え続け、医療も逼迫(ひっぱく)し、感染の最大波が押し寄せていた昨年夏のような光景が再び現れています。

 「沖縄PCR検査センター」を県内5カ所で運営するミタカトレード沖縄支社によると、ゴールデンウイークが明けて1週間あたりから検査数が増え始めました。6月後半には陽性者数は連日100人を超え、陽性率が5割を突破する日もあります。

 通常のPCR検査費は5000円ですが、感染急増を受け7月1日から抗原検査を含め2週間限定で1000円にしました。同日朝、那覇市内の店舗ではオープン前から数十人が列を作りました。子供と並んだ30歳代女性は「親にうつしたくないので、念のため受けに来た」と話しました。

 同センターの担当者は直近の状況を「(第7波があった)昨年夏にタイムスリップしたようだ」と説明し、「受けたい人は潜在的にまだ多く、やはり値段はネックだと感じる。陽性率が高いので、この機会に社会活動の判断材料にしてほしい」と話しました。

 2023年7月3日(月)

2023/07/02

🟧塩野義製薬「ゾコーバ」、国内シェア6割に 新型コロナ飲み薬

 新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあり「第9波」が始まった可能性も指摘される中、塩野義製薬が開発、販売する国産唯一の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」の使用が拡大しています。国内のクリニックなどで処方される新型コロナ飲み薬でのシェアは5~6割。先行して承認されたアメリカ製2剤と異なり、若者を中心に重症化リスクのない患者も服用でき、使いやすいとの評価が医療現場で高まっています。

 医療従事者向けサイトを運営するエムスリー(東京都港区)は独自のデータベース「JAMDAS」から、全国のクリニックなど中小規模の医療機関約4100施設の処方データを分析しました。その結果、新型コロナ飲み薬の処方全体に占めるゾコーバの割合は6月19~25日の1週間平均で57・8%、アメリカのメルクの「ラゲブリオ」が35・8%、アメリカのファイザーの「パキロビッド」が6・4%でした。

 ゾコーバは3剤のうちで最も後発で、昨年11月に緊急承認されました。政府が購入した200万人分を指定された医療機関や薬局に供給していた今年2月上旬までは10%台にとどまっていたものの、一般流通が始まった3月末から急速に伸び、4月中旬には50%に達しました。年齢別では18~39歳が約40%を占め、60歳以上が約50~60%のアメリカ製2剤と対照的に、若年層に集中する傾向にあります。

 感染者数が急増している沖縄県内の医療機関でもゾコーバへの関心は高く、大浜第一病院(那覇市)で診療する藤田次郎・おもと会グループ特別顧問が1日に診療する新型コロナ陽性者数は約10人で「経験したことのない(多い)数」といい、多くは基礎疾患のない軽症の20~30歳代で、特にのどの痛みなどの症状が強い場合にゾコーバを処方しています。

 ゾコーバは早期に投与すれば症状が消えるまでの期間を短縮するほか、倦怠(けんたい)感や集中力の低下などの後遺症のリスクを低減させる効果も確認されています。藤田医師は「処方できる患者の範囲が広く、飲み薬を積極的に使う医師にとっては使いやすい」と指摘しています。

 ゾコーバが「広く使いやすい」理由は、薬の特性にあります。3剤とも軽症・中等症患者向けで、アメリカ製2剤は処方対象が高齢者のほか、心疾患や糖尿病などの重症化リスクのある患者に限られるのに対して、ゾコーバは若年層などリスクがない場合も服用できます。

 塩野義製薬によると、新型コロナ陽性者の7~8割は重症化リスクがないとみられ、ゾコーバの利用拡大につながっていると考えられます。一方、服用のリスクについて患者からの同意書取得が義務付けられ、併用できない薬が多いパキロビッドはシェアが低迷しています。

 ただ、ゾコーバは妊婦や妊娠の可能性のある女性には処方できず、高血圧や高脂血症の薬の一部など、併用できない薬も多いため同意書取得が必要で、医療現場では引き続き注意が求められます。治療薬代は9月末まで全額公費支援ですが、3割負担の支払額はゾコーバが約1万5000円、アメリカ製の2剤は約3万円となります。

 2023年7月2日(日)

🟧鹿児島県、インフルエンザ感染者が全国最多18・09人 新型コロナも全国で2番目の11・71人

 鹿児島県では、さまざまな感染症の流行が拡大しています。6月30日に発表されたインフルエンザの1医療機関当たりの1週間の報告数は、全国最多の18・09人でした。新型コロナウイルスの1医療機関当たりの1週間の報告数も、全国で2番目に多い11・71人となっています。

  鹿児島県によりますと、6月25日までの1週間に、県内91の医療機関から寄せられたインフルエンザ感染者の報告数は、1医療機関当たり18・09人で全国最多です。2位の宮崎県の6・81人の2・6倍で、全国でも突出して多く、6月22日から県内全域に流行発生注意報が出されています。

 保健所別では、伊集院46人、西之表40人、川薩38・14人などとなっていて、流行発生警報の目安となる30人を超えているところもあります。

 学校への影響も出ていて、6月25日までの1週間で、インフルエンザによる学級閉鎖が小学校13校と高校3校の合わせて16校で、学年閉鎖が小学校9校で行われました。

 新型コロナの1医療機関当たりの報告数は前の週より1・22倍多い11・71人で、沖縄県の39・48人に次いで全国で2番目に多い状況が続いています。

 6月28日時点で、医療機関に入院中は299人、宿泊施設で療養中は4人です。重症者は1人で、病床使用率は17・8%です。

  そのほかの感染症も増えていて、子供を中心に感染するいわゆる夏風邪の一種「ヘルパンギーナ」の報告数は、1医療機関当たり12・25人でした。県内全域で流行発生警報が継続しています。

 こうした状況を踏まえ、県は「両感染症の感染拡大が続く要因については不明」とし、同時流行に備え、体温確認や手洗い、換気、適切なマスク着用といった基本的な感染対策に取り組むよう呼び掛けています。

 2023年7月2日(日)

🟧20本以上の歯がある人、80歳で51・6% 2022年、厚労省の実態調査

 入れ歯がなくてもほとんどのものを食べられる目安とされる、20本以上の歯がある人の割合は80歳では推計で51・6%と、2人に1人以上となったことが、厚生労働省の歯科疾患実態調査でわかりました。

 20本は入れ歯なしにほとんどのものを食べられる目安とされていて、厚労省は80歳になっても20本以上を保つことを目指す取り組みを進めています。

 調査は2022年11月、12月、全国で地域を抽出し、2709人に歯科医による診察やアンケートを実施した。それによりますと、20本以上の歯がある人の割合は75歳から79歳では55・8%(前回比0・3ポイント減)、80歳から84歳では45・6%(前回比1・4ポイント増)でした。

 これをもとに80歳を推計すると51・6%となり、2016年の前回の調査より0・4ポイント増加していました。

 一方、「歯周ポケット」と呼ばれる、歯と歯ぐきの境目の溝が4ミリ以上あり、歯周病の疑いがある人は15歳以上のすべての年代で47・9%に上りました。

 また、過去1年間に歯科検診を受診した人の割合は58・0%で、特に30歳代から40歳代の男性の受診率が低い傾向だったということです。

 厚労省は、「歯の健康に対する意識の向上で、80歳でも十分に歯が残っている人は増加傾向にある。今後もすべての年代を対象に歯科検診の受診率の向上に向けた取り組みを進めたい」としています。

 2023年7月2日(日) 

2023/07/01

🟧食物アレルギーがある子供52万7000人 2022年度、公立校調査で12万人増加

 全国の公立小中高校などで食物アレルギーがある児童生徒は6・3%で、約52万7000人に上ることが、昨年度、9年ぶりに実施された大規模調査で判明しました。2013年の前回調査より1・8ポイント上昇し、約12万人増えました。激しいアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こしたことがある児童生徒は全体の0・6%で、こちらも増加傾向でした。教育現場では食物アレルギー対策が進むものの、道半ばです。

 調査は公益財団法人・日本学校保健会(会長=松本吉郎・日本医師会長)が昨年10〜12月、全国の公立の小中高校と特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校を対象に実施。77・6%に当たる2万5466校(在籍児童生徒約830万人)から回答を得て、今年3月に結果をまとめました。同会は2004年と2013年、文部科学省の委託事業として同様の調査を実施。2022年は国の補助金を受けて、同会の事業として実施しました。

 食物アレルギーがある児童生徒は、2004年調査では32万9423人(回答校の児童生徒の2・6%)、2013年は40万7546人(同4・5%)、今回は52万6705人(同6・3%)。

 原因食物は複数回答で、鶏卵が25・8%で最も多く、果物類25・0%、甲殻類14・9%、木の実類12・4%、ピーナツ11・2%などとなりました。

 花粉症になると果物類のアレルギーを発症しやすいと指摘されており、花粉症の子供の増加が食物アレルギーの子供の増加につながっている可能性を指摘する専門家もいます。

 食物アレルギーは、じんましんやせき、嘔吐(おうと)などの症状を引き起こします。複数の症状が急激に出る全身性のアナフィラキシーが起きることもあります。

 今回の調査ではアナフィラキシーを起こしたことがある児童生徒の数も集計。2004年の1万8323人(同0・14%)、2013年の4万3621人(同0・48%)からさらに増え、5万1881人(同0・62%)でした。アナフィラキシーなどを想定した緊急対応の模擬訓練をした学校は26・8%でした。

 2023年7月1日(土)

🟧コロナ飲み薬「ゾコーバ」、新たに使用禁止の妊婦3人への処方が判明 厚労省が注意喚起

 塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、厚生労働省は処方が禁じられている妊婦への処方が新たに3人報告されたとして、全国の医療機関に注意喚起するよう都道府県に通知しました。通知は6月29日付け。処方する際に妊娠している可能性がないか入念に確認するよう求めています。

 ゾコーバは、国内メーカー初のコロナ治療薬。軽症や中等症の患者向けの飲み薬として、昨年11月に緊急承認されました。動物実験で胎児の奇形が認められ、胎児への悪影響が出る恐れがあるため、妊婦や妊娠の可能性のある女性への処方は禁じられています。

 塩野義製薬によると、昨年11月から今年5月までの市販後調査で、3人の妊婦への処方を確認。調査終了後、さらに3人の妊婦への処方が判明しました。妊娠や妊娠している可能性がある女性への処方を防ぐためのチェックリストが、処方時に使用されていない事例があったといいます。

 厚労省は通知で、チェックリストを活用し、妊娠の可能性について、入念に説明、確認を行うよう医療機関や薬局への周知を求めました。塩野義製薬は、少しでも妊娠の可能性がある場合は医師や薬剤師に伝えてほしいと呼び掛けています。

 塩野義製薬が厚労省の専門家部会に提出した資料によると、ゾコーバは昨年11月から今年5月までに推定約5万5000人が服用しました。

 2023年7月1日(土)

🟧うつ病など精神障害の労災認定、過去最多710人 4年連続で最多更新

 仕事の強いストレスが原因でうつ病などの精神障害になり、昨年度、労働災害(労災)と認められたのは710人と、これまでで最も多くなりました。

 厚生労働省によりますと、仕事の強いストレスや長時間労働が原因でうつ病などの精神障害になったとして昨年度、労災と認められたのは710人でした。

 前の年度より81人増え、調査の始まった1983年度以降の過去最多を4年連続で更新しました。労災が認められた710人のうち、「過労自殺」に追い込まれたのは未遂も含めて67人で、前の年度より12人減りました。

 労災が認められた710人のうち、「上司などからのパワハラ」が147人と最も多く、「悲惨な事故や災害の体験、目撃」が89人、「仕事内容や量の大きな変化」が78人でした。

 年代別では、最も多かったのが40歳代の213人で前の年度より13人増え、次いで20歳代が183人で30人増えました。

 業種別では、医療、福祉が164人、製造業が104人、卸売業が100人、小売業が100人でした。

 精神障害の労災請求は前年度比337人増の2683人で過去最多。認定率は35・8%でした。

 一方、長時間労働などが原因で脳出血や心筋梗塞などを引き起こし、労災と認定されたのは前の年度より22人増えて194人でした。増加は、2016年度以来です。このうち死亡した「過労死」は54人で、前の年度から3人減りました。

 労災が認められた194人を年代別にみると、50歳代が最も多く67人、40歳代が58人、60歳以上が49人でした。

 厚生労働省は、「制度の周知が進み、精神障害に関する労災認定が増え続けている。働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大により長時間労働が減少し、以前と比べれば過労死は低い水準にあるが、引き続き長時間労働やハラスメントの防止対策などに取り組んでいきたい」としています。

 2023年7月1日(土)

🟧新型コロナ「第8波」に自宅で死亡は1309人 70歳代以上で85%超

 新型コロナウイルスの「第8波」で感染が拡大した昨年11月からの3カ月間に感染して自宅で亡くなった人は、全国で少なくとも1309人に上り、このうち、70歳代以上が8割以上を占めたことが厚生労働省のまとめでわかりました。

 厚労省は「第8波」で感染が拡大した昨年11月から今年1月末に新型コロナに感染して自宅で死亡した人について全国の都道府県を通じて調べたところ、少なくとも1309人に上ったということです。昨年7月から8月の第7波での自宅死者は776人でした。

 年代別では、80歳代以上が最も多い63%、次いで70歳代が22・6%で、70歳代以上が全体の85・6%を占めました。

 男性のほうが多く743人で、女性は566人。77・5%の人には基礎疾患があったほか、亡くなる直前にコロナと診断を受けた人のうち38・3%は軽症か無症状、中等症は13・4%、重症は13・8%だったということです。

 ワクチン接種歴でみると、不明が42・4%で最多。未接種が16・2%でした。3回が7・9%、4回が18・8%、5回が8・7%でした。

 自宅での療養について、「希望あり」だった人は16%で、「不明」もしくは「亡くなった後に陽性が判明した」という人が80%となっています。

 入院調整や宿泊療養の対象となった直後に亡くなった人もいたということで、厚労省は、自宅療養中に症状が悪化した際の自治体の相談機能を当面、継続していくとしています。

 2023年7月1日(土)

🟧ヘルパンギーナ、千葉県で警報基準値超えの流行 十分な手洗いを

 幼い子供を中心に流行するウイルス性感染症「ヘルパンギーナ」が千葉県内で流行しているとして、県は、手洗いなどの対策を呼び掛けています。

 県疾病対策課によりますと、6月25日までの1週間に県内の定点医療機関から報告された「ヘルパンギーナ」の患者数は1カ所あたり7・06人(前週比1・36人増)で、国の警報基準値「6・0」を超えました。

 128の定点医療機関から904人の患者数が報告されており、県内で警報基準値を超えるのは2012年以来、11年ぶり。保健所別では、習志野(15・40人)が最も多く、船橋(12・09人)、千葉市(9・22)と続きました。

 「ヘルパンギーナ」は、幼い子供を中心に流行する夏風邪で、38℃以上の高熱や口の中の粘膜に水疱(すいほう)性の発疹の症状が出るのが特徴です。

 例年、5月ごろから患者数が増え始め、7月ごろにかけてピークとなります。

 このため県は予防策の徹底を呼び掛けていて、「特に食事前やトイレの後には十分に手を洗ってほしい」と話しています。

 2023年7月1日(土)

🟪インフルエンザの患者数が注意報の基準を超える 新型コロナと同時に流行ピークの恐れも

 インフルエンザの感染状況について、厚生労働省は20日、全国約5000の定点医療機関から9〜15日の1週間に報告された感染者数が1医療機関当たり19・06人だったと発表しました。前週(9・03人)と比べ2・11倍に急増し、「注意報」の基準の10人を超まし た。  都道府県別では...